2025年12月5日金曜日

回転窓/カキフライ、1粒400円

 近所のとんかつ店に、毎年恒例の大粒カキフライが並ぶ季節となった。先日訪ねてみると、1粒400円という値段に思わず驚いた。店主によれば、瀬戸内海を中心に養殖カキが例のない不漁に見舞われているという▼国内最大産地の広島では、一部海域で最大9割が死滅し、対岸の四国地方でも被害が報告されている。海水温の上昇に加え、今年は梅雨明けが史上最速だったことで、降雨量が激減したことも要因だ。気候変動が地域産業に深刻な影を落としている▼広島県は対策を検討する庁内連絡会議を立ち上げた。横田美香知事は、養殖業だけでなく、観光業や飲食業にも影響が及びかねないとして、全庁を挙げた対応を指示した▼「東日本大震災の時、瀬戸内の支援で三陸のカキ養殖は復活した。今度は三陸が瀬戸内を支える番だ」。こうした投稿がネットで注目されている。復興の象徴となった三陸のカキは、瀬戸内にとって心強い支援だろう▼被害の拡大を抑えるには、被災地以外にいる人々が適切な時期に適切な形で支援できるかが鍵。災害時に遠隔地支援が円滑に機能するよう、平時の備えを改めて点検したい。




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全圧連/24年度経営実態調査結果/労務費率が上昇、設備更新費用賄えず

 全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連、佐藤隆彦会長)は、会員企業を対象に実施した2024年度経営実態アンケートの結果をまとめた。1社当たりの年間完成工事高(圧送売上高)は1億9244万円で、前年度調査に比べ999万円増加した。圧送料金の引き上げが奏功した格好だが、社員の給与アップなどで圧送売上高に占める労務費率が43・7%に上昇しており、「ポンプ車の設備更新に必要な資金は確保できてない」(全圧連)という。

東京ガス/デジタル技術で業務革新/AIで設備の異常検知

 東京ガスが業務にAIなど先端技術を積極導入している。液化天然ガス(LNG)ポンプの異常を高精度に検知したり、地域冷暖房などで使う熱源機器を最適制御したりなど、取り組みは多種多様。LNGの調達から顧客への販売まで全プロセスにAIを活用。次世代の価値を創造する「AIネーティブ企業」を実現する。2030年にはGXやDXの領域で500億円の利益確保を目指す。

広島県府中町/揚倉山健康運動公園整備Park-PFI/12月25日まで参加受付

 広島県府中町は1日、Park-PFI(公募設置管理制度)を導入する「揚倉山健康運動公園整備等事業」の公募設置等指針を公表した。25日まで参加申し込みを受け付ける。設置計画や提案の提出期間は2026年2月2~27日。同3月ごろに事業予定者を選定する。指定管理者制度も採用する。

リバスタ/建設現場の購買燃料データ基にCO2排出量を効率算定/業務負担を軽減

 リバスタ(東京都江東区、高橋巧代表取締役)は、建設現場の購買燃料データを基に二酸化炭素(CO2)排出量を効率的に算定するクラウドサービス「TansoMiru(タンソミル)燃料」の提供を4日に始めた。元請会社が登録した現場情報と、燃料配送会社が現場内で給油した燃料データが連携し、車両や重機などが排出するCO2を算定。元請会社、燃料配送会社の両方で業務負担軽減を支援する。

2025年12月4日木曜日

キッザニア東京にパビリオンオープン/マンション建設現場再現/長谷工コーポが出展

 東京都江東区にある子どもの職業・社会体験施設「キッザニア東京」に、マンション建設現場のパビリオンが3日に登場した。長谷工コーポレーションがスポンサーとなり、マンションに見立てた現場を再現。排水管の点検やエントランス工事などの仕事が体験できる。建物のメンテナンスの大切さだけでなく、ものづくりの面白さも子どもたちに伝える。

回転窓/ぷちぷちが教えてくれる発想の力

 ぷちぷちぷち--見かけると、ついつい指でつぶしたくなる気泡緩衝材。その用途は幅広く、大切な物を守るだけでなく、例えばアウトドアでは、断熱材や包帯代わりにも使えるという▼つぶす時のほどよい弾力や弾ける音の心地よさ。ある時、小学生が遊んでいた人気の携帯ゲーム機を離し、気泡緩衝材に夢中だった幼児に駆け寄る姿を見て、その魅力にあらためて感心した▼芝浦工業大学と東京都市大学の研究チームが、この破裂音を利用して管路内の異物を検知するシステムを開発したと聞いた。破裂音の周波数成分には再現性があり、非破壊検査で高価な音源装置の代替になるそうだ▼厚さを調整して破裂音の強度や方向を制御し、解析技術と組み合わせることで、異物の位置が精度良く特定できた。欠陥や異常検出にも対応できるよう改良していく予定だそうだ▼関係者によると、この研究は「ついぷちっとつぶす」という身近な行為に着想を得て始まった。「素材の中に社会を支える技術のヒントがある」との声も。ぷちっと弾ける一瞬の音が、社会に役立つ次の技術を呼び込み、どこまで広がるのか静かに見守りたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179754
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阪神高速道路・上松英司社長が会見/脱炭素技術の開発に意欲/低炭素コンクリ実装など

 阪神高速道路会社の上松英司社長が2日、大阪市北区の本社で会見し=写真、カーボンニュートラル(CN)に関連する技術開発を加速する考えを示した。高速道路事業での脱炭素化を目指し、二酸化炭素(CO2)を貯蔵したカーボンネガティブコンクリートやペロブスカイト太陽電池などの実装に意欲を見せた。

海建協会員、25年度上期受注62・6%増/アジア・北米がけん引、過去最高

 海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)の会員企業の2025年度上半期(4~9月)海外建設受注実績(速報値)は、前年同期比62・6%増の1兆6178億8300万円だった。上半期としては過去最高を記録。22年度から1兆円規模で推移している。アジアが前年同期比85・2%増の1兆円越えとなるほか、北米も62・7%増で4000億円を超え、全体を押し上げた。

財政審建議/老朽化対策、国土強靱化推進を/上下水道は広域・一体化必要

 財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)が2日、2026年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめた。社会資本整備はインフラの老朽化や自然災害の激甚化・頻発化が進む中、国土強靱化を着実に進める必要があると提言した。上下水道事業を巡っては、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け事業の広域化・一体化、ウオーターPPPの導入推進が必要だと指摘した。

全建・今井雅則会長、高市早苗首相を表敬訪問/地域建設業の現状説明

 全国建設業協会(全建)の今井雅則会長らは3日、東京・永田町の首相官邸に高市早苗首相を表敬訪問した=写真(全建提供)。首相就任を祝い、激務をいたわる言葉を今井会長が伝えた。続けて、地域建設業の施工余力や柔軟な働き方として変形労働時間制など、地域建設業の現状を説明。成長投資による強い経済実現には、公共事業予算の十分な確保が必要と訴えた。山崎篤男専務理事と石田信夫常務理事が同行した。

関東整備局/PFI活用し道路照明をLED化/26年2月に実施方針

 関東地方整備局は脱炭素社会の実現に向け、既存の蛍光灯による道路照明をLEDに付け替える事業を始動する。管内にある直轄国道のうち、都心部を通過する16号と20号の2路線を皮切りに工事を進める計画だ。通常の債務負担行為は事業費の平準化が図りにくいため、償還期間を長期に設定できるPFIを採用する。2026年2月を目途にPFI事業の実施方針を公表し、事業者の公募手続きを開始する。

