2024年10月31日木曜日

回転窓/季節に合わせた服装

 ようやく秋らしい気候に変わり、東京都心では25・1度を観測した24日が今年最後の夏日(25度以上)になりそう。今年153回目、今月14回目の夏日で、1875年の統計開始以来、年間、月別ともに最多記録を更新した▼10月に入っても通勤でノージャケット・ノーネクタイという夏スタイルの人たちが目立った。朝晩少しずつ涼しくなり、日中との気温差からどんな服装にするのか迷う方も多かったに違いない▼今夏は各地で夏日や猛暑日が続き、自治体や企業で1年を通じて軽装での勤務を認める取り組みが広がった。ジャケットなどの着用は個人の判断に任せるが、TPO(時・場所・場面)をわきまえ相手に不快感を与えない服装を求める▼多様な職員が自分らしく働きやすい職場づくりを進めて業務の効率化を図るのが目的。職場で季節や気候に合わせた服を着ることで、空調などに使うエネルギーの節約効果も期待される▼1週間後には立冬を迎えるが、気象庁の1カ月・3カ月予報を見ると気温は高めに推移する見込みだ。今後も気温の変化が大きくなるかもしれず、年末に向け体調管理には十分気を付けたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168466
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房総地域東京湾口道路建設促進期成同盟会が発足/25年1月めどに要望活動

 千葉県の房総半島と神奈川県の三浦半島を結ぶ東京湾口道路の実現に向け、房総地域東京湾口道路建設促進期成同盟会が立ち上がった。会長に就任した高橋恭市富津市長は「皆さまの思いを一つにすることで、先人たちが夢見た東京湾口道路の建設も実現可能であると強く思っている」と期待を語った。道路の早期建設を求め、2025年1月をめどに国や千葉県などに対し要望活動を実施する。
 29日、同期成同盟会が千葉県木更津市のかずさアカデミアホールで設立総会を開いた=写真。正会員の房総地域13市町をはじめ、地域経済団体が参加。設立を全会一致で決議した。
 東京湾口道路は、東京湾口部分の浦賀水道を横断し、千葉県富津市~神奈川県横須賀市を結ぶ延長約17キロの道路として構想されている。高橋会長は「災害発生時、東京湾アクアラインなどの代替路線を確保することの重要性が高まっている。構想具体化に向けた国などに一層強い働き掛けが必要だ」と期成同盟会設立の趣意を説明した。
 高橋会長は千葉県の地理的な特徴である半島性の解消につながることも強調。「房総半島と三浦半島、その周辺地域とのスムーズな移動が可能になる」と広範囲の地域活性化を展望した。「東京湾環状道路の一翼を担う。東京圏への過度の集中緩和策としても大いに期待できる」との見通しも語った。
 設立総会では24年度事業計画案、予算案なども審議、承認した。事業計画によると、同年度は東京湾口道路に関する情報収集や調査、研究を進める。「道路整備促進期成同盟会千葉県連合協議会」への加入や、事業実施や期成同盟会の円滑な運営を図るための各会議を開催する。
 正会員は▽富津市▽鴨川市▽いすみ市▽館山市▽茂原市▽勝浦市▽袖ケ浦市▽鋸南町▽御宿町▽木更津市▽君津市▽南房総市▽大多喜町-の13市町。
 同期成同盟会の前身となる「協議会」は1994年に当時の房総地域22市町村で設立した。08年に閣議決定された国土形成計画の内容を踏まえ、14年度以降は要望活動だけを継続していた。




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寝屋二丁目・寝屋川公園地区土地区画整理、業務代行予定者に鹿島JV/準備組合

 大阪府寝屋川市の寝屋二丁目・寝屋川公園土地区画整理準備組合は、JR学研都市線と第二京阪道路に挟まれた寝屋二丁目・寝屋川公園地区(約32・3ヘクタール)を対象にしたまちづくり計画で、鹿島・関電不動産開発JVを業務代行予定者として選定した。3グループから提案があり、役員会で提案内容を審査。同JVを第1候補者に内定し、13日に開いた総会で正式決定した。
 同地区(寝屋2、寝屋川公園、寝屋南2)は市の東部に位置する。地権者は約150者。JR星田駅と第二京阪道路寝屋川北ICが近く、大部分は田畑など農地が広がる市街化調整区域で、事業化に合わせて市街化区域に編入する予定。
 市では良好な市街地の形成を目指し、都市型の産業・流通系の立地を促すとともに、星田駅周辺では緑を生かしたまちづくりを目指している。
 区域内には都市計画道路寝屋線(幅員16メートル)や幅員16メートルの道路、区画道路、公園・緑地を計画。寝屋線には共同溝を整備する。雨水貯留施設も設置し、たち川に放流する。
 土地利用計画では第二京阪道路沿いを産業(一部商業)ゾーンに位置付け、JR線側は宅地や地域交流、医療の各ゾーンを配置。農業ゾーンも設ける。産業(一部商業)ゾーンの割合は基本設計段階で28・5%(9・2ヘクタール)を想定した。
 今後は11月ごろに協定を締結。事業計画決定後に本組合を設立し、換地計画を検討する。




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炎重工/普及価格帯の水上ドローンを市場投入、自律航行機能の追加も検討

 空中でも水中でもない「水上ドローン」が注目されている。岸壁など構造物や湖底・海底の調査だけでなく、水難救助、レジャーなど幅広い用途に活用が広がる。水上ドローンなどの研究や開発、販売を手掛ける炎重工(岩手県滝沢市、古澤洋将代表取締役)が、普及価格帯の新型水上ドローンを10月に発売。手頃な価格設定とさまざまな用途に対応できる柔軟性を武器に、水上ドローン市場の拡大を目指す。
 新型機「Swimmy Eye V1」は従来機と比べコンパクトな機体で、重量が約7・5キロ(バッテリーなどを含む)と軽量なのが特徴。販売価格も約100万円に設定し、水上ドローンの導入を検討しているユーザーにとって手に取りやすい機体に仕上げた。
 推進機は2軸の650ワットのモーターで、流速4ノットまで対応可能。重心を低くし、ひっくり返ることなく常に上を向くようになっている。波高も無制限で使用できるという。
 バッテリーは12アンペア時または24アンペア時のリチウムイオンを搭載し、全速力でも1時間以上の稼働時間を確保。通常の調査や画像撮影の場合、2~3時間程度作業を続けることができる。操作や映像伝送は2・4ギガヘルツ帯の電波を使い、専用コントローラーで200~300メートルの範囲で通信可能だ。
 カメラは前面に上下稼働するジンバル付き1920ピクセル×1080ピクセル(フルHD)を1基、底部に照明付き1280ピクセル×720ピクセル(HDTV)の水中カメラ1基を備える。岸壁などの点検作業では、前面カメラにより十分な解像度の動画や静止画が得られる。浅い場所や透明度の高い湖水では、底部水中カメラで撮影した画像で調査できる。
 本体後部のプラットフォーム部分にアクションカメラを備え自由な方向を撮影することもできる。マルチビームソナーや救助具などは機体後部のフックからえい航して使うことを想定している。
 同社は今後、顧客からの要望に応じアップグレードも計画。特にGNSS(全球測位衛星システム)による自律航行機能の追加を検討しているという。新規ユーザー向けに扱いやすい機体を目指した新型機。水上ドローン業界に新しい息吹をもたらしそうだ。

 □炎重工□
 2016年に創業。古澤氏は筑波大学大学院でシステム情報工学などを学び、IT系企業で介護用ロボットスーツの開発などを経験。東日本大震災を契機にふるさとへ戻り起業した。制御系技術を中心にした自動化技術が強み。水上ドローンも躯体から内部のシステムまで一貫して自社開発できるのが特徴だ。水上ドローンは大型から超小型までラインアップしている。




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2024年10月30日水曜日

回転窓/森林と都市の共生社会を

 地球温暖化防止の目標実現に厳しい現実が突き付けられたと言えよう。各国が策定した2030年の温室効果ガス排出削減目標を達成しても、世界全体の排出量は19年比5・9%の削減にとどまると、国連気候変動枠組み条約事務局が28日報告した▼気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える目標実現には30年までに19年比43%の削減が必要とされる。今回の報告とは大きな開きがある▼世界気象機関から23年の温室効果ガス年報も同日発表され、大気中の温室効果ガス濃度は観測史上最高に。今後数年間の気温上昇は確実とも指摘する▼温暖化の要因は化石燃料由来の温室効果ガスだけでない。世界で増える山火事に伴って二酸化炭素(CO2)が排出され、同時に森林による吸収量の減少が拍車をかけているようだ▼日本では都市部の中高層ビル建設で木材活用の動きが広がりを見せる。木材の利用拡大はCO2の貯蔵や排出抑制につながる。耐震・耐火性に優れた構造材としての用途がさらに広がれば、サステナブルな社会の構築に貢献する。建設技術への期待は大きい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168408
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国交省/スモールコンセッションのプラットフォーム創設へ、産官学金で事業化後押し

 国土交通省は、小規模な遊休不動産や公共施設を官民で有効活用する「スモールコンセッション」の普及に向け、産官学金の関係者でつくるプラットフォームを立ち上げる。地方自治体と民間事業者、金融機関、学識経験者が参画し、情報共有や案件形成の支援に取り組む。近く参加者の募集を開始し、2025年1月までに設置したい考えだ。
 スモールコンセッションは事業費が10億円未満の小規模な官民連携手法。民間ノウハウの導入で自治体が所有する廃校や空き家などを有効活用し、地方創生につなげる。自治体の財政状況が悪化する中で、維持管理費の削減策としても期待される。
 一部の自治体には、官民連携は総額10億円以上の大規模事業を検討対象とするものという認識がある。国交省担当者は「官民連携は小さな事業にも活用できることを伝え、イメージの壁を払拭していくことが大事だ」と話す。新たに設置するプラットフォームは「つながりを持ちにくいパートナーをつなげ、事業化に当たっての課題を手当てしていく場」(国交省担当者)にしたい考えだ。
 政府は23年6月に改定した「PPP/PFI推進アクションプラン」で、スモールコンセッションを今後開拓すべき分野の一つに位置付けた。手続きの簡素化や円滑化、官民のマッチング機能の強化、モデル事業への支援などを通じて案件形成を促進する方針を示した。




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ID&EHD/タレントマネジメントを強化、必要な学習を推薦し成長を支援

 ID&Eホールディングス(HD)は、グループ全従業員が共に成長するための共創ラーニングエコシステムと融合したタレントマネジメントシステムを本格展開する。年内をめどに従業員データベースを拡張。経験やスキルを搭載する機能を取り入れるとともに、目標に近づく上で必要な学習内容を推薦する機能を導入。キャリア形成に積極的な従業員を支援する。人財の経験などを可視化して、互いに教え合い学び合う文化を醸成し、持続的な成長につなげる。
 同社は7月に共創ラーニングエコシステムとして「ID&Eグローバルアカデミー」を設立しており、その一環となる。同アカデミーは、▽タレントマネジメント▽教育研修▽ステークホルダーとの共創-の三つが柱。従業員が自らの目標に向けて、効果的かつ効率的に必要な学びを得るための循環型の環境を形成していく。
 タレントマネジメントは従業員が自らの立ち位置などを知ることを重視しており、既存システムを拡充して取り組みを進める。同アカデミーの濱中拓郎本部長(日本工営ビジネスパートナーズ常務執行役員)は「これまでの従業員検索システムをバージョンアップし、経験やスキルを入れられるようにする。自分がなりたいものに対して、こういう勉強をしたら良いというリコメンド機能を持たせる」と説明する。12月の完成に向け作り込んでいる段階だ。
 同アカデミーでは、研修プログラムなどを記したシラバスを用意するとともに、グループ企業の技術の専門家を、分野ごとに学科長などと位置付けて配置する。グループ全体の知の体系化を図りつつ、グループ内のノウハウの可視化にもつなげる。
 課題が生じた時などに、「誰に聞けば良いかすぐにアクセスできる。そうしたきっかけにもなる」(濱中本部長)。ID&EHDの新屋浩明社長は「研修する意味合いだけではない。『つながる』『自分を知る』と機能を持たせて、切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長していける企業文化を作っていきたい」と話す。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168412
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大阪母子医療センター/建て替え基本設計公表、規模は10階延べ3・7万平米に

 大阪府立病院機構大阪母子医療センター(大阪府和泉市)は新センター棟建設の基本設計で、SRC造地下1階地上10階建て延べ3万6967平方メートルとする構造規模を固めた。引き続き、事業に関心のある設計業者と施工業者を対象に「基本設計説明会」を開催する。参加申し込みは11月6日まで受け付け、同8日に参加資格確認通知を送る。説明会は同12日にウェブ会議システム「Zoom」で実施し、基本設計の概要や今後のスケジュールを説明する。
 新センター棟は既存施設の空調設備や給排水管が古くなったため、現在地で建て替える。泉北高速鉄道光明池駅の近くで和泉市室堂町840に位置する現敷地(6万8077平方メートル)の一角に建設する。事業手法は実施設計・施工一括(DB)方式を採用。建て替えに併せて新生児集中治療室(NICU)や新生児回復治療室(GCU)の拡充、個室の増加にも取り組み、周辺地域の周産期医療と小児医療の強化につなげる。
 基本設計は安井建築設計事務所・シップヘルスケアリサーチ&コンサルティングJVが担当した。
 2025年度に事業者を選定し、30年度までの開院を目指す。既存施設の撤去は31~32年度を予定。新センター棟建設後に現施設を撤去する。現手術棟など一部の施設は引き続き利用する。




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2024年10月29日火曜日

インフロニアHD/Bリーグ親子体験イベントが本格始動、冠協賛初戦会場が大盛況

 インフロニア・ホールディングス(HD)が冠パートナーを務める日本プロバスケットボールリーグ(Bリーグ)2024-25シーズンで、親子で楽しめるさまざまな体験型イベントが本格始動した。冠協賛初戦の27日に横浜市都筑区で行われた横浜ビー・コルセアーズ対滋賀レイクスの会場では、アウトリガーがかにの足のように見える前田製作所の「かにクレーン」に取り付けたバスケゴールのフリースロー体験に行列を作った。前田道路の舗装補修材「マイルドパッチ」を用いたアスファルトの補修体験にも多くの親子が参加。インフラをPRするとともに盛り上がりに一役買った。
 Bリーグと締結するイノベーションパートナー契約に基づき、インフロニアHDが冠パートナーを務める今シーズン16試合の会場では、親子向け体験型イベントを「バスケインフラリーグ(BIリーグ)」や「バスケとインフラでハイタッチ!」と題し展開。豊富なインフラ建設・運営の実績やノウハウを生かし、Bリーグのさらなる発展や地方創生に貢献する。
 冠初戦となった同日の横浜国際プールには満員の5122人が集まった。会場入り口前に設けられたインフロニアHD専用ブースでは、子ども向けにミニバス用よりもさらに低い位置にゴールを取り付けたかにクレーンのフリースロー体験に大行列。試合前からハーフタイムにかけほぼ絶え間なく約300人が参加し、ゴールを決めた児童らは喜びを表した。プレゼントのかにクレーンのミニカーも人気を集めた。
 アスファルト補修の体験コーナーには約200人が参加。補修箇所に盛って水をかけるだけで硬化する簡単施工が売りのマイルドパッチをPRでき、子どもたちからも「粘土をいじっているようで楽しかった」と好評だった。
 イベントを見守った前田建設の小島靖雅執行役員東京土木支店長は「会場の盛り上がりと一体になって小さなお子さんにバスケとインフラを身近に感じてもらうのはいいこと」と述べた。前田道路の勝山清文西関東支店長はイベントが大盛況だったことを踏まえ「インフラに興味をもってもらういろいろな入り口があっていい」と話した。
 試合はホームの横浜が77対75で接戦を制した。世界に開かれた港町横浜のクラブとして、ビー・コルセアーズという名称は海賊船を由来する。小島氏と勝山氏は海賊の衣装を身にまとい、試合前に試合の見どころ説明やインフロニアHDをPRするMCとしても盛り上げに貢献。勝山氏が試合開始の合図となる「海賊の鐘」を鳴らし、小島氏は試合で最も活躍した横浜のゲイリー・クラーク選手に「インフロニアHD賞」を手渡した。
 小島、勝山両氏は12月29日まで各地で行われる冠協賛残り15試合でも地域と密着したバスケとインフラの相乗効果に期待を寄せた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168380
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回転窓/「経国済民」の成長シナリオ

 政治の安定なくして経済の発展はない--。東日本大震災後に本紙で企画したインタビュー連載「国のかたちを考える」シリーズで、2011年12月19日付の紙面に登場したコマツ会長で経団連副会長を務めた坂根正弘氏(肩書は当時)の言葉だ▼09年8月の衆院選で政権交代を果たした当時の政党は「コンクリートから人へ」をスローガンに掲げ、それまでの政策路線を大きく転換した。建設業など多分野に影響が広がる中で大地震が発生し、混乱に拍車がかかった▼経済の本質を示す「経国済民」は、「国家を経営して治め、民を救済する」という意味を持つ。経済と政治は不可分の関係にあり、片方だけ良くても国は発展せず、国民の暮らしも安定しないだろう▼今回の衆院選で連立政権を組む与党の議席が過半数を割り込んだ。政局の流動化は避けられない▼「経済の低成長が続く状況下では、誰がリーダーになっても政治の安定は難しい」と指摘した坂根氏は、政府が成長シナリオを示し国民の理解を得る必要性を説いた。政治・経済に対する国民の憂いを払拭するためにも、国会では成長への前向きな議論を期待したい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168379
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近畿整備局、近畿運輸局/広域地方計画有識者会議開く、キーコンセプトはKX

 近畿地方整備局と近畿運輸局は25日、大阪市中央区の大手前合同庁舎で「第6回近畿圏広域地方計画有識者会議」(座長・小林潔司京都大経営管理大学院特任教授)を開き=写真、新たな近畿圏広域地方計画(関西広域地方計画)のキーコンセプトを「KX(カンサイ・トランスフォーメーション)」に決めた。副題は「まじわり、つながる、変革する関西」。イノベーションを生み出し続ける関西を目指す。同日は中間取りまとめの素案も示し、五つの将来像と目標、広域連携プロジェクト内の10の取り組みを整理した。
 キーコンセプトは五つの案を示し、委員の多数決で「KX」に決定した。2位は「歴史ある、新しさ」だった。KXは「時代の変革期を見据え、高次元での飛躍を目指して、アジアをはじめ、世界との架け橋となる」のに加え、「あらゆるイノベーションを生み出し続け、国の成長エンジンとして、関西はさらなる発展を遂げていく」の将来像を現した。
 同計画の期間は2050年、さらにその先の長期を見据えつつ、今後おおむね10年間とする。中間取りまとめの素案によると、現状と課題を示した上で、関西の将来像と目標・戦略を設ける。
 将来像は▽挑戦し、成長する関西▽豊かに誇り高く暮らせる関西▽災害に屈しない強靱な関西▽人と自然が共生する持続可能な関西▽人々を魅了し続ける関西-の五つを設定。日本中央回廊の西の拠点として日本の成長をけん引し、豊かに暮らせる地域生活圏の形成を目指す。巨大災害リスクに対して強靱な国土づくりや多様な文化と自然を生かした圏域づくりなどにも取り組む。
 広域連携プロジェクトは▽国土軸ネットワーク▽関西交通ネットワーク▽関西成長エンジン▽都市の魅力向上▽地域活性化▽関西強靱化・防災連携▽GX▽みどり・水・生き物の共生▽人々を魅了する関西▽他圏域との連携-の10の取り組みを位置付けた。
 海峡横断プロジェクトや高規格道路のミッシングリンクの解消、リニア中央新幹線と北陸新幹線の全線開業、空港アクセスの利便性を向上し、国際航空の処理能力、阪神港を中心とした物流ネットワークを強化する。京都、大阪、奈良の3府県にまたがる「けいはんな学研都市」は「ポスト万博シティー」とし、先端技術を実用化する都市として街づくりを進める。
 地震・津波、洪水・内水・高潮・土砂災害の各対策とともに、緊急輸送道路の強靱化や幹線鉄道ネットワークなどを整備することで首都圏のバックアップを担う圏域を目指す。歴史的資源を生かした街づくりも推進する。
 委員からは「関西は府県ごとに特色があり、それぞれのポテンシャルを最大限活用した取り組みを記載すべきだ」「人口が増えている大阪都心部の考え方にも触れてほしい」「交通インフラを含めて地下の利活用を検討すべきだ」などの意見が出た。
 今後、近畿圏広域地方計画協議会を開催し、年内に中間取りまとめを公表する予定だ。




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戸田建設/ロボットコンサル事業初弾の運用開始、長崎スタジアムシティで活躍

 14日に開業した「長崎スタジアムシティ」(長崎市)内で、戸田建設が計画や導入などをコンサルティングしたロボットの運用が始まった。サッカースタジアム上空を滑走するジップラインのハーネスや関連資材を運搬するロボットを導入。施設全体でロボットを活用しこれまでの人的作業をロボットが代替することで、人件費の削減や人手不足の解消を目指す。ロボットフレンドリーな環境構築の実現に向けたコンサル事業の第1号案件となる。
 ロボット導入は、経済産業省の「令和6年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(ロボットフレンドリーな環境構築支援事業)」の一環。ジャパネットグループのリージョナルクリエーション長崎(長崎市、岩下英樹社長)と戸田建設が採択を受けた。
 長崎スタジアムシティは、リージョナルクリエーション長崎が運営し、サッカースタジアムやアリーナ、ホテル、商業施設、オフィスで構成する大型複合施設。ジップラインは、オフィス棟の屋上から、商業棟の屋上を結ぶ。ロボットはゴール地点で取り外すハーネスなど滑走器具を再びスタート地点まで運搬するほか、関連する資材、小物類などの備品運搬も担う。
 運搬にはロボットメーカーのZMP(東京都文京区、谷口恒社長)製の配送ロボット「DeliRo Truck(デリロ トラック)」を導入。ジップラインに必要なハーネスなどを載せ、商業棟とオフィス棟を結ぶ片道約380メートルのコンコース間を自動運転で搬送する。
 戸田建設はコンサルティングの立場でデリロ トラックのカスタマイズ提案、搬送経路や運用の計画、安全対策などに取り組んだ。デリロ トラックの導入により、人手不足の解消や施設のエンターテインメント性の向上を期待する。
 同社は今後、清掃や配達など長崎スタジアムシティのロボット活用に関連したさまざまな実装・実証実験を行う予定だ。ロボット導入のコンサル活動を積極的に行い、国内のロボット普及率の向上に貢献する。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168377
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熊本市/現庁舎跡地活用などで対話調査、事業スキームや規制緩和で意見求める

 熊本市は本庁舎の移転建て替えに伴い解体予定の現庁舎の跡地(、中央区桜町敷地面積1万0377平方メートル)について、民間事業者から利活用の在り方に関する意見を聞くサウンディング(対話)型市場調査を行う。跡地開発の事業スキームや定期借地の可能性、規模に加え、民間投資を促す容積率の緩和といった規制緩和の必要性についても提案を求める。現庁舎の解体完了は約10年後を見込んでおり、対話調査の結果を踏まえて事業者公募のスケジュールなどを固める。
 11月29日まで調査への参加申し込みを受け付ける。対話の実施期間は同20日~2025年3月21日。同1月14、15日、同2月25、26日には東京会場での対話実施を予定している。同4月下旬以降に対話調査の結果概要を公表する。
 調査はデベロッパーやゼネコンなどの法人またはそのグループを対象とするA部門、新庁舎(中央区桜町)や現庁舎跡地、新中央区役所庁舎(花畑町)の周辺に土地や建物を所有する者を対象としたB部門に分けて実施。両部門にエントリーすることも可能としている。
 A部門では現庁舎跡地の利活用に向け、▽事業コンセプト▽事業スキーム▽地域経済の活性化につながる用途や実現可能性▽定期借地の可能性▽施設の規模・高さ▽必要な事業者公募の期間-などで意見を聞く。併せて、新庁舎や現庁舎跡地周辺の街づくりに向け、開発の機運があるエリア、規制緩和や支援制度など市側に対応を求める点についても提案を求める。
 B部門では、▽所有する土地や建物を活用した街づくりの計画▽事業コンセプト▽事業スキーム▽導入予定の用途・実現可能性▽施設規模・高さ▽事業を行う上での課題-などを聞き取る。
 建て替え事業では新たな本庁舎と中央区役所庁舎を分けて整備。28年度の着工を想定し、新庁舎への機能移転が完了するのは32年度ごろを見込む。現庁舎の解体には2年程度かかるとされ、現庁舎跡地の利活用が始動するのは早くても34年度ごろとなる。
 現庁舎の周辺などの中心市街地の容積率は400~600%に指定されている。市の庁舎周辺まちづくり課の担当者は「新庁舎整備に併せ、インパクトの強い民間投資を促進していきたい」と話し、市が取り組む中心市街地の老朽化したビルの建て替え促進施策「まちなか再生プロジェクト」との連動も図る。




