2025年1月27日月曜日

国交省/重層下請構造の調査着手、賃金しわ寄せなど実態把握し対応検討

 国土交通省は、建設業界の重層下請構造の実態を把握する新たな調査に着手する。現場単位で元請と下請にアンケートやヒアリングを実施。重層化に起因する非効率や、技能者の賃金へのしわ寄せなどの不利益が発生していないかどうか確認する。担い手不足が続く業界の将来を見据え、持続可能で適正な請負構造に転換するための制度的な対応を検討する。地方自治体発注工事で導入事例があり、一部のゼネコンも自発的に取り組む下請階層の「次数制限」を対象に、実際の運用で得られた効果や課題も検証する見込み。
 建設業団体に協力を依頼し、会員各社が元請として手掛ける現場からサンプルを抽出し施工体制を確認する。主な調査項目は▽土木や建築など各分野の請負次数▽各許可業種の業務実態▽各次数の業者同士の役割分担▽技能者の賃金や労働時間への影響-など。調査項目によっては下請にも回答を求める。関連費用は2024年度補正予算で確保しており、調査業務の委託先を近く決める。
 国交省は過去の同種調査で、重層化の要因を▽専属型(建設投資の減少などによる直用技能者の外注化)▽繁忙期型(繁忙期の労務確保のための下請発注)▽代理店型(資材調達を行う商社などの介在)-などに類型化。うち代理店型では実質的な施工を伴わない一括下請負(丸投げ)の禁止を徹底している。繁閑の波がなく安定的な仕事量を確保できる環境が整えば、直用化や社員化が進むとの見方もある。
 今回の実態調査では専門性の高さなどから重層化が許容されるケースも明らかにしながら、適正な請負構造に誘導していく方向を視野に入れる。次数制限などの先行事例に加え、重層化が慣習となっていない海外事例の調査も検討。中央建設業審議会(中建審)の議論で中長期的な検討課題に挙がった「重層下請構造の実態を踏まえた建設業許可の合理化」にどう対応すべきか方向性も探る。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=170905
via 日刊建設工業新聞

0 comments :

コメントを投稿