2024年7月8日月曜日

回転窓/触れて感じる大切さ

 本紙が創刊80周年を迎えた2008年から09年にかけて、建築家・池原義郎氏(1928~2017年)と各界識者の対談シリーズを掲載した。テーマは「再生への実践シナリオ」。毎回、21世紀に目指すべき「都市と環境」について語り合っていただいた▼対談者のお一人が安田侃氏。世界に知られた彫刻家で、大理石やブロンズの作品は多くの人を魅了する。対談では手掛けた作品に触れる人が「時と自分を感じてほしい」と話した▼炭鉱の町だった北海道美唄市に芸術広場「アルテピアッツァ美唄」が開設されたのは1992年。廃校となった旧栄小学校を活用し、美唄で生まれ育った安田氏の作品が屋内外に展示されている▼ここを訪れると空や木々、丘、広場、木造の旧校舎、彫刻などが一体で作り出す心地よい空間が出迎えてくれる。時間がゆっくり流れる中で作品に触れながら鑑賞する人たちの姿は印象的だ▼建築でも触れて感じることは大事であり、「手は非常に生命的なもの、そこに通い合うものを感じるのですね」と池原氏。お二人の話を振り返り、改めて普段は意識しない手で感じる大切さに気付かされる。

source https://www.decn.co.jp/?p=165197

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