2025年6月30日月曜日

凜/八千代エンジニヤリング・杉江美織さん、客観的な立場で向き合う

 入社5年目で水門調査や地質リスク調査を担当している。発注者との調整や地元住民への説明が多い仕事で求められるのは客観的な立場で話すこと。住民に向けては「一般にあまり知られていない仕事の重要性を伝える」姿勢を大切にしている。「平たい表現を使ったり、伝えたい部分だけを目立たせた資料を作ったりするよう心掛けている」。
 昨年、応用理学部門の地質分野で技術士を取得した。目指すのは「小さな変化に気づき、関係者の思いを細やかにくみ取れる技術者」。業務では何年分もの報告書を読み込む場面が多い。そんな時に熟練の技術者は「協議や説明に必要な情報を的確に抜き出すのにたけている」と感じる。そうした技術者に少しでも近づくため、打ち合わせでは「その質問をしたらどんな情報が返ってくるか」を意識しながら、試行錯誤を繰り返している。
 大学では農学を専攻した。研究室で日々過ごす中で「室内よりも、フィールドに出ての仕事の方が自分に向いている」と気付き、地元の地質調査会社に就職した。少しずつ経験を重ねるうちに「もっと幅広い仕事や、大きな構造物に携わってみたい」との思いが強くなり、八千代エンジニヤリングへの入社を決めた。
 仕事では山や河川を相手にしているが、「漁師町出身の祖父の影響で海も大好き」。休日はダイビングを楽しむ。月に2、3回は行くほどの熱の入れようだ。
 (すぎえ・みおり)(八千代エンジニアリング事業統括本部国内事業部地質・地盤部技術第二課)




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東京・中央区/橋梁長寿命化修繕計画を改定、予防保全でコスト減・5橋は架替

 東京・中央区は「中央区橋梁長寿命化修繕計画」を改定した。区が管理する32本の橋梁のうち約66%が完成から半世紀が経過している。維持管理コストの増大が予想できるため、区は予防保全型メンテナンスへの転換を急ぐ。今後50年で39億円程度のコスト縮減を目指す。首都高速道路の大規模更新に伴い、築地川区間に架かる5本は架け替えを前提に維持管理する。
 全体の3分の1に当たる11本が1920~30年代に関東大震災の復興事業として架けられた。戦後復興や首都高整備の一環で50~70年代に架けられた橋梁も9本ある。事後保全型メンテナンスを続けた場合、今後50年の維持管理コストは約200億円に達する見通し。縮減のため橋梁をグループ分けして計画的に修繕し、コストの圧縮と平準化につなげる。
 修繕の優先順位が最も高いのは南高橋、豊海橋、柳橋の3本。いずれも関東大震災の復興事業で架けられ、区民有形文化財や土木学会選奨土木遺産に選ばれている。耐久性を高める補修・補強を重点実施し長期活用を目指す。
 次に優先順位が高いのは首都高速道路に架かる14本で、コンクリートの剥落などによる車両被害を防ぐため、損傷が軽微でもただちに補修する。祝、亀井、三吉、新富、新金の5橋は首都高大規模更新に連動して架け替える方針で、二重投資を防ぐため補修にとどめる。
 区は「築地川アメニティ整備構想」として首都高築地川区間にふたをし、上部を緑化空間として整備する考え。実現に向け2024年に首都高速道路会社と協定を結んだ。緑化空間と一体になった「覆蓋化構造物」として更新する橋梁もある。




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兵庫県高砂市/市民病院移転建替候補地、文化会館敷地が最有力

 兵庫県高砂市は、高砂市民病院(荒井町紙町33の1)の移転先について、現文化会館敷地(朝日町1の2の1、約1万6800平方メートル)を最有力候補地に選定した。2024年1月にまとめた同病院将来構想では山陽電鉄高砂駅周辺または荒井駅周辺を候補地とするとしていた。今後は同病院の将来予測などを踏まえ移転計画を具体化していく方針だ。
 候補地は文化会館敷地を含めた4案に絞り込んで検討した。現文化会館は山陽電鉄高砂駅に近接し線路の北側に立地。同敷地は線路の南側に位置する他の3案と比較して、交通渋滞が課題となっている踏切を横断する必要性が少ないなどのメリットがある。市有地のため用地取得に時間を要さないことなどで最有力候補地に選定された。
 デメリットとして病院の新築移転と並行して文化会館の建て替えが必要になる点が挙げられた。
 現在の高砂市民病院は東播磨医療圏域の中核病院として1965年に開院し、90年に現在地に移転。診療科目は18科を備える。病床数は199床で、内訳が急性期78床と地域ケア97床、緩和ケア18床、人間ドック6床。
 「高砂市民病院将来構想に基づく将来予測支援業務委託」は医療開発研究所が担当。




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戸田建設/トンネル全体の電波遮断で坑内の無線起爆可能に、発破作業の安全性向上

 戸田建設はトンネル工事の効率化に向け、坑内全体で電波を遮断した「電波暗室」化し、無線で発破できるシステムを確立した。地盤内を通過しない特性を持つ「UHF帯電波」や、防音扉を組み合わせて活用。坑外の通信機器への影響を防ぐことで、作業員が切羽から離れて無線で起爆できるようにした。
 坑口付近に設置した防音扉にアースを取り付け、坑内外の電波を遮断。起爆装置の信号の受発信には、地盤内を通過しないUHF帯の電波を採用し、トンネル全体の電波暗室化に成功した。
 西日本高速道路会社から受注している「新名神高速道路宇治田原トンネル東工事」の現場で、非火薬の破砕剤を使った無線起爆試験を実施した。中継機を通じて、切羽から約160メートル離れた遠隔装置からの起爆に成功した。
 坑外の一般の通信機器への影響を調べるため、電波遮蔽(しゃへい)体の外側で電波の電界強度も計測した。起爆時の上昇量が計測下限値以下に収まり、電波法の制限値も下回ったことを確認した。
 今後は山岳トンネルの発破で使用される含水爆薬の起爆を実施する。非爆薬の原材料を使用し、機械が安全に扱える「現場製造バルクエマルジョン爆薬」との組み合わせも視野に入れ、発破作業の完全自動化を目指す。




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名古屋市/国交省の先導的グリーンインフラモデル形成支援、重点支援団体に選定

 名古屋市は、国土交通省が進める「先導的グリーンインフラモデル形成支援」の重点支援団体に選定された。市はヒートアイランド対策のための舗装や、雨水を地中にゆっくりと浸透させる構造を備えた「雨庭」の試験整備などを計画。合わせてグリーンインフラ導入の考え方や取り組み事例などをガイドラインとして本年度にまとめる。重点支援団体に指定されたことで、ガイドライン策定の際に技術情報の提供や有識者からの助言が得られることになり、内容の充実が期待される。
 先導的グリーンインフラモデル形成支援は、グリーンインフラの実装に取り組む自治体が対象。重点支援団体には国交省が委託契約したコンサルタントや専門家が派遣され、技術面などの支援を受けることができる。
 市は本年度、環境局が各関係局と連携し「グリーンインフラまちづくりの推進」としてガイドラインを策定する。市民や事業者、行政を対象にグリーンインフラ導入に関する基本的な考え方、効果的な取り組み事例を示す内容。市は専門家の支援を受けて年度内の策定に取り組む。
 合わせて、名城公園では生物多様性に配慮した緑化、雨水流出を抑制する雨庭、ヒートアイランド対策の舗装を取り入れた啓発スポットを整備する。三の丸地区では、道路で雨庭の実装を推進するため試験整備を行う。そのほか、市民や事業者の雨水浸透の取り組みを促進するため、山崎川周辺の瑞穂公園で雨水浸透施設をモデル的に設置する。



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2025年6月27日金曜日

回転窓/「リアル」と「テック」の融合

 コンビニエンスストアなどに設置されたセルフレジに苦手意識がある。缶コーヒー1本ぐらいなら精算も早く便利だが、商品の数が多いとバーコードの位置を見つけられず戸惑ったり、レジ待ちの列に気を使ったりするのでつい避けてしまう▼ローソンがKDDIの最新デジタル技術を活用した「未来のコンビニ」を都内に開店した。AIやロボットを駆使し、新しい買い物体験の提供や従業員の負担軽減につなげるのが狙い▼AIカメラで客が手に取った商品を分析し、商品棚のデジタルサイネージでお買い得情報や関連商品を提案。棚の値札に客が触れると、社会課題解決に向けた取り組みといった商品の背景情報を動画で紹介する▼従業員の作業負担が大きい飲料棚への商品の補充などはロボットが行う。レジでは立体的に映し出されたアバター(分身)が接客し、酒類やたばこもスタッフが遠隔で年齢確認し販売する。思い描いたような未来のコンビニをさまざまな技術で実現している▼建設産業も「リアル(現実)」と「テクノロジー(技術)」の融合が進む。「未来のケンセツ」の姿や役割を考え、その実現へ挑み続けたい。




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MINTO機構/理事長に榊真一氏(元国土交通審議官)就任、6月27日付

 民間都市開発推進機構(MINTO機構)は花岡洋文理事長(代表理事)の後任に、榊真一元国土交通審議官を選任した。就任は27日付。
 榊 真一氏(さかき・しんいち)1988年東京大学法学部卒、建設省(現国土交通省)入省。都市局長、内閣府政策統括官(防災担当)、国土交通審議官を歴任し、24年7月退官。同10月に損害保険ジャパン顧問。鹿児島県出身。60歳。




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関東整備局宇都宮国道/猛暑期間の長期休暇取得可能に、受発注者協議で休工2件試行

 関東地方整備局宇都宮国道事務所は7、8月の猛暑期間中に建設現場を休工にして作業員が長期休暇を取得できる取り組みを試行している。受発注者が協議すれば休工を可能にする規定を特記仕様書に明記。炎天下での現場作業は建設業の魅力低下につながり、担い手を確保・育成する上で障害となっている。同事務所は「業界や社会構造自体を変革するモデルケース」を目指し、順次拡大する。
 猛暑日を休工にする取り組みは、2023年度と24年度の補正予算で発注した工事2件で試行している。作業員の健康や体調管理を考慮し、敷きならしの時に温度が110度以上に達する舗装工事を対象にした。舗装は品質上、50度以下でないと交通開放できない。温度低下が期待できない猛暑期間を避けて施工することは、舗装の品質管理面でもメリットがあるという。
 休工の可否は受発注者が協議して決め、猛暑期間中は準備などに充てる。休暇を取得しても、工事の進捗に影響しないように双方が工期延長などを話し合う。
 2件の工事を受注した企業からは、「社員の健康管理や働き方改革につながっている」といった意見が寄せられた。現場作業員からも「心身ともに非常に良い」や「夏休み取得時期の自由度が広がったため、繁忙期を避けた夏休みが取得できる」など歓迎する声が寄せられた。
 同事務所によると、従前は当たり前だった商習慣を見直すきっかけとして猛暑日の休工を認めた。試行を通じて効果や解決すべき課題を検証しつつ、取り組みを拡大する考え。
 休工以外には施工時間を夜間から昼に変更したり、3D起工測量や路面切削の半自動化を進めたりして働き方改革を後押ししている。




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大垣駅南前地区再開発(岐阜県)、事業計画の具体化推進/準備組合

 岐阜県大垣市の大垣駅南前地区市街地再開発準備組合は2025年度、第1種市街地再開発事業の事業化に向け、施設詳細設計など計画の具体化を図る。25年度中に本組合を設立する予定。市は当初予算に補助金として3億1200万円を計上している。
 大垣駅南前地区市街地再開発の対象地は高屋町1ほか。JR大垣駅から南に約200メートルの距離に位置する。地区面積は1・2ヘクタール。利便性の高い都市型住宅を整備するとともに商業機能を再生することで定住人口の増加や新たな人流による活性化を図る。組合員数は16者(個人10人、法人6者)。
 施設規模は延べ約2万4600平方メートルを見込む。三つの街区に分け、第一(敷地面積約2400平方メートル)、第二(約2600平方メートル)、第三(約1200平方メートル)街区に、店舗や住宅が入るRC造17階建ての施設、RC造6階建ての福祉施設、S造3層4段の駐車場を建設する。
 順調に進めば26年度に権利変換計画の認可を受ける予定。
 基本設計は車戸建築事務所、建物調査は間瀬コンサルタント、資金計画は都市研究所スペーシアが担当している。参加組合員予定者はフージャースコーポレーション。




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三菱地所レジ、長谷工コーポ/マンション外装に高耐久部材、大規模修繕周期6年延長

 三菱地所レジデンスは長谷工コーポレーションと連携し、マンションの大規模修繕工事の周期を12年から18年に延ばす新たなスキームを構築した。外装に耐久性の高い部材を採用し、適切な補修を行うことで、足場を架ける大規模工事を減らす。40年間の修繕積立金は総額ベースで4~9%減らせる見込みで、住宅購入者の経済負担を軽減できる。
 長谷工コーポの標準仕様のシート防水を採用する。軟質塩化ビニル樹脂製のシートを使った防水工法で、気候や温度、薬品に対して高い耐久性を維持。一般的な部材より5年長い15年の屋上防水保証期間を確保する。
 シーリング材は100度の高温下で30%の圧縮、マイナス10度の低温下で30%の引っ張りに耐えられるものを採用する。JIS規格で最高グレードの高耐久MS-2を用いる。期待耐用年数20年のシーリング材を採用することで高耐久化を図る。
 認定されたタイルと接着剤の組み合わせに付与される「Q-CAT認定マーク」が適用された認定工法を採用する。施工記録を残すことで、10年ごとの自治体への定期調査報告を一部の引張接着試験のみで完了。建物全面の打診検査を免除できる。
 同スキームを2027年1月に完成予定の「ザ・パークハウス川越フロント」(埼玉県川越市)に導入する。三菱地所レジの試算によると、40年間の修繕積立金の総額を9%程度、約2・3億円減らせるという。




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阪神高速会社・上松英司社長が就任会見/関西発展へ、ミッシングリンク解消に尽力

 阪神高速道路会社の社長に26日付で就任した上松英司氏が同日、大阪市北区の本社で会見し、今後の経営方針などを明らかにした。上松社長はネットワーク機能の強化や老朽化に伴うリニューアルプロジェクトの推進に力を注ぎ、「安全で安心、快適な高速道路サービスを通じて大阪、関西の発展に貢献したい」と意気込みを語った=写真。
 最重点項目にはミッシングリンクの淀川左岸線2期と同延伸部、世界最大級の長大橋を含む大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線の4事業を挙げた。「いずれも関西の成長には欠かせない重要な路線」とし、「厳しい施工条件や技術的な課題も山積しているが、これまで培ってきた知見やノウハウを生かしチャレンジしていく」と強調。事業推進に当たり「若手にも積極的に参画してもらいながら先進の技術を引き継いでいきたい」と話し、人材育成と技術継承にも力を入れる。
 「関西の大動脈を預かっている阪神高速は24時間365日、道路サービスを提供する」こと不変の使命としつつ、人口減少や少子高齢化、担い手不足、地球環境の保全などへの対応を課題に挙げた。社会経済情勢が変化する中、「自動運転への対応など移動モビリティの高度化や高速道路のグリーン化、DXの推進など、顧客や社会の未来ニーズを見据えた新たな価値の創出に挑戦していく」考えだ。
 (うえまつ・えいじ)1984年京都大学大学院工学研究科修了、阪神高速道路公団(現阪神高速道路会社)入り。技術部長、経営企画部長、執行役員、代表取締役兼専務執行役員を経て現職。65歳。




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2025年6月26日木曜日

新会長/建設コンサルタンツ協会・大本修氏、地位向上・事業領域拡大へ

 持続可能な建設コンサルタント業界の実現を目指し、社会的な認知度や地位を高める活動に注力する。生成AIなどを用いて作成した業務成果品の著作権の在り方について、生産性向上を推進する観点からの改善、オープンイノベーションによる事業領域の拡大にも意欲を示す。

国交省/重層下請構造でアンケート開始、元下双方から実態・課題把握

 国土交通省は、建設業界の重層下請構造の実態を把握する新たな調査を開始した。建設業団体などを通じて傘下の建設業者にウェブアンケートへの協力を依頼。元請会社や下請会社、一人親方など現場のさまざまな立場からの回答を呼び掛ける。まずはできるだけ多くのサンプルを集め、この結果を踏まえ個別ヒアリングで現場単位の実態を深掘りする。重層化に起因する非効率や、技能者への不利益の発生状況などを確認し、今後の施策検討に生かす。

長崎県諫早市/諫早平山産業団地、25年度内に造成工事着手へ

 長崎県諫早市は「(仮称)諫早平山産業団地」の造成工事に着手する。県からの開発許可が下り次第、造成工事の施工者選定手続きを開始。造成工事は市土地開発公社が発注するが、入札方式や工区分けの有無などは今後決定する。2025年度中の契約締結、着工を目指す。造成完了は28年度を予定する。

飛島建設ら/新幹線トンネルの路盤鉄筋コンクリ施工を機械化、作業員数3分の1に

 飛島建設らは新幹線のトンネル工事で、路盤鉄筋コンクリートの打ち込みから締め固めまで一連の作業を機械化する新たな技術を開発した。打設作業に路鉄用ディストリビュータを使い、作業員数を従来の3分の1程度に減らしつつ、同等の施工量を確保できる。連続して打設できるポンプも導入し、コンクリートの品質を高める。既に北海道新幹線の2件の現場に導入した。

2025年6月25日水曜日

回転窓/引き出しを増やす

 知識や経験が豊富でさまざまな状況に直面しても柔軟に対応できる人を「引き出しが多い」と表現する。そうした人は初対面でもその話にこちらがすぐに引き込まれてしまう▼自分なりに引き出しを増やそうと、初めて劇場でミュージカルを見た。1970年代に米国で製作された映画が題材の作品で、迫力ある歌と芝居が原作の世界観を見事に表現していた▼知識や経験は一朝一夕に増えるものではない。食通と言われる人は多種多様な料理を食べるだけでなく、多くの人とも接して感覚を磨いてきたに違いない。コミュニケーション力が求められる職種にも当てはまる▼例えば営業担当者はどれだけ雑談できるかが腕の見せ所ともされる。相手が興味を引くような話題へと会話の流れを持っていくには、たくさんの引き出しが必要だろう。場面に応じて適切な会話ができれば双方の距離も縮まる▼何事にも興味を持ち、目にしたことや感じたことはメモに書き留める。引き出しが多い人は普段からこうした心掛けなのかもしれない。少しだけ意識を変え、引き出しの中身を満たしていく。そんな心持ちで雑談に花を咲かせたい。




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政府/防災監に長橋和久氏、7月1日発令

 政府は24日の閣議で、新設ポストの防災監(事務次官級)に長橋和久内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)を充てる人事を決めた。7月1日付で発令する。防災監は災害対応全般を総括するとともに政府中枢、府省庁、被災地の首長との課題解決を担う。先の通常国会で成立した改正災害対策基本法に盛り込まれた内閣府の防災体制強化の柱の一つ。
 長橋 和久氏(ながはし・かずひさ)1989年京都大学農学部卒、建設省(現国土交通省)入省。道路局次長、官房総括審議官、不動産・建設経済局長、総合政策局長などを経て、2024年4月から現職。愛媛県出身、59歳。




