2026年8月4日火曜日

回転窓/孫に誇れる橋

 橋梁業界を取材していた頃、ある橋梁会社のトップに聞いた話が忘れられない。その人は長大橋建設に携わり、幾多の苦難を乗り越えた。「一番うれしかった瞬間ですか」と尋ねると、少し照れながら「違うよ」と首を振った▼完成した橋を家族と車で渡った時のこと。かわいがっていた孫が「じいじってすごいね」とつぶやいた。その一言に涙が止まらなくなったという。橋づくりに人生を懸けた技術者にとって、それは何よりの勲章だった▼8月4日は「橋の日」。橋は人や物を運ぶだけでなく、地域と地域、人と人をつなぐ。一方で、巨大インフラには事業費や環境への影響などを理由に、厳しい視線が向けられる▼それでも多くの橋梁技術者は口をそろえる。「造らなければ技術は廃る」と。長大橋建設は数十年に一度あるかないかの挑戦だ。設計や施工の知見は現場で磨かれ、技術は次世代へと受け継がれる▼大型事業には賛否がある。だからこそ議論を尽くし、理解を得る努力が欠かせない。挑戦的で夢のあるプロジェクトは若い技術者を育て、やがて孫に誇れる橋を生み出す。その積み重ねが、未来の橋づくりを支える力になるだろう。


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from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186662
via 日刊建設工業新聞

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