2025年3月7日金曜日

建築設計事務所16社25年春の採用計画、新卒採用10社増/本社調べ

 主要建築設計事務所16社の今春(2025年4月)の新卒採用者数(大卒、高卒などすべてを含む)が前年よりも1割以上増加することが、日刊建設工業新聞社の調査で分かった。総数は前年より75人多い449人。前年に比べ10社が増加、3社は減少、3社が同数だった。増加した10社のうち、4社が15人以上増やす見通し。今後の採用方針は、12社が「横ばい」、2社が「増やす」と回答。「減らす」との回答はゼロで安定的に人材を確保し、社会ニーズに対応できる人員体制を整える企業が目立った。
 1~2月に主要な設計事務所16社にアンケートを行い、新卒・中途採用の人数や人材戦略などを尋ねた。今春入社する新卒者の中で、技術系は16社で合計421人(24年4月は361人)。11社が前年実績を上回り、3社が減少、2社は同数となった。前年に比べ採用数を大幅に確保するのは3社。日建設計が18人、久米設計が16人、大建設計が14人をそれぞれ増やす。
 新卒採用では組織体制の維持や適正規模の採用を理由に「横ばい」と回答する企業が目立つ中、設計業務の効率化や業容拡大を狙う企業もあった。松田平田設計は「業務受嘱状況やDX化への対応を含めた中長期の経営視点から増やす」と回答した。
 高専卒を採用する動きも見られた。回答した企業のうち、日建設計は今春に1人の採用を見込む。「(高専卒は)育成枠として将来技術者を見込み今後採用を検討中」とした。梓設計は「高専出身の方の技術力、向上心に着目している。組織の活性化という観点からも、具体的な目標値の設定はないが、採用を増やす方針」と回答。石本建築事務所も「採用を増やす検討を行っている」とした。
 AI関連など建築系以外の人材を積極的に採用する動きも出ている。課題には「機械・電気・電子系学生の募集・獲得」(NTTファシリティーズ)や「DX人材の獲得」(日建設計)が挙がった。
 24年度の中途採用は、16社の合計が427人で、前年度と比べ104人増える見通しだ。増加を見込む企業からは「成長・注力分野での即戦力人材の積極的な採用」(NTTファシリティーズ)、「環境設備、ビジネス分野で実績のあるキャリア人材を積極的に採用する方向」(安井建築設計事務所)との声が上がる。既存領域にとどまらず新規事業を開拓する場合に実務経験で得た知識、スキルを求める傾向は今後も強くなりそうだ。
 他産業を含め人材獲得競争が過熱する中、シニア層の活躍に期待する向きもある。三菱地所設計は「25年度から(定年を)60歳到達月末から60歳到達後年度末まで延伸し、75歳まで就業可能な職種の新設を実施予定」と回答。日建設計は1月に定年延長を行い、60歳から65歳に引き上げた。今後、定年延長を「計画している」「検討中」と答えたのは6社あった。
 25年度新卒初任給(大学・総合職)引き上げについて回答した15社のうち、5社が「引き上げた」、4社が「検討中」。残る6社は昨年度引き上げを実施したなどから「据え置いた」と答えた。新入社員の2年目、3年目の離職率が1~2割の企業もあり、優秀な人材を獲得し維持していくため、今後も処遇や制度の見直しや改善が求められそうだ。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=171966
via 日刊建設工業新聞

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