2025年9月30日火曜日

最近1年間の完成工事高2025年上期調査

 今回は「2025年上期調査」として2024年4月~25年3月の決算期分を対象に、9月25日までに回答を得た532社の業績速報として集計した。集計の都合上、総合建設業304社、道路・舗装工事業28社、鉄骨・橋梁工事業8社、電気・通信工事業23社、設備工事業155社のほか、いずれにも分類できない14社は建設関連としてまとめ、次ページ以降に完成工事高順などでランキング掲載した。調査票に完工高が未記入の会社は、各分類の末尾に参考として掲載している。

 集計対象のうち、24年4~9月に決算期を迎えた会社のデータは、前回集計の「2024年下期調査」(25年5月9日掲載)と同じ数値となっている。今回は主に24年10月~25年3月に決算期を迎えた会社のデータを更新した。
(9月30日付別刷 タブロイド版12ページ)


 ※2025年上期調査データは、日刊建設工業新聞 電子版で公開しています。電子版会員の方は、ログインして 各種資料>完成工事高調査 からダウンロードが可能です。




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関東整備局ら/常総水害から10年/茨城県常総市で式典開く

 ◇復興の軌跡共有、次世代に教訓継承
 2015年に関東・東北地方を襲った豪雨に関連し、関東地方整備局ら9者が茨城県常総市で「常総水害から10年」と題した式典を28日に開いた。約1350人が出席。復興に向けて取り組んできた10年の軌跡を共有し、水害の教訓を次世代に継承していくことを誓った。

回転窓/リスケして出直します

 文化庁の2024年度「国語に関する世論調査」で、「にやける」の意味を「薄笑いを浮かべること」と答えた人が8割を超えたという。本来は「なよなよしている様子」だが、すっかり笑い顔のイメージにすり替わっている▼言葉は時代とともに変わる。とはいえ、意味の変化に「えっ、そうなの?」と戸惑うのは、年齢のせいなのか、単に感覚のアップデート不足なのか。言葉は生き物。変わっていくのが自然だ。でも度が過ぎると“伝える道具”が“迷わせる道具”になってしまう▼日本語は外来語も柔軟に吸収する言語。ビジネスの世界では「リスケ」「コンセンサス」「エビデンス」といった言葉が、波のように押し寄せてくる。でも「エンゲージメントが大事」なんて言われても、ピンとこない▼会議で「アグリーです」「コミットします」と真顔でうなずく人たち。そんな空気の中で、日本語とカタカナ語のあいだを右往左往していると、自分の足元がぐらつくような感覚になる▼これって、もしかして?、いやたぶん間違いなく…「ガチでエモい?」。書いてる本人がイミフなってきたので、リスケして出直します。




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中野洋昌国交相/管路点検技術を視察/民間の下水道研究施設(神奈川県厚木市)で

 中野洋昌国土交通相が29日、神奈川県厚木市の厚木の杜環境リサーチセンター(森の里若宮5の1)を訪れ、下水道管路調査の技術などを視察した。1月に埼玉県八潮市で発生した大規模陥没事故など、全国で管路などの破損事故が多発する状況を踏まえ、事故の未然防止につながる最新技術などで説明を受けた。

奈良県立医科大学/付属病院新A棟基本計画案まとめる/概算事業費は512億円

 奈良県立医科大学は老朽化が進む付属病院A棟(外来棟、奈良県橿原市)の建て替えに向け、基本計画案をまとめた。近鉄橿原線新駅の予定地に近い敷地南側に、既存施設を除却して建設する。2025年度に基本・実施設計に着手し、29年度の着工、31年度の供用開始を目指す。既存棟の改修工事費などを含めた概算事業費は512億円を見込む。

大成建設/シールド工事に脱炭素型裏込め注入材/CO2排出量を最大110%削減

 大成建設は、シールドトンネル工事に使用する脱炭素型の裏込め注入材を開発した。独自技術の環境配慮コンクリートを応用。多様なニーズに合わせて4タイプをラインアップした。材料製造時の二酸化炭素(CO2)排出量が従来と比べ60~110%削減できる。既存の設備や施工プロセスのまま現場に導入可能。10月に名古屋市内で初適用する。別工事への導入も検討していく。

2025年9月29日月曜日

回転窓/“黄葉”は生命力の輝き

 近くの神社で大きく枝を広げたカヤの木がたくさんの実を付けている。その一つが足元にポトンと落ち、これも何かの御利益かと手に取り観察した▼カヤは9月下旬~10月ごろに実を落とす。種子が食用や薬用などに重宝され、優れた木材としての性質も持つ。寿命が長く大木となる特徴からか信仰の対象にもなってきた▼神社や寺には、繁栄や再生を象徴する生命力の強い樹木がある。カヤなどとともによく見られるのがイチョウ。切り株から新しい芽が育ち、火事で幹が焼けても再生したとの話も伝えられる▼イチョウは氷河期に中国南部を除き消滅してしまう。日本にも生息しなくなったが、平安~鎌倉時代に中国から伝来し広まったとされる。17世紀末に訪日したドイツ人医師がイチョウを欧州に紹介すると、それまで絶滅したと考えられていたために植物学者が驚嘆したという(渡部一夫著『公園・神社の樹木』)▼気象庁の予報では10月の気温も全国的に高い。残暑の影響でイチョウの葉が黄金色に染まる見頃は平年より遅くなるのだろうか。絶滅の危機にひんするも生き残った木が放つ輝きは、今年もきっと美しい。




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凜/パシフィックコンサルタンツ・米田理津子さん

 資源分野の調査・計画づくりや脱炭素化に向けた検討業務を任されている。定型の仕事にとどまらず、ワークショップで地域の人と直接向き合う場も多い。「声に耳を傾け参考にできるのは楽しい」と、うれしそうに語る姿が印象的だ。

都道府県・政令市の独自歩掛かり/「現場実態と乖離」認識強く/国交省、事例集作成へ

 国土交通省直轄工事と地方自治体発注工事で工事規模や現場実態が異なることを背景に、都道府県・政令市のほぼ半数で積算に用いる歩掛かりを独自に設定しているケースがあることが、国交省の調査で分かった。国交省の標準歩掛かりを使用せず、独自に歩掛かりを作成する理由を「現場実態との乖離(かいり)」と回答した団体は3割に達する。国交省は調査結果を本年度内に事例集としてまとめる予定。各地域の実情に合った適切な歩掛かりの作成を後押ししていく考えだ。

大成建設・相川善郎社長/東洋建設TOB成立受けコメント/迅速・着実にシナジー発揮

 大成建設の相川善郎社長は26日、東洋建設に対する株式公開買い付け(TOB)が成立したことを受け、「迅速かつ着実にシナジー(相乗効果)施策を実行する」とのコメントを発表した。「大きな節目を迎えることができたことに安堵(あんど)している」と述べつつ、「ここからが本番だ」と強調した。

東北福祉大学/仙台・国見新キャンパス構想発表/設計は安井建築設計事務所

 東北福祉大学は、仙台市青葉区の国見キャンパスに教育機能を集約する「新キャンパス構想」を発表した。2026年度から「図書館・食堂棟」と「体育館」を新設する。28年度の完成後に既存建物を解体し、分散する学科を集約するための新講義棟を建設する。設計は安井建築設計事務所が担当。年内にも施工者を決める。約10年かけ、ワンキャンパスプロジェクトを実現する。

鉄建建設/山岳トンネル遠隔監視にAI活用/切羽危険エリア侵入で警報

 鉄建建設は26日、AIを活用した山岳トンネル工事向け遠隔監視システムを開発したと発表した。AIの画像解析技術で作業工程をリアルタイムに管理。工程管理の効率化と生産プロセスの可視化でマネジメントの質を高める。AIが映像内で作業員の動きを解析し、切羽近傍の危険エリアへの侵入を即時検知。柔軟で高度な安全管理につなげる。

2025年9月26日金曜日

建専連ら/専門工事業合同体験フェア開幕/業界の魅力伝える

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)と建設産業専門団体中部地区連合会(中部建専連、清水敬央会長)の共催で「第12回建設専門工事業合同体験フェア」が25日、愛知県小牧市のポリテクセンター中部で開幕した。26日までの2日間で愛知県、岐阜県、静岡県の7校から延べ約220人が参加する予定。作業体験を通じて専門工事について理解を深めてもらうとともに、やりがいや魅力を伝える。

回転窓/まずはプラマーク探しから

 小欄が暮らす自治体で10月1日から、「燃やすごみ」として扱っていたプラスチックの分別回収が始まる。最初は少し戸惑いそうだが、新しいルールに早く慣れていきたい▼対象品目を改めて確認してみると、身の回りがいかにプラスチック製品に囲まれているかに気付かされる。歯ブラシや保存容器のような全体がプラスチックのものだけでなく、普段何げなく捨てていたごみの多くが、実は分別の対象だった▼ペットボトルのキャップやラベル、冷凍食品や菓子の包装、弁当容器やカップ麺の入れ物、錠剤のシート…。挙げ始めればきりがないように思える。矢印で「プラ」を囲んだプラマークが、見分けの目安だという▼2020年7月、容器包装リサイクル法の省令改正でレジ袋が有料化され、エコバッグの利用が広がった。けれども、日本のプラスチック削減やリサイクルの取り組みは、まだ始まったばかりといえる▼今回の分別回収は、22年4月施行のプラスチック資源循環促進法に基づく対応だそう。鍵になるのは消費者一人一人の心遣いと丁寧な行動。まずは身近な商品のプラマークを探すことから始めてみよう。




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大成建設/東洋建設へのTOB成立/9月30日付で連結子会社化

 大成建設の東洋建設に対する株式公開買い付け(TOB)が24日に成立した。8月12日からのTOBに5830万5532株の応募があった。買い付け価格は1株当たり1750円で、取得価格は1020億34百万円。TOBの成立を踏まえ、大成建設は残る株式をスクイーズアウトで取得する。所定の手続き後、東洋建設は上場廃止になる。
 東洋建設はTOBの決済を開始する30日付で大成建設の連結子会社になる予定。東洋建設の株式の約3割を持つヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)がTOBに応募。約2割を保有していた前田建設はTOBに応募せず、東洋建設が実施する自己株式取得に応じる。
 経営統合で陸海相互補完の関係が形成される。従来はすみ分けられてきた陸上・海上の施工領域にとらわれない幅広い分野での協業が可能になる。土木事業はJV組成による落札率の向上とともに、民間大型案件で陸海共同提案による受注増加を目指す。建築事業はより大型で高収益な案件、設計・施工一括(DB)案件の受注増加もにらむ。
 洋上風力発電事業では両社がそれぞれ開発、実証している浮体式の実用化を推進。陸上系統工事と洋上風力ケーブル敷設の共同受注も視野に入れる。
 事業全般でDXの推進や設計・積算業務の高度化による生産性向上、主要資材の集中購買、知名度を生かした採用の強化にも期待し、設備投資のさらなる推進も見込む。




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関東整備局港湾空港/CNP認証の川崎港、10月9日に交付式

 関東地方整備局港湾空港部は25日、国土交通省が3月に創設した「カーボンニュートラルポート(CNP)認証」に川崎港コンテナターミナルが選ばれたと発表した。脱炭素化に貢献する高度な設備と機能を持った港湾を評価。同港はLED照明や二酸化炭素(CO2)フリー電力で稼働するガントリークレーンを採用している点で評価を受けた。10月9日に横浜市内で認証の交付式を行う。
 CNP認証制度は脱炭素に配慮した取り組みを行っている港湾を1~5段階で評価し、他港にも取り組みを促す目的がある。認証を受けた港湾を利用する荷主や船社、港湾関係者にとっては社会全体にアピールでき、港自体のブランド向上にもつながる。認証は3年間有効という。
 川崎港コンテナターミナルでは港湾脱炭素化推進計画の策定に加え、構内照明のLED化などを行っている。再生可能エネルギーを利用して排出量を実質ゼロにするCO2フリー電力で動くインバーター方式のガントリークレーンも導入。水素換装型トランスファークレーンを2基取り入れ、荷役機械の脱炭素化も推進している。
 こうした取り組みにより、認証レベルは上から2番目となる「レベル4+」だった。
 交付式は横浜第2合同庁舎(中区北仲通5の57)で行う。同港以外に名古屋や大阪、高松、博多の4港も選ばれている。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177769
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第一生命保険/仙台第一生命ビル新築工事入札公告/来年6月着工へ

 第一生命保険は、仙台市青葉区の定禅寺通沿いにある「仙台第一生命ビル」(愛称・黒ビル)の建て替えで「(仮称)仙台第一生命ビル新築工事」の一般競争入札(総合評価方式)を26日に公告する。国分町3の1の1にオフィスビル(S造地下1階地上13階建て延べ1万6149平方メートル)を建設する。設計は竹中工務店。参加申請を10月3日まで受け付ける。提案書の提出期限は11月25日。入札結果は同月末に通知する。2026年6月に着工し、28年4月5日までの工期を予定している。=発注公告別掲
 参加希望者は、10月1日までに同社不動産部不動産開発課仙台PJ担当(〒100-8411、東京都千代田区有楽町1の13の1)に名刺と会社概要を送ること。募集要領と入札参加申請書をメールで配布する。
 参加には仙台市の競争入札参加資格が必要になる。経営事項審査で「建築一式工事」の総合評定値が1200点以上で、15年度以降にS造で10階建て以上、延べ1万平方メートル以上の賃貸用オフィスビル(基礎、躯体、外装、内装を含む)を元請で施工した実績を求める。
 国分町三丁目一番地区優良建築物等整備事業として、主要用途が事務所、店舗の新ビルを整備する。建設地(敷地面積1417平方メートル)には1970年7月に竣工した現「仙台第一生命ビル」(愛称・黒ビル)が立っている。SRC造地下1階地上10階建て塔屋4階の規模で、延べ床面積は1万1110平方メートル。竹中工務店が設計・施工し、現在は同社が解体工事も施工している。
 仙台市の「せんだい都心再構築プロジェクト」の適用を24年9月に受けた。容積率などが緩和され、事業採算性の向上が期待できる。新市役所本庁舎と商店街を結ぶ「つなぎ横丁」、近接する勾当台公園、定禅寺通、新本庁舎と一体になった全周4面の再整備を通じ、エリアの魅力・価値向上を実現する。




