2025年4月7日月曜日

結/ナイガイ・グエンカイン・クエットさん、チョウタイン・ロンさん

 ◇キャリアアップの道開く  2024年10月、特定技能外国人で初の熱絶縁施工技能士1級に2人そろって合格した。学科試験の日本語の勉強に先輩社員が協力するなど社内全体で後押し。難関を突破し特定技能2号などキャリアアップへの展望が開けた。「技術を高め、帰国したら自分の会社を設立したい」(ロンさん)、「もっと長く日本に滞在しスキルを磨き収入も増やしていきたい」(クエットさん)と夢を語る。  ナイガイ初の技能実習生としてベトナムから17年に来日。韓国や台湾も選択肢だったが、日本を選んだのは安全面などが決め手だった。2人とも最初に苦労したのは現場でのコミュニケーション。現場特有の専門用語に苦戦し、作業中の職人にどう話し掛ければいいか迷うことも。それだけに日々の努力で仕事を覚え「チームで協力して働いていると感じることがうれしい」(ロンさん)と話す。  今では同社直用の外国人技能者が約60人在籍。多くは技能実習期間を無事に終え、うち6割以上は特定技能に移行する。キャリアを重ね、現場の主力となる2人はロールモデルと言える存在だ。「保温工として技術が向上していると感じることがうれしい。きれいに仕上がり現場が完成していく様子を見ることがやりがい」(クエットさん)。異国の地で培った自信を胸に、この先の未来を切り開く。 from...

PKSHA Technology/AIで面接スキル向上、ミスマッチ防止など

 AIサービス開発を手掛けるPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)が、AIを使った面接官のスキル向上に取り組んでいる。AIで人事業務の効率化を実現するソリューションサービス「AI Suite for HR」を展開。AI面接や面接官トレーニングなどのサービスを累計700社以上が導入している。  AI Suite for HRは、企業側の人事担当者が抱える課題解決に向けたソリューションサービス。面接官の評価や指標などのばらつきをAIで最適化し、企業と求職者の希望に合致した採用を目指している。AIの面接官トレーニングやAI面接に加え、今回新たに「PKSHA面接コパイロット」を開発した。  PKSHA面接コパイロットは、高精度な自然言語処理技術を活用。オンライン面接時の会話内容をリアルタイムに解析し、適切な質問を表示する。候補者を知るために必要な質問の聞き漏らしを削減する。  事前に設定された評価基準に基づき、AIが候補者の能力や適性を客観的に分析するため、面接官の主観や偏見による評価のばらつきを抑え、公平な評価ができる。面接内容は自動で記録・分析し、評価リポートを生成。面接後の情報整理や共有にかかる時間を削減する。  面接終了後、面接の会話内容の要約と分析を行い、人間が最終的に評価するための前提情報を整理。面接の申し送りや評価の標準化を支援する。  面接官はAIによるフィードバックを通じて、自身の面接スキルを客観的に把握し改善できる。質問のバリエーションや候補者の反応に応じた対応を学ぶことで面接官の成長を促す。  PKSHAの大野紗和子CEO室室長は「多くの企業で人事担当者の採用面接に必要なスキルが足りていない現状がある。評価にばらつきが生じるため優秀な人材の取りこぼしや、入社後のミスマッチが課題だ。学生がしっかりと準備しているのであれば企業側や面接官もその準備に応えないといけない。そのサポートをPKSHAで担っていく」と話す。  同社は今後、人事領域全体を網羅するサービスへと展開していく予定。学生や中途向けにAIがキャリア相談を受けるサービスなども検討していく。 from...

