2025年3月28日金曜日

香川県/さぬき浜街道五色台トンネルが開通、施工は安藤ハザマJVと村上組JV

 香川県が進める一般県道高松坂出線(さぬき浜街道)五色台工区(高松市生島町~坂出市青海町間の約6・6キロ)の4車線化事業の一環として建設してきた五色台トンネルが完成し、27日に高松側坑口で開通式が開かれた。池田豊人知事ら関係者約40人が出席し、テープカットとくす玉開披で開通を祝った。28日午前11時に供用を開始する。  さぬき浜街道は高松市と中讃、西讃地域の臨海部を結ぶ重要路線。五色台工区は2019年度に拡幅工事に着手した。対面通行の五色台トンネルの南隣に新しいトンネルを通した。全長1370メートルで施工は高松側工区600メートルを村上組・青葉工業・城北建設JV、坂出側工区770メートルを安藤ハザマ・真部組JVが担当した。  坂出側工区は22年3月、高松側工区は同10月にトンネル工事を開始した。24年2月の貫通後、同8月に本体工事が完成し、坑内の照明設備や舗装工事などを進めてきた。中央分離帯工事などが完了していないため、当面は新トンネルを含め片側1車線の暫定2車線での通行となる。25年中の完全4車線化を目指す。  池田知事は「県のこれからの発展に大きな役割を果たす。多くの県民に利用してもらい、愛されるトンネルになってほしい」と述べた。 from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172561 via...

JR東日本/高輪ゲートウェイシティーがまちびらき、ファンファーレで開業祝う

 JR東日本が開発を進めている高輪ゲートウェイシティー(東京都港区)が27日にまちびらきを迎えた。セレモニーではNHK交響楽団のファンファーレが鳴り響く中、関係者や来賓がテープカットに臨み、開業を祝った=写真。会場となったJR高輪ゲートウェイ駅前には多くの人が詰めかけ、オープンした施設に列を作ったり、記念撮影をしたりする様子が見られた。  セレモニーには同社の喜勢陽一社長のほか、菅義偉元首相や森昌文首相補佐官、谷崎馨一東京都技監、清家愛港区長らが出席した。  喜勢社長は「未来への夢と情熱を傾けたプロジェクトが、こうして最初の大きな一歩を記せたのも、ご指導を賜った関係者の支援・理解のたまものだ」と感謝を表明。「『地球益』の実現に向け共創し、成果をさまざまなアセットで実証し、グローバルに発信していく地にしていきたい」と抱負を述べた。  同シティーの南端から、JR東日本と京浜急行電鉄が共同開発する「品川駅街区地区」までの間には、開発構想が未公表のエリアがある。喜勢社長は「品川駅に向けてウイングを延ばし、歩行者デッキでつながる一体としたまちを造っていく」と開発に意欲を示した。  森首相補佐官は石破茂首相のメッセージを代読。石破首相は「整備効果が最大限発揮されるよう、周辺の官民連携による都市基盤整備を全面的に支援していく」との方針を示した。  谷崎技監は小池百合子東京都知事のメッセージを代読した。小池知事は都の未来ビジョンを定める「2050東京戦略」に触れ、「高輪ゲートウェイシティーがいち早く具現化する先駆者になると期待している」と応援の言葉を贈った。  同シティーはTHE LINKPILLAR1(ザ・リンクピラー1)と同2、文化創造棟、レジデンス棟の大きく4施設に分かれる。27日に開業したのはザ・リンクピラー1。残る施設は今後も建設を続け、2026年春の全面開業を目指す。 from...

回転窓/自分の色で輝く

 東京都心では桜の開花が24日に発表された。例年は開花から満開になるまで1週間程度が目安だが、今週は春本番を通り越え初夏の陽気が続いたため、開花から1週間を待たず満開になる可能性があるそうだ▼4月上旬の入学式まで桜が散らないかと気が気でない方も多かろう。間もなく入学シーズンを迎えるが、早くも来年の新入生向けランドセル商戦が百貨店などで始まっている▼近年のランドセル選びは子ども自身に最終決定を委ねる家庭が主流という。子どもは「好きな色」を基準に選ぶことが多いため、各社は豊富なカラーバリエーションにこだわり、自分好みにカスタマイズできる商品を取りそろえる▼日本鞄協会ランドセル工業会の調査によると、今春に入学する児童のランドセルの色は、女児では紫・薄紫が最多で約3割を占めた。桃、水色に続き、赤は1割未満。男児は黒が約5割に上ったが、2020年の約7割から大きく減少した。男女問わず特定色に集中せず、好きな色に分散する傾向が続いているという▼来週には建設業界も新たな仲間を迎える。次代を担う皆さんには自分の色を出して輝いてほしい。 from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172555 via 日刊建設工業...