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万博協会/大屋根リング2カ所除きリユースへ解体、残置部は物見塔など3案検討

 大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の閉幕後の活用について、2025年日本国際博覧会協会(十倉雅和会長)は23日の理事会で、北東部の約200メートルと南西部の約350メートルを除き、部材の再利用(リユース)に向けた解体の準備に入るとした。大阪府、大阪市など会場建設費を拠出する行政や経済界、協会からなる「大屋根リングの活用に関する検討会」の見解を踏まえた対応となる。

みずほ銀と東北6県建設7社/新会社方針説明、最終目標は単体受注

 東北6県の地域建設業7社とみずほ銀行は23日に東京都内で会見し、共同出資して30日付で設立する新会社「東北アライアンス建設」の方針を説明した。各県に支店がある同行のネットワークを生かし、7社の広域連携による協業を支援。経営リソースを最適化するとともに、技術を結集しDXや生産性向上の取り組みを推進する。最終的には新会社単体での建設受注を目指す。同行リテール・事業法人部門の足立龍生共同部門長は「地域課題(解決)のモデルケースとなることを期待している」と語った。

北九州市/市立医療センター再整備、建て替え軸に有識者検討会で議論

 北九州市は施設が老朽化している市立医療センター(小倉北区馬借)について、今後の整備の在り方を検討している。現在地建て替えまたは移転建て替えを視野に、「市立病院等の医療提供体制のあり方に関する検討会」(座長・松永裕己北九州市立大学大学院教授)で方向性に関する議論を進めている。8月の検討会会合で議論の取りまとめを行い、これを踏まえ、なるべく早期に市としての最終的な整備方針を示す考え。

2025年6月24日火曜日

回転窓/巨匠、どうか安らかに

 スパイ小説の巨匠で1971年に刊行した『ジャッカルの日』などの作品で知られる英国の作家、フレデリック・フォーサイスさんが6月9日に亡くなった▼架空の暗殺計画が実際の歴史的事実の中に巧妙に織り込まれ、読む者に現実と虚構の境界を見失わせるほどの説得力を持たせた。『ジャッカルの日』は世界的ベストセラーになり、映画化もされ、スパイスリラーの新境地をを開いたと評価されている▼フィクションでありながらも事実に迫るジャーナリスティックな手法で書き上げる小説の原点は、BBCやロイター通信の記者としてコンゴ動乱やナイジェリア内戦を取材した経験にあるとされる▼緻密な調査と細部にこだわる技法、実在する登場人物など、磨き込まれたリアリズムが単なる娯楽を超えた「知的な読み物」としての重みを作品に与えている。小欄が初めてフォーサイスの作品を読んだのは高校3年生の時だった▼登場人物の心理描写まで踏み込んだ文章に心を奪われた記憶がある。娯楽を超えた知的で重厚な読み物に出会ったことが記者職の奥深さを知ったきっかけ。当時買った本を今も大切にしている。




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みずほ銀行、東北6県建設7社/6月30日付で共同出資会社設立

 みずほ銀行と東北6県にある地域建設業7社は、共同出資会社「東北アライアンス建設」を30日付で設立する。東日本大震災の復興需要が収束し人口減少によって建設市場のさらなる縮小や人材制約などが見込まれる中、企業単体の枠を超えた広域連携によって経営資源を最適化。7社がノウハウや技術を補完し合い、新たな価値共創による受注体制の構築やDXの推進などを通じ持続的な成長を実現していく。同様の課題を抱える地域建設業の新たなビジネスモデルとして注目される。

国交省が骨子案/群マネ実装「手引」25年夏公表、実施手順提示・支援ツール用意

 国土交通省は「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の全国展開に向けた「手引」の骨子案をまとめた。まずは群マネ導入の標準的なステップや先行事例のノウハウの周知を狙いとした「Ver.1」を夏ごろ公表する。初めて取り組む地方自治体向けの「支援ツール集」や、全自治体のインフラメンテナンスの実態を「見える化」したデータも付ける。各自治体に自らの立ち位置を客観視してもらうことで危機感を喚起しつつ、群マネへの理解と実装を促す内容だ。

熊本県菊陽町/新工業団地整備、7月にも基本設計の委託先選定手続き

 熊本県菊陽町は原水での新たな工業団地の整備に向け、早ければ7月に基本設計の委託先選定の手続きを行う。工業団地の検討区域は半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場周辺で、県道大津植木線の南側の約24・2ヘクタール。2026年から地権者との用地取得交渉を本格化させる。県道拡幅工事の完了する28年度以降に造成工事に着手し、31年度の分譲開始を目指す。
 工業団地の検討区域はほとんどが農地となっている。地権者は53者。19日に地権者を対象とした説明会を開き、事業の概要やスケジュールを説明した。
 町は25年度6月補正予算で基本設計や用地補償調査の委託費など、関連予算として1億4000万円を計上。設計や補償調査はそれぞれ発注する予定で、選定手続きは指名競争入札での実施を視野に準備している。
 町は工業団地に誘致する企業について特定の企業の誘致を想定したものではないが、TSMC工場に近い立地を生かし、半導体関連産業の一層の集積を図る考え。整備に向けては24年度に整備可能性調査をオオバに委託し、現地調査や事業計画の検討などを進めてきた。




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戸田建設/山岳トンネル工事の面木に凹凸でモルタル発見容易に、供用後の剥落防止

 戸田建設は山岳トンネル工事の安全性向上に向け、表面に凹凸を設けた面木「TA面木」を開発した。覆工コンクリートの目地部に付着するモルタルを発見しやすくし、トンネル供用後のモルタル片の剥落を防ぐ。既に実際の工事に導入し、視認性の向上効果を確認した。

2025年6月23日月曜日

回転窓/公共工事品確法の20年

 数学者で評論家としても知られた森毅氏(1928~2010年)は「人生20年説」を唱えた。自著にこう書いている。「20年くらいを一つの人生と思って、差し当たりいまの人生を輝かせることを考える。80歳までなら、一生のうち4回の人生を生きられる」(『いまを楽しむ人生論』から)▼20年の間には実にさまざまな変化が見られる。公共事業を巡っても例外でなく、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(公共工事品確法)は20年前の05年に成立した▼1990年代後半から公共事業費が減り続け、当時は競争の激化でダンピング受注が横行。懸念された「安かろう悪かろう」の悪循環を払拭し、価格と品質で総合的に優れた公共調達への転換を図ろうと、議員立法で制定されたのが公共工事品確法だった▼昨年に3回目の改正法が成立。改正建設業法、改正入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)と合わせた「第3次・担い手3法」として運用が始まった▼制定からこれまでに何が変わり、積み残された課題はあるのか。20年という一つの節目に検証し、今後を展望することも必要だろう。




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凜/東亜建設工業千葉支店・高橋ひろ子さん、半径5m以内の幸せを大切に

 千葉県内の建設現場で作業所長を務めている。「まだ現場にいたい」という思いは強く、大切にしているのは「半径5メートル以内の幸せ」。共に働く人たちが気持ち良く一日を終えられるよう、自分の周囲にさりげなく気を配るようにしている。
 入社して数年が過ぎた時、念願だった建設現場に配属された。慌ただしく過ぎていく時間。自分の思いとは裏腹に「自分は何もできていないのでは」と感じるようになった。「もう辞めるしかないかも…」。積もっていく自責の念に唇をかみしめた日もあった。
 悪戦苦闘しながらもさまざまな経験を積んでできることが少しずつ増えていった。あれから十数年、今は若手の指導役も任されるようになった。休憩時間に若手と一緒に昼食をとりながら趣味や休日の話をする。世代の違いを感じながらも気軽に話せる雰囲気づくりを意識している。
 働き方は大きく変わった。長時間労働が当たり前だった時代も今は昔。「夢だった」ジムにも通い始めた。一方で「頑張りどきがあると思う」とも話す。若いうちだからこそ吸収できることがある。成長のチャンスを逃すのはもったいないと思うこともある。
 現場が変われば関わる人もやり方も違ってくる。その度に向き合い方を探ってきた。建設技術者は「一生かかってもやりきれない」終わりのない職業で、好奇心と探究心は尽きない。これからも自分にできることを丁寧に続けていく。
 (たかはし・ひろこ)東亜建設工業千葉支店千葉中央工事事務所蘇我事務所養老川作業所作業所長




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国交省/既存官庁施設で更新優先度など定量評価、合同庁舎で試行着手

 国土交通省は、既存官庁施設の改修や更新を判断する新たな指標「ポテンシャル(性能)評価」の試行を始める。安全確保や業務遂行に問題が生じる項目からなる「必須性能」と、使い勝手や運用上の制約が生じる項目からなる「付加的性能」の二つの観点で評価する仕組み。評価結果を点数化し、更新と長寿命化のどちらを優先的に選択すべきか判断できるようにする。
 試行は大規模修繕の検討が必要な時期を考慮し、築25年以上の合同庁舎を対象とする。必須性能は老朽度合いや狭あいさ、被災リスクなどを評価項目とし、100点以上で更新を優先的に検討する。付加的性能の評価項目は室内環境やユニバーサルデザイン、防犯性など。必須性能の点数が低くても、付加的性能が100点以上なら個別施設の実情に応じ老朽化対策を検討する。両方の性能で点数が低ければ長寿命化し長く使う価値があると判断する。
 新指標は官房官庁営繕部で運用する新築時の性能基準などを基に、有識者の意見も聞き作成した。直近で宿舎も含めた官庁施設全体のうち築30年以上は床面積ベースで半数を超える。改修や更新の時期を迎える施設の大量発生を見越し、施設機能を定量的に評価可能な統一指標をつくった。
 試行では全国に約400施設ある合同庁舎に順次適用し、地方整備局などの営繕職員が実地評価に当たる。実運用を通じ評価手法を改善しながら本格導入を検討。地方自治体にも情報提供し参考にしてもらう。




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秋田市/サッカースタジアム整備方針を年内決定へ、改修と新設を比較検討

 秋田市は、サッカーJリーグ・ブラウブリッツ秋田の本拠地整備を巡り、既存の「秋田スポーツPLUS・ASPスタジアム」改修と新スタジアム建設の両面から事業の可能性を検討する。6月補正予算に「スタジアム整備検討経費」として2636万3000円を計上。新設・改修を比較検討する上で必要な想定事業費やスケジュール作成などの支援業務を委託する。7~8月にかけて公募し、契約を締結。履行期間は12月末まで。年内に整備方針を決定する見通しだ。
 6月定例市議会の教育産業委員会で提示した。今後は秋田県やブラウブリッツ秋田との協議、Jリーグとも随時調整し、事業主体や負担割合を検討する。改修・新設の各想定事業費やスケジュール、財源の見通しを比較した上で、市の財政負担の上限額を見極め、整備方針を定める。
 ASPスタジアムは、市中心部の八橋運動公園1の1(1万6268平方メートル)内にある。天然芝(洋芝)のフィールド面積は1万0400平方メートル(130メートル×80メートル)。収容人数はメインスタンド1892人、バックスタンド1300人、サイドスタンド1800人の計4992人。Jリーグスタジアム基準への適合性や将来的な拡張性などが課題になる。
 市は当初、卸売市場(外旭川待合28)の建て替えで敷地北側に生まれる余剰地への建設を構想していた。Jリーグスタジアム基準を満たす収容1万人規模を目指していたが、5000人への基準緩和を受け、改修と新設の両プランで検討している。Jリーグへのクラブライセンス申請は6月末、交付は9月末を予定する。




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鹿島/自動化施工システムで盛り土作業の自動化実現、造成工事の生産性向上へ

 鹿島は20日、建設機械の自動運転システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」で土砂の積み込みから運搬、敷きならし、転圧まで一連の盛り土作業の自動化に成功したと発表した。ブルドーザーと振動ローラーに加え、新たにバックホウとアーティキュレートダンプトラックも自動運転できるようにした。ダム工事だけでなく造成工事も作業を自動化し生産性を高める。
 自動化したバックホウは車体に搭載したセンサーで周辺環境を認識する。材料山の形状も読み取り効率よく掘削できる。アーティキュレートダンプトラックの停車位置を認識し最適な量が積み込める。
 自動アーティキュレートダンプトラックは、機体の中央部で折れ曲がる構造を生かし、悪路の走行や小範囲での旋回に対応する。従来の経路生成技術に、中折れ式の機構が持つ後進操作を組み合わせ、施工箇所まで最短距離で材料を運搬する。
 神奈川県小田原市にある鹿島西湘実験フィールドで、盛り土作業の実証実験を行った。バックホウによる土砂の積み込みから、アーティキュレートダンプトラックでの運搬、荷下ろし作業までをすべて自動化。ブルドーザーの敷きならし、自動振動ローラーによる転圧も自動で完了し、全作業工程の自動化を実現した。
 実証結果を踏まえ、ブルドーザーと振動ローラーの機能もブラッシュアップした。自動ブルドーザーは、材料形状の認識や経路生成にAIを活用。階段やスロープ状の整形にも対応できる。自動振動ローラーも専用の作業計画システムを構築し、複雑な形状や狭いエリアでの作業に対応可能だ。
 鹿島はクワッドアクセルを適用する工種や作業を拡大し、社外を含め水平展開を目指す。採用事例を増やし自動運転の性能に磨きをかける。4月には日本国土開発が造成工事にクワッドアクセルを試行導入すると発表した。




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凜/東亜建設工業千葉支店・高橋ひろ子さん、半径5m以内の幸せを大切に

 千葉県内の建設現場で作業所長を務めている。「まだ現場にいたい」という思いは強く、大切にしているのは「半径5メートル以内の幸せ」。共に働く人たちが気持ち良く一日を終えられるよう、自分の周囲にさりげなく気を配るようにしている。
 入社して数年が過ぎた時、念願だった建設現場に配属された。慌ただしく過ぎていく時間。自分の思いとは裏腹に「自分は何もできていないのでは」と感じるようになった。「もう辞めるしかないかも…」。積もっていく自責の念に唇をかみしめた日もあった。
 悪戦苦闘しながらもさまざまな経験を積んでできることが少しずつ増えていった。あれから十数年、今は若手の指導役も任されるようになった。休憩時間に若手と一緒に昼食をとりながら趣味や休日の話をする。世代の違いを感じながらも気軽に話せる雰囲気づくりを意識している。
 働き方は大きく変わった。長時間労働が当たり前だった時代も今は昔。「夢だった」ジムにも通い始めた。一方で「頑張りどきがあると思う」とも話す。若いうちだからこそ吸収できることがある。成長のチャンスを逃すのはもったいないと思うこともある。
 現場が変われば関わる人もやり方も違ってくる。その度に向き合い方を探ってきた。建設技術者は「一生かかってもやりきれない」終わりのない職業で、好奇心と探究心は尽きない。これからも自分にできることを丁寧に続けていく。
 (たかはし・ひろこ)東亜建設工業千葉支店千葉中央工事事務所蘇我事務所養老川作業所作業所長



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2025年6月20日金曜日

湯崎英彦広島県知事と林正道中国整備局長が懇談/土砂・洪水氾濫対策で連携

 広島県の湯崎英彦知事と中国地方整備局の林正道局長が18日、広島県庁で懇談し=写真、激甚化・頻発化する土砂・洪水氾濫対策に連携して取り組むことを確認するとともに、湯崎知事が高度な技術力を要する瀬野川水系では新たに直轄による事業化が必要と訴えた。国道2号広島南道路や福山道路の整備、広島高速4号線の延伸など道路ネットワークの強化も求めた。
 林局長は「民間投資や経済活動の前提となる基盤整備が重要であり、地域が稼げるよう国土の生産性を向上させないといけない。地域を支えるインフラはますます重要になっている」と述べた。
 閣議決定した第1次国土強靱化実施中期計画については「一刻も早く事業を進めることが重要」とし、県に「予算の確保に必要な地域の実情や危機感を伝えてほしい」と要望。湯崎知事は「継続的、安定的な推進が重要だ。資材価格や人件費の高騰に合わせ、必要な財政措置を確実に実施してほしい。地方の声を届けたい」と応じた。
 湯崎知事は豪雨災害への対応について、「流域治水を強力に推進している。国と連携して進めたい」と協力を要請。人口や資産が集中する区域や重要交通網が含まれる区域など社会経済活動への影響が大きい区域では引き続き直轄事業を要望した。林局長は「流域全体で水害を減らす流域治水対策を進めており、引き続きしっかり取り組む」と回答した。
 さらに土砂・洪水氾濫被害のリスクが高い地域を調査しているとし、「役割分担した上で対策を進めていきたい」と述べた。瀬野川流域については「必要な検討を進め、体制の確保に努める」とした。
 また、湯崎知事は港湾部を東西に貫く広島南道路の整備が重要だと指摘。明神高架区間や木材港西~廿日市間の整備を促進するとともに、商工センター~木材港西間の早期事業化を求めた。山陽自動車道と接続する広島高速4号線の延伸については「重要な役割を担う」と早期の事業化を要望した。
 中国整備局によると、広島南道路は明神高架橋の4割の下部工が完成し、引き続き橋梁の上下部工を進める。木材港西~廿日市間は道路の設計を進め、今月下旬に設計内容などに関する説明会を開く。林局長は商工センター~木材港西間について「事業中区間の進捗を見ながら、県や市と連携して周辺道路の状況把握を進めたい」と話した。



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日建連/7月19日から「けんせつ探検隊」/全国22カ所、8県は初開催

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は7月19日から2026年4月2日にかけて、親子向け建設現場見学会「けんせつ探検隊2025」を過去最多の全国22カ所で開催する。16日に専用サイト(https://www.nikkenren.com/entry/tankentai/2025/)で受け付けを開始した。=2面に開催日程
 けんせつ探検隊は、建設業の仕事に対する若年層の興味や理解を促す目的で日建連が毎年開催している取り組み。今回は熱中症リスク軽減のため夏休み期間の開催を減らし、春休みの4月上旬まで実施する。新潟、石川、茨城、長野、鳥取、大分、鹿児島、沖縄の8県は初めてとなる。現場の見学に加えて各現場が工夫を凝らした「お仕事体験」も用意し、生の現場を体験できる貴重な機会を提供する。
 参加対象は小中学生とその保護者。参加無料。1現場当たりの参加人数は10~30人程度(抽選制)。




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建築へ/ドコモモ・ジャパン、日本のモダン建築10件選定・累計300件に