堺市/ICT活用工事26年度から「提案評価」、証明書交付取りやめ

 堺市は総合評価方式でのICT活用工事の新たな評価方法として、2026年度から「提案評価」を導入する。詳細は今後検討し、「総合評価方式ガイドライン」に盛り込む。現行の「実績評価」は24年度末で原則廃止し、これに伴い「ICT活用証明書」の交付を取りやめた。評価方法の見直しに合わせ、ICT活用工事試行要領を改定した。  これまで市は発注工事でICT活用の取り組みを定着させるため、3D起工測量や3D設計データ作成など、所定のプロセスを実施した受注者に対し「ICT活用証明書」を交付し、総合評価での実績評価の加点対象としてきた。  一方で、国土交通省が土工や浚渫工へのICT活用を原則化する方向で検討を進めるなど、ICT施工に携わる業者層の裾野が大手にとどまらず中小企業にも広がりつつある。堺市が発注する工事でも活用実績を持つ入札参加者が増えており、証明書の有無だけでは評価の差が付きにくくなってきた。  こうした状況を踏まえ、実績に代えてより主体的な活用提案を評価する方式へ転換する。26年度は移行期間とし、実績評価と提案評価の両方を活用可能とする方針。同年度版のガイドラインに具体的な運用を盛り込む。  これに伴うICT活用工事試行要領の改定では証明書発行廃止に加え、「部分的ICT施工」の定義も一部見直す。従来は3D起工測量と3D設計データ作成を行えばICTを部分活用したとみなしてきた。本年度4月以降は、この組み合わせでの部分活用を認めないようにする。ICT建機による施工や3D出来形管理の実施が別途必要になる。  堺市の担当者は「ICT施工の導入が広がる中、実績だけでは業者の差が見えにくくなってきた。各社が現場特性に即した工夫を提案することで、より実効性のある活用が進み、生産性の向上や技術の底上げにつながるのではないか」と話す。 from...

回転窓/正しい知識得て対策を

 旅がらすの麻しん(はしか)ウイルス、その名も「はっしー」が人体に侵入して大暴れ! こんなストーリーから始まる児童向けの『うつる病気のひみつがわかる絵本2 はしかウイルスのはっしー』(おかだはるえ・文、あおきひろえ・絵/ポプラ社)は感染や予防の基礎を学べて大人にも参考になる▼ウイルスがどのように体内で増え、これらと免疫がどう戦うのか。医学博士の著者(文)がキャラクターを通じて分かりやすく解説する▼米国で2月、同国内では10年ぶりにはしかによる死者が確認された。海外で感染者が増え、日本でも増加傾向にあるという▼感染者が出た自治体では、他の人へ感染させてしまう可能性のある期間に患者が利用した公共交通機関などの情報を公表している。はしかはウイルスの中でも強い感染力を持つ▼はしかを「命定め」の病と恐れた江戸時代に数多く出版されたのが「はしか絵」。感染しないために避けることなどが描かれ、これらの錦絵がはしかに関する情報を広める役割も果たした。流行期は春から夏にかけて。予防接種の効果など正しい知識を得て感染対策に努めたい。 from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172831 via 日刊建設工業...

北九州市/戸畑枝光線2期区間(戸畑~牧山)、25年度内に着工

 北九州市は「都市計画道路戸畑枝光線」(戸畑区戸畑~八幡東区東田、延長約4・4キロ)の2期区間(戸畑~牧山間、約1・7キロ)の工事に着手する。トンネル延長約840メートルのうち最も深い地点である明治町アンダーパスの下の約30メートル部から工事を行う。工法は推進工法で、公告時期や入札方式は未定としている。  2025年度一般会計当初予算に工事や用地買収、測量調査を行うための整備事業費10億6100万円を計上。今回着手する部分のトンネル工事について、26~28年度の限度額74億円の債務負担行為を設定した。  事業は福岡北九州高速道路公社が主体の有料道路事業と街路事業の合併施行方式。街路事業の車線数は4車線。3月に開通した牧山~枝光間の1期区間(約2・7キロ)と、戸畑~牧山間の2期区間で構成する。  2期区間のトンネル以外は土工で、トンネルのうち約810メートルは開削工法で行う。事業費は約458億円で、3月時点での事業費ベースの進捗率は10%未満。33年度の事業完了を目指す。  有料道路事業は、料金所や交通管制施設などの整備費が約90億円。若戸JCT(戸畑区川代)、牧山出入り口(同牧山海岸)、枝光出入り口(八幡東区東田)を設置するほか、北九州高速2号線(戸畑区戸畑)と同5号線(八幡東区東田5)への接続区間としてそれぞれ約0・3キロと約0・5キロを整備する。 from...

