2014年10月29日水曜日

日本ERI/検査済み証ない建築物の調査業務拡大/年間200件目標に展開

 日本ERIは、工事完了後の検査済み証がない建築物を対象にした調査業務を拡大する。建築基準法への適合状況や劣化状況を調査し、報告書を作成する業務で、建物の状態や品質を証明し、建物の売買・投融資の判断材料として報告書を活用してもらう。増改築や用途変更などの申請資料としても利用できる。これまでに19件の業務を受注しており、横瀬弘明取締役ソリューション事業部長は「年間200件を目標に事業展開していきたい」と話している。
 検査済み証を受けていない建築物は、増改築や用途変更を行う際に調査や申請に手間が掛かるため、中古市場に流通しにくいという課題があった。ストックの有効活用や中古流通市場の拡大を目指す国土交通省は、7月に「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を策定。指定確認検査機関が調査業務に参入できる環境を整えた。
 同社はガイドラインに基づく調査業務を7月に開始した。ガイドラインに沿って報告書を作成できる建築基準適合判定資格者が約500人在籍しており、ガイドライン策定前にも同様の調査を行った実績が1000件以上あるという。
 調査では、確認済み証などの資料を基に、判定資格者が現地で建物を調査。最短約1カ月で報告書を完成させる。手数料は、築10年で確認申請図書が提示できる一般的な共同住宅(1000平方メートル以下)なら約30万円となる。
 現行の建築基準法は、工事完了後に建築主事または指定確認検査機関の完了検査を経て検査済み証を受けることを建築主に義務付けているが、建築確認業務が民間に開放された99年以前には、検査済み証を受けていない建築物が半数以上を占めていたという。指定確認検査機関には現在、日本ERIを含め23社が届け出をしている。

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