 近代建築の記録と保存を目的とする学術組織「DOCOMOMO japan」(ドコモモ・ジャパン)が、2024年度の「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」として10件を選定した。このほか、既に選ばれている建築3件で対象を広げ追加選定した。選定建築物は今回を含め累計300件に到達。節目の300番目は谷口吉生さん(1937~2024年)の「東京都葛西臨海水族園」(89年)が選ばれた。
 1920年から選定検討年度で竣工後35年が経過しており、現存するオリジナルの建築的価値を残していることや、技術的革新性などの観点から保存が望まれる建築物が対象。今回は89年までの建築物となる。
 24年度選定の建築物は次の通り。▽名称(所在地)=〈1〉設計者〈2〉竣工年〈3〉用途。敬称略。
 【新規選定10件】
 ▽杉の森神社(鳥取県)=〈1〉大岡實+吉家光夫(大成建設設計部)〈2〉1955年〈3〉神社
 ▽住宅No.32(大阪府)=〈1〉池辺陽(担当:西澤文隆)〈2〉1955年〈3〉住宅
 ▽山口銀行本店(山口県)=〈1〉圓堂建築設計事務所(圓堂正嘉)〈2〉1965年〈3〉事務所ビル(銀行)
 ▽大阪駅前第1・第2・第3・第4ビル(大阪駅前市街地再開発事業)(大阪府)=〈1〉東畑建築事務所(第1)、安井建築設計事務所(第2)、大建設計(第3)、東畑建築事務所(第4)、いずれも筆頭設計者は大阪都市再開発局〈2〉1970、1976、1981、1983年〈3〉商業施設、事務室、駐車場など
 ▽岡山市立オリエント美術館(岡山県)=〈1〉岡田新一設計事務所〈2〉1979年〈3〉美術館
 ▽つくばセンタービル(茨城県)=〈1〉磯崎新アトリエ(磯崎新)〈2〉1983年〈3〉商業施設・ホテル・ホール
 ▽GAZEBO(神奈川県)=〈1〉山本理顕〈2〉1986年〈3〉店舗、事務所、住宅、共同住宅
 ▽小国町交通センター(熊本県)=〈1〉葉デザイン事務所(葉祥栄)(構造設計:松井源吾)〈2〉1987年〈3〉バスセンター、物産館
 ▽COMBLE(コンブレ)(静岡県)=〈1〉倉俣史朗〈2〉1989年〈3〉バー
 ▽東京都葛西臨海水族園(東京都)=〈1〉総合:谷口建築設計研究所(谷口吉生、高宮眞介、村松基安、田岡陽一、横山元)構造:木村俊彦構造設計事務所設備:森村設計造園:上野泰、田中喜一展示アートディレクション:伊藤隆道、アトリエモブグラフィック:小島良平レストランインテリア設計協力:カザッポ・アンド・アソシエイツ〈2〉1989年〈3〉水族館
 【追加選定3件】
 ▽自由学園南沢キャンパス及び南沢学園町(羽仁吉一邸)(東京都)=〈1〉遠藤新〈2〉1929~1967年〈3〉住宅
 ▽国際基督教大学の建築群(教員住宅No.346、365、482、483)(東京都)=〈1〉ヴォーリズ建築事務所・レーモンド設計事務所〈2〉1953~1960年〈3〉住宅
 ▽代官山ヒルサイドテラス第1期、および第2期以降、ヒルサイドウエスト(ヒルサイドテラスアネックスA・B棟)(東京都)=〈1〉元倉眞琴〈2〉1985年〈3〉事務所。
 (写真は全てドコモモ・ジャパン提供)




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中日本高速会社/土木・施設工事にBIM・CIM前面適用、実施要領など作成

 中日本高速道路会社は、7月からi-Constructionを全面展開する。これまでBIM/CIMは試行の位置付けだったが、7月以降は土木・施設工事などで全面適用する。これに伴いBIM/CIM実施要領、3Dモデル作成要領、3Dモデル作成マニュアル、共通データ環境利用マニュアルを新たに作成した。
 導入済みのICT施工と遠隔臨場にBIM/CIMが加わることで、将来的には調査・設計から施工・検査、維持管理・更新までのすべてのプロセスで建設生産・管理システムを効率化、高度化、省人化し生産性を向上する。ただ、現時点では今後の技術革新を見通した目標到達点を設定するのは難しく、2030年度までは「効率化」を主眼に進める。このため、BIM/CIM実施要領は▽情報のデジタル化▽3Dモデルの作成と活用▽共通データ環境の利用-について、2025年度からおおむね5年間の取り組みに必要な事項をまとめた。
 情報のデジタル化では書類の電子データ化に取り組む。過去に作成した紙媒体の工事関係書類を必要なタイミングで電子データ化する。受発注者間の打ち合わせ資料もデジタルデータを利用する。3Dモデルの作成と活用では業務の流れを示した。
 受発注者間のデータ授受はデータ量や目的などでさまざまなツールを利用していた。今後は資料貸与や打ち合わせ資料の授受と確認、工事関係書類など提出資料の事前確認などに共通データ環境を利用することで作業を効率化する。土木工事と施設工事の関係書類提出は、従来通り工事情報共有・保存システムを使用し、共通データ環境は提出前の調整で利用する。




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オートデスク/BIMソフトウェアに構造系免制震装置と既製杭のファミリ追加

 オートデスク(東京都港区、中西智行社長)はBIMソフトウエア「Autodesk Revit」向けの新たな構造用ファミリ(部品データ)として、構造系の免制震装置と既製杭を整備した。制震建物や既製杭の設計時に、設計者がCADデータを取り寄せる手間を減らし設計効率を高める。それぞれの設計情報を生産工程でも利用できるようにし、生産性向上につなげる。
 免制震装置を製造する川金コアテック、センクシア、日鉄エンジニアリングの3社と連携。免制震建物の設計で採用される▽オイルダンパー(制振、免震)▽耐震ブレース▽制振ダンパー▽球面すべり支承▽鋼製ダンパー-を共同で整備した。日本ヒュームとともに、既製コンクリート杭も整備した。
 設計者、メーカーともにデータを利用しやすくするため、入れ子構成の免制震装置と既製杭ファミリを整備した。設計者が直接編集するホストファミリには設計符号や型番などの設計情報を付与。メーカーが整備するファミリには装置や部材の詳細な情報を含めた。
 設計業務では、設計事務所や建設会社が異なるソフトウエアでデータを作成しているケースがある。各部材のモデルに含まれる属性データが異なるため、設計から生産、施工、維持管理までの各プロセスでデータの連携や活用ができない課題がある。
 こうした課題を受け、オートデスクはRevit向け構造用ファミリの国内整備を推進。大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の建設大手5社と連携し、ファミリの充実化を目指している。




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2025年6月19日木曜日

回転窓/白い逸品の使い切りと待ち時間

 実家の近くにある農園から今年もトウモロコシをいただいた。この農園は甘みが強いスイートコーンの中でも安定して収穫でき、実がぎっしりなゴールドラッシュの栽培に力を入れている▼7月に入ると朝採れの逸品を直売する。糖度の高い特別な白い逸品の販売日には遠方からのお客さんで行列ができる。入手は難しくなってしまったけれど地域を知ってもらえる機会と考えれば、地元にとってまんざらでもない▼お気に入りの農園を含め、そのエリアでは捨てるところがない食材としてトウモロコシのアピールに余念がない。皮付きのまま電子レンジで温める調理方法、ひげや皮、芯のレシピも紹介している▼内側の皮とひげを干して煮出せばコーン茶になる。実と一緒にひげと芯も入れて米を炊けばトウモロコシご飯に。煮込んだ芯をスープにしたメニューはSNSにも多くある▼政府が改定した食品ロスを削減する基本方針は、食品ロスの問題を知って削減に取り組む消費者の割合を80%(2024年度75%)に高める目標を設定した。白い逸品を使い切るアイデアと、行列の待ち時間の過ごし方を今年も考え始めよう。




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新会長/日本建築学会・小野田泰明氏、頼れるプラットフォームへ

 第59代会長に就任した。会員が半歩踏み出すことで大きな果実を得る「コミットメント」を掲げ、少子高齢化や国際競争力など直面する課題に挑む。頼れるプラットフォームとして会員の活動を支え、建築の可能性を開き社会の発展に尽力する。
 --就任の抱負を。
 「建築や都市の学術・技術・芸術資源を統合しつつ創造する文理融合の力が学会の強みだ。強みを社会の発展につなげ、希望が持てる社会をつくるきっかけ、礎になっていきたい。いろいろな人に開かれ、建築の価値を見つめ、社会を大きく変革していく場にしていく」
 「安全・安心やカーボンニュートラルなど建築を取り巻く環境が複雑で多様になる中、人口減少や建設費高騰などにより今まで普通にできていたことが難しくなっている。こういう時こそ、さまざまな知恵を集めながら社会を再構築していく。その際の起点として建築の役割は大きい」
 --注力する施策は。
 「新しい旗を立てるのではなく、既存の資源を生かしつつ、少し踏み込むことで変化を生み出す。まずは学会が持つ価値ある知財を海外に発信する活動に取り組む。人口減少社会で若手人材が限られる中、持続可能で筋肉質な仕組みを作り上げる。多くのコミットメントを具体化していくが、この二つは2年間の任期中に実現したい」
 --5月に建築関係5会で次世代の人材育成に向けた提言を発表した。
 「国際的で魅力ある次世代の建築職能人材を、教育界と産業界が一丸となり地に足を着け育てていくことは非常に重要だ。学生には在学中、自身の学問領域や可能性に向き合い、留学などさまざまな経験を通じて基礎力を付けてもらいたい。そうした正しいメッセージを伝えるというプラットフォームの役割を自覚し、発信していく」
 --デジタル教育は。
 「デジタル教育を底上げするため、電子的教材をオンラインで共有する仕組みを構築する。現在、試作版ができたところ。デジタル教育の対応をどう再構築するかは学会が担う課題だと考えている」
 --土木学会との連携は。
 「両学会は2021年に相互協力の覚書(MOU)を交わした。共同タスクフォースに構造設計の基本や災害連携など個別の課題ごとにワーキンググループ(WG)を設置し議論している。能登半島の被災地で復興を手伝っているが、金沢工業大学の土木の先生と連携している。個別対応ではなく、WGでの議論の成果を反映した共通の知として機能している。インフラを担う専門家同士、コミュニケーションを続け、その成果を一緒に発信していきたい」。
 (5月30日就任)
 (おのだ・やすあき)1986年東北大学工学部建築学科卒、東北大助手。96年助教授、2007年教授。21~23年に建築学会副会長を務めた。専門は建築計画学。せんだいメディアテークや横須賀美術館などの建築計画を担当。著書に『プレ・デザインの思想』など。受賞歴は建築学会賞(論文)、土木学会デザイン賞など。石川県出身、62歳。




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「社員に近い」一人親方4割、働き方自己診断チェックリスト活用で/国交省調査

 国土交通省が提供する「働き方自己診断チェックリスト」を活用した結果、建設業で働く一人親方のうち4割弱が「社員の働き方に近い」と感じていたことが分かった。診断結果を踏まえ、取引先に雇用契約の締結を打診したケースもある。国交省は、労働関係法令の規制逃れを目的とした「偽装一人親方」の抑制対策としてチェックリストの活用を働き掛けるが、現状で自ら活用した経験がある一人親方が1割程度にとどまっており、さらなる認知・活用が必要だ。
 国交省が一人親方本人を対象に2024年11、12月に実施した調査の結果を公表した。産学官でつくる「建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会」を構成する建設業団体などに依頼し、各団体の会員各社と取引関係のある一人親方などに調査協力を要請。2277件の有効回答があった。
 同協議会で申し合わせた24、25年度の官民の取り組み事項によると、現場でのチェックリストの活用率を約5割に高める目標を設定。調査によるとチェックリストの活用経験がある者は12・7%で、前年度とほぼ変わらなかった。一人親方本人向けの調査とほぼ同時期に実施した事業者向けの調査でも、チェックリストを一部の工事でも活用している事業者は12・1%に過ぎなかった。
 チェックリストを活用した一人親方のうち「社員の働き方に近い」と感じたのは35・8%。その上で取引先に雇用契約を持ち掛けたのは10・3%だった。回答者全体で「できれば雇用労働者として働きたい」と答えた者も6・7%と一定数いた。一人親方になった経緯が自らの意志ではなく「雇用した企業から促され、ならざるを得なかった」と答えたのは10・0%で、うち22・0%は雇用契約を望んでいた。
 国交省は規制逃れが疑われる場合、元請が下請に雇用契約の徹底を促し、改善されなければ現場入場を認めないよう働き掛ける。この判断に有効な手段として一人親方本人や建設会社、発注者向けに全国で開く説明会でチェックリストを周知している。




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JERA/袖ケ浦火力発電所(千葉県袖ケ浦市)の設備更新、環境アセス手続き開始

 JERAは18日、袖ケ浦火力発電所(千葉県袖ケ浦市)の発電設備を更新すると発表した。関連する環境影響評価(環境アセス)手続きも始めた。同発電所には汽力発電方式の1~4号機があるが、いずれも1970年代の稼働で老朽化が進む。今後、ガスタービンコンバインドサイクル方式を採用する新たな1~3号機に置き換える。合計出力は約260万キロワット。2032年度以降の稼働を予定する。
 同発電所の所在地は中袖2の1(敷地面積約112万平方メートル)。1~4号機に加え、船舶を横付けする港湾設備や燃料を陸揚げする荷役設備、タンク設備などもある。既存の1~4号機は1974~79年に稼働。うち最も古い1号機は23年、長期の計画停止に入った。稼働している2~4号機の合計出力は約300万キロワット。
 同社は高経年の老朽施設を高効率なガスタービンコンバインドサイクル発電設備に置き換え、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげる方針。更新が長期に及ぶため、別の発電所を安定的に操業して電力需要を支える。「更新計画を着実に進め、長期的な電力供給の確保に貢献する」としている。
 JERAは老朽施設を計画的に更新している。武豊火力発電所(愛知県武豊町)5号機と姉崎火力発電所(千葉県市原市)1~3号機、横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)1号機が23年までに完了。五井火力発電所(市原市)1~3号機、横須賀火力発電所2号機が工事に入っている。
 知多火力発電所(愛知県知多市)7、8号機の建設は東芝エネルギーシステムズ、東芝プラントシステム、大成建設の3社と契約済み。26年の着工、30年の稼働を目指す。




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2025年6月18日水曜日

回転窓/極上の観戦空間

 スポーツ観戦に付加価値を付け、特別な体験を提供する「スポーツホスピタリティー」が国内で広がりつつある。専用のラウンジや座席などで試合を観戦し、ハイグレードな食事やサービスも楽しめ限定グッズがプレゼントされることも▼欧米ではスポーツ観戦を商機と捉え、1990年代からスタジアムやアリーナの新築や改修に合わせ特別な空間と時間を提供するビジネスが盛んになった。日本でも徐々に広がっているが、現状ではプログラムの内容で欧米との差が大きいようだ▼国内のホスピタリティープログラムで最も実績を上げたのはラグビーワールドカップ2019日本大会。販売パッケージ数6・3万枚、売り上げは100億円を超えた▼エスコンフィールドHOKKAIDOや長崎スタジアムシティなどホスピタリティープログラムが話題の施設も増えている。この流れが広がり、商機の拡大だけでなく地域産業の活性化につながることを期待したい▼1日に国立競技場で行われたジャパンラグビーリーグワン決勝戦。ホスピタリティー付きの観戦チケットを初めて購入したが、極上のひとときは癖になりそうだ。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174882
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ゼネラル管工/鳥飼工場(大阪府摂津市)の機能拡張、オフサイト化など加速

 須賀工業のグループ会社で建築設備に関連する配管部材のプレハブ加工などを手掛けるゼネラル管工(東京都港区、井上純一社長)は、鳥飼工場(大阪府摂津市)で実施していた第1工場のFA(ファクトリーオートメーション)化と第2工場の新設を完了した。配管のオフサイト化に対応するとともに、自動化技術での省人化や太陽光発電による脱炭素化を実現。西日本エリアの生産拠点として本格稼働する。17日に落成式を開いた。
 鳥飼工場の所在地は鳥飼上5。第1工場(延べ床面積1935平方メートル)の設備投資は6本の自動加工ラインを導入した。小径と大径の配管に対応した自動切断機や締め付け機、グルービング、自動溶接ロボット、フレアマシンなどを整備。これまで熟練技能が必要だった加工工程を標準化しつつ、省力化も実現した。技能者不足への対応や品質の均一化、作業安全性の向上につなげる。
 新設した第2工場(同762平方メートル)は1階に約360平方メートルのユニット組み立てスペース、2階に完成品の仮置きスペースを設けた。配管部材の組み立てと出荷前の最終確認が工場内で完結できる体制になった。工場の稼働で現場工程の省力化や工期短縮、品質確保を実現でき、建築設備工事の「オフサイト生産拠点」になる。
 工場の屋根には太陽光発電設備を設置し、使用電力の約6割を自家発電で賄う。再生可能エネルギーを使って加工・組み立てした製品を「GCT(グリーン・クラフト・テック)」としてブランド化。生産性と環境性能を両立させた持続可能な建築設備の製造をアピールする。
 施設は黒木義和建築事務所が設計し、日野建設工業が施工した。着工は2024年7月、25年3月までに工事を終えた。17日の落成式で須賀工業の津田端孝会長は「鳥飼工場は私たちのプレハブ加工の歩みを象徴する拠点だ。FA化と再エネを活用した新たな生産体制で持続可能な社会の実現に貢献したい」と述べた。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174863
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自民党参院議員・佐藤信秋氏に聞く/「人」のため職域代表の役割果たす

 ◇利益出る新4K産業へ、志を継いで欲しい
 国土交通事務次官などを歴任し、建設産業の職域代表者として国政でも活躍している佐藤信秋自民党参院議員。2007年7月の初当選から18年にわたり、担い手を確保・育成するための新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)の実現や、公共調達の整備に取り組んできた。7月28日の任期満了を前に職域代表者の役割と意義を語ってもらった。
 ずっと人に着目してきた。処遇を改善していかないと、産業として成り立たなくなる。住宅や運輸の仕事も含めて若者や女性に入職してもらうためにどうするか。大企業も半島の先端で活動する地域建設会社のことも、全国津々浦々の建設産業の人たちの思いを政府や地方自治体に分かってもらい、人を見ながら利益が出る新4Kの産業にする。将来に向かって発展するために行動するのが職域代表者の役割だと考えてきた。
 処遇改善は展望がないと難しい。国土強靱化実施中期計画は、補正予算がベースになりがちな対策ではなく、法律に基づく計画に切り替わった。推進が特に必要な施策の「おおむね20兆円強程度」の事業規模は、最低ラインであって、当初予算とは別枠で考えることになっている。物価が上昇し、新たに災害が発生するかもしれず、毎年の積み上げが大事になる。当初予算の上積みが一番だが、補正予算が編成されるのならばそこも考慮して、積み上げる戦いを毎年することになる。計画は、ふるさとを守るためのもの。公共投資は民間投資を誘発する。族議員と言われようが、ふるさとを守る建設産業の人たちを応援し、予算を積み上げるのも職域代表者の役割になる。
 真夏や真冬に屋外の仕事がある建設産業は、賃金が低いと働く人がいなくなってしまう。公共工事設計労務単価は12年度から8割超上昇し、公共工事の低入札調査基準は07年以降8回上がった。まだ十分とは思っていないが、公共工事の請負価格は一番低かった頃から4割くらい上昇しただろう。
 (予定価格を下回る)前年の水準で今年の工事の積算を行うとデフレになる。(予定価格の上限拘束がある)会計法、地方自治法から定められている公共調達を改めようと努力してきた。公共工事品質確保促進法によって総合評価方式で一番いいものを選ぶ制度を整えた。買うときは一番安く、売るときは一番高くという公共調達はゆがみが出てきているが、予定価格の上限拘束の見直しはなかなか難しい。不確実性などを考慮し、復興係数のように標準的な積算や歩掛かりにいろいろな係数を掛けて予定価格にすることで、標準的な積算イコール予定価格とはならない価格設定の仕組みは増やしていい。
 労働時間を1割減らすなら、賃金が下がらないよう単価を上げたり、会社の売り上げが減ったりしないような手当てが求められる。職域代表者は、発注者、業界、府省庁、自治体の橋渡しも担っている。府省庁を本気にさせ、単価や積算のような省内の領分の間の調整役にもなるなら、実務を知っている必要がある。国土強靱化実施中期計画を進めるリーダーとなって、ふるさとを守る建設産業の仕事の量を確保し、たくさんの若者や女性に入職してもらえる産業に変革していかねばならない。全体のバランスを取りながら、志を継いでほしい。