2025年4月4日金曜日

大阪広域生コン協組/先端技術研究開発プロジェクトが竣工、施工はフジタ

 大阪広域生コンクリート協同組合(木村貴洋理事長)が大阪市住之江区で建設を進めていた「(仮称)大阪広域協組先端技術研究開発プロジェクト」が完成し、2日に竣工式と定礎式が開かれた。木村理事長をはじめ、協同組合の幹部、設計・施工の関係者ら約40人が完成を祝った。施設名は「テクノ・ラボ大阪」に決めた。設計は梓設計、施工はフジタが担当。  神事では、神職による祝詞奏上、清はらいの儀に続き、木村理事長、協同組合副理事長、梓設計の杉谷文彦会長、フジタの新谷恭英常務執行役員が玉串をささげた。定礎式では紙幣や貨幣、同日付の新聞などを入れた定礎箱を壁の中に収め、木村理事長が「定礎」の文字が刻まれたプレートを所定の位置に張り付けた。  式典の後、木村理事長は「技術の粋を結集して建設した。大阪広域協同組合の覚悟がこれだけの建物を生んだ。きょうが新しい第一歩だ」と述べ、杉谷会長、新谷常務執行役員に感謝状を手渡した。  建設地は南港北1の6の2の敷地約1万3580平方メートル。建物の規模はRC造地下1階地上4階建て延べ約1万3000平方メートル。事務所棟はホールやセミナールーム、カフェのほか、大阪広域協組や関連団体の事務室、会議室などが入り、研究棟は実験プラントや最新の機器をそろえた試験室などを設け、最先端の技術研究・開発拠点として機能する。 from...

回転窓/イノベーションの種

 今月13日に大阪・関西万博の開幕を控え、ドローンなどの技術を応用した「空飛ぶクルマ」の発着拠点(ポート)が会場内に完成した。会期中(10月13日まで)に次世代モビリティーの姿を発信する計画だが、実際に乗車できる商用運航はもう少し先になりそう▼ここにきてドローン技術の進展が目覚ましい。信州大学などの研究チームは生きたカイコガの触角をセンサーに使い、ドローンの高性能化に成功した▼フェロモンを検知すると電気信号が出る触角の性質を利用した技術。においの濃度の違いなどから発生源を見つけ、その場所にドローンを向かわせる仕組みという▼10センチ四方の小型ドローンを、オスのカイコガの触角を使ったセンサーで自動制御する。最近の実験ではこれまでの2倍以上となる約5メートル先から発せられるメスのフェロモンのにおいを感知。一般的なガスセンサーと比べ10~100倍の速さでにおいに反応し、ドローンが発生源へと飛行する▼この技術を使えば人のにおいも検知でき、災害時に要救助者を探すことも可能になると期待されている。イノベーションの種は身近なところにあるのかもしれない。 from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172773 via 日刊建設工業...