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2024年10月28日月曜日

回転窓/漬け物文化の継承

 食材や漬け方などによって種類豊富な漬物は、世界に目を向けると数千年の歴史があるという▼古代中国では万里の長城を築くのに酢漬けの野菜が作業員たちを支えたらしい。欧州でも酢とハチミツに漬けて塩を振ったキャベツほど、消化不良に効くものはないとするローマ時代の記述が残る。そうした古くから重宝されてきた漬物の歴史は『「食」の図書館 ピクルスと漬け物の歴史』(ジャン・デイヴィソン著、甲斐理恵子訳、原書房)に詳しい▼今年6月、日本で漬物の製造販売が全面的に営業許可制へ移行した。改正食品衛生法(2021年施行)の経過措置期間を経て完全実施となり、生産者はHACCP(国際的な食品衛生管理基準)への対応も義務づけられた▼例えば自家製の漬物を道の駅などに出荷する農家も相応の設備投資が必要となる。このため手作り漬物の商品が無くなる危機とメディアで報じられている▼法改正は12年に起きたハクサイの浅漬けが原因の集団食中毒などが背景にある。食の安全を守るのは絶対だが、日本の食文化に欠かせない地域の味がこれからも引き継がれていく道筋を探ってほしい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168339
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凜/ユアテック・中野渡環さん、鍛錬重ね夢の舞台へ

 血のにじむような努力で磨き上げた技を競う「技能五輪」。高校時代から全国大会への出場を夢に見ていた。入社は2023年春。常に自分と向き合い鍛錬の日々を過ごしている。ものづくりに心を引かれたのはお姉さんの影響が大きかったという。進学先の高校を決める時、姉の背中を追うように「地元にある工業高校の電気科を迷わず選んだ」。
 電気の安定供給と安全を担う電気配線に挑む電工職種。「つらいことも多かったが乗り越えたから今の自分がある」。高校2年生の時に県大会で1位になった。集大成で挑んだ東北大会は3位という好成績だけでなく、卒業後の進路を決めるきっかけにもなった。
 大会の審査員を務めていたのは現在の上司。ユアテックに入社すれば「レベルの高い技能五輪全国大会に挑戦できる」と知った。入社してから約1年、鍛錬に次ぐ鍛錬の日々は大変なことも多かった。それだけに女性初の技能五輪出場選手に選抜された時は「うれしくてたまらなかった」。
 与えられた施工条件に従い鍛え上げた技と創意工夫で配線作業を完了する。競技時間は5時間を超え、手が震えるほどの緊張も味わう。「ミスが出るとペースを崩してしまう」のが弱点と自己分析。自分を信じ仲間と一緒に練習し「29日の社内大会で結果を残して全国大会に弾みをつけたい」と話す。夢の舞台は11月に愛知で幕を開ける。
 ユアテックエンジニアリング本部電気設備部施工センター(なかのわたり・たまき)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168329
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士会連合会/鹿児島市で全国大会開く、建築士が築く未来へ議論

 日本建築士会連合会(士会連合会、古谷誠章会長)は25日、鹿児島市の宝山ホールで第66回建築士会全国大会(鹿児島大会)を開いた=写真。「もえよ! 建築維新~たぎる地で築くみらい~」を大会のテーマに掲げ、建築士が築く未来について若手らとともに意見を交わした。災害対応や空き家対策、景観まちづくりなど多彩なセッションも行われた。
 大会式典では、開催県の鹿児島県建築士会の西薗幸弘会長が「大会でさまざまな出会いが生まれ、交流を通して結集した英知が活動の活性化につながると信じている」とあいさつ。古谷会長は「安全・安心な生活環境を築くことができるよう課題を共有し、フィードバックして次世代に継承できるようにすることが最大の使命だ。絶好の機会になると確信している。停滞する今日を打開する力強い未来を見いだしたい」と語った。
 式典に先立って、「建築維新ではじまる未来」と題した記念フォーラムを実施した。鹿児島県建築士会の鯵坂徹理事がコーディネーターを務め、作家で国文学者の林望氏とアラップのシニア構造エンジニアである後藤一真氏、建築家の大西麻貴氏が議論した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168337
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熊本県/第2期熊本県水道ビジョン案、耐震化計画の策定率100%目標

 熊本県は、水道事業が持続して安全で良質な水道水を安定的に供給するために必要な方向性などを示すための「第2期熊本県水道ビジョン」の案をまとめた。基幹管路の耐震化などを急ぎ、2034年度に耐震化計画の策定率で100%を目指す。更新投資額は20~74年度の年平均で223億1600万円と試算。アセットマネジメントの実施率を100%にし、計画的な更新を目指す。案への意見募集を経て年度内にビジョンを決定する。
 案では、第1期ビジョンの基本方針である▽安全・安心な水道▽災害などに強い強靱な水道▽将来も持続する水道-を継続。24~33年度の10年間で取り組む対応策などをまとめた。
 安全・安心関連では、水安全計画の策定率100%を目標に掲げる。
 強靱な水道関連では、県内の基幹管路の耐震適合率は22年度時点で31・2%と全国平均42・3%を下回っており、耐震化の遅れを強調。上下水道一体の水道施設の耐震化を推進するため、耐震化計画の策定率を今後5年間で60%と設定した。
 持続する水道では、県水道広域化推進プランに基づき、地域区分を▽有明▽熊本中央▽阿蘇▽環不知火海▽芦北▽球磨-に設定。各地域の年平均の更新投資額を▽有明15億9500万円▽熊本中央116億3000万円▽阿蘇13億2300万円▽環不知火海62億0200万円▽芦北3億9000万円▽球磨11億7600万円-と試算。施設の維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委託する「ウオーターPPP」をはじめとした官民連携事業の検討を進める。




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静岡市/アリーナ整備基本計画案公表ホテル併設も視野、概算事業費300億円

 静岡市は、JR東静岡駅北口市有地に計画しているアリーナの基本計画案を明らかにした。施設規模は8000席以上、事業費は概算で約300億円、事業方式はPFI手法のBT(建設・移管)+コンセッション(公共施設等運営権)方式とした。順調に進めば2025~26年度に事業者の公募・選定、26~29年度に設計・建設を進め30年春のオープンを目指す。
 25日の会見で難波喬司市長が説明した。アリーナは最高峰のプロスポーツの試合や大規模なコンサートが開催可能な多目的に利用できる施設とする。商業施設やホテルの併設も考えている。JR東静岡駅と静岡鉄道長沼駅とペデストリアンデッキで直結し、地上部の混雑や渋滞を避ける。ペデストリアンデッキは市が整備する。
 防災機能では、アリーナ内に大型トラックが直接入ることができる搬入口やコンクリート製の床を設け、災害時は緊急物資集積所や避難所として活用する。セントラルキッチンも備えており、避難者へ飲食を提供する。
 東静岡駅周辺では新県立中央図書館の整備も計画。既存のグランシップやこれらの施設が連携することで相乗効果を生み出し、アリーナを核としたまちづくりを一体的に進める。
 市は25日に開始した市民意見の募集を踏まえ、本年度中に基本計画を策定する。基本計画策定支援業務は山下PCMが担当。




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ジョンソンコントロールズ/DC向けワンストップサービス強化、日本独自の商流に照準

 ジョンソンコントロールズがデータセンター(DC)向けサービスを強化している。社会の急速なデジタル化に伴う整備需要の急拡大を受け、2023年10月にデータセンターソリューション事業部を新設。受注窓口を一本化し、設備設計・施工の技術者を集約して全社体制で対応する。「テクノロジーコントラクティング」と呼ぶ受注形態を強みに、DCの立案から保守運用まで事業全般を支えるワンストップサービスを展開していく。
 DC事業では▽システム設計やコスト見積もりなどコンサルティング▽詳細設計や技術評価▽建設▽システムの試運転や調整▽定期点検やアップグレード-などを一貫して提供。吉田勝彦執行役員データセンターソリューション事業部長は日本の商流に合わせたこの受注形態を、分離発注が一般的な海外に比べた際の強みと強調する。
 その上で「世界水準の先進テクノロジー」(吉田氏)と自負する省人化や省エネ化のソリューションを打ち出す。主力製品のビル設備統合監視システム「Metasys」(メタシス)シリーズや、従来機器よりも78%抑えたエネルギーで同じ冷却効果を発揮できるDC向けターボ冷凍機「YORK」、24時間遠隔監視サービスなどの組み合わせを提案。同社のDC新築受注高は23年度までの10年間で約10倍伸びており、さらなる需要の取り込みを図る。
 DCは大型化とサーバーをより多く格納する高密度化が進み、エネルギー消費の効率化や機器類の廃熱対策、事故に備えた冗長性の確保がより重要になっている。標準的な耐用年数は20~30年程度。日本ではITバブル期の00年代に造られた施設が老朽化し手狭になりつつある。
 同社によるとDCは通常、将来の拡張を見越した規模を確保するが、近年は官民のDX推進によるクラウドサービスの利用拡大などで「建設時の予想をはるかに超える早さ」(担当者)で需要が増大。今後5年間はDC市場の拡大が続くと見込んでいる。




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2024年10月25日金曜日

回転窓/今こそ下支えの時期

 帝国データバンクが生鮮食料品や光熱費などの全国平均価格を踏まえて指数化した「カレーライス物価」を発表している。生鮮食品などの値上げによる食卓への影響を調べるもの。10日に発表した8月調査では5カ月連続で最高値を更新し348円となった▼物価高は企業業績にも暗い影を落とす。同社がまとめた2024年度上半期(4~9月期)の倒産件数は、前年同期比18・6%増の4990件。このうち物価高倒産は472件で過去最多を大幅に更新した▼大規模開発で計画やスケジュールを見直す動きが出るなど民間開発にも影響が出ている。新設住宅着工の減速などの懸念も。建設需要の下支えが必要な時期に入ってきた▼インフラを取り巻く状況を見ると、まずは相次ぐ自然災害への対応が欠かせない。自動運転を見据えたインフラの高度化などやるべきことが山積み▼かつて景気悪化時に建設需要が落ち込み、他産業に人が流れていった。あの時に人をつなぎ留めていたら建設業の担い手の状況は違っていただろう。27日に衆院選が投開票される。やるべきことを実行する政治へ主権者たる国民が導いていきたい。




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群馬県/県庁~前橋駅都市空間デザインコンペ公告、11月22日まで応募受付

 群馬県は、前橋市の前橋駅から県庁まで約1・5キロの通りなどを対象にデザインコンペを行う。「世界に誇れる持続的な県都の発展を目指し、革新的な都市機能の充実を図る未来のまちづくり」をテーマに、まちのトータルデザインを提案してもらう。老舗旅館のリノベーションなど民間主導のまちづくりが進む前橋のメインストリートに活気を呼び込み、住民や観光客が触れ合える都市空間の創出を目指す。最優秀作品に賞金2500万円、1次審査通過作品4者に各100万円を贈る。
 県は24日、「前橋クリエイティブシティ 県庁~前橋駅 都市空間デザイン 国際コンペ」を公告した。単体企業またはグループが参加できる。応募登録書類を11月22日まで、参加表明書と1次審査の提案書を12月13日までウェブサイトのフォーム記入により受け付ける。同下旬に書類審査を行い、4者を選定。2次審査は提案書を2025年3月上旬まで受け付け、同3月中旬に公開プレゼンテーションを実施し、同3月下旬に最優秀作品を発表する。
 前橋駅から県庁までの通りのほか、県庁前の県民広場(6400平方メートル)の空間デザインを任せる。地域資源を活用して前橋独自の文化が反映された魅力的な空間を生み出し、公共交通などの利便性も向上させる。クリエイティブ人材と協力して都市景観を創造。環境に優しい交通システムを整備し、安全で快適な生活環境も実現していく。




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堺市/百舌鳥古墳群整備基本計画第2期案、大筋で了承

 堺市は市内に点在する百舌鳥古墳群で世界遺産に登録済みの寺山南山古墳(西区上野芝町1)、収塚古墳(堺区百舌鳥夕雲町2)の保存と景観整備に向けた計画案をまとめた。計画期間は2025~34年度。23日に市内で開いた堺市百舌鳥古墳群等史跡保存整備委員会で「史跡百舌鳥古墳群整備基本計画(第2期)(案)」として提示し、大筋で了承を得た。
 計画案ではまず両古墳の墳丘上の樹木整理を重点的に行い、古墳の稜線(りょうせん)を明確にする。特に寺山南山古墳は墳丘の形状が曖昧になっており、盛り土で墳丘を復元した後、地被類で保護する。墳丘上には埴輪(はにわ)や葺石を原寸大写真で復元展示し、訪問者が古墳時代の姿を体感できるような仕掛けも取り入れる。早ければ25年度に基本設計を行う。全体としては既存の解説板更新や整備済み周遊路の活用などを通じ、訪問者が古墳群の全体像をより深く理解できる環境を整える。
 史跡百舌鳥古墳群保存整備計画は堺市の百舌鳥古墳群(対象古墳は全44基)を適切に保存し、後世に継承することを目的に18年に策定。第1期計画では御廟表塚古墳の保存・整備を実施した。3期以降の対象古墳は今後検討する。
 23日の会合では委員から「古墳の保存と同時に地域との連携を重視するべきだ」との意見が相次ぎ、市は今後の整備段階で具体策を検討する方針を示した。上田一也歴史遺産活用部長は「第2期計画は古墳群を保存し活用する重要な取り組みだ。市民の意見も踏まえ、地域に愛される史跡にしたい」と話した。計画案は25年1月に市民意見募集を行った上で同3月の策定を目指す。




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大成建設ら/建設ロボの上下階移動システム構築、25年秋までに専用エレベーター製作

 大成建設と三成研機(埼玉県日高市、野田裕二社長)は、建築現場で活用する建設ロボットの上下階間移動システム「T-MoveX」を構築した。現場での実装に向け、建設ロボット専用の仮設エレベーター「ROBOELE(ロボエレ)」と、ドローンの移動専用シャフト「Dシャフト」の設計、製作にこのほど着手。ロボエレは2025年秋までに製作し、実証を経て26年度には実プロジェクトでの本格運用を目指す。建物の上下階を自由自在にロボットやドローンが移動できる現場環境を創出し、施工の効率化を図る。
 ロボエレは汎用(はんよう)型の仮設エレベーター(定員3人)を改良して製作する。建設ロボット専用の省スペース(幅1500ミリ×奥行き2250ミリ、最小設置開口1950ミリ×2450ミリ)に対応。標準的な超高層ビルの仮設エレベーター設置開口の余り部分や、最小の駄目穴寸法で独立して設置できるようにする。
 さまざまな通信機能を用いて建設ロボットとロボエレを連携。ロボエレは建設ロボットが発信する呼び出し信号を受信すると、呼び出し階に移動し自動で扉を開閉し、ロボットを載せて指定階へ移動する。
 ドローンの現場内移動では、ロボエレ用の開口にDシャフト(幅1200ミリ×奥行き1200ミリ程度)を併設する活用方法も検証。スムーズな上下階間移動を後押しする。
 大成建設によると、大規模現場に設置された大型仮設エレベーターが資材の搬出入や作業員らの移動でほぼ稼働し続けており、建設ロボットとの共用は難しく、建設ロボットの一度の作業範囲は同一のフロアに限定されていた。今後は新たに構築したシステムを普及展開することで、建設ロボットの活用範囲を拡大。現場の生産性向上を柱とするDX構想の実現に取り組む。




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2024年10月24日木曜日

回転窓/東京メトロが上場

 東京メトロの銀座線は1927年、浅草~上野間で東洋初の地下鉄として開業した。それから90余年、地下鉄は通勤通学や観光なども含めた都市の日常に欠かせない交通手段となっている。国土交通省の公表資料によると、東京の地下鉄利用者数(2019年時点)は1日平均約1038万人と世界トップクラス▼以前に利用した仏パリの地下鉄は薄暗く、どこか安心できない雰囲気だった。これに比べて日本の地下鉄は駅構内や車内が明るく設備も充実し、ベビーカーの貸し出しを行う駅もある▼東京メトロが23日に株式上場を果たし、日本橋兜町の東京証券取引所でセレモニーを行った。大株主の国と東京都が保有する全株式の半分を売却するため、2億9050万株が市場に出回る▼株の売却益について国は復興財源確保法に基づき、東日本大震災で計上した復興債の償還費用に充てる方針。一方で都は使途を明言していない▼国際競争力強化とアクセス向上を目的に有楽町線(豊洲~住吉間)と南北線(品川~白金高輪間)の延伸工事が進められている。東京の交通利便性が一層高まる。30年代半ばの開業を楽しみにしよう。




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日港連会員/97%が4週8休達成も時間外労働はやや増加、23年度実態調査結果

 日本港湾空港建設協会連合会(日港連、津田修一会長)は会員企業を対象とした2024年度「事業実態調査」の結果を公表した。23年度に完了した港湾・空港工事を対象に調べ、97%が4週8休を達成できたと回答した。一方で、時間外労働時間を法定内に収めた割合は半分に満たず、前年度より減少。上限規制が適用される前の実績値ではあるものの、厳しい状況が明白になった。
 調査は7月9日~8月9日に全会員1034社を対象に実施した。調査票を配布し、23年度の現場の休日確保や残業状況などを聴取。36%に当たる374社から回答を得た。
 23年度に完了した工事のうち、4週8休以上の達成状況は97・3%に達した。達成できなかった事業者からは「適正な工期、余裕のある工期の設定」を求める声が目立った。
 23年度の工事に携わった職員のうち、残業時間が多かった上位2人を各会員に抽出してもらい、結果を集計した。法定の月間45時間以内に収められたのは39・1%にとどまった。21年度から43・7%、43・3%と推移し、少しずつ悪化している。年間360時間以内は41・1%。21年度の47・8%、22年度の42・9%に続き、減少傾向が続いている。
 残業が多い理由(回答二つまでの複数選択)は「発注者対応の書類が多い」が全体の28・2%(前年度比5・8ポイント増)を占め、最も多かった。2番目以降は「土日を閉所するための残業」の16・8%(3・7ポイント増)、「海象把握・潮待ち作業など」の16・0%(新規項目)が続いた。
 工期については40・5%が「変更があった」と回答した。要因は「工種や項目の追加変更」が最多だった。延伸による影響は「特に問題なかった」が53・2%を占めた。一方で「予定外の現場管理費が発生し、利益が減少した」との回答も21・0%見られた。
 23年度の港湾工事から適用が原則化されたBIM/CIMへの対応状況も調べた。147社のうち、27・2%が「義務項目、推奨項目ともに対応可能」、38・1%が「義務項目のみ対応可能」と回答。ただ「両項目ともに対応不可能」が9・5%あり、「よくわからない」との回答も25・2%を占めた。
 BIM/CIMの適用に必要な条件も同時に調査した。「設計図書としての3次元モデルの提供」の34・9%が最も多く「人的リソースへの費用負担」が18・8%で続いた。




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学研北生駒駅北区画整理(奈良県生駒市)、12月にも業務代行予定者公募/準備組合

 奈良県生駒市の近鉄学研北生駒駅北側で土地区画整理事業を計画している準備組合は、12月にも業務代行予定者の公募手続きを始める。森林や農地などが広がる約6・1ヘクタールを開発し、商業・業務や住宅、宿泊施設の立地を目指す。本年度内に事業者を決め、具体的な事業計画を立案する。事前に募集した立地検討企業には10社がエントリーしており、順調にいけば2025年度中に本組合に移行する見通しだ。
 同駅は奈良先端科学技術大学院大学や高山サイエンスプラザ、民間企業の研究施設などが立地する関西文化学術研究都市の高山地区に近く、市の第6次総合計画では「地域拠点」に位置付け、商業やサービス、交流の拠点づくりを進めている。
 対象エリアは市街化調整区域。組合施行による土地区画整理事業を計画し、多様な機能を集積して関西文化学術研究都市の高山地区の玄関口にふさわしいまちづくりを進める。6月に同駅北土地区画整理準備組合が発足した。
 計画では区域内に駅前広場や都市計画道路、公園を整備するほか、宅地造成を行い、商業・業務施設や宿泊施設、住宅などを誘致する。
 企業の立地動向やニーズでアドバイスを受ける立地検討企業には10社がエントリー。都市型ホテルやスーパーマーケット、専門店や飲食店などが入る複合施設、コワーキングスペース、医療施設の提案があった。現在は随時募集している。
 業務代行予定者の公募は12月ごろを予定し、事業提案書を受け付けた後、準備組合の役員や学識者、市の担当者らによる審査委員会が提案を評価。プレゼンテーションの結果などを踏まえ、業務代行予定者の候補を選定する。その後、準備組合総会を開き、正式決定する。
 25年度は具体的な事業計画を検討し、地権者の本同意を得て、本組合の設立認可を申請する。設立後、業務代行契約を締結し、換地設計や造成、基盤整備の実施設計を進める。
 事業化検討アドバイザーは近鉄不動産、コンサルタントは昭和が担当。市は関連する都市計画の変更手続きを進める。




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三菱地所設計ら/容積充足率マップを試験公開/ウェブで誰でも利用可

 三菱地所設計とリモート・センシング技術センター(RESTEC、池田要理事長)は、容積率の充足状況を地図上で確認できる「容積充足率マップ」の試験公開を始めた。衛星リモートセンシング技術を活用して既存建物の容積率を推定することで、現況建物の容積率を指定容積率で割った「容積充足率」を広範囲に推定して可視化する。土地活用やまちづくりの基礎資料として用いることを想定している。
 特設サイト(https://www.mjd.co.jp/remote-sensing/)から誰でも閲覧できる。容積の充足率と、開発後の推定床価格といった各種パラメーターを重ねることで、開発ポテンシャルを推定するような活用をイメージしている。
 両者は、衛星リモートセンシング技術を活用したまちづくりに関する研究を進めており、同マップが研究成果の初弾となる。同システムのさらなる発展と普及により、土地活用やまちづくりの新たな可能性を広げることが狙い。都市を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しつつ、開発用地の調査からエリアマネジメントまでの一貫したコンサルティングを提供することを目指す。




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大林組/建設資材の循環利用推進開始、データプラットフォーム活用

 大林組は、仏アップサイクリアが開発した資源循環データプラットフォーム「myUpcyclea(マイアップサイクリア)」を活用し、建設資材の循環利用を推進する取り組みを始めた。建設資材の環境性能や、建設解体資材のリユース(再使用)可能性を可視化。解体現場から供給可能な資材の情報と、新築現場の需要情報、リユースにより得られる各種効果の指標をmyUpcyclea上に集約し、新築現場関係者に建設資材の循環利用を促す。導入を決めた日本企業は大林組が初めてという。
 myUpcycleaは、建設資材のリユースを推進していくためにアップサイクリアが開発。世界で300社以上の利用実績がある。
 建設資材の環境性能情報に基づき、二酸化炭素(CO2)排出量や水使用量、建設資材の循環性、安全性などを比較して、リユースによる環境負荷削減効果を可視化。建設資材のトレーサビリティー(追跡可能性)や品質状況といった建物全体のライフ・サイクル・マネジメントの状況を数値データとして生成・可視化・記録する。
 myUpcycleaに幅広く蓄積された建設資材の環境性能情報を活用し、建物のライフ・サイクル全体をカバー。建設資材の循環利用を実現する。解体現場で生じるリユース可能な建設資材の供給情報と新築工事現場の需要情報をマッチさせるAI機能も搭載している。
 大林組は9月~2025年3月に建設資材のデータ入力、各種環境データの数値化や活用、資材の環境情報データベース構築、外部システムとの連携など、myUpcycleaを活用した各種機能実証を行う。同社の解体現場と新築現場(技術研究所新実験棟)でmyUpcycleaの適用拡大に向けた課題抽出と解決策の検討を進める。同4月以降、myUpcycleaの適用現場数を増ややす。
 同社は今後、取り組みで得た知見を生かし、サプライチェーン(供給網)をはじめ、さまざまな企業や団体と連携を図る。建設資材のリユース活性化を積極的に推進する。