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滋賀県/衛生科学センターDB入札公告/7月15日まで参加受付

 滋賀県は17日、設計・施工一括(DB)方式で行う「滋賀県衛生科学センター整備事業」の事業者を選定する一般競争入札(WTO対象、総合評価方式)を公告した。参加表明書は7月15日まで、入札書や提案書は10月2日まで受け付ける。同3日に開札し、同中旬にプレゼンテーション審査を実施。同下旬に落札者を決定する。2026年1~11月に設計、同12月~28年1月に工事を行い、同3月以降の供用開始を目指す。
 建設から約50年が経過する同センター(大津市御殿浜13の45、RC造3階建て延べ3067平方メートル)の老朽化に伴い、旧歯科技工士専門学校跡地(草津市笹山7の4の43、敷地面積約3430平方メートル)に新たな施設を整備する。新施設の規模はRC、S、またはSRC造4~5階建て延べ約3600~3800平方メートル。「健康危機管理事案に最先端の知見で迅速に対応できる地域に開かれたセンター」をコンセプトとし、1階に総務や理化学係(放射能)、2階には同(食品・水)、3階に微生物係(細菌・ウイルス)、4階に理化学係・微生物係(動物)を配置する。
 参加資格は、▽特定JV▽特定JVと設計企業のグループ▽特定JVと設計JVのグループ-のいずれか。県の特定調達契約競争入札参加資格者名簿に登録されていること。
 特定JVは建築一式の特定建設業許可がある2~3者で構成すること。代表者は経営事項審査(経審)の建築一式の総合評定値が1100点以上で、10年度以降に国または地方自治体が発注した延べ2000平方メートル以上の建築物に関する工事の元請施工実績があること。その他の構成員は経審の建築一式の総合評定値が900点以上であること。設計を行う者は1級建築士事務所で、10年度以降に国または地方自治体が発注した延べ2000平方メートル以上の建築物に関する実施設計の元請履行実績があること。工事監理を行う者は1級建築士事務所であることなど。
 業務内容は▽設計(基本・実施設計、事前調査)▽建設▽工事監理-など。
 「衛生科学センター整備設計・施工者選定等支援業務」は日建設計コンストラクション・マネジメントが担当。




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大成建設ら/医薬品製造施設内の防虫システム構築/温湿度調整で生存困難に

 大成建設とアース環境サービス(東京都中央区、田渕徹社長)は医薬品製造施設内の防虫対策として、空調設備による温度と湿度の調整で虫の発生や定着を抑制するシステムを開発した。クリーンルームなど生産エリア周辺に外部から虫が侵入しないよう、「ペストコントロールエリア」として防虫バリアー区画を構築。極小で定着しやすく繁殖力も高いチャタテムシの生存が困難な高温低湿度になるよう空調を制御する。チャタテムシの混入が懸念される医薬品など生産施設向け防虫対策技術として積極提案する。
 開発したのはチャタテムシ制御空調システムの「T-Pest Control System」。アース環境サービスの研究で解明された生存が困難な温度や湿度、生存期間などの環境条件に合わせて空調を制御する。医薬品工場は外部で人や物に付着した虫の侵入を完全に防護することが難しい。防除活動で空調を止めるケースも発生するなど生産活動に大きな影響が出ていた。
 防虫バリアー区画に設置する防除用空調機は、単独で新設したり、既存施設に設置しているクリーンルーム用空調機を利用したりできる。同システムは工場の新築や改修を問わず適用できる。




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2025年6月17日火曜日

鶴学園/広島工業大学新情報学部棟新築が起工/施工は錢高組、27年3月完成へ

 学校法人鶴学園(鶴衛理事長)が広島工業大学五日市キャンパス(広島市佐伯区)に計画していた「広島工業大学(仮称)新情報学部棟新築工事」の起工式が12日、現地で行われた。設計・監理は大旗連合建築設計、施工は錢高組がそれぞれ担当。2027年3月の完成を目指す。
 起工式には鶴理事長、広島工業大学の長坂康史学長をはじめ、学園や大学、設計、施工の関係者ら約30人が出席。
 大旗連合建築設計の大旗祥代表取締役が鎌、鶴理事長が鍬、錢高組の錢高久善社長が鋤を入れ、出席者全員で賛美歌を歌って無事故・無災害での完成を祈願した。
 鶴理事長は「この建物が学生、教職員、地域社会をつなぐ新たな交流の場となり、未来を切り開く理工系人材の育成拠点として大きな役割を果たすと期待している」と話し、大旗代表取締役、錢高社長が工期内の竣工に向けて決意を述べた。
 建設場所は佐伯区三宅2の1の1。規模はS一部RC造地下1階地上9階建て塔屋1階延べ1万2458平方メートル(建築面積2035平方メートル)。工期は27年3月20日まで。同4月の供用を予定。
 □和田卓也作業所長(錢高組)の話
 「施工難度は高く、環境に配慮しながら安全を第一に作業を進める。無事故・無災害で良い建物を提供したい」。




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回転窓/誠に遺憾でございます

 「誠に遺憾です」。記者会見などで耳にする機会の多いこの言葉、本来の意味は「非常に残念である」と理解している。だが実際には責任回避の定型句として使われることが多い▼言葉の意味は時代とともに変化する。変化そのものを否定するつもりはない。けれども変化に無自覚で意味のズレを無視するような風潮は、言葉の力を軽んじることにつながるのではと危惧する▼政治家が「説明責任を果たす」と言いながら何も説明しないように、言葉を都合よく解釈し使い倒しているような気がしてならない。新聞記者にとって言葉は命。だからこそ使い方には細心の注意が必要だ▼曖昧な表現で本質をぼかすのではなく真実を伝える手段として言葉を選び抜く。違和感を覚えたら理由を考え、納得できるまでとことん追求する。それが言葉に対する誠実さにつながるはず▼AIやSNSの影響もありこの先言葉はより速く、軽く、拡散されていく。だからこそ言葉をもっと大切にと願ってやまない。自分の言葉により責任を持ち、他者の言葉にも丁寧に耳を傾ける。その積み重ねが、信頼や理解を育む土壌になると信じている。




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新会長/土木学会・池内幸司氏/土木の力で未来を開く

 土木学会の第113代会長に就任した。少子高齢化と人口減少、インフラの老朽化、気候変動に伴う災害の激甚・頻発化など複数の構造的課題が同時に進行する時代に入ったと認識。その上で「課題を乗り越えることで『課題解決先進国』として、世界に先駆けて持続可能な社会像を提示できる」と確信する。取り組むべき社会課題が多岐にわたる中、会長プロジェクトとして「カーボンニュートラル(CN)でレジリエントな社会づくり」をテーマに据えた。=2面に関連記事
 --就任の抱負を。
 「土木の道を志したきっかけは中学生の頃に読んだ内村鑑三の『後世の最大遺物』。『われわれの生まれたときよりもこの日本を少しなりともよくして逝きたい』『一つの土木事業を遺すことは、永遠の喜びと富とを後世に遺すことではないか』という一節は、私の志の原点だ。歴代会長が築いてきた系譜に連なることを光栄に感じる。重責を担い、身の引き締まる思いだ。各支部とも連携して土木学会の活動を一層充実、強化していきたい。土木の力で社会の未来を切り開くべく、学会がその先導役となれるよう皆さまと共に歩んでいきたい」
 --学会の果たす役割は。
 「従来の枠にとらわれない新たな取り組みが必要となる。自然科学と社会科学の知見を融合し、分野横断的な連携を図る総合的なアプローチが求められている。土木分野はもともと多様な関係者と協働しながら社会基盤を支えてきた領域であり、課題解決に重要な役割を果たせる。学会としても総合力を発揮できる人材の育成や、多様な専門家が自由闊達(かったつ)に意見交換できる環境整備をさらに進める必要がある。異なる立場や視点が交差することで、実効性のある解決策が見いだされ、学術と実務の橋渡しも可能となる。学会の重要性は今後ますます高まっていく」
 --会長プロジェクトの方向性は。
 「気候変動により災害が激甚化・頻発化し、近年は毎年のように災害が発生している。CN実現に向け、これまでは水害対策を中心とした『適応策』に取り組んできたが、会長プロジェクトとして気候変動の『緩和策』に取り組む。CNの取り組みは既にまちづくりや交通、水管理、インフラ整備など分野ごとに緩和策が講じられているが、全体像を体系的に把握するのが難しい状況だ。こうした取り組みの構造を俯瞰(ふかん)し、体系的に整理する。緩和策をより効果的に進めていくため、CNの障壁となっている事柄を明らかにする。克服に向けた方策を学会として積極的に議論し、災害時のレジリエンス強化につながるCNの取り組みを発信する」。
 (6月13日就任)
 (いけうち・こうじ)1982年東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修士課程修了、建設省(現国土交通省)入省。河川局(現水管理・国土保全局)河川計画課長、近畿地方整備局長、水管理・国土保全局長、技監などを経て2023年7月に河川情報センター理事長に就任。土木学会関西支部長を務めた。兵庫県出身、68歳。




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国交省/資格者証携行、一部不要に/安衛特別教育など「建キャリ」画像表示で

 国土交通省は、建設現場での作業に必要となる資格者証などの一部が、技能者個人のスマートフォンに画像データを表示することで携行不要になると明確に示した。当面の対象資格は▽労働安全衛生法(安衛法)に基づく特別教育▽安衛法に基づく職長教育・安全衛生責任者教育▽登録基幹技能者-の三つ。資格所持の真正性を確保するため、建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)が提供する建設キャリアアップシステム(CCUS)登録技能者向けのスマホアプリ「建キャリ」で画像表示する場合を前提とする。
 安衛法令では現場作業に従事する際、紙の資格者証などの携行が義務付けられている業務がある。発破作業の資格者証やクレーンなど建設機械の運転免許証などが該当するが、これらを含めて技能者は何十種類も紙の資格者証をポケットなどに入れておかなければならず、作業の支障となり原本の紛失などにもつながる恐れがあった。
 技能者の資格情報を登録したCCUSを活用し、紙の資格者証を携行不要にできれば技能者本人にとって大きなメリットとなる。国交省は安衛法令を所管する厚生労働省とともに検討し、法令上の携行義務が課されていない特別教育の修了証などであれば、建キャリで画像データを画面表示することで資格所持を証明することに問題がないことを確認した。
 現状で法令上の携行義務がある資格者証などをスマホでの画像表示で代替するには、法改正などが必要となるが、これらも含めて国交省は建キャリを代替手段として活用できる範囲を今後も拡大していきたい考えを示している。
 建キャリはCCUS登録技能者であれば誰でも無料でダウンロード可能。就業履歴や保有資格などを手元で確認でき、資格者証も精細に画面表示できる。振興基金は、他産業にはない「日本初の業界横断的なスマホアプリ」とうたい、技能者本人がメリットを実感できるツールとして利用を呼び掛けている。




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関東整備局東京港湾/東京港コンテナターミナル、6月26日からジャケット据え付け

 関東地方整備局東京港湾事務所は東京港の沖合で進行する国際コンテナターミナル整備に関連し、岸壁を構成する鋼製フレーム(ジャケット)の据え付け工事に着手する。水深16メートル、計画延長400メートルの岸壁に長さ約15メートル、奥行き48メートルのジャケットを計25基設置。コンテナ船の大型化に対応する。据え付け作業は26日に開始し、4基分の施工を五洋建設ら3社JVが担う。
 関東整備局は東京港中央防波堤外側地区で、「Y3コンテナターミナル」の整備を進めている。岸壁は地盤に打ち込んだ鋼管杭(長さ約50メートル)に、重量約333トンのジャケットをつり上げて一体化するジャケット式桟橋となる。
 1基目は26日、2基目を27日に据え付ける。その後、3基目を7月10日、4基を同11日に行う。4基分のジャケット設置工事は五洋建設・あおみ建設・JFEエンジニアリングJVが担当している。
 ジャケットは事前に津市の工場で製作し現地に運搬する。鋼管杭は長さ約50メートルを2分割にして打ち込み、途中で溶接して1本の杭に仕上げる。現在、現地ではジャケットの基礎になる鋼管杭の設置が進んでいる。基礎杭の設置完了後は、重量1600トンつりの起重機船を使用してジャケットを据え付ける。
 工事は隣接するY2ターミナルの支障にならないよう、細心の注意を払って進める。2027年度内に計25基のジャケット据え付け作業を終える見通し。




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2025年6月16日月曜日

回転窓/いい加減のススメ

 同じ言葉でも全く異なる意味を持つケースがある。例えば「いい加減」。良い意味では「ちょうどいい」「適度」、悪い意味で「投げやり」「中途半端」などとなり、普段はどちらかというと後者の使われ方が多いようだ▼減らす、手放す、忘れる--。そうした禅の教えが分かる『心配事の9割は起こらない』(三笠書房)の中で、「いい加減」を肯定的に捉えたその心得が書かれている▼著者は庭園デザインも手掛ける禅僧の枡野俊明氏(曹洞宗徳雄山建功寺住職)。人は仕事で自分の力量に見合ったことしかできないが、この「いい加減」を知る人が全ての物事を堅実にこなし、周囲からの信頼を得られるのだという▼では力量以上のことは諦めるしかないのだろうか。力量と限界値は異なり、力量を超えても必死に努力すれば何とかなる範囲の限界値にチャレンジし、それをクリアすることでレベルが上がり自信もつく、と枡野氏は説く▼日常の仕事や生活では「いい加減にして」と口に出したくなることもある。そう言ってため息をつくだけでなく、自分の力量すなわち「いい加減」を心得れば見方や捉え方が変わるかもしれない。




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凜/土木技術者女性の会九州支部長・植田文子さん、多様な働き方実現を

 福岡市の職員として勤務する傍ら、土木技術者女性の会の運営スタッフを務めてきた。九州支部長としては4年目。土木の世界で活躍する女性が増える中、「後輩世代が男女差、個人差を気にせずに働ける環境をつくる」のが使命と考える。
 大学卒業後、民間企業での勤務を経て公務員となり、道路の維持管理や海外への下水道事業の技術協力などに携わってきた。女性の会との出会いは仕事と子育ての両立に悩んでいたころ。「参考になる話がたくさん聞けるのでは」と思ったのが入会のきっかけだった。
 かつての土木職は男性中心。周りの先輩からはよく「女性のロールモデル」を見つけるよう言われた。ところが性格も勤務条件も人それぞれ。無理に1人のモデルに当てはめようとせず、「いろいろな人のやり方を取り入れながら、自分のスタイルを見つけ出す」のが最善と気付いた。
 支部では現場見学会を行うほか、「自分なりの働き方やライフスタイルを実現するためのヒントにしてほしい」と、さまざまな人の事例を学び合う勉強会を開催。「組織を離れ一個人として年齢の壁がなく、フラットな立場で話ができる場」を心掛け、支部会員が自信を持って技術者として働けるよう後押ししていく。
 プライベートでは健康づくりのため、年に1回以上のフルマラソン出場を目標に課している。「ランニング仲間と一緒に走る時間が楽しい」と笑顔をみせる。
 (うえだ・あやこ)




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日基協ら/基礎施工士に鋼管杭施工管理士を統合、基礎杭工事全般の専門資格へ

 日本基礎建設協会(日基協、脇雅史会長)とコンクリートパイル・ポール協会(COPITA、塚本博会長)、鋼管杭・鋼矢板技術協会(JASPP、花澤和浩会長)は、「基礎施工士」資格制度に「鋼管杭施工管理士」資格制度を2026年度に統合する。同年度の国土交通大臣登録「登録基礎ぐい工事試験(基礎施工士)」から試験範囲に鋼管杭分野を追加し試験を実施。基礎施工士を基礎杭工事の全般をカバーする専門資格にする狙いがある。資格名を「統合『基礎施工士』」に変更し、合格者は主任技術者として認められる。
 資格統合後の更新は、両資格保有者は統合基礎施工士に移行する。基礎施工士の資格保有者は、更新時に鋼管杭の内容を含む講習を受講すれば、統合基礎施工士に移行できる。
 日基協とコピタは試験統合を通じ、基礎杭全般をカバーする専門技術者の存在を明確に打ち出していく。建設業法に基づく許可業種区分で基礎杭工事をとび土工工事から独立させる要望の実現を目指す。業界の認知度向上と若手技術者の獲得にもつなげていく。
 試験制度の統合に当たっては、統合後の資格取得者の技術レベルなどを担保する。受験者に過度な負担をかけないよう試験内容などを設定する。試験要領は7月下旬に公表し、試験は11月上旬に実施する。合格発表と登録は12月上旬になる。統合更新講習は6月に実施する。
 これまで場所打ちコンクリート工法と既製コンクリート杭工法は、建設業法施行規則に基づき、日基協とコピタが登録基礎ぐい工事試験を実施してきた。合格者を基礎施工士として登録。基礎施工士の資格取得者は主任技術者に認められる。鋼管杭・鋼矢板技術協会は鋼管杭が対象の施工管理士士検定試験を実施し、合格者を施工管理士として登録してきた。




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社整審道路分科会中国小委/中国横断道米子~境港間でルート帯3案を提示