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大成建設/カーボンリサイクル・コンクリで外壁部材/国内初の1時間耐火認定取得

 大成建設は、自社開発のカーボンリサイクル・コンクリートを用いた建築物のカーテンウオール(外壁部材)を開発した。工場生産で大量の二酸化炭素(CO2)を排出するセメントを全く使わずにカーテンウオールを製造。材料に合成繊維を混合して耐火の要求性能も満たしている。部材の製造時にCO2の排出収支がマイナスになるという。国内初の1時間耐火の国土交通大臣認定を取得。通常の建築確認申請手続きで高層ビルなどに適用できる。
 同社は環境配慮コンクリートとして「T-eConcrete」シリーズを展開している。カーテンウオールに採用したのは同シリーズのうち、セメントを全く使用しない「カーボン・リサイクル」タイプ。柱や梁、壁など主要構造部材に適用する場合、耐火性能を確認し大臣認定を取得する必要があった。
 同社によると、開発したカーテンウオールはこれまでのコンクリートと比較し、製造時のCO2排出量が大幅に抑えられ、条件が整えば排出収支がマイナスになる、「120%削減」の効果が得られるという。セメントを使う従来品と同様の方法で製造が可能。クリート(PC)工場での設備変更はいらない。
 1時間耐火の国交大臣認定を国内で初めて取得している。通常の建築確認申請手続きで個別の建築プロジェクトに適用できる。プロジェクトごとの耐火性能確認は不要。高層ビルなどさまざまな建築物に使用可能だ。
 まずは1棟にカーボンリサイクル・コンクリートのカーテンウオールを適用する予定。他の主要構造部材への適用拡大も視野に入れている。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177757
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2025年9月25日木曜日

愛知大学/豊橋キャンパス新棟オープニングセレモニー開く/学術研究などの拠点に

 愛知大学は23日、創立80周年記念として整備した豊橋キャンパス新棟「Center Bldg.(センタービル)」のオープニングセレモニーを愛知県豊橋市の同キャンパス内で開いた。多くの関係者が出席し学術研究や地域連携の拠点となる新たなアカデミック棟の完成を祝った。設計・監理は日建設計、施工は鴻池組が担当した。
 冒頭、広瀬裕樹理事長は「新校舎は豊橋キャンパスの長い歴史を未来につなげるシンボリックでモダンなデザインとした。大事なのは学びの豊かさであり、学生が充実した生活を送れるよう細部までこだわった」とあいさつ。来賓の江口幸雄副知事は「地域の将来を担う人材育成は急務。愛知大学の果たす役割はますます重要になっている」、長坂尚登豊橋市長も「地方都市で活躍する人材の育成は重要。パートナーとしてさらに連携を強化していく」と述べた。
 建設報告で日建設計の塩田哲也設計監理部門設計グループ部長がセンタービルの特徴を説明。鴻池組名古屋支店の細川確所長は、品質向上に向けた提案や騒音・振動対策など「責任と使命感で取り組んだ。無事、完成を迎えることができたのは全ての関係者の協力のおかげ」と工事を振り返った。式典では、広瀬理事長から山本英樹日建設計執行役員名古屋オフィス代表と中山貴鴻池組執行役員名古屋支店長に感謝状が贈られた。関係者によるテープカットも行われた。
 愛知大学は1946年、豊橋市の旧陸軍士官学校旧陸軍第15師団跡地に創立した。施設の老朽化が進んでいたため22年から豊橋キャンパスの施設整備事業を進めている。センタービルの規模はS造4階建て延べ約1万1500平方メートル。1階は交流スペースや大・中教室、2階は情報メディア関連スペースなどワークフロア、3階は100万冊の蔵書をそろえる図書空間と学習エリア、4階のトップフロアは自然と調和したキャンパスを眺望する学習フロアとなっている。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177704
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回転窓/高専生とジビエ

 山間部にある建設職人の育成校を訪れた高等専門学校の生徒たちに、地元の食材をふんだんに使った夕食がふるまわれた。クマやシカのジビエ料理、アユの塩焼き、「今年最後」と紹介された朝採れのトウモロコシ。食卓を彩った季節の恵みに舌鼓を打っていた▼ジビエは育成校の講師の知人を通じて手配され、地元で食堂に勤める方が調理を担当した。シカ肉の刺し身の味付け、クマ肉の部位ごとの焼き方などを丁寧に教えてくれた。「また来てね」との声に「また来ます」と応じた生徒の笑顔が、心に残った▼この取り組みは、注目を集める二地域居住に関連した「二拠点教育」の一環。初めて訪れた土地で建設技術を学びながら、自然と共にある暮らしや地域文化に触れることを目的としている▼生徒の希望に応える形で実現し、国土交通省や厚生労働省、建設業振興基金の支援と協力を得た。同行した教員は「これまで見えていた景色が変わっていく」と語り、感謝の気持ちを伝えた▼現地には他校の関係者も休暇を取り自費で視察に訪れていた。建設業の未来を見据え、若者の学びを支える輪が、静かに広がり始めている。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177700
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土木学会/25年度選奨土木遺産/嵐山橋など19件選定

 土木学会(池内幸司会長)は24日、2025年度「土木学会選奨土木遺産」として19件を選定したと発表した。国内で初めて張り出し架設工法で建設された「嵐山橋」(神奈川県)や大口径放流管を備えた国内初の本格的な洪水調節ダム「大野ダム」(京都府)などを土木遺産に認定。00年度に創設した選奨土木遺産は累計550件になる。=2、11面に関連記事
 同日、土木学会選奨土木遺産委員会の小野田滋委員長(鉄道総合技術研究所)と三輪準二専務理事が会見した。小野田委員長は「前回の14件から19件に増えた。これまで戦前の土木構造物が選ばれていたが、戦後の昭和遺産的な構造物が選ばれていると実感している。もっと素晴らしい土木構造物があることを示し、国の重要文化財などに選ばれることも重要だ。明治以前の時代の土木構造物も検証が重要と思っている」と講評した。
 選奨土木遺産の対象は竣工から50年以上が経過した土木関連施設。社会や土木技術者へのアピール、まちづくりでの活用、失われかねないストックを救済・保護する観点で、毎年度20件程度を選定し青銅製の銘板を贈る。表彰式は各支部で土木の日(11月18日)などの行事に合わせて開く。




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大林組/建物CO2排出量予測システムを拡張/WLC予測可能に

 大林組は、建物の二酸化炭素(CO2)排出量を予測するシステムを機能拡張した。資材製造から施工段階までだった予測の対象範囲を広げ、新たに施工後の使用・運用や維持保全・更新、解体に至るホール・ライフ・カーボン(WLC)全体を網羅する。建物の仕様が未確定な計画初期段階からWLCの算出と削減対策効果のシミュレーションが可能になり、より早い段階から効果的な対策を検討しやすくした。
 24日に発表した。2023年12月に「カーボンデザイナー」として開発した建物CO2排出量予測システムの機能を拡張。予測範囲が施工段階までにとどまる従来の予測機能では資材の数量情報を入力する必要もあり、建物の仕様が未確定な計画初期段階では活用しにくかった。
 機能拡張版では、▽建物用途▽延べ床面積▽工事請負金額▽工期-の4項目の情報を入力すると、大林組の施工実績や算定ノウハウ、公的データに基づきWLCを即時予測できる。着工から解体まで時系列で予測することも可能にした。4項目以外の詳細情報の追加入力にも対応し、検討の進捗に応じて予測精度を高められるようにした。
 さらに低炭素資材や軽油代替燃料の採用などの削減対策メニューや割合・数量などを設定すると、WLCの削減効果を自動計算してグラフにする。基準建物との比較を自動計算する機能も強化。さまざまな対策メニューの組み合わせによる削減効果を即時に予測、把握できるようにした。
 同社は機能拡張したカーボンデザイナーを積極提案、建物の計画初期段階からWLCを削減しやすい環境構築に貢献していく。




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JR東日本ら/再エネ利用拡大に注力/高輪ゲートウェイシティーで実証

 JR東日本は、バイオガスや水素など再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みに力を入れている。バイオガス施設は東京都港区の「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティー)」の地下に配置。飲食店から出る食品廃棄物を基にガスを生成し、ホテルの給湯で使う熱の約10%をまかなう計画だ。実証結果を踏まえ、他の開発案件へのバイオガス施設導入も視野に入れている。
 JR東日本グループは2050年度に二酸化炭素(CO2)排出量「実質ゼロ」を環境長期目標として掲げている。高輪ゲートウェイシティーは将来の心豊かな暮らしのための実験場に位置付けている。環境負荷軽減のための実証実験も展開。さまざまなサービスで使用するエネルギー全体でCO2排出量実質ゼロを目指している。
 高輪ゲートウェイシティーは3月にまちびらきした。「THE LINKPILLAR1(ザ・リンクピラー1)」と同2、文化創造棟、レジデンス棟に分かれる。3月に開業したのはザ・リンクピラー1。残る施設は26年春のオープンを目指している。
 バイオガス施設はザ・リンクピラー1の地下2、3階に設置。商業施設「ニュウマン高輪」が9月12日にオープンしたのに合わせ、本格稼働した。飲食店などから出る食品残さを集めて発酵させ、ガスを生成。ガスを燃料にビル内の温水ボイラーを稼働し、今後開業するホテルに温水を供給する。
 ゲートウェイシティ全体が開業後は1日当たり約4トンの食品残さを処理する。食品廃棄物の約7割を減らせる見込みだ。
 高輪ゲートウェイ駅北側には純水素燃料電池システムを設置した。現在は外部の企業が太陽光発電を使って製造した水素を吸蔵合金カセットに充填(じゅうてん)。同駅まで運び、燃料電池システムに供給している次のステップとしてまちの中で水素を造り、サプライチェーン(供給網)も構築する。
 24日に都内で開いた見学会で、JR東日本は「ゼロカーボンへのチャレンジをグループの総力を挙げて推進し、サステナブルな社会の実現を目指したい」(天内義也マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットマネージャー)との方針を示した。




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2025年9月24日水曜日

回転窓/言葉の重みを胸に

 記者の仕事は、時に一本の細い道を歩くようだ。右にも左にも落とし穴があり、踏み外せばたちまち信頼を失う。だからこそ矜持(きょうじ)、すなわち誇りが問われる。「真実を伝える者は、火の中を歩む覚悟を持て」との古い言葉があるが、まさにその通りだ▼ある大企業の副社長に取材した時のこと。取材の途中で不意に「君と話していると楽しいよ」ともらされた。記事に直接関係のない一言だったが、不思議と胸に深く染み込んだ。鋭い質問も柔らかな相づちも、本音を引き出す一助になる。あの言葉は、取材の先にある出会いの大切さを教えてくれた▼記事は読者との橋であり、同時に取材相手との鏡でもある。老子は「善行は跡なさず」と説いたが、記事もまた、名を残さずとも人の心に、静かな波紋を広げる▼矜持とは、声高に掲げる旗ではなく、胸の奥で燃える小さな灯火のようだ。出会いを重ね、言葉を編むたびに、炎は揺れながらも消えずに続く▼リルケは「生きるとは問うこと」と書き残した。取材は問いを携えた旅。まだ見ぬ答えに向かって歩み出す。小さな一歩の中に、矜持はそっと息づいている。




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新社長/DNホールディングス・原田政彦氏、民間案件の受注体制強化

