2025年4月10日木曜日

東京都多摩市/多摩中央公園オープン記念に中央図書館でトークイベント開く

 ◇佐藤総合計画・渡辺猛氏「図書館の枠越えつながりの場に」
 東京都多摩市は5日、多摩中央公園のグランドオープン記念イベント「まちづくりトーク」を市立中央図書館で開いた。テーマは「“本のまち”の育て方」。公園内にある同図書館を設計した佐藤総合計画の渡辺猛執行役員東京オフィスディレクター、同公園の設計を長年手掛けるあい造園設計事務所の細谷恒夫代表取締役会長が登壇し、それぞれの取り組みを紹介した。多摩センター周辺の関係者とのパネルディスカッション(PD)も行われた。
 阿部裕行市長は2023年7月に開館した同図書館について「環境にも優しく、都内の図書館で初めてZEB Ready認証を取得した。早朝から多くの人が並んでいる。市民と勉強しながら本の文化を育て、持続可能なまちづくりを進める」とあいさつした。
 渡辺氏は歩車分離を徹底したニュータウン特有の断面構成と、まちと公園の結節点にある敷地特性を踏まえ、図書館のコンセプトを「丘に佇(たたず)むライブラリー」と説明。「斜面地に沿って建物を地中に埋め、高さを抑えるなどし、風景や姿を変えないようデザインした」と述べた。
 同図書館はRC・S一部SRC造地下2階地上2階建て延べ5439平方メートルの規模。知の地域創造に向けた図書館を目指し、「静寂的開架」(専門的な資料を蓄え、静けさや落ち着きのある空間)と「広場的開架」(市民に身近で親しみやすく、にぎわいや活気に包まれた空間)の対照的な空間が求められた。
 渡辺氏は「地形にフィットする建築にし、周辺の環境や活動とつなげた」と解説。「2階は広場系開架にし、公園と一体となった広場のような空間。緩やかにゾーニングした書架とともに、人的サポートの拠点を点在させ、コモンズの機能を高めた。まちとつながる1階は静寂系開架。半地下で生まれる壁面書架に専門書などが高密度に集積する書庫のような場とした」。
 機能が拡張する書架や可変性のある家具もデザイン。「従来の図書館の枠を超えたつながりの場所になっている。図書館の活動が公園へと広がり、公園での活動を図書館に引き込む。こうした試みが起点となり、さまざまなイベントとの連携に発展し、本のまちへとつながっていく」と話した。
 あい造園設計事務所の細谷氏は、公園の改修設計に当たり▽できるだけ現況改変せず、景観を継承する▽“緑ファースト”で進める▽市民意見を反映する-の三つを重視。具体的な取り組みを解説しながら「公園を緑の回廊(林環)で包む。七つのプレストと二つのコア施設が、人とまちを育てる」との考えを示した。
 PDは渡辺、細谷両氏に加え▽常世田良(多摩市立図書館本館再整備基本計画検討委員会委員長)▽成瀬恵宏(都市設計工房代表、元都市再生機構職員)▽佐々木紘未(啓文堂書店多摩センター店店長)▽水澤正毅(丸善多摩センター店店長)▽渡邊哲也(多摩市立中央図書館館長)-の5氏が参加した。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172929
via 日刊建設工業新聞

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