2016年1月21日木曜日

【ちょっと一息・番外編】爆買い、勢いとどまらず その2

 ◇大きく変化した南の島「サイパン」◇ 

 米国自治領「北マリアナ諸島」の中心、サイパン島。グアムと並んで日本人になじみ深いビーチリゾートですが、ピーク時(1997年)に年間45万人を記録した日本人観光客は2015年には9万人を切るほど激減しています。

 姿を消した日本人と入れ替わるように増えているのが韓国と中国からの観光客。米国のホテル業界コンサル・HVSによると、中国人は15年にサイパンを訪れた観光客の35・5%を占め、シェアトップとなりました。今月、家族と休暇でサイパンを初訪問した私が、すっかり様変わりした(とみんなが口をそろえて言う)サイパンで見聞きしたことをリポートします。

 変化の始まりは2004年ごろ。日系航空会社が相次いで直行便の運行をとりやめ・減便して以来、日本人旅行者は年々減少していきます。観光以外に産業のない島の経済は大きな打撃を受けましたが、救世主となったのが韓国・中国からの観光客。島を訪れた人の総数は2011年を底にV字回復を遂げました。

 復調の要因は一つ。米政府が2009年に、中国人を対象に北マリアナ諸島へのビザ免除プログラムを始めたことです。これにより中国人のビザなし短期滞在が可能になりました。一気に増える需要に対応するため、中国の航空会社はチャーター便の運航を開始した。

 たとえば1月18日のサイパン国際空港の到着便を見ると、グアムなど近距離路線を除くと韓国・ソウル×4、中国・済南×1、上海×1、東京×1、米アラスカ州・アンカレジ×1という顔ぶれ。大手と格安航空会社(LCC)が毎日、中国、韓国の主要都市から大型機材でたくさんの旅行者を運んでいます。

 旅行者の足が確保されれば、次はホテルです。日本企業がかつて投資して建設した大型リゾートホテルのうち、いくつかは廃業を余儀なくされ、「リアルお化け屋敷」な廃虚になっているのを見かけました。

 それ以外では、「二束三文」(現地の日本人曰く)で韓国・中国系企業に売却されたホテルもあります。2005年に戦死者慰霊のため訪れた天皇皇后両陛下が宿泊された日航ホテルも例外ではなく、航空便の廃止に続いて同年閉館。 今は買い取った韓国資本が改修工事を行っている最中でした。

 街のあちこちにある中国語やハングルの看板。ビーチに寝転がっていると中国や韓国の観光客を観察せずにはいられません。彼らはとにかくパワフルに旅を楽しんでいる!買い物もマリンスポーツも目いっぱい満喫している様子でした。そして女性が多い!自撮り棒で写真をとりまくる元気な女性グループが印象に残っています。

 中国人旅行者は団体ツアーが多いようです。企業のインセンティブツアーらしい団体もいました。多くの人が初めてのサイパンでしょう。リピーターになってもらう工夫が、これからのサイパンの課題だと思われます。


 現地で中国不動産マネーの片鱗を見ました。次回はそのお話です。

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