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2024年10月23日水曜日

回転窓/ぐりぐらのような絵本をずっと

 青と赤の帽子をかぶった双子の野ねずみが活躍する絵本シリーズの「ぐりとぐら」。食事の大切さや仲間をいたわる気持ちなどを教えてくれ、「ぐりぐら」の愛称で多くの人たちに読み継がれてきた▼その作者の中川李枝子さんが先週亡くなられた。作品の発表は1963年。挿絵を担当した妹の山脇百合子さんは一昨年に他界され、相次ぐ訃報に悲しみに暮れる方もおられよう。子どもたちに読み聞かせる代表作品の一つとも言え、幼少期の情操教育に貢献されてきたお二人に感謝の気持ちを伝えたい▼経済産業省が「関係者から指摘された書店活性化のための課題(案)」に対する一般意見を来月4日まで受け付けている。書店を巡る課題を整理し、客数の減少、いわゆる「ネット書店」との競合などの課題を挙げている▼同省は集まった意見を踏まえて対応を検討し、課題は民間の関係者とも共有する方針。閉店や退店の目立つ書店の再生への一手に注目したい▼書店、図書館、インターネット…。絵本を手にする場所や手段は変われど、作者がその作品に込めた思いは変わらない。心に残る絵本に出会う機会を広げてほしい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168172
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東京都/下水道施設の耐水化をレベルアップ、高潮や複合災害に対応

 東京都が下水を処理する水再生センターやポンプ所の耐水機能強化に取り組んでいる。高潮や複合災害に伴う洪水を想定。必要な高さの止水板を配置するほか、換気口の位置も上げる。下水処理機能の消失による経済活動の停滞や衛生環境の悪化を防ぐ。都は防災対策のレベルを上げる「TOKYO強靱化プロジェクト」で、全110カ所の下水道施設のうち、2030年までに40カ所、30年代までに残り70カ所の施設で耐水化する目標を掲げている。
 水再生センターは下水処理を行う施設。ポンプ所は自然流下した下水をくみ上げ、同センターに送水するほか、雨水を揚水し川や海などに放流する機能を持つ。都内には同センターが20カ所、ポンプ所は90カ所設置している。
 都は下水道施設の浸水原因として、これまで主に津波を想定。非常時には防水扉や止水板を建物入り口などの開口部に設置してきた。今後は津波に加え、高潮や複合災害による、より高い水位の洪水に対応する。止水板や換気口の高さの引き上げで対応できない場合は施設の改築のタイミングで対応する。「改築時に、例えばポンプの電気設備を2階に上げるなど根本的に再構築する」(下水道局担当者)。
 災害ごとに対策高も設定。津波は、首都直下地震によって発生する最大高さ(東京湾平均海面〈TP〉プラス2・63メートル)に対応する。TPプラス3・6666~4・866メートルの高潮による浸水深にも備える。河川洪水では、荒川など国直轄河川で国土交通省がシミュレーションした浸水深(年超過確率200分の1)に対応。都管理河川は00年9月に発生した東海豪雨に伴う洪水(年超過確率100分の1以下)を想定し対策を急ぐ。
 同センターとポンプ所は、立地場所や築年数などによって対策が異なる。下水道局では、23年度から施設の調査設計を続けている。「個々の施設でどのくらいの規模の止水板が必要だとか、ダクトをどのくらい上げないといけないかなどを調べている。工事に入る時期は具体的には決まっていない」(下水道局担当者)。
 都は引き続き調査を続け、具体的な対策を導き出す考えだ。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168179
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丸藤シートパイル/ボトムアップ型で業務改善、非効率なフロー見直し時間削減へ

 丸藤シートパイルがボトムアップ型の業務改善を加速している。業務の標準化から取り組みを本格化。取引先などによってばらつきが生じてしまう部分を洗い出しつつ、ERP(統合基幹業務システム)との連携などを進め、全体を効率化する。非効率な業務フローなどを改善し、意識改革も進めていく試み。事業量の多い関東エリアから浸透させて、成功事例を全国に拡大する。将来的には取引先の協力を得ながら取り組みを広げ、サプライチェーン(供給網)全体の円滑化を目指す。
 同社は、2021年度に業務改革グループを設置。システム部門との連携をより深めて実効性とスピード感を上げていくために、同グループを業務改革システム部内の部署に位置付ける形に組織改編していた。
 例えば関東エリアでは、請求実務の担当者など現業部門の実務担当者と密に連携しながら、改善可能な手続きなどを洗い出して、取り組みを広げている。紙での確認が残っている情報共有プロセスの改善などデジタル化を推進。4月以降、数千時間単位の業務時間削減効果が出ているという。
 地方で効率化できている事例も積極的に取り入れている。「今までのやり方を変えたい」という問い合わせや提案が寄せられるようになり、意識改革につながってきているという。リスク管理との兼ね合いを踏まえつつ、改善を積み重ねていく。24年度から3カ年を対象とする中期経営計画期間中に、数万時間規模での業務時間削減を目標に掲げる。
 仕入れ先や協力会社との間で電話やFAXによるやりとりが残っている部分もある。メールなどへの転換から取り組み、将来的にシステム連携を目指す方向だ。同グループの戸井由美子グループ長は「社員による業務改善が自立・自走する形になって部署がなくなるのがゴール。ライフ・ワーク・バランスの推進につなげたい」、戸田早紀氏は「雑談から始まるような相談にも耳を傾けて標準化や改善を広げたい」と意気込む。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168163
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2024年10月22日火曜日

回転窓/鳥取の元気なお年寄り

 スポーツや芸術の秋。若者らに負けまいと、高齢者を中心としたイベントも各地で行われている▼主に60歳以上の人たちのスポーツと文化の祭典「全国健康福祉祭(愛称=ねんりんピック)」が鳥取県で開催中だ。交流大会ではテニスやサッカー、ゲートボール、囲碁、将棋、健康マージャンなど計29種目を実施。会期の22日まで県内外から集まった選手らが競技やイベントを通して交流を深めている▼数ある競技で目を引いたのは、初の正式種目となったeスポーツ。鳥取大会の公式サイトによると、和太鼓を模したリズムゲーム「太鼓の達人」で課題曲の中から各自1曲を選び、3人一組のチームで得点を競う。境港市の交流センターを舞台に、日頃鍛えたリズム感とバチさばきを披露した▼元気なお年寄りが増えるのは良いことだが、少子高齢化による人口減少の問題は深刻さが増す。住民基本台帳ベース(1月1日現在)で人口が少ない都道府県別トップは鳥取県。次いで島根県が続き、山陰地域の低迷が目立つ▼鳥取県出身で初の首相は、地方創生を政策の柱に。地域社会・経済に活力を取り戻す手腕に期待が集まる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168145
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国交省・塩見英之総合政策局長/持続的なインフラ整備・維持管理へ、施策の効果発信も

 7月に就任した国土交通省の塩見英之総合政策局長が日刊建設工業新聞社らの取材に応じた=写真。省内の総合調整を担う局として「各局の政策の底上げをしつつ、より高い水準を目指してもらえるような働き掛けをしていきたい」と抱負を語った。社会資本整備重点計画の新たな柱に「建設事業者や自治体技術職員の持続可能性の確保」を盛り込む考えも示した。担い手不足が顕在化する中で、インフラを持続的に整備・維持管理していくための政策を強化する方針だ。
 国のインフラ整備の指針を示す「社会資本整備重点計画」は、2025年度で現行の計画期間が終了する。次期計画の検討に当たっては、人口減少などを踏まえ「インフラを造るだけでなく、造り直すという視点も重要になる」との見通しを説明した。半導体工場など生産拠点の国内回帰傾向が強まる中で、こうした拠点へのアクセス性を高める「経済成長に寄与するインフラ」の整備にも意欲を示した。
 国土強靱化政策の推進に向け、インフラ整備を担う建設業との連携を強化していく方針を示した。計画の規模や工期について意見できるようにして「事業者側が計画的に準備を進め、見通しを持って事業が執行できるような体制を作りたい」と説明した。施策の継続には国民の理解も不可欠であるとして、施策の効果や重要性などの情報発信に力を入れる考えを示した。
 複数の自治体が連携してインフラを管理したり、一つの自治体が部署を横断して進めたりする「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の取り組みも加速させる。事業の全国展開に向け、25年度にも群マネの検討手引を策定する方向だ。自治体間の連携だけでなく「民間事業者に維持管理に参画してもらう視点も大事だ」と指摘し、具体策を今後議論していく考えも明らかにした。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168149
via 日刊建設工業新聞

高知県/高知龍馬空港新ターミナルビル(南国市)計画修正、整備面積4001平米に

 高知県が高知龍馬空港(南国市久枝58)の新ターミナルビルの整備内容の見直しを明らかにした。現ターミナル南東側に国内線、国際線共用となる新棟の建設や現ターミナルの一部改修を計画しているもので、整備面積を当初計画から625平方メートル増やし、4001平方メートル(新設3091平方メートル、改修910平方メートル)とする。整備費は19億4800万円から36億5400万円に増える。
 設計を進める中で、インバウンド観光の要となる施設として搭乗待合室やチケットロビーの拡充、円滑な審査や検査機器の大型化を見据えたスペースの確保などが必要と判断した。9月に開いた高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議(会長・井上浩之副知事)の第10回会合に修正案を示し、了承された。
 整備内容の検討に時間を要したことや計画変更に伴う面積が増加したことに加え、現在の標準工期を考慮すると施設完成は26年度中となる見通しという。新棟の建設工事(工期12カ月)は25年度に県、既存ビルの改修工事(同6カ月)は26年度に高知空港ビル会社が発注する予定だ。27年度の全面供用開始を目指す。基本・実施設計は日本空港コンサルタンツ・松田平田設計・MA設計事務所JVが担当。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168148
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2024年10月21日月曜日

長野県/森泉湯川発電所(御代田町)が完成、設計・施工はイビデンエンジJV

 長野県が湯川ダム(御代田町)に整備していた「森泉湯川発電所」が完成した。佐久地域初の県営水力発電所で、ダムの落差を有効活用した「横軸フランシス水車」で発電する。設計・施工はイビデンエンジニアリング・東洋設計JVが担当した。18日に同町内で竣工式を開き、関係者らがテープカットとくす玉開披で無事完成を祝った。
 発電所の最大出力は151キロワットで、年間発電量は約190世帯分。最大有効落差は26・46メートル。ダムの利水放流バルブの水圧管を分岐して発電所に導水する形のため、ダム自体は加工せずに本来の治水・利水機能や安全性を確保した。発電所の建屋はダムや周囲の岩石と調和したデザイン。水車発電機は御代田町の町章をイメージした配色とした。
 非常用コンセントを配置し、大規模災害などで周辺地域が停電しても発電所を単独運転できる構造になっている。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168108
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回転窓/「働きたい」改革へ

 「働き方改革があるなら、働きたい改革があってもいい」。建設業関係者からこの言葉を聞いたのは何年前になるだろう。時間の制約が厳しくなり過ぎると、仕事への意欲が低下しかねない。そう心配する声であった▼働き方改革は労働時間削減だけが目的ではない。多様な働き方を選択でき、働く人がより良い将来展望を持てるようになることが重要だ▼現状はどうか。労働時間や休日をきちんと守らなければならない時代に、成長意欲の高い人が短期間で圧倒的な経験を積みたいなどと願っても、会社はそれを許容してあげられない「逆ブラック」な状態かも--。マーケティング支援会社、トライバルメディアハウスの池田紀行社長は自著『自分を育てる「働き方」ノート』(WAVE出版)でそのように指摘する▼「仕事は超効率的に成果を出すアウトプット時間」「自己啓発は仕事で最大効果を出すための戦闘力を上げる時間」と池田氏。仕事の質を高めるためにまず「量をこなす」ことが必要とも書いている。ものづくりの世界にも通じるものがあろう▼働き方改革を一人一人のモチベーション向上にうまくつなげていきたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168107
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凜/国土交通省東北地方整備局・及川日花梨さん、任された仕事をやり遂げる

 生まれ育った盛岡で東日本大震災を経験した。津波の襲来で変わり果てた沿岸の街。迅速に復旧・復興していく姿を目の当たりにし、インフラ整備に多くの人が関わっていることを知った。大学の就職活動で川と地域との密接な関わり、川を生かしたまちづくりを知って公務員の仕事に興味を持った。「地域のために頑張っている姿がかっこよく見えた。川に関わる仕事がしたい」という思いをかなえるため、入省を決めた。
 子どもたちに「流域治水」の仕組みを知ってもらおうと、若手職員3人で紙芝居を手作りした。緑やピンク、黄など7色のキャラクターが主人公の「流域戦隊チスイレンジャー」だ。治水アイテムを使って変身し、大雨被害から地域を守るヒーロー。ストーリーやイラストを自分たちで考え、1年がかりで仕上げた。4月に始めた読み聞かせ。キラキラした目で興味津々の子どもたちと触れ合った時に「苦労が報われた」と胸が熱くなった。
 公共工事に携わる若手職員のスキルアップになればと、9月に国と県の垣根を越えた現場見学会も企画した。「地域の安全・安心を守るため、広い知識と視野を持ちたい」と決意を新たにする。入省2年目、まだまだ学ぶことは多いがやりがいを感じる日々。「自分の考えが持てるよう勉強して任された仕事をやり遂げ、いつか現場を動かしたい」という思いを秘める。
 国土交通省東北地方整備局北上川下流河川事務所(おいかわ・ひかり)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168112
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福岡県久留米市/西鉄久留米駅周辺整備構想策定へ有識者会議、街づくり像で素案

 福岡県久留米市は17日、有識者でつくる西鉄久留米駅周辺整備構想会議(会長・趙世晨九州大学大学院教授)の初会合を市内で開き、同駅(東町)の半径500メートル圏内を対象とする街づくりの将来像に関する素案を示した。同構想では回遊しやすい交通結節点の形成、周辺国道の交通混雑の解消、地域の価値向上など中長期の方向性を盛り込む予定。2024年度内に会合を2回程度開催し、市民への意見募集を経て、25年6月の構想策定を目指す。
 市の中心部では九州新幹線の開業を機に市庁舎が立地するJR久留米駅周辺などで街の機能更新が進んだ。これに対し中心部東側の一大拠点である西鉄久留米駅の周辺は昭和末期以降、新たな商業施設の建設や既存建物の建て替え、道路の整備といった都市基盤の更新が行われておらず、低未利用地も多く存在する。
 交通結節点としては西鉄久留米駅は九州内の全駅の中でも8番目の乗降客数を誇り、駅前には多くの路線バスが集まる。ただバスと歩行者の交錯が起こりやすく歩行者の安全確保に課題を残すほか、駅周辺の国道(3号、209号、322号)では交通混雑も発生している。
 こうした各種の課題を受けて市は同日に示した構想素案の中に、▽回遊しやすい交通結節点▽心地よく歩ける道路▽持続的なにぎわいの確保▽地域の価値向上-などを基本的な方針として盛り込んだ。
 交通結節機能についてはバス待ちの待合スペースの拡大、持続的なにぎわいの確保に向けては建物の更新などを具体策として挙げている。
 整備構想策定業務はオオバが担当。
 同駅の西口地区では国がバスタプロジェクトの事業展開を検討しており、市もバスタ構想と連動した市街地再開発事業の実施可能性を探っている。施行主体の検討や事業スキームの整理、資金計画の具体化などを行う再開発可能性検証業務はアール・アイ・エーが担当。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168115
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日建設計/「循環型建築」実現へ取り組みスタート、知見集約したカタログ開発へ

 日建設計は、建設廃棄物のアップサイクルなどを取り入れた「循環型建築」の実現に向けた活動を始めた。初弾として建設業界のサーキュラーエコノミー(循環経済)の知見を集約した「サーキュラーアイディアカタログ」を開発する。これまで「負の資産」と捉えられてきた建設廃棄物を、環境的価値と経済的価値の両方を持った「正の資産」へ転換する考えを推進。設計時から分解容易性を考慮するような新たな設計の在り方を提言していく。
 資源枯渇と廃棄物処理の課題解決につなげる狙い。循環型建築を実装するためのデザイン手法に関する「ヒト・モノ・コト」を研究し、集合知化に向けた活動として「サーキュラーデザインコレクティブ」を立ち上げた。目指すべき循環型建築は、▽バナキュラー(全ての部材は地球に還る)▽デザイン・フォー・ディスアセンブリー(設計時から解体後の循環を考える)▽アップサイクリング(廃棄物に命を吹き込む)-という三つの考えに分類して定義付けした。
 サーキュラーアイディアカタログには、アイデアやデザイン手法などのノウハウをまとめていく。循環型建築の事例などを盛り込んだカタログの運用を社内で始めている。実践する社外パートナーを募り、再現性の高い情報を集約し、共創につなげる。長期構想として、カタログを誰もがアクセス可能なデータベースとしてオープンソース化することも見据える。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168116
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東京都立病院機構/陽子線治療施設の整備事業DB方式で着手、30年度に治療開始

 東京都立病院機構が陽子線治療施設の整備事業に着手する。文京区にある駒込病院の敷地内に延べ約4700平方メートルの治療施設を建設し、2030年度中に治療を始める。事業は設計・施工一括(DB)方式で発注。落札者を25年5月に決める。建物の具体的な構造は落札者が設計を進める中で固める。事業の予定総額は185億8098万円(税込み、以下同)を見込んでいる。
 陽子線治療は粒子線治療の一種で、がんの病巣だけに放射線を照射できる。大規模な施設が必要で、多額の整備コストがかかることから、国内で導入しているケースは少なく、都内でも未導入だった。
 都立病院機構は「陽子線治療施設等整備事業」の一般競争入札(WTO対象、総合評価方式)を17日に公告した。現場見学会やサウンディング(対話)などを経て、25年3月24日に事業計画などの提案書を受け付ける。同5月に提案書を審査して落札者を決定する。
 入札には設計や施工、工事監理、陽子線治療装置の調達・設置を行う者などで構成するグループでの参加を求める。建設業務と工事監理業務は、同じ事業者が兼務できない。代表企業には、都の「建設工事等競争入札参加資格」か「物品買い入れ等競争入札参加資格」を保有していることなどを求める。
 陽子線治療施設は駒込病院(本駒込3の18の22)の敷地内北側に位置する駐車場に建設する。高さは10・5メートル以下にすることを求める。治療施設と駒込病院別館3階をつなげる幅2・7メートルの渡り廊下も造る。屋外駐車場や植栽、緑地なども整備する。
 25年5月の落札者決定後は、同6月に基本協定、その後契約を結ぶ。設計と建設期間は民間事業者の提案を基に固める。陽子線治療装置の調達と据え付けは、30年度中の治療開始を念頭に置いたスケジュールを組むことを求める。調達・据え付けから1年間は落札者による保守期間とする。
 事業の予定総額185億8098万円のうち、施設整備に114億3098万円、陽子線治療装置の調達・据え付けに71億5000万円を充てる。
 都は3月に「都立病院粒子線治療施設整備計画」を策定。早ければ30年度に都立病院で粒子線治療施設の運用を始める方針を示していた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168101
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2024年10月18日金曜日

建築へ/佐藤総合計画、「共環域」をキーワードに新たな都市戦略を提案

 佐藤総合計画は、「共に一体となって環境をつくりだす領域」を意味する「共環域」というキーワードで、新しい都市戦略を提案していく。都市にある隙間を生かして、建築が取り巻く周囲の環境と一体となった領域を形成し、大地の循環を生み出すような新たな枠組みづくりを目指す。人口減少が進み、都市の在り方に変化が求められる中、人間と動植物が生き生きと共存できる未来を考えていく。
 1日に東京都墨田区の東京本社で開いた創立79周年イベントで構想を明らかにした。シーズ提案「共環域-大地の循環による都市の未来戦略-」と題して発表し、参加した同社関係者らと意見を交わした。
 鉾岩崇社長は「シーズとは社会に眠っている種だ。社会がより良くなるものを発見して実現することが社会貢献となる」と表明。気候変動の影響に触れた上で、「私たちにできることを真剣に考えないといけない」と強調し、「単体のZEBは多くの実績があるが、単体だけではなく都市やエリア全体で考えることが重要だ。共環域という新しい概念を提案する。大地を介して、建築を取り巻く小さな循環のまとまりとなる」と説明した=図〈1〉参照。
 都市に降り注いだ雨が豊かな土壌や森林を生み出し、流域を形成することで、自然の再興を促していくような循環をイメージしている。ただし、現状では都市の大部分がアスファルトやコンクリートなどの人工物で覆われている。このため、人口減少下で都市に生じている低未利用地などの隙間を活用する方向性を提示。▽都市をはがす▽都市を流域で考える▽都市の隙間をつなぐ-という三つの方法で取り組むことで、共環域を生み出すとした=図〈2〉参照。
 最初の段階では、アスファルトなどの人工物で覆われた表層を取り除く。現状では捨てられている落ち葉や落枝などを露出した大地に供給して、日本由来の土壌である黒土を回復していく。保水性や吸水性を高めた肥沃(ひよく)な土壌にしていくことで、植物の成長と雨水の浸透を促進する。
 さらに流域治水の考え方を都市に持ち込むことを提案。建物と周辺環境が連携しながら小さな流域を作りだし、雨水を循環に組み込んでいく。具体的には、降った雨がゆっくりと時間をかけて流れていくような仕組みを、建物に取り入れる。建物同士が連携して、こうした機能を担うことで都市自体が自然の地形のように振る舞い、生み出した土壌に水を流していくイメージとなる。都市の隙間に水が浸透する土の道を設けることで、都市全体に新たな流域を生み出していく可能性にも言及した。
 こうした取り組みに合わせて、都市に点在する隙間をつなげて都市型の森林を創出する。同社が東京都新宿区の神楽坂地区を対象に考察したところ、直径500メートルの範囲に1461カ所の隙間が存在し、道路などの余白を活用することで、隙間のネットワーク化を図れる可能性があるという。
 同社が設計を手掛けたプロジェクトに、共環域を創出するきっかけになるような事例がある。具体例に挙げたのは、世田谷区立保健医療福祉総合プラザ(東京都世田谷区)とヒューリック両国リバーセンター(東京都墨田区)。
 世田谷区立保健医療福祉総合プラザでは、金網状の雨樋(あまどい)に入った軽石で排水遅延などをもたらす「ジャカゴ樋」を考案するとともに、緑化した各階バルコニーが雨水を一時的に蓄える仕組みを取り入れた。ヒューリック両国リバーセンターでは、水の循環を妨げない形で、隣接する隅田川の水を熱源に利用している。
 同社は共環域が連なる新たな都市再生を、目指すべき未来の都市像の一つとして提案していく。鉾岩社長は「大地の循環による都市の未来戦略はあくまで仮説だ。設計を通して実証してほしい」と呼び掛けた。
 細田雅春代表取締役会長は「道路が整備されることによって都市が発展されてきた。大地を剥がしていく行為がどれだけできるのか、車社会をどう考えていくのかが課題だ」と指摘した。人間の感性に訴えていく重要性にも言及し、「もっと人間の根本的な感性に響くように結び付けていかないと輪が広がっていかない」と述べ、共感を広げていく方向性を示した。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168036
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愛知県国家戦略特区会議/アイティップス(名古屋市)の事業承認、インド建設人材環流