国交省/技能者を大切にする自主宣言制度、12月12日開始/相互に優先取引など

 国土交通省は、建設技能者の処遇改善に取り組む企業を可視化し評価するため検討してきた「技能者を大切にする企業」の自主宣言制度をスタートする。改正建設業法の全面施行と同日の12日に申請の受け付けを開始する。適正な労務費の確保と賃金の支払い、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用などを宣言する仕組み。宣言企業間の優先的な取引を促し、受注機会の確保につなげる。宣言企業は経営事項審査(経審)で加点する。

竹中工務店ら/疲労寿命10倍の制振ダンパー/一般鉄骨製作工場で製作能に

 竹中工務店と物質・材料研究機構(NIMS、宝野和博理事長)は、長周期地震動の対応技術として「H形断面ブレース型」の制振ダンパーを開発した。疲労特性と座屈耐性に優れた「FMS合金」を採用。H形断面の芯材を補剛鋼管で覆ったシンプルな構成を実現した。適切な溶接条件の範囲も確立し、一般的な鉄骨工場で製作できる。一般的な鋼材ダンパーに比べ約7~10倍の疲労寿命を確保した。

2025年12月3日水曜日

神奈川労働局/児屋野文男局長らが安全パトロール/中区海岸通計画現場で

 神奈川労働局の児屋野文男局長らは、横浜市中区で施工中の「(仮称)中区海岸通計画工事」を1日にパトロールした=写真。建設業年末年始労働災害防止強調期間(1日~2026年1月15日)に合わせた活動。転落・墜落災害防止などの啓発が目的。児屋野局長は、年末年始の繁忙期に向けて安全意識を高めるよう呼び掛けた。

回転窓/知る権利の危機と報道の責任

 トランプ米政権がホワイトハウスの公式ウェブサイトに、「偏向している」と見なした報道機関や記者を名指しで非難するページを設けた。レビット大統領報道官は1日の会見で「メディアに責任を取らせる」と述べた▼国際ジャーナリスト団体・国境なき記者団の2025年版「世界報道自由度ランキング」によれば、対象180カ国・地域のうち米国は昨年より二つ順位を下げ57位となった▼世界では戦争や紛争が相次ぎ、各国で政治的圧力も強まっている。環境の悪化が報道の自由度を押し下げ、民主主義の根幹である「知る権利」が脅かされつつある▼報道の自由は公正で正確な情報を伝える責任を前提に保たれる。だが不都合な事実を避けたり、批判対象に過度に攻撃的になったりする姿勢が見受けられることも否めない。日本の報道自由度は米国を下回る66位で、先進7カ国(G7)中最下位▼国際情勢を巡る報道でも、根拠の乏しい主張を繰り返すことで、それがいつの間にか「真実」として受け止められる危険がある。言論弾圧は論外だが、報道機関は自らの信頼性を支える倫理意識をより研ぎ澄ます必要がある。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179707
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住友電設/デフリンピックで所属アスリート3人がメダル獲得

 11月15~26日に開かれていた「東京2025デフリンピック」で、住友電設所属のデフアスリート3選手が卓球、サッカー、バレーボールの各競技でメダルを獲得した。

堺市/東工場跡地に新清掃工場/総事業費786億円、26年度からアセス・調査

 堺市は老朽化が進むクリーンセンター東工場とリサイクルプラザの更新に向け、新たな清掃工場を東工場構内(堺市東区石原町1)の第一工場撤去跡に建設することを決めた。概算事業費は786億円。11月26日に「堺市一般廃棄物処理施設整備基本計画案」を公表した。今後、市民意見募集を経て、2026年度末ごろに策定する。
 新工場は焼却施設と破砕施設、資源化施設を一体化した複合施設として計画。関連施設を含めた総建築面積は約1万8000平方メートルを見込み、可燃性残渣(ざんさ)処理を含むごみ処理工程を敷地内に集約し、運搬効率と運営コストの最適化を図る。
 排ガス管理値は既存より厳格な基準(窒素酸化物〈NOx〉50ppm以下など)を設定し、廃棄物発電による熱回収も拡充。災害廃棄物は年間2000トンの受け入れ能力を確保する。
 また環境啓発の核と位置付け、内部構造を学べるAR(拡張現実)投影やアトラクション型シアターなどの展示機能も導入。学校見学に対応した専用ルートやホールを配置し、循環型社会の理解促進にもつなげる。
 概算事業費の内訳は第一工場など既存施設の解体と新工場建設費が約778億0300万円、PPP/PFI導入可能性調査や環境影響評価(アセスメント)、測量・土壌調査、PFI可能性調査、事業者選定アドバイザリーといった調査関連費が7億9700万円。算定条件は日量で焼却350トン、破砕55トン、資源化20トン。
 現東工場には第一工場(休止中)と第二工場があり第二工場は新工場の稼働後に休止するが、今回示した総事業費に第二工場の解体撤去費は含まれていない。
 今後は26年度に環境アセスに着手し、測量・土壌調査などの事前調査を順次実施する。これらの必要な関連費用は26年度当初予算に計上する方針。27~29年度に要求水準書作成、事業者選定、30年度に着工し、36年度の完成を目指す。供用開始時期は今後の詳細設計とアセス手続きを踏まえて確定する。




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国交省/コミットメントや契約変更協議/標準約款に規定、活用へ

 国土交通省は、改正建設業法の全面施行を踏まえた建設工事標準請負契約約款(標準約款)の改定内容を提示した。「労務費に関する基準(標準労務費)」の実効性確保策の一つとして、契約当事者間で労務費・賃金の支払いに関する約束や情報開示を行う「コミットメント」条項を新設する。改正業法で契約変更協議の円滑化ルールを規定したことを踏まえ、契約変更の請求・申し出や誠実協議に関する規定を追加。契約変更で物価変動の内容を考慮し、適切な価格転嫁を図る必要があることも明確化する。 =1面参照

話題の技術/丸高工業/消音工事技術「サイレントシステム」

 ◇工事騒音低減し改修需要照準
 建築物の改修を手掛ける専門工事会社・丸高工業(東京都品川区、高木一昌社長)が開発した消音工事技術「サイレントシステム」の引き合いが増えている。工具の改良や仮設消音壁の設置で工事騒音を低減し、振動や粉じんも抑制。これまで利用者の少ない土日に限られていた作業時間が大幅に拡大でき、現場の労働環境や作業生産性を大きく向上させる。建築費の高騰や老朽化した建物の増加を背景に、改修需要の取り込みが期待される。

2025年12月2日火曜日

広島市/競輪場再整備/バンクと選手宿舎兼ホテル棟が完成、施工はNIPPOと奥村組

 広島市が再整備を進めている広島競輪場(南区宇品海岸3)に新たなバンクと選手宿舎兼ホテル棟が完成し、11月28日に竣工式が行われた。6月に先行オープンしたスタンド棟に続く第2弾。11月30日に競輪レースを再開した。引き続きBMXなどが楽しめるエリアなどの整備を進め、2026年4月に全面オープンする。施工はバンクがNIPPO、選手宿舎兼ホテル棟は奥村組が担当した。

回転窓/ひとりの夢も、みんなで描けば光になる

 仲間とは、不思議な存在だ。家族ほど近くはないのに、他人よりずっと心が寄り添う。思いやりは暖かな風。けれども、ぬるま湯のような安らぎだけでは帆が立たない。優しさの中に、厳しさを忍ばせることが大切だ▼若い人は軽やかに未来を描き、年上は経験という地図を広げる。考え方がぶつかることもあるが、それは船の左右にかかる風のようで、揺れがあるからこそ帆は立つ。違いは、前へ進むためのかすかなうねりだ▼世代の差を「壁」と感じる日もある。しかし、耳を澄ませば言葉の奥に思いが潜む。視点を少しずらせば、壁は静かに橋に変わる。相手の地図を借り、波間をそっと覗きながら進むのが鍵だ▼厳しいひと言に胸が痛む日もある。でも、それは「仲間だと思っている」証かもしれない。優しさは背中を温め、厳しさは足元を固める。どちらかだけでは、長い航路を乗り切れない▼同じ船に乗った仲間が、思いやりと厳しさをほどよく混ぜ合わせたとき、チームは前へ進む。一人で見る夢は小さくても、みんなで描けば光となり、波間に揺らめきながら夜明けを告げる--仲間は、そんな力を届けてくれる。




