竹中工務店は、建物外構の樹木配置を最適化するシミュレーション技術「Optree(オプツリー)」を開発した。樹木の本数や種類、温度、日照などの条件を分析。優れた住環境や景観、生物多様性の確保などを実現できる案を選定する。従来の設計手法と比べ100倍の速さでシミュレーションができ、設計者の負担も軽減する。同社が設計を手掛ける案件で、年間10件程度をめどに展開したい考えだ。
オプツリーではまず、木の大きさや植樹場所などを反映した3Dモデルを生成し、温度や風、景観などへの効果を、同社の技術研究所が保有するスーパーコンピューターで計算。良い結果が出たパターンを基に最適化アルゴリズムで樹木配置を導き出す。このプロセスをスーパーコンピューターで繰り返し、効率的な配置となるように改良を重ねる。担当者は「これまで設計者の経験値でしか測れなかった環境条件を数値化でき、誰でも効果が確認できる」と説く。
千葉県印西市にある技術研究所「調の森 SHI-RA-BE」のビオトープで実証実験を実施。日射や温度を考慮すると藻類の保全などにも貢献できることが分かった。景観だけでなく、生物多様性などプラスアルファの条件を踏まえた選択肢を顧客に提示できる。
同社が設計・施工した「朝日生命国立社宅計画」(2024年11月竣工)でオプツリーを初めて導入。1000本を超える樹木の配置パターンを約500ケース検討し、10日間で最適解を導き出した。最適化を行わない場合と比べ緑視率が15%増、居住者用菜園の日射量が7%増、植栽コストが2・2%減という結果を達成できた。
from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=170781
via 日刊建設工業新聞
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