 2026年7月に次期中期経営計画がスタートする。好調な業績をさらに伸ばせるよう、民間受注に力を入れ公共発注量の減少に対応できる体制を整える。支社単位ではなく、技術分野単位でフレキシブルに案件を受注できる事業部制も取り入れる。新分野のM&A(企業合併・買収)やAIでのノウハウ伝承で技術力も高めていく。
 --経営環境をどう見る。
 「実行中の3カ年中期経営計画(24年6月期~26年6月期)の目標売上高を2年目で達成し業績は好調だが、受注高の8割を官公庁案件が占めているため、公共事業の減少に危機感を持っている。民間の受注体制強化に取り組んでいるが、効果が出るのに5~10年かかるだろう」
 --受注戦略を。
 「次期中期経営計画で民間受注をてこ入れする。高速道路会社などの橋梁の構造設計に注力する。事業会社の大日本ダイヤコンサルタントに統合されたダイヤコンサルタントは電力関連の地質調査を強みとしており、これを構造設計にも広げていく。再生可能エネルギー分野では、陸上風力発電の造成設計や、部材を運ぶ道路の設計の需要を取り込む」
 「自動車メーカーなどの工場の新設・更新事業にも参入している。先方の担当者にたどり着くのが難しかったり、専属の担当者がいなかったりなど道のりは険しいが、着実に取り組みたい」
 「フィリピンなどを中心に海外事業も推進する。橋梁の新設や維持管理の技術を必要とする発展途上国などは多い。息の長い取り組みになるが、現地法人の設立などを通して当社の技術を広め、貢献できればと思う」
 --社内体制をどう強化する。
 「次期中期経営計画が始まるのと同じタイミングで、現在の支社制を取りやめて技術分野ごとの事業部制を採用する。業務の受注や実施は支社単位で行っているが、それを全社で行うように切り替える。これまでは業務量が多い支社に人を多く配置する必要があったが、これからは配置換えをせず対応に当たれるようにする」
 --技術力向上も急務だ。
 「特定の技術分野でトップ位置にいれば、発注量が減る中でも存在感を示せる。トップ技術を持つ企業のM&Aも重要だ。常にアンテナを張って備えたい」
 「社内に蓄積されたノウハウの伝承などにAIを活用する。社長直下に約25人のメンバーで構成するDX戦略推進部を設け、そこで学識者をアドバイザーに招いてAIツール情報の収集や技術開発を行っている。今期はAIに関する勉強会を各支社で開き、知見を広めていく」。
 (9月26日就任予定)
 (はらだ・まさひこ)1985年金沢大学工学部土木工学科卒、大日本コンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。大日本ダイヤコンサルタントでは取締役兼専務執行役員などを経て23年から社長。DNHDでは21年執行役員経営企画本部長、24年取締役兼副社長執行役員。座右の銘は「なせば成る」。富山県出身、63歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177663
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環境省/霞が関中央合同庁舎3号館(国土交通省)に除去土壌搬入

 環境省は20日、国土交通省のある東京・霞が関の中央合同庁舎3号館に、東日本大震災の原子力発電所事故の除染から出た除去土壌を搬入した。土壌の復興再生利用を促す取り組みの一環。3号館正面入り口にある2カ所の花壇に約6立方メートルを使う。同日朝に福島県内の中間貯蔵施設から七つの大袋に入れ、10トントラックで搬送し、作業員が花壇に投入した=写真。
 中央合同庁舎での施工は4施設目となる。計9施設で復興再生利用する計画で、同日で5施設への搬入を終えた。3号館での施工面積は約31平方メートル。花壇の底に15センチの高さまで入れ、その上を20センチ覆土してある。花壇には復興再生利用を行っていることが表示される。
 関係法令、ガイドラインに基づいて搬送・施工した。「風で飛散しないよう天候を見て作業する日を決めた」と環境省の担当者。「来庁者の目に留まりやすく、(復興再生利用についての)国民理解の醸成につながってほしい」という。
 中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)には約1400万立方メートルの除去土壌が保管されている。約4分の3を占める1キロ当たりの放射能濃度が8000ベクレル以下の土壌は公共事業などで再利用が可能とされており、環境省は復興再生利用の取り組みを引き続きアピールしていく。




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青森県/統合新病院基本設計WTOプロポ、佐藤総合計画・八洲JVが最優秀

 青森県は「統合新病院新築基本設計業務」のWTO対象公募型プロポーザルで最優秀提案者に佐藤総合計画・八洲建築設計事務所(青森市)JVを22日に選定した。次点は日建設計。プロポには4者が参加した。県立中央病院と青森市民病院を統合新築する新病院棟(9階建て程度延べ7万2600平方メートル、病床757床)の基本設計などを任せる。参考価格は3億7180万5500円(税込み)。月内にも契約する。履行期間は2026年9月30日まで。
 プロポは審査委員会(委員長・河合慎介京都府立大学大学院教授)で技術提案書やプレゼンテーションなどの2段階で審査した。
 県立中央病院と青森市民病院の機能・資源を集約した新病院を新設する構想で、県と青森市が共同経営する。高度急性期医療と地域医療を両立する中核医療拠点に位置付ける。
 履行場所は青森市浜田豊田ほか(敷地面積8万8500平方メートル)。基本設計の範囲は建築(総合)と同(構造)、電気・機械設備の標準業務。病院棟や緊急医療施設(2階建て程度1000平方メートル)、院内保育所(平屋600平方メートル)、来院者用立体駐車場(4階建て程度1万5600平方メートル、700台)、職員用立体駐車場(6階建て程度2万3400平方メートル、950台)、ヘリコプター格納庫(500平方メートル)が対象になる。必要になる開発設計や許可申請手続きなども業務に含む。
 新病院の工事費は648億~729億円(税込み)に上る。建設地にある県営スケート場は26年度の国民スポーツ大会後に解体するため、28年度から施設整備が可能になる。造成などを含めた工期は28~32年度。同10月の開院を見込む。
 「統合新病院新築基本設計コンストラクション・マネジメント(CM)業務」はプラスPMに委託している。




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大成建設/ダム現場で完全無人化施工、自動建機群を協調運転

 大成建設はダム建設現場で、建設機械3機種の協調運転による完全無人化施工を実現した。自動運転と遠隔操作による複数の自動運転建機を組み合わせる協調運転制御システム「T-iCraft」を導入し、狭隘(きょうあい)で複雑な経路での土砂運搬や非常に狭いエリアでの盛り土作業などを迅速、正確に実施した。今後はダムや造成などの現場に積極導入し、人手不足を補完しながら作業のさらなる生産性向上を目指す。
 同システムは建機メーカーに関係なく、自動運転または有人運転いずれも対応可能。最大32台まで複数機種の建機を協調制御できる。パナソニックアドバンストテクノロジー(大阪府門真市、前田崇雅社長)が保有するロボット自律制御・協調タスクプランニング技術を活用している。
 2020年12月~25年3月に栃木県鹿沼市で施工した「南摩ダム本体建設工事」(発注者・水資源開発機構思川開発建設所)に導入した。有人操作機とも連携しつつ、遠隔操作によるバックホウと自動運転のクローラーダンプ、ブルドーザーの3機種を用いて、作業エリア内の完全無人化施工を実現した。
 クローラーダンプの走行ルートは最少幅5メートル、高低差が20メートルあり、折り返し走行が必要な複雑な経路だったものの、周囲の障害物を検知して自動走行する機能で安全に運搬した。ブルドーザーによる土砂の敷き均(なら)しエリアは幅10メートルの狭い場所にありながら、クローラーダンプで運搬された土砂を計測し、最適な経路生成の機能を持つ自動運転ブルドーザーで敷き均しした。
 計画や施工、出来形管理、評価、フィードバックといった一連の施工サイクルも自動化した。複数の建機を用いた土砂の積み込みや運搬、敷き均しといった一連作業について、計画を入力するとシミュレーションによる評価も実施。施工がシミュレーション通りに完了しているかデジタルツインで確認し、出来形管理・評価した結果をフィードバックして次の作業に反映できるようにした。




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2025年9月22日月曜日

凜/建設技術研究所東京本社水システム部主任・大石夏帆さん

 ◇探求し分かりやすく伝える
 「探求するのが自分に向いている」。そんな思いが建設コンサルタントの道を選んだ理由だ。貯水池や河川の水質分析に取り組み、浄化や悪臭防止など地域の暮らしを守る施策を考えている。水の出入りや住民との関わりを調べ、限られた予算をどう生かすか発注者と調整を重ねる。地道な積み重ねでオーダーメードの対策を作り上げる姿勢に誠実さがにじむ。
 対外的な説明では、一つの言葉がどう響くかを気にかける。夏場にプランクトンが繁殖し、カビ臭の原因物質が検出されることがある。資料に「カビ臭」と記したところ、水域の管理者から「体に有害との誤解を与えかねない」と指摘され、「雨上がりの土の匂い」に言い換えた。柔らかい言葉に置き換える工夫は、相手への思いやりだろう。
 発注者との打ち合わせも限られた時間での勝負だ。専門用語は極力省き、要点は太字で強調する。短時間でも内容をつかんでもらえるように工夫する姿勢は、相手を気遣う誠意の表れでもある。
 入社して9年目。本人は「水質や水環境に特化した技術者になりたい」と将来を見据える。物質分析の専門資格・環境計量士の取得を目指す姿は、まっすぐで頼もしい。「データの見方を知れば気づきが広がる」と語る目は真剣そのもの。仕事への情熱を話す姿は、思わず応援したくなる魅力にあふれている。
 (おおいし・なつほ)




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建退共/制度検討会議で最終案報告/技能・経験に応じ支払い、現場ごとに掛け金設定も

 勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部)は19日、東京都内で第4回建退共制度検討会議を開き、最終取りまとめ案を報告した。建設労働者などの処遇改善のため、技能・経験に応じた退職金を建退共制度から受け取れるようにする。複数掛け金制度の導入と、制度の民間工事への普及、手続きの電子化の推進を見直しの3本柱に据える。退職金は最低でも1000万円を目指す。
 退職金引き上げを巡る建退共制度の検討が大詰めを迎えた。最終取りまとめは、国土交通省や厚生労働省など関係機関に提出されることになる。
 最終取りまとめ案では、建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者のレベル区分に応じ、段階的に金額を上乗せした掛け金日額の標準モデルを示した。事業主が選択することも可能にする。工事ごとや厳しい労働条件(災害や危険度)などを踏まえ、柔軟に掛け金日額を10円単位で設定できる仕組みも盛り込んだ。
 労務費とともに確保すべき「必要経費」となる建退共制度の掛け金は、元請と下請が掛け金相当額を見積書に明記することで発注者に示すことが必要となる。工事費の中で確実に確保される仕組みとして、CCUSと制度を連携させていく中で、現場管理の効率化、適正な履行確保、不正利用防止、災害時の紛失防止などの観点から電子ポイント方式を推進するとした。
 公共工事中心だった制度の利用を民間工事に広げる施策も盛り込んだ。掛け金を見積書に明記し、必要経費として発注者に理解を求めることにしている。建設Gメンによる検証も推進する。見積書に内訳明示されることで、掛け金が発注者・受注者間、元請・下請間で適切に確保されているかを確認できるようにもする。CCUSに登録のある技能労働者のうちの制度未加入者向けに、「CCUS建退共事務組合(仮称)」を設立し、元請・下請の協力の下で掛け金納付の手続きが進むようにする案も示した。建設技能人材機構(JAC)と連携した外国人労働者への勧奨強化など、普及の取り組みを幅広く進めることも検討していく。
 複数の掛け金を設ける場合、事務手続きが煩雑になることが懸念される。そこで電子ポイント方式を前提に制度とCCUSの完全連携を進め、掛け金の透明性を確保し、事務を効率化する。手続きの電子化は2030年度末をめどに、遅くとも35年度末までの移行を目指すとした。




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全中建/ブロック別意見交換会スタート/中部地区の現状報告、環境改善へ課題共有

 全国中小建設業協会(全中建、河崎茂会長)と国土交通省による2025年度ブロック別意見交換会がスタートした。18日に名古屋市中区のアイリス愛知で行われた中部地区を皮切りに全国6地区で実施。中部地区の関係団体からは中小建設業の厳しい現状が報告され、環境改善に向けた課題を共有するとともに、官民が協力・連携しながら持続可能な事業環境を創出していくことを確認した。
 中部地区の意見交換会には全中建の幹部のほか、国土交通本省、中部地方整備局、愛知県土木研究会、愛知県舗装技術研究会、愛知県建築技術研究会、静岡県中小建設業協会の関係者らが参加した=写真。
 冒頭、全中建の河崎会長は、若者から選ばれる建設産業を目指す上で「優良な中小建設業者が存続し、地域社会に貢献する力強い地場産業として、その役割を十分果たしていける基盤を築くことが重要だ」と訴えた。
 関係団体を代表し、愛知県土木研究会の大矢伸明会長は人手不足や資材高騰、酷暑などによって経営環境が一段と厳しさを増していると説明。災害発生時に第一線で活躍する地元の中小建設業者の存続が危ぶまれていることを踏まえ、「業界の頑張りだけでは力が足りず、(官民が)両輪で良好なパートナーシップを築けるよう努めたい」と参加者らに呼び掛けた。
 続いて、国交省の不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の酒井大斗課長補佐が建設業行政の動向や課題などを説明後、各団体からさまざまな意見・要望が示された。
 主な要望事項は▽週休2日制による労働日数減少分の日給アップ(1・2倍)▽下請企業の賃金形態を月給制にする施策の検討▽最低制限価格、低入札調査基準価格を予定価格の95%以上に引き上げ▽週休2日制の推進に向けた市町村、民間発注者への指導・働き掛け▽週休2日が困難な現場での経費補正や休日単価計上▽スライド条項の弾力的な運用が進むよう県への指導・働き掛け▽提出資料の簡素化とデータでの提出▽高温日の発注者からの休工指示など熱中症対策の拡充▽総合評価での自由設定項目の適正運用▽繰越明許費の明示による適正工期の確保▽公共建築工事での余裕期間制度の促進とフレックス方式の制度改善▽常時1年分の発注見通しの公表▽受注予定者に対する見積期間の延長-など。
 自由討議では「大手と中小企業での制度のすみ分け」「建設業のイメージアップにつながる地域貢献活動を促進するインセンティブの明示」「週休2日制の推進で制約を受ける現場見学会の平日開催支援」などについて意見を交わした。