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八潮道路陥没事故対策検討委/金子恭之国交相、法改正に言及/最終提言を手交

 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省が設置した有識者会議は1日、第3次提言を金子恭之国交相に手渡した=写真。家田仁委員長らが東京・霞が関の国交省を訪れ、提言書を提出。金子国交相は「法令を含む諸制度の見直しの検討を加速化するとともに、補正予算も含め、国土強靱化実施中期計画に基づき、必要な予算をしっかり確保する」と応じた。

竹中工務店/米オートデスクとMOU/建築全工程でDX

 竹中工務店は建設DXの推進に向け、米オートデスク(カリフォルニア州サンフランシスコ)と包括連携の覚書(MOU)を交換した。世界各国で建築・エンジニアリング・運用のソフトウエアソリューションを提供するオートデスクの知見を導入。2021年12月に発表した「建設デジタルプラットフォーム」のデータ基盤構築を強化する。建築プロジェクトの全工程でAI活用を推進し、意思決定プロセスや作業などに要する時間や負担の軽減とともに品質の向上を目指す。

東京都/日比谷公園大音楽堂改築/延べ7100平米、27年春着工へ

 東京都は日比谷公園大音楽堂(野音)の改築で、新たな音楽堂建設を2027年春に着工する方針を固めた。老朽化やバリアフリーへの対応のため、客席や周辺と一体的に再整備する。ステージの向き変更や防音壁の追加により、周辺への音漏れ低減にも配慮する。規模は3階建て延べ約7100平方メートル程度となる。30年春の完成を目指す。基本・実施設計は翔設計が担当している。

2025年12月1日月曜日

中堅世代-それぞれの建設業・424/仕事猫係長、番頭になる

 人呼んで「仕事猫係長」こと佐藤慶祐さんは、あふれんばかりの情熱を抑えきれず、2025年春、四半世紀に及んだ国家公務員生活に区切りをつけ、「くまみね工房」の番頭役へ思い切って転身した。

凜/ピーエス・コンストラクション経営企画室・牧村彩さん

 ◇迷った時こそ、自分の軸を大切に
 経営企画室に配属されて3年目を迎えた。組織の橋渡し役として多岐にわたる業務を担い、2025年度に始動した中期経営計画の進捗に細やかに目を配っている。経営陣の意向をくみ取りつつ、現場にも寄り添い、確かな成長につなげることに心を砕いている。

東京都国分寺市/旧庁舎跡地施設、2棟総延べ1・3万平米に

 東京都国分寺市が計画する「旧庁舎跡地活用事業」で、新たに建設する2施設の総延べ床面積が1万3200平方メートル規模になることが分かった。地域の拠点として複合公共施設と民間施設を整備する。大日本土木が代表のJVが事業を担う。

25年度補正予算案/経産省関係2・7兆円/浮体式洋上風力製造事業など支援

 経済産業省関係の2025年度補正予算案は2・7兆円、国庫債務負担行為の複数年度分を含めた規模は3・1兆円となった。工業用水道の強靱化、データセンターの地方拠点整備、中小企業支援などに取り組む。経済成長と脱炭素の両立を促すGXの取り組みとして、浮体式洋上風力発電設備の製造事業者支援などを進める。

前田建設/下水管路劣化診断・空洞点検技術を現場実証/26年3月に実用化めざす

 前田建設は、自社開発した下水管路の劣化診断・空洞点検技術を現場実証する。硫化水素の生成から劣化までをシミュレーションで診断可能な「硫化水素劣化予測診断技術」と、無人で管路内から周辺の空洞を調査できる「空洞点検ロボット技術」の有効性を確認する。2026年3月ごろの実用化を目指す。

2025年11月28日金曜日

昭和学院/秀英小学校・幼稚園新築が起工/設計は日建設計、施工は錢高組

 昭和学院(千葉県市川市、山本徹理事長)が千葉市美浜区の幕張新都心文教地区で計画している「昭和学院秀英小学校・幼稚園新築工事」が着工を迎え、27日に現地で地鎮祭が開かれた。設計は日建設計。錢高組の施工で2028年4月の開園・開校を目指す。

回転窓/ウクライナの吉報

 23日に千秋楽を迎えた大相撲九州場所は最終盤でまさかの展開が続き、新関脇で臨んだ安青錦が初めて賜杯を抱いた。優勝決定戦で両手両膝をついた横綱豊昇龍の姿に勝負の世界の厳しさを感じながら、改めてその魅力を再確認した方も多かろう▼ウクライナ出身では初の大関が誕生。26日の伝達式で「大関の名に恥じぬよう、さらに上を目指して精進します」と口上を述べた。シンプルな言葉だからこそ、純粋な思いが伝わった▼ロシアによる母国への軍事侵攻を受け、2022年4月に来日。安治川部屋に入門後、戦火が続くウクライナには帰省していない。「帰りたい気持ちはある。友達と会いたい。自分の街で散歩したい」。故郷への思いは心にある▼初優勝後、ドイツに住む両親と電話で話した。涙を流して喜んでくれたという。母国に関して多くを語らないが、胸に秘めた望郷の思いは出世への意欲、角界で生き抜く覚悟につながっているのだろう▼日本や大相撲の文化をひたむきに学び、己や技を磨いてきた21歳がウクライナに吉報を届けた。建設産業界も災害現場など磨いた技術と知見で復興を支えられるはずだ。




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国交省/直轄業務にスライド条項、26年度から試行導入/技術者単価改定に対応

 国土交通省は、2026年度以降に新規契約する設計や調査、測量などの業務でスライド条項を試行導入する。まずは実地で行う点検や調査のように出来高が明確に把握でき、変更額を算出しやすい案件に適用する。建設コンサルタント関連3団体が26日に行った要望活動で、金子恭之国交相が試行導入の方針を明らかにした。=2面に関連記事

太平洋セメント/12月1日から上白石萌音さん出演の新CM放映

 太平洋セメントは俳優の上白石萌音さんを起用したテレビCMを12月1日から放映する。キーメッセージは「スゴイよセメント」。上白石さんがさまざまなものに形を変え、生活を支えているセメントのすごさを伝える。15秒と30秒の2バージョンを制作。テレビ放映以外に同社のホームページや公式ユーチューブで公開する。

大阪府豊中市/旧庄内さくら学園中学校跡地活用/三菱倉庫グループに

 大阪府豊中市は、「旧豊中市立庄内さくら学園中学校跡地活用事業」の公募型プロポーザルで、三菱倉庫を代表とするグループを優先交渉権者に選定した。プロポーザルには4者(うち1者が失格)が参加した。2026年春~27年春に解体・開発工事を行い、同夏~28年夏に建築工事を実施。同秋の開業を想定している。

大成建設/浮体式洋上風力発電、コンクリ製セミサブ型浮体式基礎で基本設計承認取得

 大成建設は、浮体式洋上風力発電設備に活用するコンクリート製セミサブ型浮体式基礎「OO-STAR」の基本設計承認(AiP)を、日本海事協会(菅勇人会長)から取得した。15メガワット級の風車に対応可能な浮体式基礎。AiP取得で今後事業の拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電の本格導入に貢献する。

