2025年5月30日金曜日

回転窓/若い力の台頭

 大相撲ファンにとって今週は注目の行事がめじろ押し。夏場所で2場所連続4回目の優勝を果たした大関大の里の横綱昇進が決定。28日に茨城県阿見町の二所ノ関部屋での昇進伝達式で、大の里は「唯一無二の横綱を目指します」と口上を述べた▼翌29日は部屋に二所ノ関一門の関取衆らが集まり新しい綱を作る「綱打ち」を行い、完成した綱が大の里の腰に巻かれた。そのまま元横綱の親方の指導で土俵入りを練習した▼二所ノ関一門は基礎中心の稽古を重視しつつ、アスリートのようなトレーニングや調整方法を取り入れるなど固定観念にとらわれない環境の中から若い力が台頭してきた。業界を問わず硬軟を織り交ぜた育成が次世代を鍛えるのだろう▼きょう30日は東京都渋谷区の明治神宮での横綱推挙式。日本相撲協会の八角理事長から推挙状と横綱が授与された後、公の場で初めて披露される土俵入りを楽しみにしている▼夏場所は全勝優勝に期待がかかったが、千秋楽結びの一番で横綱豊昇龍が土をつけ、全勝優勝を阻止した。24歳の若い新横綱にはこの1敗の悔しさを稽古の原動力にし綱の重責を果たしてほしい。




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自民強靱化推進本部と内閣第一部会が会合/実施中期計画、十分な事業量確保後押し

 自民党の国土強靱化推進本部(本部長・佐藤信秋参院議員)と内閣第一部会(部会長・國場幸之助衆院議員)は29日、東京・永田町の党本部で会合を開き=写真、第1次国土強靱化実施中期計画について議論した。政府が公表した素案で計画期間内の事業規模を「おおむね20兆円強」としたのに対し、出席した議員からは十分な事業量確保を「後押しする」意見が相次いだという。同本部と同部会は会合での意見を踏まえ提言をまとめ、近く政策審議会総務会で正式決定。その後、石破茂首相に提出する方針だ。
 会合後、取材に応じた佐藤氏は実施中期計画に盛り込まれた施策数が、現行の国土強靱化5か年加速化対策と比べ倍増していると指摘。その上で「実施中期計画は(事業規模を明確に示した)5か年加速化対策とは考え方が違う。20兆円を超える部分は政治の側から政府に継続的かつ力強い要請が必要」とし「2倍までは“強”の範囲内だ」との見解を示した。
 佐藤氏は素案で324施策となっていた「実施すべき施策」が、最終的に326施策に増える予定とも明かした。埼玉県八潮市で起こった道路陥没事故を例に挙げ「下水道は公営企業なので運営は利用料金で賄うのがこれまでの考え方だったが、もはや限界がある。国がどこまで関与すべきかは今後議論すべき問題だが、そうした観点も(実施中期計画に)盛り込む必要がある」と述べた。
 政府は実施中期計画の最終案を有識者でつくる「国土強靱化推進会議」に近く提出する予定。早ければ6月上旬に閣議決定される見通しだ。




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東京・千代田区/神田錦町南部地区まちづくりガイドライン案を策定

 ◇大型オフィスや商業施設導入
 オフィスや文教施設、歴史的建造物などが集積する東京都千代田区の神田錦町南部地区で、再開発に向けた取り組みが前進している。同区はまちづくりの目標や整備イメージを示したガイドライン案を作成した。大型オフィスや商業施設を導入し地域の活性化につなげる。多くの人が集い、交流できる大規模広場を形成するとともに、回遊性を高める歩行者ネットワークも強化する。
 29日の区議会の委員会で区が「神田錦町南部地区まちづくりガイドライン案」を示した。神田錦町南部エリアのうち、ほぼ中央に位置する街区が再開発事業検討地区となる。北側に神田警察通り、千代田通りが西側、東側は区道495号で、南は日本橋川が流れている。
 神田警察通りと千代田通りが交差する再開発事業検討地区には多様な都市機能を集め、人が訪れ、滞在したくなるような仕掛けをつくる。大規模オフィスや商業施設などが入った建物を建設するほか、ホテルなども誘致し、国内外から人を呼び込む。夜間や休日の人口を維持し、まちのにぎわいを創出する。
 周辺の市街地では建物のリノベーションなどに取り組み、低層部ににぎわい機能を組み込む。再開発地区と周辺地域による連携したまちづくりにより、まち全体が盛り上がる体制を整える。
 さまざまな活動が可能な大規模広場は地域の核に位置付ける。建物低層部に設けた文化交流施設や周辺の広場と連動したイベントなどを開く。低層部には文化施設のほか屋上立体広場も整備し、地域の憩いの場を創出する。緑のネットワークを日本橋川沿いから神田警察通りまでつなげる。
 歩行者ネットワーク強化に向けては、再開発事業検討地区で従来の東西方向だけでなく、南北にも人が通行できる空間を構築する。同地区の南西側にある東京メトロ・竹橋駅から大規模広場に人を誘導。広場の先にある神田警察通り沿いの活性化にもつなげる。区道495号の拡充も計画。安全性が高く、快適な歩行者空間を実現する。
 今後は6月25日に説明会を開き、同25日~7月9日に一般からの意見を募集する予定だ。




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鹿島ら/光ファイバーで地中空洞化調査技術確立へ、2m以深の異変検知めざす

 鹿島らは、光ファイバーケーブルを用いたセンシング技術による地中空洞化検知モデルの確立に乗りだす。NTT東日本や東京大学生産技術研究所、東京都下水道局、東京都下水道サービス(TGS)と共同で研究する。通信用地下光ファイバーケーブルや下水道光ファイバーケーブルを活用し、光ファイバーケーブルで捉える地盤振動特性の変化から異常を検知するモデルを構築し評価。深度2メートル以上の地中で異変が発生した際に光ファイバーで検知できるようにする。
 国土交通省が公募した2025年度「上下水道科学研究費補助金」に採択された。鹿島は地盤工学に基づく解析や振動・ひずみセンシング、実験設備の構築などを担当。NTT東日本は光ファイバーセンシングデータの収集やモデル構築・実証、東大生研は空洞化メカニズムの研究やモデル実験、都下水道局は管きょの維持管理ノウハウを活用した空洞調査の評価や実証フィールド選定、TGSは下水道光ファイバーケーブルの運用ノウハウを活用した技術的支援をそれぞれ担う。研究期間は7月~28年3月を予定する。
 鹿島によると、高度経済成長期に構築されたインフラ設備の老朽化が進み、埋設管の損傷などによる道路陥没が年間1万件を超えるなど大きな社会課題になっている。
 道路陥没の起因となる地中空洞の発生を検知する技術として一般的には電磁波レーダー探査が用いられているが、深度2メートル以上にある地中空洞を発見することは困難。人的被害を招く恐れがある地中深くの大きな空洞を早期に検知するための新たな技術開発として、光ファイバーケーブルの特性に着目した。




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2025年5月29日木曜日

電設協/電設工業展が大阪市で開幕、来場者10万人超へ万博と共鳴

 日本電設工業協会(電設協、文挾誠一会長)主催の「第73回電設工業展(JECAフェア2025)」が28日、大阪市住之江区のインテックス大阪で開幕した。会期は30日まで。テーマは「電設技術が拓く新たな可能性~進み続ける世界と共に~」。255社・団体が出展し、小間数は849に上る。大阪開催では過去最大規模となった。大阪・関西万博と時期が重なり、来場者数は10万人超を目標としている。 =3面に関連記事
 開場式では、富井弘之実行委員長が「社会課題に応える最新技術を集結させた展示を通じて、業界と社会の未来を切り開く場としたい」と開会を宣言した。
 文挾会長は「今年は万博の会期とも重なっており、従来にも増して活気あふれる3日間になることを期待している」と述べた上で、「新たな建設業像として『新3K(給与、休暇、希望)』の実現に向けた取り組みや、カーボンニュートラル、DXなど社会課題への対応を体感してもらえる展示にした」とあいさつした。
 その後、国土交通省の増田昌樹官房審議官(官庁営繕部担当)ら来賓とともにテープカットを行い、開幕を飾った=写真。
 会場では出展各社の多彩な技術展示のほか、若年層への入職促進を目的とした「電気設備業界プロモーションコーナー」や、能登半島地震で被災した地域の物産販売を行う「復興支援コーナー」も設置。初日の特別講演には元プロ野球監督の工藤公康氏が登壇し、組織マネジメントをテーマに講演した。




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回転窓/気象業務への感謝と応援

 5月のこの時期は秋と並んで小学校などの運動会シーズンになる。梅雨を間近に控え天気は気まぐれで、週間予報がコロコロと変わってやきもきしている方も多かろう▼強い雨なら翌日に延期だが土曜日の仕事を休みにしていたり、日曜日に予定のあったりする家庭も。多少の雨なら決行だろうが、児童の体調悪化を懸念する保護者の意見もあるようで、学校長は気苦労が絶えないと察する▼今春は天候不順な土曜日が多く、今週も降雨だと17年ぶりに4週連続で雨空になる地域があると聞いた。そうした記録が分かるのは予報にとどまらない気象業務のおかげ。6月1日は明治8(1875)年に東京気象台が業務を開始して150年の節目になる▼翌日には東京都内で記念式典が開かれ、時を同じくして気象庁が「気象150年史」と資料編、さらにこれまでの歩みを紹介する「気象業務はいま2025」をホームページで公開する▼データの解析技術が格段に良くなり、天気予報への信頼は以前よりもずっと高まった。「やきもきできるくらいでもありがたい」と技術の進歩に感謝しつつ、ぜひ今週末は予報違いを願いたい。




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本間組/奥村雄二氏が社長昇格、本間正隆副社長は代表権のある会長に

 本間組は、奥村雄二取締役兼常務執行役員が代表取締役兼社長執行役員に昇格し、本間正隆代表取締役兼副社長執行役員が代表権のある会長執行役員に就く人事を内定した。6月23日開催予定の株主総会後の取締役会で正式決定する。新経営体制でグループの持続的な成長と企業価値の向上に努める。本間達郎代表取締役兼社長執行役員は名誉会長に就く予定だ。
 奥村 雄二氏(おくむら・ゆうじ)1984年愛媛大学工学部海洋工学科卒、本間組入社。2014年執行役員、19年常務執行役員、20年取締役兼常務執行役員。島根県出身、63歳。
 本間 正隆氏(ほんま・まさたか)1988年日本大学理工学部土木工学科卒、大成建設入社。92年本間組取締役、93年常務、2005年取締役兼専務執行役員、13年代表取締役兼副社長執行役員。新潟県出身、61歳。




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大阪府/医療型短期入所施設の供給不足に対応、7月の制度改正めざす

 大阪府は重度障害児者らを対象とする「医療型短期入所施設」の供給不足に対応するため、施設開設を促す制度改正に乗り出した。府域が病床過剰地域に指定され、新たな病床の設置が原則認められない中、例外的に設置可能な「特例有床診療所」制度の対象に医療型短期入所施設を加えることで、開設促進につなげる。7月ごろの改正を目指す。
 20日に開いた「第52回大阪府医療審議会病院新増設部会」で府の設置基準改正案と医療型短期入所事業整備基本方針案を提示し、有識者の了承を得た。
 改正案では分娩(ぶんべん)や小児医療など特定の医療ニーズに限って病床の新設を認めている特例有床診療所制度の現行基準に医療型短期入所施設を新たに追加する。実際の運用に当たっては府が策定した整備基本方針案について、府域の自治体から了承を得る必要がある。それを経て事業者が本格的に参入できる仕組み。
 現在、府域は既存病床数が基準病床数を上回り、医療法上、病床過剰地域とされる。このため原則、新たな病床を設けることができない。医療型短期入所に必要な病床も例外ではなく、現状では既存病院の空床や稼働率の低い病床を活用する形でしか対応できず、ニーズに追い付いていないのが実情だ。
 府が2024年度に実施したアンケートでは必要とされる病床数が160床であるのに対し、実績は80床にとどまり、80床分の供給不足が明らかとなった。
 今回の制度改正では、新たな病床設置を可能としつつ、市町村と連携して既存病床を拡大する取り組みも強化し、医療的ケアを必要とする障害児者とその家族の支援充実につなげる。




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熊本県菊陽町/地域公共交通計画を策定、豊肥本線の輸送力強化推進

 熊本県菊陽町は、公共交通の活性化に関する中長期の取り組みを示す「菊陽町地域公共交通計画」をまとめた。計画期間は2029年度までの5カ年。JR豊肥本線の各駅から半導体企業が集積するセミコンテクノパークまでのアクセス改善では、広域的なBRT(バス高速輸送システム)の導入を検討。豊肥本線の輸送力強化のため、複線化や原水駅の設備改良などをJR九州ら関係者と協議していくとした。
 同町は半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の進出に伴い、関連産業の集積が顕著だが、公共交通の利用が低調であり、平日の通勤時間帯や休日日中の交通渋滞が課題となっている。原水駅などの周辺で計画されている土地区画整理事業による開発が進展すると、町内の交通渋滞や熊本市方面からの豊肥本線の混雑がさらに激化することが懸念される。
 これらの課題を受け、同計画では豊肥本線三里木駅~原水駅間で計画されている新駅を核に、二次交通体系の構築や同線の輸送力強化を推進。進展する街づくりと連動した公共交通の充実を図るとした。
 豊肥本線の輸送力強化に向けては、町内にある駅で唯一、上下線の同時進入ができない原水駅について、増便のために同時進入化の設備改良を実施。これ以外の光の森、三里木の2駅を含めて車両数増結や安全性向上につながるホーム拡張、駅舎改良を関係者と協議・検討していく。




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大成建設ら/PAC用自動再生機能付きフィルターユニット開発、最長15年交換不要に

 大成建設と忍足研究所(埼玉県狭山市、倉田芳幸代表取締役)は、床置き型パッケージエアコン(PAC)用の自動再生機能付きフィルターユニットを共同開発した。フィルターろ材を自動で再生する機能を搭載し、最長15年程度にわたり交換を不要とする。小麦粉などの粉体を取り扱う食品工場の市販PACに取り付けて実証したところ、フィルターを長寿命化し維持管理の効率を高めることを確認。メンテナンスのコストや廃棄ろ材の削減が可能になる。
 同ユニットは「T-Self clean Filter」として開発。自動再生フィルターと集塵(しゅうじん)装置、制御盤が一体となって構成する。フィルターに付着したごみを吸引して円形ドラム型ろ材を自動で洗浄。さらに粉体などを集塵装置で補集しフィルターろ材を自動再生する。
 大成建設によると、初期設備の導入や維持管理などユニット1台当たりの装着費用と、頻繁にフィルターろ材を交換する従来方式でかかる費用の差分は、運用開始後約11年で回収できる見込みという。
 同ユニットは市販の床置き型PACの吸い込み側に後付けで容易に組み込むことも可能。大成建設は今後、粉体を取り扱う食品工場などの新築や改修の工事を対象に、PACのフィルター維持管理を大幅に省力化し、空調能力や室内の温熱環境が一定に保てる同ユニットを積極提案していく。




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2025年5月28日水曜日

台湾社会の発展へ-熊谷組「華熊営造」創立50周年・下

 ◇「南港タイヤ世界明珠新築工事」順調/創業100周年の信頼へ
 熊谷組の台湾現地法人として1974年に設立した華熊営造。この50年で二重らせん構造の共同住宅「陶朱隠園住宅」や超高層ビル「国際金融センター101ビル」(通称・台北101)など特徴的な建造物を数多く手掛けてきた。超高層複合ビル「台北ツインタワー」同様に、これまでの実績が評価されて受注した案件の一つに、オフィスビルと住宅のビル群「南港タイヤ世界明珠新築工事」がある。
 南港タイヤ世界明珠新築工事は、台北市の東の玄関口として開発が進む南港駅前の南港タイヤ工場跡地に、高層オフィスビル2棟と高層住宅6棟を建設するプロジェクト。事務所棟は逆打ちS造、住宅棟は逆打ちSRC造で地下4階地上26~30階建て総延べ約22万平方メートルの規模。中鹿営造・華熊営造JVが施工を担当。計8棟(A~H棟)のうち華熊営造は4棟(E~H棟)を施工している。工期は2020年1月~25年7月。
 華熊営造の技術力を示す現場を指揮する清水俊一工事長は「台湾では住戸部は躯体だけのスケルトン渡しが一般的だ。室内の内装は今後、入居者が設計事務所や設備工事会社らに委託して住居ごとに進めることになる。設計変更も多く、日本の現場と違うところが多かった」と振り返る。
 華熊営造は創立100周年に向けて▽「台湾での安全・品質NO.1」を会社の目標に掲げ実践していく▽常にお客さまに寄り添う形でものづくりの現場を運営する▽華熊社員とその家族の幸福度向上を目指した企業であり続ける▽台湾人、日本人が共通して重視する「誠実さ」「勤勉であること」を忘れない▽台湾社会で市民に愛される会社を目指す-の五つを掲げる。
 創立50周年記念誌で熊谷組の上田真社長は「熊谷組は創業127年を迎えた。人々の暮らしや価値観は多様化している。環境変化に迅速に対応すべくこれから次の50年、100年に向けて、華熊営造と熊谷組グループはスローガンである『持続的成長への新たな挑戦』を続けていく」とコメントを寄せた。
 現在施工が進むプロジェクトも実績となる。完成後の建造物だけでなく、建設過程も含め品質や安全などが評価される。その積み重ねが、華熊営造創立100周年に向けた信用へとつながる。=おわり(編集部・野中駿太)




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政府/空港・高速道路3社の社長人事了承、成田空港会社社長に藤井直樹氏

 政府は27日の閣議で成田空港会社、阪神高速道路会社、新関西国際空港会社の社長人事を了解した。成田空港会社は藤井直樹元国土交通事務次官、阪神高速道路会社は上松英司代表取締役兼専務執行役員が社長に就く。新関西国際空港会社の保田享社長は再任する。6月中~下旬に開く各社の株主総会、取締役会を経て正式決定する。
 新社長の経歴は次の通り。
 【成田空港会社社長】
 藤井 直樹氏(ふじい・なおき)1983年東京大学法学部卒、運輸省(現国土交通省)入省。総合政策局公共交通政策部長、自動車局長、鉄道局長、官房長、国土交通審議官、国土交通事務次官などを歴任。64歳。
 【阪神高速道路会社社長】
 上松 英司氏(うえまつ・えいじ)1984年京都大学大学院工学研究科修了、阪神高速道路公団(現阪神高速道路会社)入り。技術部長、経営企画部長、執行役員、常務執行役員を経て22年6月から現職。65歳。




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名鉄/名古屋駅地区再開発の事業化決定、31階延べ52万平米で27年着工予定

 名古屋鉄道らは26日、名古屋市中村区の名古屋駅で行う「名古屋駅地区再開発計画」の事業化決定を発表した。世界に冠たる「スーパーターミナル・ナゴヤ」を目指す名古屋駅前で、唯一無二のランドマークを整備する。新施設の規模は地下2階地上31階建て延べ約52万平方メートル。高さは約172メートル。南北の2街区で構成する。設計は日建設計が担当。27年度の新築着工を予定する。
 南街区はホテル(約2万7000平方メートル)、オフィス(約5万1000平方メートル)、バスターミナル(約1万5000平方メートル)、北街区はオフィス(約14万9000平方メートル)、商業施設(約9万5000平方メートル)、鉄道駅(約2万5000平方メートル)で構成する。
 全国最大級の1フロア貸室面積で、多様な働き方やテナントニーズに応じたハイグレードSクラスオフィスを提供するとともに、世界中から選ばれ、都市の魅力向上に貢献するラグジュアリーホテルが入る。3層(地下1階、地上1、2階)の南北歩行者ネットワークや屋上広場、屋外テラスを備え、ウオーカブルでまちに開かれたビルを目指す。交通結節機能の強化も図る。
 共同事業者は名古屋鉄道、名鉄都市開発、日本生命保険相互会社、近畿日本鉄道、近鉄不動産。場所は名駅1の2ほか。敷地面積は約3万2700平方メートル。26年度に既存施設の解体に着手。27年度から新築工事を進め、33年度に1期本工事の完成、40年代前半の2期本工事完成を予定する。




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関東整備局ら関東甲信地域の発注者と建設業団体/休日確保や魅力発信で申し合わせ

 ◇市町村、民間に協力要請
 関東甲信ブロックの受発注者がスクラムを組み、建設業の担い手確保に向けた取り組みを始める。国土交通省関東地方整備局と同地域の発注機関、建設業団体ら官民が連携。週休2日の実現と建設業のやりがいを効果的にPRするための事項をまとめ、関係機関に申し合わせる。基礎自治体や民間発注者に適正工期の設定などを促しつつ、小中学生らに現場を見てもらい、建設業界への入職を促す。=5面に関連記事
 担い手不足が深刻な建設業の将来に強い危機感を抱く同局の岩崎福久局長の発案に基づき、受発注者が意見交換する場を設置した。会議には同局と関東甲信1都8県5政令市、日本建設業連合会(日建連)関東支部や各都県市の建設業協会、建設産業専門団体関東地区連合会ら幅広い層の関係者が出席し2月に初会合を開催。6月6日の第2回会合で関係機関に申し合わせる取り組み内容を共有する。
 申し合わせ事項は▽週休2日の推進▽魅力・意義(やりがい)の効果的なPRの実施-の2点。発注工事に週休2日を取り入れていない区市町村には、9都県で構成する関東ブロック発注者協議会や都県単位で設置する発注者協議会を通じて導入を働き掛ける。民間発注者は商工会議所などの経済団体に要請して適正工期の設定に理解を得る。
 建設業の魅力発信に向けては産学官の連携が欠かせないとして、各都県の「魅力ある建設事業推進連絡協議会」などを活用する。小中学生と教員を招いた現場見学会や技能実習などのイベントを開催し、業界に関心を持ってもらう。災害時に果たす役割をSNSなどで発信して仕事のやりがいをPRしたり、トイレや休憩スペースを改善したりして担い手を迎え入れる環境を整備する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174226
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鹿島/東北支店ビル(仙台市青葉区)を中高層木造に建替

