どれほど優れた経験や知識も、個人が抱え込んでいたら生かしきれない。組織に広げてこそ成果につながる。いわば、倉庫に眠る種はまかなければ実を結ばないのと同じだ▼「知識とは経験の積み重ねだ」〈アインシュタイン〉。ただ積み重ねただけでは目に見えない“知識の山”に過ぎない。共有してこそ道となり、他者の役に立つ。灯台が自分の足元だけを照らしても、船は導けない▼「周囲が知らないのは自分に原因がある」という心構えも大切だ。説明が抽象的ではなかったか、相手が実践できる形にまでかみ砕けたか。伝える工夫は伝える側の責任である。知識は川の水のように流してこそ澄み、ため込めば濁る▼知識を共有するには方法を形にすることが要だ。手引をまとめる、話し合いの場を設ける、あるいは一緒に手を動かして学んでもらう。こうした工夫で、個人の知恵は組織の力に変わる▼「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」。ドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉だ。知識は種火、広げてこそ炎になる。他者の経験を学び自分の力に変える環境は企業の成長だけでなく、社会の未来を照らすことにつながる。
from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178100
via 日刊建設工業新聞


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