権力は、成功では腐らない。腐らせるのは、その座への執着だ。国際サッカー連盟(FIFA)が進めていたワールドカップ事業の売却構想は、加盟団体の強い反発を受けて撤回に追い込まれた。世界最大のスポーツイベントを金融商品として扱おうとした発想は、組織運営のゆがみを浮き彫りにした▼背景には、トップの独断的な姿勢への不信も透けて見える。どれほど巨額の資金を動かし、いくら人心掌握にたけていても、それだけで組織は動かせない。金で忠誠は買えても、信頼までは買えないからだ。権力を守ることが目的になれば、改革は看板だけとなり、利益は一部に偏る。異論は次第に遠ざけられ、組織は静かに活力を失っていく▼これはFIFAだけの話ではないだろう。会社でも学校でも家庭でも、「みんなのため」が、いつの間にか「自分のため」にすり替わる瞬間がある。守るべきものを見失い、自らの立場を守ることが優先されたとき、組織は進むべき道を誤る▼利益は誰のためにあるのか。その問いを失った組織の未来は閉ざされる。最後に守り抜こうとしているのは、組織ではない。自分のいすだけである。
https://www.decn.co.jp/inc/hp_image/altimage.jpg
from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186876
via 日刊建設工業新聞


0 comments :
コメントを投稿