鉄建建設が東京都品川区で施工中の「東京貨物ターミナル改良工事」で、プレキャスト(PCa)部材を採用した高架橋の建設を進めている。構造物のフルPCa化に加え、柱と梁の架設を効率化する新たな工法を導入。柱と梁を1日に6~8本ずつ架設し、高架橋1ブロックを最短5日間で構築できるようにした。工期短縮と現場作業の削減を両立し、働き方改革を強力に推し進めている。
柱部材と基礎の接合には、柱部材から突出した複数の鉄筋を、基礎部に設けた鋼管に差し込んで建てる「鋼管拘束型鉄筋継手」を採用している。柱の設置直前に鋼管や接合面に無収縮モルタルを充填し、接合時の密着性を確保。柱の建て込み後は転倒防止用の仮固定を行い、モルタルの硬化後に撤去する。接合に特殊な材料は必要なく、1本の柱部材を短時間で建てられる。
柱部材と梁部材の接合には、「閉合鉄筋継ぎ手」を導入している。両部材の継ぎ手部分にコの字形に突き出した鉄筋を設け、くしの歯状に交錯させて接合する。梁は柱に設置した仮設のブラケットが受け止める仕組みで、重い梁を垂直方向に架設できるメリットがある。
梁を水平方向に差し込む従来工法と比べ、仮設足場や支保工を省略できるため、作業効率の向上につながっている。両部材の継ぎ手の重複部分は鉄筋径の2倍以上の長さがあれば十分な強度を維持する。施工誤差が生じた場合も継ぎ手部分で柔軟に対応できる。
施工内容を広く周知するため、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)や鉄道事業者、設計コンサルなど業界関係者を対象とした現場見学会を2月19日と3月3日に開いた。柱と基礎、柱と梁の接合作業を公開した。参加者からは作業の効率性や精度の高さを評価する意見が出た。型枠の製作費など施工コストの増加を懸念する声もあった。
鉄建建設は「型枠を多く転用できれば、部材の単価も下がる。まとまった工事量を確保し、コスト面の優位性を高めていきたい」とした。
from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172228
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