大成建設は360度カメラで撮影した工事現場の映像をAIで解析し、施工の進行状況や資機材の位置を自動で図面化する「工事進捗確認システム」を今月から本格運用する。現地の確認を行う作業員の業務負担を減らし、施工管理の効率を高める。階層間の移動に時間がかかる中高層建築物の建築現場を中心に導入し、生産性向上につなげる。
作業員が現場を巡回する際に360度カメラで撮影した映像を画像認識AIが分析し、図面を作成する。スマートフォンなどの情報端末は不要。各フロアの柱や壁に貼り付けた2次元コードマーカーをAIが読み取り、階数や現在位置を正確に認識できる仕組みになっている。
壁や天井、床など内装工事の進捗状況を判断し、色分けして表示する機能を設けた。現場を見なくても工事の状況を把握でき、報告書の作成にも活用できる。コンクリート床の水濡れといった異常も検出し、即座に対応できるようにした。撮影時の歩行ルートはシステムに記録し、図面で位置を指定すると360度写真で現場を確認できる。
足場板や平台車など、現場で使用機会の多い24種類の資機材を判別する機能も備える。検出した資機材はリスト形式にまとめ、名前を選択すると所在位置を図面上で確認できる。高層ビルの建設現場では資機材の探索に時間がかかる課題があった。迅速に所在を確認できるようにし、余分な搬入や残置を減らす。
本格運用を前に、全国30カ所以上の現場で試行し効果を検証した。1人の作業員が現場確認にかける時間を1日当たり1時間以上減らせる効果を確認した。大成建設の担当者は「将来的には、ドローンやロボットが現場を自動的に巡回し、結果を上げてくれる運用を目指していきたい」と話す。
AIの解析結果は、同社のデジタル情報標準基盤「T-BasisX」でも閲覧できる。現場の状況を可視化するプラットフォームとして運用。今後は人やモノの所在をリアルタイムで把握したり、作業員のバイタルデータや熱中症指数といった環境データを可視化したりする機能を実装していく方針だ。
from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=170903
via 日刊建設工業新聞
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