 鹿島は仙台市青葉区にある東北支店のビルを、現在地で中高層の木造建築物に建て替える。日本の伝統建築から発想し開発した木造制震構造「欄間(らんま)制震システム」を初めて採用し、意匠性にこだわり超高層ビルと同等の耐震設計基準を満たす。東北エリアを統括する杜の都・仙台にふさわしい新たな事業拠点が誕生する。=6面に関連記事




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2025年5月27日火曜日

徳山下松港(山口県)に国内最深19mの公共桟橋が完成/中国整備局らが記念式典開く

 中国地方整備局が山口県下松市の徳山下松港下松地区に整備を進めていた公共桟橋が完成し、25日に現地で記念式典が開かれた。国や山口県が整備を進める国際物流ターミナル整備事業の一環で、水深19メートルは公共桟橋として日本一の深さとなる。ケープサイズ(最大積載量12万~20万トン)の大型船が入港でき、燃料輸送コストの削減などが期待される。
 徳山下松港は石炭輸送の拠点港。2011年5月に国際バルク戦略港湾に選定され、16年度に船舶の大型化に対応した港湾施設の整備を始めた。桟橋は全長390メートルで、鋼管杭に本体部をかぶせる「ジャケット工法」で施工した。大型のばら積み船が桟橋に着岸できる。
 総延長約1キロのベルトコンベヤーや石炭を陸揚げする揚炭機は港湾運営会社「やまぐち港湾運営」、臨港道路(延長225メートル)や6ヘクタールのふ頭用地は県が整備した。桟橋を含めて338億円を投じた。
 同港の徳山、新南陽地区では岸壁の延伸や航路・泊地の整備を進めており、28年度の完成を目指す。下松地区を含む総事業費は544億円を見込む。
 式典には国や県、市の関係者、国会議員、工事関係者ら約300人が出席。式辞で村岡嗣政知事は「石炭の一括大量輸送を一層促進し、安価かつ安定的なエネルギー供給に大きく寄与する。企業間連携による共同輸送の取り組みを加速化することで、コンビナート企業のさらなる国際競争力の強化につなげていく」と述べた。
 下松市の國井益雄市長は「港湾の国際競争力の強化と地域のさらなる発展につながるよう尽力する」と話し、国土交通省の稲田雅裕港湾局長は「共同輸送を行うことで輸送効率が格段に向上する。二酸化炭素(CO2)を削減できる国際バルク戦略港湾政策をしっかり進めないといけない」と決意を新たにした。
 最後に記念セレモニーが行われ、テープカットで完成を祝った。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174192
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台湾社会の発展へ-熊谷組「華熊営造」創立50周年・中

 ◇超高層複合ビル「台北ツインタワー」/台湾発展の起爆剤に
 華熊営造が台北市内で施工している超高層複合ビル「台北ツインタワー」は、台北駅周辺で進む再開発事業の目玉プロジェクトだ。地下4階地上53階建てのC1棟(高さ約290メートル)と地下4階地上70階建てのD1棟(高さ約370メートル)で構成する。2棟は空中通路で結ぶ設計で、台北駅から人の流れを呼び込む。台北市の新たなランドマークとなり、将来的には駅前再開発による地域全体の発展の起爆剤として機能する。
 構造はS造で、外装はカーテンウオールを採用している。基本設計は米国大手のSOM建築設計事務所、詳細設計は台湾現地の設計会社、構造設計は台北101の構造設計を担当した会社が担う。華熊営造と地元の台湾ゼネコン2社との3社JVで施工。C1、D1、商業エリアの「PODIUM棟」、目の前の公園、台北駅との連絡通路などの工事を進めている。
 設計コンセプトには▽台湾の新たな玄関口、台北の新たな歴史の始まり▽歴史軸を統合して台湾のイメージを表現する▽台北プロムナード▽一般に公開されたリビングルーム-などを掲げている。現場を指揮する阿部高広所長(華熊営造)は「設計コンセプトを大事にしている。設計者と事業主が何を作りたいかをイメージして施工している」と話す。
 都心で厳しい施工条件が重なる敷地。「道路の上に浮かして建物を建てるのが難しく、1日も通行止めが許されないため難度の高い施工となる」(阿部所長)。幹線道路をまたいでの施工となるほか、現場を取り囲むようにMRT(都市高速鉄道)が走る。軌道を囲んで地下工事を行うため、毎日リアルタイムで鉄道トンネルの変異を観測。軌道への影響の有無を確認しながら慎重に施工している。
 阿部所長は「交通量を止めないで仕事を安全に進めるのが使命だ。(建築物は)下から見るとまっすぐなところがなく、上から見ても横から見ても曲線になる。PODIUMは美しくて難しい。出来上がった後は、多くの人が訪れる場所になる。とても楽しみにしている」と話し、28年の完成目標に向け着実に工事を進めていく。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174197
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国交省/直轄土木でゼロエミ促進モデル工事実施、建機施工に非化石燃料使用

 国土交通省は直轄土木工事の建設機械施工で次世代燃料の使用を求める「ゼロエミッション促進モデル工事」を2025年度に開始する。化石燃料以外の「バイオ燃料」や「合成燃料」を軽油の代替燃料として使用し、建設現場から直接排出される二酸化炭素(CO2)を削減する。ICT建機を活用した工事の中から発注者指定で対象案件を選定する予定。次世代燃料の導入によるコストアップ分を発注者が負担する。
 国交省が4月公表した直轄土木工事の「脱炭素化アクションプラン」に沿った取り組み。次世代燃料が軽油の代替として普及すれば、既存のディーゼルエンジンをそのまま活用できることもあり現場の脱炭素化へのインパクトは大きい。現状では導入コストがネックとなるため、国交省がモデル工事で使用を後押しする。
 モデル工事では軽油の代替として非化石燃料の使用を求める。このため天然ガス由来の燃料などの使用は認めない。軽油と混合した燃料の使用は認めるが、その場合は軽油以外の非化石燃料を5%を超える割合で混合することを条件とする。実際に使用する燃料は、建機メーカーの推奨・認定が必要。次世代燃料を導入する代わりに、電動式のGX建機認定型式を用いることも可能とする。
 次世代燃料には生物資源を原料に製造するバイオ燃料や、CO2と水素を合成して製造する合成燃料がある。主に廃食油を原料としてメチルエステル化処理で製造するFAME(脂肪酸メチルエステル)などが従来から知られている。これ以外に植物油などを水素化分解したHVO(水素化処理植物油)は、燃料の性状が軽油とほぼ同じで使用に適しているとされ、近年になって製造・利用が開始されている。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174191
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愛媛県/JR松山駅付近連立事業、26年夏に県の工事はすべて完了見込み

 愛媛県は26日、JR松山駅付近連続立体交差事業などの完了見込みを発表した。連立事業は2024年9月に高架化が完了し、新駅舎が開業した。現在、JR四国が旧駅舎やホーム、軌道、レールなどJR関連施設の撤去を進めており、これらは25年度中に完了する見込みとなっている。
 松山駅西側と松山環状線を結ぶ街路事業の「松山駅西口南江戸線」(約480メートル)は、宮前川を渡る橋梁や無電柱化に伴う工事などを県で進めており、26年夏に完成する見込み。09年2月に事業着手して以来、県が進めてきた工事はすべて完了することになる。
 同街路に路面電車を敷き詰めて延伸させる案を松山市と伊予鉄道が計画中。この軌道敷を含む用地買収は県が担っており、24年度までに完了させている。中村時広知事は21日の定例会見で「連立事業立ち上げ時に県と市で役割分担した路面電車の引き込み、延伸、地下横断歩道を含めた駅周辺のバリアフリー化など交通結節機能の強化について、利用者の視点に立ち暫定施工を含めてスピード感を持って取り組んでほしい」と松山市に注文を付けた。
 松山市が主体となる駅周辺整備のバスタやアリーナ、商業施設などの検討が遅れていることに対し「旧駅舎等を撤去した後に、閑散とした空き地になったままでは連立事業が生かされないのではないか」と危惧を抱き、「陸の玄関口として機能を発揮していただけるように、ぜひこれを活用したまちづくりを進めてほしい」と求めた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174200
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三井住友建設/AIで発破パターン選定、現地条件に合わせ最適提案

 三井住友建設は山岳トンネル工事発破作業の生産性向上策として、AIで発破パターンを自動選定する技術を開発した。熟練トンネル特殊工の暗黙知を活用し、発破孔の削孔や装薬の際に得られるさまざまなデータをAIに学習させることで、地山状況に適した発破パターンを自動で選定、提案する。熟練工の視点による発破作業が可能となり、担い手不足の解消や発破作業の効率化、安全の向上につながると見る。
 AIを活用した発破パターンの自動選定技術は「AI de 先ヤマ(発破編)」として、ユニアデックスの協力を得て開発した。三井住友建設が開発するトンネル施工の生産性向上技術「SMC Tunnelingシリーズ」の新たな技術になる。
 掘削ごとに取得した削孔・装薬データを基に、切羽に適した削孔の位置や角度、長さ、装薬量といった発破パターンをAIが選定する。発破パターンの選定後はナビゲーション機能付きのセミオートドリルジャンボでモニターに表示されたパターンに合わせ手動で発破孔を削孔。フルオートドリルジャンボでモニターに表示し自動で削孔していく。
 現地条件に合わせた適切な発破パターンを提案することで、トンネル掘削速度の向上や削孔数、装薬量の減少、地山の緩みを最小化し、トンネルの変形や沈下を抑制、地山の損傷を最低限に抑えるなどとして肌落ちを防止する。切羽の余掘りや当たりの少ない熟練工が行う効率的な発破作業が可能となる。
 三井住友建設は、新技術を実際の現場に積極適用していく。削孔・装薬時に得られるさまざまなデータを収集し、熟練工を超える削孔位置や最小装薬量の予測、提案を目指す。AIモデルの精度向上やシステム改良を図り、同社施工トンネル現場の生産性向上技術として確立させる。




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2025年5月26日月曜日

回転窓/音読のススメ

 2004年2月、国の文化審議会から「これからの時代に求められる国語力について」と題する答申が出された▼情緒力と論理的思考力などが養える国語教育の在り方を提示したもので、現在の学校教育に反映されている。国語力を身に付けることの大切さが分かる興味深い内容だ▼例えば脳科学の知見も踏まえ、その効用について記述しているのが「音読」。声を出して読むことで国語力や独創力と関わる脳の働きが活性化するという。昔から科学的知見に基づいていたかは分からないが、授業に取り入れられてきたのも理解できる▼音読は子供たちだけでなく大人にもさまざまなメリットがあり、専門家が著した関連書も少なくない。音読で声を出すことにより「セロトニンという脳の興奮を抑えるホルモンが分泌され、自律神経がリラックス(副交感神経が優位な)状態へと切り替わる」と小林弘幸順天堂大学医学部教授が自著で解説している(『1日1分で自律神経が整う おとなの音読』SBクリエイティブ)▼わずかな時間でも効果が期待できる音読を試してみる価値はありそう。一人の時間をつくり実践してみたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174164
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エクシオグループ/社長に梶村啓吾氏昇格、6月25日就任予定

 エクシオグループは23日の取締役会で、梶村啓吾代表取締役副社長が社長に昇格する人事を決めた。6月25日開催予定の定時株主総会後の取締役会を経て正式決定する。舩橋哲也社長は代表権のある会長に就く。
 梶村 啓吾氏(かじむら・けいご)1989年東京工業大学(現東京科学大学)大学院工学部電気電子工学専攻修士課程修了、NTT入社。NTTコミュニケーションズ取締役、NTTコムエンジニアリング社長、NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長兼副社長執行役員などを経て24年6月から現職。大阪府出身、60歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174161
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台湾社会の発展へ-熊谷組「華熊営造」創立50周年・上/脱・日系企業へ次の一歩

 ◇地域になくてはならない存在に
 熊谷組の台湾グループ会社「華熊営造」(台北市、新屋忠彦董事長)はこの50年間、現地で数多くのランドマークを建設してきた。2004年に世界一の超高層建築物として竣工した「国際金融センター101ビル」(通称・台北101、高さ508m)はにぎわいの絶えない、台湾を代表する施設となった。現在も超高層複合ビル「台北ツインタワー」や商業施設「京華廣場商辨大樓新築工事」など大規模プロジェクトが進む。同社は台湾に必要とされる会社を目指し、51年目の一歩を踏み出した。
 華熊営造は熊谷組台湾営業所のさらなる発展を遂げるため、現地法人として1974年に設立した。設立後、橋梁や高速道路など土木構造物の建設プロジェクトに参入し、事務所ビルや商業施設、高級住宅、半導体工場など建築分野にも領域を拡充。コンベンション・商業施設「台北世界貿易センター」、超高層ビル「新光摩天大楼」、二重らせん構造の共同住宅「陶朱隠園住宅」などを手掛けてきた。2024年12月10日に創立50周年を迎えた。
 4月18日、現地で50周年記念式典を開いた。熊谷組の上田真社長や山崎英樹執行役員国際本部長ら役員のほか、華熊営造の新屋董事長など関係者約400人が出席。華熊営造の協力会社などで組織する「台湾熊建会」の総会も行われ、施工力を担う多くの人たちと共に50年の節目を祝った。
 熊谷組グループは「安全・品質NO.1」をスローガンに、建設を通じて地域社会の発展に寄与し、多くのランドマークとなるプロジェクトを手掛けてきた。
 式典で上田社長は「50周年を迎えることができたのは皆さまの支援のおかげ。今後も次の100周年に向かって、新屋董事長が目指す『台湾になくてはならない企業』として台湾社会に貢献できるよう、グループ一丸で尽力していく」と表明した。
 新屋董事長は「これからの50年は台湾の建設会社として一段階上のレベル、脱・日系建設会社を目指す。台湾社会になくてはならない企業、台湾社会に必要とされる企業として活動したい」と今後のあるべき姿を示した。
 (次回から3面に掲載)




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174148
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上板橋駅周辺(東京都板橋区)まちづくり機運高まる/再開発事業契機に駅前広場整備

 東武鉄道東上本線上板橋駅(東京都板橋区)周辺でまちづくりの機運が高まっている。南口駅前では再開発が進むほか、同駅が準急停車駅となり利便性が高まるなどまちの大きな転換期を迎えている。板橋区は周辺地区の将来を見据え「上板南口まちづくりビジョン」を検討している。
 区は1月にビジョン案を公表。目指す都市像を「人々が混ざり合い、つながる緑豊かなまち」に設定した。駅前からまちへ連続した緑の空間やにぎわいを創出する。緑環境と歩行空間、官民境界、通行・滞留空間など、近代都市計画制度により分断されてきたものを一体的につなぎ合わせ再整備する。
 区は再開発事業を契機に、約4000平方メートル規模の駅前広場や駅から川越街道まで210メートルほど伸びる区画街路8号線を新設する。駅前広場は日常的な憩いの機能に加え、イベント時や災害時にも活用できる開かれた公共空間とする。
 南口駅前では東地区と西地区で再開発事業が進行している。先行する東地区では、上板橋駅南口駅前東地区第一種市街地再開発組合が区域面積約1・7ヘクタールを東街区、中街区、南街区の三つに区分し、3棟総延べ約5万平方メートルの再開発ビルを建設する。
 北口駅前でもまちづくりの検討が活発化している。2024年3月、地権者らによって「上板橋駅北口周辺地区まちづくり協議会」が設立された。24年度は計6回協議会を開催し、まちの将来像や目標、まちづくり方針などを検討。25年3月、まちづくりマスタープランの基本構想案を公表した。
 基本構想案では▽円滑で安全な道路・交通環境が確保されたまち▽災害に強く、治安の良い、明るいまち▽商業が充実し、多世代が交流する活気あふれるまち▽緑があふれ、だれもが住み続けたくなるまち-の四つの目標を定めた。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174166
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不動テトラ/新造浚渫・起重機船を衣浦湾の防波堤撤去に初投入

 不動テトラは6月下旬、新造した浚渫・起重機船「FT400」を三河湾北西奥部、愛知県の5市3町にまたがる衣浦港の「令和6年度衣浦港外港地区防波堤撤去外工事」(国土交通省中部地方整備局発注)に初投入する。建造には約25億円を投資した。年間3~4件の工事で稼働を想定。同社は「年間受注高を9億円程度押し上げる」と投資効果を試算する。他の船でも使用できる新技術を開発することで間接的な波及効果も目指す。=1面参照
 押航式のFT400の船体(台船)は全長68・5メートル、幅25メートル、深さ4・5メートルのサイズ。最大つり能力400トンのクレーンを搭載し、最大積載重量が4011トンになる。4基装備した電動スラスターの推力は2トン、蓄電システムの容量は450キロワット時。押し船兼作業船(全長14・2メートル、幅6メートル、深さ2・0メートル)で移動し、水深に応じて船体に取り付けた長さ28・5メートルのスパッド2本で船体を安定させ作業する。
 環境性能の向上に貢献するハイブリッド蓄電システムは発電機を小型、少量化し、二酸化炭素(CO2)の排出量を同社の試算で約60%削減する。電動式ポンプジェットスラスターの稼働時に高まった電力負荷をアシストする仕組みがある。昼間に発生した余剰電力を蓄電して夜間や作業休止で停泊した時に利用できる。一般家庭2カ月分に匹敵する蓄電が可能で、災害発生時の陸上給電にも対応する。
 省人化や生産性向上を目的に、DPS(ダイナミック・ポジショニング・システム)や航行支援ソリューションを装備しているのも特徴だ。DPSは風や潮流、波などの影響があっても船体位置を定点的に自動保持する。高精度で安定したオペレーションを実現し、作業時間の短縮や施工品質の向上、船舶の安全航行につなげる。航行支援ソリューションはAI航行支援、ICT施工支援、ICT離接舷の各システムと多彩なバケットで構成する。
 船内にはキッチンや会議室、サウナ室などを整えた。働きやすい環境づくりに気を配った。船員には個室を用意。女性技術者や監督者の乗船に備え、浴室とトイレ、ドラム式洗濯乾燥機を完備した専用室も設ける。
 南海トラフ地震や首都直下地震など今後予想される大規模災害が発生した場合は、航路開削などの災害対応で活躍が期待される。船倉に避難所機能を持たせた非常室を用意し、24床の簡易ベッドを設置することで避難者を受け入れる。




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2025年5月23日金曜日

インフラメンテ国民会議ら/近畿本部フォーラム開幕、維持管理の課題解決へ

 インフラメンテナンス国民会議と同近畿本部フォーラム、国土政策研究会関西支部が主催する「近畿本部フォーラム2025」(後援=国土交通省、日刊建設工業新聞社ほか)が22日、花博記念公園鶴見緑地(大阪市鶴見区)のハナミズキホールで開幕した。100以上の企業・団体がブースを出展し、AIやロボット、デジタルツインなどインフラ維持管理の課題を解決する先端技術をPR。建設機械の展示・デモンストレーション、パネルディスカンションなども行われる。会期は23日まで。入場無料。
 フォーラムはインフラ施設管理者のニーズと民間企業が持つ技術のマッチングなどを目的に開催。▽メンテナンス、補修・補強、更新▽保守・監視・点検▽防災・減災対策▽環境保全対策・カーボンニュートラル▽DX・ICT・AI-などの分野に分かれ、建設会社や建設コンサルタント、関係団体らが新技術などを紹介している。
 開会式で実行委員長の霜上民生国土政策研究会常務理事兼関西支部長が「インフラの老朽化に起因する事故を防ぐためには、先進技術も使いながら予防保全を定着させなければならない。フォーラムを新しいニーズの発見、技術開発の促進などに役立てていただきたい」と開会を宣言した。
 来賓の沓掛敏夫国土交通省官房技術審議官は「近畿本部フォーラムは地方自治体の課題解決に向けた活動を活発に展開され、熱意を感じる。今後も最新技術などを活用し、インフラ老朽化対策に力を入れていきたい」と決意を表明。長谷川朋弘近畿地方整備局長は「フォーラムを機に産学官の連携が強化され、インフラの戦略的な維持管理・更新、安全・安心な国民生活の確保、メンテナンス産業の発展につながることを期待している」と語った。
 関係者によるテープカットに続き、沓掛審議官が国土強靱化計画やインフラ分野のDXなど「最近の建設業界を取り巻く状況」、長谷川局長が「昨今のインフラ老朽化対策」、谷口博昭国土政策研究会会長が「インフラの事前防災、予防保全へ~インフラの軽視から積極的投資へ~」をテーマに講演した。
 午後はインフラメンテナンス市区町村長会議近畿ブロックの第4回総会を同時開催。近畿整備局の高橋伸輔企画部長がコーディネーターを務め、大林賢一兵庫県養父市長(近畿ブロック幹事)ら管内自治体の首長らが計画的なインフラマネジメントなどについて意見を交わした。
 23日は国や自治体、民間企業、学識者らがキャリア教育や業界連携、イメージ向上策などを議論するパネルディスカッション「将来の土木技術者を育むには」をはじめ、情報ワーキンググループ実証実験報告会、包括的民間委託等導入推進ワーキンググループシンポジウム「自治体インフラメンテナンスにおける諸課題とその解決の方向性」などが開かれる。




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建築へ/こち亀記念館(東京都葛飾区)開館、漫画の世界が現実の建築空間に

