未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、まもなく15年。ハード事業が完了する一方、教訓を伝える伝承活動が難局を迎えている。震災伝承団体「3・11メモリアルネットワーク」の調査では岩手、宮城、福島の被災3県で増加してきた伝承団体・施設の来訪者が2024年に初めて減少。震災学習プログラム実施団体の96%、伝承施設の69%が継続に不安を抱える。担い手不足も深刻で、30年後の語り部確保を見通せる団体はゼロだ。3・11伝承ロード推進機構の研修会に積極的に参加するとともに、経験や知見の社内伝承に力を入れるゼネコンの取り組みを紹介する。
◇鹿島東北支店/建設会社が果たす使命を再確認
鹿島東北支店は、新入社員や他支店から転勤してきた若手社員を中心に、震災の記憶をたどる研修を行っている。高田松原や気仙沼伝承館、南三陸震災復興祈念公園、大川小学校遺構などを見学し、語り部の話を通じて東日本大震災の被害と教訓を学ぶ。震災対応に当たった職員の体験も新入社員研修で共有し、建設業の使命や社員として働く上での心構えを伝えている。
東北支店管理部総務グループの貝沼光治さんは「震災を経験していない世代が増える中で災害時の判断力や使命感を育むには、実体験に沿った学びが必要だ」と話す。震災伝承を通じて「『人々の生活を守る建設業』としての使命感を強めたい」と、社員のさらなる意識改革を促す構えだ。
◇清水建設東北支店/「自分事」としての意識を醸成
清水建設東北支店は、2022年から継続して伝承研修に参加し、これまで大川小学校や立請戸小学校などを見学してきた。「しっかりと向き合い、命を守る行動を考えるきっかけになった」「語り部の話を直接聞くことで、自分事として捉えることができた」などの声が寄せられ、新たな意識の芽生えにつながっている。大規模災害の発生時に建設会社としての社会的使命を果たすため、全社員参加の「震災訓練」も実施している。
東北支店総務部庶務グループの河村南穂さんは「防災に対する知識や意識を向上させることが大切だと思う。災害に強い社会の形成と地域の活性化に貢献するため、伝承教育に力を入れたい」と話している。
◇大林組東北支店/防災意識向上で災害への備えを
大林組東北支店は、研修ツアーを2022年から継続して開催している。福島国営追悼・祈念施設(浪江町、双葉町)では25年3月11日に「追悼の会」を開き、発注者や工事監理者らとともに地震発生時刻に黙とうし、祈りをささげた。福島県内の被災地で施工する工事では、被災対応に当たった福島県警OBを講師に招き、社員や作業員を対象に震災の教訓などを伝えている。
東北支店総務部総務課の林光院龍さんは「復興状況に触れ、防災意識を高めることで、頻発する大規模災害に備えたい。職員が復興工事を担う建設会社としての社会的意義を認識する機会にしたい」と力を込めた。
◇西松建設北日本支社/若年層社員へ教訓伝える
西松建設北日本支社は、震災の教訓を新入社員などに伝えるため、2024年度から研修ツアーに参加している。東北出身者以外や、震災を直接経験していない若手社員にとっては、震災の初期対応や復旧・復興の姿を確かめる貴重な機会となっている。外国籍の新入社員の関心も高く、語り部や施設担当者に熱心に質問していたという。
北日本支社総務部採用育成課の山野邉恭一さんは「災害が起こった後、社会基盤を早期に復旧するのは建設会社の社会的使命だ。要請にしっかり応えなければならない。震災遺構の見学などを通じて『西松建設の職員』としての誇りと自覚を醸成したい」と語る。
from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=182219
via 日刊建設工業新聞


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