 中国地方整備局は13日、広島市内で社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)道路分科会の中国地方小委員会(委員長・渡邉一成福山市立大学都市経営学部教授)を開き=写真、計画段階評価の対象となる中国横断自動車道岡山米子線米子~境港間(延長約21キロ)のルート帯案を示した。道路交通や沿道の課題を踏まえ、弓ケ丘半島南部で市街地の東側、中央、西側を通る三つのルート帯を提示。アンケートなど意見聴取方法とともに了承された。
 対象区間は岡山米子線(岡山市~鳥取県境港市間約128キロ)の一部で、1997年3月までに岡山市から鳥取県米子市までの約107キロが一部暫定2車線を含めて供用。残りの米子~境港間は調査中の区間になっている。
 米子、境港両市などでは観光需要が高まり、物流量も増加しており、国道431号は慢性的に交通渋滞が発生。災害時は避難ルートにもなり、地元自治体や経済団体などが早期事業化を要望している。
 24年度に開いた小委員会では地域の意見や将来像などを踏まえ、「着実に計画段階評価の検討を進めるべきだ」と意見が一致。今回の小委員会では「産業の活性化」や「信頼性の高いネットワークの確保」など政策目標を達成するため、幅1キロ程度の複数のルート帯案を提示した。
 東側ルートは国道431号の道路空間を活用。延長は約20キロ。全線が高架構造のため、事業費は4300億~5300億円と最も高い。中央ルートは都市拠点や物流施設へのアクセス性や自然環境に配慮。延長は約20キロ。盛り土区間が長く事業費は3500億~4500億円で最も安い。西側ルートは市街地を極力回避する案で、延長は約24キロ。中海に橋梁を設けるため、事業費は3700億~4700億円を見込む。
 委員からは工事中の交通規制や自然環境への影響に配慮すべきだなどの意見が出たが、道路整備の必要性に理解を示し、三つのルート帯案を了承。今後実施する意見聴取については、エリアを広げてほしいなどの要望があった。
 次回の小委員会ではアンケートやヒアリングの結果などを踏まえ、概略ルートや構造を示した対応方針案について意見を聞く。




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竹中土木/階段製作に建設用3Dプリンター活用、静岡県内の造成工事で見学会

 竹中土木は10日、静岡県沼津市の中間処理施設敷地造成工事の現場内で、建設用3Dプリンターを用いた階段工の施工見学会を開催した。工事の発注者である沼津市の職員約50人が参加。建設用3Dプリンターによる階段部の製作を見学するとともに、作業スピードや強度などで意見を交わした。
 見学会が行われたのは市が発注した「令和5年度沼津市新中間処理施設敷地造成工事」。新たなごみ処理施設の建て替え用地を造成している。施工は竹中土木・集組JV。工期は2023年10月17日~26年3月14日となっている。
 建設用3Dプリンターで17段の階段を製作する。高低差3・4メートル、斜距離5・8メートル、横幅2・4メートルの大きさ。プリンターで造形できる大きさを考慮し、横方向に2ブロック、縦方向は3ブロックの計6ブロックに分割し、造形する。完成後はクレーンでつり上げて重力式擁壁に取り付ける。
 パソコンで各ブロックの3Dモデルを作成し、データに従ってプリンターが専用モルタルを層状に積層していく。形状は階段を横にした格好で、段差部は中空状となる。1層(1センチ)ごと積層し、先に積層したモルタルが後から積層されるモルタルの重さで変形しないよう、注意しながら120回積み重ねて1・2メートルの高さにする。中空状部分はコンクリートを充填し、養生期間は約3日となる。
 作業員が1段ずつ施工する場合と比較し、工期短縮や省人化が可能になる。足場を組む必要がないため安全性も高い。同社の柿澤雅樹技術開発部長は「3Dプリンターを活用した現場は今回が2現場目になる。円形など小回りが利く複雑な造形にメリットがあり、上手に活用すれば省人化や施工性の向上につながる」とし、今後も積極的に活用する方針だ。




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2025年6月13日金曜日

兵庫県、京都府/榎峠トンネルが貫通、施工は森組JVと大林組JV

 兵庫県と京都府が府県境(兵庫県丹波市青垣町中佐治~京都府福知山市談)で共同で建設している「国道429号榎峠トンネル(仮称)」の貫通式が8日、現地のトンネル坑内で開かれた。兵庫県側の施工を担当する森組・中村組・宇都宮建設JVと、京都府側の大林組・鶴美建設・マルキ建設JVが主催。貫通点の通り初めや鏡開きを行い、地元関係者と共に盛大に貫通を祝った。
 同トンネルは、安全・安心で円滑な交通確保と広域連携の促進を目指し、国道429号バイパス(BP)として2020年度に事業化。府県境に位置する交通の難所「榎峠」は幅員が狭く急カーブが連続。特に冬季の積雪時に通行が困難になるなど、地域間交通に支障を来していた。
 BPの全体延長は2・4キロで、兵庫県が1・3キロ、京都府が1・1キロの工事を担当。トンネル区間(延長1092メートル)では、兵庫県が567メートル、京都府が524メートルをそれぞれ担当している。片側1車線で幅員が6メートル(7・5メートル)、トンネルの内空断面積は48平方メートル。23年度に着工し、NATMで掘削を進めてきた。
 式典では兵庫県側から谷公一衆院議員と服部洋平兵庫県副知事、林時彦丹波市長、京都府側から本田太郎衆院議員代理と鈴木一弥京都府副知事、大橋一夫福知山市長が貫通発破のスイッチを押し、両JVの代表者が貫通を確認。兵庫県と京都府の担当者が貫通を報告した。工事の協力会社らによる貫通点清めの儀に続き、関係者が貫通点で一堂に会し無事貫通を祝い合った。
 この後、発注者を代表し兵庫県から服部副知事、京都府から鈴木副知事があいさつ。谷衆院議員ら来賓が祝意を述べた。関係者で鏡開きを行い乾杯した後、両JVから謝辞が伝えられた。
 全体工期は26年3月25日まで。




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回転窓/贅沢な過ごし方

 平日は時間に追われ少しでも早く目的地に着こうと、快速や急行の電車をよく利用する。その反動もあってか、休日や旅先では普通列車や各駅停車に乗り、車窓の風景や列車の走行音などを楽しんでいる▼夜行列車を懐かしむ方も多かろう。新幹線や飛行機など長距離の移動手段が増えたことで徐々に廃止され、1970年代にブームが起きた「ブルートレイン」も2015年の北斗星(上野~札幌)を最後に姿を消した▼JR東日本が10日、首都圏と北東北エリアを結ぶ新たな夜行特急列車を27年春に導入すると発表した。車両全体を2色の青で塗装し、1号車側はブルートレインの記憶を受け継ぐ明るい青を使う▼車両は全席グリーン車で1~4人用の個室タイプ。横になれるフルフラットの仕様にする。乗客が利用できるラウンジも設けるなど日常を離れた旅の体験を提供するという▼移動中の過ごし方は動画視聴や音楽鑑賞、ゲーム、読書、仕事など人それぞれ。有意義な時間にしようと充実感を求めるだけでなく、電車に揺られながらぼーっとしている時に思わぬアイデアが浮かぶことも。そんなひとときを大切にしたい。




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全建、防衛施設強靱化推進協会/地方防衛局との意見交換で連携、25年度は5カ所予定

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)と防衛施設強靱化推進協会(乘京正弘会長)は、防衛省の各地方防衛局などとの意見交換会で連携することを合意した。意見交換会は、全建傘下の都道府県建設業協会と防衛施設強靱化推進協会の支部の共催を想定。全建側は各地域の都道府県建設業協会が前に出る格好で会合に臨むことになる。
 防衛施設強靱化推進協会は2024年度に発足し、本部会員・支部会員363社が各地に存在する。地方防衛局単位で7支部を設置する方針で、沖縄支部に続く支部の設置を急いでいる。会員には全建傘下の協会の会員も多数いる。両協会は政府が防衛力強化に取り組み、防衛関係予算を拡充している中で、連携が有益と判断した。
 地方防衛局などとの25年度の意見交換会は、全国5カ所程度での開催を予定。テーマは防衛施設強靱化推進協会と各都道府県建設業協会が案を作成する。地方防衛局などと防衛施設強靱化推進協会が調整する。今のところ積算基準、総合評価方式といった入札契約制度などを見込む。積算基準は国土交通省との差異も焦点にする。開催場所は調整した上で決定する。防衛施設強靱化推進協会は防衛省との意見交換会の25年度開催も同省に申し入れる。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174734
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大阪府/泉州山手線名越工区高架部、第2四半期に下部工発注

 大阪府都市整備部は主要地方道大阪和泉泉南線(都市計画道路泉州山手線)名越工区(貝塚市)の高架部の整備を進めるため、第2四半期に初弾工事となる橋脚下部工を発注する。高架部は3区間に分けて段階的に詳細設計を進めており、設計済みの東側区間の一部から工事に着手する。
 初弾工事は「主要地方道大阪和泉泉南線(名越工区)橋梁下部工事(R7)」。施工場所は貝塚市名越地内外で、土工、基礎工、橋脚工を行う。工期は19カ月。入札方式は一般競争入札(提案型標準総合評価方式)。工事規模は3億5000万円以上13億5000万円未満を見込む。
 高架部は東端の市道清児水間線付近から水間鉄道をまたぎ、水間和泉橋本停車場線付近に至る延長約460メートル区間が対象となる。「東側(市道清児水間線付近~市道鳥羽水間線付近)」と「中央部(水間鉄道をまたぐ区間)」の2区間が各約150メートル、「西側(水間鉄道以西~近木川をまたぐ区間)」が約160メートルの内訳。
 橋梁形式は2023~24年度に設計を行った東側で本線橋に鋼4径間連続少数鈑桁橋、オン・オフランプ部に鋼3径間連続少数鈑桁橋を採用。初弾工事はこれらの橋脚の一部が対象となる。中央部は鋼4径間連続少数鈑桁橋とし現在、設計を進めている。西側も設計中で鋼2径間連続鋼床版箱桁橋(本線)と鋼単純鋼床版箱桁橋(側道)2橋を計画する。
 設計業務は東西部を協和設計、中央部を全日本コンサルタントが担当。
 19年度に実施した事前評価の調書によると、名越工区の全体延長は貝塚中央線との交差部付近(貝塚市名越)から水間鉄道を高架橋で立体交差し、河池付近の水間和泉橋本停車場線に至る延長約1440メートル。標準幅員31メートル(最大54メートル)の一部側道付き片側2車線道路を整備する。両側に歩道と自転車道、植樹帯を設ける。全体事業費は約111億5000万円を概算。今後、用地取得などの進捗に合わせて順次、整備を進め、29年度の完成を目指す。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174735
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安藤ハザマ、コベルコ建機/自動運転ショベルの長期安定運用確認、シールド現場で実証

 安藤ハザマとコベルコ建機は共同開発した自動運転ショベルを実用化するため、4~6月に初となる長期間の実証実験を施工中のシールドトンネル工事現場で行った。国土交通省が定める「自動施工における安全ルールVer.1・0」に基づきリスクアセスメントを実施し、無人エリアや中継エリア、立ち入り禁止エリアなどを設定。無人エリアでは自動運転と遠隔操作システムを組み合わせ、無人作業を実現した。エリア監視する機能も利用し、長期にわたる作業を無事故で安全に完了させた。
 自動運転ショベルの長期安定運用と安全確保を実証実験したのは、安藤ハザマが茨城県茨城町などで施工する「R5霞ケ浦導水石岡トンネル(第3工区)新設工事」(発注者・国土交通省関東地方整備局霞ケ浦導水工事事務所)の現場。泥水式シールド工法で延長4880メートル、仕上がり内径3・5メートルの導水トンネルを構築している。工期は2026年6月30日まで。
 現場実証では、油圧ショベルの自動運転で有人ダンプへの掘削土砂積み込み作業を繰り返し実施。シールド掘削に伴う土砂の排出量や土砂質の環境変化に対し、現場人員がタブレットによる調整機能を使い柔軟に対応した。ダンプトラックの停車位置の変化には、AR(拡張現実)マーカーなどを使わず新たに開発した物体検知機能で対応。実工事で約2カ月間の長期運用を実現した。
 車両走行路や建屋が近く十分に自動施工エリアを確保できないといった課題にも対応。自動運転ショベルによる動作経路逸脱検知機能や、現場に設置したレーザーバリアセンサーとの連携などによるエリア監視機能を利用。約2カ月の作業を安全に完了させた。
 両社は19年4月に油圧ショベル自動運転システムの共同研究に関する協定を締結。システム開発と段階的な実証実験に取り組んでいる。今回の現場実証検証で自動運転ショベルの実用化、本格展開が可能と判断。適用工種の拡大や現場展開に向けた取り組みをさらに加速させる。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174732
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2025年6月12日木曜日

回転窓/どんよりの空模様でも

 埼玉県熊谷市にありアジサイ寺で知られる能護寺で今年も有料拝観が始まった。50種類800株以上のアジサイが咲き乱れる風景は圧巻で、週末には最寄り駅からシャトルバスが運行されるほど多くの人でにぎわう▼能護寺の近郊にあるアウトドア施設は、雨でも屋外で食事が可能な屋根付きのバンガローや宿泊プランのアピールに余念がない。雨の日に撤収しても帰宅してからの手間が省けるよう、テントの乾燥サービスやレンタルを勧めるキャンプ場も多い▼本州の広い範囲が梅雨入りし、週末には東北北部も入梅を迎える見通し。沖縄は一足先に梅雨明けしたが、列島各地はしばらくうっとうしさを感じる日々になるだろう▼いくつかの天気予報によると、梅雨前線の活動はたびたび活発になる見込みで、大雨への備えが必要という。梅雨明けは例年並みか早いながら、災害や渇水を心配しなくて済むような天候をと、願わずにいられない▼土壌の酸性度で花の色が変わるアジサイの異名は七変化(しちへんげ)。雨降りは大変なことも多いが、花の七変化を楽しめるような、気持ちにゆとりがある過ごし方を心がけたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174692
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建専連が総会/常識にとらわれず改革、官民一体で課題解決

 建設産業専門団体連合会(建専連)は11日、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ケ谷で2025年度通常総会と理事会を開き、任期満了に伴う役員改選で岩田正吾会長を再任した。総会で岩田会長=写真=は、国で進展する改正建設業法に基づく「労務費に関する基準(標準労務費)」実装への協議などに触れながら「課題は山積しているが、これまでの常識にとらわれて変えることができなかったことを、新たな視座に立って官民一体で取り組んでいく」と述べた。
 総会では前年度決算を承認し、本年度の事業計画や予算を報告した。欧米諸国の担い手確保・育成の動向を視察する取り組みを前年度から継続し、26年1月にオーストラリアを訪問する予定。専門工事業の課題や活動を一般に知ってもらうため、27年秋に「専門工事業博覧会」の開催を予定しており団体内で議論を始める。
 育成就労制度の運用開始を見据え、受け入れ事業の監理団体の認可準備や、特定技能制度の支援団体業務の検討に入る。国の「中小企業省力化投資補助金」の対象になる専門工事業向け機器の認定申請を支援するための業務も開始する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174699
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スコープ/成田国際空港、「更なる機能強化」が本格始動/残りは2割、用地確保も本番

 成田国際空港の拡張整備が本格的に動き出した。滑走路の延伸と新設を軸とした「更なる機能強化」事業は、必要な用地の8割超を確保したことから、5月末に造成・地盤改良工事が始まった。残る2割の確保が焦点となる。国や県、地元自治体でつくる協議会も発足。地権者対応や代替地整備を含めた調整が本番を迎える。2029年3月の供用開始を見据え、工事と交渉が並行して進んでいる。
 機能強化事業は既存のB滑走路(延長2500メートル)を北側に1000メートル延ばして延長3500メートル、幅員60メートルに拡幅する。空港の南側には延長3500メートル、幅員45メートルのC滑走路を新たに整備する。整備後はA、B、Cの3本体制となり、年間発着容量が30万回から50万回へと拡大する。
 「B滑走路延伸部造成・舗装工事」は大成建設・日本国土開発JVが、「C滑走路北側造成工事」は西松建設・大林組・東亜建設工業JVが担当する。「C滑走路南側造成工事(その1)」は大林組・熊谷組・鴻池組・飛島建設・青木あすなろ建設JVが手掛ける。
 工事に必要な用地は約1100ヘクタール。成田国際空港会社は、これまでに8割超の用地を確保してきたが、全域の確保には至っていない。残りの2割は地権者との調整が続く。用地確保を加速するため、同社は国土交通省や千葉県、成田市、芝山町、多古町とともに「成田空港滑走路新増設推進協議会」を発足させ、行政と連携した調整体制を整えた。地権者との契約交渉や、必要な法手続き、代替地整備などを一体的に進める。
 同社の田村明比古社長は「地権者の方々はそれぞれ異なる事情を抱えている。丁寧に寄り添いながら、理解を得ていきたい」と強調。熊谷俊人千葉県知事は「しっかりと情報共有し合い、供用開始の大きな目標に向かって協力したい」と述べた。小泉一成成田市長、麻生孝之芝山町長、平山富子多古町長も自治体としての支援姿勢を明確にした。26年3月末までに用地確保のめどをつけるという。

 土地取得を巡り、同社は体制強化を進めている。用地取得業務経験者を雇用するなど要員の確保に注力。社長を本部長とする「機能強化推進本部」や、代替地に特化した「代替地整備推進室」なども設置した。相談先として、弁護士や司法書士、税理士とも連携。外部専門機関も用地交渉のサポートに加わり、保証内容の確認や契約書類の作成などを進めている。
 課題となっているのは移転先の整備だ。移転対象は約200戸、法人所有施設は約50件におよぶ。移転対象約200戸に対しては、土地の確保や造成など100区画以上を整備。拡張区域外の地権者からも移転先候補地の提案が寄せられている。
 所有者不明の土地の権利者特定も課題となる。特定には認可地縁団体の設立支援や財産管理人制度を活用。地域への聞き取りなどを通じて法定相続人全員を洗い出した例もあるという。
 話し合いは時間を要する。住民説明会はこれまでに200回以上、地権者説明や協議を含めると、延べ50万時間を費やしてきたという。事業は空港整備に伴う長年の経緯も踏まえた丁寧な対応が不可欠となる。地域との信頼関係を保ちながら事業を進めることが求められており、説明責任や合意形成の重要性が強調されている。

 現在進めているB滑走路の造成工事や、C滑走路の地盤改良の裏で、こうした地道な作業が続く。長年にわたりその土地で暮らしてきた地権者も多く、説明を尽くす姿勢が問われる。
 空港の拡張は地域の生活にも直結する。単なるインフラ整備ではなく、まちづくりと向き合う作業でもある。事業が本格化する中、今後も用地確保に向けた取り組みが続く。




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大成建設/現場装備パッケージを本格運用/ワンタッチで着脱可能

 大成建設は今夏から、建設現場従事者が必要な器具や装備を簡単に着脱できる新たな統一パッケージを本格導入する。「大成建設セフスタイル」として安全装備などの装着ルールを統一し、作業内容に応じワンタッチで必要な機能が柔軟に組み合わせ可能。同社が施工する複数の現場で試行導入し安全、耐久、装着の各性能に加え作業のしやすさや快適さも確認した。
 統一パッケージはTJMデザインの協力を得て整備した。約3年のヒアリングで集まった現場作業員の意見や要望などを踏まえ、墜落制止用器具点検会の審査も経て現場仕様に適応させ独自設計した。
 製品の主なラインアップは▽セフメット(ヘルメット)▽セフハーネスA(大成建設仕様)▽セフポーチZネームプレート用▽同タブレット用▽セフリュック40▽セフハーネス用ハンガー-など。セフメットは暑さ対策強化に向け換気ファン搭載の電池式になっている。約8時間の連続使用やファンの取り外しが可能。ヘッドライト・ペンホルダーなども装着できる。セフハーネスAは墜落制止用器具として認定済みのフルハーネスベルトと、大成建設のVI(ビジュアルアイデンティティー)カラーを採用。肩や腰の部分に配置したセフホルダーには工具袋や工具が装着できる。
 引き続きTJMデザインとの連携により、統一パッケージのラインアップをさらに拡充。安全で効率が高く快適な作業をサポートする装備パッケージを充実する。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174693
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鹿島/技研実験場(東京都調布市)に止水壁設置/グループ技術生かし水災害対策加速