 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)』の世界が立体の建築空間に--。東京都葛飾区に3月開館した「こち亀記念館」のファサードは、原作漫画のコマが飛び出してくるような仕上がり。館内は漫画にまつわるさまざまな展示内容が来館者に迫り、体験を中断させない空間。大きな窓がコマとなり、グラフィックコンテンツや来館者を映し出し、まちににぎわいを演出する。地域に根差した作品の世界を発信することで、亀有のまちの魅力を伝えている。
 こち亀記念館(亀有3の32の17)は展示と観光拠点の機能を併せ持つ施設。RC・S造5階建て延べ540平方メートルの規模。建築主は葛飾区。設計は久米設計、施工はトーヨー冨士工が担当した。展示内容は乃村工芸社が手掛けた。
 コンセプトは「主人公が漫画の舞台となる派出所を勝手に自分の記念館に改造してしまう」。久米設計設計本部第一建築設計室の三浦洋介部長はこのコンセプトをストーリーにしながら設計を進め、「現実世界に主人公が出てくる立体的な漫画空間にしたかった」と振り返る。
 同記念館は漫画のコマ割に見立てたキューブ状の動線空間を「立体的な漫画の空間」として表現した。ファサードは漫画を読むように目線が上から下へと流れるようにデザインされている。
 館内ではまずエレベーターで最上階へ上がり、下りながら展示物を見学する。上階から下階へと降りる動線は「漫画の読み方にも重なる上、来館者が自然と展示を楽しめるようにする効果がある」(三浦氏)。上りながら見学する場合、エレベーターの待機スペースが必要になり、展示スペースが削られてしまうという問題も解決した。直通階段を屋外に設け、室内動線の自由度を上げる工夫も凝らしている。
 上から下へ読み進める漫画のコマ割に通じるものがあり、作者の秋本治氏にも好評だったという。
 同記念館は漫画自体を見せるのがコンセプトで、5階から始まる展示空間はシームレスな動線が特徴だ。5階は秋本氏の私物や資料などを展示し、こち亀の世界へと誘う。4階の原画ギャラリーは複製原画を大量にそろえ、作品の世界観を表現。3階の名場面体験BOXは、ゲーム性のある展示やデジタルコンテンツを活用して、作中の名場面を体験できる空間となっている。
 2階の体験展示では、主人公の部屋や執務室を再現している。1階の交流スペースは亀有の歴史や文化を紹介することでまちの魅力を発信し、まちに繰り出すという流れ。上階のこち亀の展示から、下階に降りるにつれて観光情報発信や地域交流スペースへと徐々に亀有のまちにフォーカスする空間構成となっている。
 久米設計設計本部第一建築設計室の河合陸人主査は、展示を施設内で完結させず、まちへとつなげる仕掛けに「秋本先生も共感してくださっていた」と胸をなで下ろす。三浦氏も「建築がまちにどのような効果を波及させていくかが、最も大事なこと」と狙いを説く。
 敷地は間口が狭く細長い。近隣施設との距離が近いため、プライバシー確保を目的に長手方向(奥行き)はRC造の壁、短手方向(間口)はS造とハイブリッド構造になっている。室内は柱が壁に内蔵されており、内部空間を大きく確保できる。漫画のコマ割を模したファサードに柱が邪魔をしないというメリットもある。
 「敷地面積が限られている中での展示スペースの確保はチャレンジングな試みだった。結果的に特徴的な形の建物になった」(三浦氏)。
 建設プロジェクトはスケジュールがタイトだったが、上階から下階へと降りる動線や、RC造とS造のハイブリッド構造など同社の提案が区や秋本氏の理解を得られ、スムーズに進捗したという。
 設計者らがこち亀のドタバタ感や主人公のいいかげんな性格を表現することに真剣に向き合い、完成した同記念館は作品の世界観を楽しめる。館内を巡りながら作品や亀有の魅力に触れられる展示を用意し、施設を出発点にした町歩きを促す。こち亀とまちの魅力を表現する新しい一コマとなっていく。




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日建経/馬淵圭雄会長代行が会長就任

 日本建設業経営協会(日建経)は22日に東京都内で開いた第50回定時会員総会・理事会で、馬淵圭雄会長代行(馬淵建設社長)が新会長に就任する人事を決めた。馬淵氏は中村信吾会長の逝去に伴い、2024年12月から会長代行を務めていた。
 馬淵新会長は同日の会見で、地域建設業の中核、地域の守り手として中堅建設業の社会的な使命を果たし、若者にとっても「希望に満ちた産業」を目指す考えを表明した=写真。中村前会長ら歴代会長が築いた伝統と実績を踏まえ、国土強靱化、働き方改革、技術開発などに意欲を示した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174090
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奈良県/三宅町県有地活用基本構想公表、学生と企業結ぶ場に

 奈良県は21日、「三宅町県有地活用基本構想」を公表した。県北部・大和平野の中央に位置する三宅町石見地区の県有地(約7・7ヘクタール)を活用し、「次世代を担う学生×企業のまちMIYAKE」をテーマにまちづくりを進める。2025年度に基本計画を策定するとともにPFI導入可能性調査を実施し、事業スキームを固める。その後、設計・工事に着手し、31年度当初の開業を目指す。
 構想では県内の学生や社会人、留学生が交流する新しいタイプの寮「ヤング・イノベーション・レジデンス(YIR、仮称)」を整備するほか、若手起業家の育成を支援するインキュベーション施設や、交流・研究拠点の設置、さらに構想に賛同する企業の誘致も計画している。
 計画地は近鉄橿原線・石見駅から南西に約200メートルの立地で、寮には県内大学院・大学・高専・高校の学生や社会人ら最大120人が入寮する。寮に併設するインキュベーション施設では起業を志す学生らの成長支援や企業との協働による実証実験、社会課題解決型の学びの場などを導入。地域住民との交流やイベント開催の場となる共用施設や、レストラン・カフェ・ジムなどの民間収益施設の誘致も進める。
 企業誘致エリアには研究・開発機能を持つ企業を想定しており、学生寮との親和性や人材交流が期待される分野に焦点を当てる。奈良県の産業構造から製造業(機械、食品、繊維など)やICT、脱炭素分野などへの展開も視野に入れる。
 整備・運営手法はDBO(設計・建設・運営)、PFI方式、従来手法を比較検討し、今後の基本計画で決定する。基本構想の策定はオオバが担当した。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174082
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鹿島/バックホウ作業の構造物接触防止、LiDARセンサー検知範囲内で強制停止

 鹿島はトンネルや鉄道軌道下など狭隘(きょうあい)な施工環境のバックホウ作業で、接触や衝突によって既設構造物の損壊を回避するための衝突防止システムを開発した。バックホウに取り付けた2DのLiDAR(ライダー)センサーの検知範囲内に既設の切梁や電線ケーブルなどが入ると作業中のバックホウを自動的に強制停止させ、警告ランプとブザー音によってオペレーターに通知する。
 同システムは、物体を検知するための2DLiDARセンサー2台とバックホウのブーム・アームの位置や機体傾斜を検知するための傾斜センサー3台、検知範囲を設定し物体を検知したことを認識するコンピューター1台などで構成する。
 バックホウの上方にある既設物への接触や衝突を防止するため、中型のバックホウによる作業中に既設切梁や電線ケーブルなどの既設物が事前に設定した検知範囲の中に入ると強制的に自動停止させる。同時にキャビン(運転席)内のモニターと警告ランプが点灯し、ブザー音でオペレーターに周知。検知範囲は施工条件を考慮し、モニター上で任意に設定できる。
 同社が代表企業を務めるJVが施工するトンネル工事「みなとみらい21線車両留置場建設工事」(発注者=横浜高速鉄道)、軌道下の地下掘削工事などを行う「西武鉄道新宿線中井~野方駅間連続立体交差事業に伴う土木工事第1工区(その24)」(事業主体=東京都、発注者=西武鉄道)にそれぞれ導入した。オペレーターが目視で確認できない高さの既設物に対する接触・衝突の防止や絶対に傷つけたくない構造物に対する接触・衝突の防止、経験の浅いオペレーターによるバックホウ作業の操作支援、オペレーターの不注意による接触・衝突の防止といった効果を確認した。
 今後も同システムを狭隘な施工環境の工事に適用し耐久性を検証。センサーによる検知精度や安全性能をさらに高め、さまざまな工事への適用拡大を目指す。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174084
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2025年5月22日木曜日

回転窓/気づきと優しさはいつでもどこでも

 日が暮れて肌寒くなった春先の夜、近所にある公園のブランコに男の子がぽつんと座っていたことが何度かあった。知り合いと一緒に声を掛けると、親とのトラブルで家を飛び出したという▼どうしたものか悩んだ末、民生委員に相談すると、通っている学校の関係者らに連絡を取り、迎えの人が来てくれることになった。家を出るという行動がその子にとってのSOSだったのだろう。人目のある公園を行き先に選んでくれて良かったと、今も話題になる▼大型連休が過ぎて子どもが人を傷つける事件が地域で続き、その一つは全国規模の大きなニュースにもなった▼事件を受けて保護者宛てに教育委員会が配信したメールには「不安そうな時には、そばで寄り添うなど安心できるようにしてください」と書かれていた。子どもの心や家庭への気配りと早い対応に感心しつつも、寄り添う人が周囲にいない子どもは一体どうなるのだろうと考えさせられた▼民生委員は声掛けに感謝してくれて「みんなで見守りましょう」と話していた。救われた子が救う側に回れるように。気づきと優しさは職場にも通じるところがあると思う。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174033
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政府/育成就労で分野別運用方針の作成着手、上乗せ要件や転籍制限論点

 政府は外国人材の新たな在留資格「育成就労制度」に関する産業分野別の運用方針の作成作業に着手した。分野ごとの上乗せ要件や転籍制限期間などを詰め、既存の特定技能制度と一体的な運用方針として12月の閣議決定を目指す。人手不足の深刻さを背景として両制度の対象分野の一つとして建設分野を位置付ける。特定技能制度と同じ▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の三つの業務区分で受け入れを行う方向だ。
 出入国在留管理庁と厚生労働省が20日開いた「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の第3回会合で議論を開始した。分野ごとに定める必要がある▽受け入れ見込み数▽本人意向の転籍の制限期間とその理由▽1年を超える転籍制限期間を設定した転籍元の育成就労実施者で講じる待遇向上策▽分野に特有の事情に鑑みて講じる措置(上乗せ要件)-などを主要な論点とし、継続的に議論する。
 3年間の育成就労期間で習得すべき「主たる技能」のイメージも示した。建設分野では三つの業務区分にひも付く技能実習2号移行対象職種が計25職種・38作業あり、この作業単位で主たる技能を設定し、引き続き技能検定や既存の技能実習評価試験で育成・評価する。さらに既存の技能実習にはない▽基礎ぐい工事業▽電気設備施工▽鉄筋継手(圧接)▽電気通信▽管路更生-の五つを主たる技能の対象とし、新たに育成就労評価試験を整備する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174046
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大成建設/カーボンリサイクル・コンクリートで場所打ち施工、道路構造物で国内初適用

 大成建設は二酸化炭素(CO2)排出量収支をマイナスにするカーボンリサイクル・コンクリートを道路構造物に適用し、国内で初めて場所打ち施工によって中央分離帯を構築した。移動式コンクリート製造プラントを使用し、施工現場で製造したカーボンリサイクル・コンクリートを通常のコンクリートと同様に場所打ちで施工。1立方メートル当たりで普通コンクリートに比べ20キロ多い294キロのCO2削減を実現した上で、道路構造物の構築が可能であることを実証した。
 カーボンリサイクル・コンクリートによる道路構造物の場所打ち施工は、2024年7月18日に阪神高速道路会社との共同研究による試験施工として実施。阪神高速14号松原線の一部区間(喜連瓜破~三宅間)で中央分離帯を打設、構築するため、10メートルの範囲で5・2立方メートルのカーボンリサイクル・コンクリートを適用した。あらかじめ30度を超える外気温に対応する配合や施工法を検討。適切な施工管理によって従来と同様の手順で場所打ち施工ができることを確認した。
 施工後に実施したモニタリングや耐久性評価試験によって施工後の品質も確認。長期的なモニタリングや耐久性評価試験にも着手している。
 カーボンリサイクル・コンクリートの活用はこれまで工場製作によるプレキャスト部材にとどまっていた。普通コンクリートと同様の手順で場所打ち施工でも使用可能となれば、脱炭素のさらなる貢献につながると見る。
 21年に発表したカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、セメントの代わりに高炉スラグを使用している。大気中のCO2を吸収して製造した炭酸カルシウムを混合することで内部に固定し、材料に起因するCO2排出量収支をマイナスにする。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174043
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2025年5月21日水曜日

国交省/25年春の褒章伝達式開く、77人・8団体に栄誉

 国土交通省関係の2025年春の褒章伝達式が20日、東京・霞が関の同省で開かれた。受章者は77人・8団体。中野洋昌国交相が褒章を伝達した=写真。
 式典では各分野を代表し、総合建設業関係は元日本道路建設業協会副会長の河江芳久氏(黄綬)、専門工事業関係は元全国地質調査業協会連合会会長の成田賢氏(同)、都市計画事業関係は日本造園組合連合会理事長の内海一富氏(同)らが伝達を受けた。
 中野国交相は祝辞で「地域の発展や陸・海・空の輸送の安全・安心を現場から支え、災害発生時には地域の守り手として迅速な復旧・復興に尽力してもらった」と受章者をたたえた。その上で「皆さまの多年にわたる貢献に深く敬意を表し、感謝を申し上げる」と述べた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173983
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スコープ/関東整備局の霞ケ浦導水石岡トンネル工事3工区、施工の自動化実現

 ◇安藤ハザマが施工
 国土交通省関東地方整備局が霞ケ浦導水事業の一環として茨城県で整備を進めている「石岡トンネル」の掘削工事が、2025年内に完了する。霞ケ浦をハブにして那珂川と利根川の水を融通して渇水を防止したり、湖沼の水質を改善したりするための導水トンネルを構築。トンネルの3工区を施工する安藤ハザマの現場では、無人のバックホウが自動で動く。国交省が推進する施工の自動化を実現している。
 霞ケ浦導水事業が始まったのは40年以上前にさかのぼる。直轄ダムがない那珂川は渇水が起きやすく、霞ケ浦を介して利根川の水を融通して渇水を防いでいる。これを「流況調整河川」という。導水トンネルを使って送り込まれた水は那珂川から遡上(そじょう)してくる塩水を押し戻すため、「利水と環境保全の両立」(武藤健治関東整備局企画部技術調整管理官)が期待できる。
 導水路は延長約43キロの「那珂導水路」と約2・6キロの「利根導水路」で構成する。那珂導水路はさらに三つのトンネルで構成し、うち水戸トンネル(延長約6・8キロ)は既に完成。未完の土浦トンネル(約11・6キロ)と水戸トンネルの間に位置するのが、水戸と石岡の両市を結ぶ石岡トンネル(約24・7キロ)だ。
 同トンネルは既に水戸市と茨城町にまたがっている1、2工区が完成。現在は3工区(約4・8キロ)を安藤ハザマ、4工区(約4・1キロ)を錢高組が担当。5工区(約4・5キロ)を奥村組・大本組JVが担う。三つの工区は順調に工事が進んでいて、「年内にはトンネル掘削が完了する」(阪本敦士関東整備局霞ケ浦導水工事事務所長)予定だ。
 関東整備局管内でも有数の大規模現場となる石岡トンネル。安藤ハザマが施工する3工区は、国交省によるi-Construction2・0の推進現場の一つ。シールドマシンで掘削した残土を一時的に保管するホッパーからダンプカーに積み込む作業を無人のバックホウで行っている。i-Con2・0で掲げる「施工のオートメーション化」を体現している。
 現場で使用するバックホウはコベルコ建機が開発・販売している。バックホウにはLiDAR(ライダー)とカメラが搭載され、ホッパー内にある土砂の高さやバケットの幅、ダンプカーの位置などを捕捉しながら積み込む。カメラ映像とともにタブレット端末には、重機のブームやバケットを操作するアームの角度が確認できる。
 ホッパー内の土砂は4ブロックに分かれ、バックホウですくい上げた量が極端に少なくならないようにしながら土をダンプに積む。ダンプカーの積載重量に応じて積み込む量を調整する。
 建設業界が深刻な人材不足に陥る中、機械の遠隔操作や無人化施工が可能になれば「オペレーターを確保する必要がなくなる」(工事関係者)など現場の省人化が期待できる。
 3工区では無人のバックホウだけでなく、シールドマシンの遠隔操作なども行っている。現場にはシールドマシンの掘削状況をリアルタイムで確認できる中央管理室を設置している。安藤ハザマが開発した「スマートシールドマシン」は、マシンの位置情報や地盤情報などを一元的に可視化しデータベース化できる。タブレットで関係者間の情報共有も可能だ。
 トンネル坑内は通信環境が整っているため、専用タグを着けた作業員の位置情報や入退坑情報も把握できる。安全管理の強化につなげている。
 シールドトンネルは泥水式シールド工法で掘進している。コンクリート製のセグメントを1リング組み立ててプレストレストコンクリート(PC)鋼より線で緊張・定着させる「P&PCセグメント工法」を採用している。
 最盛期を迎える現場では、約30人がトンネルの掘削作業に従事する。日進量は約32・4メートルで、現在は1200メートル程度を掘り進めている。トンネル工事の進捗率は25%(全体の出来高は50%)に達している。順調に進めば石岡トンネルは年内の掘削完了、26年度の完成を見通す。
 才川欽也石岡3工区作業所長(安藤ハザマ)の話
 工事は順調に進んでいる。安全を最優先に週休2日確保に努める。他の現場よりも掘進スピードが速く、高速施工の記録も残したい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173987
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清水建設/国学院大学の神殿が竣工、伝統工法駆使し本殿新材使用比率は3%

 清水建設が東京都渋谷区の国学院大学渋谷キャンパスで設計・施工した神殿が4月25日に竣工した。2023年に迎えた同大学創立140周年記念事業の一環として、キャンパス内の神域に明治神宮から譲り受けた御仮殿を改装、装飾して新たな本殿を造営。伝統的な木造建築の技術を駆使し、新材使用を最小限にとどめ耐震性も確保した。
 23年10月に着工した。神殿の構造と規模はW・基礎RC造平屋105平方メートル。明治神宮から譲り受けた御仮殿の解体材など本殿に極力使用した木材の総量は80立方メートルで、新材使用比率は約3%にとどまる。
 本殿の耐震性能を高める工夫も各所に凝らしている。柱と横材である長押(なげし)との拘束は、伝統的な仕口と和釘(くぎ)によりひずみ力に対抗。柱と貫(梁)で構成する構造体が地震によって変形しないよう、柱の間に配置した板壁と貫(梁)の間に「ダボ」と呼ばれる木片をかませ、両材のゆがみを防止している。
 本殿造替工事に合わせて拝殿や幣殿、神饌(しんせん)所、鳥居も解体移築した。このうち拝殿や幣殿、神饌所には屋根まわりの木材を中心に新材を調達・加工し、腐朽して使用できなかった部位は補修して再利用。屋根銅板は葺(ふ)き替えで温度伸縮による不具合が発生しないよう伸縮可能な目地を採用し、鳥居も柱を交換しただけで新材の使用は抑制した。こうした取り組みで拝殿や幣殿、神饌所、鳥居に使用した木材総使用量31立方メートルの新材比率は約30%だった。
 同社の米川智博工事長は、「一番大きなテーマとして御仮殿が非常に大きな建物だったので、(敷地)に最初入るのか配置決めの過程に手間がかかった。金物で安易に耐震補強するのではなく、見た目が分からないようにすることがうまくできた」と振り返った。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173995
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東京・千代田区/ペロブスカイト太陽電池実用化へ実証実験、建物に設置し性能評価

 東京・千代田区はペロブスカイト太陽電池の普及拡大に向け、実証実験を次の段階に進める。2024年度はトレーラーハウスに設置して性能を評価した。25年度は区内の建築物に導入。実用性を確認し、普及促進策の参考にする。太陽光発電の適地が少ない都市部で、ビルの窓や壁面を使った大規模発電を実現する将来像を描く。2050年のカーボンニュートラル(CN)達成に向けた重要な施策の一つに位置付ける。
 「次世代型ソーラーパネル(ペロブスカイト太陽電池)実証実験業務」の委託先を決める公募型プロポーザルを20日公告した。
 業務では同電池を区有施設を除いた区内の建築物に設置。実際に発電し、電気を消費する。発電量は常時監視して区に報告する。区民や来街者に対し、同電池の意義を啓発するキャンペーンも実行する。
 プロポには競争入札参加資格の有無に関わらず参加できる。資格がない事業者は会社概要や登記事項証明書、財務諸表の提出が必要。参加申込書を6月24日までメール(kankyouseisaku@city.chiyoda.lg.jp)で受け付ける。提案書の提出期限は7月18日。同31日に結果を通知する。提案限度価格は1000万円(税込み)。
 区は24年7~10月、同電池を組み込んだトレーラーハウスをJR秋葉原駅前に設置し、性能を評価した。発電量は全期間平均で1日当たり5・5キロワット時だった。出力は目標値の1・2キロワットを達成。最高で1・6キロワットに達した。区は発電や施工性、メンテナンス、景観配慮といった面で優位性があると評価。「実用化の見通しが立てば、区有施設での活用を検討する」とした。24年度の業務はYKKAPが手掛けた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=174002
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和歌山駅前友田町3丁目再開発(和歌山市)、事業協力者にタカラレーベン/準備組合

 和歌山市の和歌山駅前友田町3丁目地区市街地再開発準備組合は事業協力者にタカラレーベン(東京都千代田区、秋澤昭一社長)を選定し、14日に協定を結んだ。都市計画決定と本組合設立に向けて、検討を加速させる。
 同地区はJR和歌山駅西口から約300メートルの場所で、面積は約1・2ヘクタール(友田町3)。中心市街地の東西軸「けやき大通り」に面する街区で、飲食店や平面駐車場などが並ぶ。
 2023年12月に同準備組合が設立され、都市問題経営研究所(大阪市中央区)とSports Local Act(長野県東御市)を事業コーディネーターに決定した。事業進捗のペースは国土交通省が示す市街地再開発事業概要によると、平均で都市計画決定から事業計画決定まで2年10カ月、最終的な建築工事の完了までは計8年2カ月を見込む。市が24年度に策定した社会資本総合整備計画によると、概算事業費は約210億円。
 このほか、並行して計画が進む南海和歌山市駅前南地区(東蔵前丁ほか、約0・7ヘクタール)の再開発は事業コーディネーターをエス・ジー都市経営(大阪市中央区)ら、事業協力者を長谷工コーポレーションらが担当している。25年度中の都市計画決定と、26年度の本組合設立を目指す。同整備計画によると概算事業費は約200億円。