 第20回愛知県国家戦略特別区域会議が16日に開かれ、アイティップス(名古屋市中村区、クマール・ラトネッシュ社長)が実施する「インド建設人材環流プラットフォーム事業」に対する課税の特例措置活用事業などの計画案が承認された。今後、国が認定する予定。同社はインドで建設人材を育成し日本国内に派遣しており、両国の建設業界が抱える課題の解決に向け稼働している職人キャリアアップシステム「oyakata(オヤカタ)」の機能を拡充する。
 承認された計画案は、課税の特例措置活用事業と国家戦略特区支援利子補給金の支給事業。アイティップスの株式を個人が取得した場合に一定額を控除するほか、同社が国指定の金融機関から資金を借り入れる場合に国が利子補給金を支給する。
 「oyakata」は、就職難のインドと人手不足の日本の建設業界を結び付ける。現地での人材育成、人材の能力などの情報公開とマッチング、日本で働く場合のサポートを一貫して行う。同社がインド国内で建設人材を育成している技能訓練校は、7月に経済産業省から「日本式ものづくり学校」に認定された。今後はシステムに日本国内企業とのオンラインマッチング機能を追加し、日本とインドをつなぐ建設人材環流プラットフォームとして提供する。日本国内での生活サポート機能も追加しプラットフォームの価値を高める。
 外国人材を集積することで愛知県に国際的な経済活動拠点を形成する。合わせて日本の職人技術・文化も集積することで、これらを柱とした建設産業の国際競争力強化につなげる。
 クマール社長は「人材不足の問題は深刻。約2億人の若者失業者を抱えるインドと組み、まず愛知県内で新しい解決策をつくり、全国に広げ社会全体の問題を解決したい」と話した。
 同社は、県が建設し今月オープンするスタートアップ拠点「STATION Ai」(名古屋市昭和区)のメンバー。今後、中村区から本社を移転する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168042
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JDCテクノロジー/3Dモデル化事業に注力、発注者理解を促進

 データ処理サービスや測量機器のレンタル販売などを手掛けるJDCテクノロジー(東京都新宿区、安井倫社長)が、2DデータからBIM/CIMの3Dモデルを作成する「3Dモデル化事業」に注力している。ゼネコンや建設コンサルタントから提供される2Dデータを3Dモデル化。さらに時間軸を付与して4Dにすることで発注者などへの理解に役立ててもらう。データの利活用までサポートし、これまで300件以上の実績を持つ。現在、ゼネコンや建設コンサルからの引き合いが増えている。
 データ処理にはモデル作成や点群分析、動画、画像から対象の形状を復元する「SfM」処理などのソフトを使い、2Dの図面やエクセルなどの計画書から3Dデータを作成。施工手順などを映像や3Dモデルで説明し合意形成に役立てる。
 3Dモデル化にはBIMに詳しく施工経験があり、工事内容も理解できる中国やベトナムの海外エンジニアが従事。成果物のチェック体制も強化し、ハイレベルで安定したサービスを提供する。形(外形形状)、大きさ(正確な寸法)と中身(鉄筋、プレストレストコンクリート〈PC〉鋼材など)が把握可能な詳細度400レベルでモデルを作成する。
 安井社長は「日本の顧客に求められるのはスピードだ。海外拠点との時差を利用することで迅速でタイムリーに成果物を出せる」とサービスの強みを話す。国内企業は3Dデータを作ろうとしてもBIMソフトを使えず、CADオペレーターに依頼しても施工経験がないため要求や目的、性能を十分に理解できないケースがあり、生産性が下がるという。
 同社はこれまで国土交通省案件のBIM/CIMの活用工事で300件以上の実績を持つ。点群データ容量の軽量化やデータ分析、データの利活用も受託している。今後、ニーズに合わせて拡大させ中国とベトナムの体制を強化していく。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168034
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日本橋一丁目1・2番地区再開発(中央区)/東京都が組合設立認可、27年度着工へ

 東京都は18日、中央区の日本橋川近くで再開発を計画している「日本橋一丁目1・2番地区市街地再開発組合」の設立を認可する。新たに複数のビルを建設し都心型複合MICE(国際的なイベント)拠点を形成する。総延べ8万平方メートルの規模で、総事業費は1078億円を見込んでいる。2025年度に権利変換計画の認可を取得し、27年度に着工、34年度までに全てのビルを完成する。
 三井不動産と細田協佑社が参加組合員として参画する。細田協佑社は不動産賃貸・管理などを手掛ける会社。再開発の計画地に土地を所有している。和菓子を製造販売する「榮太樓總本鋪」などをグループ会社に抱える。基本・実施設計は日本設計が担当し、事業コンサルタントは都市ぷろ計画事務所が担う。施工者は未定で、「特定業務代行」を利用する予定はない。
 計画地は日本橋1で、地区面積は0・8ヘクタール。東京メトロ日本橋駅の北側に位置する。区道が区域内を東西に貫き、区道の南側にA街区とB街区。区道北側にC街区とD街区を設ける。日本橋川沿いの回遊性を高めるため、地上・地下・デッキレベルの歩行者ネットワークを構築するとともに、広場も整備する。
 A街区に配置する主要施設は地下3階地上25階建てで、高さは約135メートル。店舗や文化体験施設のほか、オフィスなどを設ける。B街区に建設する建物は7階建てで高さ約31メートル。C街区では5階建て高さ約20メートル、D街区では平屋の建物を建設する。総延べ床面積は8万0565平方メートル。
 竣工は、AとB街区が31年度、CとD街区が34年度を予定している。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168044
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2024年10月17日木曜日

兵庫県ら/淡路市でシンポジウム開く、南海トラフに備え防災意識高める

 兵庫県と兵庫県まちづくり技術センターは14日、阪神・淡路大震災30年事業「巨大地震・津波に備えるシンポジウム」(共催・淡路市、洲本市、南あわじ市)を淡路市の淡路夢舞台国際会議場で開いた。2025年1月に迎える震災30年を前に、近い将来発生するとされる南海トラフ巨大地震に備え、いま一度防災意識を高めようと開催。来賓や一般など約200人が参加し、地域防災の在り方などを学んだ。
 冒頭、主催者を代表して服部洋平副知事が「ハード対策などの事前防災を行うことで、被災後の生活再建と経済復旧に早期につなげることができる。県民の命を守るために一人一人が災害に対する正しい知識を身に付け、行政が分かりやすく情報提供していくことが不可欠だ」とあいさつした。
 続いて京都大学防災研究所の森信人教授が「南海トラフ地震に備える」をテーマに基調講演。海溝型地震の特徴を説明する中で「東南海地震は歴史的に100~150年間隔で繰り返し発生し、現在もプレート同士の固着でひずみが蓄積し続けている」と警鐘を鳴らした。地域別の津波被害想定は「湾形から一定程度の判別が可能」とし、東日本大震災では岩手県釜石市の湾口防波堤が防御効果を発揮し、津波高さを低減していたことを紹介。津波から命を守るために「自分がどのような地形の場所にいるかを認識することが重要」と説き、「ハード対策は防御のための第一歩。その上で住民が理解を示しソフト面で防災行動を心掛けていく必要がある」と強調した。
 パネルディスカッションでは森教授がコーディネート役を務め、阪本真由美兵庫県立大学教授と菅原茂宮城県気仙沼市長、高橋伸輔近畿地方整備局企画部長、上原泉南あわじ市教育委員会教育次長補、新井田浩兵庫県技監が登壇した。阪本教授は「地域住民が南海トラフ地震の危険性を認識しつつも事前準備が進んでいない」現状を指摘。防災拠点整備などを事例に「『もしも』に備えるのではなく『いつも』をより良くする『フェーズフリー』の考え方の下、普段から地域で連携していくことが大切」と話した。菅原市長は「ハード対策だけで安心せず住民が防災意識を醸成しておくことが必要」と述べ、「避難訓練では避難所まで生きてたどり着くことに意識を集中しなければいけない」と語った。
 高橋部長は能登半島地震を受けてインフラ設計基準や、自治体による道路啓開体制の見直しが進みつつある現状を紹介した。上原次長補は子どもたちが主体に防災行動を先導する「南あわじ市防災ジュニアリーダー」など防災教育の取り組みを説明。新井田技監は兵庫県内で最も津波が早く到達する南あわじ市で進めてきたハード対策や、道路管理者と建設業の連携による道路啓開タイムラインを紹介した。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167988
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スコープ/膜構造告示改正、デザインの自由度向上・大スパンも可能に

 軽量な素材で柱がなく広大な空間を実現する膜構造建築物。その技術的基準を定める国土交通省告示が一部改定され、6月28日に公布・施行。これにより原則1000m2以下とした投影面積は制限がなくなり、デザインの自由度が大きく広がった。骨組みの間隔も撤廃され、大スパンの膜構造が可能になった。構造家の斎藤公男氏(日本大学名誉教授)は「告示の改正でやっとスタートに戻れた」と期待する。
 国内では1970年に開かれた大阪万博で、アメリカ館や富士グループ館などが膜構造のパビリオンとして注目された。斎藤氏は「膜構造のスタートは大阪万博だった」と振り返る。当時は建築基準法の第38条で特殊な材料や構造と規定され、第三者機関の試験で安全性が認められれば膜構造を採用できた。
 80年代以降、出雲ドーム(島根県出雲市)や東京ドーム(東京都文京区)、なみはやドーム(大阪府門真市)、こまつドーム(石川県小松市)、長居陸上競技場(大阪市東住吉区)など大規模なスタジアムが次々誕生した。ところが、2000年に建築基準法を改正し性能規定を導入。これにより第38条は削除された。
 02年に膜構造に関する告示が制定され、膜構造の取り扱いが大きく変わった。告示によって骨組み膜構造(骨組みに膜を張った構造)は膜面の投影面積が1000平方メートル以下に制限。1000平方メートルを超える場合は▽骨組みなどで囲まれる面積が300平方メートル以下▽膜面の支点間距離が4メートル以下▽屋根の形式が切り妻、片流れ、円弧のいずれか-という条件が付いた。一方、1000平方メートルを超えるサスペンション膜構造(ケーブルに膜を張った構造)は認められなかった。
 以降、駅前通路など小規模な膜構造は増加したが、大規模な建築物は単なる仕上げ材料としてしか膜構造が使われず減少。膜を生かしたシンボリックな建築物が減ってしまった。
 膜構造を採用した大規模建築物は減ったものの、告示で制度が簡素化され施工実績は伸長した。告示制定から20年以上が経過し、材料や構法の技術開発も進展。強度や耐久性、安全性も広く評価されるようになり、膜構造に関する告示の一部改正が決定。技術的助言も公開された。
 告示改正の柱は「膜面の投影面積の制限の合理化」と「膜材料等の変形制限の合理化」の二つ。投影面積は制限がなくなり、骨組みまたは周囲のケーブルで囲まれた面積が1000平方メートル以下であれば、膜構造の建築物を設計できる。4メートル以下の支点間距離の制限もなくなり、屋根の形状を自由に変えられる。
 サスペンション膜構造も骨組み膜構造と同様の扱いになった。万が一の膜破損時の対策として、支柱の変形や損傷が生じない構造や投影面積1000平方メートル以内ごとに膜面が分割できれば採用できる。仕様規定から性能規定に移行したともいえ、▽強度▽形状自由度▽軽量性▽ケーブルとの併用▽開放感-といった膜構造のポテンシャルが発揮できるようになった。
 「これまで空白の20年だった。前回の告示は建築界から膜構造を遠ざけていたが、今回の告示はそれを突破できる」と斎藤氏。例えば投影面積が1200平方メートルの直径40メートルの休憩所の場合、改正前は骨組みが32分割だったが、改正後は4分割で済み、膜のスパンが8倍に拡大する。ケーブルとの併用で鉄骨の重量も半減できる。
 別の例では柱が10メートルピッチのスポーツ練習場(50×60メートル)の場合、骨組みを大幅に減らすことができ、膜スパンが6倍に拡大。ケーブルを併用すると鉄骨の重量を85%減らせるという。しかも骨組みなどは告示化される前と比べ少量になり、材料の製造や施工時に発生する二酸化炭素(CO2)を削減し、低炭素社会の実現にも貢献する。
 斎藤氏は「海外では膜構造のスタジアムがどんどんできている。ダイナミックさを表現でき、美しいデザインが期待される。透明性や透光性に優れ、軽量で施工もしやすくなる。建築がもっとサステナブルに生き続けられる」と展望する。
 近年はJR山手線・高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)や北大阪急行電鉄・箕面萱野駅(大阪府箕面市)の屋根に膜構造が採用されている。25年1月に開業する大阪メトロ・夢洲駅の屋根も膜構造だ。駅舎にとどまらず空港やスポーツ施設、子どもの遊び場など多様な用途で採用されている。今後は軽量な膜構造のポテンシャルを生かした建築物が続々と誕生することが期待される。
 □画像の説明□
 改正前の規定では骨組みが多く単調なデザインになったが、改正後は骨組みが少ない大空間や自由なデザインが実現できる(画像はすべて太陽工業提供)




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168001
via 日刊建設工業新聞

鹿島/担い手確保で奨励制度創設、協力会会員など活動支援へ助成金

 鹿島は、担い手確保活動の一層の拡大・充実を目的に「次世代の担い手確保活動奨励制度」を創設した。鹿島事業協同組合の組合員と協力会組織「鹿栄会」の会員を対象に、建設業の担い手確保に向けた取り組みを支援する。支給上限を200万円とし、申請のあった活動経費の50%までを助成。技能体験会や出前授業など協力会社が行う担い手確保の活動を奨励する。3年間の時限的な制度として運用し、1回目の募集は4~6月に行い、10件の取り組みを選定した。
 同制度は、協力会社が行う「技術者・技能者の確保、育成活動」に必要な経費の一部や取り組みを鹿島がサポートする。対象の活動は学生や求職者向けの技能体験会・出前授業や、複数社合同で行う入職式などの人材確保活動、技能者の育成活動など。対象者は、鹿島事業協同組合の組合員約940社と鹿栄会会員約4500社に加え、鹿島各支店で構成されたグループ・団体。2024~26年度で各年度12件程度を上限に募集する。
 1回目は7支店・10事例の取り組みを奨励対象として選定。助成を受けた対象団体から活動状況の報告を定期的に受け、活動に対して継続的にフォローアップも行う。
 同社は奨励対象に選定された活動が、協力会社各社への普及や水平展開に貢献する有効なモデルケースになることを期待する。今後、優良事例は鹿島事業協同組合連合会・鹿栄会・鹿島共催の「協力会社改善事例全国発表会」での発表や、鹿島事業協同組合連合会と鹿栄会が共同で発刊する機関誌「いしずえ」への掲載を通して、広く紹介・展開していく。
 2回目の募集は25年2月から受け付ける。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=168000
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経産省、環境省/太陽光発電のリサイクルに関する合同会議、解体費は所有者負担が適当

 経済産業、環境両省は15日、太陽光発電設備のリサイクルに関する産業構造審議会(産構審、経産相の諮問機関)と中央環境審議会(中環審、環境相の諮問機関)のワーキンググループ・小委員会の合同会議を開いた。将来急増する同設備の廃棄やリサイクルの費用に関し、両省は検討の論点として解体費の負担者は設備所有者が適切との考えを示した。廃棄の資金を手当てしてもらうためにも設備の所在などの情報把握は、設置時が適当という方針も明らかにした。
 解体費に関しては、設備の所有者が解体を含めた管理の責任を負うとした。所有者に解体費の負担を求めるため、解体費の少ない設備の構造が選ばれることにつながるという見方も示した。再生可能エネルギーの固定価格買い取り(FIT)制度の事業計画策定ガイドラインは、一定規模以上の場合に廃棄等費用の積み立てを定めている。
 ただ2019年1月末時点の定期報告では「積み立てしていない」発電事業者が8割を超えているが、再エネ特措法に基づく費用積み立て制度が創設されている。両省は費用の確保時期について事業開始前の一括積み立て、事業中の分割積み立て、撤去時の一括支払いそれぞれの効果も会合で明らかにした。
 太陽光パネルのリサイクルを行っている中間処理業者に対する環境省の調査では、解体撤去・収集運搬を除いた太陽光パネルのリサイクルの費用は1キロワット当たり8000~1万2000円となっていた。会合では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、24年度に1キロワット当たりの分解処理コストを約3000円以下にする技術や、資源回収率が80%以上となる分離技術の開発を進めていることも報告された。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167999
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ヒューリック/青山ビル建替(東京都港区)、新築工事に25年4月着手

 ◇設計は松田平田設計
 ヒューリックは東京メトロ表参道駅の近くにある「ヒューリック青山ビル」の建て替えで、新たな建物の概要をまとめた。建物は延べ1万平方メートルの規模で計画。設計を松田平田設計が担当しており、施工者は決まっていない。現在は前田建設に既存建物の解体を任せている段階。新築工事には2025年4月着手し、28年4月の竣工を目指す。
 計画地は東京都港区北青山3の6の12(敷地面積1130平方メートル)。表参道と国道246号(青山通り)が交わる表参道交差点に面した角地に位置する。
 新たな建物はS一部SRC造地下1階地上9階建て延べ9672平方メートルの規模とする。高さは約50メートル。基礎工法は杭基礎を採用する。低層部にはピロティ空間を設け、表参道エリアのにぎわいを呼び込む。1~3階が飲食・物販店舗で、4階以上をオフィスとする。
 既存建物はSRC造地下1階地上9階建て延べ8847平方メートルの規模。「青山富士ビル」として1978年に建てられ、過去には富士銀行(現みずほ銀行)が支店を構えていた。5月に解体着手した。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167997
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三井住友建設/超高層施工階で容易に通信環境構築、常時モニタリング可能に

 三井住友建設は超高層ビルの施工階で通信環境を容易に構築するシステムを開発し、有効性を確認した。タワークレーンと電力線搬送通信技術(PLC)、ソフトバンクが提供する次世代衛星通信サービス「Starlink Business(スターリンクビジネス)」を組み合わせて実現した。施工中の高層階でICTシステムが稼働できるようになり労務費や通信整備コストを削減。現場の常時モニタリングも可能になった。同システムで超高層ビル現場の働き方改革を推進していく。
 同システムは特許出願中。スターリンクのアンテナをタワークレーンに設置して高層施工階で安定した通信環境を構築する。タワークレーンの旋回部と非旋回部の間に設置されている既存電力線用スリップリング(配線がねじれることなく電力や信号を伝達できる技術)を、電力線を通信回線としても利用するPLCによって通信ケーブルとして転用。タワークレーンの旋回に影響されず安定した通信確保を可能にした。躯体工事の進捗に合わせてクライミングするタワークレーンに付属しているため、常時最良の通信品質を確保する。
 超高層ビルの現場は一般的に高さ100メートルを超えると携帯電話やインターネットなどの無線通信が届きにくくなり、工事関係者間のコミュニケーションが不通になるケースがある。従来技術では引き込んだ有線LANケーブルを頻繁に延長する工事も発生する。躯体工事の関係者は最上階で常時作業しており、施工管理に必要なICTシステムを利用する上で利便性に欠けていた。
 三井住友建設は今後、IoTやICTを活用し超高層マンションなどの主要構造体に用いるプレキャスト(PCa)部材の生産管理を効率化、高度化するシステム「PATRAC」の機能もさらに充実させる。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167995
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2024年10月16日水曜日

防災・減災/オオバ、西日本豪雨復興のシンボル岡山県倉敷市に完成

 ◇まちづくりで被災地支援
 オオバが、災害からの復興プロジェクトへの貢献に力を入れている。2018年7月に発生した西日本豪雨では、岡山県倉敷市が整備を進めてきた「まびふれあい公園」の設計をオオバ・隈研吾建築都市設計事務所JVとして手掛けた。同公園は7月にオープンし、復興のシンボルとして市民が利用している。非常時にも広い視野と高い視点を持って対応できる技術者を育成し、まちづくりを得意とするコンサルタントの立場から被災地を支援していく。
 オオバは、東日本大震災から復興事業への取り組みを本格化し、熊本地震などでも復興業務を手掛けた。西日本豪雨では、倉敷市真備地区で約1200ヘクタールが水没するなど甚大な被害が生じた。市は復興のシンボルとなる公園の整備へ向け、21年に実施設計等業務の公募型プロポーザルを実施。復興を後押ししたいとの思いから、建築家の隈研吾氏とともにプロポーザルに参加して選定された。河川敷部分を含めた全体の面積は約4・5ヘクタール。このうち約2・8ヘクタールの公園に携わった。
 市は、防災教育や魅力発信などを含めて平常時と災害時の両面で活用できる公園を目指す方針を掲げた。こうした意向を踏まえ、中央に配置したのがシンボルとなる施設「竹のゲート」。隈氏が設計し、地域を取り囲む山並みに調和した大屋根と、真備らしさとして竹を生かした意匠が特徴だ。
 防災備蓄倉庫とともに、災害の教訓を伝える「まなびのへや」も備える。市民の憩いの場として芝生のスペースやアスレチックがある遊びの広場などを設けた。災害時にも利用できるようマンホールトイレや、太陽光発電によるワイファイ(Wi-Fi)環境も整えた。
 オオバは、まちづくりやランドスケープなど多彩な得意領域を持つメンバーでチームを編成。同社の野中敏幸執行役員大阪支店長は「被災者の思いに寄り添いシンプルでメモリアルな物を作ることと、防災機能の両立に注力した」と話す。品質と安全、コストのバランスに配慮しながら細部を詰めていった。
 市の主導の下、地元関係者らとワークショップ等を開催し、丁寧に合意形成を進めていった。辻本茂社長は「伊東香織市長をはじめとする行政が明確にコンセプトを持っていたことが素晴らしかった」と振り返る。
 施工は、地元業者のカザケン(倉敷市、渡邉普介社長)ら32社が担当。無事完成に至り、5月26日には天皇皇后両陛下が訪問された。7月3日に開園式を実施し、同13日に地元の祭りである「真備・船穂総おどり」が盛大に開かれ、市民ら多数が集った。
 オオバの野中支店長は「行政や地域の方と共にどう一体感を作るのかが重要だった。かなり貴重なモデルケースになった。ノウハウを水平展開する」との姿勢を示す。赤川俊哉執行役員技術本部副本部長兼震災復興統括室長は、大規模災害への備えの重要性に言及し「初めての担当者と経験者が組むことで技術を継承する」と話す。大場俊憲取締役兼専務執行役員は「事前防災も必要だ。知識や経験をしっかりとフィードバックしていきたい」と先を見通す。

 □辻本茂社長に聞く/視野が広く視点の高い技術者で地道に貢献□
 どのような思いで事業に取り組んでいるのか。オオバの辻本社長に聞いた。
 --まびふれあい公園が開園を迎えた。
 「地域の防災拠点になる大変意義深いプロジェクトを手掛けられたことを光栄に思っている。隈研吾建築都市設計事務所との協業が非常に良く機能した。東日本大震災などでの復興まちづくりの経験を生かして良い提案をさせていただいた。まちづくりソリューションのナンバーワン企業として培ってきたノウハウが役立った」
 --復興に貢献していく上で重要な点は。
 「まちづくりの世界では、広い視野を持って調整する能力が求められる。専門分野を深掘りすると同時に、周辺分野も勉強することで視点の高い技術者になれる。複数の分野をこなせるポリバレントなプレーヤー(多能工化)が求められるが、経験していないことに対しても応用問題として解決できる技術者が育っている」
 --今後に向けて。
 「東日本大震災など復興業務を経験した技術者が87人いる。難しい業務が多いが、苦労が糧になり、平時の業務にも生かせている。能登半島地震の被災地でもお手伝いさせていただくこととなった。派手さは全くないが、黒子として貢献し『よくやってくれた』と言ってもらえることを、われわれは誇りに思う。有事にも迅速にお役に立てるように技術を継承し研鑽(けんさん)を重ねていきたい」。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167952
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日建連/木造建築の普及後押し、会員企業のプロジェクトデータ298件公開