 鹿島はグループの保有技術を水害対策に生かす「水災害トータルエンジニアリングサービス」の一環で、東京都調布市にある自社の技術研究所西調布実験場で対策工事を実施した。将来的な洪水を予測し、敷地の外周約600メートルを1・5メートルの止水壁で取り囲んだ。高額な実験機器を設置している実験棟への浸水を防ぎ、BCP(事業継続計画)を強化する。今後は対策工事や運用段階で知見を集め、サービスの拡充と普及につなげる。
 西調布実験場は多摩川に近く、洪水発生時の浸水想定区域にある。気候変動による降雨量の増加リスクが高まる中で、早期の対策が課題だった。2023年7月から水災害トータルエンジニアリングサービスを活用し、本格的な防災対策に着手した。
 対策工事では気候変動による将来的な降雨量の増加を踏まえ、洪水氾濫の解析を実施。設計浸水深を洪水ハザードマップの約3倍となる約1・5メートルに設定した。敷地外周を止水ラインとし、大型で高額な実験機器を設置した複数の実験棟を守る計画にした。
 止水壁の一部には、圧迫感を減らすガラススクリーンを採用。自社が開発に携わった二酸化炭素(CO2)の吸収コンクリート「CO2-SUICOM」も取り入れた。敷地の出入り口には、浸水が発生した場合に自動的に立ち上がる「浮上起伏式止水板」を設置した。
 自社の特許技術も活用した。止水板が立ち上がった後も敷地内外を移動できる浸水時避難口や、排水管からの逆流を防ぐ二重逆流防止弁を設けた。
 鹿島は22年10月から水災害トータルエンジニアリングサービスの提供を開始した。顧客のニーズに応じ、リスク評価から対策立案、対策工事、運用支援まで一貫した水害対策を提供する。気候変動で水災害が激甚化する中で、高まる防災需要の取り込みを目指す。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174701
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2025年6月11日水曜日

ワールドワイド/ミャンマー中部地震、日本政府が被害の大きかったタイを支援

 ◇知見を復興に役立てて/安全管理、点検技術など共有
 3月28日、ミャンマー中部を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震が発生し、同国全土を激しい揺れが襲った。震源地周辺は甚大な被害が生じ、国境を越え約1000キロ離れたタイの首都バンコクでも建設中の高層建築物が崩壊するなど影響が出た。地震大国の日本はこれまでの知見や経験を生かし、地震メカニズムの解析や、構造物の点検や安全対策支援に取り組む。
 震源はミャンマー中部マンダレー付近。震源の深さは約10キロ。ミャンマーを南北に貫く延長約1200キロの活断層「サガイン断層」がずれ動き、地震を発生させたと見られている。サガイン断層は非常に活動的な断層で、これまでにもM6、7クラスの地震を繰り返してきた。今回の震源となった断層中央部は100年以上にわたり巨大地震が発生していなかった。

電設協/会員種別に「準会員」追加、外国人材受け入れ拡大へ環境整備

 日本電設工業協会(電設協)の文挾誠一会長は9日、東京都千代田区のホテルニューオータニで開いた定時総会後の記者会見で、新設した会員企業の種別「準会員」について説明した=写真。準会員は電気工事業で特定技能外国人材の受け入れを目的に入会する企業を対象とし、正会員から推薦を受けた1次協力会社を想定する。担い手の確保へ、外国人材の受け入れ拡大を図る。

熊本市/現庁舎跡利活用の対話結果を公表、高価格帯ホテル望む声多数

 熊本市は本庁舎の移転建て替えに伴い解体予定の現庁舎跡地(中央区桜町、敷地面積1万0377平方メートル)について、利活用に関する意見を聞くサウンディング(対話)型市場調査の結果概要を公表した。参加者のうち、14グループから高価格帯ホテルを軸とした複合施設が最適との意見があった。引き続き市民や有識者の意見聴取を行い、2026年度までに跡地利用の方向性を固める。

竹中工務店/センシンロボティクスと資本業務提携、ロボ・AI技術結集し生産性向上

 竹中工務店は、社会インフラDXソリューションを提供するセンシンロボティクス(東京都品川区、北村卓也社長兼最高経営責任者〈CEO〉)と資本業務提携の契約を結んだ。両社が持つロボットやAIの技術やノウハウを結集し、建設現場の生産性が高められるソリューション・サービスを構築、運用する。2021年度から共同開発してきたBIMとドローンを組み合わせて屋内点検が容易になる技術や、ゲームコントローラーによる遠隔ロボット操作システムなどをさらに進化させる。

2025年6月10日火曜日

回転窓/時は金なりも自分次第

 時計に関連する日本最古の記録は日本書紀にある「漏刻を新しき台に置く、始めて候時を打つ、鐘鼓を動す」だそう。古文は不得手で面目ないが「水時計を設置して時刻を鐘や太鼓で知らせた」という意味と理解する

新社長/長谷工コーポレーション・熊野聡氏、長谷工DNAを競争力に

 営業畑を長く歩み、会社の強みを熟知する。ゼネコンとデベロッパーの両面を持つ独自の成長を遂げてきた企業として「行動力」「目標達成力」「工夫力」「団結力」を武器に挙げる。「培ってきた『長谷工DNA』を競争力に変え、次の世代に伝えていきたい」と話す。

橋建協・川田忠裕会長が就任会見/需要拡大戦略特別委を設置、鋼橋の優位性訴求

 日本橋梁建設協会(橋建協)の新会長に就任した川田忠裕氏(川田工業社長)が6日、東京都内で記者会見を開いた=写真。鋼橋の年間発注量が20万トンを割る厳しい状況が続く中で、需要の拡大を最重要課題に位置付ける。鋼橋の必要性や優位性を発注者に訴求する「需要拡大戦略特別委員会」を新設し、需要の確保を狙う方針を明らかにした。

四国整備局/山鳥坂ダム本体建設1期(愛媛県大洲市)WTO入札公告、10月6日開札

 四国地方整備局は10日、「令和7-11年度山鳥坂ダム本体建設(第1期)工事」の一般競争入札(WTO対象)を公告する。7月15日まで申請書と技術資料を受け付ける。入札書は9月29日まで受け付け、10月6日に開札する。発注者指定方式の完全週休2日(土日祝)試行工事となる。4月公表の発注見通しでは発注規模は50億円以上としている。

エフティーエス、清水建設ら/山岳トンネルのコンクリ-ト吹き付け自動化システム開発

 建設機械の開発や販売を手掛けるエフティーエス(東京都中央区、木村浩之社長)と清水建設らゼネコン4社は、山岳トンネルの「コンクリート吹き付け自動化システム」(ヘラクレス-Auto)を開発した。肌落ち災害リスクや粉じん濃度が高い切羽直近での作業を自動化することで、作業員の安全を確保する。引き続き実証実験で蓄積したデータを基に現場検証と改良を進め、山岳トンネル工事への早期実装を目指す。

2025年6月9日月曜日

エイト日技/創立70周年式典開く、1400人が節目祝う「日本で一番いい会社に」

 エイト日本技術開発が6日に開いた創立70周年記念セレモニーには、全国7拠点から社員や関係者ら約1400人が参加した。金声漢社長が若手社員とパネルディスカッションを行い、「会社のことを自分ごととして考えるのはとても気持ちのいいこと。積極的に提案してほしい」と呼び掛けた。「顧客から求められていい仕事をして、みんなで豊かになり『日本で一番いい会社になる』ように頑張る」と決意表明。持続可能な社会の実現に向け、技術と知見を生かして貢献していく方針を示した。=1面参照

回転窓/瀬戸内国際芸術祭の地から

 2025年は瀬戸内の島々や沿岸部を舞台とした「瀬戸内国際芸術祭」の開催年に当たる。3年に1度開かれる現代アートの祭典だ▼春・夏・秋の3会期に分かれ、季節ごとに瀬戸内とアートの魅力に触れられる。今年の春会期(4月18日~5月25日)には国内外から約32万人が来場した

凜/内閣府民間資金等活用事業推進室主査・金子時佳さん、事業者の肌感覚を意識

 消費者庁から出向して2年目。総括班の一員として、他省庁や地方自治体とのやりとり、相談・問い合わせの窓口を担っている。大学院で建築を学んだ。「専攻の建築に近い仕事ができる」。PPP/PFI政策の推進役となる部署への異動を「楽しみで期待が大きかった」と振り返る。
 高校生活で都市空間などに関する大学の先生の講演を聞き、建築に興味を持った。理系への進学を考える友人が多かった中、訪れた大学のオープンキャンパスで障害のある人にも優しい建築に接したこともあって建築を学ぼうと決めた。
 「奥深さ、幅広さを知り、一人一人に合った建築の必要性、重要性に気付いた」。障害のある人も閉ざされた空間を求める人や、そうでない空間がふさわしい人もいる。「消費者が安心して生活するためのセーフティーネットのとりでとなる仕事」と捉え、建築の知識を生かしながら公務員として働こうと考えた。
 専門性の高いPPP/PFIの世界で、官民の「事業者の肌感覚」に敏感でいようと心掛けながら、物価上昇や法令の解釈などの問い合わせに応じる。異動に当たって先輩が「すごく勉強になる」とアドバイスしてくれた。他省庁の職員や国会関係者、官邸とも関わる。「この人と働きたいと思ってもらえる存在」になるのが当面の目標だ。
 ラグビー観戦が趣味の一つ。スタジアムやアリーナなどに生かされた民間のアイデアに私生活でも目を留めるようになった。
 (内閣府民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)主査、かねこ・はるか)




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群馬建協/外国人材活用アンケート結果公表、「育成就労制度」の周知に注力へ

 外国人雇用の実態を探るため、群馬県建設業協会(青柳剛会長)が会員企業に対し、外国人材活用に関するアンケートを実施した。雇用に慎重な姿勢を見せる企業が多く、受け入れに向けた情報の不足などが課題として浮かんだ。外国人材の新たな在留資格「育成就労制度」の内容を知らないとする回答は約8割に上った。建協は同制度の周知や雇用に関する情報提供に注力する。8月をめどに再調査を実施する考え。
 6日、前橋市の群馬建設会館で記者会見を開き、調査結果を報告した。アンケートは5月7日から15日にかけて、本部会員276社を対象に実施した。回答数は242社。回答率は87・6%だった。
 結果を見ると、「技術者が不足している」と答えた企業は全体の88・4%。「技能者が不足している」とした企業は69・4%に上った。
 技術者に関して、外国人雇用を「考えていない」と回答した企業は63・1%だった。言葉や文化の違い、専門用語の理解が困難といった理由から「日本人にこだわりたい」という回答が多数を占めた。「将来的に母国へ帰国してしまう可能性がある」といった懸念の声もあった。
 技能者は、技術者と比較して外国人の雇用に前向きな企業がやや増える傾向が見られた。「考えていない」は47・0%にとどまる。言語面の不安をはじめ、「真面目に働いてくれるか」などの不安の声が挙がった。
 会員からは実際の運用や課題に関する情報が少ないことから、実例紹介や説明会を求める意見があった。青柳会長=写真=は、外国人雇用に関する課題を▽外国人技術者=日本語での専門用語の理解度に応じた教育▽外国人技能者=日常的な日本語専門用語・作業の理解度に応じた教育▽育成就労制度=今後決定される事項含めて具体的内容を広く周知-の三つにまとめた。会員企業への情報提供や制度の周知徹底をしていく。「大事に時期になってきた。建協がペースメーカーとなって進めていく」と意気込みを語った。
 外国人の雇用を巡り、建協は2023年度にも調査を実施。同年度と比較すると「雇用を検討している」との回答が2~3倍に増加しており、企業の意識に一定の変化も見られる。建協は8月をめどに再度アンケートを実施するという。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174587
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東京都中央卸売市場/25年度に11市場の老朽化対策推進、板橋市場で基本設計着手

 東京都中央卸売市場は、都内に構える11市場の機能強化に向けた設計や改修工事を推進する。2025年度に合計約60億円の予算を計上した。板橋市場(板橋区)は老朽化が進む青果部の建物をリニューアルするため、基本設計の委託先を決めるプロポーザルを公告した。淀橋市場(新宿区)では新事務所棟の建設に向けた準備工事を進める。このほかの市場では設備などの改修に取り組む。
 板橋市場の青果部の建物は完成から50年以上が経過し、早期の対応を迫られていた。工事ではローリング方式を採用。既存の一部建物を解体後、跡地と隣接地に建物を新設する。新築した建物に卸売場などを移した後、既存市場棟を改修する。33年度前半には全ての工事を完了する。
 改修・新築後、同部の卸売場は既存の約1・2倍、仲卸売場は約2・2倍、荷さばき場・積み込み場と加工パッケージ場は約3・1倍に広がる。総延べ床面積は約3万2700平方メートルとなる。
 淀橋市場は25年度に正門の巡視詰め所を新築し、26年度には新事務所建設工事に入る。新事務所棟は5階建て延べ約7000平方メートルの規模を見込んでいる。同棟を建設後、既存の事務所棟は解体する。解体工事は29年度に始める予定だ。
 食肉市場(港区)と足立市場(足立区)では、特定フロン「R22」を冷媒に使っている冷蔵庫を配置している。R22は20年に製造中止となり、冷蔵庫自体も老朽化が進んでいるため冷蔵庫を改修する。25年度予算に冷蔵庫の改修費用を含め、食肉市場は14億9600万円、足立市場は10億6100万円を充てた。
 青果物と花きを扱う葛西市場(江戸川区)は、老朽化した花き棟屋上の防水改修工事を進める。北足立市場(足立区)は立体駐車場棟のエレベーターの更新、豊洲市場(江東区)は壁面緑化に向けた改修工事を行う。




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東亜グラウト工業/管路最適化2ソフトを横浜市に試行導入、上下水道管路耐震化を加速

 東亜グラウト工業は、上下水道の管路更新計画の最適化を支援する「AssetAdvanced(アセットアドバンス)」と、管網解析モデルを最適化する「Optimizer(オプティマイザー)」の二つのソフトウエアを横浜市に試行導入する。同社が代理店契約する米Optimatics(オプティマティクス)の主力商品で、AI遺伝的アルゴリズムを活用した最新システム。市の管路耐震化計画を大幅に加速し、震災発生時に断水戸数の最小化が期待できる。二つを組み合わせた導入は世界初の試み。
 アセットアドバンスは、AI遺伝的アルゴリズムを用いて管路更新計画の多様なリスクや問題を可視化し、数億通り以上の候補の中から最適な管路更新計画策定を支援する。オプティマイザーは、水の供給(配水)や汚水・雨水の収集(排水)に関わるシステム全体を解析する管網解析モデルや流出解析モデルを最適化する。
 市の管路耐震化計画は「震災発生時の断水戸数最小化」が主な目的。オプティマイザーの導入は市職員の提案だった。「どの水道管から耐震化に着手するべきか」を明確にできる技術を導入したことで、計画の大幅なスピードアップを見込んでいる。
 4月2日に契約を締結し、同中旬から市内3配水ブロックで試行している。9月に中間報告をまとめ、試行の結果を踏まえ、2026年度から市内全域9300キロメートルの管路で展開する予定だ。
 5月16日には東亜グラウト工業の山口乃理夫社長、オプティマティクスのジョシュア・カントーン最高経営責任者(CEO)が市役所を訪れ、横浜市の山岡秀一水道事業管理者に面会した。山岡氏は「断水予測を定量的に示すことができれば、より効率的、効果的に耐震化計画に反映できる」と期待を寄せた。
 山口氏は「人に代わりAIが膨大なデータを基に評価、分析する。横浜市での取り組みは災害への備えと持続的な都市経営を両立する画期的な取り組みであり、全国のモデルケースになれば」と意欲を示した。カントーン氏は「革新的プロジェクトに参画でき光栄。地震リスクの高い日本において、効率的な水道インフラの管理が求められていると考える。新技術の活用で市民の水道に対する信頼を維持することに貢献したい」とコメントした。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174576
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2025年6月6日金曜日

関東整備局荒川上流河川ら/災害対策用機器操作講習会開く、90人が参加

 関東地方整備局の荒川上流河川事務所と埼玉県内3事務所は4日、2025年度の災害対策用機器操作講習会をさいたま市桜区にある貯水池機場で開いた。国土交通省や地方自治体の職員、災害協定締結企業らを対象に午前、午後の2回実施。合わせて約90人が参加し、排水ポンプ車などの操作方法を学んだ。同事務所の田中芳貴副所長は「万が一に対応できるように備えてほしい」と呼び掛けた。
 参加者は3班に分かれ、排水ポンプ車の排水運転や排水ポンプの組み立て、照明車の設置・操作を実際の機器を使って学んだ。衛星小型画像伝送装置「Ku-SATII」の展示も行った。講師役の職員の指導の下、排水ポンプにフロートとロープを取り付けるなど、参加者同士で協力しながら学ぶ様子が見られた。
 講習会は毎年開催している。大規模地震や洪水などの災害発生時に迅速な復旧ができるよう、操作に慣れてもらう。冒頭、田中副所長は「地震や台風といった災害だけでなく、埼玉県八潮市で起きた道路陥没の現場にも、対策用の機械が出動している」と説明。多くの人に機器の操作を習得してもらうことの重要性を伝えた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174507
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回転窓/デザイン力でサイクル回す

 建築家菊竹清訓氏(1928~2011年)が弱冠30歳で完成させた自邸「スカイハウス」(58年竣工)が、戦後に竣工した住宅で初めて国の重要文化財に指定される。文化審議会が文部科学大臣に先日答申した▼社会の変化に伴い成長する建築・都市の在り方を追求し、後の建築運動「メタボリズム」に通じる建築思想「とりかえ可能な住宅」を具現化。菊竹氏が造形力を存分に発揮した独創的で洗練された代表作の一つだ▼2008年、菊竹氏が80歳の時「これからはコンセプトの時代に入る。その中心は建築を取り巻くモノやコトの考え方だ」と語っていた。建築が脱炭素や防災・減災、デジタルなど多様で複雑なニーズに応える時代が来ると示唆していたのだろう▼政府は3日に決定した知的財産推進計画で、知的資本を生かし国内外の社会課題の解決を図る新たな知的創造サイクルの構築を掲げた。建築も著作権法で保護される知財であり、サイクルの一部を担う▼菊竹氏は「思考や考え方が世界を制覇していく」とも話した。社会に適した建築を徹底的に追求しデザインする力こそが知的資本となり、サイクルを回す原動力となる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174506
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関東整備局/快適トイレの質向上を支援、現場の裁量でグレードを選択

