2025年1月27日月曜日

近畿整備局/大戸川ダム建設事業が始動、長年の停滞越え着工へ

 近畿地方整備局は大戸川ダム建設に向けた準備工事として、2025年度に付け替え道路と工事用道路の工事に着手する。25年度当初予算に関連工事費を要望しており、認められれば入札公告から契約までを速やかに進める計画だ。長年にわたり停滞していた事業がいよいよ動き出す。
 22日に地質調査中の現場を報道機関に公開。大戸川ダム工事事務所の宮川仁所長が事業概要と今後のスケジュールを説明した。
 大戸川ダムは大津市上田上牧町(左岸)、上田上桐生町(右岸)に建設する高さ67・5メートル、貯水容量約2210万立方メートルの重力式コンクリートダム。洪水調節専用の流水型ダムとして、平常時は自然な河川の流れを保ちながら、大雨時に水を一時的にためることで下流域の洪水被害の軽減を目指す。総事業費は約1163億円。
 ダム本体の実施設計はニュージェックで作成中。納期は3月。本体工事は26年度後半に着手し、転流工、本体掘削、堤体工、閉塞(へいそく)工などを順次施工し、33年度の完成を目指す。
 付け替え道路は県道栗東信楽線で、大津信楽線との合流部の北側(延長約2・3キロ)から工事に着手する。ダム貯水池に影響を受けない高所へ移設する計画で、補償工事として既存道路を付け替える。工事用道路の整備も並行し、ダム本体工事への準備工事となる。
 大戸川ダムは1968年に計画が始まったものの、一時事業が凍結されるなど停滞を余儀なくされた。しかし、気候変動に伴う豪雨災害の増加などを背景に治水対策の必要性が再認識され、21年に淀川水系河川整備計画に位置付けられ、事業再開が決まった。完成すれば淀川水系全体の治水能力も向上し、琵琶湖や天ケ瀬ダムと連携し、浸水被害を大幅に軽減する効果がある。
 宮川所長は「治水事業は『国家100年の計』。紆余(うよ)曲折があったが国民の豊かな暮らしを守るためには必要な整備だと思う。移転していただいた集落の方々がかつてあった地域の文化を復元し、地域振興につなげるお手伝いもしていきたい」とした。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=170906
via 日刊建設工業新聞

0 comments :

コメントを投稿