2025年11月27日木曜日

回転窓/夕焼けの島、クルーズ船の影

 今月はじめの宮古島(沖縄県)では、平良港に着岸したクルーズ船と、島内を行き交う観光バスが目を引いた。宮古そばから白濁の豚だしそばまでそろう名店や量販店は、観光客で活気に満ちていた▼晴れ渡った日は、夕日スポットの漁港に多くの訪日旅行者が訪れる。きらきら光る海の向こうで雲に沈んでいく太陽。次は「日本の夕焼けはどう映りますか」と感想を聞いてみたくなる▼その島の風景が変わるかもしれないと、配信記事が伝えていた。中国国営系の大型クルーズ船が着岸を避け始めたという。台湾有事を巡る高市早苗首相の発言に対する、中国政府の姿勢が背景にあるとされる▼宮古島の域内観光客は昨年度、過去最高の119万人に達した。欧米や中国以外のアジアからの来訪者も増えている。特定の国に依存しない経営を掲げる宿やツアー会社もあり、島内にはクルーズ船の影響は限定的との声も▼総合経済対策の裏付けになる補正予算案を、政府が28日にも決定する。国力や経済を外交カードに使う国に、自らの立場を明確に示すことも求められる。国土強靱化や観光振興を盛り込んだ対策への期待は膨らむ。




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日建連首脳が会見/労働時間規制の柔軟運用を/画一的な規定合わず、多様な働き方追求

 日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長ら幹部が26日に都内で記者会見し、高市早苗首相が厚生労働相に指示した労働時間規制の緩和検討について「建設産業は一品生産で天候の影響も受けやすい。画一的な規定はそもそも合わないという側面がある」と述べ、現行制度の限界を指摘した。

名古屋市/日光川公園整備運営事業/ホーメックスグループに

 名古屋市緑政土木局は、公募型プロポーザルを実施した「日光川公園整備運営事業」の優先交渉権者にホーメックスを代表とする企業グループを選定した。ホーメックスグループは今月中に市と基本協定を結ぶ。2029年3月までに設計と工事を終え、同4月に指定管理者として管理運営を開始する。

大成建設/デジタル点検を本格運用/建築物ニューアルに対応

 大成建設は、建設現場でデジタル点検の本格運用を開始した。ドローンと3Dスキャナーで取得した3Dデータを活用して点検記録を共有。現地調査や立ち会いで対応していた点検業務の省力化や効率化に効果を発揮する。建築物のリニューアルなどをターゲットに需要を取り込んでいく。点検の精度をさらに高め、業務に従事する熟練技術者の不足も補う。

2025年11月26日水曜日

全建/都内で技術研究発表会開く/好事例11件を共有

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は、2025年度「技術研究発表会」を東京都中央区の鉄鋼会館で21日に開いた。会員企業が現場で実践した施工の工夫や改善に関する98事例のうち、特に優れていた11件(高度技術部門6件、創意工夫部門5件)を各社の担当者が発表。高度技術と創意工夫の2部門でそれぞれ最優秀賞を選出した。98事例の内訳は高度技術部門34事例、創意工夫部門64事例だった。=1面参照

回転窓/かつての食堂はいずこへ

 〈今日は麺類か定食か、どちらにしよう〉。庁舎やオフィスビルには福利厚生のため、たいてい食堂が入っている。先日、とある官庁施設で、職員と思しき数人がトレー片手にメニューを眺めながら、そんな相談をしていた▼外食店を指す「食堂」という言葉が広まったのは明治期とされ、各地で庶民においしい食事を提供してきた歴史がある。そばやうどん、カレーなどの定番に加え、地域の名物や旬の野菜、魚を使った料理も人気だった▼働くサラリーマンにとって、食堂は小さな憩いの場でもある。ところが平日営業だけでは採算が取りづらく、移動販売の弁当が人気を集めたこともあって、官公庁の食堂が相次いで撤退した時期もあった▼物価や人件費の高騰が重なり、小欄が利用する食堂のランチも、今や一般の飲食店と大差ない値段になった。早くて安くておいしい。そんな“食堂の黄金時代”ははるかかなたに遠のき、今は値段だけでなく味も問われる時代だ▼栄養バランスの取れた食事を提供してくれる食堂は、仕事の合間にそっと寄り添うありがたい存在。財布を気にせず気軽に利用できたあの頃が、少し恋しい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179490
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労政審分科会/占有部以外の墜落危険防護など了承/安衛法等施行の省令改正案

 労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)の安全衛生分科会は25日、改正労働安全衛生法などの施行に伴う関係省令改正案の要綱を審議し、了承した。安全衛生対策を強化する対象建築物の範囲が広がることで、占有部分以外の災害防止措置として「墜落危険箇所の防護」や「安全な通路の保持」などが新設される。機械関係の労災防止の規定も見直しされることになる。

ミライト・ワンら/NTN活用しダム管理/石川・能登で実証

 NTTドコモビジネスとミライト・ワン、国際航業の3社は、石川県珠洲市の小屋ダムで非地上系ネットワーク(NTN)を活用し、ダム堤体の変位や貯水池周辺設備のひび割れなどを遠隔点検する手法を実証したと25日発表した。地上から約20キロの成層圏に滞空させる航空機を基地局に使う広域通信サービス「HAPS」を利用。「ダム管理DX手法」と銘打ち、現地に足を運びにくいダムの維持管理を省人化しつつ質を高める。

2025年11月25日火曜日

国交省/25年秋の褒章伝達式開く、104人・8団体に栄誉

 国土交通省関係の2025年秋の褒章伝達式が21日、東京・霞が関の中央合同庁舎3号館で開かれた。受章者は104人・8団体。金子恭之国交相の代理で廣瀬昌由技監が褒章を伝達した=写真。

回転窓/街道と街の魅力

 天下統一を果たした徳川家康は、多くの大規模インフラ事業を行ったことでも知られる。江戸を起点にした「五街道」もその代表格であり、物や情報の流通に大きな役割を果たし、街道の要所に設けられた宿場は人と地域がつながる交流拠点であった▼五街道のうち江戸と日光(栃木県日光市)を結ぶ日光街道で、最初の宿場「千住宿」(現在の東京都足立区)が今年、開宿400周年を迎えた。地元ではさまざまな記念イベントが展開されている▼千住宿は陸運と舟運の結節点としても栄えたものの、明治維新を迎えると宿場制が廃止に。これで活気を一度失うが、1896年に日本鉄道土浦本線(現JR常磐線)北千住駅が開設されて地域のにぎわいを取り戻す。そして、現在の北千住駅には4社5路線が乗り入れ、全国のターミナル駅でも上位の乗降客数を誇る▼リクルートが調査した「SUUMO2025年穴場だと思う街(駅)ランキング首都圏版」の1位は8年連続で北千住。交通の利便性が高いだけでなく、下町情緒を残しつつ駅前開発などが進み、物価の割安感もあり、暮らしやすい街には人を引き付ける魅力がある。




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横浜市、AGC/公共建築物の廃棄窓ガラスを水平リサイクル/全国初の実証実験へ

 横浜市とAGCは、公共建築物の廃棄窓ガラスを水平リサイクルする実証実験を共同実施する。従来は埋め立て処分が主流だったが、窓ガラス製品の原料として再利用できるかどうか可能性を探る。

東京・葛飾区/スケートボード広場基本計画素案/26年2月に基本計画

 東京・葛飾区は21日、都立水元公園に整備するスケートボード広場の基本計画素案を公表した。スケートボードの滑走エリアは約2700平方メートルを予定する。2026年2月に基本計画を策定し、同6月~27年7月を基本・実施設計に充てる。同7月~9月に施工者を選定し、10月~29年1月に整備工事を実施する。