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2025年5月20日火曜日

国交省ら/宇都宮市内で利根川水系連合・総合水防演習開く、本番さながらの訓練実施

 国土交通省や利根川沿いの自治体らは、17日に「第73回利根川水系連合・総合水防演習」を宇都宮市内で開いた。26の機関を含む約5000人が参加。水防技術の向上や水防団の士気高揚を狙い、関係者が救護訓練やタイムラインに沿った本番さながらの実践的な訓練を行った。高橋克法国交副大臣や福田富一栃木県知事、脇雅史全国水防管理団体連合会会長らも現場に駆けつけ演習を視察した。
 水防演習は1947年に関東地方を襲った戦後最大の水害「カスリーン台風」を受け、5年後の52年に第1回を開催した。水災害から流域の住民を守るには日ごろの水防活動が欠かせないという機運が高まり、現在は利根川の沿川5県(埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県)が持ち回りで毎年実施。昨年度は千葉県香取市で行った。
 本年度は国交省と沿川5県に加えて東京都と神奈川県、宇都宮市の関係26機関が鬼怒川左岸に参集した。高橋副大臣は「激甚化する水災害からの被害を最小限に抑えるにはハード対策と水防活動が重要だ。水防技術の研さんや伝承、水防体制の一層の充実強化に協力をお願いしたい」と訓示を述べた。岩崎福久関東地方整備局長も「使命感と緊張感を持って演習に取り組んでいただきたい」と力を込めた。
 演習の第1部は水防団が手分けして土のうを製作する水防工法訓練を実施=写真(関東整備局提供)。続いて宇都宮市清原地区防災会や宇都宮大学地域デザイン科学部社会基盤デザイン学科らが自衛水防訓練を体感した。
 第2部の救出・救護訓練は鬼怒川の堤防からあふれ出した水が市内に流れ込んだことを想定し、市消防局が水没車両から人を助ける救助訓練に臨んだ。佐藤栄一宇都宮市長らがウェブ会議を利用したホットライン訓練を行った。
 閉会式では藤巻浩之国交省水管理・国土保全局長が講評を述べた。




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回転窓/急いでも急がなくても…

 地方での単身赴任を終え4月から東京での勤務になった。3年だったが地方に住んで感じたのは生活速度の違いだった▼感覚でしかないのだが東京に戻って思ったのは「街を行き交う人たちはなぜこうも急ぐのか」。それを如実に感じたのは鉄道駅で、エスカレーターの片側を空けずに乗るのは非常識というような雰囲気に戸惑っている▼エスカレーターの誕生時期は諸説あるようだが日本で商標登録されたのは1900年。実際にお目見えしたのは東京・日本橋にあった三越呉服店で1914(大正3)年だそう。動く階段の登場は衝撃的で大人気だったが、9年後に起こった関東大震災の火災で燃えてしまったという▼片側空けは日本特有かと思いきや多くの国で習慣が根付いている。1911年にエスカレーターが初導入されたロンドン地下鉄は降りた先の動線がカーブしていたため、自然と「右立ち・左空け」が定着したそうだ▼昇降機の業界団体や鉄道会社などは安全で快適な利用のため、歩行を控えるよう呼び掛けている。利用時間は長くても1分程度。立ち止まってひと息ついても大して変わらないと思うのだが。




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25年参院選職域代表・見坂茂範氏に聞く/事業量確保と賃金アップへ

 建設産業の職域代表として今夏の参院選で初当選を目指す見坂茂範氏(自民党公認候補、元国土交通省近畿地方整備局長)が日刊建設工業新聞などの取材に応じ、「建設業の事業量確保と賃金アップが役割」との考えを改めて示した。1人でも多くの人に話を聞いてもらう全国行脚は2周目に入り「手応えを感じる」という。各地で建設産業に携わる人たちの声を受け止め、「夢のある仕事に多くの若者が入職し、生き生きと働けるようにするのが私の使命」と意気込んだ。
 地域を支える建設会社などの安定経営に貢献するため「事業量確保」に率先して取り組む方針。事業量確保には「毎年の予算編成が大事になる」とした上で、「期待に応えられるよう頑張りたい」と述べた。
 政府が検討中の国土強靱化実施中期計画(2026~30年度)の動向を注視。現行の国土強靱化5か年加速化対策は5年で15兆円規模だったが、政府は4月公表の素案で計画期間内の事業規模を「おおむね20兆円強」と見込んだ。見坂氏は「物価高騰分は上乗せできた」とした一方、「個人的にはもっと必要という思いはある」と述べた。
 建設産業が直面する課題として「他産業に比べてまだまだ賃金水準が低い」との認識を示した。「初任給だけでなく、(建設産業で)働く人全体の給料が上がっていくことが必要」とし、賃金アップの重要性を指摘。「利益率の良い業界にしたい」と述べ、歩掛かりの見直しなどの必要性を説いた。
 利益率向上には「(公共工事設計)労務単価の引き上げだけでは不十分」と見る。低入札調査基準価格や最低制限価格の引き上げ、現場管理費改定改などによる予定価格の上昇なども挙げながら、施工効率が落ちる夏場の工期・工程や歩掛かりを「実態に即して見直す」ことを求めた。地方自治体発注の小規模工事の歩掛かりの改善にも言及し、「小規模工事は国が歩掛かりのひな形を示すべきだ」との見解を示した。
 利益率改善に向けた課題の一つとして民間建築工事を挙げた。建築工事は専門工事の職種が多い上、人手不足も深刻な状況が続く。「人手不足を解消するためにも利益確保が不可欠」と指摘。「下請にもきちんとお金が回るためには、まず元請が利益をしっかりと確保する必要がある」とし、その実現へ環境整備に意欲を見せた。
 原材料の高騰や労務費の上昇に対応するには、契約変更協議の適正な実施が重要性とし、「発注者と受注者が本当に対等な立場で契約協議ができるよう商習慣を変えていく必要がある」と主張。改正建設業法に盛り込まれた標準労務費の設定についても「後押ししていきたい」と話した。
 少子高齢化を踏まえ「外国人材に頼らざるを得ない」と見ている。「働く意欲のある人がもっと日本に来てもらえるよう規制を緩和し、入ってきやすい環境をつくっていくべきではないか」と受け入れ環境を改善する重要性を強調。技能者だけでなく、技術者としても活躍してもらうための仕組みづくりも進める考えだ。




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24年度土木学会賞決定/功績賞に田中茂義氏ら、6月13日表彰式

 土木学会(佐々木葉会長)は19日、2024年度の土木学会賞を発表した。功績賞や技術賞など20部門で計120件を選定した。表彰式は6月13日に東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで開く。=12面に詳しく
 土木工学の進歩や土木事業の発達、学会活動の運営に多大な貢献があった会員に贈る功績賞には▽島谷幸宏(熊本県立大学特別教授)▽田中茂義(大成建設代表取締役会長)▽西村和夫(東京都立大学名誉教授)▽細川恭史(海域環境研究機構技術顧問)▽山本修司(沿岸技術研究センター参与)-の5氏を選んだ。
 島谷氏は河川の環境や防災に関する問題への取り組みや流域治水に関する研究成果を基に、インフラ整備に大きく貢献し農学や人文・社会学など分野を横断した学問体系の確立に尽力した。田中氏はプレストレストコンクリート(PC)橋を代表する技術者として設計・施工に従事。海外の新技術を積極的に導入するなど、PC橋梁技術の新展開の礎を築いた。
 西村氏はトンネル支保構造や耐震性などに関する各種研究、トンネルの建設・維持管理の両面で数値的評価手法を取り入れるなど土木工学分野の学術の深化に貢献した。細川氏は、浚渫土砂の有効活用による干潟生態系の再生と生態系機能に関する研究に取り組み、自然共生型土木工学という新たな土木工学の分野を切り開いた。
 山本氏は港湾分野の大型プロジェクトで新しい技術や設計法を導入。国内の技術基準の性能規定化に沿った港湾整備に関する基準作成・指導助言、設計技術者の指導育成に取り組んだ。




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岩手県花巻市/新花巻図書館建設基本計画を策定、6月以降に基本設計着手

 岩手県花巻市はJR花巻駅前に計画している「新花巻図書館」の建設に向けた基本設計に着手する。19日の市教育委員会議で「新花巻図書館整備基本計画」の承認を得た。今後は基本設計業務の内容や発注方式などを庁内で検討。6月議会で予算を計上し、同月以降に公告する見通しだ。
 新図書館の規模は収蔵資料数最大70万冊程度を想定している。概算事業費は2階建て延べ4500平方メートル規模で整備した場合、約39・9億円と試算。宮沢賢治など市ゆかりの先人や作家なども含め、図書企画展示やイベントも開催する。2030年度の開館を目指す。整備には、国の補助制度「都市構造再編集中支援事業」の補助金15億円を適用する予定。市の負担分には7割の交付税措置が受けられる合併特例債を活用し、実質負担は8億4000万円になる。
 現花巻図書館は、花巻駅から南西2キロの若葉町3の16の24(敷地面積3000平方メートル)に位置する。建物はRC造3階建て延べ1304平方メートルの規模。建築から50年以上が経過し、施設の老朽化が大きな課題になっている。
 新花巻図書館の建設地を巡り、21年度には関係者や市民団体代表らの基本計画検討会議を設置し、施設の機能や立地で議論を重ねてきた。最終的には総合花巻病院跡地と花巻駅前のJR所有地の2案を比較検討。市民説明会を経て、3月に花巻駅前を建設候補地に選んだと発表した。
 「新花巻図書館建設候補地比較調査業務委託」は大日本ダイヤコンサルタントが担当した。




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2025年5月19日月曜日

日本建築協会/U-35委員会が本部事務所リニューアル、サロン機能で会員交流促進

 大阪市中央区のOMMビルに入居する日本建築協会(指田孝太郎会長)の本部事務所リニューアルプロジェクトがこのほど完了した。若手設計者でつくるU-35委員会が主体的に、企画から設計、施工を手掛けた。可変的で循環型社会に貢献する木材「ノマドギ」を活用し、2004年の入居以来、変わることがなかったレイアウトを抜本的に一新。サロン機能を備え協会活動や会員交流を促す、開放的なオフィス空間が誕生した。
 事務所はビル内のテナント1部屋。今回のリニューアルは、協会の特徴であるサロン性とアーカイブ性を備えたワークプレイスを構築しようと、24年3月に指田会長がU-35委員会に打診。24年度の活動テーマである「トランスフォーメーション」を体現するプロジェクトとしてスタートした。
 同委員会は、大阪府茨木市の社会実験などで再利用してきたノマドギを間仕切りや本棚、会議テーブルなどに有効活用しようと企画。保管先の竹中工務店寮で数百本の部材を事務所向けサイズにカットし、塗装を行った。
 設計では最初に4グループに分かれてゾーニングなどを立案。それぞれの長所を抽出し、追加案も踏まえて24年9月までに最終的な設計をまとめた。大川や中之島の景色が望める北側の窓際にカウンターや会議テーブルなどサロンスペースを設けることになった。
 1月から3月にかけてキドビル工務店(大阪市平野区)の協力を得て、2工区に分けて事務所を使いながら施工を実施。委員らの手で、ノマドギの家具製作や左官作業などを行った。カーペットパネルはメーカー5社からランダムに採用し、エントランスとオフィス、サロンのゾーン別に色調を差別化した。
 同委員会の大屋泰輝さん(大林組)は「各委員会の会議が気軽に事務所で開けるようになり、協会の一体感が高まった」、倉知寛之さん(日本設計)は「家具によってノマドギに使用感が見られ、これまでのプロセスが感じられる」と感想を語った。リーダーを務めた河崎菜摘さん(竹中工務店)は「委員会と工務店、メーカー、事務局で知恵を出し合い、作り上げたことに意義がある」と強調した。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173932
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回転窓/未来を創る公共事業

 作家・評論家の堺屋太一氏は2010年5月、NHK教育テレビ「歴史は眠らない」で公共事業論を展開した。4回シリーズのテーマは「ニッポン公共事業物語」。今もこの番組のテキストをよく読み返している▼当時は財政難などを背景に公共事業批判が激しかった頃。現代から平安京の時代までさかのぼり、公共事業が持つ意味を解き明かす内容の番組に学んだことは多い▼例えば江戸時代、3代将軍・徳川家光の治世後期にそれまでの成長が急速に衰える。こうした史実に触れて〈財政が悪化したから公共事業を減らした。それで税収が伸びなくなり、さらに公共事業が減少する、という悪循環に陥った〉と指摘する▼政府は6月にも新たに国土強靱化実施中期計画を策定する。自然災害が頻発・激甚化し既存インフラの老朽化も進む中、さまざまな施策の計画的、持続的な推進が可能となる事業規模を確保してもらいたい▼番組のシリーズ最終回で〈公共事業は本来、「未来を創る」事業、「夢を実現する仕事」〉と堺屋氏。安全・安心の確保だけでなく、そうした次代につなぐ公共事業とは何かがもっと考えられていい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173926
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東鉄工業/社長に伊勢勝巳氏(JR東日本)、6月26日就任

 東鉄工業は16日、社長にJR東日本の伊勢勝巳代表取締役副社長兼イノベーション戦略本部長を迎える人事を発表した。6月26日開催予定の株主総会後の取締役会で正式決定する。前川忠生社長は代表権のない会長に就く。
 伊勢 勝巳氏(いせ・かつみ)1988年東京大学工学部土木工学科卒、JR東日本入社。2015年執行役員総合企画本部投資計画部長、18年常務執行役員総合企画本部復興企画部担当兼鉄道事業本部設備部担当、21年代表取締役副社長兼技術イノベーション推進本部長。石川県出身、60歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173924
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許可業者数24年度末集計、13年ぶり48万業者超/新規取得は過去10年で最低

 国土交通省は16日、2024年度末(25年3月末)時点の建設業許可業者数を発表した。総数は48万3700業者。底を打った17年度末(46万4889業者)から徐々に回復し、11年度末以来13年ぶりに48万業者を超えた。ただ24年度に許可を新規取得した業者は過去10年で最も少ない。許可の更新手続きを迎える業者が比較的少ない期間に重なり、廃業・許可失効も低水準となったことが総数増加の主因と言える。
 総数は前年度末から4317業者増加。ピークだった1999年度末(60万0980業者)から2割ほど減っている。24年度の新規許可取得は前年度から微減の1万6164業者。2000年代以降で見ると13年度(1万5738業者)、11年度(1万6034業者)に次いで少ない。
 廃業・許可失効は24年度に1万1847業者。00年代以降で最少だった23年度(1万1832業者)と同じ水準だった。実際に廃業を届け出たのは7252業者で例年とほぼ同水準。更新手続きを行わず自動的に失効したのは4595業者だった。
 許可業者数のうち一般許可は45万8055業者、特定許可は4万9739業者。いずれも前年度末から1%前後増加した。資本金階層別の増加数を見ると「200万円未満」が2606業者、「500万円以上1000万円未満」が2012業者と比較的小規模な業者の増加が目立つ。
 前年度末からの業者数の増減を29の業種区分別に見ると、増加は25業種で減少は4業種。増加数は多い順に「とび・土工」の2466業者、「解体」の2424業者、「内装仕上」の2288業者。減少数は「建築」の646業者が最も多い。複数業種の許可を受けている業者は54・0%と半数を超える。
 建設業以外の事業を手掛ける兼業業者は14万3333業者。全体に占める割合は29・6%で、年々上昇している。許可の承継制度を活用した事業承継の認可件数は24年度に1060件。20年度の制度創設以降、年1000件前後で推移し着実に活用されている。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173935
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山口県下松市/多機能複合型スポーツ施設BTO、9月にも実施方針公表

 山口県下松市は、下松スポーツ公園(河内)内に計画する多機能複合型スポーツ施設について、9月にも同施設整備事業の実施方針を公表する。武道場や温水プールを備え、地域のにぎわい拠点を目指す。事業手法はPFIのBTO(建設・移管・運営)方式を基本とし、特定事業に選定した後、2025年度内に事業者を募集する。
 アドバイザリー業務の委託先の選定は公募型プロポーザルを採用し、八千代エンジニヤリングが交渉権者になった。
 計画では公園内の3カ所の候補地から市温水プール「アクアピアこいじ」(閉鎖)の跡地に同施設を建設する。体育館との距離が最も近く、圧迫感がなく新たな建物を建てられるとしている。
 施設内には老朽化で利用を中止している市民武道館の機能のほか、温水プールを設ける。武道場は柔剣道場が400平方メートル程度、観覧スペースが140平方メートル程度、弓道場が610平方メートル程度など計1275平方メートルを想定。当初予定していた多目的スポーツフロアは設置しない。
 プールは25メートル8レーンで水深を調整できる可動床を採用。小中学校の授業でも利用する。観覧スペースや更衣室、シャワー室などを含めた面積は865平方メートルを見込む。ほかにトレーニング室や器具庫、多目的会議室、更衣室が入り、全体の規模は約4400平方メートルを想定する。売店など民間収益施設の設置も検討している。
 概算事業費は約56億6300万円(税込み)と算定し、うち建設工事費は約43億6700万円(同)を見込んでいる。
 26年度上半期中に優先交渉権者を決め、事業契約を締結後、設計に着手する。事業者の選定方法は検討中。30年度中の供用開始を目指す。維持管理・運営期間は15~20年程度とする。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173937
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大成建設ら/自律走行ロボの自動緊急停止装置開発、作業範囲外への暴走防止

 大成建設と反射板開発を手掛ける法和(神奈川県海老名市、杉山宜志社長)が建設現場で使う自律走行ロボットの自動緊急停止装置を開発した。作業範囲の床に反射テープを配置して囲うと、ロボットに取り付けたセンサーが反射信号を検知。システムトラブルが重なる誤作動が起きても作業エリア外に出ないようになる。あらゆるロボットに搭載できるのが特徴。反射テープの設置やセンサーの取り付けが簡単でコストも抑えられる。
 「ロボストップシステム」を大成建設が開発した自律走行搬送ロボットシステム「T-DriveX」のフォークリフト型ロボットに搭載し、安全で機能が有効であることを確認した。停止区画を設定する反射テープは幅25ミリ程度のサイズ。専用の巻き取り機に納め、簡単に作業床へ設置できる。反射信号を検知するセンサーは強さの調整ができる。さまざまなロボットに取り付けられるよう位置や高さの変化に対応可能という。
 ロボストップシステムは有線接続で安全対策も万全を期している。センサーの取り付け台数を増やして万一の検知ミスを防ぐ機構になっている。
 今後はロボストップシステムをフォークリフト以外のロボットや無人搬送車・搬送ロボットなどに順次搭載していく。




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2025年5月16日金曜日

建築へ/建築関係5会、国際的で魅力ある次世代の建築職能人材の育成へ提言

 日本建築士会連合会(士会連合会、古谷誠章会長)、日本建築士事務所協会連合会(日事連、上野浩也会長)、日本建築家協会(JIA、佐藤尚巳会長)、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)、日本建築学会(竹内徹会長)の建築関係5会が14日、「国際的で魅力ある次世代の建築職能人材の育成に向けた提言」を発表した。国内の建築学生が卒業後に海外でも活躍できる環境を少しでも広げ、海外で建築を学んだ人材が日本国内でも広く活躍できる環境を整備。次世代の人材にとって建築に関わる職能が魅力的であり続けるため、各団体が連携し戦略的に取り組むべき喫緊の課題に対する提言をまとめた。=1面参照
 提言は▽国際化対応へ向けた関係諸団体の一層の連携強化▽日本の建築界および専門職能の魅力の維持・発展▽1級建築士資格制度の将来像▽建築教育と産業界での実務との接続の在り方▽建築教育の国際通用性向上▽国際協定傘下の教育プログラム修了生の資格制度における扱い-の6項目で構成する。
 国際化への対応は関係団体一丸で対応すべき喫緊の課題に据えた。日本では建築設計に関わる団体が複数あり、各団体の会員加入率は決して高くないとした上で、職能代表として国際的なプレゼンスを十分に発揮しているとはいえないと指摘。今後の生産年齢人口の減少に伴い人的資源が分散しないよう、国際化対応へ向けて関係諸団体が連携し一丸となって取り組むことが重要であるとした。
 日本の建築界やそこで働く専門職能が、将来にわたり魅力的であり続けることは、次世代の人材を確保するために重要なテーマと位置付けた。アーキテクトとエンジニアを包括した国家資格「建築士制度」の強みを生かし、新しい技術や業務内容を反映した専門職能像へと発展させる。その魅力を幅広く継続的に発信、広報していけるよう関係団体が連携して取り組む。
 建築設計に関わるサービスが国・地域の境界を越えて提供される時代になっている。建築士制度が他の国・地域のアーキテクト資格と相互認証されることによる国際的な信用性の獲得は今後、日本の建築学生が卒業後に国内外問わず活躍できる可能性を広げるために重要な要件となる。
 1級建築士資格は、アーキテクトとエンジニアを包括したベースの資格として維持するとともに、今後は国内の生産年齢人口の減少やグローバル化の進展などに照らして国際的な信用性を増進するための対応方策を検討する必要があると指摘した。
 近年の就職活動の実態を見ると、従来の採用活動の流れが現在の学生ニーズとかみ合わず、就職活動の早期化と長期化をもたらし、学修機会の損失原因となっている。このような状況は企業にとっても有望な人材を採用する機会を失っている可能性がある。
 2020年施行の改正建築士法により建築士試験の受験機会が早期化し、学部卒業の翌年から受験が可能となった。これにより在学中の大学院生も建築士試験が受験できる。就職活動の早期化と長期化に加え、就職活動が終わると受験準備に注力する状況が生まれるなど、大学院教育の空洞化を懸念。法改正時に提示された建築士人材の持続的かつ安定的な確保という目的が達成されたか検証した上で、試験の内容や形式、水準について必要な改善を行い、次世代を担う人材をしっかり確保、育成していく必要性を指摘した。
 国連教育科学文化機関(UNESCO)/国際建築家連合(UIA)建築教育憲章に準拠した建築教育が多くの国で実施されている。日本では日本技術者教育認定機構(JABEE)が、19年に同憲章に準拠した建築教育を相互認証する「キャンベラ協定」に正式加盟。だが同協定の認定大学は極めて少ないのが実情だ。
 将来の日本の設計者が不利益をかぶったり、国際的に孤立したりすることを懸念。そこで建築士制度の改革に合わせて相互の整合性を高め、建築教育の国際通用性の向上のための方策を検討すべきとした。
 国際化が進む中、国・地域のボーダーを超えて若手人材の育成が適切に実現することは、日本の建築界(建設業や建築設計業)が国際的な競争力を持ち続けるためにも重要となる。建築士制度に関わる扱いも、国・地域のボーダーを超え移動する際、適切に機会が付与され、対外的に説明可能な形で対応が図られるよう関係機関間での協議を進めるべきと提言した。