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は木造建築の普及や木材の活用を後押しする。15日、会員企業が施工した木造・木質建築プロジェクトのデータを公式ホームページに公開した。プロジェクトごとに木造を採用した部分や木材の使用量、木造部材メーカーなどをまとめており、市場分析などに活用できる。同時に木造情報をまとめたパンフレット「もくネタ!」も公開。木材活用に関する行政の指針などをQRコードで容易に確認できるようにした。
 脱炭素化の広がりや木材活用を促進する行政の動きなどを背景に、会員企業による木造・木質建築プロジェクトの情報を共有し、さらなる木材利用の推進につなげるのが狙い。会員企業が施工した木造・木質建築プロジェクトのうち、公開可能な298件をエクセルデータにまとめた。2000年の建築基準法改正以降に設計され、構造部材に木質材料を使用したものが対象となる。今後は毎年情報を更新し、プロジェクトを追加していく。
 公表したデータは、建物規模や建設地の用途地域といった建設に関わる基本的な情報から、耐火性能や仕上げ材、構造材別の使用木材量など木造・木質に関する情報までを網羅した。エクセルデータで公表することで任意の加工が可能。市場分析などに役立てられる。
 木造情報パンフレット「もくネタ!」では木材活用に関する基本的な情報のほか、木造・木質建築に関する技術や法律、メリットをまとめた国や地方自治体、団体が発行する冊子を紹介。「法解釈」「防耐火」「経済効果」など分野別にも資料を分類した。冊子はQRコードで確認できる。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167958
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西日暮里駅前地区再開発(東京都荒川区)/組合設立の認可申請、総事業費1341億円

 東京都荒川区で活動する西日暮里駅前地区市街地再開発準備組合が東京都に対し、本組合の設立認可を申請した。事業計画書によると再開発施設は延べ16・4万平方メートルの規模。商業・文化交流機能や住宅(979戸)などで構成する。総事業費は約1341億円(税込み、以下同)と見積もる。2027年4月の着工、31年3月の竣工を目指す。
 15日に荒川区役所などで事業計画書の縦覧手続きを開始した。事業は21年度に都市計画決定(区決定)を受けている。24年度の本組合の設立認可後は25年度の権利変換計画認可、26年度以降の解体着手を予定する。準備組合には参加組合員予定者として東急不動産が参画している。
 計画地は西日暮里5(区域面積約2・3ヘクタール)。JR・東京メトロ西日暮里駅と日暮里・舎人ライナー西日暮里駅の中間に位置する。建物はRC・S一部SRC造地下3階地上46階建て塔屋2階延べ16万4150平方メートルの規模で計画。高さは約170メートル。完成すればステーションガーデンタワー(西日暮里2、高さ約145メートル)を抜き、荒川区内最高の建築物になる見通しだ。
 地下は駐車場(約520台)や駐輪場(約2900台)に充てる。1~10階には商業機能や子育て支援施設、コンベンション施設、文化交流施設などが入る。11階以上は全て分譲マンション。
 再開発と合わせ、交通広場(約1800平方メートル)やペデストリアンデッキ、道路などの都市基盤も整備する。デッキはJR・東京メトロと日暮里・舎人ライナーの駅間を接続。乗り換え利便性や回遊性を高める。
 総事業費は1341億7600万円と見積もる。内訳は▽調査設計計画費64億9400万円▽土地整備費31億7500万円▽補償費178億3900万円▽工事費1028万9400万円▽事務費11億5400万円▽借入金利子など26億2000万円。補助金で260億5600万円を賄う。




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大成建設/自律走行ロボに壁や床から無線給電、26年度の実案件適用目指す

 大成建設は横浜市戸塚区にある同社技術センターで、建物内外を走行する自律走行ロボットや汎用(はんよう)小型車両向けワイヤレス給電床「T-iPower Floor」の実証を始めた。同技術で普及している基本方式の床面給電に加え、新たに壁側面から給電する方式も実証。ワイヤレス給電床を技術センターの屋内通路床約5メートルと屋外通路側壁約20メートルに設置し、走行中のロボットに床面や側面から給電する。ロボットの連続稼働が求められる工場や物流施設を念頭に、2026年度の実プロジェクト適用を目指す。
 ワイヤレス給電床は、厚さ4ミリの薄型樹脂パネルを連続して敷設する「薄型パネル工法」を採用。薄型樹脂パネルにテープ上の送電電極を採用することにより、従来の塗床工法で施工される給電床に比べ半分程度の床厚で施工できる。ビーグルなどの車両が送電レーンを乗り上げて横断することも可能。送電レーンのレイアウト変更も容易に対応し、安価に構築できる。
 今回の実証では1台の電源回路で長い区間に電力供給できる電界結合方式によるワイヤレス給電床を採用し、ロボット稼働率の向上効果や送電ユニットの耐久性を検証する。同社によると、新たにワイヤレス給電床を応用する形で開発した壁側面から給電する方式では、ロボットが走行中に電力約70ワット消費するのに対し、ワイヤレス給電中は約100ワットを受け取ることができ、余剰分の約30ワットはバッテリーに充電される。その結果、ロボット走行路の約70%に送電壁を設置すると24時間無休で運転できる。
 情報通信審議会(総務相の諮問機関)電波利用環境委員会の試算によると、ワイヤレス給電適用が有効と見込まれるロボット(受電システム)の施設分野別台数は工場20万台、物流72万台、商業30・6万台、建設1・8万台。送電システムは工場3万台、物流と商業各10万台、建設現場0・45万台。いずれも建設分野は現場での清掃用ロボットなどを想定している。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167944
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2024年10月15日火曜日

回転窓/働き方改革の本質

 本紙電子版記事検索システムで調べると、「働き方改革」のワードを初めて掲載したのは2008年1月にさかのぼる。大手建設コンサルタント会社社長が年頭あいさつに盛り込んだ▼「長時間労働を解消し、魅力ある職業、会社とするため働き方改革にも本気で取り組む」。今から16年前はまだなじみの薄いワードであったが、経営トップの言葉から改革に挑む強い意志が伝わってくる▼紙面上で働き方改革を巡る状況が一変したのは17年。年間ワード掲載数が前年の約50件から1000件超へと急増する。労働基準法改正を含めた働き方改革関連法案が議論され、民間ではワーク・ライフ・バランスの実現へ取り組みが本格化していた年である▼建設産業は資材価格高騰などに直面しながらも、当時と比べて時間外労働の削減が進み、現場の週休2日も着実に増えている。やりがいを持って生き生きと働き続けられるために--。そうした働き方改革の本質も広く認識されてきたと言えよう▼本日発行の本紙提言特集(別刷り)テーマは「人材マネジメントの潮流」。人材があってこそ持続可能な魅力ある産業に変わっていける。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167917
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幸せな働き方/画家・塩谷歩波さん、失敗を繰り返した先にこそ価値あるものがある

 自分に合った仕事や幸せな働き方とはどういうものなのか--。フリーランスの画家として活躍する塩谷歩波さんは学生時代に建築を学んで設計事務所に就職し、休職期間を経て東京・高円寺の小杉湯の番頭兼イラストレーターへと転身した異色の経歴の持ち主です。「失敗を繰り返した先にこそ価値あるものがある」と話す塩谷さん。これまでのキャリアを振り返りつつ、仕事や働き方への思いを語っていただきました。
 家族とよく出掛けた美術館での絵画鑑賞などを通じて、絵を描くことへの思いが強まりました。学生時代は建築を学び、設計事務所へと就職。設計事務所で働いていた時は、クライアントの方と親交を深め、新しい建物を共に考え出す時間が好きでした。
 反対に会社という組織が私にとって合わないとも感じていました。アイデアが採用されるまでにいくつもの会議を重ねる必要があり、意思決定にも時間がかかります。若手のうちはやりたいことをなかなか任せてもらえず、雑務が多いなど、縦社会への苦手意識もありました。
 企業人として働き続けられませんでしたが、今でも建築を続けていたらと思うこともあります。建築界には優秀な人がたくさんいて、その環境で働くということはとても勉強になりますし、いろいろな力が付くと思います。
 銭湯によく通うようになったのは設計事務所を休職していた頃です。名前も知らないおばあさんとふとした時に交わす会話など、ちょうど良い距離感が人とのつながりを感じさせ、ほっとできる銭湯が癒やしの場でした。
 そんな銭湯の空間やそこにいる人々をアイソメトリックという図法で立体的に描いてみようと思いました。発表したイラスト集『銭湯図解』では、建物だけでなく、そこにいる人たちも一緒に空間全体を俯瞰(ふかん)して見ているように描き、銭湯の魅力を伝えています。
 この描き方は、大学時代の恩師である入江正之先生の「人がいない建物は死んでいる」という教えが強く影響しています。実際にその場所に滞在し、その建物を研究することもあります。空間の使い方を人のいる位置や立ち振る舞い、表情などで説明的に表すことも意識して描いています。
 その後、小杉湯さんにお声掛けいただき、番頭に転職しました。番頭をしていると、今まで接する機会がなかった幅広い年代の方たちとお話しする機会が多くありました。特にうれしかったのはいつも番台越しに挨拶(あいさつ)をしてくれるおじいさん、おばあさんたちとのやりとりを通じて、人とのつながりを強く感じることができたことでした。設計事務所にいた頃に好きだな、向いているなと思っていたことと、つながっていると思います。
 仕事も含めて居心地が良いと思える場所と出会うためには、とにかくいろいろな場所に行ってみる、失敗をたくさんして、トライ&エラーを繰り返すことが大切だと思います。失敗を経験しないとその場所や人、環境の価値に気付けないと思います。失敗はできるだけした方が良いと考えており、失敗を繰り返しながら手に入れたものはとても尊く、価値があると思うのです。
 仕事をする上で大切にしていることは謙虚。30歳前後で『銭湯図解』を出版してテレビにも出演し、フリーランスとなりました。こんな生き方をするなんてそれまで想像もしていなかったので、仕事だけでなく私生活でもうまくいかないことがありました。それを友人に相談すると、「歩波さんは少し傲慢(ごうまん)になっているよね」と言われました。この言葉によって、一人で何でもできると思っていたこと、また無意識に人を見下していたと反省しました。
 自分はできないことの方が多いということに気付かされました。それ以降、すごく気持ちが楽になったのです。自分自身の価値観や考え方を変えてみたり、柔軟にしてみたりすることで良い方向に物事が進んでいったのだと思います。
 何か壁にぶつかった時、基本的には一人で解決しようとしません。友人に相談したり、いろいろなことを話したりすることで乗り越えたこともあります。解決できず、逃げたこともあります。一人で抱え込んで誰にも相談しないで決めると、心の負担が大きくて後々大変になってしまう。どんな問題でも解決方法は一つじゃないですし、経験もないのに一人で解決できるわけない。いろいろな人から話を聞いた方が多角的に考えられると思うのです。
 転職や休職で悩んでいる人には、違う逃げ道もあるということを伝えたいと思います。私は会社という組織自体に自分が向いていないと考えていました。そう感じる人は少なくないでしょうし、単にその会社とその人が合わなかったということもあるかと思います。それは必ずしも、自分自身に問題があるというわけではありません。
 休職をしていると、どうしても自分が悪いと思い込んでしまいます。休んでいることに罪悪感を抱いたり、頼まれた仕事もできず社会人失格だと思ったりすると、視野がものすごく狭まります。私自身、転職後の方が面白い人生を歩めており、休職をして悩んでいる人たちはあまり自分を責めないでほしいです。
 何か決断をする時に大切にしているのは、しっかり悩むこと。休職していた時は、無理やり悩まないようにしていました。人は悩める時にはしっかり悩んだ方が良い方向に向かい、時間をかけて悩んだ上で出てくる答えの方がより大切なものになると思います。
 これからもっとたくさんの建物を描いていきたいです。『銭湯図解』や『純喫茶図解』といった発表作品のように、『○○図解』シリーズを続けたいと考えています。失ってほしくないものを書き残すということが、私の創作意欲の根幹にあるのだと最近気付きました。お寺などの古い建築物、地方にある小さい映画館や寄席、市が運営しているような公衆浴場のほか、海外の建物や誰かが残したいと思っている建物も描いてみたいと思っています。消失した建物でも写真と図面があれば描けますから、作品の中でその空間を復元するということにも挑戦したいです。
 絵以外では自分のアトリエを持ちたいという夢もあり、仕事場だけでなく半分はカフェのように人が集まる場所にしたいと考えています。小さい頃から家族で美術館へ行くのが好きだったので、自分の絵もどこかの美術館に飾ってもらえたらうれしいです。
 作品を描き始める時はいつも面倒くさいと思ってしまいますが、始めてしまえば楽しくなり、やる気が出てきます。創作過程で一番好きな作業は色塗り。私の手で美しいものを創っているのだと実感でき、気持ちがすごく良いのです。この最高の瞬間があるから、大変なことがあっても続けられるのだと思います。

 (えんや・ほなみ)東京都出身。早稲田大学大学院(建築学専攻)修了。設計事務所を経て小杉湯の番頭兼イラストレーターに。現在はフリーランスの画家として活躍中。趣味は読書、茶道、料理など。『塩谷歩波作品集』(玄光社)を8月27日に出版した。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167904
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日事連/福井市で全国大会開催、未来に向けた「まち・ひと・建築」テーマに

 日本建築士事務所協会連合会(日事連、上野浩也会長)は11日、第46回建築士事務所全国大会(福井大会)の記念式典を、福井市のフェニックス・プラザで開いた=写真。大会テーマは「未来を拓く まち・ひと・建築」。北陸新幹線の開業を起爆剤にまちづくりが活性化している福井を舞台に、未来に向けた議論を行った。
 大会に先立って開いた記者会見で上野会長は「地方はまだまだ疲弊している。地方の活性化なくしては日事連の発展はない」と表明。事務所登録の手数料見直しの必要性にも言及し、「来年4月に事務所登録の電子化がスタートする。これをターゲットに単位会から都道府県にお願いしている。良い成果が出ると思う」と語った。
 「若い人たちや女性たち、これからを担う皆さんのために、汗をかいただけ報われる業界にしたい」との方針も語った。6月に女性活躍推進ワーキンググループ(WG)を立ち上げており、「できれば1年くらいで提言をまとめて、そのテーマの下で、来年(の全国大会で)女性交流会を開催したい」との考えを示した。
 福井県建築士事務所協会の木下賀之会長は「地方の現状を変えていきたい。福井は新幹線が起爆剤になって変われるかもしれない。建築士がもっと勉強して力量を高めて、新しいまちづくりに生かしていきたい」と述べた。
 大会に合わせて、建築家の隈研吾氏による基調講演も行われた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167926
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大分県別府市/新湯治・ウェルネス研究施設、扇山ふもとに建設25年度に基本計画

 大分県別府市は新たな観光の形として推進する「新湯治・ウェルネスツーリズム事業」の中心的な役割を担う研究・実践拠点施設について、建設予定地を大平山(扇山)のふもとにある市有地約4ヘクタールとする方針を発表した。事業手法はPFIなど公民連携を検討しており、2025年度に策定する基本計画の中で最適な手法を決定。25年1月に基本計画策定業務の委託先選定の手続きに着手し、同3月中に業務委託する。
 研究・実践拠点施設は入浴が腸内細菌にもたらす効能について解析・分析を行う「ラボエリア」、市民の日常利用を想定した「市民エリア」、観光客をターゲットにした「ゲストエリア」、民間事業者による「民間提案ゾーン」の4機能と駐車場で構成する考え。
 周辺インフラについては現在は大型バスの通行が厳しい状況であるため、歩道整備を含めた道路拡幅を実施する。
 事業手法は従来方式のほか、PFIや設計・施工一括(DB)方式、DBO(設計・建設・運営)方式などを視野に幅広く検討していく。基本計画の策定段階では施設規模やスケジュールの検討、事業費の算定なども進める。基本計画策定の業務委託費を24年度12月補正予算案で盛り込む。
 長野恭紘市長は10日の記者会見で、「研究・実践拠点施設がハブの役割を果たし、市民や地元事業者がしっかりと潤うようにしていかなくてはならない」と述べた。今後の市民らへの説明用に建築家の坂茂氏が作成した施設のデザインイメージも公表した。
 坂氏のデザインイメージでは扇山の傾斜に沿う形で施設を設けることで地形を大きく変えず、石や樹木といった自然素材を活用して景観にも十分に配慮する案が示された。長野市長は「現段階での予想図で、今後民間事業者との議論を進める中で大幅に変わる可能性はある」とした。
 建設予定地は阿蘇くじゅう国立公園内の鶴見大平4550の1ほか。東九州自動車道別府ICの北西約2・5キロに位置する。国立公園内での施設整備になることについて、長野市長は環境省と協議を行う中で「おおむね問題はないと理解している」と話し、今後も関係団体を含めた調整に努めるとした。
 同施設は長野市長がアイスランドにある世界最大の露天風呂を備えた温浴施設を参考に、市内に大規模温浴施設を整備する「東洋のブルーラグーン構想」に由来する。同構想は新規の温泉採掘による周辺泉源への影響を懸念する声もあり断念。これに代わるものとして新型コロナウイルスの感染拡大に伴う健康増進に関する社会的ニーズの高まりに対応することを目指して新たに検討を開始した。
 ブルーラグーン構想で不安視された泉源への影響について長野市長は「新規の掘削はしない。今ある泉源、廃棄している温泉を有効活用し、全体的なマネジメント計画の中で研究・実践拠点施設にも温泉を供給する」と環境面への問題はないと説明した。
 同事業の調査業務はパシフィックコンサルタンツが担当。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167908
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日本工営/東大らとグローバル水リスクを評価、オンラインプラットフォーム公開

 東京大学大学院工学系研究科とサントリーホールディングス、ID&Eホールディングス傘下の日本工営は、グローバルに水リスクを評価するためのオンラインプラットフォーム「Water Security Compass」(試用版)の公開を開始した。世界各地の水需給を踏まえた水不足リスクを将来にわたって用途別に把握できる。世界初のオンラインプラットフォームになるという。ホームページ(https://watersc.diasjp.net/)から無料で見ることができる。
 東大社会連携講座「グローバル水循環社会連携講座」を通じた取り組み。データや機能の改良・修正を順次実施し、2025年に正式版を公開する予定だ。日本域では、約2キロ四方でのシミュレーションを実現している。現在は西日本だけを公開している。
 季節の変化やダムなどのインフラによる水量への影響を反映し、世界各地で必要とされる水の量と供給される量を的確に把握する。人間や生き物が必要とする水資源に対する不足の程度を可視化するとともに、農業用水や工業用水、生活用水など用途別に水が不足する可能性の高い地域を特定。これらの結果を踏まえ、実際に水不足が懸念される地域を特定し、対策につなげることが可能という。
 得られた知見や実績を基に、より広範囲なグローバル規模での活用につなげていく考え。国際的に議論され始めている水に関するルール形成などへの貢献も目指す。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167920
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働き方改革/人材関連アンケート・ゼネコン、民間発注者のさらなる理解不可欠

 ◇土木と建築で労働時間に差
 時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用され、1日で半年を迎えた。総合建設業や道路建設業、設備工事業の各社は人材確保や働き方改革の取り組みを強力に推進。企業単体だけではく、業界団体を通じて発注者などへの理解促進にも努めている。人的リソースが限られる中、各社は社員一人一人の能力を最大限引き出す「人材マネジメント」を経営戦略の柱に据える。業種別のアンケートを通じて人材マネジメントの今後の展開や課題を探る。
 日刊建設工業新聞社は主要ゼネコン34社を対象に、人材マネジメントに関するアンケートを9月2日~10月7日に行った。「人材確保や人材マネジメントで重視する事項」や「適正工期の状況」「働き方改革を推進する上での不安や課題」を複数回答で聞いた。

 □エンゲージメント向上の動きも□

 人材確保やマネジメントで重視する事項では、「新卒採用の増加」(33社)、「施工体制の確保・人材の最適配置」(32社)、「中途採用の増加」(28社)と採用面に注力する回答に集中した。採用活動ではネットでの広報などを強化している。ただ、新卒や中途の採用が難しいため、「バックオフィスの最適化」(15社)や「業務アウトソーシングの増加」(14社)で足りないリソースを補う傾向も見て取れる。
 人材の確保や定着の観点から社員のエンゲージメント向上に向けた動きも加速している。休暇の取得促進やテレワークの推進など働きやすい環境を整備したり、初任給を含む賃金を引き上げたりするなど、離職防止対策を講じる。マネジメント力の向上には教育システムの再構築も欠かせない。次世代を担う人材の育成を後押しする一環で「DX、デジタル技術などに強い人材育成」(11社)を重要視する。
 4週8閉所などを踏まえた適正な工期で工事が実施できているかどうか調べたところ、土木と建築で状況が異なった。「土木工事の大部分で4週8閉所ができている」と答えたのは21社に対し、「建築工事の大部分で4週8閉所ができている」のは10社にとどまった=グラフ〈1〉参照。働き方改革を後押しする官公庁が発注する案件の多い土木工事で4週8閉所が進んでいることがうかがえる。
 技術者の人数など施工体制・能力を考慮した結果、土木工事でも「4週8閉所を確保できない工事は原則受注しない」との方針を掲げる会社が一定数あった。「建築工事で4週8閉所を確保できない工事は原則受注しない」と答えたのは17社だった。

 □法規制の抜本見直しが必要□

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は2023年7月、「適正工期確保宣言」を行った。会員企業は民間建築を中心とする発注者に見積もりを提出する際、4週8閉所や法定労働時間の週40時間稼働を原則とする「真に適切な工期」に基づき見積もりを行い、適切な工期・工程資料を添付している。
 あるゼネコンは「発注者には『適正工期確保宣言』を理解していただき、提出された工期および見積もりを尊重してほしい」と訴える。別のゼネコンは「4週8閉所相当の104日以上とする閉所カレンダーを作成し、土曜日や祝日の閉所指定日を定めて推進する。併せて閉所が難しい場合でも、所員が104日以上の休日を取得できる取り組みを進める」と休日確保に努める。
 上限規制適用を踏まえ働き方改革を推進する上での課題や不安を聞いたところ、「発注者(民間企業)の理解や対応」が33社と最多だった=グラフ〈2〉参照。一方、「発注者(国、都道府県・政令市)の理解や対応」(11社)「発注者(市町村)の理解や対応」(14社)が半数以下にとどまり、民間発注者と公共発注者で建設業の働き方改革に対する理解度に開きがあることがうかがえた。
 あるゼネコンは「官庁発注工事では土曜閉所が進んでいるが、民間工事ではなかなか難しい」と実態を明かす。さらに「土木と建築の労働時間の差に現れている。(技術者や技能者らの)交代制で週休2日を目指す方法もあるが、人員の問題から一斉に閉所するのが望ましいのは明確だ。民間の発注者に対し、国からの指導を今以上に推し進めてほしい」と求める。
 各社は法令を順守するためさまざまな施策や工夫を講じているが、特有の施工条件によって難しい対応を余儀なくされるケースも少なくない。出水期の作業制約が大きい河川工事や、運行時間外の深夜に作業が制限される都市部の鉄道工事などが代表例。これらの工事は4週8閉所が難しく、個人単位の4週8休に努めることになる。
 他産業の多くは土日の週休2日が当たり前なのに対し、あるゼネコンは「4週8閉所(完全週休2日制)を実現しない以上は、建設業の人材確保がままならない。プライベートの時間や、家族との時間を大切にする現在、このような労働環境(の業界)へ入職希望するはずもなく、法規制による大改造を強く期待する」と主張。労働規制の抜本見直しに踏み込む必要性を提起する。




