兵庫県が淡路島の福良港(南あわじ市)で進めてきた津波防災インフラ整備事業が完了し、4日に現地で完成式典が開かれた。湾口に新設した3基の水門や防波堤、かさ上げした防潮堤などによる二重防御で、堤内地の浸水被害縮減に大きな効果が見込まれる。式典は服部洋平副知事や守本憲弘南あわじ市長のほか、来賓の国会議員や県議会議員、市議会議員、国土交通省、設計・工事関係者などが多数出席。地域防災の新たな一歩を盛大に祝った。
同事業は2015年度に着手。沿岸の延長3・3キロにわたって既存防潮堤を約3メートルかさ上げ、一部の未整備箇所に防潮堤を新設し、陸閘も整備した。湾口部では離島を介した延長約1・1キロで、既存防波堤の改良と防波堤の新設で湾内の防護壁を構築。船舶航行用の航路2カ所と「煙島水門」(幅25メートル)、水質環境維持で通水用の「洲崎水門」(幅10メートル)、「既存防波堤水門」(同)を設置した。
煙島水門は海底に沈めた扉体が浮力で起き上がり、港の開口部を閉鎖する「フラップ式ゲート水門」を採用。西日本で初の採用例となる。新設3基を含む水門と陸閘の計48基で閉鎖操作が自動で行われる。
津波防災施設の完成によって、数十~数百年に1回程度発生する(レベル1)津波が発生した場合、堤内地の浸水面積を約60%縮減。木造家屋の全壊はほとんど生じず、浸水深を1メートル未満程度に低減する。南海トラフ巨大地震で予測されるような最大クラスの津波(レベル2)では浸水面積を約30%縮減。住民の主体的な避難と合わせて効果を発揮する。総事業費は約140億円。
式典で主催者代表の服部副知事は「福良港は県内でも優先度の高い津波浸水想定域だった。南あわじ市は住民の防災意識が高い先進地域。今回のハード整備と合わせて一人一人が正しい知識を持って行動につなげてほしい」と話した。
地元中学生による演奏に続き、関係者によるテープカットとくす玉開披が行われた。
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