前田建設ら/通気性保ち遮音する装置開発/屋外コンサート会場周辺の騒音課題を解決

 前田建設は、ピクシーダストテクノロジーズ(PxDT、東京都中央区、落合陽一代表取締役、村上泰一郎代表取締役)と共同で、通気性を保ちながら低周波騒音を遮断する装置を開発した。PxDTが保有するメタマテリアル(自然界にない特殊な性質を持つ人工材料)をベースとした独自の音響制御技術を応用。シミュレーションや実物大実験で基本性能を確認した。屋外コンサート会場周辺などの低周波騒音が低減できる。

2025年11月21日金曜日

九州整備局苅田港湾/地域連携のアートイベント開く/地元中学生が巨大ケーソンに絵

 九州地方整備局苅田港湾事務所は18日、福岡県苅田町の同港新松山地区で、地域連携イベント「巨大ケーソンに絵を描こう!」を開催した。同日の土木の日の一環で実施。国際物流ターミナル整備事業に伴う岸壁整備のために製作されたケーソンをキャンバスに見立て、地元中学校の美術部に所属する生徒が海の中をイメージし、マンボウやクラゲなどを描いたアートケーソンを完成させた=写真。

回転窓/文化交流は絶やさない

 今年は話題の映画が多く公開され、劇場によく通った。中でも日本映画が豊作で、アニメ映画「鬼滅の刃」は全世界での累計興行収入が1063億円を超え、「名探偵コナン」は上半期で唯一100億円を超える興行収入を記録した▼歌舞伎をテーマにした実写映画「国宝」は歴代実写日本映画で2位の興行収入を達成。180分という今の時代にしては圧倒的に長尺となる実写映画だが、多くの人に支持された。これらは観客の心を掴み、名作と呼ぶにふさわしい作品といえよう▼中国メディアが、中国で間もなく予定されていたアニメ映画「クレヨンしんちゃん」の最新作など邦画の公開が延期となったと報じた。高市早苗首相の台湾有事発言を巡る摩擦が娯楽産業にも飛び火した格好だ▼中国では今月14日に鬼滅の刃の映画が公開されたばかり。わずか4日間で興行収入が4億元(約87億円)に迫るヒットとなっているが、今後、日本映画をボイコットする動きが広がる可能性もあるだろう▼日中両政府の歩み寄りがない中、対立の長期化を懸念する声も上がる。だが相互理解につながる文化の交流は絶やしてほしくない。




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国交省、総務省/改正業法・入契法施行踏まえ、入札金額内訳の対応要請

 国土交通、総務両省は、12月12日に全面施行する改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)を踏まえ、地方自治体発注工事での入札金額の内訳の取り扱いを周知する文書を出した。改正法で労務費や必要経費を明示した入札金額内訳書の提出が義務化され、公共発注者に書類内容の確認が求められることに対応を促す。土木工事や建築工事で用いる内訳書の様式例も参考として示した。

関東整備局/25年度建設技術フォーラム開く/国土強靱化テーマに8件を発表

 関東地方整備局は、東京・東池袋のサンシャインシティ展示ホールCで19日に2025年度「建設技術フォーラム」を開いた=写真。テーマは「強靱な国土が私たちの暮らしを守る」。関東整備局や教育機関が防災・減災関連施策、最新の研究事例8件を発表した。

2025年11月20日木曜日

建設技術展2025関東が開幕/200者超が出展、未来を共につくる機会に

 日刊建設工業新聞社が主催する「建設技術展2025関東(C-Xross2025)」が19日、東京・東池袋のサンシャインシティ展示ホールC・D(文化会館ビル2、3階)で開幕した。200者超の企業・団体が出展。「ともに創る建設の未来」をテーマに最先端の技術・工法やサービスを紹介する。会期は20日まで。入場無料。

回転窓/新しいおいしさ、新しい働き方

 先週、同僚の記者が江崎グリコのポッキーを買い込んでいた。聞けば形も色も味もすぐ思い浮かぶ、多くの人に愛されるチョコ菓子。4本手にした同僚が「お一人さまの日とも言われる11月11日は、ポッキーの日でもありますよ」と教えてくれた▼同社は定番の「ポッキーチョコレート」と「ポッキー極細」を10年ぶりに刷新した。「今の時代のおいしさ」を探り、材料や製法を見直して味を変えたという。その判断と挑戦する姿勢には賛否があると聞く▼夏の工事現場の働き方も話題だ。健康や生産性を考慮し、長期休暇の定着などを求める声が国の委員会や与党から出ている。全国建設業協会と国土交通省の地域懇談会・ブロック会議でも議論された▼実現には工期や納期、労働時間規制など多くの課題がある。それでも「建設業のイメージが変わり、若い担い手の確保につながる」という業界団体幹部の声にうなずける▼慣習や常識に縛られず、新たな挑戦を求める姿勢は工事現場にも商品開発にも共通する。記者の仕事も同じ。これまでと違う取材や原稿作りを心掛けたい。より良い紙面を届けるためにさらに精進したい。




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全建/自民党・鈴木俊一幹事長らに要望/強靱化実施中期計画の予算確保など

 全国建設業協会(全建)の今井雅則会長ら首脳が自民党の鈴木俊一幹事長や梶山弘志国会対策委員長、永井学国土交通大臣政務官らを18日に訪ね、「第1次国土強靱化実施中期計画」に関連する公共事業費として少なくとも2兆円以上の確保などを要望した。
 要望活動には今井会長、錢高久善(大阪建設業協会会長)、千葉嘉春(宮城県建設業協会会長)、石井源一(静岡県建設業協会会長)、西村裕(徳島県建設業協会会長)の各副会長らが参加。自民党の見坂茂範参院議員も同行した。
 全建の要望に対し、鈴木幹事長は「建設業界は災害対策などに活躍していただいており、必要なところに必要な予算を付ける」と応じた。自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)」や国土強靱化推進本部長も務める梶山国対委員長は「実施中期計画に関連する20兆円の強靱化予算はどういう積み方をするべきか、当初予算も含めてしっかり検討する」と話した。
 永井政務官は地域の守り手としての活動などに感謝しつつ、「担い手確保のために処遇改善や生産性向上を確実に進める」と述べた。逢沢一郎自民党総務会長代行は「災害発生時に対応する建設業者がいなくなってしまうのは大きな問題だ。現場で起きていることをよく見ていかないといけない」と語った。
 要望項目は10項目。全国9地区で開いた国土交通省との地域懇談会・ブロック会議の意見を集約した。予算確保以外では、直近の実勢価格を適切に予定価格へ反映することや、予定価格の上限拘束撤廃などを盛り込んでいる。




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仙台市/国際センター駅北地区複合施設/基本設計中間案/建設費548億円に増額

 仙台市は、青葉区青葉山に整備する「(仮称)国際センター駅北地区複合施設」の基本設計中間案をまとめた。案では建設工事費を基本構想(2023年6月公表)で示した350億円から200億円増額の約548億円と試算。今後の物価上昇を踏まえ、変動する可能性も示唆した。27年度の着工、31年度の完成、開館を目指す。
 基本設計は藤本壮介建築設計事務所が担当している。建設場所は青葉山2の1、4、5(敷地面積約1万8700平方メートル)。施設規模はRC、S造地下2階地上4階建て延べ2万7400平方メートル。音楽ホールや東日本大震災のメモリアル拠点となる複合施設を整備する。2000席規模の大ホール、350席程度の小ホールを備える。1階はワークショップや工作など市民活動の場、2階は災害に関する常設展示、多目的スペースなどを配置。3階は災害の知見を発信する展示場、4階はフリースペースとする。
 設計コンセプトは「たくさんの/ひとつの響き」。多様な目的を持った人々や活動が交わり、共鳴することで、新たな文化を創造する土壌を生み出す。外観は屋根材をさまざまな方向に折り重ね、施設の高さや大きさに伴う圧迫感を低減するデザインとする。庇(ひさし)を深く張り出し、日光を遮るとともに屋内と屋外が連続する開放的な環境を確保する。
 今後、11月下旬以降に音楽関係者や市民活動団体などと意見を交換する。寄せられた要望などを踏まえ中間案を修正し、本年度中に基本設計をまとめる。