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2024年10月11日金曜日

建築へ/四街道市庁舎建替1期完成「人にやさしい」新築棟、10月15日から供用

 千葉県四街道市が進めていた第1期庁舎整備工事が8月に完了し、市の新たなシンボルとなる新築棟が姿を見せた。デザインに市の花である「サクラソウ」を取り入れるなど、市民に親しまれる建物を目指した。利用者が多い窓口や議会、災害対策室などの機能を集約している。既存棟を減築、改修する第2期工事は11月にスタート。2026年2月の全庁開庁に向け、着実にプランを進めていく。
 現庁舎は鹿渡無番地(敷地面積1万8284平方メートル)に所在する。本館と新館、分館、新分館で構成する。本館と新館は施設の老朽化や耐震性の不足が課題となっていたことから、新庁舎の整備に踏み切った。基本・実施設計はINA新建築研究所が手掛けた。施工は大成建設が担当している。
 第1期工事として敷地北側にあった駐車場に新築棟を建設した。設計を担当したINA新建築研究所の加藤朋行社長によると、設計方針は「時代のニーズに対応するため、長寿命化を目指した」。建物はRC一部S造4階建て延べ8040平方メートルの規模。コンパクトにし既存庁舎も活用することで、建設事業費や維持管理費を縮減。メンテナンスコストを抑えることも考慮したという。
 新築棟の階高は既存棟に合わせている。大成建設の梅村英樹千葉支店作業所長は「現代の建物にしては階高が低く感じるかもしれない」とした上で、「設備などを含め、苦労して設計されたように感じる」と述べた。
 建物外観はシンプルにまとめ、スタイリッシュな意匠にした。内観は白を基調とした明るい雰囲気。エントランスにつながる歩行者専用道路「サクラ街道」も整備する。サクラ街道に面した場所と新築棟北側に新たに駐車場を設ける。
 エントランスから庁舎内に入ると、開放感のあるまっすぐな1本道が迎えてくれる。ここに利用者が多い窓口を集約した。プライバシーに配慮した相談室や、バリアフリートイレ、視覚・聴覚障害者をサポートする設備などを設け「すべての人にやさしい庁舎」を目指した。
 防災拠点としての機能にも力を入れた。現庁舎では、災害時に対策本部を設置した後、各課で個別に議論しており、情報共有や連携の面で課題があったという。新築棟は3階に災害対策室や危機管理室、特別会議室をまとめ、スムーズな連携を可能にした。地震や浸水に備え、サーバー室は3階に、非常用発電機や受変電設備は屋上に設けた。
 4階は議会機能を配置した。議会関連諸室を1フロアに集約。議員は控室や会派室から議場に移動できる。議場はオーソドックスな対面型レイアウトにした。傍聴席は車いす利用者や子ども連れの人に対応した席を設けた。誰でも訪れやすい開かれた議会エリアにした。
 環境との調和も図った。真夏の直射日光を抑える庇(ひさし)や、高断熱性のエコガラス、高効率空調設備などを採用。太陽光発電設備も設置するなど、エネルギー使用量の削減に努めた。
 第2期工事は、既存の新館の4、5階部分を取り壊し、RC造地下1階地上3階建て延べ2207平方メートルの規模に減築する。S造2階建て延べ427平方メートルの分館とRC一部S造地下1階地上3階建て延べ867平方メートルの新分館は改修する。市内に分散している庁舎機能も新庁舎に集約するという。
 「市はまさに歴史の転換期を迎えている」。役割を静かに終えようとしている現庁舎を前に鈴木陽介市長は語る。半世紀を超える55年もの間、市政運営の拠点として市民に親しまれてきた現庁舎が生まれ変わろうとしている。新築棟は15日に供用開始となる。




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大阪府/中小向け官公需確保基本方針、適切な価格転嫁へ年内改定

 大阪府は建設工事や委託業務、物品役務などを対象とした「中小企業者向け官公需確保のための基本方針」を年内に改定する方針を固めた。資材価格などの上昇が続く中、中小企業の安定経営を支援するため、受注者から発注者への価格転嫁に関する協議条項を追加する。現在、商工労働部が各部局に意見照会している。
 中小企業は大企業と比べ価格交渉の影響力が弱く、経営資源も限られる中で資材費や人件費の急騰に伴う適切な価格転嫁が切実な問題となっている。公共を含む発注者の対応が不十分なケースもあり、企業の収益が不当に圧迫されている実態が少なからずある。
 国が定める「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」には「受注者から契約価格の変更の申し出があった場合、発注者は迅速かつ適切に協議を行う」とする条項が4月の改定(閣議決定)で明記された。
 こうした背景を踏まえ、9月25日に開かれた府議会では議員から「府としても国の方針に基づく対応が必要だ」と指摘する声が上がった。府の馬場広由己商工労働部長は「中小、小規模事業者が契約変更の申し出を行いやすくするよう、同様の協議条項を府の基本方針にも盛り込む」と述べ、中小企業の経営基盤の強化を後押しするとした。
 吉村洋文知事も「中小企業の安定した経営を支えるためには発注者と受注者が価格転嫁を協議できる環境が不可欠だ」と強調。府の官公需の基本方針を速やかに改定する決意を表明した。さらに民間企業間でもコスト上昇分が適切に価格に反映されるよう、経済団体などへの要請を行うとともに、国とも連携して受注者への支援を強化していく考えを示した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167845
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鴻池組JV/広瀬川第3雨水幹線工事1、下流工区でシールルド機の掘進完了

 鴻池組・西武建設・あおみ建設・鎌田建設JVが仙台市青葉区で施工している「広瀬川第3雨水幹線工事1」で、内径2600ミリ、延長828メートルのトンネルを構築する下流工区のシールド掘進が完了した。昨秋に掘進を開始し、曲線半径100メートル以下7カ所、縦断曲線2カ所など複雑な線形を計画通り掘り進め、広瀬川左岸に近接する立坑へ9月25日到達。今後はシールド機の解体、人孔の構築などを進め年度末までの完成を目指す。
 仙台市が発注した同工事は「仙台駅西口地区大規模雨水処理施設整備事業」を構成するプロジェクトの一つ。同地区は都市化の影響で地面の浸透率が低下し、下水道に流れ込む雨水の量が増えたため、大雨時の浸水被害が発生していた。市は10年確率降雨(1時間当たり52ミリ)に対して浸水被害を解消する目標を立て、雨水幹線の構築を進めている。
 工事場所は花京院1の241~土樋1の198の1。五橋公園に設けた発進立坑から仙台駅方面に向かう上流工区(内径1800ミリミニシールド工、延長1612メートル)と、広瀬川方面に向かう下流工区で構成。契約時の工期は2021年3月19日~24年9月30日、金額(税込み)は46億5597万円だった。現時点で工期は24年12月27日まで、金額も51億5748万9700円に変更。工期は年度末まで延長する予定になっている。
 五橋公園を発進して東二番丁通の共同溝をくぐり、愛宕上杉通の地下鉄をまたぐトンネル構築では、ほぼ直角に曲がる箇所をシールド機の巧みなコントロールで克服。地下鉄連絡通路との交差部は地下にH形鋼が残置されていたため、カッターヘッドの回転速度を落としながら押す力を調整してH形鋼を削り、大きな振動を出さずに無事通過した。
 同事業は18年度に計画を策定し、20年度から詳細設計に入った。事業完了は25年度末を予定している。事業区域内に配置する17カ所の人孔から雨水を取り込み新しい管路に流す。既存の合流管が排水能力不足になり道路に雨水があふれる事態を解消することで、仙台駅西口地区の浸水被害を防止する。




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丹青社/空間づくりの知見生かし新事業創出に注力、ポイントゼロ参画企業らと課題解決

 丹青社がデザインや演出、施工など空間づくりのノウハウを生かし、新事業の創出に注力している。これまでにコワーキングスペース「point 0 marunouchi」(東京都千代田区)で資料共有システムやアートレンタルサービスなど16件を実証してきた。今後、ウェルビーイングやサステナビリティなどを対象に、従来の事業領域を拡張したクライアントの課題解決に挑戦する。
 異業種企業間の協創を通じた新しい価値創造を目的に、ダイキン工業らが出資したpoint0(ポイントゼロ、東京都千代田区、石原隆広社長)が10日に都内で開いたカンファレンス「point0 ignite2024」で、丹青社の小林統社長が新事業創出について説明した=写真。小林社長は「さらに新しい取り組みを創造していきたい。ウェルビーイングやサステナビリティ分野の社会課題は単独でクリアできない。ポイントゼロと一緒に展開して、社会に対して提言できるように取り組みたい」と意気込んだ。
 ポイントゼロは、ダイキン工業らが出資し現在17社が参画している。参画企業らはpoint 0 marunouchiで112件の実証実験を行い、25件を事業化している。丹青社は空間づくりのノウハウを、参画企業の最新技術やデータなどと掛け合わせ、多様な働き方に合わせたより豊かなオフィス空間づくりの実現を目的に参画している。
 資料共有システム「saguroot」は実証実験を経て2023年5月にサービス化。同7月に生成AIを使った要約機能を付加しアサヒビールのR&D部門に試験導入した。アートレンタルサービスは、アートなどの美術作品がオフィス内で働く人にどう影響するかを実証したエビデンスを基に、22年3月から展開している。23年から拡充に向けた検証を進めている。
 小林社長は「空間づくりの技術を蓄積しているが、プラスアルファの要素を各メーカーがプロダクトアウトでシーズを生み出している。ジョイントさせてもらい顧客ニーズとマッチングすることが必要不可欠だ」と指摘。その上で「デジタルソリューションやインターネットサービスなどの分野を始めているが、さらに広い領域と分野をポイントゼロを通じていろいろな企業と一緒に広げ、事業拡大していきたい」と述べた。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167836
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2024年10月10日木曜日

全鉄筋/第5回TETSUー1グランプリ、新潟代表の廣田直木選手が日本一に  

 日本一の鉄筋技能者が新潟に誕生--。全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)主催の第5回全国鉄筋技能大会「TETSU-1グランプリ」が6日、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで開かれ、新潟県鉄筋業協同組合代表の廣田直木選手(42、佐藤鉄筋)が1位に輝き、「最強鉄筋工」の称号を手にした。出場したのは各地区予選会を勝ち抜いた精鋭35選手。限られた時間内で日頃現場で鍛え上げた技を披露し、熱い戦いを繰り広げた。
 大会は、鉄筋工の技能向上を目的に2015年から隔年で開催している。会場となった富士教育訓練センターには早朝から各選手の応援団が駆け付け、競技開始前から選手の名前の入った横断幕を壁一面に貼り付けるなどし、応援態勢を整えていた。
 開会式の冒頭、新妻尚祐大会実行委員長は「われわれの仕事は普段仮囲いの中で行うので、一般の方が見ることは少ない。鉄筋工の技能や技がどれほどすごいのか、この大会を通じて多くの人に見てもらい、鉄筋工の格好良さを知ってもらう」とあいさつした。
 競技は国家技能検定鉄筋組み立て1級の問題にはら筋一段を追加した課題の製作を、作業時間と精度の両方で競い合う。午前の前半組、午後の後半組に分かれて競技が行われ、標準時間は1時間20分。打ち切り時間は1時間40分。選手は多くの観衆が見守る中、やや緊張した表情で黙々と鉄筋を組み上げていた。
 作業時間は回を重ねるごとに早くなり、前半組は40分台で作業を終える選手が続出。プロの職人が見せる手際の良さに会場から大きな拍手が送られた。競技終了後は採点員がそれぞれの出来栄えや精度を細かくチェックし、作業時間と出来栄えの両方でそれぞれ採点を行った。
 ある大会関係者は「作業終了時間がどんどん早くなってきており、どの選手もかなり練習を積んできていると感じた。上位に入るには作業スピードだけでなく、出来栄えや精度が求められる。それを両立できる職人が、1位に選ばれるだろう」と競技を振り返った。
 採点結果は、富士教育訓練センターの加賀美武専務が発表。1位は廣田直木選手、2位は関西鉄筋工業協同組合代表の高木昌弥選手(29、KANO CENTER)、3位は群馬県鉄筋工業組合代表の萩原大地選手(31、小椋工業)が入賞した。
 閉会式で岩田会長は「まず大会の準備に当たってもらった各スタッフにお礼を申し上げたい。各県を代表されて出場された選手の方々には、誰が優勝してもおかしくないと思うほどの迫力と熱量を感じた。大会終了後も一層技能を磨き、またこの大会に挑戦してもらいたい」と締めくくった。

 □「これが最後」3度目の挑戦でつかんだ栄冠/新潟県鉄筋業協同組合代表の廣田直木選手□
 3度目の挑戦。「これが最後」と心に決めて挑んだ今大会。終わってみれば、念願の「日本一の鉄筋工」の称号を手中に収めた。「練習時間の確保など、家族や会社の人たちがこれまで応援してくれたおかげ。感謝の気持ちを伝えたい」。
 練習は大会の2週間前に開始。「何度も組み立てを行い、計50回ぐらいはやった。作業スピードも上げながら、精度に気を付けながら練習した」。ただ、競技本番になると会場の雰囲気に飲まれ、緊張のあまり思うような動きができなかった。
 練習の時よりも5分程度遅い48分で組み立てが終了。その後出来栄えなどをチェックし、正式なタイムは52分。既に何人かの選手が競技を終えており、タイム的には後れを取った。「練習時のタイムよりもかかったが、精度は納得できた」と、内心では「いける」という気持ちもあった。
 鉄筋工になって約20年。会社はコシヒカリで有名な米所、新潟県南魚沼市にある。就職先として建設業に進もうと考えていたが、鉄筋業に入職したのはたまたま職業安定所の紹介だった。「鉄筋の仕事は好きだし、やりがいもある。自分が携わった建物が完成すると、達成感もある」という。
 今回の優勝を契機に「日本一に恥じないよう現場でも精度の高い仕事をしたい」。実母と妻、子ども2人の5人家族。大会前には「子どもたちに技能者としての父の背中を見せたい」と語っていたが、きっと大きな背中が見えたことだろう。

 □外国人選手やママさん選手も参加□
 今大会に出場したのは全国の予選会を勝ち抜いた35選手。その中には外国人選手やママさん選手もいた。関西鉄筋工業下請連合会代表のレー・ヴァン・トゥン選手(41、田村工業)は、大会初の外国人参加選手となった。既に1級鉄筋技能士の資格を取得済みで、今大会では「これまで培ってきた技能を発揮し、日本で活躍する礎にしたい」と意気込みを語った。
 岡山県鉄筋協同組合代表の岸田彩花選手(27、出井興業)は3人の子どもの母親。実家が鉄筋工事会社で、鉄筋工になって約10年。「朝、保育園と小学校に子どもを送り、その後現場に行っている。鉄筋の仕事は楽しく、体力が続く限り続けたい」という。競技後の感想を聞くと「結束のスピードなどレベルの高さを感じた。もっと技能を高めていきたい」と語った。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167792
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埋浚協/10月15日から地方整備局らと意見交換、働き方改革の内容充実

 日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)は、国土交通省地方整備局などとの2024年度意見交換会を、15日の関東地区を皮切りに全国10地区で開く。4月に時間外労働の罰則付き上限規制が建設業にも適用されたことを受け、規制順守だけでなく働き方改革の内容充実を訴えていく。関連産業の上限規制が港湾・空港建設現場に影響するなど新たな課題も浮上しており、これらの対応策も探る。
 テーマは▽時間外労働の実態と上限規制順守のための課題▽担い手確保のための処遇改善▽港湾工事のDX推進、GX推進-の三つを大きな柱とする。上限規制順守では、資材の運搬業者や生コンクリート調達業者といった関連産業で稼働時間や搬出日時の制約が生じている現状を示し、働き方改革の新たな課題として議論する。
 担い手の確保に向けた処遇改善では若手技術者の活用を促す新制度の拡充や、建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入促進などを求める。CCUSは港湾工事などに従事する技能者を対象とした新たな職種「海洋土木工(案)」の創設へ協力を呼び掛ける。
 意見交換会の日程と会場(所在地)は次の通り。
 ▽関東整備局=15日、ロイヤルホールヨコハマ(横浜市中区)▽北海道開発局=16日、札幌グランドホテル(札幌市中央区)▽九州整備局=21日、八仙閣(福岡市博多区)▽中国整備局=28日、メルパルク広島(広島市中区)▽中部整備局=30日、KKRホテル名古屋(名古屋市中区)▽四国整備局=31日、リーガホテルゼスト高松(高松市)▽近畿整備局=11月1日、オリエンタルホテル神戸(神戸市中央区)▽北陸整備局=同6日、新潟グランドホテル(新潟市中央区)▽内閣府沖縄総合事務局=同12日、ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城(那覇市)▽東北整備局=同18日、ホテルモントレ仙台(仙台市青葉区)。




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堺市/旧高倉台西小跡地民間活用、24年度内にも公募要領検討着手

 堺市は泉北ニュータウンの泉ケ丘駅前地域の一角にある旧高倉台西小学校跡地(南区高倉台1)の一部約1・6ヘクタールの民間活用に向け、早ければ2024年度中に公募要領の検討に入る。公募型プロポーザル方式による事業者公募を予定しており、市場調査を実施した上で検討業務を発注する。25年度中の事業者の公募・選定を目指す。
 旧高倉台西小は15年3月に閉校となった後、跡地全体約2・2ヘクタールの活用を段階的に進めている。これまでに跡地中央部の敷地(6711平方メートル)でみどり学園が大阪健康福祉短期大学キャンパスを開設し運営中。その東西両側に残る二つの活用地(4856平方メートルと1万0710平方メートル)の計1万5566平方メートルが今回の公募地となる。
 活用方針では売却か定期借地を想定する。▽子育て世帯や高齢者に配慮したマンション(必須)▽介護・障害者向け福祉施設▽人口増加を想定した避難所機能、交流機能-などの導入を求める。
 市場調査は地域経済研究所が担当し面談方式で実施する。民間事業者10者以上にヒアリングし、市場ニーズや具体的な活用案、実現可能性を探る。
 泉ケ丘駅前地域はまちびらきから50年以上が経過し、公共インフラの老朽化やコミュニティー機能の低下が課題となっている。特に旧高倉台西小跡地を含むエリアで市は「教育・交流コアゾーン」と位置付け、駅前と住宅地をつなぐ立地を生かしたまちづくりに取り組む方針を打ち出している。




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ゼネコン/スタートアップとの連携加速、建設テック協会が初のオープンイベント

 ゼネコンとスタートアップとの連携が加速している。建設テック協会(代表理事・中島貴春フォトラクション代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)は8日、東京都内で会員以外も参加するイベントを初めて開催した。清水建設、戸田建設、東急建設の3社が取り組み状況を報告。清水建設は5年間で21億円を出資し、戸田建設は12社と6ファンドに対して出資済みだ。東急建設も、グローバル・ブレイン(東京都渋谷区、百合本安彦社長)と運用総額50億円のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を組成し、出資を続けている。
 デロイトトーマツベンチャーサポート(東京都千代田区、斎藤祐馬社長)との共催。建設会社やスタートアップなどから100人が参加した。
 清水建設の担当者は、2020年4月に100億円規模の出資枠を設定したことを紹介。地理空間情報アプリプラットフォームサービス「mapry」を提供するマプリィ(兵庫県丹波市、山口圭司代表取締役)と土量計測システムで協業し、計画的なシールド掘進に役立てているとした。
 戸田建設の担当者は、20年にスタートアップ企業への投資活動を開始し、45件以上のPoC(概念実証)を行ったと報告した。出資先であるBH(東京都新宿区、澤規仁代表取締役)との連携では、スマートフォンから操作できる分電盤を開発。同社新社屋ビルの作業所で運用し、時間短縮に寄与したことを紹介した。
 東急建設の担当者は、米ブランチ・テクノロジー(テネシー州、ライアン・ラスクCEO)との連携を例示した。同社は、3Dプリンターを用いて多孔質マトリックス構造を作成し、強度を維持しながら意匠性の高い外壁を製造できる。東京都内の現場で波打った壁を取り入れる予定という。
 国土交通省の担当者らが登壇するパネルディスカッションも行われた。中島代表理事は「コミュニケーションをとって建設テックを盛り上げていきたい」と語った=写真。




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2024年10月9日水曜日

関東整備局、川崎市/横断歩道橋で芝生緑化社会実験、全国都市緑化フェア開催に向け

 関東地方整備局横浜国道事務所と川崎市は8日、川崎市川崎区のエレベーター付き立体横断歩道橋「川崎ハローブリッジ」で、芝生緑化の社会実験をスタートした。川崎市市制100周年記念事業「全国都市緑化かわさきフェア」の開催に向けた社会実験。国道15号と川崎市役所通りの交差点を先駆的な緑化技術の植栽とモニュメントで装飾する。国道横断歩道橋の芝生緑化は全国で初めて。
 川崎駅から緑化フェア「富士見会場」へのアクセスルートにある同歩道橋に薄層芝生緑化技術と芝改良品種を使ったモニュメントを設置する。設置には南出、富士科学、よみうりサポートアンドサービス、西武造園、伊藤商事が協賛する。
 同日、ハローブリッジで宮本久仁彦横浜国道事務所長、福田紀彦川崎市長、華道家で緑化かわさきフェア国道花のボランティア応援団長を務める假屋崎省吾氏が出席してキックオフセレモニーを行った。
 宮本所長は「市と連携して全国初の取り組みを成功させたい」とあいさつ。福田市長は「19日から始まる緑化フェアに向け、わくわくする緑のスポットができた」と期待を述べた。假屋崎氏は「緑は幸せと結びつく。この活動は未来につながる」と花と緑の大切さを訴えた。




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回転窓/新内閣と地方創生

 江戸時代に津山藩(岡山県津山市)の藩医、洋学者として活躍した宇田川榕庵。外国語の翻訳にも携わり、現在も使われている多くの新しい価値ある言葉を世に出した▼その一つが「珈琲」。諸説あるもののコーヒーの木の赤い実と枝から発想し、髪の玉飾りの「珈」と飾りのひもの「琲」を組み合わせたとされる▼この当て字が生まれた地でもある津山市の職員は「コーヒーは推しの一つです」と説明する。9月29日には市内の城東町並保存地区の一帯で珈琲フェアが催され、地元住民や観光客ら大勢の人でにぎわった▼市は同地区に所有する町家の一部をPFI法のコンセッション(公共施設等運営権)方式でホテルに再生した。これまで維持費を支出していた建物から、市は民間に付与した運営権の対価を受け取れるようになった。谷口圭三市長は「新たな価値を創造する」と話す▼新内閣発足から1週間が過ぎた。地方創生を政策方針の一つに掲げる石破茂首相が検討を指示した経済対策には、まちづくりの支援が盛り込まれる公算が大きい。大きな後押しとなり、地域の熱意とアイデアから新しい価値が広がるよう期待したい。




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国交省/トルコ貿易省と共同建設事業実現へ覚書、民間企業間ビジネスマッチングも

 国土交通省とトルコ貿易省は、第7回「日本・トルコ建設産業会議」をトルコのイスタンブールで1日開き、ウクライナの戦後復興やアフリカ市場への進出を念頭に置いた建設分野の協力関係を確認した。両国の建設関連企業が共同参画する建設プロジェクトの具体化を目指す。当日は日本から大手ゼネコンなど民間企業約30社も参加し、現地の建設関連企業とのビジネスマッチングなどを行った。
 会議では国交省の天河宏文国交審議官とトルコ貿易省のムスタファ・トゥズジュ副大臣が協力覚書に署名した。既に失効した覚書を再度交わした形で、両国が共同参画する事業の実現に向けたワークショップや技術の共有などの内容を引き続き記載。両国企業間の交流・情報交換を促進すると新たに明記し、以前より民間事業者の参画を後押しする。有効期限は5年。
 進出先としてトルコ側で長く事業展開する会社も多いウクライナとアフリカ諸国を想定する。会議にはウクライナ復興担当副首相兼地方・国土・インフラ発展大臣がビデオメッセージを寄せた。
 会議には海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)とトルコ建設業協会など、両国から官民合わせ約60機関・140人が参加。民間企業は日本から大手ゼネコンや専門工事会社、建設関連のメーカー・商社などが現地に同行し、トルコの建設関連企業約20社と情報交換した。国際協力機構(JICA)や国際協力銀行(JBIC)など多数の政府系機関も出席した。
 会議前日にはトルコ国内で日本企業が参画した建設プロジェクトのバシャクシェヒル松桜都市病院や第2ボスポラス橋ハンガー交換工事などの現場を視察した。




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大阪府/東大阪春宮住宅跡地の事業者再公募へ年内に方向性、早ければ25年春先に公告