国交省/公共建築工事標準仕様書を改定、工期変更の受発注者協議促進

 国土交通省は、国の一般的な事務庁舎への適用を想定した「公共建築工事標準仕様書」を改定した。働き方改革や生産性向上に配慮した規定を拡充。受注者の責任ではない理由で全体工期に影響を及ぼす場合に監督職員へ報告する規定を追加し、工期変更の円滑な受発注者間の協議につなげる。国交省直轄営繕工事で適用を広げてきた情報共有システム(ASP)による書面の提出や、遠隔臨場の実施も新たに明記し、標準的な対応と位置付ける。  3年周期の改定で「令和7年版」を制定した。新築・増築と改修それぞれで▽建築工事編▽電気設備工事編▽機械設備工事編-の計6編を用意。木造工事の標準仕様書も改定した。いずれも関係省庁と全国営繕主管課長会議に参画する都道府県・政令市に周知した。  工期に影響を及ぼす事象の報告規定は、改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)による「恐れ(リスク)情報」に基づく変更協議対応の義務化を念頭に盛り込んだ。改正法の義務事項に入札契約段階で対応しつつ、加えて工期途中などに生じる事象にも変更協議を適切に行う。  実施工程表で「総合設備試運転調整」に要する工程を明記することも追加。以前から「概成工期」の記載を求めていたが、後工程になる設備工事の作業期間を確保するため設備機器の試運転期間を考慮するよう明確化する狙いがある。  木造工事では「都市(まち)の木造化推進法」を踏まえ、混構造に対応した形に標準仕様書を見直した。 from...

戸田建設/長崎スタジアムシティで自動運搬ロボ活躍、モンストレーション報道公開

 戸田建設が導入などをコンサルティングした荷物の自動運搬ロボット「DeliRo Truck(デリロ トラック)」が、長崎市の複合施設「長崎スタジアムシティ」で活躍している。サッカースタジアム上空を滑走するジップラインのハーネスを、ゴールからスタートまで約380メートル自動で運搬するロボット。人とぶつかりそうになると自動で停止し、音声で伝える。人手不足の解消だけでなく、施設利用者を楽しませるなどエンターテインメントにもつながっている。  26日に現地でのデモンストレーションを報道陣らに公開した。デリロは同施設が開業した2024年10月14日から稼働。左折時は「左に曲がります」と音声を出し、進行方向に目線を送る。障害物を見つけると避けるほか、人が近づくと徐行し、「すみませんが道をお譲りください」とアナウンスすることで安全に走行する。  戸田建設は、ロボットフレンドリーな環境構築の実現に向けた計画と運用のコンサルティング事業に取り組んでいる。今回のロボット導入は、経済産業省の「令和6年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(ロボットフレンドリーな環境構築支援事業)」の一環。ジャパネットグループのリージョナルクリエーション長崎(長崎市、岩下英樹社長)と共同で採択された。  戸田建設は引き続き施設内で実証実験を推進。同施設をモデルにロボットと人が共存できる「ロボットフレンドリーな環境」の実現を目指す。 from...

奈良県/平城宮跡歴史公園在り方、飲食・物販施設など誘致

 奈良県は平城宮跡歴史公園(奈良市)の県営公園区域の在り方をまとめ、県観光戦略本部の平城宮跡周辺エリア部会(委員長・内藤廣東京大名誉教授)で了承された。「食」と「クリエーティブな活動」をコンセプトに、飲食・物販施設や集客施設、宿泊施設などを誘致するほか、駐車場の整備や公共交通サービスの充実に取り組む。短期から長期に分けて整備を進め、飲食施設や宿泊施設などは2031年度にも完成する見通しだ。  平城宮跡歴史公園は国が整備を進める国営公園区域(約122ヘクタール)と県営公園区域(約15ヘクタール)で構成し、国営公園では建物の復元や遺構の保存整備が行われている。県営公園では展示館や観光案内所、交通ターミナル、物販施設などを整備している。  同部会では県営公園区域のうち、朱雀大路の西側地区(約3・1ヘクタール)と東側地区(約0・9ヘクタール)、南側地区(約5ヘクタール)を対象に既存施設の活用や民間活力の導入を含めて公園の整備方針を検討した。第5回会合は21日に開かれた。  平城京は「シルクロードを通じて世界のさまざまな文化が伝えられ、日本の食文化のルーツが築かれた」ことや「奈良でみそなどの発酵食品が生まれ、その技術が全国各地に広がった」などとして「食のハブ拠点」の創出を目指す。  レストランやカフェなどの飲食・物販施設、宿泊施設は中期的な取り組みに位置付け、民間事業者を選定した上で、28~31年度に整備する予定。短期的な取り組みでは食に関するイベントの開催や次世代型モビリティを試行。中長期的な取り組みでは平城京の広がりを感じられる景観づくりや遊歩道、自転車道などを整備する。 from...