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インフロニアHD/三井住友建設へのTOB成立/事業全般をワンストップで

 インフロニア・ホールディングス(HD)の三井住友建設に対する株式公開買い付け(TOB)が18日に成立した。インフロニアHDの岐部一誠社長は「エンジニアリング力をより強固にし、さまざまなインフラで(設計から施工管理、運営など事業全般を)ワンストップで手掛ける唯一無二の企業集団に近づける」とコメントした。近く連結後の影響を織り込んだ2026年3月期通期業績予想と中期経営計画(28年3月期)を公表する。
 TOBは8月6日から今月18日まで実施し、1億2646万4423株の応募があった。買い付け予定の下限は1億0458万9800株。取得価格は758・7億円(1株当たり600円)。TOBが成立したため、残る株式はスクイーズアウトで取得する。三井住友建設はTOBの決済を開始する26日付でインフロニアHDの連結子会社になる。スクイーズアウトの実施後、三井住友建設は所定の手続きを経て上場を廃止する。
 岐部社長は「これからが本当のスタートで、経営統合に向け身が引き締まる思い」とした上で、インフロニアHDが近く更新する中期経営計画で「高い目標を設定する」方針を明らかにした。さらに「目標達成にはHD、グループ各社の不断の改革が必要になる」ため、「グループ全体で組織運営をより効率化する」考えだ。
 三井住友建設はプレストレストコンクリート(PC)橋梁や、独自の工期短縮技術を使った超高層マンションなどで業界トップクラスの技術力がある。海外事業の実績も豊富だ。両社は経営統合を機に、請負・脱請負の幅広い領域でエンジニアリング力を生かし、シナジー(相乗効果)の具体化を目指す。
 合意事項では、前田建設と三井住友建設の両方が強みを発揮できる分野の工事は、リソースなどを1社だけで入札するか、JVを組んで対応するかを決めていく。前田建設と三井住友建設の合併など、事業会社の再編は当面実施しない方針だ。




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山口県下関市/唐戸市場リニューアルで対話/PFIの導入視野

 山口県下関市は、大規模改修を計画している「唐戸市場」(唐戸町5の50)について、民間事業者と対話を行い、維持管理や運営を見据えた事業方式を検討する。老朽化が進む市場棟と駐車場棟をリニューアルして新たに飲食スペースの設置も計画。民間のノウハウを生かした事業の可能性を調査し、今後の計画策定の参考にする考えだ。10月10日まで参加申し込みを受け付け、同21日に対話を実施する。
 唐戸市場(敷地1万5382平方メートル)は築23年が経過し、鉄部分や防水の劣化が進んでいるほか、夏の暑さ対策や飲食スペースがないなどの課題があり、2025年度から大規模改修に向けた基本構想を検討している。
 建物は斜張式つり構造とプレキャスト・プレストレスト・コンクリート造を採用し、技術的に難度が高い。市場棟は3階建て延べ1万4473平方メートル、駐車場棟が4階建て延べ9683平方メートル。
 改修後は飲食スペースを設置し、空調設備を導入する予定で、床面積は両棟合わせて2万5000平方メートル程度にする。工事中も営業を続けられるよう近くに仮設店舗の設置を想定している。仮設店舗の場所は検討中。
 大規模改修事業でPFIを採用した事例がなく、民間活用による事業の可能性を検討するため、サウンディング(対話)調査を実施する。事業者にはPPP/PFI事業の参入の可能性や条件、仮設店舗の設置などについて意見を聞く。山口地域PPP/PFI官民連携プラットフォームが協力する。
 市は26年度までに基本計画を策定し、27~28年度に設計を進める。工事期間は29~31年度末で、リニューアルオープンは32年4月を予定する。




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竹中工務店ら/建設ロボ連携へプラットフォーム構築/28年度以降に実用化目指す

 竹中工務店ら6社は、さまざまな建設ロボットが連携できる共通プラットフォームを構築する。建設現場の資材搬送や耐火被覆吹き付け、測量、清掃などに用いるロボットについて、共通の機能モジュールを組み合わせて連携できるようにする。ベンダー各社が個別に開発することで課題になっている互換性の欠如や開発コストの高さに対処。現場でロボットが使いやすい環境を整備し、生産性向上に貢献する。
 19日に発表した。竹中工務店は、Kudan、ジザイエ(東京都千代田区、中川純希代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)、アスラテック(東京都港区、酒谷正人社長)、燈(東京都文京区、野呂侑希社長)、センシンロボティクス(東京都品川区、北村卓也社長兼CEO)と共に、建設ロボットの連携に向けたソフトウエア開発基盤の研究開発に着手した。
 竹中工務店は、ロボットの機械部分からソフトウエアまで包含する基本構造の設計・構築を担当。異なるメーカーのロボットが共通して使えるようにする。
 Kudanはソフトウエア機能を開発。ロボットが現場の状況変化に応じて位置を正確に把握し、自動で移動できる技術を開発する。ジザイエはハードウエア機能を開発。さまざまな作業に対応できる共通移動ユニットを構築する。アスラテックは5GやWi-Fiなどの通信方式を組み合わせ、現場の環境塩化に対応する通信基盤を整える。燈はBIM/CIMの設計図などと連携したロボットの事前動作をシミュレーションする。センシンロボティクスは複数のロボットを一元監視・管理できるシステムを構築する。
 6社は共通プラットフォームについて28年度以降の実用化を目指す。




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2025年9月19日金曜日

関東整備局/首都圏外郭放水路でライトアップツアー新設/10月上旬受付開始

 関東地方整備局は、地下約50mにある治水施設「首都圏外郭放水路」(埼玉県春日部市)をライトアップする新コースを立ち上げる。「防災地下神殿」で知られ、貯留した雨水を河川に流す調圧水槽内をライトで照らす。光と音の演出で幻想的な空間が体感できる。10月上旬に参加申し込みの受け付けを開始し、11月上旬にツアーを実施する。

回転窓/受け継がれる祝祭の息吹

 大阪・関西万博の閉幕まで、残り1カ月を切った。10月13日を前に駆け込みの来場も増え、会場は連日多く家族連れや観光客でにぎわう▼世界最大の木造建築「大屋根リング」の下は、日差しを和らげ、風が通う安らぎの場。柱に描かれたアートを探したり、腰を下ろして見上げたりすれば、木のぬくもりと光が溶け合い、時の流れまで穏やかに感じられる▼リングの内外には見どころが尽きない。著名建築家やデザイナーのパビリオンに加え、若手が設計した休憩所やトイレまで並び、歩くたび新しい発見がある。壮大な建物から小さな施設まで、多彩な感性が響き合う姿は建築の祝祭といえる▼会期が終われば原則は解体と撤去。だが廃棄を減らそうと、日本国際博覧会協会が開設したマッチングサイトには、テーマ館の部材や建材、設備が100件以上出品され、次の担い手を募っている。建材が再びどこかで息づくと考えれば、建築の命の循環に気付かされる▼環境への配慮や持続可能な社会の実現は今回の大切な柱。パビリオンが無に帰すことなく、各地で新たな役割を担い、息吹が静かに受け継がれることを願いたい。




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関西電力/美浜原発(福井県美浜町)1号機建替/11月から地質調査

 関西電力は、福井県美浜町にある原子力発電所「美浜発電所(1号機)」の建て替えに向け、自主的に行う現地調査の計画をまとめた。11月から2027年3月までボーリング調査などの概略調査を行い、立地に優位なエリアを選定。その後、選定エリア内で試掘坑調査などを進め、原子炉の設置に適した地質、地盤かを確認する詳細調査を30年ごろまで行う。

秋田市/新サッカースタジアム整備/改修案も7000~8000席規模可能

 秋田市はサッカーJリーグ・ブラウブリッツ秋田の本拠地整備計画で、既存の「秋田スポーツPLUS・ASPスタジアム」の改修案でも収容人数を7000~8000人規模にできるとの見通しを明らかにした。これまで5000人規模で説明してきたが、より大規模な整備が見込めると推計。新設と改修の両案を比較検討し、年内に市の方針を固める。「スタジアム整備等検討支援業務」は梓設計に委託している。

東京都/青少年体験学習・宿泊施設再整備/PFIの導入検討

 東京都は、都立夢の島公園(江東区)内にある青少年体験学習・宿泊施設「区部ユース・プラザ」を「(仮称)子供・若者体験活動施設」として再整備する。事業手法にはPFIの導入を検討する。最も古い施設は完成から約50年が経過し老朽化しているため、同じ夢の島公園内で再整備する考え。有識者の意見を聞いた上で基本計画をまとめる。

大成建設/3現場で建機の遠隔操縦に成功/数百km先からも可能に

 大成建設が建設機械の超遠隔操縦に相次ぎ成功した。高速・大容量通信が可能で低遅延なLTE回線を複数束ね、衛星通信と同時利用する「マルチリンク」技術を導入。5~9月にかけて3現場で数十~数百キロレベルの遠隔操縦ができると実証した。映像やIoTデータを活用する自社の現場管理システムも併用。デジタルツインで建機の配置や稼働状況をリアルタイムに可視化した。メンテナンス担当者と建機の位置関係を常時監視し、安全性と作業効率を両立している。

2025年9月18日木曜日

日建連北海道/札幌市内の建築工事現場でけんせつ小町見学会開く

 日本建設業連合会(日建連)北海道支部(奥村一正支部長)は16日、五洋建設が札幌市中央区で施工する「札幌第4地方合同庁舎新営23建築工事」の現場でけんせつ小町現場見学会を開いた=写真。会員企業から技術系、事務系の女性社員30人が参加し、現場のスケールを体感した。

回転窓/公園の雨水貯留施設工事

 8月下旬、近所の公園で6年ぶりに夏祭りが開かれた。地下に大型の雨水貯留施設を造る工事のため、長く閉ざされていた場所だ▼工事が終わる来年3月までは立ち入りできないが、近隣の小中学校が夏休みに入る時期だけ現場が一時的に開放され、2日間の祭りは大勢の人で会場が埋め尽くされた。豪雨のたびに浸水が心配されてきた地域でもある。2期工事が完成すれば、約1万1000立方メートルの雨水を公園の地下に抱え込めるという▼一方で、今年の夏も台風15号以降の大雨で、各地は甚大な浸水被害を受けた。3連休もなお復旧や排水作業に追われる地域があり、被害の重さを実感させられる▼国土交通省が進める「流域治水」は、2級河川など都市部を流れる水系にも対象が広がった。突然の豪雨にどう備えるか--。中心市街地の安全が改めて問われている▼ただ公園の工事には、桜の巨木伐採や大幅な遅れへの批判が残る。それでも繰り返される浸水を前に、理解を示す地域住民の声があると聞く。被災地の一日も早い復旧を願いながら、私たち自身の備えをどう整えるべきなのか、これまで以上にしっかりと考えたい。




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錢高組/コーポレートサイト全面刷新/創業320周年迎え歴史紹介

 錢高組が創業320周年を迎える18日、コーポレートサイト(https://www.zenitaka.co.jp/)を全面リニューアルする。施工実績や工事リポートを探しやすくし、関連情報を自動表示する「レコメンド機能」も導入。“見やすさ”を追求したサイトに生まれ変わる。

川崎市、昭和医科大学/地域と共生するキャンパスづくりで連携協定

 川崎市と昭和医科大学(東京都品川区、小口勝司理事長)は、16日に「地域と共生するキャンパスづくり」で連携協定を締結した。同大学は2027年4月に、医学部など約2000人の学生が通う「鷺沼キャンパス」開設を予定している。両者は地域交流や災害時対応、利便性向上などで協力する考えだ。

大分市/陸上競技場改修の在り方検討でPT/25年度内に方向性取りまとめ

 大分市は老朽化している市営陸上競技場「ジェイリーススタジアム」(西浜)を巡り、改修など今後の方向性について庁内プロジェクトチーム(PT)を設立し、検討している。改修した上で従来通り陸上競技場として運営する案に加え、民間事業者から提案のあったサッカー専用スタジアム化する案も比較検討。必要な設備投資の概算事業費などを試算し、2025年度末までに整備の方向性として取りまとめる考えだ。

大成建設/インバート支保の変位分布を自動計測/装置の設置・再利用も容易に

 大成建設は、山岳トンネル底盤部(インバート支保)全体の変形挙動を自動監視する変位計を開発した。施工時に懸念される地山の隆起や沈下といった変位分布を詳細に把握。底盤部の地盤が膨れ上がる「盤膨れ」現象などを確実に捉え、地山の変位に応じた効果的な対策工事に役立てる。膨張性の地山が広がる日本海側のトンネルを中心に展開し、トンネル以外の構造物にも適用範囲を広げる。

2025年9月17日水曜日

回転窓/若き日の思いを大事に

 これまで職場や取材先で幾度も出会いと別れを経験してきた。最もつらいのは同僚や部下の退職を知った時だ。引き留めたい思いを胸にしまい、笑顔で送り出してきた▼仕事をしていると、〈なぜその道を選んだのか〉とよく問われる。学生時代の学びを生かしたいから、仕事内容に魅力を感じたから--理由は人それぞれだ▼音楽家が〈自分を音楽の世界へ導いた一曲は特別だ〉と語るインタビューに触れるたび、職種は違えど原点の力は共通すると感じる。私たちの仕事にもまた、初心を思い出させる記憶の旋律があり、暗いトンネルを抜ける小さな光になる▼転職の動機はさまざまだが、中には意欲を保てず辞めていく者もいて、一つの仕事を続ける難しさを痛感してきた。羽ばたこうとする人もいれば、地上にとどまることを選ぶ人もいる。道は違えど、自分なりの答えを探し続けているのだと気づかされる▼職業の選択は自由であり、悩み抜いた末の結論なら受け入れるしかない。仕事は常に順風満帆ではなく、荒波に飲まれることもある。そんな時こそ若き日の気持ちを思い返し、胸の奥にある響きを聴いている。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177514
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政府/霞が関で除去土壌を再利用/中央合同庁舎5号館など3カ所の花壇に