 大阪府は2023年の開発事業者公募で該当者がなかった府営東大阪春宮住宅跡地(東大阪市荒本北2)約1・8ヘクタールについて、東大阪市と合同で都市計画(地区整備計画)変更の検討を進めている。12月までに再公募の時期を含め民間活用の方向性を改めて示す。跡地には大阪モノレール延伸の新駅も設置される予定で、新たな交通結節点としてふさわしいにぎわい機能などの導入が急がれる。再公募は早くても2025年春先になる見通しだ。
 9月27日に開かれた大阪府議会の代表質問で由井聖太議員(自民)が再公募への検討状況を質問。谷口友英都市整備部長が今後の見通しを答えた。
 跡地は府の所有地で、東大阪市役所の東側、近鉄けいはんな線荒本駅の北西約350メートルに位置する。敷地面積は1万8169平方メートル。用途地域は商業地域で建ぺい率が80%、容積率が400%。21年3月までイオン東大阪店が定期借地で出店していた。
 閉店後、23年に提案内容と提案価格で事業者を決める二段階審査方式で開発事業者を公募。1者が提案書を提出したが有識者による審査会で審査基準を満たしていないと判断され「該当者なし」となった。府は4月に改めて民間活用に向けた意見募集を実施。複数の事業者から容積率の緩和など都市計画の見直しを求める声があった。
 谷口部長は「7月には東大阪市と合同で都市計画変更案に対する意見を民間事業者にヒアリングした。現在、意見を踏まえた協議を市や関係者と進めており、年内に再公募への方向性を示したい」と説明。由井議員は「再公募に当たっては多くの事業者から提案を受け、にぎわいのあるまちづくりにつながるよう条件を検討してほしい」とした。




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太平洋マテリアル/床コンクリ用膨張材の一般販売本格化、冬季仕上げ時間3割減

 太平洋マテリアル(東京都北区、岡村隆吉社長)は、冬季の床コンクリートの仕上げ時間を約3割削減する初期反応促進型膨張材「太平洋NーEX neo」の一般販売を本格化する。コンクリートの凝結時間を低温環境下でも短縮できる。ひび割れ低減やブリーディング(浮き水)抑制といった効果が見込めるため、コンクリート表面品質の向上が期待できるという。
 同製品は、石灰系早強性膨張材にセメントの初期反応促進機能を付与した新型の膨張材で、特に打設空間5~15度の環境で効果を発揮する。コンクリートに投入することで早期強度発現や耐久性向上にもつながる。日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明も取得している。
 2022年に大和ハウス工業と共同開発し、一般販売に向け同社の現場で実施工を通じてデータを収集を進めてきた。気候や温度条件の異なる6現場で検証を行い、長期耐久性が良好であることを確認した。総打設時間や技能者の使用感、費用対効果なども調査。現場アンケートでは「通常であれば深夜に及ぶ作業を回避できた」「深夜作業がなくなったことで周辺対策・環境対策が低減された」といった回答が寄せられた。
 床コンクリートの施工は、コンクリートの硬化に合わせて仕上げていく。大型空間を有する施設などでは作業が深夜まで及ぶケースもある。特に冬季はコンクリートの初期強度発現まで時間を要するため、4月から建設業に時間外労働の上限規制が適用された中で、生産性の向上が求められていた。
 太平洋マテリアルの亀岡篤雄混和材営業部副部長は、「生産性向上と品質向上につながる点をさらにPRしていきたい」と話す。




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2024年10月8日火曜日

安井建築設計事務所/100周年記念コンサート開く、サントリーホールで

 安井建築設計事務所は1日、創業100周年記念コンサートを東京都港区のサントリーホールで開いた。すてきな音楽や素晴らしい建築のある平和な社会であるよう願いを込めつつ、20世紀につくられた音楽を選曲。藤岡幸夫氏の指揮による関西フィルハーモニー管弦楽団が、シベリウスの「交響曲第2番ニ長調op.43」などを演奏した。
 建築主ら招待者や社員など約1500人が来場。オープニングトークも実施し、藤岡氏は「世界でも指折りの素晴らしいホール」と、タレントのサヘル・ローズ氏は「音が全ての人々にとって居心地の良い世界であってほしい」と話した。佐野吉彦社長は「建築も音楽も人を幸せにする」と語った。
 同ホールはサントリーを率いた佐治敬三元社長から依頼を受け、佐野社長の父である正一氏(元社長)が設計を手掛けた。関西フィルも佐治、正一両氏が生みの親であり、記念の場として同ホールを選んだ。




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回転窓/「かっこいい」への遺志

 働き手にとってきつく、汚く、危険な場所や環境を言い表す「3K」。これまで建設業の職場環境を端的に示す言葉として使われるケースが多かった▼そういう面は否めないが、だからこそ現場の美化や安全対策など環境改善への意識は、他業界よりも高いと言える。建設業界では「新3K(給与・休暇・希望)」を合言葉に、魅力ある職場づくりが進む。さらに“かっこいい”を加えた「新4K」をアピールする▼技術者・技能者は災害発生時に被災地での啓開、復旧作業の最前線に立つことも。旧3Kのイメージを拭い去るのは容易でないが、地域のために過酷な現場で働く姿は頼もしく、多くの人が共感を覚えるのではないか▼1月に能登半島地震の復旧現場を取材した際、大変お世話になった現場関係者が先月の豪雨災害で亡くなられた。発災直後から休む間もなく懸命の作業が続く中、懇切丁寧に取材対応いただいた方の訃報に言葉を失った▼「被災地での経験を成長の糧にしてほしい」。復旧現場の若手技術者らへの優しいまなざしが思い浮かぶ。かっこいい現場技術者の遺志は、悲しみを越えて後進に受け継がれるだろう。




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国交省/民間建築で標準労務費の運用準備推進、労務比率把握へ実態調査

 国土交通省は改正建設業法で規定された「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとする見積もり・契約規制の施行に向け、民間建築工事での運用を想定した基準作成や実効性確保に向けた検討を深める。標準労務費の計算方法を「公共工事設計労務単価×歩掛かり」とした場合、個人住宅などの設計労務単価が設定されていない職種や、公的な歩掛かりが存在しない工種の扱い方が課題になる。当事者団体などとの意見交換を進めながら、2025年度には民間建築工事の請負金額に占める労務比率などの調査・分析に乗り出したい考えだ。
 標準労務費を巡っては先月、作成や運用の検討主体となる中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)が始動。法規制の施行前となる25年11月ごろまでに作成・勧告する方向が示された。一方、初会合では全職種・工種で一斉の作成は困難との認識から準備が整った職種から順次、検討する方針で合意した。
 国交省直轄工事で施工実績がない個人住宅の建築などは検討材料に乏しく、準備が難航する可能性がある。まずは民間建築を主体とする職種で労務比率などを明らかにするため、国交省は25年度予算で調査業務の委託費用70百万円を新規要求した。先行的に設定する職種の基準改定の在り方も併せて検討する方向だ。
 WGに参加する建設業団体の一部は設計労務単価について民間工事の実勢価格との乖離(かいり)を指摘。標準労務費に反映する上で妥当性の検討が必要だと主張した。国交省はWGと別に、前向きに取り組む意思のある職種の団体から意見交換の場を持つ考え。現行の契約慣行を把握した上で具体的な検討に当たる必要性を示す。建築分野の学識者からは、標準労務費の設定前でも躯体や内外装、設備など大きな枠組みで目安をつくり、暫定的な運用を可能とすべきと訴えた。
 国交省は官房官庁営繕部による積算基準の見直しに向けた動きと連携し、建築関係職種の標準労務費を具体化していく手順を選択肢に挙げる。同部は材工一式の市場単価で積算している工種の歩掛かり調査に順次取り掛かり、労務費などの内訳が把握可能な積算単価の設定方法を検討する考え。22年度以降、▽鉄筋▽型枠▽コンクリート▽配線▽ダクト設備▽左官▽保温-の各工種で調査を推進しデータが集まってきている。




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奥村組ら/山岳トンネル現場の覆工コンクリを自動打設、安定した品質確保に貢献

 奥村組と北陸鋼産(富山県滑川市、酒井正社長)は山岳トンネル工事現場の生産性向上策として、覆工コンクリートの自動打設システムを開発した。奥村組が保有している「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせ、これらに圧送ポンプ機のリモコンとバイブレーターの制御盤を接続。あらかじめ設定した打ち上がりの高さに応じ、ポンプの圧送速度や部位ブレーターの稼働、停止を自動制御する。打設口の切り替え作業を除き覆工コンクリを自動で打設できる。
 同システムは1系統の打設ルートを移動式型枠(セントル)の左右に分岐させ同時に打設する技術と、コンクリをセントル内の打設口高さに到達するまで流入した後も配管を切り替えず打設空間の上方へ圧入する技術を組み合わせた。配管切り替え作業の回数削減や同作業に伴う打設中断時間を短縮する。
 セントルに設置した圧力計で計測したコンクリの圧力から打設高さを算出。一定の高さに達したことを感知するセンサー設置による従来の計測方法に比べ、少ないセンサーの数で正確に打設高さを把握する。
 一般的に多くの熟練技能者が必要となる覆工コンクリの打設作業を省人化、省力化し、安定した施工の品質を確保する。奥村組によると、慢性的な人手不足で十分な熟練技能者の人数を確保するのが難しくなっている。技能者のスキルも異なるため品質にばらつきが生じやすい。狭い場所で繰り返しの作業も多く技能者にかかる負担が大きいことも課題だった。
 茨城県つくば市にある同社技術研究所で同システムの有効性を確認し、現在は実際の道路トンネル工事で試行中。今後は試行結果をフィードバックし技術のさらなるブラッシュアップを目指すとともに、移動式の鋼製型枠据え付け(セントルセット)やコンクリ養生など他の工程でも自動化を推進する。山岳トンネル工事のさらなる生産性向上に努める。




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2024年10月7日月曜日

回転窓/地中のナマズが動くと

 作家・池波正太郎の人気時代小説シリーズ『剣客商売』にナマズ料理が登場する。主人公の秋山小兵衛は、届けてもらったナマズ2匹を鍋やみりん醤油(しょうゆ)で付け焼きにしてぺろりと食べた(「鰻(うなぎ)坊主」より)▼日本で伝統的に食されてきたナマズは、見た目と違ってやわらかい白身で淡泊な味が特徴。農林水産省のウェブサイト「うちの郷土料理」では、群馬県の「なまずの天ぷら」を紹介している。天ぷらで食べればサクサクの衣とふっくらとしたくせのない身がおいしい▼ナマズと地震予知の説は江戸時代に生まれたと言われる。1855(安政2)年の安政江戸地震について書いた「安政見聞誌」には、地震の前にナマズが騒いだと記載されている▼古い書籍から引くと、地震で揺れることを表す古語「なゐふる」の「なゐ」は、「魚(な)振る」の転じたものとの一説もある。これが「鯰(なまず)が振る」となり、地中のナマズが動くので地震になるとかなり昔から信じられていたようだ▼小説で小兵衛は味のいいナマズを食べ過ぎて体調が悪くなってしまう。何ごとも過ぎてはいけないが、災害への備えは過ぎるくらいがいい。




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石破茂首相/経済対策指示し補正予算案提出へ、国土強靱化など安心・安全を柱に

 石破茂首相は4日の閣議で、災害対応をはじめとする「国民の安心・安全の確保」などを柱とする総合経済対策の取りまとめを閣僚に指示した。27日投開票の衆院選後、速やかに閣議決定し、その実施に必要な財源の裏付けとなる2024年度補正予算案を国会に提出する方針だ。能登半島などを襲った自然災害からの復旧・復興や、防災・減災、国土強靱化の推進に向けた施策を盛り込む。
 経済対策の柱は安心・安全の確保に加え、「物価高の克服」と「日本経済・地方経済の成長」の三つ。災害対応の一環で国の防災体制の強化や、避難所環境の改善にも取り組む。
 物価高対策は、特に影響を受ける低所得者世帯向けの給付金の支給や、地方自治体向けの交付金の拡充を想定。エネルギーコストの上昇に伴う対応にも当たる。
 石破内閣が掲げる「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向け、新たな地方創生施策の展開を目指す。中堅・中小企業の賃上げ環境の整備や、経済成長力の強化につながる国内投資の促進などの施策も講じ、「成長と分配の好循環」が確実に回っていく経済構造をつくる。
 同日の閣議では能登半島の被災地支援に充てるため、今月中旬をめどに追加の予備費支出の決定に向けて取り組むことも指示した。




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西日本高速四国支社/徳島道4車化で超高耐久橋梁第2弾を計画、施工は三井住友建設

 西日本高速道路四国支社は、徳島自動車道土成IC~脇町IC間の4車線化事業で新設する「指谷川橋」(橋長113メートル)について、非鉄製材料を用いた超高耐久橋梁とする方針だ。鉄筋やPC鋼材に代わり、腐食しない新材料を緊張材として用いる。超高耐久橋梁の技術は西日本高速道路会社と三井住友建設が共同開発した。導入は同区間に2021年1月に完成した別埜谷橋(同27・5メートル)に続く第2弾となる。
 超高耐久橋梁「Dura-Bridge」は腐食しない新材料「アラミドFRPロッド」を採用。構造物の耐久性を向上し、将来の維持管理の負荷低減を図ることができる。別埜谷橋は、新設の高速道路本線橋として初めてこの技術が導入された。
 三井住友建設が設計・施工を手掛け、20年度土木学会田中賞、21年度プレストレストコンクリート工学会賞など多くの受賞歴がある。
 第2弾は「徳島自動車道指谷川橋(PC上部工)工事」。PC3径間連続バタフライウェブ橋の上部工を新設する工事で、橋面積は約1000平方メートルとなる。工事場所は徳島県阿波市土成町秋月。工期は25年1月10日~28年8月21日。9月6日に三井住友建設と随意契約した。契約金額は26億6970万円(税込み)。
 別埜谷橋で技術的なモニタリングを続けてきた結果、100メートルを超える橋梁にも適用できる見通しが立ったことから導入を判断した。




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2024年10月4日金曜日

回転窓/目的意識が生み出す差

 「DXをとにかく進めろと指示されているが、何から手を付けたら良いのか分からない」。ある企業でDX推進のリーダーに着任した方がぼやいていた▼感じたのは手段と目的の乖離(かいり)。高いレベルの成果をより効率的に浸透させ、社会貢献と利益獲得の両立が目指す方向だろう。DXは有効な手だてだが目的ではない▼多くの産業で生産性向上が問われる中、付加価値を生み出す力のある経営企画人材のニーズは高まる一方だ。リクルートが先週発表した調査では、2024年1~6月期の経営企画関連の求人は、15年同期の10倍に増えた▼転職者数の伸びは3倍にとどまり、ニーズに見合う人材は不足気味。「事業成長のための課題解決を幅広く任せる」など要件が曖昧で、マッチングに至らないケースも多いそう。解決すべき課題を言語化し、求職者に訴求することが重要と同社は指摘する▼「三人寄れば文殊の知恵」と言うように、複数のアイデアが融合し新たな道が開けることは多い。未来を創造する人を自社に呼び込むには目的意識が大切。その追求心の有無が、人材の集まる側と出て行く側に分けるのだろう。




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大阪府・市/夢洲アクセス鉄道整備へ検討会設置、4路線の優位性比較

 大阪府と大阪市は、市内中心部から人工島・夢洲へのアクセス鉄道の整備に向け、有識者や鉄道事業者らで構成する検討会を立ち上げる。夢洲にはカジノを中核とするIR(統合型リゾート)が開業予定で、鉄道利用の拡大が期待されている。検討会で中之島(北区)や桜島(此花区)などと結ぶ4路線を比較し、今後の課題などを整理する。11月にも初会合を開く予定だ。
 検討会の委員は学識経験者のほか、JR西日本、京阪電気鉄道、大阪港トランスポートシステム、大阪メトロ、阪神電気鉄道と大阪府、市の関係者が入り、近畿運輸局と近畿地方整備局がオブザーバーとして参加する。
 対象となる路線は、1989年の運輸政策審議会答申第10号に盛り込まれた北港テクノポート線(コスモスクエア~夢洲~舞洲~此花方面)と2004年の近畿地方交通審議会答申第8号の中之島新線延伸(中之島~西九条~千鳥橋~新桜島)。JR西日本が検討している桜島線延伸(桜島~舞洲~夢洲)、京阪電鉄が検討している中之島線延伸(中之島~九条)の四つの区間を予定。
 IRには国際会議場や展示場、ホテル、レストランなどの整備を計画し、大阪・関西万博開催後の跡地開発も予定され、検討会で答申路線と検討路線の優位性を比較し、鉄道によるアクセス整備の方向性を議論する。今後の課題整理なども行い、25年度前半に検討結果をまとめる。会議は非公開とする。




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高松市/JR端岡駅周辺整備基本構想策定業務、パシコンに

 高松市は3日、「令和6年度JR端岡駅周辺整備基本構想策定業務委託」の委託先をパシフィックコンサルタンツに決めたと発表した。提案公募方式で同社を選定した。今後、契約手続きを進める。提案上限額は2103万円(税抜き)に設定していた。
 JR端岡駅は国分寺町新居に立地する市西部南地域の交通結節拠点。今回の業務ではマリンライナーの停車化を見据え、整備計画検討や事業スキームの整理などを担う。
 ホームや線路の改修はバリアフリー化を視野に検討する。駅舎を含む周辺の全体計画案を3案程度作り、概算工事費を算出する。施設整備の懸念事項の洗い出しも行う。履行期間は2025年3月31日まで。




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安藤ハザマ、日特建設/AIで地盤工事の地中施工情報可視化、アプリを共同開発

 安藤ハザマと日特建設は地盤工事の地中施工情報をAIで評価し、可視化するデジタルツインアプリケーション「GeOrchestra(ジオケストラ)」を共同開発した。地盤削孔で排出されるスライムからAIが解析評価した削孔位置の地質区分を、現場全体のCIMモデルに3Dデータとして反映。複数の工事関係者が同時に施工地盤内地質を360度視点で確認し、共有できる。現場実証では精度の高い予見によりリスクを回避。コミュニケーション支援ツールとして施工性向上も確認している。
 アプリでは、AIによる削孔スライムの解析から地質評価による3Dモデルの作成、モデリング情報を更新する一連の作業をクラウド上で全て自動化。新規のスライム情報がアップロードされると自動検知し、AIによる解析評価は数秒程度で完了する。3Dモデルの空間情報はユーザーが任意設定した時間間隔で自動更新し、地盤の削孔機械情報も施工進捗に応じて自動で反映する。
 3Dで可視化した施工情報は現場に通信環境があれば、複数の工事関係者がパソコンやタブレット、スマートフォンといったIoTデバイスで簡単かつ同時にアクセスし共有。360度任意の視点から確認できる。ユーザーごとの操作干渉も発生しない。
 アプリは、最長80メートルのグラウンドアンカーを計798本施工する国土交通省近畿地方整備局発注の高原トンネル上部斜面対策工事(奈良県川上村)に適用。このような大規模工事では削孔時の孔曲がりを抑制する管理が重要になる。アプリにより先行施工の地質評価結果を3Dで可視化し、孔曲がりが発生する遷移領域を確実に予見。事前の施工方法見直しや丁寧な削孔によって孔曲がりのリスクを回避した。施工地盤内地質を専門技術者と同程度の精度で評価できるようになり、現場判断も効率化した。
 安藤ハザマは今回現場で実証したグラウンドアンカーに加え、不可視地盤の施工管理が必要になる杭工事や地盤改良工事、トンネルの先行ボーリングなどでも適用を視野に入れる。




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2024年10月3日木曜日

安井建築設計事務所/10月15日~11月2日に都内で展覧会、100周年記念事業で

 安井建築設計事務所は100周年記念事業の一環として、「安井建築設計事務所100周年企画『まちなか展』」を15日~11月2日に東京都内で開く。東京都千代田区の同社東京事務所や、同社が設計を手掛けた作品の見学やワークショップなどを実施。同2日には、「まちにひらく、どうひらく?」と題したトークセッションを行う。
 同社が設計した「まちなか」にある建築を会場に、建築のディテールや設計プロセスを体感してもらう試み。対象は▽同社東京事務所(美土代クリエイティブ特区)▽東京国際クルーズターミナル、サントリーホール▽日本大学芸術学部江古田キャンパスアートギャラリー▽みらいステップなかの+中野東中学校。日程は施設によって異なる。
 対談・トークセッションには、佐野吉彦社長と西田司氏(オンデザイン代表、東京理科大学准教授)、田中仁氏(ジンズホールディングス代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)が登壇する。業界の垣根を越えて、これからのまちづくりについて意見を交わす。場所は東京事務所内。時間は午前9時30分~11時。定員は80人で、事前申し込みが必要。参加無料。
 詳細は同社100周年記念サイト(https://www.yasui-archi.co.jp/100th/)へ。9月には大阪会場で展覧会を実施していた。




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回転窓/読書で活字に触れる

 1カ月に1冊も本を読まない人が6割超に--。文化庁が先月発表した2023年度「国語に関する世論調査」で明らかになった。読書離れがこれほど進んでいるのかと改めて思わされる▼同庁は読書に関する調査を08年度から5年ごとに行っている。1冊も読まない人はこれまで4割台で推移していたが、23年度調査で急増。電子書籍も含む本を1カ月で何冊読むか聞いたところ、「読まない」が62・6%と最多で、「1、2冊」が27・6%、「3、4冊」が6・0%と続いた▼読書量については69・1%が「減っている」と回答。理由は「スマホなど情報機器で時間が取られる」が43・6%と最も多い。本を読まなくても、SNSの投稿やインターネット記事を読む機会が「ほぼ毎日ある」は75・3%に上った▼確かに小欄も電車内や寝室などでついついスマホを触ってしまい、気が付くと多くの時間を割いている。仕事上読むものを除けば、読書量が減少傾向にあるのは否めない▼子どもたちに大切なのはもちろん、大人にも想像力や集中力の向上、ストレス解消などの効果が期待できる読書。今秋は読書量の挽回といきたい。




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現場の残業時間ほぼ全てが上限規制内に、4週8休割合も上昇/全建会員調査

 建設現場の長時間労働が是正されてきている。全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が会員企業に実施した調査によると、現場従事者(技術者、技能者)で1カ月当たりの平均残業時間が45時間以下の割合は2023年に98・1%となり、前年と比べ2・0ポイント上昇した。4週8休を実現した現場は前年から13・4ポイント上昇の43・3%に達し、休日確保も広がっている。労働時間を短縮するための取り組みでは、「週休2日モデル工事の受注」などが挙がった。
 「働き方改革の推進に向けた取組状況等に関するアンケート調査」を7月に実施。会員企業2367社が回答した。時間外労働の短縮や休日確保の取り組み状況などを聞いた。
 現場従事者の残業時間を見ると、「15時間以下」が64・0%(前年比2・9ポイント上昇)と最も多く、次いで「16~30時間」が24・0%(0・6ポイント上昇)、「31~45時間」が10・1%(1・5ポイント低下)となり、45時間以下は計98・1%(2・0ポイント上昇)に達した。ほぼ全ての現場で時間外労働の上限規制に収まっていることが分かった。
 技術者と直接雇用している技能者で分けると、技術者の方が若干長くなる傾向がある。「45時間以下」の割合は技能者が98・7%(0・8ポイント上昇)に対し、技術者は97・0%(2・3ポイント上昇)となった。
 「おおむね4週8休」を実現している現場は43・3%となり、前年と比べ13・4ポイント上昇し大幅に改善した。「おおむね4週7休」は14・7%(0・4ポイント低下)、「おおむね4週6休」は33・2%(9・3ポイント低下)、「おおむね4週5休」は6・3%(2・2ポイント低下)、「おおむね4週4休以下」は2・5%(1・5ポイント低下)となった。
 全建は「4週8休の割合は前年からは伸びているものの、週休2日が当たり前の他産業と比べると決して高い数値とはいえない」と指摘。休日確保に向けて引き続き「目指せ週休2日+360時間(ツープラスサンロクマル)運動」などを推進する。
 労働時間を短縮するために実施している取り組み(複数回答)を聞いたところ、公共工事などの「週休2日モデル工事の受注」(50・0%)が最も多く、次いで「労働時間の適正管理」(44・7%)、「経営トップによる声かけ」(42・4%)と続いた。時間外労働が多くなる理由では「作成書類が多過ぎる」(71・5%)と「人員が不足している」(69・4%)が突出。書類作成の負担を抱えながら少ない人員で現場を稼働している実態が見えた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167593
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奈良県五條市/イオン敷地内に交流施設、対話で支援業務内容検討