鹿島/覆工全自動打設多様な現場で対応可能に、流動化コンクリでコスト低減

 鹿島は建設現場で流動化させる低コストの覆工用高流動コンクリートを開発し、既存の「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」と組み合わせる形で実工事に初導入した。生コン工場で製造したスランプ15センチ程度の普通コンクリをベースに新開発の現場添加型混和剤を用いて流動化させ、工場製品と比べ製造コストを大幅に低減する。現場流動化の高流動コンクリを組み合わせることにより、さまざまな施工条件や断面のトンネル工事に対応可能な全自動打設システムを構築した。  初導入したのは中日本高速道路会社が建設する「東海環状自動車道養老トンネル南工事」(三重県いなべ市)の現場。現場での流動化によって締め固めを不要とする高流動コンクリの製造コストを低減し、全自動打設システムの省人化効果を最大化する。  新開発の覆工用高流動コンクリは工場製品と同等の品質を確保。既存の覆工コンクリ用繊維投入機に混和剤の自動添加装置を組み合わせ、混和剤と繊維をベースコンクリに同時投入する仕組みとした。添加剤を基に自動計量された混和剤はタンクからノズルを通してアジテータ車に投入。その量は自動で記録され、計量や投入、管理の作業を省力化する。  全自動打設システムは2020年に開発した。これまでに覆工用高流動コンクリから中流動コンクリまで導入範囲を広げ、3車線の大断面トンネル工事2件に導入。現場で流動化させる高流動コンクリと組み合わせた今回の現場では2車線の標準断面トンネル工事に導入したことで、あらゆるニーズに対応できる同システムが完成した。  今後は新開発の高流動コンクリ導入を推進し、施工のさらなる合理化を目指す。 from...

2025年3月27日木曜日

回転窓/泰山木の花言葉を

 小学校の教科書にも載る「さよならの学校」は、白い杯のような花を咲かせる泰山木(タイサンボク)を巡る祖父と孫の物語。木の根元に毎年プレゼントを置いてくれた祖父は、亡くなる前にその泰山木をプレゼントしたいと話す▼昔の記憶を紡ぎながら孫の祖父への思いが伝わってくる。小学生が書いた感想文を読ませてもらうと、家族や仲間をいたわり、思い出を大切にしたいという気持ちがあふれていた▼取材先でも異動や退職であいさつに回る方々を見かけるようになってきた。一緒に仕事をしてきた仲間として「ありがとう」「お元気で」と相手を思いやる言葉に、こちらも温かい気持ちになる▼国土交通省と全日本トラック協会がまとめた引っ越しの予約状況によると、29~31日が非常に混雑する。同省は2月前半から分散への協力を呼び掛けてきたが、さまざまな事情・事由から応じにくい人も多かろう▼泰山木の苗木は1メートルくらいの背丈が多く、贈り物として手渡すには難がある。それなら「前途洋々」の花言葉にあやかり、赴任先での健康と活躍を心から願いたい。これまで十分に伝えられなかった感謝を込めて。 from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172506 via 日刊建設工業...

