2026年9月1日火曜日

回転窓/静寂の向こうに

 東北に勤務していた時、東日本大震災の復興祈念施設を何度か訪れた。整然と整備された公園、立派な建物。そこに身を置くと、復興の歩みを感じた。その一方で、言葉にできない戸惑いが、いつも心にあった▼公園や建物は、静かで、きれいで、荘厳だった。だが、その静寂の向こうには、かつて確かに人の暮らしがあり、突然それを奪った津波があった。鎮魂の場に身を置くと、悲しみだけでなく、失われた日常の重さまで浮かび上がる▼目の前の穏やかな風景が、「あの日」を想像させる。立派な施設を批判したいのではない。むしろ、後世に記憶を伝えるために必要な場所だと思う。それでも、整えられた景色と、そこで起きた現実との間には、簡単に埋まらない距離がある。そのギャップに戸惑い、自分がその場にいていいのか迷った▼きょうは防災の日。災害を「過去の出来事」にしないために、記者としてもう一度、恐怖や悲しみと向き合いたい▼静かな場所に立った時こそ、そこにあった暮らしを考える。突然奪われた日常に思いを巡らせる。あの日の風景を想像し続けることが、災害を「過去」にしないための一歩なのだと思う。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187272
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大阪府泉佐野市/泉佐野丘陵東地区造成が起工/施工は大本組JV

 大阪府泉佐野市が関西空港自動車道上之郷IC周辺の丘陵地帯(日根野、上之郷ほか)で計画する「泉佐野市丘陵東地区造成工事」が起工し、8月31日に安全祈願祭が開かれた。未開発状態が続いていた旧泉佐野コスモポリス用地の東地区(34・4ヘクタール)に新たな産業集積用地を創出する。設計・監理をURリンケージ、施工を大本組・豊成建設JVが担当。工期は2030年3月31日まで。
 東地区は西隣で上之郷IC、南側で阪和自動車道に囲まれ、府有地など構成する。土地区画整理事業として同意施行者の泉佐野市が一体的に開発を行う。
 計画によるとA用地(約9ヘクタール)とB用地(約5・5ヘクタール)、C用地(約2・5ヘクタール)、D用地(8265平方メートル)の各区画を整備。区画道路や調整池2カ所、緑地帯を設ける。南西側のB用地は、泉佐野市と大阪府田尻町、熊取町の広域ごみ処理施設の整備用地に設定。造成の完了後、別途工事を進める予定だ。
 工事概要は地盤改良工と切り土工(128万立方メートル)、盛り土工(123万立方メートル)、土砂運搬工(45万立方メートル)、のり面工、調整池施設工、防災施設工、道路施設工、市道改良など。
 神事ではURリンケージの太田潤取締役兼専務執行役員西日本支社長が鎌、千代松大耕泉佐野市長が鋤、大本組の三宅啓一社長が鍬を入れ、工事の無事完了を祈願した。
 神事後、千代松市長は「長く未利用だった旧コスモポリス用地で、関西国際空港に近い立地特性を生かし、産業集積を再び図る。市の将来の発展につながる地域にしていきたい」と話した。太田取締役は「地域産業の未来の骨格を築く重要なプロジェクト。事業完了に向け、技術的な支援に努めていく」、三宅社長は「安全と品質、コンプライアンスを確保し、円滑な施工に努める。地域との交流や現場見学会にも取り組みたい」と語った。
 □伊賀文彦所長(大本組)の話□
 「安全第一に、地元と共存共栄できる現場にしたい。土砂運搬では周辺への安全対策を徹底する」。


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from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187276
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国交省/リスキリング支援に本腰/27年度概算要求で、建設業団体を伴走支援