 奈良県五條市はイオン五條店(今井2)の敷地内に、図書館を中心に子どもの遊び場やホールなどを備えた「(仮称)市民交流施設」の整備を計画している。イオンリテールの商業施設と合築または併設を予定し、市と同社が共同で事業を進める。同社が基本計画と基本・実施設計の各業務を発注する。市はアドバイザリー業務の委託を予定しており、サウンディング(対話)型市場調査の結果を踏まえ、業務内容を検討する。2日に市場調査の参加申し込みの手続きを始めた。
 計画では図書館やホールなどに加え、子育て支援施設、ギャラリーなどを整備する。図書館はカフェや書店を設け、憩いの場を提供する。ホールは音楽イベントや映画の上映などに対応し、観客席を設置する。ギャラリーでは芸術・文化活動の発表や観光情報などを発信する。
 イオン五條店は建て替えを予定し、新設する商業施設にはスーパーマーケットや直売所、物販店、飲食施設が入り、敷地内にバスターミナルの整備も計画している。
 事業手法はEOI(アーリー・オペレーター・インボルブメント、運営候補者先行選定)方式を採用。計画段階から運営の視点を取り入れることで、施設の利用価値や満足度を最大限に高める。2025年度までに設計をまとめ、26~27年度に建設工事、28年度からの運営開始を目指す。
 市場調査はアドバイザリー業務の受注希望者と意見交換を行い、委託業務の内容に反映するのが目的。25日まで参加申し込みを受け付け、28日に個別で対話を行う。対話項目は▽事業アイデア、実施する事業内容▽事業期間▽発注に当たって配慮すべき事項-など。30日に対話結果の概要を公表する。
 対象案件は「(仮称)五條市市民交流施設整備事業(EOI方式)アドバイザリー業務」。施設を最大限活用するための提案や助言を受けるほか、基本計画や設計業務の受託先に図書館、ホールなど各施設の規模や配置、商業施設との最適なゾーニングや動線を提案してもらう。受託者は指定管理者として施設の管理運営を行う。
 業務期間は24年度末~29年3月末。工事期間中は情報共有など連絡調整だけ行う。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167592
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大林組ら/地下コンクリ躯体の防水工法開発、短工期で湧水浸入防止

 大林組は地下水が原因の漏水を短工期で未然に防ぐ、地下コンクリート躯体の防水工法を開発した。特殊な立体繊維を一体化させたエチレン酢酸ビニール樹脂(EVA)系の防水シートを、地下コンクリート躯体の内側から専用のセメント系張り付け材で接着する。短工期、省人化を実現しながら、地下水由来の湧水の浸入を確実に防ぐ。同工法を積極的に提案し、短工期で優れた地下コンクリート空間を構築することで、高品質な建設物を提供する。
 「インナーシャット工法」は、防水工事や防水シートの販売などを手掛けるハセガワシート(千葉県八千代市、長谷川壽一代表取締役)と共同開発した。
 防水シートに一体化させた立体繊維がセメント系張り付け材に絡み付き、下地面に強固に接着。地下コンクリート躯体に浸入した地下水の水圧(背面水圧)による防水シートの膨れ、剥がれを防ぐ。防水シートは伸びに強く、コンクリート躯体の挙動やひび割れに対して追従し、剥離や破断が生じない。
 地下の内壁側から施工できるため、安定した作業環境が確保できるとともに、建物供用後の点検や補修も簡単にできる。主な工程は防水シートの張り付けだけなので、防水性を求める場合、最短1日で工事が完了する。
 防水シートに防食性があるため、防食性能を求める場合でも防水シート張り付けとシート接合部処理の最短2日で施工可能。湿潤面にも施工できる。コンクリート下地の養生や乾燥を待たずに施工でき、躯体構築から防水・防食工事完了までの工期を短縮できる。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167589
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2024年10月2日水曜日

業界一丸で上限規制に対応、発注者の柔軟な対応不可欠/本社調査

 日刊建設工業新聞社がゼネコンや道路建設業、設備工事業に9月実施したアンケート(有効回答56社)では、時間外労働の罰則付き上限規制に苦慮しながらも懸命に残業削減に努める現状が浮き彫りとなった。魅力ある持続可能な産業を実現するため、1日発足した石破政権でも、建設業の働き方改革に最大限配慮した公共工事の強力推進や民間発注者への呼び掛けなどが求められる。
 「誰一人取り残されない働き方改革が必要だ」。あるゼネコンの幹部は建設業が若者に振り向いてもらうためにも、時間外労働の削減が欠かせないと訴える。
 アンケートでは4~6月に原則月45時間を超過した非管理職の割合を聞いたところ、土木職と建築職で6割超が低水準の「20%以内」だった。単純比較はできないが、1割程度にとどまった原則年360時間を基準とした2023年度から大幅に改善。法律で定められた年720時間、複数月平均で月80時間という特別条項に照らし合わせると、各社のさまざまな努力によって非管理職の大半が着実に残業や休日出勤を削減し、上限規制の順守に取り組んでいることが予想できる。
 国土交通省の23年度「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」(回答1302社)によると、上限規制適用前の1月1日時点で直接雇用する技術者の時間外労働が特別条項を超過すると回答した企業は17・2%だった。本紙のアンケートでは、発注者に対して現場の実情への理解を求める社が多かった。
 「上限規制適用の初年度ということで、年度末に向けて現状では想定できていない問題が発生することも十分に考えられる」と指摘するのは別のゼネコン関係者。予期しない災害対応による通常工事への影響などを見越し、発注者には「工期延伸の協議、適正工期確保に対し柔軟な対応をお願いしたい」と強調する。
 石破政権の発足を受けて同日、建設業団体トップがコメントを発表。日本建設業連合会の宮本洋一会長と全国建設業協会の今井雅則会長、全国中小建設業協会の土志田領司会長は、引き続き国土強靱化対策を推進するよう求めた。建設業が働き方改革を推進しながら国土や地域の守り手としての役割を果たし続けていくためにも、発注者には現場に寄り添う柔軟な対応が不可欠となる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167556
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新社長/飛島ホールディングス・高橋光彦氏、成長に向け仲間呼び込む

 飛島建設が持ち株会社体制に移行し、1日付で「飛島ホールディングス(HD)」が発足した。複雑化する社会ニーズや社会課題に機動的に対応。既存事業を効率的に運営しつつ将来の成長を見据えたイノベーションとビジネスモデルを追求する。HDをプラットッフォームと位置づけ、これまでの建設事業とシナジー(相乗効果)を創出する「グロース事業」や、デジタル技術で建設生産プロセスを変革する「イノベーション事業」で企業間連携を加速させ事業領域の拡充に取り組む。
 --就任の抱負を。
 「時代の潮流や先を読む力が経営者に求められる。時代の変化を敏感に捉えることが私の一番の役割だろう。平時から危機意識を持ち、社会の変化や動きを見定めながら着々と布石を打つ。時代が移り、環境が変われば戦略も変わる。トランスフォーメーショナル経営の発想で全体の指揮を執っていく」
 --HD化の狙いは。
 「新たなビジネスモデルや新たな成長フィールドを探すために自前主義を捨てる。新たな仲間を迎えるストラクチャーを持って事業ドメインや戦略、経営のオペレーションを改革することが狙い。HD機能を活用して全体最適の考え方で経営戦略の統合と経営資源の分配を効率的に行う。事業ポートフォリオを見直し収益基盤の拡大に取り組む」
 --経営方針は。
 「既存事業の稼ぐ力を維持しながら新たな成長戦略を描く。人手不足や働き方改革への対応も不可欠だ。従来のビジネスモデルでは限界があり、新たな戦略との乖離(かいり)をどう補正していくか。建設という単一サービスだけでは社会ニーズには応えられない。創業の精神を時代の変化と社会に合わせて『New Business Contractor』と再定義した。自らが新しいビジネスを創造するとともに、多様な他者のビジネスの創造を支援し、実現を約束するビジネスパートナーとなる。変革の道筋を示し、従来の枠組みや方法にとらわれずに新しい価値観、可能性を創造していく」
 --注力分野は。
 「27年度までの中期経営計画を策定し、未来の建設産業の姿を『インフラアンチエイジング産業』と捉え直した。建設事業のリスキリングを推進しつつ、川上から川下までを一括でサービス供給できるグループを目指す。スクラップ&ビルドには限界があり、社会インフラにかかわる各事業をライフサイクルコストまで含めた形で提案することが理想だ。建設事業やリニューアル事業という単一のものではなく『面』で捉える。一連の複合事業でグループの趣旨に賛同する方々と仲間となって取り組みたい」。
 (10月1日就任)
 (たかはし・みつひこ)1985年中央大学文学部卒、飛島建設入社。2014年執行役員、19年常務執行役員、20年取締役兼専務執行役員。神奈川県出身、63歳。事業戦略や経営企画畑を歩き、仕事の息抜きは社員を含めて「人と話すこと」。経営者としては自身を「ストラテジスト型」と認識し、SX経営(両利きの経営)を推進する。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167538
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群馬建協/CCUSと建退共の連携強化を提言、上限規制アンケート受け

 群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)と建設業退職金共済(建退共)制度のさらなる連携強化を国土交通省などに求める。CCUSの就労履歴と建退共の就労実績、労務安全書類を電子化し「通門管理機能」(現場へ入場する作業員の入退場履歴を管理できる機能)で連携。協調領域をDXして現場管理の効率化、省力化につなげるのが狙い。2日に行う関東地方整備局との意見交換会などで質疑テーマに挙げ、積極的に提言する。
 群馬建協は時間外労働の上限規制適用を受け、8月26日~9月9日にアンケートを実施。会員276社中244社が回答した。
 規制適用後に明らかとなった課題として「工事コスト上昇」と「生産性低下」が挙がった。生産性低下の理由としては「後片付けを勤務時間内に行うため日当たり作業量が低下した」「工事書類を作る時間がなくなってしまった」「時間外労働をしないため工事工程が延びた」の三つが大半を占めた。
 アンケート結果を受け、群馬建協の若田部純一常務理事は「建設システムの生産性をどう高めるかが今後の課題となる」と指摘。青柳会長は「地域の企業が力を合わせる協調領域で働き方改革を進めることが大事だ」と訴え、▽協調領域のDX拡張と加速化▽労務単価の引き上げと歩掛かりの見直し▽受発注者間の業務の洗い出しとスリム化の徹底-の3点を提言した。
 群馬建協は2日の関東整備局との意見交換会に続き、8日には全国建設業協会(全建、今井雅則会長)関東甲信越ブロック会議も控える。青柳会長は「今後はデータ管理で業務を棚卸しして実際にどう業務を効率化するかをしっかり提言したい」と強調。「これから現場管理の問題点が出てくるだろう」とし、年数回の調査を継続する方針だ。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167553
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大成建設/「やわらかい木」を構造部材に利用、壁や屋根を曲線的なデザインに

 大成建設は、人の手で簡単に曲げたりねじったりできる高弾性の木質材料「やわらかい木」を、構造部材として使う新構法を開発した。一定間隔で並べた木製の柱に帯状のやわらかい木を格子状に編み込み、曲線的なデザインの壁や屋根を構築できる。建築物の木造化や木質化の需要が高まる中、強度が低い木材の使い道を広げられる。同社は独創的な意匠の木質空間をつくり出せる構法として、積極的に提案していく。
 やわらかい木は、2008年に東京大学の足立幸司特任助教(現秋田県立大学教授)が開発。薄い板をシート状の粘着剤で貼り合わせて積層し、従来の合板と比べ10倍以上の曲率を持つ。容易に滑らかな曲面をつくれる意匠性の高さから家具材などに利用されてきたが、柔らかさゆえに自重や人力で変形しやすく、自立させるのが難しかった。
 開発した木質網代構法「T-WOOD Goo-nyaize」(グーニャイズ)では帯状のやわらかい木を柱や梁に編み込み、表裏に平面部分を規則的に配置することで、外部からの力に対して抵抗を生み構造性能を発揮させる。柱には曲げながらビスで留め付けて形状を維持。ビスを抜くと形が板状に戻るため運搬、保管がしやすい。やわらかい木の形や配置などを変えることで採光量も調整できる。
 横浜市戸塚区の大成建設技術センターに同構法でパーゴラを建て、加力・荷重実験を実施。木造耐力壁の強さを表す壁倍率換算で約0・5~1・0倍と、従来の耐震壁と同等の性能を備えることを確かめた。同社と足立教授が共同で特許を申請している。
 これまで低密度の木材は製材後の強度が低く構造部材として使いにくかったが、やわらかい木が構造部材に適用できることで未利用材の有効活用を期待できる。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167542
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東京都/谷沢川の洪水対策で分水路整備が終盤、26年度の完成めざす

 東京都が世田谷区内で進めている谷沢川分水路の整備工事が終盤に入った。谷沢川近くの環状8号線などの地下にトンネルを構築。河川の増水時に取水し、下流へと分散して流す。トンネルの掘削工事を終え、9月に下流で分水路の水を谷沢川に戻す水路工事が始まった。施工をフジタ・ホープJVが担当している。今後、取水施設の工事なども行い2026年度の完成を目指す。
 谷沢川は世田谷区の南東部を流れ、最終的に多摩川と合流する1級河川。過去には大雨によって氾濫し、道路の冠水や家屋の浸水被害が発生していた。1時間当たり75ミリを超える豪雨時に分水路に洪水を流し、沿岸の被害を防ぐ。
 分水路の工事は18年度に始まった。21年5月に下流部に位置する都立園芸高校玉川果樹園(世田谷区玉堤2)の発進立坑からシールドマシンで掘削を開始。世田谷区道や環状8号線、国道246号の地下を通り、到達立坑のある上流部の区立玉川台広場(玉川台1)に24年5月に到着した。
 トンネルは内径5・5メートル、延長3・2キロ。地下16~30メートルの位置に構築した。都の河川では初となる「ふかし上げ構造」を採用。下流ではポンプを使わず、高低差によって生じる圧力によって水を地上に上げ、谷沢川に放流する。トンネル本体工事は安藤ハザマ・東鉄工業・京急建設JVが担当した。
 上流の玉川台広場に整備する取水施設では、谷沢川のほか、地下にある雨水幹線とも接続する。現在、雨水幹線と取水施設をつなげる工事事業者を選定中だ。河川と下水道管両方の水を取り込むことで外水氾濫と内水氾濫の両方の被害を防ぐ。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167551
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2024年10月1日火曜日

宮城県/米グーグルと地域課題解決へ基本合意、生成AI活用などで連携

 宮城県は地域が抱える課題の解決や行政のDX推進に向け、米グーグルと共同で取り組むことで基本合意(MOU)した。今後2年、同社のAIサービスの無償提供などを受け、職員事務の分析や自動化、行政手続き申請などのサービス効率化に役立てる。グーグルが国内自治体と協定を結ぶ初の事例になる。
 両者は▽行政サービスの効率化▽高齢者のデジタルリテラシー向上▽生成AI活用-の3プロジェクトに着手する。宮城県でモデルを構築し、将来的には全国の自治体に展開していく可能性もあるという。
 行政サービスの迅速化に向け、AIサービス「ノートブックLM」を活用し膨大な量の行政データを分析。プライバシーを保護しながら戸籍登録や育児申請などの手続きを効率化する。県庁職員が書類作成に費やす時間を減らし、県民サービスを向上する。グーグルが講師の育成プログラムを提供する形で、高齢者がインターネットを安心して利用できるようデジタルリテラシーの向上にも取り組む。
 9月30日、グーグル本社のクリス・ターナー政府渉外・公共政策担当副社長が宮城県行政庁舎を訪れ、村井嘉浩宮城県知事と協定書に署名した。
 村井知事は「人口減少と少子高齢化が進行する中、複雑・多様化する課題に対応するにはDXの推進が不可欠だ」と指摘。「デジタル分野で世界のトップランナーであるグーグルとの協定は、県の取り組みを大きく前進させる」と期待を込めた。ターナー氏は「(MOUで)AIの恩恵が県民に直接もたらされ、日常生活の向上と未来への新たな機会が創出されると確信している」と述べた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167523
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回転窓/国づくりの議論の場

 きょうから10月。「神無月」とも呼ばれ、旧暦の10月は島根県にある出雲大社に日本全国からやおよろずの神々が話し合いのために集まることが言葉の由来とされる▼神様たちの会議ではその年の報告や来年の相談を行うそう。人の計り知れないことが中心で、主な議題は来年の収穫の良しあしや国の繁栄など。国づくりの神様で知られる出雲大社の御祭神・大国主大神は良縁祈願の神様でもあり、人と人の縁結びも重要な議事のようだ▼出雲大社のウェブサイトによると、国土を開拓した大国主大神は農業・漁業といったなりわい、医薬などさまざまな知恵を人々に授け、日々の暮らしのすみずみに至るまで幸せの種まきに励んだ。その後、天照大御神に国を譲り(国土奉還)、自身は神々の世界を治める大神になったとしている▼政治の世界から現代の国づくりに携わる連立政権の自民、公明両党のトップが交代した。1日召集の臨時国会で第102代首相が選出され、新内閣が発足する▼月内の衆院解散・総選挙に向け周囲は騒がしい。多くの問題が山積する中、国会が空転せず、建設的な議論が進み、政治空白が生じぬように。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=167520
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静岡県富士市、インフロニアHD、前田建設/漏水調査実証実験、非開削で管路状態把握

 静岡県富士市とインフロニア・ホールディングス(HD)、前田建設の3者は、水道管の漏水調査に海外の新技術を活用した実証実験を行っている。市が実証フィールドを提供し、非開削による管路の状態監視技術「ePulse(イーパルス)」の有効性を検証する。調査期間は9月30日から2日までの3日間。有効性が確認できれば、市水道事業の喫緊の課題である有収率向上と維持管理の効率化に向け、積極的に新技術を活用していく。
 有収率は、浄水場や配水場から市内に送り出す給水量に対する、料金など水道事業の収入として計上される有収水量の割合。数値が高いほど効率良く利用者に水を供給できる。市は管の老朽化などで漏水が多く、有収率が低い。
 官民共同研究は、前田建設らからの提案で水道管路の維持管理の効率化や有収率向上などをテーマに2023年度から実施している。漏水記録のデータやAIなどを活用した管路の劣化予測とリスク影響を評価するとともに、管路の予防保全で有用な技術などを調査・検証する。フィールド実証ではエコロジクス社(カナダ)の技術であるイーパルスを使う。
 管厚による音響圧力波の速度の違いにより劣化度合い(配管の残存厚)を計測する。富士水系と神谷水系で計約1キロの管路10カ所で調査する。実施実験では、データの分析と並行して調査区間の管路を掘り起こし、実際の状況と比較する。
 イーパルスによる調査診断が実現すれば、地面を掘り返すことなく管路の漏水や破裂の要因である管厚を把握できる。設置時の設計管厚に対する減少率を解析することで、将来的に漏水や破損が発生する可能性の高い老朽管を特定し、優先的な更新が可能になる。市は従来の事後保全を中心とした管路管理から、予防保全管理を実現するため積極的に民間の保有する先進技術などを活用する。




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戸田建設/TODA BUILDINGが竣工、11月2日開業

 戸田建設は9月30日、東京都中央区で建設していた超高層複合ビル「TODA BUILDING」が竣工したと発表した。同社の新本社ビルになり、文化発信施設や商業施設も併設。日本橋エリアに新たなにぎわいが生まれる。耐震性能の強化などを通じ、地域の防災性向上にも貢献。建物は延べ9・5万m2の規模で、設計・施工は自社で手掛けた。11月2日に開業する。=3面に関連記事
 計画地は京橋1の7の1。中央通りに面している。建物は地下RC・SRC地上RC・S造地下3階地上28階建て塔屋1階延べ9万4912m2の規模。1~6階が「芸術文化施設」や商業施設で、8~27階がオフィスとなる。同社の本社は8~12階に入る。
 6階はポップカルチャーを発信するミュージアムが開業。大空間の展示で作品の世界観を体感できる。建物はコアウオール免震構造を採用して国内最高水準の耐震性能を実現。中央通りに面した広場は大規模災害時の一時避難場所として提供する。




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京急行鉄、トヨタ/品川駅西口地区A地区(東京都港区)、延べ31万平米に

 ◇25年5月着工、設計は大成建設
 京浜急行電鉄とトヨタが、東京都港区の品川駅西口で推進している「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」の概要をまとめた。建物は延べ31・3万平方メートルの規模で計画。高さは154メートルで、オフィスやホテル、商業施設、MICE(大規模なイベント)施設などが入る。現在は大成建設に実施設計を任せている段階。2025年5月の着工、29年1月の竣工、同年度の開業を目指す。
 計画地は高輪3の417の31(地名地番、敷地面積2万3584平方メートル)。21年に閉館した複合商業施設「シナガワグース」の跡地に当たる。新たな建物はS一部SRC造地下5階地上28階建て延べ31万3100平方メートルの規模で計画。基礎工法は直接基礎で、一部に杭基礎を採用する。
 低層部に商業施設が入り、中層部にMICE施設やオフィス、高層部にはホテルが入る。オフィスにはトヨタの東京本社が入る予定だ。トヨタは20年、開発に共同事業者として参画。24年4月には京急から土地の譲渡を受け、地権者としても関わっている。竣工後の建物は両社が共同で運営する。
 事業は22年10月に政府から国家戦略都市計画建築物等整備事業の認定を受け、11月には地区計画の変更が決定(都決定)された。
 品川駅西口では約14・7ヘクタールのエリアを対象に再整備が進む。京急らの計画は駅に最も近いA地区に当たり、他にB、C-1、Dの3地区がある。エリア内の土地区画整理事業は都市再生機構が手掛けている。




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東大、清水建設ら/カーボンネガティブCCC、実建築物適用にめど

 東京大学や清水建設らによる研究グループは9月30日、大気中の二酸化炭素(CO2)と廃コンクリートから生成した炭酸カルシウムによる「炭酸カルシウムコンクリート(CCC)」を用いて、建築物などを建設できるめどが立ったと発表した。CCC硬化体で従来のコンクリートと同等強度を実現。CCC硬化体による柱部材も開発した。今後、国土交通大臣認定を取得し実建築物への適用を目指す。セメントを使わないコンクリートを作り、永久的に循環させていく道を開くプロジェクトとなる。
 新エネルギー・産業技術総合研究機構(NEDO)のムーンショット型研究開発プロジェクト「C4S研究開発プロジェクト」(プロジェクトマネージャー・野口貴文東京大学大学院教授)の成果となる。東京大学、北海道大学、東京理科大学、工学院大学、宇都宮大学、太平洋セメント、清水建設、増尾リサイクル(東京都荒川区、増尾光彦代表取締役)による研究グループが手掛けている。
 ミスト状にした水分を廃コンクリ粒子に一定間隔で供給した後、乾燥を繰り返すなどして大気からのCO2回収を従来の50倍に加速化し、カーボンネガティブを実現した。低温で微粉末材料を加圧することにより、高密度化してCCC硬化体を製造する手法を採用。直径10センチのCCC円柱体で圧縮強度38メガパスカルの品質を確保した。
 建物への活用に向け、薄肉鋼管で被覆したCCC硬化体を鋼板を介して5層連結し、プレストレストを導入したCCC柱部材を開発。耐震性評価試験を行い、全体の剛性を確保した上で建築物に活用できることが分かった。CCC壁部材などの開発も進めている。接合部などの検討が必要だが、3、4階建て程度の建築物は実現可能とみている。
 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で模擬構造物を展示する予定。東京都内で会見した野口教授は「確実に数年後には普及できるめどが立った」と述べた。




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