 □代表者が会見/「日常的に議論できる関係に」□
 建築関係5団体の代表者が14日、東京都港区の建築会館で共同会見を開き、次世代の人材育成に向けた提言内容や今後の展望などについて語った。
 士会連合会の古谷会長は現行の建築士制度が機能しているとした上で、「製図試験は曲がり角に来ている。試験制度の在り方を考え関係官庁に働き掛けていき、日常的に議論できる関係に持っていきたい」と述べ、試験制度の改革の必要性を訴えた。
 日事連の上野会長は「機関決定する中でさまざまな意見があったが、志を一つにしなければ良き人材がわれわれの業界に入ってこない。(提言は)建築界がまとまって行動できるアクションになる」とし、今後の展開に期待した。
 JIAの佐藤会長は「建築士はアーキテクトとエンジニアが内在している。今回の提言は教育から資格制度、試験など広範囲にわたって日本の建築設計全般、建築物のレベルにも関わるような内容になっている」と提言への理解を求めた。
 日建連の賀持剛一建築設計委員長は「人手不足の中、早く良い人を採りたいと採用活動が早期化している。提言を周知しているが、改善に向けた具体的な議論はこれから。教育界、産業界がウインウインになるような採用活動にしていきたい」と述べた。
 日本建築学会の竹内会長は今後について「まずは各団体がホームページなどを通じて提言を一斉に発信する。国土交通省、文部科学省、関連団体などへの働き掛けも進める」と説明。提言内容を2年にわたり議
論してきた「産学連携建築教育懇談会」も継続し、検討を深めていく考えを示した。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173854
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日本工営/社長に福岡知久副社長昇格、7月1日就任

 日本工営は、福岡知久代表取締役兼副社長執行役員が7月1日付で社長に昇格する人事を決めた。退任する金井晴彦社長は、15日付でID&Eホールディングス(HD)の会長に就いた。
 福岡 知久氏(ふくおか・ともひさ)1988年東京工業大学(現東京科学大学)大学院総合理工学研究科社会開発工学専攻修了、日本工営入社。2023年7月代表取締役兼副社長執行役員、25年5月ID&EHD専務執行役員。愛知県出身、61歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173848
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国交省/技術提案評価SI型の試行開始、各整備局に実施要領通知

 国土交通省は直轄工事で総合評価方式の新タイプ「技術提案評価型SI型(エスイチ型)」の試行を開始する。地方整備局などに試行の実施要領を14日付で通知した。SI型を採用する際の考え方や流れを明示し、発注者に適切に判断してもらう。比較的軽微な設計変更や新技術の活用を通じ、品質や環境、安全性などの向上が期待できる提案の採用を促す。国交省全体の方針として、まずは山岳トンネルの省人化施工で先行的な試行に乗り出す。
 国交省は試行を通じコストがかかったとしても高い効果を発揮する発展的な民間提案を促していく考えだ。SI型では入札価格とは別枠で適切に費用計上することを前提とした「技術向上提案」を新たに求める。設計変更を伴う提案を認めておらず、提案部分の実施費用を含めて予定価格の範囲内という制約があるS型の限界を突破する。
 技術向上提案のテーマは、通常の技術提案テーマとは別に一つ設定する。実施要領では想定されるテーマをいくつか例示。高コストが障害になり現行の調達制度では採用が難しい省人化・無人化や脱炭素に関する技術・機材・工法などを挙げる。施工者のノウハウを生かした交通事故防止や作業員の危険防止など安全性の高い工法の採用、点検困難箇所への維持管理性の高い仕様の採用にも生かす。
 評価点はS型で技術提案に配分されている点数の一部とし、技術提案全体の配点の2分の1から3分の1のウエートで設定。自社開発品などを除き、資材を置き換えるだけの提案は評価しない。競争参加者には提案実施に要する概算費用の明示を求める一方、入札はその費用を含めず当初仕様で行う。S型よりも提案の作成期間を確保する観点で、入札説明書の交付から競争参加資格確認申請書の提出までの期間は4~8週間程度と長めに設定する。
 概算費用には事前の調査・測量・設計や施工中の品質管理・出来形管理費用も含むこととし、当面は予定価格の5%を超過しない範囲で提案可能とする。採用決定後は受注者から提案部分の見積もりを徴収し、協議を経て増額変更する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173858
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愛知県/CN実現へ水素エネ社会実装加速、需要調査や供給拠点の構築可能性検討

 愛知県は本年度、カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、新たなエネルギー資源として期待される水素の社会実装に向けた取り組みを加速する。「水素供給拠点構築可能性検討調査業務委託」をNTTデータ経営研究所、「公共分野水素導入促進事業実施委託業務」を三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)、「大型水素ステーション整備促進検討調査事業実施業務」を日本環境技研にそれぞれ委託。公共と民間の両面から水素の製造・供給や需要などに関する調査を進める。
 水素供給拠点構築可能性検討調査は、製造・供給、利用に関する国内外の先進事例を収集した後、遊水地など活用の余地がある公共用地や民間所有地をリストアップし実現可能性を検討する。事業スキームやスケジュール、事業化に必要な支援策もまとめる。
 公共分野水素導入促進事業は、水素導入が可能な公共施設を洗い出すとともに、近隣エリアの需要も把握し一定規模の水素需要を可視化。市町村向けの勉強会や民間企業とのマッチングを行い、公共分野の水素活用の社会実装を支援する。
 大型水素ステーション整備促進検討調査は、燃料電池(FC)大型トラックなどに安定した水素を提供するため、大型水素ステーションの整備候補地選定、事業化に向けたロードマップなどをまとめる。履行期間はいずれも2026年3月まで。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173862
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2025年5月15日木曜日

兵庫県/がんセンターが起工、設計は山下設計・建築施工は大林組JV

 兵庫県が明石市北王子町に計画する「県立がんセンター建築その他工事」の安全祈願祭と起工式が3日、建設予定地で行われた。建物の総延べ面積は約4万1000平方メートル。地域がん診療連携拠点病院として集約的医療をはじめ、ゲノム医療など最先端医療を提供する新病院を建設する。設計・監理を山下設計、建築施工を大林組・大鉄工業・関西建設工業JVが担当する。工期は2027年10月まで。
 式には県や明石市、設計・施工の関係者らが多数出席。神事の地鎮の儀では、山下設計の藤田衛取締役兼副社長執行役員が鎌入れ、兵庫県の齋藤元彦知事が鋤入れ、大林組の川上宏伸副社長執行役員大阪本店長が鍬入れを行った。関係者で玉串をささげ、工事の安全を祈願した。
 起工式で齋藤知事は「新病院は進化が著しいがん医療に対応しながら、県民に良質な医療サービスを提供しリーディングホスピタルの役割を担っていく」とあいさつ。藤田取締役兼副社長執行役員は「これまで苦難もあったが関係者と協力し無事にきょうを迎えることができた。未来のがん医療に対応可能な施設設計を提案した」と話し、川上副社長執行役員大阪本店長は「がん医療の発展をリードする素晴らしい施設になるよう、万全の体制で安全施工に努める」と決意を述べた。
 現がんセンターを現在地の北隣「明石西公園」(約4ヘクタール)に建て替える計画。新病院の診療科目は23科で病床数は360床。病院棟(RC造〈免震構造〉7階建て延べ約3万9000平方メートル)や放射線治療棟(RC造3階建て延べ約1850平方メートル)などで構成する。
 機械設備工事はテクノ菱和・美樹工業JV、電気設備工事をきんでん・栗原工業・東洋電気工事JVが担う。
 □西海茂輝所長(大林組)の話□
 「近く杭工事の準備に取りかかり、6月に本格着工できる見通し。長期間の工期だが安全管理を徹底する」。




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回転窓/熱意と努力が支える人気

 山口県の南西部にある山陽小野田市はセメント町という地名があるほどセメント産業と関わりが深い。セメント樽(たる)を模したもなか「せめんだる」は、藤田剛二市長もお薦めの市民に愛される銘菓だ▼明治時代、セメントは木製の樽に詰めて工場から出荷されていた。せめんだるはその名の通りセメント樽がモチーフ、地元で定番のお土産だった。コロナ禍の影響で一時は店頭から消えてしまったが、市内のパン店が「復刻せめんだる」としてよみがえらせた▼現在山陽小野田にはまちづくりの視察が全国から相次ぐ。土地を現物出資した市と資金を出した民間が設立した共同事業体(LABV)による施設整備が注目されている▼市有地に整備した複合施設は市民活動の拠点としてにぎわい、商工会議所や金融機関が入居。大学生の寮にもなっている。LABV方式は公共施設の老朽化対策や公有財産の活用策として期待が高まる▼パン職人は国内有数のあんこの名人に師事するなどして銘菓の復活にこぎ着けた。同方式の実施では市と議会が対立しながらも議論を尽くした。銘菓も政策も人気の裏側には熱意と努力がある。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173803
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国交省/25年春の叙勲伝達式開く、長きにわたる協力に感謝

 国土交通省関係の2025年春の叙勲伝達式が14日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれた。
 中野洋昌国交相の代理として、吉岡幹夫事務次官が中綬章以下の受章者に勲章を伝達。受章者を代表し、旭日小綬章を受章した日本建設躯体工事業団体連合会会長の大木勇雄氏らが伝達を受けた=写真。
 式典では大木氏のほかに、瑞宝中綬章を受章した元国交省道路局長の前川秀和氏、瑞宝小綬章を受章した元北海道開発局札幌開発建設部長の西村泰弘氏、瑞宝単光章を受章した日誠工業社長の阿部誠氏らが代表で伝達を受けた。
 吉岡次官は中野国交相の祝辞を代読し「長きにわたり国土交通行政の推進への協力に感謝を申し上げる。今後も関連分野の課題解決に支援をお願いしたい」と受章者をたたえた。
 大綬章・重光章の受章者には、9日に皇居で親授式と伝達式が行われている。
 14日には、建設関係11団体が主催する叙勲祝賀会が東京プリンスホテルで開かれた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173816
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山口市/リフレッシュパーク内に武道館整備、25年度内に基本設計

 山口市は、やまぐちリフレッシュパーク(大内長野1107)内に武道館を整備する。県大会や中国大会など中規模程度の大会を誘致できる施設で、競技コート4面や400席程度の観客席を設ける。2025年度は基本設計と地盤調査を行い、28年度内の供用開始を目指す。事業手法は従来型を採用。基本設計の委託先はプロポーザル方式で選定する方向で検討を進めている。
 市が公表した基本計画によると、武道への関心や関係者の活動意欲を喚起させる受け皿として市独自の施設を建設。多様化するスポーツニーズに対応し、気軽に武道を楽しめるようにする。
 建設場所は土地の広さやアクセス性に加え、用地取得が不要なことから同パーク(敷地12万6000平方メートル)の芝生広場を候補に検討する。周辺には二つのアリーナやグラウンド、テニスコート、プールがある。
 建物は平屋でコンパクトな施設とし、メンテナンスが容易な仕様にする。館内には更衣室や会議室、器具庫を備え、空調設備を設置する。内装には可能な範囲で市内産材の活用を検討する。事務室やトレーニングルームは設置しない。
 同パークには564台分の駐車場があるが、周辺の市有地を含めて新たに200台程度の駐車スペースを確保できるよう検討する。
 事業手法はPFIや設計・施工一括(DB)方式などと比較したが、サウンディング(対話)調査で民間事業者の参画意欲が低いことが分かり、従来手法で事業を進める。
 概算事業費は基本設計で算出する。26年度に実施設計を進め、27年度の着工を予定する。




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2025年5月14日水曜日

回転窓/天丼の極意とは…

 東京・日本橋人形町は老舗の料理店が多い場所として知られる。風情のある街並みに溶け込む名店の数々に名物メニューを味わおうと多くの人が訪れる▼香ばしく濃厚なタレをかけた黒天丼が有名で、いつかは行ってみたいと思っていたお店に先日お邪魔した。丼からはみ出た天ぷらはタレがたっぷりと染みこみ、白米とのバランスも絶妙。ボリュームはあったが、あっという間に完食してしまった▼天丼は江戸時代後期に江戸の町で生まれたという。屋台や露店で丼の上に天ぷらをのせ、お客に提供したのが始まりとか。手軽に庶民が味わう様子を想像すると、今でいうファストフードだったのだろう▼漫才やコントで同じボケやギャグを何度も繰り返して笑いを生み出す手法を「天丼」という。天丼にエビが2本以上のっているのにかけ、同じ話題を並べることが由来だそう。なんとも風流でしゃれた名付けだと感心した▼空気を読みながら笑いを引き出すタイミング、言葉のチョイスや強弱は芸人のセンスや経験が物を言う。天丼の極意は言葉を職業にした新聞記者にも相通じるところがあるかもしれないなと思った次第。




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自民特別委/インフラ輸出戦略で提言まとめ、スタートアップの海外進出へ支援策

 自民党のインフラシステム輸出総合戦略特別委員会(委員長・松本洋平衆院議員)は、インフラ輸出に関する提言をまとめる。防災や健康など日本企業が強みを持つ分野で、戦略的な海外展開を進めるため「政府が覚悟を示すことが重要」と指摘。特にスタートアップの海外進出を後押しするため制度や資金面で支援策の充実を求める。
 13日に東京・永田町の同党本部で会合を開き、提言案をおおむね承認。近く政務調査会で正式に決定し、関係閣僚らに提出する方針だ。
 政府は「インフラシステム海外展開戦略2030」を2024年12月に策定。海外インフラ市場の成長を捉え、30年に過去最高となる年間45兆円の受注目標を掲げ、日本企業の輸出拡大に向けた方針を示した。
 提言は政府の戦略を踏まえ、流動的な世界情勢の中で「政府が戦略的視点を持って企業の海外進出を後押しする覚悟を示すことが重要」と指摘。途上国での社会課題の解決に向け、政府や各省庁の首脳によるトップセールスをさらに積極的かつ具体的に展開すべきだとしている。
 日本企業の強みに防災や健康、医療などの分野を挙げ、銀行など金融機関とも連携した海外への売り込み活動の展開を求める。特に社会課題の解決に結び付くような技術、アイデアを持つスタートアップが積極的に海外進出できるよう、社会的信用や資金面で政府が全面バックアップする必要があるとしている。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173773
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沖縄県/マリンタウン地区MICEエリア形成の調査検討業務報告書を公表

 沖縄県は、西原町東崎と与那原町東浜の中城湾港マリンタウン地区で計画するMICE(国際的なイベント)エリア形成に向けた2024年度の調査検討業務の報告書を公表した。大型MICE施設の建設・運営事業と一体的に行う方針となっている地区内の公有地活用については、民間事業者の参画意欲を高める観点などから切り離す考えを有力案として示した。25年度は公有地活用の用途見直しなどを検討し、必要に応じてMICEエリア形成事業の基本計画の改定内容にも反映させる。
 大型MICE施設を整備する「沖縄県マリンタウン国際会議・大型展示場整備運営等事業」については、24年6月に公告した一般競争入札(WTO対象)が不調となった。これを受け、26年度以降の早期に再公告できるよう、25年度はBT(建設・移管)+コンセッション(公共施設等運営権)方式のPFIとしている事業方式や事業範囲の見直しなどを進める。
 不調となった入札公告では公有地活用について、大型MICEゾーン(約14・5ヘクタール)の東側に位置するH1ゾーン(約3・47ヘクタール)での宿泊施設の整備、同ゾーンの西側にあるH3-Tゾーン(約1・14ヘクタール)内での交通ターミナル整備を必須要件に設定。併せて、同地区の南側にあるH2ゾーン(約2・9ヘクタール)などでの収益施設の提案を任意としていた。
 報告書ではエリア全体で統一した街づくりを推進するため、ビジョンや課題を共有する地権者らを中心としたエリア協議会、デベロッパーらによるエリアマネジメント組織の設立を必要とした。大型MICE事業の再公告が遅れる場合でも、エリアマネジメントを着実に推進できるよう、公有地活用を大型MICE事業と切り分けるのが有力とされた。
 必須となっていたH1ゾーンの宿泊施設は、商業機能などの多用途との複合化を視野に25年度の調査業務の中で検討を深める考え。
 24年度の調査検討業務はデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが担当。




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戸田建設、西松建設/環境配慮型コンクリ共同開発、材料由来のCO2排出ゼロ以下に

 戸田建設と西松建設が、工事の脱炭素化に向けた「カーボンネガティブコンクリート」を共同開発している。二酸化炭素(CO2)を吸収・固定化した炭酸カルシウムを添加し、材料由来のCO2排出量を実質ゼロ以下に減らす。コンクリートポンプ車を使用した実証試験を行い、現場打ち施工に成功した。本格実装に向け、開発を加速する。
 カーボンネガティブコンクリートは、2社が2016年に共同開発した低炭素型コンクリート「スラグリート」の配合がベースとなる。配合に使うセメントの多くを高炉スラグの微粉末に置き換え、材料由来のCO2排出量を最大85%削減。さらにCO2を固定化した炭酸カルシウムを添加し、材料起源のCO2の排出量を実質ゼロ以下に削減する。
 実証試験では、製造方法が異なる炭酸カルシウムを使い、2種類の配合でカーボンネガティブコンクリートを製造した。ポンプ車で圧送と打ち込みを行い、一般的なコンクリートと同等の強度や表層品質を確保できることを確認した。
 粉体量の多いコンクリートは、コンクリートの粘性が高く、硬くなりやすい。流動性を高める特殊混和剤を開発。ポンプ車で圧送できるようにして施工性を高めた。
 国内では年間7000万立方メートル以上のコンクリートが使用され、製造時のCO2排出量は約1900万トンに上る。2社はカーボンネガティブコンクリートの開発を通じ、脱炭素社会の実現に向けた貢献を強める。




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情報通信設備工事大手3社/25年3月期決算、全社が増収増益

 情報通信設備工事大手3社(エクシオグループ、コムシスホールディングス〈HD〉、ミライト・ワン)の2025年3月期決算が13日に出そろった。NTTグループの積極的な設備投資や旺盛なデータセンター(DC)需要が、各社の業績をけん引。連結ベースでは全社が増収増益となった。24年4月の時間外労働上限規制の適用以降で初の本決算を好調に終えた各社は、業務効率化や事業体制の再編で生産性を高めながら、将来への成長投資にも力を入れる。
 連結売上高は全社が増収とした。エクシオグループは中期経営計画(21~25年度)で掲げた目標の6300億円を1年前倒しで達成。DC需要に加え、NTTの次世代光回線のエリア拡張やNTTドコモの回線容量増大に向けた工事需要に応えた。
 コムシスHDはNCC(ニュー・コモン・キャリア=NTTグループ以外の通信事業者)の投資抑制の影響を、ITソリューション事業や社会システム関連事業の伸長が補った。ミライト・ワンは再生可能エネルギー関連工事などに加え、傘下の西武建設や国際航業の売り上げ増が寄与した。
 本業のもうけを示す営業利益は全社が増益。エクシオグループは、子会社の再編を含むアクセス・モバイルの一体運営や選別受注の強化などが実を結んだ。ミライト・ワンはキャリア事業で、各支店と地域会社で保有資産を共有・集約するなどして利益確保に取り組んだ。先行指標となる受注高も全社が伸ばしている。
 各社は26年3月期、NCC各社の投資動向や米国の通商政策が国内設備投資に与える影響を引き続き見極めつつ、DC関連など官民の大型案件を確実に受注したい考え。グループ内の連携や事業体制の見直しによる業務効率化で収益性を改善するとともに、将来に向けた投資を惜しまない方針だ。コムシスHDは人材投資などを強化するとし減益を見込む。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173768
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2025年5月13日火曜日

回転窓/自分の価値観を大切に

 春の大型連休が終わると目にするようになるのが五月病のニュース。環境の変化に心身が追いつかず、ふとしたきっかけで無気力になったり倦怠(けんたい)感を抱いたりしてしまう。程度の違いはあれど、一度くらいは「あれ?」と思ったこともあるのでは▼本人に代わって退職の意思を会社に伝える退職代行業が繁盛しているそうだ。面倒ごとは他人任せと割り切ることに賛否はあろうが、自分の考えをしっかり持たずに行動すれば転職ループの沼にはまりかねない▼自分の価値観を大切にしながら、豊かで楽しい生活を送るために仕事を選ぶ。失敗を恐れず行動することで自信が深まり、自分の強みや限界を知ることもできる。後輩には挑戦を通じて成長し、自分らしくなってほしいと思っている▼過去の試練や経験を振り返り、そこで得た教訓を生かすのが「温故知新」。石の上にも3年とは言わないが嫌なことを退け、割り切ってばかりでは必要な教訓は得られないと、老婆心ながらつい考えてしまう▼特定の分野で専門性を深め自分だけの視点や価値を追求することで存在感が発揮できる。これが30年超の社会人生活で得た教訓。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173740
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三重県/強靱化対策5年間の施策実施状況、目標18項目中17項目達成へ