 政府は、東日本大震災の東京電力福島第1原発事故に伴う除染で発生した除去土壌の一部を、東京・霞が関にある各省庁の敷地内で復興再生利用として活用し始めた。施工の様子を14日、報道陣に公開した。除去土壌の運送は中川運送(新潟県佐渡市)、施工は除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS)が担当した。

埼玉県/大宮スーパー・ボールパーク基本計画策定/自転車競技場は多目的競技場に

 埼玉県はさいたま市大宮区の県営大宮公園にあるスポーツ施設(自転車競技場、野球場、サッカー場)の再整備を核とする「大宮スーパー・ボールパーク基本計画」を策定した。県営競輪場の「大宮双輪場」を多目的競技場として第二公園に再整備する。

清水建設ら/盛り土工事の管理業務大幅効率化/3Dモデルとデータひも付け

 清水建設ら2社が盛り土工事の工程(トレーサビリティー)管理業務を大幅削減する技術を共同開発した。DXによって膨大な書類で対応している工程管理を効率化。施工履歴や工事情報、土砂運搬履歴、品質管理記録のデータを盛り土工事の3Dモデルとひも付け蓄積、整理する。西日本高速道路会社が発注し、大阪府高槻市で施工中のトンネル工事に関連する大規模盛り土工事に初適用。生産性向上に効果を発揮している。

2025年9月16日火曜日

回転窓/献血のススメ

 仙台市内で7月に開かれた「第61回献血運動推進全国大会」で、福島県郡山市の陰山建設(陰山正弘社長)が「昭和天皇記念献血推進賞」を授与された。献血運動の進歩発展などに顕著な功績を上げた個人・団体に贈られる賞であり、中小企業の受賞は初めてという▼協力会社らと共に40年以上続けている「愛の献血運動」の取り組みが高く評価された。本業だけでなく献血で地域に貢献する建設会社の功績を心からたたえたい▼オーストリアの病理学者カール・ラントシュタイナーが、ABO式血液型を発見したのは1900年にさかのぼる。この研究成果で科学に基づく安全な近代輸血が可能となった▼日本では医療現場に必要とされる血液量を確保できているものの、若年層(10~30代)の献血者数が以前と比べて大幅に減少。少子高齢化が進むと将来の安定供給に支障を来す恐れもある▼「心配です」「困っています」--。全国の赤十字血液センターがそうした献血状況をハートマークのイラストで表示している。ウエブサイトで血液型ごとの状況が確認でき、関心を向ける人が増えれば助け合いの輪はより広がるだろう。




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宮城建設女性の会/現場視察研修会開く/災害に強い道路、トンネル現場を見学

 宮城県建設業協会の宮城建設女性の会2015(武山利子会長)は11日、建設現場など視察研修会で、宮城県が災害に強い道路ネットワーク構築を目的に建設する「(仮)大谷川浜小積浜トンネル工事」(石巻市)などを見学した。研修会には会員企業に所属する技術者、事務職ら23人が参加。トンネル現場の施工過程や安全管理を学んだほか、2024年12月に開通した出島大橋(女川町)で安全と暮らしを支えるインフラ整備に理解を深めた。3・11伝承ロード推進機構(今村文彦代表理事)が企画・運営に協力した。

東京都/東京五輪6施設の利用率/24年度は9割以上、順調に利活用進む

 東京都は、2021年に開催した東京五輪・パラリンピックに向けて整備した競技施設の利用状況などをまとめた。6施設の利用率は24年度実績で90%以上と高水準だった。来場者数は合計271・7万人。スポーツ以外にエンターテインメントやイベントなどで会場になっている。都は「都民のウェルビーイング向上に貢献している」と評価した。

静岡県/食肉センター汚水処理施設新築/事業費増額、11月にも入札再公告

 静岡県は、国庫補助金の内示が見込めないため公募型プロポーザル手続きを中止した「静岡県食肉センター汚水処理施設新築工事」について、11月をめどに再公告する予定だ。資材価格高騰や関連工事の追加も含め事業費を増額。事業期間も変更し、9月補正予算案に6億2700万円増の24億2000万円の債務負担行為(2025~29年度)を改めて設定した。

日比谷総合設備/DC液冷技術の研究に注力/NTTデータら8社と連携

 データセンター(DC)の機器類を液体で冷やす「液冷方式」の普及を見据え、日比谷総合設備が研究に力を入れている。2024年11月に同社技術研究所(千葉県野田市)内に、NTTデータと共同で検証施設を開設して設備メーカーとも連携。液冷技術の課題を洗い出し、解決策を探る場として活用している。技術研究所の高橋慎一所長は「データセンターの日比谷と言われるべく設備技術を蓄積したい」と意気込む。

2025年9月12日金曜日

回転窓/にわかファンの期待

 五輪やパラリンピックといった世界的なスポーツの祭典が始まると、なじみのない競技でも、ついつい手に汗を握りながら応援してしまう。いわゆる“にわかファン”だが、ひたむきに競技へ挑むアスリートの姿や緊張感に満ちた試合展開が人々を引き込む▼陸上の世界選手権東京大会が13日に開幕する。日本選手団は80人を数え、女子やり投げで大会2連覇を狙う北口榛花選手を筆頭に、男子の競歩や400メートルリレーなどで表彰台が期待される▼見どころの一つがマラソンだろう。国立競技場(東京都新宿区)を発着点に、皇居や神田、銀座、秋葉原など都内の名所をトップランナーが巡る。37キロ付近から始まる上り坂が勝負を分ける難所で、周回と直線を組み合わせたコースでの戦略や駆け引きに注目したい▼世界選手権は原則2年ごとに行われ、五輪と並ぶ最高峰の大会。日本開催は1991年東京、2007年大阪に続き3度目となり、34年ぶりの東京開催となる。地の利を生かし、過去最多の4個を超えるメダル獲得が期待される▼世界の一流アスリートが集う大舞台で、どんな名場面が生まれるか。大会は21日まで続く。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177421
via 日刊建設工業新聞

新社長/人・夢・技術グループ・野本昌弘氏/市町村や民間からの受注拡大

 企業認知度を高める広報戦略に注力し、人・夢・技術グループの企業価値をさらに高める。次期中期経営計画では実現可能な目標を設定し、事業会社間のシナジー(相乗効果)創出を重視。防災・減災やインフラ維持管理などに照準を合わせ、市町村や民間からの受注拡大を目指す。
 --就任の抱負を。
 「人・夢・技術グループの全社員が誇りを持ち、安心して働けるようにしたい。最優先課題は認知度の向上だ。長大や基礎地盤コンサルタンツなどの持ち株会社としてのイメージではなく、人・夢・技術グループが何をする会社か誰もが分かるようブランディング戦略に注力する。年内にもグループのコンセプトワードを公表する。SNSもさらに活用していく」
 --経営戦略は。
 「今秋に新3カ年中期経営計画を策定して公表する。ここ数年、業績は堅調に推移しているが、現行の中期計画で設定した目標に届かない見通しだ。新中期計画では実現可能な目標を設定しつつ、挑戦的な取り組みも盛り込みたい。事業会社同士で積極的に人事交流する方針も打ち出す。互いの技術を深く理解し、シナジーを高めるような営業活動ができるようにしていく」
 --市場環境をどう見る。
 「引き続き防災・減災、国土強靱化関連が柱になる。ただ国の公共事業は国土強靱化実施中期計画が策定されたものの、中長期的な視点で見ると大きな伸びを期待するのは難しい。インフラの維持管理や防衛関連施設の整備も注視している。特に市町村では地域インフラ群再生マネジメント(群マネ)に基づく広域連携が相次ぎ計画・進行しており、民間のノウハウも必要になるだろう。防衛施設関連も環境影響評価(環境アセス)などに伸びしろがあるとみている。事業会社である基礎地盤コンサルタンツの顧客基盤を生かし、民間受注の比率を高める。必要に応じて地域コンサルタントとの資本・技術提携やM&A(企業合併・買収)も検討する」
 --新たな注力分野は。
 「グループ全体で培った技術やノウハウを生かし、河川や港湾、漁港、スマートシティー・コンパクトシティーなどの需要をより取り込みたい。特に漁港は能登半島地震の被災地で本格化する復旧を注視している」
 --人材戦略を。
 「長大では社員の女性比率を30%に高める目標を掲げる。グループ全体でも女性がより活躍できる環境づくりに一段と力を入れる。フィリピン・ミンダナオ大学と人材活用でさらに結び付きを強め、卒業生を社員として採用し人・夢・技術グループで活躍してもらいたい」。
 (12月24日就任予定)
 (のもと・まさひろ)1983年金沢大学工学部建設工学科卒、長大橋設計センター(現長大)入社。長大では取締役兼専務執行役員などを経て2021年12月から社長兼最高執行役員。人・夢・技術グループでは同10月副社長、24年12月代表取締役。「信じればできる」をモットーとする。趣味は海釣り。大阪府出身、65歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177417
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矢作建設工業/研究施設が環境性能認証で最高ランク取得

 矢作建設工業は、愛知県長久手市の同社研究施設「エンジニアリングセンター」を改修し、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の五つ星を超えるZEB認証と、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)のウエルネスオフィス認証でSランクを取得した。断熱機能の強化や太陽光発電の導入、執務環境の改善などさまざまな取り組みで建物の省エネを実現し、利用者の健康や快適性を保つ。
 エンジニアリングセンターは研究棟と実験棟で構成する=写真(矢作建設工業提供)。省エネの取り組みは、研究棟の屋根の断熱性強化、空調機器の適正化、照明制御などを実施しエネルギー消費量を50%削減。実験棟の屋上に太陽光パネルを設置しエネルギー消費量の76%分を創出する。
 研究棟は空間ゾーニングを見直すとともに、各ゾーンのコンセプトに合わせインテリアや家具を配置。執務室は集中、リラックス、コミュニティーの三つのゾーンに分け、仕事内容に合わせて執務場所を選択できるようにした。デジタルサイネージで各ゾーンの温度、湿度、二酸化炭素(CO2)のほか太陽光発電の状況なども確認できる。同センターで技術開発した集成材と鋼材のハイブリッド部材「Y’s木鋼ブレース」を設置し耐震性も向上。太陽光発電と蓄電池を導入したことでBCP(事業継続計画)も向上した。
 改修は8月に完了した。今後は温度や湿度、電力使用量の測定、アンケートなどデータを収集・分析し運用面の改善を図る。データを蓄積し技術向上を図ることで顧客への技術提案にもつなげていく。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177419
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振興基金/1号特定技能外国人現場入場、届出書にCCUSデータ反映

 建設キャリアアップシステム(CCUS)運営主体の建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)は、CCUSの登録データを反映させることで簡易に作成可能な工事関係書類を拡充する。特定技能1号の在留資格を持つ外国人就労者を現場入場させる際に作成が必要となる「一号特定技能外国人建設現場入場届出書」にCCUSデータを出力できるようにする。12日に利用開始する。
 国土交通省の「特定技能制度に関する下請指導ガイドライン」では、特定技能1号の外国人就労者の適正な就労環境を確保するための元請企業の役割を規定。受け入れ企業から届出書で報告してもらい、「業務区分の内容」と「従事させる期間」が適切な記載となっているか確認することを元請に求めている。
 こうした現場の事務負担を軽減するため、届出書にCCUSデータを反映できるようシステムを改修。CCUSで現場作業員を登録する際、外国人就労者の「業務区分の内容」と「従事させる期間」を入力できるようにした。CCUSから出力できる既存の工事関係書類のうち、作業員名簿に業務区分を反映することもできる。
 現行の技能実習制度では、届出書の作成は規定されていない。2027年度から新たな在留資格「育成就労」制度で届出書の取り扱いがどうなるか現時点で決まっていない。前もって届出書の出力機能を開発し、仮に育成就労制度で必要になった場合にも対応できるようにする。
 28年1月に稼働予定のCCUSの次期システムでは、国交省の外国人就労管理システムとAPI連携を予定。外国人就労管理システムから「業務区分の内容」のデータをCCUSに反映可能にする。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177423
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滋賀県/医療福祉拠点人材養成機能整備/10月めどに看護系大学設置事業者再公募

