2024年7月2日火曜日

回転窓/縁の下に光を

 陰ながら人々や社会のために重要な役割を果たす人は「縁の下の力持ち」と呼ばれる。これまで建設業の活動をたたえる際、このことわざがよく使われてきた▼日々の暮らしや経済・社会を支えるという使命を担う建設業。災害発生時には被災地で真っ先に重機を動かし、道路啓開やインフラの応急復旧、被災者の支援活動に懸命に取り組む。名声など見返りを求めず、それらを当たり前のように実行する姿はまさにことわざの示す通りだろう▼元日発生した能登半島地震から6カ月が過ぎた。国土交通省北陸地方整備局はこの間の被災地支援や復旧・復興の取り組みをまとめ、写真や図表を多用し160ページ超にわたって詳報している▼建設関連の企業・団体名や個人名を出しながら、甚大な被害を受けた被災地での建設関係者の対応を紹介。個社の工夫などにもスポットを当て、資料には多くの活動事例や作業に従事する人々の思い、地元からの感謝の声などが載る▼苦労をいとわず、被災地で奮闘を続ける人たちの姿は、悲しみに暮れる被災者を勇気づけ、復興への活力にもなろう。建設専門紙として、その姿に光を当て続ける。

source https://www.decn.co.jp/?p=165027

2024年7月1日月曜日

回転窓/芸術作品とハエ

 たとえ一匹でも近くに飛んでくると煩わしいハエ。例年6~7月に最も多く発生し、8月にやや減少するものの秋に再び増加するとされる。こうした時期に備え、各地の家畜保健衛生所などは畜産業者に対し適切な対策を講じるよう注意喚起している▼ハエは感染症を媒介し、家畜にストレスを与えて生産性も低下させてしまう。畜産業者にとっては悩みの種であり、大量発生を防ぐために発生源などへの対策が欠かせない▼飲食店にも迷惑な存在だが、昔からハエを描いた美術作品は珍しくないという。月刊誌『芸術新潮』6月号(新潮社)は〈ハエはどう描かれてきたのか?〉とタイトルの付いたリポートを掲載している▼イタリア・パルマで14世紀から現在に至るハエの作品50点以上を集めた展覧会がこのほど開催された。現地リポートでは展示作品のいくつかを画像とともに紹介。果物や婦人の肩にハエがとまっている絵画など、いずれも独特の世界観が表現されている▼作者たちはどのような意図でハエを描いたのだろう。羽音が聞こえただけで不快感を覚えて遠ざけたいハエも、作品の中で放つ存在感は強く印象に残る。

source https://www.decn.co.jp/?p=164994