2026年9月3日木曜日

FOMアカデミー(福島市)/風力発電「国際標準」の人材養成/安全なO&M実現へ

 風力発電を支える人材育成の拠点が福島市にある。技術者・技能者を養成する専門訓練施設「FOMアカデミー」だ。風力発電施設の安全訓練や緊急対応について国際基準を定める国際団体の認証を受け、国内外の風車メーカーや設備工事会社から訓練生を受け入れている。実際の現場を再現した設備で実践的な訓練ができるのが特徴だ。トップインストラクターの吉田敏光氏は、安全に働ける風力産業の実現に向け「トレーニングプログラムを広げ、標準化したい」と語る。
 FOMアカデミーは、世界の風車メーカーや風力発電事業者でつくる非営利組織「GWO」(本部・デンマーク)の国内3カ所目の認証施設として、22年6月に開校した。福島県内の建設関連企業13社などで構成する「ふくしま風力O&Mアソシエーション」(渡辺誠理事長)が整備し、吉田氏がゼネラルマネジャーを務める風凜(福島市)が運営を受託している。
 発電設備が高く狭い場所に設置される風力発電所では、傷病者の搬送などに特別な知識や技能が求められる。アカデミーでは、基本的な「BST」と発展型の「ART」という、二つの国際ライセンスが取得できる。日本では風力発電が推進される一方、国内メーカーが市場から撤退しており、建設やO&M(運営・維持管理)を担う人材に国際資格が求められる場面が増えている。
 山あいにある校舎は、福島市から公有財産活用事業で譲り受けた旧茂庭小学校を改装した。旧体育館には、脱出訓練用の高さ約10メートルのトレーニングタワーがそびえる。校庭には消火訓練設備や実際の風車を模したモックアップを備え、発電機の構造などが学べる。設備の充実ぶりについて、吉田氏は「日本一」と胸を張る。
 設立から4年で延べ約900人が訓練を修了した。吉田氏は、世界標準と日本の安全文化の違いについて「まず事故が起こることを想定する」と指摘する。緊急事態が起きた際、現場の担当者が冷静に対処できるよう、平時から備えておく必要性を強調する。
 関電工の子会社で再生可能エネルギー発電設備の運営・保守を手がけるエナジーO&M(東京都墨田区)の大塚豊社長も、アカデミーに大きな期待を寄せる一人だ。政府は陸上風力発電について30年に17・9ギガワットの導入目標を掲げる。O&M人材の確保は急務といえる。「一人前の技能者になるには5年はかかる。時間が限られる中、アカデミーは大切な存在だ」と、大塚社長は力を込める。
 日本風力発電協会の集計によると、福島県は25年の都道府県別風力発電実績で、新規導入量が全国1位の274メガワットとなった。累積導入量でも全国4位の544メガワットに上る。
 県も風力発電のO&Mを安定的な雇用を生む「次世代産業」と位置付け、生徒・学生向けの案内冊子を県内の学校に配布するなど、産業振興を後押ししている。


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