 滋賀県は、大津市で計画している医療福祉拠点のうち「人材養成機能」について、看護職系大学の設置事業者を10月をめどに再公募する方針を明らかにした。10日の9月定例会議での代表質問に三日月大造知事が答弁した。設置事業者選定に当たっては、2024年11月に公募型プロポーザルを公告したが、応募表明書の提出がなかったため不調となっていた。不調を受け、県は近隣府県の私立大学約140校に意向調査を実施。5校が看護学部開設への関心を示したことなどを受け、再公募する方針を固めた。
 県は県庁西側の敷地約7200平方メートルで、多様化する医療ニーズや新たな感染症など健康危機管理に対応するため、医療福祉拠点の整備を計画。このうち北側の約2500平方メートルに県が在宅医療福祉を推進する医療福祉センター機能(〈仮称〉第二大津合同庁舎)、南側には民間事業者が医療福祉関係の人材養成機能を持つ施設を整備する。
 前回の公募時の条件によると、開設は28年4月を想定していた。整備対象地は約2600平方メートルで49年11カ月の事業用定期借地権を設定。貸付料は月額136万5000円以上で、貸付期間は74年9月30日まで。養成職種は看護職の4年制大学(定員80人程度)、歯科衛生士の4年制大学(40人程度)、リハビリ専門職の大学院(5人程度)で、看護職の4年制大学は必須としていた。今回の公募では、看護職の4年制大学は必須とする予定だが、歯科衛生士、リハビリ専門職については未定。定員や規模、開設時期も今後検討する。
 三日月知事は「少子化が進む中で新たな投資を行うことは事業者にとって大きな判断になるが、将来の学生確保や採算性などの経営面も含めて十分に検討した上で、事業に参画いただけることを期待している」と述べ、「県内の看護師養成機関の支援充実を図りつつ、医療福祉拠点での人材養成機能の整備をなんとしても前に進めたい」と力を込めた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177426
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日本道路、出光興産/茨城県鹿嶋市でCO2固定化アスファルト実証/国内一般道初

 日本道路と出光興産は、茨城県鹿嶋市の市道0201号線に、二酸化炭素(CO2)を固定化した合成炭酸カルシウム配合のアスファルト「カルカーボ」を舗装したと11日に発表した。性能検証が目的で、国内の一般道路として初の試みという。老朽化で亀裂や凹凸が見られる一部区間(約400平方メートル)の半分をカルカーボ配合のアスファルト舗装材、残りを通常の舗装材で施工。舗装材には約1トンのカルカーボで約200キロのCO2を道路に固定化した。
 合成炭酸カルシウム「カルカーボ」は出光興産の製品。ボイラーの排ガスに含まれるCO2と、電柱や基礎杭などコンクリート製品の工場で発生するコンクリートスラッジに含まれるカルシウムを合成するカーボンリサイクル技術で製造する。
 アスファルト舗装材の製造に用いる粉砕石灰石(天然炭酸カルシウム)をカルカーボで代替。廃棄物の有効活用しながら道路にCO2を固定化する。
 両社は今後もカーボンニュートラル社会の実現へ、カルカーボの施工実績を増やす方針だ。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177424
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2025年9月11日木曜日

東京都水道局/2浄水場を報道陣に公開/境は30年代早期に再整備完了

 東京都水道局は、再整備を実施している「境浄水場」(武蔵野市)と、施設更新に着手する「東村山浄水場」(東村山市)を報道陣に9日公開した。境浄水場は老朽化している浄水施設の更新に関連し、代替施設として能力を増強している。境浄水場の再整備は2030年代早期の完了を予定。既存施設の工事が最盛期に入りつつある。

回転窓/海と人を照らす予算

 皆既月食もあった8日、地域のシンボルである灯台が夜間に公開された。月明かりに照らされた海と、水平線の先まで届く灯台のまっすぐな光が重なり、幻想的で心に残る光景を描き出した▼この日は15秒ごとに閃光(せんこう)を放つレンズの仕組みも公開され、満月と灯台を並べて撮影する人の姿もあったそう。航海の安全を支えるインフラの存在が、多くの人に改めて伝わったに違いない▼灯台は障害物の位置を示す灯標や、入港針路を知らせる導灯と並ぶ航路標識の一つ。海上保安庁によれば、全国に5108基ある航路標識のうち、灯台は最多の3103基を占めている▼同庁は2026年度予算の概算要求で、航路標識の維持管理に42億3百万円を計上した。さらに、金額を示さない事項要求の国土強靱化対策には、航路標識の耐災害化と老朽化対策を盛り込んだ▼国際情勢の緊張で保安能力を強化する予算が増す。決して目立つ存在ではないが「工事を伴う航路標識の整備も重要だ」と会計担当者は語る。海を行き交う船舶を守るため、各地の灯台がこれからも輝き続けるのに必要な予算確保は、決して欠かせない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177360
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東保証8月の取扱実績/請負額1・1%減/6カ月ぶり前年同月下回る

 東日本建設業保証(東保証、栗田卓也社長)がまとめた8月の公共工事動向によると、前払金保証を扱った工事などの請負金額は前年同月比1・1%減の6006億円となった。前年同月を下回るのは6カ月ぶり。取扱件数が9・3%減の1万0622件にとどまり、都道府県の発注工事や東北地区の請負金額が減少した。保証金額は4・1%減の2290億円だった。

千葉県柏市/柏駅東口再整備/実現化方策を公表、交通広場再編と北側改札の新設が柱

 千葉県柏市は、柏駅東口駅前の再整備で2024年度に実施した実現化方策の検討結果をまとめた。旧そごう柏店本館の土地取得を踏まえ、交通広場の再編と北側新改札口の設置を柱に、施設配置や規模を整理した。さらなる具体化に向けて、有識者検討会の設置を含め整備スキーム、費用負担の在り方などを関係機関で調整していく。

福岡県筑紫野市/スポーツ施設整備基本構想案/総合体育館1万平方メートル規模想定

 福岡県筑紫野市は「筑紫野市スポーツ施設整備基本構想」の案を公表した。延べ約1万平方メートル規模の総合体育館と500台分の駐車場の整備を基本に、多目的グラウンドや遊具広場などを加える四つの整備パターンを示した。必要な敷地面積は最大5万5000平方メートル、施設整備費は最大81億1000万円と試算した。

竹中工務店/外壁タイル簡易判定技術を普及拡大へ/「AIを使った建築の社会貢献」

 外壁タイルの浮きをAIで簡易に調査・判定できる竹中工務店の技術が、日本自動認識システム協会主催の「自動認識システム大賞」で最優秀の大賞に選ばれた。ドローンで撮影した外壁の赤外線画像を高精度に自動処理でき、誰が判定しても同じ結果が出る。

2025年9月10日水曜日

回転窓/観光都市・大阪の魅力

 大阪が観光都市としての存在感を高めている。韓国の調査機関がまとめた2025年の「世界で最も魅力的な観光都市ランキング」では、前年から2ランク上がり、首位に輝いた▼「古き良き」と「新しさ」の調和こそ大阪の魅力だ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や大阪城に加え、新世界・通天閣エリアには派手さとレトロな風情が広がる。対照的に大阪駅周辺は再開発が進行し、街の姿を大きく変えている▼大阪・関西万博の開催も追い風となる。大阪観光局によれば、1~6月に大阪府を訪れたインバウンドは前年同期比23%増の847万6000人で、過去最高を更新した▼市内を縦横に流れる33河川が「水の都」としての顔を形づくる。大阪は水運を基盤に経済と文化を育んだ都市で、江戸時代には「天下の台所」と称された。水辺のにぎわいを取り戻そうと、水路や川を活用した都市再生も進む。万博会場と市内船着き場を結ぶ水運も人気だ▼繁華街ミナミを流れる道頓堀川には遊歩道が整備された。親水空間は歓迎されるが、阪神タイガース優勝のたびにファンが飛び込む光景は、やはりいただけない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177318
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国交省/ジャパコン国際賞、最優秀賞に都市開発と空港改修

 国土交通省は9日、日本企業が手がける優れた海外建設プロジェクトなどを顕彰する第8回「JAPANコンストラクション国際賞(大臣表彰)」(ジャパコン国際賞)の最優秀賞を公表した。

東洋建設/洋上風力ケーブル埋設技術を実海域で実証/高圧水使いコスト低減

 東洋建設が洋上風力発電の建設コストを抑える方策として、今夏に「ウオータージェット式海底ケーブル埋設技術」を実海域で実証した。高圧の水を噴射して海底に溝を掘り、ケーブルを埋設する。2026年の完成に向け建造中の自航式ケーブル敷設船と新型埋設機でウオータージェット式の導入を見据え、施工技術の検証を重ねる。

鹿島ら/3Dで現場状況瞬時可視化/施工管理業務の生産性向上

 鹿島は、現場状況の3Dモデルをリアルタイムに更新・確認できるシステムを開発した。現場が見通せる位置に複数のカメラとLiDAR(ライダー)をセットで設置。同時撮影で取得した画像データと点群テータをクラウドサーバーで合成し、色付きの3Dモデルを作成する。事務所にいながらリアルタイムに寸法や重機作業の範囲などが確認できる。

2025年9月9日火曜日

東京都/辰巳アイスアリーナが開業/氷上スポーツの聖地に

 東京都とセントラルスポーツは、東京都江東区にある「東京辰巳アイスアリーナ」の開業イベントを6日に開いた。東京辰巳国際水泳場を改修した都立施設で初めての通年アイススケートリンク。式典には小池百合子知事や大久保朋果江東区長、フィギュアスケート選手らが出席。公募した観客約2000人とともに開業を祝った。

回転窓/パセリとBGMと『〇〇化』

 最近目につくのが「〇〇化」「△△性」という言葉だ。効率化、合理化、安全性、信頼性--。一見立派そうだが、中身はスカスカなことが多い。役所の文書にあふれ、気付けば記者の原稿にまで侵食している▼言葉の多様な表現は絶滅危惧種。確かに便利ではある。定義を詰めずとも知的に見える。だが便利さの裏に、表現力の死臭が漂う▼「性」と「化」で書けば頭を使わなくて済む。それは病院食にパセリを乗せ「彩りを添えました」と言い張るようなもの。栄養は取れるが、生気はゼロ▼記者の仕事は言葉を研ぎ、これでどうだと示すことだ。「化」や「性」で薄めた原稿は商店街で流れる無難なBGMのよう。耳には入るが、心には残らない。現場の熱気や人の声を切り取る代わりに語尾でごまかすのは、言葉への裏切りに近い▼世の中が便利な語尾に酔いしれる風潮が気に入らない。せめて記者だけは「表現力の合理化」などと開き直らず、血の通った言葉を選ぶべきだ。言葉は保存食ではない。放置すれば腐り、怠れば朽ち果てる。「性」と「化」に頼り続ける社会は、思考を枯死させ、ゆっくりと奈落への歩みを進める。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177290
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土木学会/25年度全国大会が熊本で開幕/9月12日まで

 土木学会(池内幸司会長)の2025年度全国大会が8日開幕した。大会テーマは「気候変動時代の土木イノベーション~カーボンニュートラルとレジリエンスで創る持続可能な社会~」。熊本市内にある熊本城ホールと熊本大学黒髪キャンパスを会場に、災害復興の現場で得られた知見や、持続可能な未来に向けた最先端の研究成果を共有する。大会期間は12日まで。
 大会では産学官の土木技術者らがテーマに関連した講演や討論会などを行う。大会の実行委員長は垣下禎裕国土交通省九州地方整備局長が務める。

Atos/地域建設業のICT施工導入を支援/実体験通じ利便性訴求

 土木工事業を手掛けるAtos(埼玉県加須市、渡邊直也社長)が、地域建設業のICT施工導入を支援している。DX推進のポイントを「実体験」と捉え、福島県白河市に保有する大規模実証・教育拠点「Atos Village」を活用。参加者が実機を操作しICT施工の利便性を体感できる場を提供し、導入のきっかけにつなげる。教育や研究を通じて地元企業のネットワーク形成にも貢献している。

三宮センター街周辺再整備/南北で議論本格化/商業ビル建て替えへ神戸市が支援

 JR三ノ宮駅南西側のアーケード通り・三宮センター街(神戸市中央区三宮町)に面する複数の老朽商業ビルの建て替えに向けて議論が本格化する。アーケード北側の「さんプラザ」「センタープラザ」「センタープラザ西館」の区分所有者らが7月、一体的な建て替えを前提に再開発協議会の設立を目指す準備会を立ち上げた。南側の「第2・第4防災ビル」も区分所有者らが2023年12月に再開発協議会を設立し、事業計画の検討などが進む。神戸市がコンサルを通じてこれらの地元組織を支援しており、建て替えの実現に向けて合意形成につなげたい考えだ。

2025年9月8日月曜日

新刊『改正公共工事品確法と運用指針の解説』のお知らせ

 日刊建設工業新聞社は、書籍『改正公共工事品確法と運用指針の解説―第三次・担い手3法で持続可能な建設産業へ』を発刊しました。



2024年の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(公共工事品確法)改正に携わった自民党公共工事品質確保に関する議員連盟の中心メンバー3人が編著者となり、改正に至る背景や経緯、法律と指針の内容などを全21項目のQ&Aも交えて分かりやすく解説します。

 公共工事品確法は「建設業法」、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入契法)とともに一体的に改正され、「第三次・担い手3法」として運用が始まりました。05年に議員立法で公共工事品確法が制定されて今年で20年。今回の改正で▽担い手の確保のための働き方改革・処遇改善▽地域建設業などの維持に向けた環境整備▽新技術の活用などによる生産性向上▽公共工事の発注体制の強化に関わる内容の充実が図られました。

 本書では公共事業の発注者、受注者に向けて公共工事品確法の改正ポイントと、今年2月に決定された同法に基づく発注関係事務の共通ルールとなる運用指針の改定内容などを解説。