JAC/無料技能講習・オンライン特別教育を拡充、開催回数増や科目追加

 建設技能人材機構(JAC)は2025年度、特定技能外国人などが対象の母国語による無料の技能講習、オンライン特別教育を拡充する。技能講習は建設機械関係の教習を手掛けるPCTに加えキャタピラー教習所の協力も得て、5科目で139回行う。新たにガス溶接の技能講習も始める予定。オンライン特別教育は提供科目を増やし、フルハーネスと足場組み立てで入国前に修了できる環境整備を進める。=2面に関連記事  技能講習はベトナム語、インドネシア語で1月から行っている。25年度の受講は3日に募集を始めた。JACのホームページから申し込む。3期に分け1530人(24年度〈3月14日時点〉144人)の受講を見込む。学科、実技の試験に合格すれば、その場で修了証を発行する。PCTの16カ所、キャタピラー教習所の7カ所で、車両系建設機械(整地・運搬・積み込み・掘削用)運転技能講習など5科目を行う。  開催の回数、地域の増加を求める要望が多い。英語、中国語、カンボジア語での実施も準備するという。実施予定のガス溶接技能講習は建設キャリアアップシステム(CCUS)の圧接の能力評価基準で、レベル2に必須の保有資格の一つとなっている。  オンライン特別教育は24年7月から7科目を5言語で提供してきた。3月28日開講分までで983人が受講した。  25年度は新たに▽玉掛け(1トン未満)▽ローラー運転▽小型車両系建設機械(3トン未満)▽移動式クレーン等運転(1トン未満)▽フォークリフト(同)運転▽建設機械(コンクリートポンプ車)運転▽高所作業車運転▽電気取り扱い(低圧)▽特定粉じん作業▽石綿等使用建物業務-の科目を追加する方向で準備する。  振動工具取り扱い作業者安全衛生教育などの提供も視野に入れている。学科受講後の実技教育の支援をPCT、キャタピラー教習所と検討する。入国前の特別教育はインドネシア、ベトナムなどの現地の送り出し機関と連携して行う。 from...

関東整備局/羽田空港アクセス鉄道開削部他躯体築造、鹿島JVと随契

 関東地方整備局は「令和6年度東京国際空港空港アクセス鉄道開削部(ターミナル北連絡橋部)他躯体築造工事」を118億1398万9000円(税込み、以下同)で鹿島・東亜建設工業・あおみ建設JVと随意契約した。契約日は3月25日。予定価格は118億2039万1000円だった。履行期間は2029年3月23日まで。概要は仮設工、撤去工、地盤改良工、土工、本体工、復旧工、工事場所は東京都大田区羽田空港。  23年11月に「令和5年度東京国際空港空港アクセス鉄道開削部(ターミナル北連絡橋部)他躯体築造工事に係る技術協力業務」の公募型プロポーザル(WTO対象)で、同JVを選定した。施工予定者が設計を支援するECI方式(技術協力・施工タイプ)を採用。羽田アクセス線工事のうち、道路橋直下やモノレールトンネル直上などで開削工法によりトンネル躯体を築造するための技術協力を行い、基本協定に基づく価格などの交渉を経て随意契約した。 from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=172780 via 日刊建設工業...

清水建設、日本道路/BIM・CIMで道路施工のDX推進、3Dデータをシームレスに

 清水建設と日本道路が道路施工のDXを強力に推進している。検討段階で使用したBIM/CIMモデルの3Dデータをそのまま施工にも展開するシームレスなデータフローを構築。両社で組成したJVが福岡市東区で施工する「九大箱崎南地区都市計画道路築造その他工事」の現場では、舗装切削工事のマシンコントロール(MC)施工でBIM/CIMにひもづいた施工検討データを展開・活用し、高精度な切削機械の自動運転を実現した。  今回の現場で活用したBIM/CIMは、施工対象の道路舗装や施工エリアにある埋設物、路面標識の各モデルを同一の座標系で統合。モデルデータは検討段階から施工段階へのシームレスなデータ連動を見据え、最終工程のMC施工に沿ったデータ形式からバックキャストし統合モデルのデータ仕様を定義した。  このデータ仕様に基づき工事エリアの点群データを取得。設計図面から作成した構築物の3Dモデルや探査結果を反映した埋設物の3Dモデルなどに、点群データに基づく位置情報を付与し、多様な用途に活用できる統合モデルを構築した。  統合モデルに集約した3Dデータをシームレスに展開するデータフローを構築。データ変換作業が不要となり、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)による施工検討や施工スケジュールの4Dシミュレーションができる。早期の計画変更などにも柔軟に対応可能となる。  舗装切削工のMC施工では、統合モデルの検討データをMCシステムに展開し、施工指示データの作成などの準備工程を圧縮することによって大幅な省力化、省人化を実現。MC施工のコストを約25%削減した。  両社は同現場の取り組みを他の協働案件で推進していく方針。清水建設は他の土木工種にも展開し、土木工事全体の生産性向上を目指す。 from...