2026年がスタートした。大型のM&A(企業合併・買収)が相次いだ前年の流れを受け、業界再編の加速を予感させる一年になりそうだ。ゼネコン各社のトップは、M&Aや資本・業務提携などのアライアンスを推進する姿勢を示す。旺盛な建設需要に対し、人材や技術の相互補完で対応し、持続的な成長へと導く将来像を描く。
25年は大成建設が東洋建設と、インフロニア・ホールディングス(HD)が三井住友建設と経営統合した。フジタを傘下に持つ大和ハウス工業が住友電設をグループに迎えた。いずれも業界再編の流れを印象付ける大型のM&Aで、今後本格化するシナジー(相乗効果)施策の行方が注目される。
多くのゼネコンは豊富な手持ち工事を抱える。今期の中間決算では過去最高の売上高や営業利益を更新し、通期業績予想の上方修正も相次いだ。
鹿島は、安定した需要が見込まれる医療・教育分野に着目し、24年に米建設会社ロジャース・ビルダーズ(ノースカロライナ州)を買収した。現中期経営計画では、M&Aを通じた事業拡大を推進する。天野裕正社長は「相乗効果による収益力強化が期待でき、市場性や成長性のある分野に強みを持ち、企業文化を共有できる相手先とのM&Aやアライアンスは、成長に大きく寄与する」と前向きに語る。
大林組は本年度、米建設会社GCON(アリゾナ州)を買収した。データセンター(DC)や半導体製造施設の集積地である同州で、AIの普及を背景に急拡大する新設・改修需要を取り込む。国内では、水やエネルギー、食料といった分野にも注視する。佐藤俊美社長は「M&Aは有力な手段の一つになる」とした上で、「エンジニアリングからO&M(運転・維持管理)まで、建設プロセス全体が事業機会になり得る」と展望し、ゼネコンの枠にとらわれない経営統合の可能性を示唆した。
大成建設は、エンジニアリング事業の強化を最重点課題に位置付ける。相川善郎社長は製薬や食品、半導体といった生産施設の受注拡大に向け、「グループ内に専門会社を持たない電気工事会社を照準に、M&Aを検討する。強みであるエンジニアリング事業で他社との差別化を図りたい」と意欲を示す。東洋建設との経営統合については、洋上風力発電関連などの海洋土木分野や、フィリピンでの事業展開に期待を寄せる。
清水建設は、これまでにシンガポールの高級内装工事会社や、米国の建築物改修・内装工事会社を買収した。グループ会社の日本道路を完全子会社化し、受注や技術開発でシナジーを発揮しやすい体制を整えた。新村達也社長は「相乗効果の創出や不得意分野の補完につながるM&Aやアライアンスには、前向きに取り組んでいきたい」と語る。
竹中工務店は、竹中土木などのグループ会社や、協力会社組織である竹和会との連携強化を重視する。佐々木正人社長は「洋上風力をはじめとする環境・カーボンニュートラル(CN)対策、デジタル化による建物の維持管理・運営の高度化、人材活躍をグループ全体で推し進めたい」と強調した。竹和会会員との関係では、施工体制の確保や事業承継を見据え、「場合によっては資本面での協力も必要になる」との認識を示した。
準大手ゼネコンも同様に、ほとんどの企業が成長戦略の一環としてM&Aやアライアンスに前向きな姿勢を打ち出す。多くのトップは30年ごろまで旺盛な建設需要が続くと見通す一方で、人口減少による中長期的な市場縮小も見据える。
ここ1、2年で適正な価格や工期を反映した契約が着実に浸透し、受注時の採算管理徹底によって収益性も改善している。こうした追い風を持続的成長につなげるためにも、生き残りを懸けた業界再編の動きは、今後さらに加速しそうだ。
from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞
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