編著者の一人で同議連の幹事長を務める佐藤信秋参院議員と、社会基盤マネジメント研究所の木下誠也代表理事(東京都市大学客員教授)による対談「これからの公共調達の在り方」も掲載しています。ぜひご覧ください。

改正公共工事品確法と運用指針の解説―第三次・担い手3法で持続可能な建設産業へ
編著=梶山弘志、佐藤信秋、古川禎久
A5判266ページ。価格2,530円(税込み)



回転窓/故事にならい吉報待つ

 江戸時代に築造された「野馬土手」の一部が、千葉県北西部などに現存する。幕府が設置した馬の放牧場に巡らされていた小高い盛り土で、当時の面影をしのばせる貴重な遺構だ▼馬が近隣の村に入ったり、畑を荒らしたりするのを防ぐ目的で造られた。放牧場は幕府御用馬だけでなく、輸送や農耕用の馬という民間の需要にも応えていたようだ▼古くから人と馬の関係は深く、これらにまつわる伝承なども多い。先日、会社OBの大先輩にそうした故事にならったことわざで励ましていただいた▼送信したメールの文面から、こちらの弱音を読み取られたのだろう。「つらいところですね。でも『万事塞(さい)翁が馬』ですから、吉報もあるかもしれません。頑張ってください」。温かいメッセージがありがたい▼〈早くも2026年正月に向けたおせち料理商戦が始まる!〉。こんなニュースに接し、来年の干支(えと)を調べると60年に一度の丙午(ひのえうま)。情熱と行動力で前に進む年とも言われる。来年の飛躍を期待しつつ、まずは残すところあと3カ月余りとなった今年を充実させよう。もう弱音を吐いてはいられない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177241
via 日刊建設工業新聞

ワンデーレスポンス、国交省でも活用率7割止まり・市区町村は4割満たず/全建調査

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の調査によると、国土交通省発注工事でワンデーレスポンスやウィークリースタンスの活用率が7割程度にとどまっていることが分かった。市区町村発注では3割前後にとどまり、発注者ごとの差が大きいことが浮き彫りとなった。工事書類の簡素化でも国交省は8割程度で進んでいる一方、農林水産省(63・3%)、防衛省(54・9%)、市区町村(38・0%)とばらつきが目立つ。会員企業からは「協議の場を増やし、受発注者が一体となって工事を進めるべきだ」との声があった。

秋田県沖の洋上風力発電/三菱商事が再公告を支援、地域共生策は継続検討

 三菱商事などの企業連合が撤退を表明した秋田県沖2海域の洋上風力発電事業が、再出発に向けた議論を始めた。経済産業省や漁業者など地元関係者が出席した4日の法定協議会で再評価の経緯などを説明した三菱商事は「迅速にバトンをつなぐため、必要になるあらゆる手伝いをさせていただく」と強調。蓄積してきた知見やデータを提供し、次回事業者の選定プロセスの短縮に協力する方針を示した。地域共生策の継続も検討すると表明。経産省は年内をめどに公募要件の方向性をまとめる。

三重県四日市市/四日市市大学基本計画公表、看護医療大学の機能含めず

 三重県四日市市は、JR四日市駅西側(本町ほか)に設置する四日市市大学の基本計画をまとめた。四日市看護医療大学の機能は含めず、公立大学と商業機能、駐車場などが入る延べ約5万1800平方メートルの施設を想定。駅前広場などを含めた工事費は248億~268億円を見込む。基本設計や用地測量、建物補償費積算などの関連予算を9月補正予算に盛り込む予定。順調に進めば2027年度着工、31年度の開学を目指す。

竹中工務店/廃レールをアップサイクルしベンチに

 竹中工務店はJR西日本などと共創し、鉄道の廃レールを活用した「ルーレベンチ」をJR大阪環状線・弁天町駅(大阪市港区波除3)に設置した。金属3Dプリンターで製作。長さ6・2メートル、幅1・5メートルのサイズで、屋外公共空間に設置した金属3Dプリント製品で国内最大級になる。廃材を新しい価値ある製品に生まれ変わらせる“アップサイクル”の取り組みだ。

2025年9月5日金曜日

回転窓/CO2を新たな「資源」に

 この夏の暑さは、どうやら人間だけでなく植物にもこたえているようだ。直射日光を避けたベランダに多肉植物を並べているが、普段は外が好きなはずの彼らも、どうにも元気がない。水のあげ方を変えたり、風通しを工夫したりと、しばらくは“猛暑対応”が欠かせない▼実は、あまりの暑さに植物が光合成できなくなることがあるらしい。水分の蒸発を防ごうと葉の気孔を閉じてしまい、光合成に必要な二酸化炭素(CO2)が取り込めなくなるという▼そんな植物の仕組みをヒントにした「人工光合成」の研究が進んでいるのをご存じだろうか。環境省は2日、その実用化に向けた工程表を公表。2030年までにCO2を分解する技術を実用化し、40年には製品の量産につなげたい考えだ▼人工光合成が実用化すれば、工場が排出するガスから航空燃料やプラスチック、化粧水の原料まで作り出すことができる。しかも製造過程で新たなCO2を出さないというのだから、まさに脱炭素の切り札といえそうだ▼まだ課題は多いと聞くが、一つ一つ乗り越えて、いつか「CO2は資源」と呼ばれる時代が来るかもしれない。




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トンネル専門協/切羽掘削作業員の労働時間が減少、上限規制後の対応調査

 日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、横山英樹会長)は、「トンネル坑内作業の労働時間に関する新たな取り組み・対応策のアンケート調査報告書」をまとめた。調査対象を経営幹部と作業所長に分けて実施。切羽掘削作業員にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用された2024年4月以前と以降の変化について、73・9%の作業所長が「減少した」と回答。月当たり時間外労働時間は「ゼロ」が8・7%、「1~30時間」が67・4%を占め、大半の現場が規制の範囲内になっていることが分かった。

築地一丁目地区再開発(東京都中央区)/ビルは2棟総延べ18・8万平米

 東京都中央区の首都高都心環状線近くで再開発を計画している「(仮称)築地一丁目地区第一種市街地再開発事業」で、新たに建設するビルの規模が2棟総延べ18・8万平方メートルになることが分かった。敷地をAとBの二つに分け、A街区は延べ約15・9万平方メートル、B街区には延べ約2・9万平方メートルの超高層ビルを建設する。今後は中央区の条例に基づく事業者説明会を月内に開き、12月に都市計画手続きを始める。

前田建設/山岳トンネル現場に安全性・生産性向上技術相次ぎ導入、時間短縮などで効果

 前田建設が山岳トンネル現場で、安全性や生産性を高めるさまざまな技術を相次ぎ導入している。支保工の建て込みを全て自動化するロボットを開発。4現場に本格適用し、作業員の切羽直下への立ち入りをなくした。ロックボルト打設に機械化施工を取り入れ、作業時間を短縮するとともに省人化にもつなげている。最適な発破パターンと適正な火薬装填量を自動作成するシステムを導入。余分な掘削量の低減を実現した。

2025年9月4日木曜日

空衛学会/高松市で全国大会開幕/論文投稿総数は過去最多825編

 空気調和・衛生工学会(空衛学会、秋元孝之会長)の2025年度全国大会が3日、高松市の香川大学幸町キャンパスを会場に始まった。論文投稿総数は過去最多となる825編(24年度は745編)。論文発表やワークショップ、技術展示などが行われる。会期は5日まで。

回転窓/願いと備えをつなぐ夏

 背の高いひまわりを育てようと奮闘した、ある公園の担当者が教えてくれた。まずは、土を深くまで柔らかく耕し、種をまく。支柱を立て、朝夕の水やりを欠かさず、「大きくなって」と願いながら育てるのだという▼日本記録とされる高さ8メートルには届かなかったが、この夏も家族連れやカップル、友人同士が花を眺めたり写真を撮ったりと、多くの人が足を止めた。「見てくれる人がいると励みになります」と担当者。来年に向け、もう種の情報を集め始めているそうだ▼先週の土曜、東京・有明で3・11伝承ロード推進機構の報告会が開かれた。四つの施設の関係者が人気の有料プログラムなどを紹介。中でも、震災当時中学生だった担当者が語った「楽しんで学んでもらうことの必要性」は心に残った。つらい記憶を伝える難しさと向き合う、重い言葉だった▼取材後、施設の入り口に咲く大きなひまわりの前で、写真を撮る親子を見掛けた。「地震が来たらどうする?」と子どもが問い掛けていた▼各地の多様な活動が、防災意識を高めるきっかけになっている。災害を「自分ごと」として捉える動きが広がっていると感じた。




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国交省/自動施工の部分的導入推進/25年度試行、地域建設会社に普及へ

 国土交通省は、建設機械による自動施工の裾野を拡大するため、2025年度から一部の工程に限った部分的な自動化を後押しする。自動施工のハードルを下げることで、地域を基盤とする中小規模の建設会社への普及を目指す。市場にある汎用(はんよう)的な自動化建機を「自動施工モジュール」と位置付け、導入方法をまとめた要領類を作成する予定。この前段階として、直轄工事で部分的な自動化を前提とした試行に取り組む。
 産学官で構成する「建設機械施工の自動化・自律化協議会」の会合を2日に開き、今後の方針などを説明した。
 従来はダムなどの大規模土工事で大手ゼネコンを中心に自動施工を試行していた。地域建設会社が手がける中小規模工事にどう水平展開するかが課題になっていた。そこで複数工程が連携した全自動施工だけでなく、ダンプによる運搬や、バックホウによる積み込みといった要素技術に絞って実装する手法も試行対象に加える。さらに独自の自動化システムを開発しなくても、一般的なシステムを用いることを前提にして導入のハードルを下げる。
 活用範囲が広い自動ダンプや自動バックホウなどを自動施工モジュールと位置付け、既存の施工計画に組み込むことで実装を促す。施工者が自動化したい作業を選択した上で、汎用システムの中で自社の現場に適用可能な自動施工モジュールを選定する流れとなる。こうした導入方法を要領類にまとめ、部分的な自動化に取り組みやすくする。
 国交省が要件設定することでモジュール間連携を支援する「自動施工シミュレーター」の開発を後押しし、施工プロセス全体の最適化を目指す方針も掲げる。シミュレーターでは自動施工に必要なコストと、施工の効率化・省人化効果をトータルで試算し、導入ができるかどうかを判断可能にする。これを施工者に提供することで、自動施工に踏み切れなかった中小建設会社への普及を促進する。




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北海道/人手不足等調査7~9月中間集計/建設業は全産業トップの84%が不足

 北海道は、人手不足や原油・原材料価格高騰の影響に関する7~9月期調査の中間集計を行った。建設業の結果を見ると、正規従業員の充足度合いでは「非常に不足」「不足」を合わせた「不足している」との回答が前回調査(4~6月期)より2・8ポイント上昇し84・4%となった。全産業平均を25・3ポイント上回り、産業別で最も高い割合となっている。原油・原材料の価格高騰が「経営に影響がある」と回答した企業は94・0%で、前回調査より0・3ポイント低いが、全産業を1・8ポイント上回っている。
 道が四半期ごとに実施している企業経営者意識調査の特別調査として 原油・原材料価格高騰の影響と人手不足の状況について調査した。全産業で900社(建設業は125社)に調査票を送付し、8月18日までに回答があった386社分(83社分)を集計した。
 原油・原材料価格高騰の影響調査結果を見ると、全産業では経営への「影響がある」と回答した企業は92・2%(前回調査比0・8ポイント低下)となった。
 このうち建設業は「大いに影響がある」が20・5%(2・5ポイント低下)、「影響がある」は53・0%(7・0ポイント上昇)、「多少影響がある」は20・5%(4・8ポイント低下)となり、これらを合わせた「影響がある」と回答した企業は94・0%と、産業別では5業種中4番目の高さだった。
 価格転嫁については、5割以上価格転嫁できているとの回答が全産業で55・5(5・6ポイント上昇)だったのに対し、建設業は66・6%(6・8ポイント上昇)と他産業を上回る伸び率で価格転嫁が進んでいる。
 一方、人手不足に関する調査結果を見ると、正規職員の充足度合いは「非常に不足」「不足」を合わせた「不足している」との回答が全産業で59・1%(3・1ポイント低下)となり、建設業は25・3ポイント上回っている。建設業の内訳は「非常に不足」が16・9%(3・1ポイント上昇)、「不足」が67・5%(0・3ポイント低下)と深刻度が増している。
 非正規従業員は「不足している」との回答が、全産業で37・9%(3・3ポイント低下)。このうち建設業は46・3%(5・4ポイント低下)に低下したが、産業別では唯一4割を超え、最も高くなっている。
 人手不足の影響の程度については、「非常に深刻な影響・一定の影響を受けている」が全産業で85・9%(1・0ポイント低下)。建設業は88・4%(2・8ポイント上昇)となり、産業別では運輸業の89・2%(0・3ポイント低下)に次ぐ高さとなっている。
 影響の具体的内容(全産業、複数回答)は、「売上減少(機会損失等)」が51・2%(1・4ポイント上昇)で前回調査に続き最も多く、「従業員間の技術・ノウハウ伝承の不足」が49・8%(5・5ポイント低下)、「生産性やサービス等の低下」が44・9%(1・6ポイント低下)などと続いている。




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戸田建設/高速道路の床版取り換え工法、幅員方向分割施工に適用/車線規制を減少