 関東地方整備局が、建設現場で普及を進めている「快適トイレ」の質向上を支援する。トイレの設置経費などに充てる現場環境改善費の運用方法を見直し、4月以降の発注工事に適用している。これまで設置にかけられるコストが一律だったが、これからは受発注者協議の下、現場の裁量に応じてグレードの高いトイレを選択できるようになる。
 環境改善費は共通仮設費を構成する経費の一部で建設現場のイメージアップを目的に受注者が受注金額を積算する過程で計上している。費用の算定方法は、直接工事費に現場環境改善比率を乗じて計算している。
 4月以前は受注者に▽緑化・花壇▽ライトアップ施設▽見学路・椅子の設置▽昇降設備の充実▽環境負荷の低減-などから5項目を選択するよう求めていた。受注者は環境改善費の範囲内で選択した各項目に費用を割り当てていた。
 建設業で喫緊の課題となっている担い手確保・育成には現場の環境改善も重要な要素。このため、関東整備局は現場環境改善費で選択する項目を必ずしも5項目とせず、選択しなかった項目の余剰費を快適トイレの質向上に充当できるようにした。現場環境改善費の運用が柔軟になったため、以前から計上されている快適トイレ積算上限額と余剰費の合算額を活用できる。
 例えば工期12カ月、直接工事費1億円(環境改善費は約230万円)の工事であれば月の現場環境改善費は約19万円となる。これに快適トイレの積算上限額(月額5・1万円)などを加えると、最大で約25・1万円快適トイレに充当できる計算になる。
 快適トイレは、2016年10月に国土交通省が定義した標準仕様17項目を備えた仮設トイレを指す。標準仕様では、洋式便座や水洗機能のほかに容易に開かない施錠機能(二重ロックなど)の採用を求めている。
 建設現場で働く女性の増加に伴い、身だしなみを一通り整えられる個室タイプのトイレや温水洗浄便座の付いたトイレを採用する現場も少なくない。メーカー各社もグレードの高い快適トイレの開発・販売に力を入れている。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174521
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福岡県/インターナショナルトレーニングセンターの整備検討、25年度内に基本構想

 福岡県は、国際的なトレーニング施設「福岡インターナショナルトレーニングセンター」の整備に向けた検討を始める。県立スポーツ科学情報センター(福岡市博多区)の改修または増築を想定し、海外選手を受け入れ、交流などを通じて県内選手の強化・育成を図る。構想検討委員会を設置し、2025年度内に基本構想を策定する。28年度以降の供用開始を目指す。
 検討委員会は学識経験者やスポーツ関係者ら18人で構成。7月の初会合を皮切りに計3回の会議を開催する。25年度当初予算案に委員会開催費426万1000円を計上。支援業務などの委託は予定していない。
 基本構想では対象とする競技や必要な機能、整備手法、民間活力導入可能性など幅広く検討する。26年度は基本計画を策定する予定で、支援業務の委託も視野に入れる。
 スポーツ科学情報センターは1995年完成で、RC一部S造4階建て延べ2万3656平方メートル。バスケットボールコート2面分のメインアリーナ、同1面分のサブアリーナ、柔道場4面分の多目的アリーナなどがある。
 隣接する県立総合プールRC一部S造地下1階地上3階建て延べ1万2746平方メートルについても対象施設とするか検討する。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174517
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清水建設ら/油圧ショベルの掘削~積載をシームレスに自動化、土研の技術基盤活用

 清水建設と土木研究所(土研)、日立建機は、油圧ショベルによる土砂の掘削からダンプカーへの積載まで一連の作業をシームレスに自動化した。「OPERA」として土研が整備する建設機械の自動施工技術基盤を活用。シールドトンネル工事で掘削された土砂の場外搬出作業をユースケースに見立てた実験で成功した。引き続き複数の建設機械を制御する自動施工システムのプラットフォームとして活用し、土工の無人化施工の社会実装に取り組んでいく。
 3者による共同実験では、実験エリアに仮置きした土砂を油圧ショベルで掘削し、指定位置に停車したダンプカーに積載するまで一連の作業の自動化に取り組んだ。油圧ショベルの周辺に設置した複数の3D-LiDAR(ライダー)を活用。土砂の仮置き場やダンプの停止場所付近の3D形状を常時取得し、認識した地形情報を基に土砂の掘削やダンプへの積載に関する指令を油圧ショベルに出力する自動施工システムを構築した。
 掘削時には油圧ショベルが仮置き場の土砂形状に基づき効率良く土砂をバケットに取り込む。ダンプへの積載時には荷台の積載状況を踏まえ、空いているスペースに土砂を積載するよう油圧ショベルの動作を制御する。これらの作業を繰り返しながら、荷台が満杯になった段階で土砂の積載を停止する。最終的に掘削から積載までの一連作業をシームレスに実現することを確認した。
 今回の実験で採用した重機に動作指令を与えるロボット用のソフトウエアプラットフォーム(ROS)には、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として九州大学が開発中のオープンソース「ROS2-TMS for Construction」を利用している。
 清水建設によると、建機の自動施工に関する研究開発は建設会社と建設機械メーカーが個別に秘密保持契約を結び、当該メーカーの建機に特化した制御プログラムを開発するのが一般的だった。そのため建設会社と建機メーカーの組み合わせが変わるたびカスタマイズが必要となっている。OPERAを活用することで、異なるメーカーの建機を統合制御する自動施工システムの構築が容易になり、建設現場への実装が加速すると期待している。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174512
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2025年6月5日木曜日

回転窓/気さくな公証人

 海外渡航に必要な手続きのために初めて公証役場に行った。キーボードのタイピング音が響くだけの静まりかえった空間は、どこか落ち着かない気持ちになる▼身構えつつ公証人の登場を待っていると、優しい雰囲気の男性が来てくれた。同席は30秒ほどの短い時間ながら、こちらの署名をにこやかな顔で見届けてもらい公証人の「認証」が得られた▼建設業にも署名や記名押印が義務の手続きがある。事務の簡素化や効率化を目的にデジタル技術の導入が進んでいるが、義務の見直しや規制緩和を求める声は依然多い▼政府の規制改革推進会議が建設工事の請負契約手続きに関し、署名や記名押印規制の合理化を答申した。署名などが不要な例の周知ととともに、いわゆる立会人型の電子署名の利用を明確にする措置などを求めている。今後、関係機関が対応していく▼公証人は「遠い国ですね、気をつけて行かれて下さい」と声をかけてくれる気さくな人だった。合理化や電子化が進むことを大いに期待しつつも、将来の行き着く先が知らなかった場所を訪れる必要などなく、人に会う機会も減ってしまう世界ではさみしい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174472
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兵庫県加西市/総合運動公園基本計画素案、ぜんぼうグリーンパーク一帯に整備

 兵庫県加西市は「加西市総合運動公園基本計画」の素案を公表した。市内で未整備状態にある総合運動公園を「ぜんぼうグリーンパーク」を含む一帯(両月町ほか)に整備する。陸上競技場や総合体育館、多目的グラウンド、駐車場のゾーン別に、2026年度以降に順次設計に着手する予定。31年度末の全体完成を目指す。基本計画策定業務は地域計画建築研究所が担当。
 建設予定地の選定では、3カ所を候補にそれぞれの長所を評価。用地買収や造成のコスト面などで、グラウンドとして利用されている「ぜんぼうグリーンパーク」とその周辺が最適地とされた。同所はため池・善防池に隣接し、ぜんぼうグリーンパーク(6・6ヘクタール)と現善防中学校グラウンド(2ヘクタール)、同校校舎(2ヘクタール)、道路向かい空き地(0・8ヘクタール)にゾーニングされる。善防中は統合に伴い、28年度に移転を予定している。
 計画によると、現グリーンパークに400メートルトラック1面の陸上競技場と体育倉庫、防災倉庫を配置。現中学校グラウンドは多目的グラウンドや多目的広場として活用する。現校舎ゾーンはバスケットコート3面のアリーナで構成する総合体育館(観客席約1500席)や、スケートボードパークを計画。現校舎のうち武道館と体育館は残置して活用することを検討する。空き地ゾーンは駐車場を配置する。
 事業手法は従来方式や設計・施工一括(DB)方式、DBO(設計・建設・運営)方式、PFIなどを候補に検討を深める。
 26年度にグリーンパークゾーンの設計に着手、その他ゾーンは27年度に設計に入る。工事を進め、30年度に陸上競技場と駐車場を先行して供用開始する。現中学校部分の総合体育館とグラウンドは32年度に供用開始する見通し。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174477
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建設技術研究所/イノベーションスタジオを交流の場に、業界・分野の垣根越え活用

 建設技術研究所が東京都中央区の国土文化研究所で3月に開設した「CTIグループ イノベーションスタジオ」を、社内や周辺地域との打ち合わせ、交流の場として活用している。「温故知創」をスタジオコンセプトに、国土文化研と社内外の知識・技術を集め、新たな事業やアイデアを創造する。モニターやウェブ会議システムを備え、業界や分野の垣根を越えた議論の場を提供。将来的にはウェビナーやオープンイノベーションの議論にも活用する。
 スタジオは180インチマルチモニターや、マイクなしでも明瞭に音を聞き取れる音響設備を備える。スタジオの整備はウチダシステムズ(東京都中央区、岩田正晴社長)が担当した。
 建設技術研究所企画・営業本部の森川浩事業企画・推進部長は「ウェブ会議などでも臨場感を持って参加できる」と話す。同社事業企画・推進部の鶴野登志博グループ長によると「コンパクトで使い勝手がいい」という。
 現在は社内会議だけでなく、社員が案内役となって隅田川や日本橋をクルージングする「ドボクルーズ」の計画立案などの場となっている。スタジオは本社から少し離れており「社員のリフレッシュの場でもある」と森川氏。懇親会のほか、若手社員が本を持ち寄って読書会なども開いている。今後はオープンイノベーションの場として、エネルギーや情報提供サービス、環境DNAといった新規事業分野で、ベンチャー企業や大学関係者との打ち合わせなどに活用する。
 同社は2023年に地方自治体向けのウェビナーも開いており、下水道DXや防災、オンデマンド交通などに関する技術やノウハウを提供している。次回は南海トラフ地震に関わる事前復興や復興計画についてパネルディスカッション付きのウェビナーを開く予定。スタジオを会場として利用する。
 同社が会員となっている「日本橋浜町エリアマネジメント」のメンバーでつくる「浜町読書倶楽部」でもスタジオを活用している。森川氏は「地域の小中学生にもスタジオを見学してもらえれば」とし、地域に開かれた場へと将来の姿を見据える。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174473
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三菱地所ら/空飛ぶクルマの実機実証へ、25年度下半期にも

 三菱地所らは2025年度下半期、空飛ぶクルマの実機を使い、運用技術を実証する。離着陸場の運用を自動化・最適化するシステムを導入。飛行前の準備から出発、巡航、着陸、運行終了まで一連の流れを確認し、本格運用に向けて課題を洗い出す。従来ヘリコプターなどを使っていた実証が、新たな段階に移行。空飛ぶクルマが上空を行き交う未来が、一層現実味を帯びる。
 4日に発表した。実証は同社と兼松、SkyDriveの3社で推進する。
 Skyports社(英国)の協力を得て、離着陸場の運用を自動化するシステムを導入する。システムは空き状況の管理や周辺空域の監視、運行支援、地上設備の管理、乗客のチェックイン、乗客管理などを広くカバーする。
 三菱地所は保有施設などに離着陸場を設置する。兼松はSkyports社との連携や運営に関する検討を担当。運行実証はSkyDriveが担い、空飛ぶクルマを使ったビジネスモデルの構築に役立てる。機材は同社の「SD-05型機」を使う。2025年大阪・関西万博で実物大模型が展示されている。
 三菱地所は23年度、空飛ぶクルマを都心部で運行する未来をにらみ、ヘリコプターを使って課題を検証した。新丸の内ビルディング(東京都千代田区)の屋上と臨海部にあるヘリポートの間で運行。風や音など、周辺環境への影響を確かめた。5月には商業施設「御殿場プレミアム・アウトレット」の敷地内に空飛ぶクルマのポートを開設した。
 今回の実証は東京都の「空飛ぶクルマを活用したサービスのビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に採択されている。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174466
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2025年6月4日水曜日

東京エレクトロン/「宮城生産革新センター」が起工、大成建設が設計・施工

 半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンは、宮城県大和町にある製造子会社の東京エレクトロン宮城の本社工場北側で生産新棟建設に着手した。「宮城生産革新センター」と名付け、S造(免震構造)5階建て延べ8万8600平方メートル(付帯設備エリアを除く)の規模を計画。大成建設が設計・施工する。建設費は約1040億円。2027年8月の竣工、28年6月の稼働開始を目指す。
 2日に現地で起工式を開き、関係者や村井嘉浩宮城県知事ら約100人が出席した。神事では大成建設の松村正人常務執行役員設計本部長が鎌、東京エレクトロンの河合利樹社長兼最高経営責任者(CEO)と東京エレクトロン宮城の神原弘光社長が鍬、大成建設の土屋弘志副社長執行役員営業総本部長が鋤を入れ、工事の安全を祈願した。式典後、神原社長は「革新的な装置技術と生産技術を融合した高品質で高効率な生産を実現する」との思いを説明。「宮城、東北地域の発展に貢献していく」と述べた。
 計画地は大和町テクノヒルズ83(敷地面積11万1954平方メートル)。部品や製品を倉庫から無人で運搬する大規模なオートメーションシステムや組み立てロボットなどを導入する。半導体市場の急速な需要拡大に対応し、高効率で高品質な製造ラインを構築する「スマートプロジェクション構想」に基づく製造ラインを構築。付加価値の高い製品をよりタイムリーに提供でき、中長期に持続的な成長を目指す。net-ZEB対応建屋の採用や省エネルギー設備導入などで環境負荷を抑制する。




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回転窓/ミスターの魂は不滅

 「ミスタープロ野球」として偉大な功績を残した読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんが3日午前6時39分、肺炎のため死去した。89歳だった▼戦後を代表する国民的英雄の一人。現役時代は4番サードとして記録と記憶に残る活躍を見せ、引退後は監督としてチームを2度の日本一に導いた▼病に倒れた2004年以降も療養やリハビリを続けながら、球場を訪れ「勝つ、勝つ、勝つ」と選手を激励した。ミスター語録と呼ばれるほど多くの名言も残し、中でも1974年の引退セレモニーで語った「わが巨人軍は永久に不滅です」は今も多くの人の胸に刻まれているだろう▼時は流れ野球界も大きく変わった。大谷翔平という規格外の選手が米メジャーリーグで活躍し、国を超えて一挙手一投足が注目されている。最先端の技術で解析したデータを駆使したプレーは当たり前で、球場も進化を遂げている▼選手時代の活躍もあっただろうが、いるだけで雰囲気を一変してしまう圧倒的な存在感で時代を超え多くの人を引き付けてきた。まさに不世出の人物といえよう。ミスターの魂は不滅--。どうか安らかにお眠りください。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174427
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環境省/災害廃棄物処理で3WG発足、技術システム・地域間協調・公費解体

 環境省は3日、大規模災害での災害廃棄物処理に関する具体的な検討を始めた。有識者で構成する災害廃棄物対策推進検討会の傘下に技術・システム、地域間協調、公費解体の三つのワーキンググループ(WG)を設置。処理のシナリオ、解体工事の円滑化・適正化、地方自治体の役割、損壊家屋の所有権などについて検討し、本年度末に成果をまとめる。被災を想定した備えに反映する。2026年度以降も議論の継続を視野に入れている。
 同日都内で同検討会の本年度初会合を開き、3WGの検討項目などを確認した。技術・システムWG、地域間協調WG、公費解体に係る損壊家屋等の所有権等に関するWGで具体的に議論していく。同検討会は巨大地震や集中豪雨への備えに必要となる災害廃棄物対策の方向性を3月にまとめた。本年度は具体化に向け、取り組みや制度的な対応を議論する。
 技術・システムWGは学識者、巨大地震の防災対策推進地域指定自治体、民間事業者団体で構成。南海トラフ地震などで発生する災害廃棄物の広域処理量をはじめ被災後のシナリオ、公費解体の事務、申請から工事までの円滑化・適正化、コンクリート殻の再生利用、デジタル技術の活用などを検討する。コンクリート殻は、ほかの品目とともに再生利用のための知見を整理する。デジタル技術は発生量の推計、搬入・搬出管理などへの活用を想定している。
 学識者、被災経験のある自治体、民間事業者団体で構成するのが地域間協調WG。検討事項は支援・受援体制、関係者の役割、処理計画・支援協定の充実、初動対応、処理困難物の適正処理など。事前の備えと発災時の標準的な対応や、被害や被災自治体に応じた国・都道府県・市町村の役割などを議論する。処理困難物は処理についての実態調査を行う。
 公費解体のWGは学識者などが参加する予定。工事着手の遅れなどが発生した能登半島地震の被災地の公費解体を教訓に、処理を円滑にするために必要な措置などを検討していく。




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長尾駅東側3地区区画整理、事業協力者に鴻池組JVら/まちづくり検討会

 大阪府枚方市の中東部に位置するJR学研都市線長尾駅東側の3地区の土地区画整理事業に向けて、それぞれのまちづくり検討会が事業協力者を選定した。長尾荒阪地区(約40・7ヘクタール)が鴻池組・シーアールイーJV、長尾駅東地区(約6・2ヘクタール)が竹中土木・高松建設JV、長尾播磨谷地区(約29・8ヘクタール)が大和ハウス工業・戸田建設JVに決まり、覚書を交換した。
 事業協力者の業務内容は▽土地利用計画や公共施設整備計画の作成▽概算事業費や減歩率の算定▽地区間の土地利用調整と連携▽意見交換会や勉強会の開催支援▽行政との連携▽技術的支援-など。
 長尾駅周辺は第二京阪道路と新名神高速道路(2027年開通予定)に近接する交通利便性の高い地域で、幹線道路沿いの無秩序な土地利用が懸念され、耕作放棄地の増加などの課題もあるため、新たなまちづくりの検討が進められてきた。市は22年9月、約95ヘクタールの市街化調整区域を対象に「長尾駅周辺地区まちづくり構想」を策定。商業や住居、生活福祉、産業など多様な都市機能を備えた広域拠点の形成を目指している。
 三つの地区の検討会はいずれも25年度中に土地区画整理準備組合を立ち上げる予定だ。まちづくりの具体化に合わせ、府と市は用途地域の変更や地区計画などを検討する。




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安藤ハザマ/宇宙開発で新構想、月に宇宙シェルターとジオフロントを建設