 国土交通省は、建設業従事者の処遇改善や入職促進、リスキリング(学び直し)、DX推進に取り組む建設業団体を伴走支援する新たな事業を立ち上げる。2027年予算の概算要求に関連経費を盛り込んだ。特に、政府全体で重要施策に位置付けるリスキリングに向けた教育プログラムの開発などを後押しする。不動産・建設経済局と住宅局が連携し、建築生産分野では計画作成から実証・加速化までを一貫して支援する体制を整える。
 政府が成長投資などを促す17の戦略分野全体の設備投資を下支えする建設産業の「供給力強化事業」と銘打つ。団体主導の担い手確保や生産性向上の取り組みをトータルで支援する枠組みをつくる。
 現状は団体や個社がリスキリングに取り組むにも経営体力やノウハウ、投資余力が不足している。各団体が中長期的な戦略を持って持続的に取り組むことができるよう、調査・分析や中長期計画の作成をコンサルティングや専門家の派遣で支援する。
 リスキリングへの支援は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の職種・レベル別の教材・カリキュラム作成、講師育成などを想定する。職種ごとの取引慣行に応じた見積書作成や価格交渉の支援体制を構築するなど、労務費・賃金の行き渡りによる処遇改善を目指す団体も支援する。入職促進に向けた業界PRや魅力発信、設計・施工の効率化やバックオフィス業務の合理化などの計画作成も対象とする。
 建設業行政を所管する不動産・建設経済局が計画作成段階の支援、住宅・建築行政を担う住宅局が計画を踏まえた取り組みの実装段階の支援に当たる予定だ。必要経費として不建局は建設業関係の別事業と一体で19億82百万円、住宅局は10億円を要求した。
 支援先の公募・選定手続きなどは各局で別々になる見通しだが、計画作成から実装までステップを踏んで支援を受けることが実質的に可能となる。実装段階では、作成した教育プログラムに沿った研修の実証、既存の中長期的な計画の加速化に向けた支援などを想定する。


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from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187271
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デベロッパー/長周期地震動抑制へ先端技術導入

 1923(大正13)年に発生し、死者・行方不明者が推定10万5000人に上った関東大震災から1日で103年が経過する。犠牲者は阪神・淡路大震災、東日本大震災をはるかに上回り、国内の都市防災を考える上で原点とも言える出来事だった。まちづくりを担うデベロッパーは、高い確率で発生が予想される首都直下地震に備え、ビルや設備などの性能を強化。エネルギーセンターも設け、停電対策にも取り組んでいる。
 地震と共に発生する「長周期地震動」は、高層ビルを長時間にわたりゆっくり大きく揺らす。ビルを建てるデベロッパーにとって対策が欠かせない。三井不動産は高さ210メートルの新宿三井ビルディング(東京都新宿区西新宿)屋上に超大型制震装置を6基設置している。振り子式の重りを使い、振動エネルギーを吸収する。
 東京千代田区で高さ385メートルの「Torch Tower(トーチタワー)」を建設中の三菱地所は、高層部の外周にブレース(斜材)を採用している。ダンパーなども使い変形を効率的に吸収。外周を強靱な構造にすることで建物の「太さ」を生かして揺れを抑える。森ビルはオイルダンパーや座屈拘束ブレースといった高度な制震装置を複数組み合わせることで超高層ビルの揺れを軽減している。
 BCP(事業継続計画)の実効性の向上や在館者の安全確保には停電対策も重要になる。森ビルは主要ヒルズに都市ガスを利用した自家発電エネルギープラントを設置。六本木ヒルズ(東京都港区)では自家発電に加え、系統電力によるバックアップ機能や灯油のストックも用意し、3重の対策を立てている。
 三井不動産は建設中の「東京ミッドタウン日本橋」(東京都中央区)で、高さ約284メートルのタワー棟の地下にエネルギーセンターを整備する。コージェネレーションシステムや中圧ガス発電を採用し、停電時でも事業継続を可能にする。周辺地区へのエネルギー供給も検討する。
 丸の内エリア(東京都千代田区)の地下30メートルには三菱地所が全長250メートル、内径約3メートルの耐震性に優れた洞道を20年に構築した。従来各ビルを経由していた地域冷暖房用の熱供給配管を洞道内に集約。非常用電力自営線や通信ケーブルも敷設している。
 今後30年以内に70%の確率で発生する首都直下地震。ビルの整備を含めたまちづくりを担うデベロッパーが果たす役割は大きい。今後も先端技術の活用に加え、防災訓練などによる人材育成に注力し、災害対策の実効性を高めることが求められる。


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from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=187265
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