 三重県は、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に合わせて進めている県の災害対策実施状況をまとめた。2021年度に5年間を見据えた県の達成目標を示し、計画的に取り組みを進めてきたもので、最終年度となる25年度も各事業を推進し海岸堤防の高潮対策など18項目中17項目で目標が達成できる見通しとした。
 5か年加速化対策の終了後も、のり面・盛り土の崩落防止や河川堆積土砂の撤去など各メニューで対策が必要な箇所が残るため、国が策定作業を進めている次期国土強靱化実施中期計画を踏まえ、26年度以降も目標を掲げて着実に対策を進める予定だ。
 県の主な対策メニューは▽のり面・盛り土の土砂災害防止(25年度末までの進捗目標約40%)▽渡河部橋梁の流失防止(約50%)▽河口部の大型水門・樋門などの耐震化(約50%)▽海岸堤防など高潮対策(約80%)▽河川堆積土砂の撤去(約40%)-など18項目。25年度までの目標は17項目で達成する予定。河口部の大型水門・樋門などの耐震化については、本年度末までの目標達成は困難とした。
 のり面・盛り土の土砂災害防止は、緊急輸送道路沿いでコンクリート製のり枠工や落石防護網工などを行っている。全149の要対策箇所に対し、本年度で約60カ所(約40%)が実施済みとなる。26年度以降、5か年加速化対策と同水準の予算が継続されれば約15年で完了する。通常予算だけの場合は約55年かかる試算。
 渡河部橋梁の流失防止の対象は全8橋。橋脚の少ない構造形式への変更を進めている。本年度末までに4橋が完了する予定。同水準予算継続なら約5年、通常予算だけは約10年での完了を想定する。
 河口部の大型水門・樋門などの耐震化は20施設で対策が必要。水門柱や排水機場施設を補強している。本年度末までに9施設が完了する見込み。目標は約10施設だった。同水準予算が継続されれば約10年、通常予算だけなら約25年で完了する予定。
 海岸堤防整備など高潮対策は要対策区間131キロに対し、本年度末までに約100キロの完了を目指す。同水準予算継続なら約40年、通常予算だけでは約60年かかると試算した。
 河川堆積土砂の要撤去量は約310万立方メートル。既に約110万立方メートルを撤去済み。30年度以降、緊急浚渫推進事業債が継続すれば約10年、29年度で事業債が終了した場合は約20年かかる見込み。
 このほか、緊急輸送道路の舗装修繕や橋梁の耐震補強、未改良区間の整備、粘り強い堤防への強化などにも取り組んでいる。




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前田道路/創業100周年で本店祝賀会開く、高い目標に挑戦し続ける

 前田道路の創業100周年を祝う同社本店祝賀会が10日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた。今泉保彦社長ら役職員やその家族、来賓としてインフロニア・ホールディングス(HD)の岐部一誠社長や前田建設の前田操治社長ら計約900人が出席。今泉社長は役職員を支えてきた家族や来賓らに感謝の意を表明し、次なる100年に向けさらなる成長を目指していく決意を新たにした=写真。
 冒頭、創業から現在まで歩んできた歴史を紹介する特別ムービーを放映。続いて今泉社長は「道路の造り手、守り手であるわれわれが国民生活の基盤を根底から支えているという自負と誇りを忘れないでほしい。現状に満足せず常に高い目標に挑戦することで次の100年も世の中から必要とされる会社に大きく成長しているだろう。皆さまと(新たな経営理念である)『ともに、未来につづく道を』歩んでいくことを誓う」とあいさつした。
 岐部社長は来賓あいさつで「前田道路が築き上げてこられた100年の歴史は大きな誇りだ。道路インフラの発展に多大に貢献され信頼と努力を積み重ねてこられた。これからもインフロニアHDの中核として活躍していただくことを大いに期待している」と祝辞を述べた。
 式典では100周年ムービーを制作したフィルムディレクターの水谷明希監督も祝辞を述べた。2026年1月に作業服と事務服を刷新する予定も報告した。




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沖縄県うるま市/与那城総合公園西側の約2・6万平米にホテル・レジャー誘致へ

 沖縄県うるま市は、多種目球技場や緑地広場などがある与那城総合公園西側(与那城屋慶名、敷地面積約2万6440平方メートル)にホテル・レジャー施設を誘致し、併せて市で駐車場を整備する方針を示した。今後、PFI導入可能性調査などを行い、開発事業者の公募・選定は2028年度を予定。31年度の開業を想定している。
 市が公表した「旧与那城庁舎周辺・県道37号線沿道・ロードパーク利活用基本計画策定業務」の報告書案の中で示した。同業務はオリエンタルコンサルタンツが担当。
 ホテル・レジャー施設誘致については、同業務で行ったマーケットサウンディング(対話型市場調査)の中で、事業者から「多くの宿泊客を受け入れ可能な施設構成が望ましく、必要面積は約1万5000平方メートルとする」などの具体的な提案があり、土地の売却か事業用定期借地を想定し事業者を公募する方針を固めた。
 同公園西側にあった機能については、公園東側と隣接している旧与那城庁舎跡地を活用して再整備する。庁舎は公園敷地として活用するため解体することを第1案としながら、対話型市場調査の中でリノベーションの意向も示されたことを考慮して解体せず活用する案も報告書では次点案として残した。
 このほか公園西側と隣接する海岸が県道37号線で分断されていることから、連続性を確保するため歩行者デッキを設置する考えも示した。庁舎を解体する場合の再整備に関する概算事業費は25億5986万6320円(税込み)と試算した。
 25年度はホテル・レジャー施設誘致に向けた事業スキームの検討などを行う予定で「勝連・与那城地域まちづくり調査業務(R7)」の公募型プロポーザルを公告しており、6月13日に審査結果を通知する。




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2025年5月12日月曜日

建コン協/仙台市でインフラ整備70年講演会開く、地域と共に築いたダムから学ぶ

 建設コンサルタンツ協会(建コン協)本部・東北支部は8日、仙台市青葉区の日立システムズホール仙台で「インフラ整備70年講演会(第59回)~戦後の代表的な100プロジェクト~」を開いた。テーマは「近代治水の発展に、地域と共に歩んだ北上川五大ダム」。平山健一元岩手大学学長名誉教授らが登壇し、ダム建設の経緯や受け継がれ進化してきた建設技術などを紹介した=写真。
 講演会には約455人が参加したほか、ウェブで約1000人が聴講した。開会に先立ち、田澤光治建コン協東北支部長が「地方での講演会開催は福岡、名古屋に続き、3回目となる。近代治水の計画の礎となった北上川五大ダムは、ダム技術の発展やダム事業の推進につながっているプロジェクト。皆さんにとって実り多い講演会となることを祈念する」とあいさつした。
 テーマの北上川五大ダムは、田瀬ダム(1941年着工、54年竣工)、石淵ダム(46年着工、53年竣工)、湯田ダム(57年着工、64年竣工)、四十四田ダム(62年着工、68年竣工)、御所ダム(69年着工、81年竣工)と石淵ダム再開発となる胆沢ダム(88年着工、2013年竣工)完成まで72年間に及ぶ国家プロジェクト。日本初の大河川による多目的ダム群として戦時下に着手し、戦後の激動する時代を乗り越え、現在のダム建設に関連する法制度や地域との合意形成に大きな影響を与えた。
 講演会では、平山名誉教授が、多くの課題や対立を乗り越えダム建設の目的を実現した経緯を紹介。「五大ダム建設は地域とともに歩んだ公共事業といえる。流域には、ともに助け合う風土があった」と強調。「多目的ダムの先駆けとなった五大ダムプロジェクトは一関遊水池事業の完成で間もなく一つの区切りを迎える。気候変動を踏まえ機能強化や水源地域の交流拠点として期待はますます膨らむ」と語った。
 佐藤伸吾元東北地方整備局北上川ダム統合管理事務所長は移転補償の仕組みが整っていない中で建設を進めた田瀬ダム、石淵ダム建設を経て「国内最大規模の水没補償となった湯田ダムでの合意形成の在り方や御所ダムが水源地域対策特別措置法制定の先例になった」と報告した。
 続いて、鹿島の松本孝矢前成瀬ダム堤体打設JV工事事務所長が石淵ダム再開発として施工した胆沢ダム建設で活用した情報化施工が「改良や工夫、日々進化する技術を融合させ成瀬ダムの自動化施工につながっている」と説明した。その上で「先輩技術者に学び、その志を受け継ぎ、さらに高効率な建設生産システムを進化させながら建設技術、工事を牽引していくがわれわれ技術者に課せられた使命だ」と力を込めた。
 講演会のコーディネーターを務めた渥美雅裕元胆沢ダム工事事務所長は「五大ダム建設を通じて得た知見と教訓が近代治水の法制度の整備や建設技術の向上に貢献している。老朽化や豪雨への対応など山積する課題解決に向け、土木の未来に期待したい」締めくくった。最後に流域住民の声がビデオメッセージで放映され「当時のさまざまな思いがあってダム建設が実現したと聞いているが、今のこの素晴らしい景色が地域の宝になっている」と五大ダムの効果を伝えた。
 会場には東北地域づくり協会による「北上川五大ダム写真展」も催され、工事写真や水没した地域の風景などを収めた200枚を超えるパネルを展示した。




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回転窓/春の恵みを味わう

 5月の連休に信州長野の山里を訪れ、この地域で露地栽培された山菜「ウルイ」の料理を堪能した。春から初夏にかけてのちょうど今頃が旬を迎えている▼ユリ科ギボウシ属の多年草である「大場擬宝珠(オオバギボウシ)」の若芽がウルイ。一説にはウリの皮に似た色の葉が丸まって立つように生える姿から「瓜菜(ウリナ)」と呼ばれ、これがウルイに変化したという▼生で食べるとシャキシャキとした歯応えで味にクセはなく、おひたしやあえ物、煮物、天ぷらなどにしてもいい。その特徴は「若いものはほんのりとした苦み、特有のぬらめきで、うまい」と『野外ハンドブック・1 山菜』(山と渓谷社)に書かれている▼野山に出かけ野生の山菜を採るのも楽しいけれど、山中での事故には十分気を付けたい。夢中になり過ぎて道に迷ったりクマに遭遇して襲われたりすることもある。よく似た有毒植物を誤って食べてしまう危険も伴う。今年もそうした複数の事故が報道されている▼ウルイは丸まった葉の開く前が食べ頃。例年2月頃から促成栽培のものも出荷されるが、春の恵みを味わえる期間はそう長くない。




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新社長/鹿島道路・小土井満治氏、技術開発推進しニーズ対応

 アスファルト合材の品質管理を徹底し、社会的信頼の回復に全力を注ぐ。社会ニーズに対応するための技術開発を加速させ、施工体制や各地域の投資動向なども踏まえた事業戦略を推進していく。働きがいがある職場づくりに取り組み、経営基盤を強化する。
 --当面の課題は。
 「設計図書と異なるアスファルト合材を使用し、失った社会的信頼の回復に努めることが喫緊の課題だ。道路舗装会社は工事を行うだけでなく合材も製造し、自社の施工現場で使ったり他の舗装会社に販売したりして道を造っている。合材事業の信頼を回復しないことには会社のなりわいが成り立たなくなってしまう。全社を挙げてできるだけ早く実現できるよう努めていく」
 --市場環境をどう見る。
 「舗装の事業量は国内の建設総投資とほぼ連動する。今後も国土強靱化などの投資が見込まれ、急激に減ることはないだろう。ただ国内全体の合材出荷量は年々減少しており、中長期的にも伸びるとは思っていない。厳しい競争環境の中で生き残っていかないといけない」
 --経営の戦略や目標は。
 「今期の受注高は繰り越し工事が例年よりやや多くある状況などを考慮すると、期首時点で前期と同等か微減を見込んでいる。売り上げも前期と同等くらいだろう。利益は前期落ち込んだ合材製造部門の回復を目指す。そのためにも合材販売価格の適正化を図るなど、量から質を重視する経営モデルに見直したところだ」
 「施工体制や各地域の投資動向などを見ながら、業績も含めた中長期的に目指すべき方向性を打ち出していきたい。引き続き地域に根付いた事業を展開しつつ、国や高速道路会社の大規模な工事を受注するための技術提案に一層注力するほか、道路事業を中核にした領域拡大なども検討していく必要がある」
 --多様化するニーズへの対応は。
 「埼玉県久喜市に昨春開設した『技術開発総合センター』も活用し、生産性向上や二酸化炭素(CO2)削減といった時代のニーズに合った技術開発を加速させる。環境対策が重視される時代にあって、再生材の利用率向上も業界全体で考えていかないといけない課題だ。その中で当社が一つの役割を果たせるようにする」
 --担い手の確保は。
 「人材をしっかり確保し、定着するように魅力ある業界、企業にしていかないといけない。全社員が鹿島道路に入社して良かったと思えるよう賃上げや、頑張った成果が反映される仕組みも必要だ。明るく前向きな雰囲気の組織を目指す」。
 (4月1日就任)
 (こどい・みつはる)1983年名古屋大学大学院修了、鹿島入社。執行役員、常務執行役員土木管理本部プロジェクト推進統括部長、同土木管理本部副本部長兼馬毛島総合工事事務所長などを歴任。趣味の一つである読書は「教養を身に付け視野を広げる大切さ」を説いた上司からの勧め。広島県出身、66歳。




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名古屋鉄道/25年度設備投資計画、名駅再開発施設は実施設計など推進

 名古屋鉄道は、2025年度の設備投資計画をまとめた。鉄道事業では新たに新清洲駅付近の高架化工事を進めるほか、災害対策として高架橋柱の耐震化や変電所の浸水対策を進める。開発事業は東岡崎駅前や名鉄岐阜駅エリア、名古屋駅地区の計画を推進する。投資額は923億円。
 鉄道事業には282億円を投入する。高架化事業は知立駅付近(名古屋本線・三河線)、喜多山駅付近(瀬戸線)、若林駅付近(三河線)、苅安賀駅付近(西尾線)の4カ所で工事を継続。喜多山駅付近(下り線)と若林駅付近は本年度中の高架切り替えを予定する。新清洲駅付近(名古屋本線)は丸の内駅~大里駅の2・8キロ区間が対象。8カ所の踏切を除去する。
 そのほか、金山駅ではホームドアの本格整備に向け検討を深める。東岡崎駅の自由通路設置に合わせた橋上駅化、豊田市駅の北口改札新設などの駅改良、春日井駅周辺で実施される土地区画整理事業に合わせた駅改良も進める。
 開発事業には625億円を充てる。名古屋駅地区では、名古屋駅の再整備に合わせ再開発計画を推進する。本年度は再開発施設の実施設計などを進め27年度の着工を目指す。岐阜駅エリアの再開発は、駅周辺の名鉄グループ所有地と連携し駅前を活性化する。本年度も事業計画の検討を進める。東岡崎駅前再開発は24年に開業した駅南口の施設に続き、駅北口で再開発施設を整備する。29年度の完成を目指す。新一宮駅ビルのリニューアルは本年度下期の開業を予定している。




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2027アジア太平洋防災閣僚級会議の仙台開催が決定/初の国内開催

 2027年の「アジア太平洋防災閣僚級会議」(APMCDRR)が仙台市で開催されることが決まった。4日、坂井学防災担当相とカマル・キショー国連事務総長特別代表(防災担当)がスイス・ジュネーブで会談し、合意した。アジア・環太平洋約60カ国の防災担当閣僚が参加し、防災施策などを議論する。国際機関やNPO、地方自治体、大学などからも数千人が集まり、防災に関して意見を交わす。APMCDRRの日本開催は初めて。
 政府は開催を機に、国連防災世界会議で採択された『仙台防災枠組2015-2030』で示された防災強化の取り組みを各国に呼び掛けていく方針。加えて東日本大震災、能登半島地震を教訓とした復興施策のアピール、日本の優れた防災技術、ノウハウの発信につなげていきたい考えだ。
 APMCDRRは、国連防災機関(UNDRR)が主催する国際会議で、05年から開催されている。24年はフィリピン・マニラで10月に開かれ、オンラインを含め7000人以上が参加。閣僚級会合のほか、イベントやセミナー、防災技術の展示などを通じ情報交換や人事交流を行った。




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長谷工コーポ/生命を宿す「アイヴィハウス」完成、阪大・石黒浩教授らと共同開発

 長谷工コーポレーションは、東京都杉並区に人の感性に働き掛ける仕組みを取り入れたモデル住宅「ivi house(アイヴィハウス)」を建設した。「生命を宿した住まいが人と調和する」をテーマに、ロボット研究で知られる大阪大学大学院の石黒浩教授らと共同開発。時間帯に応じて室内の照明や音響、香りが変化するなど、家からもてなしを受けるような感覚を体験できる。
 所在地は高井戸西2の10の15。建物は在来軸組み工法のW造2階建て延べ100・33平方メートルの規模。長谷工グループの一戸建て部門を担う細田工務店(東京都杉並区、野村孝一郎社長)の施工で2024年8月に着工し、3月に竣工した。
 未来の住まいをつくる「ivi project」の第1弾と位置付ける。室内は床や壁の角をなるべく取り除いて曲線とし、自然環境の広がりを感じる造形。人の動きに合わせ照明が点灯したり、16個のスピーカーが小鳥のさえずりや雨音を表現したりする。
 プロジェクトの発足は、大阪・関西万博で石黒教授がテーマ事業プロデューサーを務めるパビリオンの建設に、長谷工グループが協賛したことがきっかけ。設計では石黒教授がコンセプトをつくり、人間の動作を研究するクリエーティブディレクターの菊地あかね氏とサウンドアーティストの佐久間海土氏、照明デザイナーの川口尚輝氏が形に落とし込んだ。
 石黒教授は8日の報道向け内覧会で「ロボットが動きや話す内容の組み合わせで人間らしい実感を得るように、家も同じく、音や光の有機的なつながりで想像以上に自然を感じられた」と語った。長谷工コーポレーションの堀井規男常務執行役員エンジニアリング事業部長は「5年後の未来を実現するコンセプトの下、われわれだけではなし得ない五感に訴える家を目指した」と述べた。
 アイヴィハウスは見学会などに利用した後、将来的に売却を予定している。




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2025年5月9日金曜日

建築へ/TOTOギャラリー・間、篠原一男生誕100年で展覧会

 ◇篠原一男氏の建築家像を再考
 建築家・篠原一男氏(1925~2006年)の生誕100年を記念した展覧会「篠原一男 空間に永遠を刻む--生誕百年 100の問い」が、東京都港区のTOTOギャラリー・間で開かれている。「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に力を注いだ同氏。手掛けた住宅は日本の現代住宅の一つの到達点を示すものとして、現在国内外で再評価の機運が高まっている。今回の展覧会では「永遠性」をテーマに建築家像を再考する。
 篠原氏は東京工業大学(現東京科学大学)で清家清氏(1918~2005年)に学んだ。卒業後、同大学のプロフェッサーアーキテクトとして教育と設計を両輪に活動を展開。退職後は自邸兼アトリエ「ハウス・イン・ヨコハマ」(85年竣工)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けた。
 坂本一成氏、長谷川逸子氏を代表に「篠原スクール」と呼ばれる建築家たちを輩出。篠原氏の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍している。
 キュレーターの一人で建築家の奥山信一氏(東京科学大学教授)は、篠原氏が70年代以降の住宅建築デザインに多大な影響を与えた背景について「70年代の日本は人々の欲望が多様化し、その欲望は丹下健三氏が刻んできた美しいグラデーションがある建築と都市の空間に収まりきらないほどの広がりをもった。その中でもう一度、多様な欲望に対応できるような、建築独自の形と空間のコンセプトに新調する必要が出てきた」と指摘する。
 こうした時代に登場したのが篠原氏と磯崎新氏と主張。「70年代以降の篠原さんと磯崎さんの力がなければ、現代の日本建築の活性は生まれなかったのではないか」との考えを示す。
 展覧会のタイトルにある「空間に永遠を刻む」は、厳格な幾何学構成を持つ「白の家」(66年竣工)と、ゆがんだ正方形の広間に地中に沈めた寝室を接続した「地の家」(同)という対照的な作品を発表した時の篠原氏の言葉だ。
 その意味について奥山氏は「白の家は竣工直後に計画道路が敷地内に通ることが発表され、出来上がった瞬間にすぐに取り壊されることが宿命付けられた。これををきっかけに、当時強い力を持っていたメタボリズム(生物が新陳代謝を繰り返しながら成長する仕組みを建築や都市計画に取り入れる建築運動)とともに、変容するコンセプトと対峙(たいじ)するかたちで提示した」と説く。
 今回の展覧会では、東工大の篠原研究室が作製した原図や模型、真筆のスケッチ、家具などを展示。篠原氏のスケッチは国内で初めての紹介となる。
 会場では、篠原氏が唱えた永遠性を現実化した「白の家」「地の家」「から傘の家」(61年竣工)の3作品と、これら初期作品の空間概念と密接に関わる五つのプロジェクトを紹介している。3作品の内観写真や篠原研究室作製の模型、製本図面などを展示。初めて25枚ひとそろえで展示された白の家のトレーシングペーパー原図も見どころの一つだ。
 奥山氏はこの原図の中にも篠原氏の永遠性があると指摘。「生前、篠原先生からお預かりする時に『ここにもう一人の篠原一男がいます。スタッフは私だけではなく、この図面とも対決しました』と言われました。この図は今の私たちがリドローイングするのが不可能に近いほどの精度で描かれている。篠原研究室ではバイブルとなっていて、スタッフがこれを目指して修行を重ねたと言われている」と見どころを紹介する。
 「ハウス・イン・ヨコハマ」の主室空間を、オリジナル家具の再製作などによって再現している。この建築は篠原アトリエに接合された自宅で、主室空間は篠原氏がスケッチを描く作業場として使用していた場所。再現した空間に、ハウス・イン・ヨコハマの検討時期のスケッチなどを展示している。
 自身と家族のために山荘として計画された未完の遺作「蓼科山地の初等幾何」も見ることができる。展示に際し、この作品のために篠原氏が残した約800点を超えるスケッチ群を代表すると思われる30点を厳選した。
 中庭では同氏の100の言葉を紹介。現代美術センターCCA北九州が主宰したシンポジウムに際し撮影されたインタビュー映像も見ることができる。奥山氏は「何回も来て、いろいろなことを考えながら過ごせる仕掛けを施している。現代建築の方向性を篠原氏と対話しながら考える場所にしてほしい」とPRしている。

