2024年9月9日月曜日

ユアテック/安全確保と品質向上で技術開発加速、電線圧縮接続作業など支援

 ユアテックは、工事施工の最前線に立つ作業者の安全確保や生産性向上を目的に、支援技術の開発に力を注いでいる。高所で行う電線や光ファイバーの接続など日常的に多い作業をターゲットに専用器具の新規開発や性能向上などを推進。架空送電線工事に従事する作業員(ラインマン)向けにも、動きやすさなど重視した新しいスーツの実用化を目指している。
 実用化が近いもののうち電線の圧縮接続作業に使用する工具は、高所作業車のバケット内で使用する。片手に圧縮工具を持ちもう片方で電線とバルーンスイッチを支える方法は、作業者の負担が大きく指を挟んだり、気温の変化などでスイッチが誤作動したりするケースもあった。
 これまでの事故事例や現場の要望を踏まえ、長年使われていたバルーンスイッチを2段階操作の無線スイッチに変更。作業負担を軽減しつつ指を挟む事故の回避につなげる。開発と現場試行を繰り返し2年程度の時間で実用化が可能なレベルに到達。高所作業車の更新に合わせ順次切り替えてく計画だ。
 ラインマンが500キロボルトの超高圧架空送電設備で工事を行う場合の作業スーツも改良に取り組んでいる。送電線の工事は静電気がたまった状態で作業をすると、強力な放電が起こって事故になる場合がある。このため導電性作業服の着用が義務付けられているものの、通常の作業服の上に導電性のある作業服を重ね着していたため、夏場の暑さや作業前の準備、動きにくさなどに課題があった。
 ラインマンは高所作業に従事し、高い技術や高度な技能が求められる。スペシャリストを支える取り組みとして、同社は作業服の重ね着が解消できる新型スーツを開発した。要求性能を満たす機能の一体化はハードルが高く、実用化レベルに到達するまで「4~5年がかかった」(技術開発センター)という。作業服の切り替えに合わせ更新していく計画で、送電線工事従事者の負担軽減につなげていく。
 テレビ共聴用光ケーブルの引き込み作業で使用するケーブル掴線器も現場導入が可能な段階にある。光ケーブルを住宅などに引き込む時、作業員は細いケーブルを手で持ち、落とさないようにしながらつなぐ。ケーブルは適度な緩みが必要で、引っ張りすぎると断線する恐れもある。
 細いケーブルが保持できる専用の工具があれば両手が自由になって作業効率が高まり、生産性の向上や作業負担の軽減につながる。既に試作品を現場に貸し出しており、年度内には製品化が可能な段階にある。新しい掴線器を協力会社などに購入してもらい現場の働き方改革に役立てる計画という。
 引き続き同センターと各部門が連携し、テーマの抽出や研究・技術開発の進捗などを情報共有し、効率的な時流に合った取り組みを推進する。屋内外を問わず深刻化している夏場の熱中症対策も重要項目に位置付け、大学との共同研究などで効果的な方策を探る。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=166920
via 日刊建設工業新聞

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