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大林組ら/ダム本体工に3D流体解析技術/BIM・CIMデータ基盤に

 大林組と日立パワーソリューションズ(茨城県日立市、安藤次男社長)、日立製作所の3社は、ダム本体工事に3D流体解析技術を導入した。現地状況を正確に再現したBIM/CIMデータを解析基盤とし、ダムの放流状況を高精度にシミュレーションする。現実世界をデジタル空間に再現するデジタルツインの活用で、設計・施工方法の検討期間が従来の1年程度から3カ月程度に短縮。施工時の安全リスク評価も高度化できる。
 3D流体解析技術を導入した現場は、岐阜県八百津、御嵩両町で施工する「新丸山ダム本体建設工事」(発注者・国土交通省中部地方整備局)。既設ダムの機能を生かしながら堤体を約20メートルかさ上げして新設ダムを構築する。既設ダムと新設ダムの一部が重なる国内では初の構造形式のダム再開発プロジェクトになる。
 現場では新技術を用いて既設ダムの放流設備から下流の河道をモデル化し、放流時流量を想定した解析を実施した。ダム下流の施工現場付近の最大水位ととも被災リスクを高精度に予測。BIM/CIMで河床形状を詳細に解析し、放流時の流れを分析する。上流からの流れが護岸に衝突して生じる渦を巻く流れの様子とともに、同じ場所でも水面と川底で流れの速さが異なる状況などを断面図で把握できる。
 ダム湖から下流に通じる新設ダムの仮排水トンネルもモデル化し、所定の水位を想定して解析。トンネル吐口部で水の勢いを弱める状況や跳ね返る流れを再現し、流量や放流状況が確認できる。
 大林組によると、ダム建設現場は施工の進展に応じて現地状況が大きく変化する。設計段階で施工時の現地状況を加味した放流後の状況予測は困難。縮小模型を使った水理模型実験で設計・施工方法を検討するケースが多かった。
 同社は新丸山ダム本体建設工事で得た新技術の知見を踏まえ、デジタルツインによる現場管理をさらに高度化する。日立パワーソリューションズ、日立製作所とともにダム再開発工事への展開を目指す。




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2025年11月19日水曜日

回転窓/日進月歩の技術、建設業にも通じる視点

 父から届いた写真が妙に鮮明だった。理由を聞くと最新機種の「iPhone17シリーズ」を購入したという。最先端の技術進化を身近で実感した瞬間だった▼前モデルよりメインカメラの画素数は向上し、超広角レンズも強化。フロントカメラには自動ズーム機能が加わった。父が撮影し送ってきた写真の精細さも増した、ように感じる▼この最新カメラを支えるのは、ソニーグループや京セラなど日本企業の部品だ。米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は「心臓部を支えているのが日本の技術」と語る。横浜市港北区の「横浜テクノロジーセンター」で生まれた協業が進化に寄与している▼技術は常に前へ進み、気付けば時代遅れになることもある。ある建設会社の幹部は「時代を先取りし、多様な価値を創造しなければ勝ち残れない」と話していた。ものづくり全般に通じる視点だ▼最先端に触れ、その流れを確かめる場がある。「建設技術展2025関東」(日刊建設工業新聞社主催)が19、20の両日、東京・東池袋のサンシャインシティで開かれる。ぜひ、建設産業の未来を考えるきっかけにしてほしい。




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国交省/労務費内訳明示の見積書、書き方ガイドと様式例作成/中小下請にも普及促す

 国土交通省は、改正建設業法に基づく労務費や必要経費を内訳明示した見積書の「書き方ガイド」と「様式例」を作成した。元請などに見積書を提出する下請の専門工事会社が活用することを想定。様式例はエクセル形式で作成されており、各社の使い勝手が良いように編集することも可能だ。業種・職種ごとの特性に対応し、各専門工事業団体が用意する「標準見積書」の作成・見直しにも活用してもらう。 =1面参照
 意見募集中の「労務費に関する基準(標準労務費)」の運用方針の案に「別紙」として付けた。12月上旬に公表する。  
 これまで労務費や必要経費を内訳明示した見積書を作成する習慣がなかったような中小規模の建設会社にも適正な見積もりを普及させるのが目的だ。改正法で特に内訳明示が求められる▽材料費▽労務費▽法定福利費(事業主負担分)▽建設業退職金共済(建退共)掛け金▽安全衛生経費-の五つの額を記載する様式となる。簡易版と詳細版の2パターンを用意した。
 書き方ガイドでは、様式例を用いた見積書の作成手順、労務費や必要経費の算出方法などを分かりやすく解説する。様式例は「見積書作成支援ツール」として、エクセルのシートに単位・単価・数量などの必要項目を入力することで見積書を作成できるようになっている。作成の利便性が高いことに加え、当初・最終見積書の比較やデータ蓄積もしやすいため、このまま電子媒体で作成することを推奨する。
 各専門工事業団体には、様式例を業種別にカスタマイズした標準見積書の作成・活用を働き掛ける。法定福利費や安全衛生経費を内訳明示する既存の標準見積書がある場合は内容をアップデートしてもらい、まだ標準見積書を用意していない団体には新たに作成してもらう。




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東京都/神田川に31万立方メートルの調節池整備へ/20年に一度の豪雨に対応

 東京都が神田川に大規模調節池を整備する。約31万立方メートル、標準的な25メートルプール約820杯分の雨水を一時的にため込み、都心部の治水安全度を高める。場所は高戸橋(新宿区西早稲田3)~駒塚橋(文京区目白台1)付近を想定。地下トンネルにする方針で整備ルートや立坑の場所、主要施設の概要・配置、概算工事費、スケジュールなどを詰める。
 都財務局は、18日に関連業務として「神田川における調節池基礎調査委託(その5)」業務の希望型指名競争入札を公告した。参加申請を21日まで電子入札システムで受け付ける。12月2日の指名通知を経て、同10日に開札する。都入札参加資格に営業種目「土木・水系関係調査業務」取扱品目「河川・水理調査」で登録されているA等級認定者が参加できる。履行期限は2026年3月13日。
 地下トンネル式で約30・9万立方メートルの大型調節池を設け、気候変動を踏まえた年超過確率20分の1の豪雨に対応する。ルートは過去の検討業務で候補とした案に4案程度を加え、ピーク流量カット量や貯留量を加味して検討する。立坑は4カ所程度を設ける。
 ケースごとに取排水施設、換気施設、監視制御施設などの諸元、配置などを整理。施工性や周辺環境、関係法令などを考慮して概略検討を行い施工計画、概略事業費、スケジュール案などをまとめる予定だ。




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大成建設/半導体製造装置向け高性能免震装置を改良/大小地震に機能発揮