 ■展覧会「篠原一男 空間に永遠を刻む--生誕百年 100の問い」
 会場はTOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1の24の3 TOTO乃木坂ビル3階)。開館時間は午前11時~午後6時。会期は6月22日まで(月曜休館)。入場無料。


 □自身編さんの作品集復刻『篠原一男(復刻版)』□
 篠原氏の生誕100年を記念し、自身が編さんした作品集『篠原一男』(1996年発行)を復刻した。処女作「久我山の家」から「横浜国際旅客ターミナル設計協議案」などアンビルドまでの全55作品と、書き下ろし論文160枚を掲載。思考の痕跡が刻み込まれたドローイングは、本書で初めて公開された。
 発行はTOTO出版。復刻に際し、作品集に論文と作品解説を英訳したブックレットがセットになった英語版も用意した。価格(税込み)は作品集が1万6500円、英語版が2万2000円。




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熊本県/半導体産業推進ビジョンを初改定、出荷目標4割増の2・8兆円

 熊本県は半導体分野に特化した振興計画「くまもと半導体産業推進ビジョン」を改定した。2032年度の製造品出荷額の目標値を当初計画から44・9%増の2兆8000億円に設定。インフラ分野では、阿蘇くまもと空港アクセス鉄道の早期整備や、空港周辺での使用電力を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100産業エリア」の構築などを進める。
 推進ビジョンは半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出を契機に23年3月に策定し、製造品出荷額や県内の教育機関からの半導体関連企業への就職者数、関連企業の工場新増設件数など6項目で目標値を定めている。32年度までとしていた計画期間については、改定による変更はない。
 製造品出荷額はTSMCが第2工場を建設することを表明し、半導体関連企業の投資が活発になっている状況を反映させた。32年度の就職者数は、策定時の255人以上からほぼ倍増となる500人以上とした。
 新増設件数は130件から変更せず、円滑なサプライチェーン(供給網)構築に向け、セミコンテクノパーク(菊陽町、合志市)周辺の道路や交通安全施設の整備、公共交通機関の利便性向上などを進める。
 このほか脱炭素化やGX推進に向けて、地域共生型の再エネ施設の適地誘導を進め、陸上風力発電と地上設置型太陽光発電施設の立地に関するゾーニングなどを行う。
 県は3月に半導体関連産業や研究機関のさらなる集積に向けた方針となる「くまもとサイエンスパーク推進ビジョン」を公表しており、今後両ビジョンを関連させて施策を進める。




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東京都/板橋市場(板橋区)の機能強化、概算事業費166億円

 東京都は、青果物や花きを扱う板橋市場(東京都板橋区)の機能強化に関連し、概算事業費を約166億円(税込み)と見積もった。ローリング方式を採用し既存の一部建物を解体後、跡地に建物を新設。卸売場などを新設建物に移した後に既存市場棟を改修する。基本・実施設計は2025、26年度に行う。一部は設計を前倒しし、26年度に屋根の新設を先行着手する。
 都中央卸売市場は「板橋市場機能強化事業に係る基本計画」を公表した。市場の所在地は高島平6の1の5。青果物部を1972年、花き部を93年に開場した。
 完成から50年以上が経過し、建物が老朽化している青果部をリニューアルする。卸売場は既存の約1・2倍、仲卸売場は約2・2倍、荷さばき場・積み込み場と加工パッケージ場は約3・1倍に拡大する。改修・新設後の総延べ床面積は約3万2700平方メートルとなる。
 生鮮食料品の品質管理を高度化するため、荷受け・積み込み場には屋根を設ける。加工・パッケージエリアは拡張し、顧客の要望に幅広く応える。トラック荷台の側面が鳥の翼のように上がるウイング車が荷下ろしできる荷受け場も新設する。施設区画が柔軟に変更できる仕様にすることで、ニーズの多様化など、さまざまな変化に対応する。
 工事では、敷地中央部に位置し、野菜・果実の卸売場などが入る既存市場棟の西側に屋根付きの荷受け場を26年度後半~27年度後半に新設する。敷地南側にある仲卸荷さばき場を27年度後半~28年度前半に解体。跡地とその隣接地を使い、3階建ての建物を28年度前半~30年度前半に建設する。
 事務所や卸売場などを新設建物に移した後は、既存市場棟内を東西に分けて順番に改修する。期間は30年後半~31年後半。改修後、卸売場などは市場棟に移転し、32年度から敷地北側に残る管理棟を解体する。32年度後半~33年度前半に敷地北側で外構工事を行い、全ての工事が完了する。
 敷地南側に新設する3階建ての建物は、1階が閉鎖型卸売場、2階は加工・パッケージ場、3階は事務所として使う。




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大成建設/在来植物の四季を再現する室内緑化技術を開発、灌水量8割削減

 大成建設は、これまで難しかった日本の在来植物で四季の変化を体感できる室内緑化技術を開発した。61種類の在来種をプランターの露出を抑えて植えることで、屋外の自然と一体的に続くように設置できる。土壌などを工夫し、与える水の量も従来技術に比べ大幅に減らした。人間と自然とのつながりを醸す「バイオフィリックデザイン」の技術として、オフィスや商業施設の新築・改修工事に積極提案していく。
 室内緑化では寒暖差が少ないため在来種が育ちにくいとされ、一般的に熱帯植物が用いられる。新技術「T-バイオフィリックグリーン」では、同社技術センター(横浜市戸塚区)近くに自生し、関東以南にも分布する植物を中心に、2年間の生育試験により温度変化に乏しい環境でも育つ種を選定。土壌は植物が根を張りやすく保水にも適した配合とし、従来の技術に比べ、水やりの量を約80%減らしている。
 植物を支えるステンレス製の大型プランターは、外周をアクリル系樹脂を混ぜた土壌により覆うことで露出部分を約98%削減。強度を保ちながら自然な外観を再現した。
 同センターで2022年2月~24年8月に行った実証試験では、5平方メートルの区域にヤマハゼやコナラなど61種200株の植物を植えた。いずれも良好な伸長量と植被率を保ち、このうち15種の開花と9種の紅葉を確認した。
 開発担当者によると、紅葉する落葉樹を使った室内緑化の事例は少なく、「長期間の実証は初めてではないか」と語る。新技術はグッドデザイン賞2023を受賞。現在、特許を出願している。




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2025年5月8日木曜日

回転窓/魅力的な労働市場に

 日光東照宮(栃木県日光市)の近くで朝食を提供するカフェが、外国人旅行者らでにぎわっている。大きなベーコンを添えた選べる卵料理と、焼きたてパンのセットが人気なのだそう▼カフェは1873(明治6)年、この地に外国人専用宿として開業し、現在も「金谷侍屋敷」の愛称で親しまれている「金谷ホテル歴史館」の隣にある。店に行った日の卵料理は、スクランブルエッグを注文する人が多いと店員が教えてくれた▼外国人材の新たな在留資格が設けられる「育成就労制度」を、政府が2027年4月1日に開始する方針を固めた。そのルールとなる出入国在留管理庁などの主務省令案が先月28日に公表され、外国人材が都市部に過度に集中するのを防ぐ措置などが盛り込まれた▼同案は一般意見を受け付けた上で決定される。今後は国土交通省でも建設分野の運用方針の検討が本格化することになる▼金谷侍屋敷は開業翌年に一般外国人の国内旅行が許可されると、おもてなしが評判となり多くの外国人が訪れた。外国人材をおもんぱかった最適な運用方針が整えば、建設業も魅力的な労働市場として評価されるだろう。




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静岡県ら浜名湖水辺整備推進協、基本計画を策定/湖岸堤約5割で再整備必要

 静岡県と浜名湖沿岸2市、漁協組合などで構成する浜名湖水辺整備推進協議会は、「浜名湖水辺整備基本計画」を策定した。全周約120キロの湖岸堤の約5割が老朽化や防護機能不足などで再整備が急がれる一方、観光やマリンスポーツなどの水辺利用も進んでいるため、関係者間で共通認識を持ち防護水準や利用・環境面が調和した水辺空間整備を目指す。今後、具体的な実施箇所や実施主体などを協議し都田川河川整備計画に位置付ける。
 想定される高潮や津波に対し、浜名湖沿岸に設置されている湖岸堤のうち約55キロの区間で高さが不足している。民間所有区間を中心とした老朽化も進み、台風の大型化や南海トラフ地震などの災害リスクに対する湖岸堤整備の重要性が高まっている。
 基本計画では、地域とのつながりや利用状況、地形などを考慮し、▽舞阪・弁天島・新居▽庄内・舘山寺▽細江湖▽猪鼻湖▽鷲津・新所・入出-の5エリアに分け、目指す姿や整備に際しての配慮事項を示した。湖岸利用が少ない場所や親水性が求められる場所などで想定される湖岸堤の断面イメージも複数示した。
 今後は行政と民間、団体が調整・連携し湖岸堤整備の実施箇所などを協議する。浜名湖の魅力向上につながる利用や観光、環境・景観に関する取り組みは「かわまちづくり」支援制度の活用も検討する。具体的に事業を実施する区間などを固めた後、都田川水系河川整備計画の変更手続きを進める。26年度中の変更を目指す。
 浜名湖水辺整備推進協議会は県、浜松市、湖西市、浜名漁業協同組合、浜松・浜名湖ツーリズムビューロー、浜名湖総合環境財団で構成。老朽化や高さ不足などの課題がある湖岸堤を含めた浜名湖の水辺空間について、高潮や津波に対する「防護」だけでなく観光や水産振興などの「利用」、景観や自然などの「環境」が調和した水辺空間の在り方を検討するため2022年12月に初会合を開き、これまで協議を進めていた。




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アメックス/建設業のビジネス環境改善、専門チームで提案活動強化

 ◇CCUS向けサービス拡充
 アメリカン・エキスプレス(アメックス)が国内建設業のビジネス環境の改善に取り組んでいる。キャッシュレス決済の導入やビジネス・マッチングなど、専門チームを中心に提案活動を強化し、伴走型の営業サポートに力を入れる。昨年11月からは建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録事業者向けのサービス提供を開始するなど、より幅広い層へのPR活動を推進する。
 建設業のビジネス環境での課題として、アメックスは約束手形による取引慣習を挙げる。支払いサイトの長期化による資金繰りの圧迫を指摘。国が2026年までに約束手形の利用廃止、小切手の全面的電子化といった方針を示す中、キャッシュフローを改善し、事業継続を支援する支払いソリューションのニーズが建設市場でも今後一段と高まると見ている。
 企業間決済に関する調査によると、建設業での支払い方法は銀行振込がメインとなり、次いで現金、口座振替、手形・小切手、クレジットカード決済が続く。支払い方法で多様化が進む一方、請求(代金回収)での決済方法は銀行振込、現金が主流であり、特にカード決済の浸透率の低さが目立つ。
 こうした課題を踏まえ、アメックスは企業間カード決済の普及拡大に取り組む。請求側の加盟店は取引相手の与信審査・管理の手間とコスト、売掛金回収リスクなどを減らせ、キャッシュフローの安定化を図れる。新規顧客の獲得促進といった効果も期待できるとしている。支払い側のカード会員のメリットとして経理処理の簡素化とコストの一元管理(見える化)、支払期間の延長によるキャッシュフローの改善、入金漏れ・遅れの回避、ポイントプログラムの利用などを挙げる。
 グローバルネットワークとブランド力に強みを持つアメックスは、建設業界での取引先間の信用を高め、安心かつ迅速な決済ソリューションを提供。建設分野に特化した専門チームを組織し、ビジネスでの環境改善や関係強化を後押しする。
 アメックスのビジネス・カード会員向けに提供している付帯サービス「ビジネス・マッチング・プラットフォーム」には同業・異業種が混在し、会員同士によるビジネス拡大が期待される。全国のユーザーといつでも効率的につながるオンライン・プラットフォームに加え、対面でビジネスパートナーを探せるオフライン・イベントも定期的に開催。建設業限定のイベントを11月に初めて行う予定だ。
 24年11月からはCCUS登録事業者向けのサービスを展開。ビジネスカードの入会前でもアメックス会員専用のビジネス・マッチングに登録でき、オンラインによる新規顧客の開拓やパートナー発掘を行える。入会後はCCUSバッジの表示で属性を明示し参加者同士のコミュニケーション促進を図るほか、オンラインによる全国のユーザーへの自社PR、イベントへの参加申請権など、ビジネス・マッチングの全機能を活用できる。
 アメックスは幅広い職種が集うCCUS登録事業者との関係を深め、サービスの利活用を促しながら、建設業界全体で企業間カード決済の普及に弾みを付けたい考えだ。




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関東整備局/宮ケ瀬ダム(神奈川県愛川町)で堆積土除去、リフレッシュ事業始動

 関東地方整備局が、ダムに堆積した土砂を撤去する「ダムリフレッシュプロジェクト」を宮ケ瀬ダム(神奈川県愛川町)で始動する。大雨などによって運ばれてきた土砂がたまると、ダムの貯水機能が低下する可能性がある。同局は土砂の撤去作業と撤去した土砂の保管スペースを整備。合わせてダムへの流入を軽減する貯砂ダムを上流に設ける。2025年度に設計業務などに着手する。
 予防保全対策の一環で、国土交通省はダムの流入部付近に堆積した土砂を撤去するダムリフレッシュ事業を実施している。洪水時に水を一時的にためておく「洪水調整機能」の低下を防ぐ。
 宮ケ瀬ダムは01年に完成した重力式コンクリートダムで治水と利水、河川環境の保全などの役割を担っている。供用開始以降、ダム内に堆積する土砂は気候変動に伴う豪雨などの影響で急速に増加。洪水調整機能に支障を来す恐れがある。関東整備局は堆積土の除去作業などを始める。同局管内でリフレッシュ事業を行うのは同ダムが始めて。
 25年度は土砂の撤去や土砂置き場を整備するため、設計検討業務の委託費として3000万円を新規計上。土砂置き場の整備と並行しながら堆積土の搬出を進める。堆積土の流入を抑えるため、ダムへ流入する中津川付近に貯砂ダムを設ける。
 全体の事業期間は41年度を予定する。事業費は未定だが、「数十億円規模になる」(河川部)見通し。保管した土砂は他事業に有効利用する方針で、主に波の影響で削られた砂浜の養浜材として使用する。
 国交省の公表資料によると、対策が必要なダムは全国で21カ所を数え、堆積砂量は22年度時点で約1億9000万立方メートル。洪水調節容量内の堆積量は約2400万立方メートルに上る。




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清水建設/現場廃プラを高度分別、再資源化し有価売却

 清水建設は建設現場で発生したプラスチックの廃棄物を樹脂種類ごとに高度分別し、再資源化材として有価売却する「マテリアルリサイクルスキーム」を構築した。現場で回収した多種多様な廃プラを、作業員がプラスチックセンサーを用いてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの材質レベルで分別し、有価物として売却できる再資源化材を選別。マテリアルリサイクルスキームの初弾として「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」(東京都中央区)の現場で取り組んでいる。
 初弾の適用現場では、軟質・硬質の非塩化ビニル系プラスチック、塩化ビニル管を主な対象とし、有価売却や再資源化を推進している。有価売却の対象となる廃プラの物量は、同現場で発生する総廃棄物量の約2割に当たる約4000立方メートルを見込む。
 現場内の廃棄物保管場所を「資源回収ヤード」とし、廃棄物全般の管理を行う専任作業員(グリーンマスター)を配置。ヤードに持ち込まれた廃プラの材質を作業員がハンディ型プラスチックセンサーで確認し、付着物の性状や汚れの程度なども踏まえ有価売却対象物を選別する。このうち軟質非塩化ビニル系廃プラスチックは圧縮機を用いて減容化し、運搬に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。
 選別した廃棄物は関東圏のリサイクラー(再資源化事業者)が再資源化材としての利用可否を判定した後、リサイクルプラントに搬出する。同プラントでは材質ごとに分けられた廃プラスチックを細かく粉砕してフレーク化し、一部を溶かして粒状の再生ペレットに加工。フレークと再生ペレットはプラスチック製品の原料として再生プラスチック製品メーカーに販売している。
 清水建設は、一般的に大規模現場から発生する産業廃棄物の3~4割を占める廃プラのマテリアルリサイクルを同社施工現場で順次展開していく。




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2025年5月7日水曜日

回転窓/「安全専一」思想は変わらず

 日本で最もよく知られている安全標語と言えば「安全第一」であろう。大正時代に生まれて広まるが、同じ頃に誕生するもう一つの標語があった▼それは当時の古河鉱業足尾鉱業所(足尾銅山)に掲げられた「安全専一」。工部大学校土木工学科の卒業後、土木工事や鉄道工事などに従事した同所長の小田川全之が、米国産業界で提唱されていた「セーフティー・ファースト」をそう訳し、国内事業場で初となる安全運動を始めた▼同じく米国の安全思想に感銘を受け、「安全第一」の日本語訳でリスク管理の重要性を唱えたのが逓信官僚の内田嘉吉。東京電気(現東芝)に勤務していた蒲生俊文らと共に安全第一運動の推進に尽力する▼厚生労働省の発表によると、2025年度全国安全週間(7月1~7日)のスローガンは「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」に決まった。今年も6月の準備期間からさまざまな取り組みが展開される▼戦時中も中断することなく続けられて98回目を迎える全国安全週間は、職場での安全意識高揚と安全活動の定着を図るのが狙いだ。いつの時代にも共通する目標は「ゼロ災害」実現である。




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シェルター・ワン/発災後48時間以内に快適な避難所開設へ、各地に大規模備蓄基地

 清水建設の社員が同社や海外の起業家支援制度を活用して4月に設立した防災スタートアップ「Shelter One」(シェルター・ワン)。発災後48時間以内に自立型の快適な仮設避難所が開設できるよう、全国の市町村と契約して支援するスキームを描く。市町村で異なる設営や運営を標準化、円滑化するための情報システムも構築。清水建設の協力会社ネットワークも生かし各地に大規模備蓄基地を整備し、資機材を一元管理していく。
 「体育館の硬い床に雑魚寝する環境は100年間変わっておらず、寒さ・暑さや衛生環境の悪化などにより災害関連死の発生も招いている」。代表取締役兼最高経営責任者(CEO)に就いた児島功氏は、シェルター・ワンの設立に至った避難所環境の問題点をそう提起する。ボランティアとして能登半島地震の被災地にある避難所で過ごした経験も大きい。
 参考にしているのが避難所運営で先進的なイタリアのモデルだ。トイレやベッド、キッチンなどの品質を標準化。セットにしてプライバシー空間が確保されたテントやコンテナの仮設避難所を設営する。各地に配置された備蓄基地から資機材をスムーズに持ち運べるようにして、発災48時間以内の開所を目指す。
 児島氏は2006年に清水建設に入社以来、国内外の建築現場で施工管理に従事してきた。「避難所の抜本的な環境改善と建設の仮設計画は親和性が高い。レイアウトの計画立案や施工の統括指揮、協力会社やメーカーらとのやりとりなど普段から行っている」。仮設避難所や大規模備蓄基地の整備では、清水建設の協力会社ネットワークも大いに役立つと見る。
 実際の避難所運営を円滑化するためにポイントになるのが平時からの訓練という。ボランティアをしていた避難所でトイレカーが来たものの、ライフラインとの接続方法が分からず約3カ月間使われない状態があった経験も踏まえ、訓練の必要性を訴える。3月20、21日には長野県諏訪市で初の訓練を実施。今後も各地で訓練を予定している。
 収益の確保は、市町村と人口1人当たり年200円程度の管理・訓練委託費で契約するスキームを想定する。
 当面は共同創業者で、日本マイクロソフト出身の中林秀仁取締役兼最高マーケティング責任者(CMO)兼最高戦略責任者(CSO)が培ってきたノウハウや人脈も生かし、事業をスムーズに実現していくための情報基盤「統合運用プラットフォーム」を構築。各地で急増する廃校の敷地を活用し、約100カ所程度の備蓄基地を分散配置したい考えた。
 「事業を行うというよりも新たな市場を作るというイメージ。結果的に国土強靱化にも役立つはずだ」と児島氏。防災分野の革新的なビジネスモデルによって避難所環境を抜本的に改善し、災害関連死ゼロに貢献する。




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政府/データセンター立地誘導へ有識者WG検討開始、工期・コストに働き方改革も影響

