2025年4月9日水曜日

新社長/UBE三菱セメント・平野和人氏、組織成熟のステージに

 最終年度に入った中期経営戦略で掲げた目標達成に向け、より強固な国内事業を確立しつつ、海外事業のさらなる成長とカーボンニュートラル(CN)対応に注力する。製販一体の体制が整い「多様な人材がいる」という強みを最大化し、「組織を成熟させる次のステージ」への移行でアクセルを踏み込む。
 --業績が順調に推移している。
 「本年度は次の中期戦略を策定する大事な年になる。キーワードはビジネスモデルの再構築だ。国内事業をより確実にしつつ、海外事業を大きく成長させる。社会貢献としてCN対策も進める。現在の中期戦略で掲げた営業利益の目標は前倒しで達成した。次期戦略の期間中に30年度が目標だった営業利益750億円の達成を目指す。バイオマス関連などの事業化も進める」
 --主力のセメント事業で将来像をどう描く。
 「国内は事業基盤の強化とCN対策が重要になる。セメント需要は落ち込んでいるが、いずれ下げ止まるとみている。当面は1トン当たり2000円の値上げをしっかりとやり切る。生産体制は見直しを終えたが、燃料コストなどに工夫の余地がある。聖域なくコストダウンの努力を続けなければならない」
 「海外は石灰石の採掘からセメントの生産と出荷、生コン工場の運営までを一体的に手掛ける『垂直統合モデル』を米・南カリフォルニアで展開している。米国は骨材の価格が高く鉱山を所有していれば事業が有利に展開できる。骨材鉱山の買収や鉱区の開発を含め事業基盤をより強化する。M&A(企業合併・買収)を基軸に北米、オセアニアなど環太平洋エリアで新拠点の開拓を進めていく」
 --CN対応は待ったなしだ。
 「セメント製造でのアンモニア混焼試験は、技術的に世界で最も進んでいると自負している。実証に取り組みながらビジネスモデルを構築するのが重要になる。セメント事業はインフラ整備や産業廃棄物処理で社会的使命をしっかり果たしている。二酸化炭素(CO2)は対応が不可避な課題であり、採算、需要ベースに乗せることが大切。他業種との協業も必要だ」
 --改革の歩みは止まらない。
 「セメント事業の物流改革は1日付で営業部にあった物流担当部署を物流部として独立させた。運送会社とのコミュニケーションを深め、ドライバー不足などの問題に備える。輸送に精通している人材も増強する。産廃処理は関西に新しい廃プラスチック集積施設を整備する。品質を維持しながらセメント製造でより多くの産廃が活用できるよう工場の設備を増強する」。
 (4月1日就任)
 (ひらの・かずと)1985年上智大学法学部卒、三菱鉱業セメント(現三菱マテリアル)入社。2022年4月にUBE三菱セメントの代表取締役副社長に就任。「100年以上セメント製造を行ってきた宇部興産(現UBE)と三菱マテリアルのDNAを受け継ぎ、会社を発展させていく」と力を込める。神奈川県出身、63歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172883
via 日刊建設工業新聞

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