 戸田建設は、高速道路の床版取り換えで独自の継ぎ手構造を使って床版を接合する「すいすいC&T工法」の適用範囲を広げた。道路の片側を通行させながら工事を行う「幅員方向分割施工」に対応。幅員方向に床版を分割し、施工エリアを工事車線に限定。車線規制を減らして渋滞緩和につなげる。接合部の構造については走行試験で性能を確認している。
 同工法はプレキャスト(PCa)床版の縁に「C型」と「T型」の金具を取り付けてはめ込み、隙間にモルタルを詰め込む。従来は「橋軸方向」に分割する施工に用いていた。
 幅員方向に分割して施工する場合、横目地(車両の進行方向)は従来通りC型とT型の金具でつなぐ。縦目地は強度を高めたPC鋼線をより合わせたPC鋼より線で接合する。PC鋼より線を入れるシース管の接合作業を行うスペースを設けている。このスペースの断面は長円型で、せん断力を効率良く伝えられる。
 高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)の輪荷重走行の試験基準では、耐用年数100年相当の疲労耐久性能を満たすことが求められる。戸田建設は2024年1、2月に横目地と縦目地を模した試供体を使って輪荷重走行試験を実施。横目地、縦目地ともに耐用年数が100年相当と確認した。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177144
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東亜建設工業/ダッカ消防本部庁舎工事を受注/43億円、バングラ初の免震建築物

 東亜建設工業は、バングラデシュで初となる免震構造建築物の建設工事を施工する。同国公共事業局発注の「ダッカ消防市民防衛局本部庁舎建設工事」を約43億円で受注した。
 建築物の持続可能性を重視し、防災機能の強化とともにビル・エネルギー・マネジメント・システム(BEMS)も取り入れる。雨水再利用の仕組みや太陽光発電なども導入。エネルギー利用を低減、最適化する。工期は9月~2028年3月の30カ月になる。
 プロジェクトは、政府開発援助(ODA)の円借款事業として展開している。建設地は首都ダッカ管区ダッカ市のミルプール地区。1万1060m2の敷地にRC造地下1階地上10階建て延べ2万2436m2規模の庁舎を建設する。
 設計はオリエンタルコンサルタンツグローバル・大建設計・Development Design ConsultantsJV。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177149
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2025年9月3日水曜日

あすの夢土木、本社大阪支社/12月2日に「関西のゆめプロジェクト発表会」

 NPO法人あすの夢土木(理事長・大西有三京都大学名誉教授)と日刊建設工業新聞大阪支社は12月2日、建設業界に携わる若手社員にインフラ整備などに関する“夢”を披露してもらう「関西のゆめプロジェクト発表会」を開催する。エントリーの締め切りは10月1日。登録後に事務局から送信する提案資料作成要領などを基に、11月17日まで提案を受け付ける。
 応募対象はインフラ整備に関わる技術者、あすの夢土木の個人会員・法人会員企業の社員で35歳以下。まちづくりやインフラ整備など、こんな工夫をして「もっと住みやすいまちにしたい」「もっと安全で快適なまちにしたい」「もっと便利で活気のあるまちにしたい」といった夢のある提案をソフト施策も含め幅広く募集する。
 発表会は12月2日午後3時から大阪市中央区のOMMビルで開く。所定のパワーポイント用紙1枚に記入した提案内容を2分以内で発表してもらう。
 大西理事長ら8人の審査員が▽創造性・ユニーク▽ストーリーの完成度▽発表時の説明の分かりやすさ-の3点で提案内容を審査。最優秀賞1件、優秀賞2件、夢土木賞数件を選び、同日開く会員交流会で審査結果発表と表彰式を行う。
 エントリー登録は専用のURL(https://yumedoboku.movabletype.io/reiwa7yumepuro.html)から。問い合わせは事務局(電話06・6585・0282)まで。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177119
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三菱地所設計、清水建設/トーチタワー鉄骨建方始まる/国内最大規模の建築構造体に

 三菱地所が東京駅日本橋口前に建設している国内最高層の「Torch Tower(トーチタワー)」の現場で、地上階の鉄骨建て方が始まった。2日に三菱地所設計と清水建設が発表した。外周に斜め部材を配置し、建物全体をチューブ状の構造体に形成して支える「外殻制振構造」を採用。鉄骨建て方は北東コーナー部から先行し、10月にも第1節、最終段階で2026年2月ごろに第4節の建て方を終了する予定だ。

総務省消防庁/東北の公共施設の耐震化状況調査/「耐震性なし」402棟

 総務省は、災害時に防災拠点として機能する公共施設の耐震化推進状況調査の結果(2024年4月1日時点)を公表した。東北では対象の1万5192棟のうち、耐震性が確保されている施設の割合は前回(22年度)比0・5ポイント上昇の95・6%(1万4525棟)。調査対象のうち、402棟は「耐震性を有しない」と判断された。耐震率は着実に上昇しているものの、全国平均の96・8%(前回比0・6%増)を下回った。

ロッテHD/国内のホテル事業拡大/34年までに20軒

 ロッテホールディングス(HD)は国内でのホテル事業を拡大する。韓国のホテルロッテ(ジョン・ホソク最高経営責任者〈CEO〉)と共同出資し、ホテルの運営・開発を担う新会社を設立。東京や大阪、沖縄など大都市や観光都市に2034年までに20軒、4500室を展開する。自社不動産の活用検討や他のホテルのリブランドを推進。投資総額は今後固める。
 2日にロッテHDが発表した。新会社はロッテホテルズジャパン(東京都新宿区、福井朋也社長)で、2月に設立した。資本金は2・5億円で社員2人を採用している。同社は既存のロッテシティホテル錦糸町(東京都墨田区)とロッテアライリゾート(新潟県妙高市)を直営している。34年までに展開する20ホテルにはこの2件も含める。

2025年9月2日火曜日

回転窓/走らせるより休ませる

 サッカーで名高い「ゲーゲンプレス」。ボールを失った瞬間に全員で圧力をかけ、相手を窒息させる戦術だ。爽快だが体力や連動を欠けば自滅する。企業経営も似た構図ではないか▼シェアを失えば「奪い返せ!」とげきが飛び、管理職は部下をかき集め全力疾走。だが持久力の設計も役割整理もなく、息切れして立ち往生するのが常だ。スピードはあるが、方向を示すコンパスが欠けている▼ゲーゲンプレスの成立条件は明確な目的、即時の意思疎通、信頼関係、そして休む知恵。ところが会社は前半二つを掲げる一方、評価制度で競わせ、働き方改革を唱えつつ残業で帳尻を合わせる。掛け声は勇ましいが、実態は矛盾に満ちた綱渡り▼管理職が学ぶべきは戦術ボードではなく、選手の心拍や疲労を測る「トレーナーの目」だ。短期成果に飛び付けば、肝心の選手=部下が去り、プレスの網は穴だらけになる。士気を食いつぶす指示は、静かにチームをむしばむ▼結局、まねるべきは攻撃の圧力ではなく、休養と配置転換を見極める冷徹なバランス感覚。人材はサッカーボールと違って容易に補充も、奪回もできないのだから。




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国交省・鶴田浩久総合政策局長/次期社会資本整備重点計画、前向きなメッセージ発信

 7月に就任した国土交通省の鶴田浩久総合政策局長が日刊建設工業新聞社などの取材に応じ、「国交省の総合力を発揮し、より社会の役に立てるようにしたい」などと抱負を述べた。省内外と組織の垣根を越えた協力と連携を促進。内容を詰めている次期の社会資本整備重点計画を「将来にわたるインフラ整備の羅針盤」と位置付け、担い手不足や老朽化の進展など危機感を共有する。「前向きなメッセージが世の中に伝わるようにしたい」と意欲を示す。

田中鉄工/廃食油活用しアス合材製造/福岡県大牟田市でプロジェクト始動

 アスファルトプラントメーカーの田中鉄工(佐賀県基山町、末吉文晴社長)は、地域で回収した廃食油をアスファルト合材の製造に活用し、地域の道路整備に還元する「Roa(d)cal(ロードカル) SDGs Project」を福岡県大牟田市で開始したと発表した。市民・事業者・行政が一体となって資源ごみの削減、二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組み、ゼロカーボンシティーの実現に貢献する。

国建協調査/24年度受注額は13・5%減/1件当たり平均1億円下回る

 国際建設技術協会(国建協、橋場克司理事長)がまとめた海外コンサルティング業務の2024年度受注実績によると、総受注額は806・4億円(前年度比13・5%減)だった。過去10年で最低を更新し、ピーク時のコロナ禍前から思うように回復していない。受注件数は861件と148件増加したものの、1件当たり平均の受注額は9400万円と過去10年で初めて1億円を下回った。

J3・福島ユナイテッド/完全木造スタジアム/世界最高水準の環境認証取得視野

 サッカーJ3福島ユナイテッドは、福島市内で整備を予定している新スタジアムの基本構想を発表した。県産木材を使用した日本初の「完全木造スタジアム」を目指す。世界最高水準の環境認証の取得にも取り組む。規模は4面のスタンドで5000~6000席を想定。建設候補地や完成時期は未定だ。=1面参照

鴻池組ら/AI×ARでスリーブ検査を大幅効率化/支援システムを開発

 鴻池組はSRC造の建物で、配管・配線を通すため壁や床に設けるスリーブ(貫通孔)の検査を効率化する新システムを開発した。AIとAR(拡張現実)を組み合わせ、スマートフォンやタブレット端末でスリーブを撮るだけで位置や寸法を自動計測。その場で結果をBIMデータと照合し、瞬時に正誤を判定する。検査の大幅な時間短縮と精度向上を実現した。本格導入を目指し機能拡充と実証実験を進める。

2025年9月1日月曜日

オリコンサルHD/都内で創立20周年式典開く、オンリーワンでナンバーワンの事業を

 オリエンタルコンサルタンツホールディングス(HD)が創立20周年を迎え、8月29日に都内で記念式典を開いた。事業会社の役職員ら約900人が出席。野崎秀則社長は「事業環境の変化に応じてビジョンや目標、戦略を設定して各社やHDの成長につなげてきた」とこれまでの歩みを振り返った。将来に目を向け「オンリーワンでナンバーワンの事業や技術を確立し、連携やシナジー(相乗効果)を促すことが必要だ」とし、行動を促した。

回転窓/交通ルールとモラル

 青信号に変わっても動かない前方のクルマに対し、クラクション(警音器)で発進を促すのは違反かどうか--。日本自動車連盟(JAF)のウェブサイト「JAF Mate Online」にこんな内容のクイズが掲載されている▼正解は違反。危険を回避する目的以外での使用が禁じられているためで、こうした道路交通法の規定を正しく理解していないドライバーは多いと言われる▼違反と認識せずに鳴らしている人は注意が必要だ。ドライバー同士でもめ事になるケースも少なくない。相手を威嚇するように何度も鳴らすなどした場合は、妨害運転罪に該当する可能性もある▼一方でクラクションを鳴らさなければいけないケースとは…。道交法では「警笛鳴らせ」の道路標識が設置された〈左右の見とおしのきかない交差点〉〈見とおしのきかない道路のまがりかど〉〈見とおしのきかない上り坂の頂上〉を通行する時としている▼今年9月も「秋の全国交通安全運動」(21~30日)が展開される。交通ルールとモラルを守ってこその安全。ドライバーはクラクションの正しい使い方も知り、無用なトラブルを避けたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177057
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凛/修成建設コンサルタント事業企画グループ主査・高見茉里奈さん

 ◇まっすぐな思い、これからも
 7年前、広告代理店から修成建設コンサルタントに転職した。それ以来、官公庁営業を担当している。明るく人懐っこい性格で、人と接するのが好きなタイプ。専門知識に最初こそ戸惑いもあったが、経験を重ねながら着実に吸収していった。「売り上げに少しでも貢献できることがうれしい」と語る姿に、仕事へのまっすぐな思いがにじむ。

竹中工務店/25年1~6月期決算・増収増益、低採算工事減り利益は着実に改善

 竹中工務店の2025年1~6月期の連結決算は増収増益となった。売上高は前年同期比0・1%増の7723億6百万円。建設資材や労務費の上昇分の価格転嫁に対する発注者の理解が進み、低採算工事も減少した結果、利益が大幅に改善。営業利益は528億90百万円(前年同期比60・8%増)、経常利益が601億39百万円(37・9%増)、純利益が484億57百万円(58・9%増)となった。

25年度建設投資3・2%増見通し、民間非住宅分野が好調/国交省

 国土交通省は8月29日、2025年度の建設投資の総額(名目値)が前年度比3・2%増の75兆5700億円になる見通しを発表した。内訳は政府投資が25兆2100億円(前年度比0・7%増)、民間投資が50兆3600億円(4・5%増)。民間非住宅分野が投資拡大をけん引し、中でも建築投資は10%を超えて伸びる見込み。投資総額は物価変動の影響を取り除いた実質値で見ても0・6%増となる。

産総研、福岡市水道局/水道管腐食度推定システム、全国初の市街地実証へ

 産業技術総合研究所(産総研)と福岡市水道局は、水道管を腐食させるリスクが高い地下の土壌状況を非破壊で測定する「水道管腐食度推定システム」の実証実験を1日に開始する。多大な労力と時間がかかる掘削調査をせずに水道管の更新時期を把握できる新技術で、維持管理の効率化が期待される。市街地での実証は全国初で、中央区天神など市内6カ所で行う。市内での実証期間は2026年3月末まで。