 安藤ハザマは3日、宇宙開発分野での技術革新と事業拡大の一環として、月に建設する「宇宙シェルター」と「ルナ・ジオフロント」の構想を発表した。月面や月の地下空間で人類が安全に作業し滞在できる環境を整備するために必要な技術を検討し、2030~40年代にかけて実現を目指す。構想は産学官連携による共同研究などを通じ、さらに具体化していく方針だ。
 24年10月に設けた宇宙技術未来創造室を中心に進める。同社の強みである地下空間の構築やトンネル建設技術を応用する。
 宇宙シェルターは月面で活動するための仮設作業所や休憩所、一次避難所と位置付ける。月面に届く大量の放射線を遮蔽(しゃへい)する防護装置について研究する。用途に応じて目標となる遮蔽性能を定義した上で遮蔽材料の構成や厚さを設計し、構造材や施工方法を開発する。銀河宇宙線や太陽フレアが人間や機器に及ぼす影響を評価し、警報を出す仕組みも検討する。
 ルナ・ジオフロントは月の地下に確認されている溶岩でつくられた地下空間を活用し、構造物を設置する。人類が居住し、研究や生産活動を行う拠点として想定する。空洞の広さや形を調べるロボットや空洞の安定性評価技術を考え、結果に基づいて空間を掘削、補強する技術を確立する。
 安藤ハザマは7月30日~8月1日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれる展示会「国際宇宙ビジネス展SPEXA」に出展し、詳細を紹介する予定。




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2025年6月3日火曜日

関東整備局荒川下流河川/荒川放水路通水100周年シンポ開く、水害リスクと共生を

 関東地方整備局荒川下流河川事務所は1日、東京都北区の赤羽会館で荒川放水路の通水100周年を記念したシンポジウムを開いた。学識者らが気候変動や治水に関する講演を行ったほか、行政、経済団体、市民団体の関係者が荒川放水路の未来をテーマに意見を交わした。地元住民を中心に約150人が参加した。
 講演では加藤孝明東京大学生産技術研究所教授が、気候変動により気温が2度上昇することで水害の頻度も倍増すると解説。「気候変動の速度は予想以上に速い。当たり前になる水害にどう社会は向き合うべきか。ゼロではない水害リスクといかに共生していくかを考えないといけない」と訴えた。
 国は水害を軽減するため「流域治水」を推進している。流域のあらゆる関係者が協働して水災害対策に取り組んでいる。加藤教授は「流域は運命共同体だ。自分の暮らしを見る目と流域全体を見る目の二つの目が必要だ」と話した。
 気象予報士の伊藤みゆき氏も講演。危機を回避するために知っておきたい予報として、気象庁の週間天気予報や、大雨による洪水、土砂崩れなどを住民に伝達するアプリ「キキクル」を紹介した。「激しい雨が降っている時は川幅が狭い川が氾濫し、その後、川幅の広い川が氾濫する。台風一過で空が晴れても、太い大きな川はまだ水位が下がっていない」と話し、「キキクル」などの活用を促した。
 講演の後に開いたパネルディスカッションでは、越野充博東京商工会議所北支部会長が「日本の国内総生産(GDP)は約600兆円。東京だけで120兆円近い。大水害が起きた時に『右半身』がまひする状況になる。この前提に立って経済行為が安心・安全で行われるインフラであってほしい」と話した。
 山田加奈子北区長は「北区は25メートルほどの高低差がある。浸水対策は区民のみなさんに自分ごととして捉えていただくように政策を進めてきた」と述べた。避難行動の基本指針の改定や、水害リスク診断書の住民への郵送などこれまでの施策を紹介した。
 菊田友弥荒川下流河川事務所長は「荒川の上流に第2調節池と第3調節池を造っている。2030年に完成するが、来年の大雨の時期の前までに一部分だけでも使えるように工夫している」と説明し、気候変動に伴う大雨に対して先手を打つ方針を示した。




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回転窓/幸福度って何だろう

 1986年、人気タレントの明石家さんまさんを起用したCMがテレビで流れていた。調味料の容器を手に歌っていたのは「幸せって何だっけ 何だっけ~」。当時の日本は内需主導の好景気に沸いていた▼英オックスフォード大学のウェルビーイング研究所が2012年からまとめている「世界幸福度報告書」の25年版が公表された。国民1人当たりの国内総生産(GDP)や社会的支援、健康寿命などの項目を数値化して順位付け。1位は8年連続でフィンランド、上位には福祉制度が充実している北欧各国が並び、日本は147カ国・地域の中で55位だった▼G7諸国で最下位という結果の受け止めはさまざまだが、なんとなく閉塞(へいそく)感が漂うご時世を考えると、「さもありなん」というのが正直な感想かもしれない▼国民の生活基盤を支える建設業は幸福度のアップに寄与できる可能性を秘めている。都市と地域の魅力を高める上で果たせる役割は決して小さくない▼大所高所の話はいったん脇に置き、幸福度のアップは建設業界からという視点で、労働環境の改善や働き方改革を再考するのはいかがだろうか。




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JAPIC/進藤会長が会見、プロジェクトの検討・提案に意欲

 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の進藤孝生会長(日本製鉄相談役)は2日、総会後に記者会見し、開発プロジェクトの検討や提案に引き続き力を入れる考えを表明した=写真。「不確実性が増大している。どこに投資したらいいのかという考えもある」などと課題を指摘した上で、「動き始めた時にメニューを持っているのが大事」と提案活動の必要性を強調した。「絵が地元の活動の方向性を示す」とも述べた。
 2025年度は引き続き国土強靱化、国際立地競争力の強化、地域の活性化を柱に活動する。進藤会長は「実現のため、具体的なプロジェクトを描く。地元と一緒に機運を醸成する」と活動の抱負を述べた。「災害が多く、地震や山火事、インフラの老朽化といった環境の変化を踏まえると、JAPICの役割、問題の提示は大事になる」とした。
 24年度は北海道、近畿北部の畿北、四国、沖縄の4地域ブロックのプロジェクトなどに関する提言を中野洋昌国土交通相に提出した。下関北九州道路のように具体化を検討してきた中には事業化の動きが活発になった開発プロジェクトがある。
 進藤会長は「(政府が検討中の)国土強靱化実施中期計画にもわれわれの知恵が含まれている」と活動の成果を話した。各地のプロジェクトのうち検討を始める山陰地域に関しては「幾北によく似ている。コンセプトとして(山陽方面などと)つないでいく必要がある」と意欲を示した。開発プロジェクトに関しては「ファイナンスにPFIもある。造れば収益が上がるプロジェクトのメニューを充実させていくのが具体的な課題だ」と話した。
 開発プロジェクトを実行するための課題に人手不足を挙げた。「建設業界も大変苦労しているが(対策の)一つはDXの工夫」と提案し、「女性が建設業に入ってきている。仕事を変えていけば活躍のエリアはまだまだある」と述べた。定年延長によって働き手を確保する必要があるという認識も示した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174412
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スコープ/戸田建設、本社ミュージアム拠点にものづくりの楽しさ内外に発信

 戸田建設が東京都中央区の本社ビル「TODA BUILDING」(戸田ビル)に設けたミュージアムを拠点に、ものづくりの楽しさを社内外に発信している。5月20~23日に開いた建築設計文化祭「キテン」で、設計に携わる社員の思いを手作りの模型で表現。ビル周辺を通りかかった人も見学し、参加してもらった。常設展示は同社の創業からの歴史や技術をプロジェクターやジオラマで体感できる。
 8階のミュージアム「TODA CREATIVE LAB“TODAtte?(トダッテ)”」をメイン会場に、4回目の建築設計文化祭は開いた。前回は2016年でコロナ禍を挟んで9年ぶり。今回は戸田ビルの完成を機に、初めて本社を会場とした。
 キーワードの「キテン」には「機転」「嬉転」「己唸」「輝点」といった言葉を掛けたほか、社員がさまざまな当て字を考案。トダッテに設置した紙ストローを組み合わせてつくった土台「トラスウォール」のところどころに、それぞれのキテンを表現した正四面体の「キテンピース」を設置した。
 本社で設計に携わる480人の社員が、食べ物や趣味など遊び心のあるピースも交え、思いを表現した。合計17面のトラスウォールをあんどんの光でゆるやかに照らすなど、展示内容にひかれるような工夫も各所に施した。1階には、トラスウォールに社員や通りがかりの人が紙ストローを継ぎ足していく「アイキャッチパネル」を置いた。
 建築設計文化祭の小林亮太実行委員長は「戸田建設のブランドスローガンである『Build the Culture.人がつくる。人でつくる。』を実現するため、AIではできないようなことを手作りのトラスウォールで表現した」と説く。昨年11月に作業を始め、「若手から管理職までが意見をぶつけ合ってきた。本音を言うとあと2、3カ月の猶予があれば良かった」と話し、次回の開催を見据える。

 トダッテは▽企業文化と継承▽知恵と技術▽未来を考える-の3ゾーンで構成する。企業文化と継承ゾーンは、包括連携協定を結ぶ北海道下川町の木材でつくった展示板で囲んだ空間。創業者・戸田利兵衛が前身となる戸田方を興した創成期から成長期、成熟期、転換期と順を追って紹介している。
 展示の片隅にある小さな扉「トダのトビラ」を開けると、戸田建設が手掛けたさまざまな案件の豆知識にたどり着ける。成長期のトダのトビラでは関東大震災で鎌倉大仏の台座前面が破損した時、前身の戸田組が修繕工事を行ったと解説。扉の裏は大仏の胎内にある銘板のレプリカとなっている。
 知恵と技術ゾーンは、戸田ビルや医療施設といった建物の施工実績をLEDダイナミックビジョンに投影して紹介。2、3分のイントロダクション映像とともに、建物上空を飛んでいるような臨場感が味わえる。
 未来を考えるゾーンは360度の円筒シアターで、50年の戸田建設の未来像を表現している。体験コーナーも設けた。工事で発生する騒音に同じ周波数の音をぶつけて打ち消す装置や、コンクリート板を並べた木琴など、同社の技術を身近に感じられるようになっている。

 「(文化祭の)裏テーマは、戸田ビルをどう活用するかを社内外の人に考えてもらうこと」と小林氏。戸田ビルのコンセプトは「人と街をつなぐ」。設計以外の部門の社員や、京橋地域を行き交う人たちを巻き込んだビルの将来像を模索していく。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174403
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沖縄県豊見城市/森ヌ風Spo-Park構想を策定、スポーツ施設など民活で整備

 沖縄県豊見城市は、スポーツとヘルスケア、医療をテーマとしたまちづくりの方向性を示す「森(ムイ)ヌ風(カジ)Spo-Park構想」をまとめた。平良の豊見城総合公園を中心としたエリアを対象に、スポーツ施設や商業施設、宿泊施設などの整備を想定。民間活力導入による施設整備を行う方針や、想定される施設機能、事業スケジュールなどを盛り込んだ。
 同公園(敷地面積約7・5ヘクタール)と公園に隣接する中央公民館と社会福祉センターの敷地を対象エリアとし、スポーツ、ウェルネス、ビジネス、憩いの4ゾーンに区分した。
 スポーツゾーンには陸上競技場やテニスコート(屋内含む)、ウェルネスゾーンにはトレーニングセンターやトレーニング・リカバリー施設(プールを含む)、憩いゾーンには公園などの整備を想定。ビジネスゾーンには商業施設や宿泊施設などの収益施設、音楽・文化イベントに対応したホールも計画している。
 事業手法はRO(改修・運営)方式やBTO(建設・移管・運営)方式のPFI、DBO(設計・建設・運営)方式などを想定している。
 今後は、陸上競技場、中央公民館、社会福祉センターなど既存施設の改修・改築の方向性を所管課などで取りまとめる。既存施設の方向性が決まり次第、基本計画の策定に向けた検討を開始する考えだ。
 基本構想の策定支援業務はランドブレインが担当。




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鹿島/斜杭式桟橋・係留施設の上部工をフルPCa化、海上の工事期間を半減

 鹿島は、海底に杭を打ち込んで設置する桟橋と係留施設(ドルフィン)の施工効率化に向け、上部工をフルプレキャスト(PCa)化する新たな工法を開発した。陸上で製作した上部工コンクリートと斜杭の頭部を接合できる構造にし、設置作業の負担を減らす。風や波浪、潮位といった環境要因に左右されず施工できるため、工程の遅延も防げる。同社の試算によると、従来工法とほぼ同コストで、海上工事期間を50%、全体工事期間を15%短縮できるという。
 「クロスパイルピア工法」として、沿岸技術研究センターの「港湾関連民間技術の確認審査・評価事業」の評価証を取得した。海上に斜めに打設した鋼管杭の上部に仮受管を設け、PCa上部工を起重機船で一括で架設できるようにする。
 斜杭は直杭に比べて接合部の孔が大きい。強度を確保するための海上作業が必要で、施工時間の長さが課題だった。新工法では、鋼管杭の内部にはPCa側から接合管を挿入し、上部工コンクリートと斜杭の頭部を接合。仕上げの工程で、斜杭の頭部に無収縮モルタルやコンクリートを充填し、上部工との一体性を高める。
 水位が下がる干潮時まで待機する必要がなくなるため、工程の遅延を減らせる。波浪によって足場や型枠が損傷するリスクを低減し、施工効率の向上も期待できる。鹿島の試算によると、現場作業に必要な人員を20%、二酸化炭素の排出量も10%削減できるという。
 工事以外でもメリットは大きい。海上でのコンクリート打設量が減るため、水質汚染を防げる。工程の短縮で海域の占有期間が減るため、周辺の船舶の航行や漁業操業への影響も最小限に抑えられる。




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2025年6月2日月曜日

回転窓/学生のうちに…

 「学生のうちに遊んでおいた方がいい」--。社会人から学生へのアドバイスとしてよく聞いた言葉だが、今の時代はこれが思いもよらぬ受け止め方をされることもあるようだ▼職場でのインターンシップなどに参加する学生が聞くと、休みが少なく遊ぶことも難しい会社ではないかと敬遠してしまうのだという。捉え方の違いとはいえ、ある大学教授(建築)は学生にこうした言葉を掛けているとしたら「時代錯誤と認識してほしい」と手厳しい▼リクルートワークス研究所が4月に発表した2026年3月卒業予定の大卒(大学院卒含む)求人倍率によると、建設業は8・55倍と流通業の8・77倍に次いで二番目の高さ。製造業の2・33倍を大きく上回り、建設企業の人材採用は依然厳しい状況が続いている▼求人が多く豊富な選択肢に恵まれているがゆえに、自分の進む道に悩んでいる若者もいよう。学生の目線に立ったアドバイスを送りたい▼入社してからのキャリアパスをどう描け、どのような支援を受けられるのか。働く環境や処遇の良さに加え、これらを分かりやすく示すことが「選ばれる企業」となるには欠かせない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174374
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チルトローテーター、従来比で稼働時間半減/国交省が小規模施工で検証

 バケットを自在に回転したり傾けたりできる「チルトローテーター」機能を持つ建設機械が、施工効率化と燃料消費量削減に効果を発揮することが国土交通省の比較検証で分かった。切削面に正対せず細部まで刃先が届くのがチルトの大きな特徴。特に効果が大きい小規模工事を想定した検証で、従来施工と比較し建機の稼働時間が半減し、燃料消費量も4割減った。国交省は建設現場の脱炭素化にも寄与する施工技術として普及を後押しする。
 検証は都市部で行われる管路設置の床掘り施工を想定。集水ます(深さ1・2メートル)と埋設配管(約10メートル)の設置作業を従来施工と比較した。通常のバックホウは切削面に正対しなければならず細かな移動が必要になる。この移動時間と燃料消費をチルトは省けるため、従来施工より稼働時間を48・4%削減、燃料消費量を40・6%削減した。
 チルトは丁張り付近や隅や角にも刃先が届くため、スコップを用いた人力作業をなくす効果もある。バケットをさまざまなアタッチメントに交換できるマルチツール機能を併せて備える場合が多く、使い方次第で人力作業の多くを建機に置き換えることも可能だ。
 発祥のスウェーデンなど欧州では当たり前の技術だが、日本では世界的に見ても普及率が低い状況にある。国交省はICT建機を認定する既存制度の対象に「省人化建機」を1月追加し、チルトを新たな認定対象とした。認定要件として同一作業にかかる人工数の算出結果を示し、従来建機と比べて3割超の削減が可能という性能の担保を求める。4月には初弾として3社22型式を認定している。
 中小企業庁の「中小企業省力化投資補助金」の活用で導入ハードルが下がる期待もある。同補助金ではカタログからロボットなどの製品を選ぶ簡易なプロセスで支援が受けられる。チルトも補助対象となる製品カテゴリーに登録済みだが、個別製品はカタログにまだ掲載されていない。製品登録が進めば、中小建設会社も小さいコスト負担で導入が可能となる。




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高知県安芸市/旧庁舎・旧安芸中学校跡地活用基本計画案公表、BTOで複合施設建設

 高知県安芸市は5月30日、「旧市役所庁舎及び旧市立安芸中学校跡地活用基本計画(案)」を公表した。旧庁舎跡地には既存の市民会館と女性の家(コミュニティー)、図書館に出張所と子育て支援の機能を加えた複合施設を建設する。規模は延べ約5820平方メートルを想定。BTO(建設・移管・運営)方式のPFIを採用し、総事業費は94億7000万円と試算した。12月にも実施方針を公表する。
 旧庁舎跡の所在地は矢ノ丸1の4の40(敷地面積5547平方メートル)。2026年度に事業者を選定後、27年度から既存施設の解体工事に入る。28年度に建設工事に着手し、30年度中の供用開始を目指す。維持管理・運営は15年間。
 旧安芸中跡地(西浜95の1、敷地面積1万2401平方メートル)はスポーツ、学び、ビジネスなど新たなチャレンジを創造する空間とする方針。旧庁舎跡の複合施設整備や阿南安芸自動車道安芸中IC(仮称)の整備時期を見据え、5年後をめどに利活用手法などを再検討するとした。




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大成建設/無線電子雷管で試験発破成功、道路トンネル工事で国内初

 大成建設は、国内で初めて道路トンネル工事で無線電子雷管「ウインデットIIシステム」を用いた試験発破に成功した。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期課題に基づく取り組み。2024年に開発した無線電子雷管を機械的に装薬できる装填装置「T-クイックショット」と組み合わせて活用することにより、切羽から離れた場所から安全で効率的な装薬作業が可能になる。
 SIP第3期課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」のサブ課題A「革新的な建設生産プロセスの構築」(研究開発責任者・永谷圭司筑波大学教授)に基づく取り組みになる。
 5月下旬に国土交通省東北地方整備局が建設する国道13号新及位トンネル(山形県真室川町)の現場で無線電子雷管による試験発破を実施し、全数で成功した。トンネル側壁部で約10立方メートルの岩盤に対し、無線電子雷管を取り付けた親ダイとそれ以外に紙巻き含水爆薬を装薬して実施。装薬後の通信確認や発破信号の送信などがすべて無線によって操作でき、切羽近傍での滞在時間を削減。発破作業の安全や生産性の大幅な向上につながる。
 大成建設は従来、発破作業で用いる雷管には有線式を採用。ただ装薬後に雷管から伸びる脚線をすべて手作業でつなぎ合わせる必要があるため、肌落ちリスクのある切羽近傍での作業に時間がかかっていた。
 今後はSIPでの関係機関との連携を通じ、通信試験に基づく無線電子雷管の信頼性向上や無線電子雷管を用いた試験発破の継続的な実施に取り組む。社会実装を目指し、官民協働で取り扱い方法のマニュアル化や関連基準類の整備も推進。トンネル施工の自動化・自律化に向けた技術開発に注力する。




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