 大成建設は、半導体製造装置向けの高性能機器免震装置を改良した。最大震度6弱程度までの大規模地震に加え、同3~5弱程度の揺れでも性能が発揮できるようにした。より広範な地震に対応し、半導体製造装置の重要部品や製造途中の半導体製品が地震で受ける被害を低減。半導体製造の生産性向上に貢献する。
 高性能機器免震装置は「TASSユニット」として、2009年に免震装置の製造などを手掛けるエーエス(東京都墨田区、森明広社長)と共同開発した。車輪とレールが一体になった転がり支承をユニット化した免震装置。水平2方向の免震構造で地震の揺れを効果的に減衰する。22年には免震装置の共通ユニット化と設置架台を合理化した新型を開発。国内や台湾で従来タイプと新型合わせて約4000台の採用実績がある。
 半導体デバイスの素子をより小さく加工する技術が高度になり、半導体は微細化が進展している。発生頻度の高い中小規模地震で製造中の半導体製品が破損するリスクに対処するため、製造装置用の免震装置を改良した。新型の転がり支承の車輪部分に摩擦抵抗を切り替える新技術を導入。さまざまな規模の地震に対応できるようになった。
 新たに摩擦抵抗の異なる2種類の車輪とクランク形状のレール(切り替え型レール)を組み合わせた構造を採用した。大規模地震への対応を想定した従来の標準摩擦タイプの車輪に加え、より摩擦抵抗の小さい車輪も併用。新たに搭載した切り替え型レールの働きで、地震の揺れの大きさに応じて支承ユニットを使い分け、半導体と製造装置を揺れから守る。
 基本構造は従来タイプを踏襲し、導入コストも従来型と同等にとどめた。免震装置の設計条件など情報の事前提示があれば、最短1カ月で納品可能だ。さまざまな半導体製造装置に対応しつつ、主に縦型炉の半導体製造装置向け免震装置としての販売も視野に入れる。




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2025年11月18日火曜日

千葉市/土木の日イベント開く/千葉生コン工組らが出展、土のうで文字づくりも

 千葉市は、土木の日(11月18日)の特別イベント「はたらくくるまみんなあつまれ2025」を16日、中央区にある市役所で開いた。千葉県生コンクリート工業組合(千葉生コン工組、勝呂和彦理事長)らが協力。子どもたちがモルタルで「ミニモアイ像」の製作体験を行った。千葉市建設業協会(田中秀典会長)は土のうづくり体験コーナーを用意。土のうで「千葉開府900年」の文字を作った。

回転窓/均衡を失った組織は静かに崩れる

 「自覚と無自覚」「責任と権限」「評価と処遇」--この均衡が崩れたとき、組織は静かに劣化を始める。自覚だけを求め、権限を与えぬのは、かじを渡さずに船長を責めるようなものだ。責任だけを押し付け、処遇で報いないのは、火中の栗を拾わせて笑う商人に似ている▼管理職を「都合の良い便利屋」として扱う企業は、一見効率的に見える。だが「無自覚の搾取」は組織の魂を衰えさせる。人は、評価されぬ努力を続けられるほど強くない。責任を背負う覚悟は、正当な報いと信頼で支えられる▼静かな搾取は、燃料を補給せずにエンジンを回す車のようだ。最初は走るが、やがて熱を持ち、止まる。エンジンを酷使すれば、いずれ駆動は静かに失われる▼ピーター・ドラッカーは言う。「権限なき責任は、無責任と同じである」。管理職とは命令を下す者ではなく、矛盾を抱えながら人と成果を守る存在。その覚悟を都合よく使う組織は、いずれ“自覚ある人材”を失う運命だ▼組織の成熟とは、従順な人を増やすことではない。自覚ある人を守り抜くことにこそある。その時に初めて、血が十分に通い、生命が宿る。




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相模原市/リニア駅周辺まちづくりイノベーション戦略/研究開発都市への進化など

 相模原市は、「リニア駅周辺まちづくりイノベーション戦略」を14日に公表した。JR・京王線橋本駅南口(緑区)で建設中のリニア中央新幹線神奈川県駅(仮称)開設を好機と捉え、東京圏と名古屋圏も視野に入れた広域的なプロダクトイノベーションハブの形成を目指す。企業誘致や研究機能集積を促進し、研究開発都市への進化を図る。今後は神奈川県と連携して研究開発拠点整備の検討や可能性調査、民間開発事業者が入居するオフィスなど業務施設の整備・設置などへの支援を検討する考えだ。

飛島建設/乙川亮司氏が南極観測第67次夏隊に参加/建築土木の現場監督

 飛島建設の乙川亮司氏=写真=が国立極地研究所(極地研)の第67次南極地域観測隊(夏隊)に参加する。第66次隊(夏隊)に続き2回目の派遣。主に建築工事の現場監督として、昭和基地に建設している夏期隊員宿舎やコンクリートプラントの運用など、5件の工事に携わる計画だ。現地滞在は35日と例年の夏隊より2週間ほど短い予定。乙川氏は「絶対に事故を起こさないようにしたい。難しい作業は早めに実施の可否を判断するのも仕事だ」と意気込む。

2025年11月17日月曜日

回転窓/「土木の日」に寄せて

 あす11月18日は「土木の日」。国民に広く土木の意義と役割を理解してもらおうと、土木学会が1987年に制定した。18~24日の「くらしと土木の週間」に合わせ、各地でさまざまなイベントが開かれる▼土木が市民工学でありながら、市民やマスメディアに直接語りかける姿勢に欠けていたのではないか。制定当時は、こうした問題意識が高まっていたようだ▼中国前漢時代の思想書『淮南子』に書かれた「築土構木」が土木の語源とされる。土木の漢字を分解すると「十一」「十八」になるため、11月18日が土木の日に。土木学会の前身「工学会」創立が1879年の同日だったこともあり、制定の議論は一気にまとまったという▼土木の記念日が制定されると小欄が知ったのは学生時代。大学で土木系学科の指導教授が「社会資本整備はパブリックリレーションズに始まり、これはヒューマンリレーションズに始まる」と話していたのを思い出す▼社会資本の新規整備や維持更新に国民の理解と協力は欠かせない。土木学会広報委員長を務めた恩師は鬼籍に入ったが、これからも40年近く前に聞いた言葉の大切さは変わらないだろう。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179268
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凜/パシフィックコンサルタンツ・末松菜々子さん/人と社会をつなぐ懸け橋に

 「人と人をつなぐ力」が自分の強みだと感じている。さまざまな分野に関わりながら、手早く確実に業務を進めるデジタル部門で、その力を発揮してきた。「人の長所を掛け合わせ、よりよい仕事を生み出す橋渡しになりたい」と話す。
 昨年は、国土交通省の地域交通DX推進プロジェクト「Project LINKS(プロジェクト・リンクス)」に参加。公共交通の時刻表やルートを規格化したGTFSデータや乗降実績データを使って地域交通を「見える化」し、EBPM(根拠に基づく政策立案)を後押しする取り組みに携わった。自治体や交通事業者と進める大規模なプロジェクトだ。
 複雑化する交通分野の課題に向き合い、現場の聞き取りや実態把握、データ標準化、関係者との調整などに取り組み、情報技術にとどまらない幅広い力を身に付けた。
 こうした経験と成果が評価され、9月の社内技術者発表会で優秀賞を受賞した。発表では技術力だけでなく伝え方も問われる。日頃業務で磨いてきた説明力が実を結び、自信にもつながったという。
 さらに「会社の外からも土木を知りたい」との思いから、土木技術者女性の会にも参加。現場見学会の企画や働き方を紹介する冊子づくりにも携わり、現場と社会の両面から土木分野に貢献し続けている。
 (パシフィックコンサルタンツ情報事業部空間情報室)(すえまつ・ななこ)




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179277
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全国知事会/学校施設環境改善交付金/国に予算確保を緊急提言