 データセンター(DC)の整備を巡る政府の対応が活発化している。電力消費に伴うインフラ整備が必要なものの、新規の増強には時間とコストが必要。立地と既存設備の活用が課題で、脱炭素も求められる。建設業の働き方改革を課題に挙げる意見もある。政府は電力と通信の効果的な連携「ワット・ビット連携」を進めるため、経済産業省と総務省に官民懇談会を設置。傘下の有識者ワーキンググループ(WG)がDCの立地条件や誘導策などの検討に着手した。
 生成AIの利活用やDXの取り組みによって、大規模な計算資源となるDCの需要が高まっている。両省によると、生成AIの市場は2030年に約29・5兆円に達する。23年の約20倍で年平均約53%のペースで増加する。国内市場は30年に23年(1188億円)の約15倍に相当する約1・8兆円と見込まれ、ストレージやサーバーといったAIインフラの需要は23年の約3倍に増えるという。
 DCは安全保障と低遅延性の観点から国内に整備する必要がある。既に関東、関西の大規模需要地向けに立地が進んでいるが、割合は23年時点で関東64%、関西24%と偏在している。
 DCへの電力供給には、電源と系統設備が欠かせない。ただ要求に応じて能力を増強していては設備の非効率な形成を招き、工事の費用と工期が課題になる。「ワット・ビット連携官民懇談会WG」が4月21日に開いた初会合では、工期が話題の一つになった。
 会合で電力広域的運営推進機関は、電源接続のプロジェクト19件のうち、187キロボルト超の12件は概算工事費が10億~1500億円、概算工期が2~12年だったと説明。整備には電源線などの工事も別に必要になる。接続を先行して確保する「空押さえ」も問題視されているという。
 工事が長期化する背景には、資機材納期の遅延だけでなく、建設業の働き方改革が影響している。東京電力パワーグリッドは、24年ぶりの275キロボルト変電所となる千葉印西変電所(千葉県印西市)を新設し、24年6月に運転を始めた。印西エリアは大規模なDCの新設が相次ぎ、現在も問い合わせが続く。同社は工期を当初約8年と見込んだが、早期接続の要望を受け資機材や施工力を集中投下し、工期を約3年短縮した。
 会合で同社は「建設業の週休2日制義務化等」の影響もあるとし、当時の計画を25年時点に換算すると工期は10年以上との見通しを示した。DCについて余力の大きい地域への立地、系統負荷の空き容量の有効活用、DC集積地を選定した上で通信・電力設備の一体的・効率的な整備を提案した。
 WGはDCの立地条件や課題を整理し、特定エリアに電力需要が旺盛なDCを効率的に整備する方策も議論する。再生可能エネルギーや原子力の電源位置、地方創生の取り組みにも配慮した対応の方向性を6月にもまとめる予定。立地の誘導は建設需要に直結するだけに議論の行方が注目される。




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専門工事会社6割超は採用苦戦、CCUS活用環境まだ不足/建専連調査

 主に現場で下請となる専門工事会社が担い手の確保に苦戦している。建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)が傘下34団体の会員企業に2024年11、12月に実施した「働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査」の結果(有効回答834社)によると、技能者の採用状況について「必要だったが1人も採用できなかった」との回答が41・1%に達した。「採用できたが予定人数を下回った」も24・1%で、合わせて65・2%は予定通り採用できなかったことになる。
 調査主体の「建設技能労働者の働き方改革検討委員会」で委員長を務める蟹澤宏剛芝浦工業大学教授は、ハウスメーカーやゼネコンを含めた業界内で工業高校生などの人材獲得競争が激化していると指摘。週休2日の現場閉所を浸透させるなど業界全体で就労環境を整え、競争条件の格差をなくす必要性を強調する。
 技能者の処遇改善の道筋を若年層に示す意味でも、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進が重要だ。雇用する全技能者をCCUSに登録している企業の割合は年々増加しており24年度は80・6%。全技能者が能力評価(レベル判定)を実施している企業は37・0%だった。レベル判定を積極的に申請する意向を示す企業は60・1%で、回答を寄せた企業に限ればCCUSに積極的な姿勢がうかがえる。
 一方、レベル判定に必要な就業履歴が蓄積できる現場環境はいまだ不足している。カードリーダーが設置されていた現場の割合が「8割以上」と回答した企業は16・2%。反対に設置現場が「2割未満」との回答は45・9%(うち「ゼロ」は16・5%)と半数近い。特に地方では「カードを使ったことがない」との声もあるといい、全国でカードタッチ可能な環境整備を急ぐ必要がある。
 CCUSの導入状況と給与額の関係を見ると、CCUSに登録している企業の方が、そうではない企業より給与が高い傾向がある=表参照。同じ登録基幹技能者でも事業者・技能者登録が徹底している企業の技能者と、全く登録していない企業の技能者では月額で10万円以上の開きがあった。




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日建連/5月12日から整備局らと意見交換、周辺産業の上限規制による影響など議論

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は国土交通省地方整備局など公共発注機関との2025年度意見交換会を、12日の関東地区を皮切りに全国9地区で開く。24年4月適用の時間外労働上限規制に伴う周辺産業の影響といった新たな課題や、資材価格高騰による実質的な公共事業予算の減少、生産性向上に向けた取り組みなどをテーマに議論する。近年建設業が抱える課題や実情を訴え、入札契約制度の改善や工事の円滑化につなげていく。=2面に要望項目一覧
 発注機関との意見交換会は日建連の主要な活動の一つ。意見交換会を通じて建設業界が直面するさまざまな課題を公共工事で解決し、民間工事にも波及させる狙いがある。
 テーマは大きく分けて▽公共事業予算の確保と入札契約制度の改善▽働き方改革の推進▽生産性向上▽担い手の確保-の四つ。公共事業予算の確保と入札契約制度の改善では予算の制約がある中、資材価格の高騰や労務費の上昇により工事数量が当初契約から減少していると指摘。十分な公共事業予算の確保などを求める。
 24年4月に建設業と同じく物流業にも時間外労働上限規制が適用され、資機材を搬入する物流業界への規制適用、生コンクリート打設やクレーン作業の時間制約といった新たな課題が顕在化している。働き方改革の推進では、現場に関連する産業への規制適用による現状や課題について理解を求め、適切な工期設定や予定価格の設定などを要望する。
 意見交換会の日程と会場(所在地)は次の通り。
 ▽関東=12日、ロイヤルパインズホテル浦和(さいたま市浦和区)▽関西=21日、シティプラザ大阪(大阪市中央区)▽中国=22日、メルパルク広島(広島市中区)▽東北=30日、ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区)▽四国=6月2日、高松国際ホテル(高松市木太町)▽北陸=同5日、朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市中央区)▽北海道=同9日、ホテルポールスター札幌(札幌市中央区)▽九州=同12日、西鉄グランドホテル(福岡市中央区)▽中部=同16日、名古屋マリオットアソシアホテル(名古屋市中村区)。




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NHK/放送センター(東京都渋谷区)建替計画改定、新設建物の延べ床面積3割減

 NHKは東京都渋谷区にある放送センターの建て替えで「基本計画」を見直した。建設費が高騰する中、当初計画の1100億円を維持するため、2棟構成を1棟に集約し延べ床面積を約3割減らす。2025年度に基本設計の委託先を選定する。施設全体の竣工時期は7年後ろ倒しした。
 「放送センター建替改定基本計画」を4月22日に公表した。放送センターの所在地は神南2の2の1(敷地面積8万2646平方メートル)。敷地内にある本館のほか、東・西・北館を建て替える計画で、当初は1期で「情報棟」、2期で「公開棟」「制作事務棟」を建設する予定だった。
 今回の計画改定で2期工事を変更。当初は本館と北館の跡地の一部に公開棟、東館の跡地に制作事務棟の総延べ約19・5万平方メートルの規模を計画していたが、両棟の機能を東館の跡地に建てる延べ約13万平方メートルの「第II期棟」に集約する。
 工事は既存建物の解体と新たな建物の建設を一体で発注する。工期短縮とコスト抑制を図るため、「基本設計」と「実施設計+建築工事」に区分する。
 25年度内に基本設計を任せる事業者を選定し、27年度までに業務を完了する。28年度に実施設計・施工業者を決定。30年度に東館の解体を始め、34年度に第II期棟の建設を始め、37年度に竣工する。
 38年度に残った本館と西・北館の解体に入る。43年度に全工事を完了する。当初計画では36年に全体工事が終わる予定だった。
 敷地の北東側にある「情報棟」の建設は1期工事として竹中工務店・久米設計JVが設計・施工を担当し、24年10月に竣工した。S一部SRC造地下1階地上11階建て塔屋1階延べ7万7670平方メートルの規模。建設費に657億円を投じた。




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2025年5月2日金曜日

舗装工事業の24年業績動向、価格転嫁進み増収増益/東京商工リサーチ調べ

 道路舗装会社が堅調に売り上げを伸ばしている。東京商工リサーチが1日発表した調査結果によると、全国3071社の2024年業績は売上高が前年比1・4%増の2兆7023億円となった。純利益もコロナ禍前の水準には届かなかったものの、19・3%増の1036億円と3年ぶりに増益に転じた。資材高騰や労務費上昇などの影響による建設コストの高止まりが続く中、同社は工事費への価格転嫁が着実に進んでいると分析している。
 全国の舗装工事業のうち5期連続で業績が判明した3071社を対象に、23年12~24年11月期を最新期とする24年の業績を調査した。調査は1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、道路インフラの建設や維持管理の担い手となる舗装工事業の現状を認識する狙いがある。売上高100億円以上の企業は24社で調査対象全体の0・7%にとどまるが、売上高全体の54・7%を占める。
 売上高の増減を企業数で見ると、増収が1582社、減収が1469社、横ばいが20社。伸長率は10~100%未満が964社で最も多かった。
 最終損益は黒字が0・2%増の2465社と全体の8割超を占めた。黒字企業の地区別内訳は北陸が84社中73社の86・9%でトップ。同社は能登半島地震の復興需要が業績に寄与した可能性があると見る。一方、黒字企業の割合が低かったのは東北が319社中224社の70・2%、中国が248社中186社の75・0%、北海道が196社中149社の76・0%と続いた。
 倒産や休廃業・解散の発生件数は32・6%増の計69件となり、過去10年間では16年と並び最多だった。同社は背景に事業承継が進まずコスト上昇分を反映した工事費が下請まで行き届いていない状況があるとして、営業不振や赤字累積、回収難などにつながっている可能性を指摘。引き続きコスト上昇分をどこまで吸収できるかが業績の安定や向上で鍵を握りそうだ。




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防災学術連携体/「防災庁への期待」シンポ開く、垣根越えた連携が必要

 防災に関する63学協会でつくる防災学術連携体(渦岡良介代表幹事、米田雅子代表幹事)は4月30日、「防災庁への期待 災害応急対応力をどう強化するか」と題したシンポジウムをオンラインで開いた=写真。政府が2026年度の設置を目指す「防災庁」について期待や課題を議論。省庁や分野の垣根を越えた連携や、強力な司令塔とコーディネートの機能を求める意見が出た。「設置するだけではだめで、基礎自治体の根本的な防災強化が必要」という指摘もあった。
 冒頭、高橋謙司内閣府防災担当政策統括官は防災庁について「政府の企画立案機能の飛躍的向上と“本気の事前防災”に取り組む司令塔機能を担う組織」と述べた。石破茂首相の指示で6月をめどに組織の大枠を示す考えを示した。
 防災学術連携体の池内幸司副代表幹事は基調講演で、「今こそ学術界に求められる役割は大きい。多様な学問の知を結集し、実践的で説得力ある政策提言が求められる」と指摘。「学術界がどう貢献ができるのかを議論、提案していきたい」と述べた。
 シンポジウムは▽応急対応の課題と対策▽地震、火山、火災、複合災害への備え▽科学技術の活用▽災害対応力強化に必要な体制▽防災の重要な視点-の五つのセッションで各分野の専門家が登壇した。
 意見交換も行った。有識者から「初動対応は自衛隊や消防だけでなく、地域建設業も重要な役割を果たす。地域建設業との平時からの連携が重要」といった意見が出た。「事前防災にも司令塔機能は必要。本気になればなるほど防災オンリーではなく『総合地域政策』になる。構想力とかじ取りを期待したい」との提案もあった。「日本の防災対応で最大の課題は基礎自治体の防災対応力の脆弱(ぜいじゃく)性」との指摘もあり、米国の防災庁に相当する連邦緊急事態管理局(FEMA)のように地方自治体支援を強力に進めるよう求める声も上がった。
 最後に政府の防災庁設置準備アドバイザー会議で主査を務める福和伸夫名古屋大学名誉教授が総括発表し「一番大事なことは、大規模災害による国難を回避すること。『本気の事前防災』に取り組むため組織、地域、時間を超えた総力を結集することが必要だ」と締めくくった。




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標準労務費WG/契約段階の実効策固まる、発注者や元下で見積もり慣行化へ意見交換

 国土交通省は改正建設業法で定める「労務費に関する基準(標準労務費)」の実効性確保策を巡り、官民の関係者間でほぼ合意が得られた対応の方向性を明らかにした。中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)で、契約段階で労務費を確保する「入り口」の対策は議論が収束しつつある。労務費などを内訳明示した「標準見積書」の作成と活用促進に向け、発注者や元請・下請などのサプライチェーン(供給網)全体で意見交換する場を設置する方向だ。
 3月5日に非公開で行った第5回会合の議事要旨を公開した。第4回会合までに議論した「入り口」の対策と、実際に労務費・賃金を支払う「出口」の対策について委員間で意見の相違が目立ったため、国交省がたたき台を再提示し落としどころを探った。「出口」の対策は議論が尽くされておらず、継続し検討する。
 「入り口」の対策は適切な見積書を取り交わす契約慣行の定着に重きを置く。各専門工事業団体に標準見積書の作成を促すが、立場の異なる関係者間で相互に見積書の作成・交渉がしやすい形とするため、見積書の様式や運用の留意点で意見交換する場を設ける。国交省が見積書の電子媒体化を前提とした作成支援ツールを用意したり、見積書作成に慣れていない中小企業を支援するモデル事業を展開したりもする。
 雇用に伴う「必要経費」として確保すべき参考値を、標準労務費と同時公表する方向も示す。法定福利費の事業主負担分や労務管理費、安全管理費などの必要経費で公共工事設計労務単価の41%という数値が公表されているのと同じように対応。労務費と併せての確保・行き渡りを目指す。
 標準労務費の運用方法も再整理し、新たに精算や値引きの考え方を明確化した。
 請負契約の原則は維持しつつ、契約時に決めた労務費と完工時までに必要となった労務費が異なった場合に対応が必要となるケースを例示。契約後に設計図書の変更・詳細化が多発するなどの実情を踏まえ、契約当事者双方が予期しない労務費の変動や、注文者の都合による工事内容の変更が生じた場合、当事者間の協議を経て契約変更・精算が行われるべきとした。
 閑散期の値引きなど受発注者の合意の下で安価な見積もりを行う場合、値引きの原資を受注者の利潤相当額の範囲から充てられるべきと指摘。注文者から減額交渉を持ち掛ける場合、労務単価の水準を下げるのは違法行為の恐れがあり、あくまで歩掛かり部分の改善提案にすべきとした。




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静岡県御殿場市/産業パーク(沿道利便施設)基本構想案、東名御殿場IC近接地が候補

 静岡県御殿場市は1日、「(仮称)富士山の恵み産業パーク(沿道利便施設)基本構想案」を公表した。候補地は東名高速道路御殿場ICに近接した国道138号沿いの約4ヘクタール。富士山を眺望できアクセス性が良好な特性を生かし、大規模イベントやキャンプ、飲食・物販などに対応できる機能を導入。候補地周辺に複数ある「道の駅」との差別化を図る。市民意見を踏まえ5月に構想を取りまとめ、2025~26年度の2カ年で基本計画を策定する。
 東名高速御殿場IC周辺は、市都市計画マスタープランで沿道サービス施設などの誘致促進を検討する土地利用方法が示された。このため、地域振興や観光振興、経済活性化に貢献する沿道利便施設を整備する。
 整備予定地は御殿場ICの北西で国道138号沿いに位置。アウトレットなど主要な観光施設にも近接している。農業振興地域の農用地区域に指定されているため、開発には除外手続きが必要。
 基本構想案では、活動の場や人流と情報の終起点の場、癒やしの場など五つのゾーンに分類。多目的芝生広場の外周を囲むように建物と回廊をつなぐ。駐車場は約1・3ヘクタール、建物の延べ床面積は約2500~3000平方メートルを確保する。整備・運営には民間事業者の活力を最大限に活用するため、さまざまな手法で可能性を探る。このため、本年度も企業や団体などへの対話調査を実施しニーズ確認を急ぐ。基本構想策定業務は三菱地所設計が担当。




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2025年5月1日木曜日

回転窓/山での学びと感謝

 桜が大きくなったような花を咲かせるアカヤシオ。雪解けが進んだ標高2000メートルくらいまでの山なら、この時期に見頃を迎える▼ツツジ科の落葉低木で、紅葉の時期は葉が深紅に染まり山を映えさせる。春も秋も山を彩るアカヤシオは、四季の山野草の代表格と言えるだろう▼その花で有名な日本百名山の一つを連休中に訪れると、今年も多くの登山客でぎわっていた。狭い登山道の登りと下りの人が出くわす地点では、すれ違いの待ち時間がどうしても長くなってしまう▼前をゆっくりと歩いていたご夫婦が立ち止まり「こっちもきれい」と話すのを聞いた。見ると白い花を二つ咲かせるニリンソウの群生地がアカヤシオのそばにあった。小欄は帰りの道路渋滞を避けるために少しでも早く下山しようとしていた時であり、周囲にもっと目を向ければ心に留めておきたいものは多いのだと教えていただいた気がした▼ここの登山道に至る県道は4月に土砂崩れで通行止めになったが、地元建設業による迅速な復旧工事で同日中に住民の孤立が解消された。山までの道中の安全がそうして支えられていることも忘れずにいたい。




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インフロニアHD/インフラ運営参入拡大へ、重点対象にスタジアム・アリーナなど

 インフロニア・ホールディングス(HD)は、コンセッション(公共施設等運営権)方式などによるインフラ運営分野への参入を拡大する。2025年度から3カ年の中期経営計画で事業拡大を支える重要戦略に設定した。ターゲット施設にスタジアム・アリーナや上下水道、道路などを列挙。これまでに蓄積したさまざまな施設やインフラの運営ノウハウを生かし、事業参入を積極的に提案。系統用蓄電池事業や海外コンセッション事業への参画も視野に入れる。
 中期計画の説明会で岐部一誠社長らが今後の戦略などを説明した。前田建設がコンセッションで4件の実績があるスタジアム・アリーナの運営は、今後数年でさらに増えると予測する。イノベーションパートナー契約を結ぶプロバスケット・Bリーグのアリーナ基準を満たす施設整備・運営の需要を取り込む。
 上下水道の運営事業は神奈川県三浦市などで蓄積したデジタルツールを使った管路の予防保全をさらに高度化し、適用拡大を目指す。国土交通省が27年度に下水管改築の自治体向け国費支援要件を見直し、ウオーターPPP導入が決定済みであることを規定することも視野に入れ、新規参入案件を掘り起こす。
 道路の運営事業は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの普及で維持補修に充当しているガソリン税収の減少を懸念する。一般道の有料化が進む欧米の先行事例を踏まえ、民間事業者の提供するサービスに対し施設管理者がフィーを支払う指標連動方式の拡大を促す。




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24年度の建築着工2・0%増、法施行前の駆け込み影響で/国交省

 国土交通省が建築着工統計調査の最新結果を4月30日公表し、2024年度(24年4月~25年3月)に着工した住宅戸数は前年度比2・0%増の81万6018戸だった。09年度(77万5277戸)以来の80万戸割れは免れたが、年度明けに改正建築物省エネ法・建築基準法が全面施行する前の駆け込み着工の影響が大きく、当面は物価高などを要因とした低水準な住宅需要が続く見通しだ。
 新設住宅着工戸数の内訳は、持ち家が1・6%増の22万3079戸、貸家が4・8%増の35万6893戸。分譲住宅は2・4%減の22万9440戸で、うちマンションは5・0%増の10万5227戸だった。
 月単位で見ると、3月の着工戸数が前年同月比39・1%増の8万9432戸だった。国交省住宅局の事業者ヒアリングによると「改正法が4月に施行するため着工を前倒しした」との声が一部あった。改正法で原則すべての新築住宅・建築物の省エネ基準への適合が義務化され、審査省略制度(いわゆる4号特例)の範囲も縮小される。新たな規制・手続きが求められる前に着工を急ぐ案件が一時的に増えたとみられる。
 実際に事業者ヒアリングでは、特に持ち家で「物価上昇の影響で今後も低水準では」との予測が大勢を占める。3月の着工戸数が前年同月並みであれば、年度トータルで80万戸を割っていただけに、年度明けの反動も含めて先行きは楽観視できないと言えそうだ。
 民間非居住建築物の着工床面積は24年度に前年度比10・5%減の3474万平方メートル。3月は前年同期比10・4%増の318万平方メートルだったが、年度トータルでは09年度(3486万平方メートル)を下回り、統計を確認できる過去半世紀ほどで最低だった。
 主な用途別では「事務所」が18・8%減の464万平方メートル、「店舗」が4・9%増の378万平方メートル、「工場」が7・9%減の662万平方メートル、「倉庫」が12・6%減の1026万平方メートルだった。




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データセンター、東北地域にも適地性/政投銀東北支店調べ

 AI技術の普及などでデータ処理需要が高まる中、東北地方にもデータセンター(DC)の建設適地を探る視線が向けられている。政策投資銀行(政投銀)東北支店は、地方への分散が課題になっているDCの立地条件や建設・運用コストの観点で調査した。寒冷な気候と土地確保のしやすさ、人材の集積状況から東北は「(有力地とされる)北海道や九州と同様に適地性がある」と分析。建設を促進するには「電力・ネットワークインフラを整備しながら地理特性を生かし、コスト競争力を高めることが重要」と提言している。
 国内のDCは8割強が関東・関西圏に集中しており、通信インフラの優位性から東京や大阪など都市集中型整備が主流になっている。一方、用地枯渇の懸念や電力利用のひっ迫回避、災害レジリエンスの観点から地方への分散も増加する見込み。政投銀東北支店は「東北地域におけるDC適地性についての調査」を公表。東北は「首都圏との距離や地価の水準、冷涼な気候で冷却コストが低減できる強み」などがあり「生成AIなどで拡大する利用需要を取り込める」と報告している。
 通信網は大都市圏を中心に構築されており、地方部は通信速度が立地を妨げる要因になる。東北では宮城と秋田に海底ケーブルの陸揚げ局があり、石狩~秋田間の海底ケーブル増設や秋田~九州間の新設なども計画され、通信インフラの冗長性が強化されつつある。
 一方、ほかの有力地に比べ事業者の進出意欲が低く、適正地としての認知度の低さも課題になっている。
 調査を担当した政投銀東北支店の田野崎大地氏は「DCが立地すると、周辺環境が整備され同様の大型施設への投資が連鎖的に発生しやすい」と指摘する。今後の事業者進出と関連する環境整備の動向を注視する必要がありそうだ。




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