東北6県ら/25年度の入契制度改正、公平受注機会確保など盛り込む

 ◇「地域の守り手」維持へ  東北6県や仙台市は工事・関連業務の入札契約制度を見直し、建設業の健全な競争環境の構築や働き方改革の推進などに取り組んでいる。2025年度の制度改正を見ると総合評価方式の見直しや地域要件の緩和・強化などが目立つ。事業量の減少や受注競争の激化を背景に、地域建設会社を取り巻く経営環境は厳しさを増す。「地域の守り手」としての役割を今後も果たし続ける上で、公共発注機関の対応は不可欠といえる。  青森県は4月以降に入札を公告する案件で、ICT活用証明書の発行対象工事を全工種(港湾工事を含む)に拡大する。「週休2日確保工事」の証明書発行要件も完全週休2日や月単位の4週8休などに変更。県土整備部の発注工事は元請に施工体制を自己点検するよう求めていく。  岩手県は新年度のスタートを機に、総合評価方式で「チャレンジ型」を試行導入する。技術的工夫の余地が小さい工事を対象に、工事成績評定や施工経験、配置予定技術者の工事成績評定などの審査項目を減らし受発注者の負担を軽減する。建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用や「ユースエールの認定」を評価項目に追加。国の施策や「いわて建設業振興中期プラン2023」などに基づき、経営や若者育成、雇用管理に優れた企業を評価していく。  秋田県は一般土木A等級に当たる土工量3000立方メートル以上の土工を原則発注者指定型のICT施工実践活用モデル工事で発注する。舗装や一般土木A等級の舗装(路盤工)は3000平方メートル以上がモデル工事の対象になる。土工と舗装工以外のICT施工実践工種は引き続き規模の大きい案件に指定型を適用する。  宮城県は新たな入札方式として「一抜け入札方式」を試行する。規模や条件が同程度の複数工事・業務で予定価格が高い順に開札し、上位工事の落札者が次回以降の入札に参加できなくなる仕組みだ。「地域ブロック限定型」の工事は、適用上限を1億円から1・5億円に引き上げるとともに、入札条件を満たす企業数の要件を30者以上から20者以上に緩和する。業務は総合評価方式の評価内容を見直し、企業と技術者評価の対象期間を「過去2年」から「過去5年」に拡大する。  山形県は昨年7月に総合評価方式のガイドラインを一部変更した。これまでICTの「全面的な活用」に加点していたが、新たに施工者希望型の2プロセス以上で使用する「部分的な活用」も加点対象にした。担い手確保の観点から、土木一式工事に限定していた「若手女性技術者評価型」の適用範囲も全工種に拡大している。  福島県は品質と技術力向上を目的に、総合評価方式の「工事成績」評定区分を改める。これまで一律に加点していた80点以上の工事成績を、新たに「80点以上85点未満」と「85点以上」の2区分に変更。評価基準として85点以上の場合、標準型・簡易型は1・5点、特別簡易型・地域密着型では0・75点を加点し、80点以上85点未満合はそれぞれ1・0点、0・5点を加点する。  仙台市は災害時の迅速な初動対応を目的に、総合評価方式の評価項目「協定に基づく防災訓練実績」で「複数実績あり」の評価基準を設ける。防災訓練への継続的な取り組みを促し防災力を強化する狙いがある。  各自治体の制度改定は施工者の技術力向上や担い手・人材確保、DXの活用推進、地域内の公平な受注機会の確保などが基軸になっている。工事と業務で改正公共工事品質確保促進法に基づく新しい運用指針の適用が始まる。発注者には「多様な入札契約方式の選択・活用」など同法の趣旨をより理解し適切な対応が求められる。 from...

大阪府、大阪市/新大阪駅エリア交通結節機能向上へ、検討会設置で議論本格化

 新大阪駅の広域的な交通結節機能を高める議論が動き出す。大阪府と大阪市は25日、関係機関と連携して交通や空間の再編方針を検討する「新大阪駅エリア交通結節機能強化検討会」の設置を正式に決定した。北陸新幹線延伸の新大阪駅乗り入れを見据え、2025年度以降、南広場を含めた三つの駅前広場の機能分担や歩行者動線の在り方を探る。延伸着工までにまとめ、エリア計画に反映する。  同日に開いた「第6回新大阪駅周辺地域まちづくり検討部会」で設置が了承された=写真。  検討会は国、自治体、鉄道事業者、学識経験者ら11者で構成する。国から近畿地方整備局と近畿運輸局、地方公共団体は大阪府と大阪市、民間事業者はJR西日本、JR東海、阪急電鉄、大阪メトロ、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が参加。学識経験者として森川高行名古屋大学特任教授が座長を務め、吉田長裕大阪公立大学准教授が加わる。  検討項目は「広域交通結節施設などの周辺駅前広場の機能向上」や「駅とまちをつなぐ歩行者動線の確保」など。具体的には▽各広場(南広場、北西広場、東口広場)の役割整理▽人中心の空間形成を意識した南広場の再編▽駅と広場、周辺市街地をつなぐ歩行者動線の考え方-を柱に据える。検討結果は順次、まちづくり検討部会に報告し、最終的にエリア計画へと反映させる。  新大阪駅の設置が予定される北陸新幹線敦賀~新大阪間の延伸区間は現在、環境影響評価(環境アセス)の手続きが進められており、南広場付近の地下に2面4線の地下駅を設ける案が示されている。  JR西日本は「南広場は鉄道と密接に関わる場所であり、北陸新幹線の整備スケジュールを踏まえて早期に計画を具体化すべき。積極的に検討に加わっていく」とした。  会合を欠席した森川座長は「広域交通アクセスの強みを生かし、駅周辺の広場や動線の在り方を利用者目線で具体的に検討することが重要。早期に体制を構築したことは意義深い」とコメントを寄せた。 from...