 市区町村による学校改築・改修費の一部を国が補助する2025年度の「学校施設環境改善交付金」に関して、全国知事会が確実な予算確保などを求める緊急提言を行った。同年度は採択保留になる事業が依然多く、計画的な施設整備に支障が生じているという。25年度同交付金の当初予算額は24年度に比べ約115億円減っていた。
 緊急提言は14日に全国知事会子ども・子育て政策推進本部長の熊谷俊人千葉県知事が、文部科学省の福田かおる政務官に行った。
 学校施設環境改善交付金は、災害発生時に避難所としての役割も果たす公立学校施設の安全性を確保するため、改築や補強、大規模改造などの事業に対し国が一部費用を市区町村に交付する制度。市区町村の申請を都道府県が取りまとめて国に提出する。
 提言では25年度に地方自治体が計画している全ての改修・改築を確実に行えるよう、迅速な追加採択を要望。補正予算の確保も必要だとした。26年度当初予算でも十分な金額を充てるべきだとした。
 千葉県では学校施設環境改善交付金の2次内定時(6月20日時点)で県内自治体が行う35事業が不採択だった。仙台市の4月時点の採択数は例年の半分以下。建設会社からは先行きを不安視する声が上がっていた。
 文科省は26年度予算の概算要求で、学校施設環境改善交付金を1384億円(25年度予算62億円)とし、大幅に増額している。
 全国知事会は、教員の負担軽減や専門性向上などを目的にした「教育支援体制整備事業補助金」に対しても提言。26年度当初予算で十分な予算確保や、地方自治体への採択・内定の通知を早期に行うことなどを求めた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179275
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インフロニアHD/成長投資に2700億円/建築・土木の事業利益目標も大幅増加

 インフロニア・ホールディングス(HD)は14日、三井住友建設との経営統合を反映した改訂版の中期経営計画を公表した。最終年度に当たる2027年度までに実施する成長投資は2300億~2700億円とし、当初計画から100億~200億円上積みした。施工体制の補完効果を見込む建築、土木両分野を中心に、事業利益(IFRS、営業利益)の目標値も上方修正した。=1面参照
 成長投資の内訳は、再生可能エネルギー1230億~1330億円、海外180億円、官民連携150億~350億円、蓄電池500億~600億円、IT・DX投資200億円、人的投資40億円。再エネは30億~130億円、IT・DXは50億円、人的投資は10億円増額し、その他は据え置いた。
 事業利益目標は、建築287億円(当初134億円)、土木347億円(178億円)、インフラ運営71億円(92億円)、舗装262億円(247億円)、機械27億円(26億円)とした。
 株主資本利益率(ROE)は資産の効率化と収益性の向上で、9・0%を12・0%に引き上げる。
 請負事業では、三井住友建設のプレキャスト(PCa)技術を活用し、超高層建築案件の受注を狙う。海外事業は建築でインド、土木でフィリピンやバングラデシュをターゲットに、大型政府開発援助(ODA)案件の拡大を目指す。前田建設のインフラ運営ノウハウと三井住友建設の実績を融合。ODAとコンセッションを組み合わせた新たな事業モデルも視野に入れ、収益基盤の強化につなげる方針だ。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179272
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札幌市/新スケート・カーリング場整備にDB採用/2026年4月に入札公告

 札幌市は13日、「新スケート・カーリング場整備事業」の実施方針と要求水準書案を公表した。東区にある美香保体育館の後継施設として、同区の全天候型コミュニティードーム「つどーむ」敷地内に、延べ床面積約9500平方メートルを上限とする施設を整備する。事業方式は設計施工一括発注(DB)方式を採用する予定で、2026年4月上旬にも総合評価一般競争入札の公告を予定している。
 東区にある美香保体育館はRC一部S造2階建て延べ6655平方メートルの規模。夏は卓球、バスケットボール、バドミントンなど、冬はフィギュアスケート、ショートトラックのほか、カーリングリンク(4シート)として利用されている。1972年の札幌五輪に合わせて71年に建設され、30年ごろに更新時期を迎える。
 新施設の建設地は、東区栄町885の1にあるつどーむの敷地内(敷地面積13万3329平方メートル)。通年型のスケート・カーリング場としてスケートリンクの維持・強化とカーリング機能の拡充を図るとともに、各種競技大会などに対応できる観客席を確保した施設として整備する。
 施設内容はスケートリンクが約2500平方メートル、カーリングリンクが約1600平方メートルとし、共用部などを含めた延べ床面積は9000~9500平方メートルを想定。事業期間は27年2月を予定する契約締結日から30年11月29日までとする。
 参加資格は設計、建設、工事監理の各業務を担当する複数企業で構成するグループ。設計企業と工事監理企業は市の競争入札参加資格者名簿で建設関連サービス業(建築設計・監理業)に登録されている1級建築士事務所など。建設企業は市の建築工事の入札参加資格を持ち、客観的評定点が1200点以上であることなどが要件となる。
 参加表明書などの資格審査書類は26年5月ごろに受け付け、同6~7月に入札説明書に関する対話を実施する。提案書の提出は同9月ごろに受け付け、ヒアリングを経て同11月に事業者を決定・公表する。
 実施方針に関する現地見学会を12月1~2日、個別対話を同3~5日に予定しており、参加申し込みをそれぞれ25日まで受け付けている。
 担当はスポーツ局スポーツ部スポーツ都市推進課・施設整備担当(電話011・211・3077)。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179276
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関東整備局/3Dプリンターで護岸ブロック製作/荒川第2調節池建設で試行導入

 国土交通省関東地方整備局は、埼玉県内で進む「荒川第2調節池」の建設工事で、護岸ブロックの製作に3Dプリンターを試行導入している。対象は調節池の排水門付近に整備する護岸のうち、加工が難しい曲線部分。設計図通りに成形できるため、省力化や危険作業の軽減が期待されている。
 3Dプリンターで作ったブロックは、関東整備局が工事発注する同調節池の排水門池内水路付近に設置される。施工は飛島建設。建設用3Dプリンターなどを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)が納入。護岸全体(約600平方メートル)のうち、72平方メートル相当のブロック製作を自動化する計画だ。
 プリンターは横3・7メートル、縦3・4メートル、高さ2・8メートル。曲線部のブロックサイズは横幅が約0・7~1・8メートル、縦が1メートル。16センチの厚さで1日に4枚程度が製作できる。プリンターは3DCADのデータを読み込み、モルタルと水を混ぜた材料をノズルから吹き出して型枠を製作。空洞に生コンクリートを流し込んで仕上げる。型枠に使用する二つの材料はポリウスの独自配合で、現場環境に応じて調整する。
 護岸は所々で微妙にカーブしている。これまでは作業員が回転工具で設計通りに成形していた。作業は多くの労力が必要で、工具の使用はけがのリスクもあった。関東整備局の米沢拓繁荒川調節池工事事務所長は3Dプリンターを「省力化に貢献する新たなツール」と評価している。
 14日に国交省や埼玉県の職員、15日には土木学会関東支部(杉山太宏支部長)主催の親子見学会で実機を披露した。




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2025年11月14日金曜日

建専連が都内で全国大会開く/処遇改善へ「勇気を持って」

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)は13日、2025年度全国大会を東京都港区のニッショーホールで開いた。「職人たちの未来予想図-職人の価値を正当に評価する未来へ-」をテーマに建設業の担い手確保の現状を赤裸々に描いた寸劇と、有識者による討論が行われた。冒頭あいさつした岩田会長は、改正建設業法の全面施行を契機に、若者などが夢を描けるような処遇改善に向け「勇気を持って取り組もう」と呼び掛けた=写真。

回転窓/不安取り除く活動を

 新潟県内に暮らす伯母が、隣町でクマが出没したと、取り乱した口調で電話をしてきた。自治体が発表する警報などに注意を払い、一人で行動しないようにと助言をしたが、不安を和らげるような言葉をかければよかったと、電話を切ってから後悔した▼クマによる人身被害が各地で相次いでいる。5日時点で、過去最多だった2023年度の2倍となる13人が犠牲になった。うち半数は10月以降に発生している▼冬眠を前に餌を求めて人里や街中に出没するクマが急増している。過疎化や高齢化で耕作放棄地が増えた上、管理も行き届かなくなり、人間の管理下にあったはずの場所がクマの活動圏になってきていることも、人里に近づく原因だという▼箱わな不足が問題になる中、自衛隊が支援に乗り出す事態となった。だが現行法に縛られ、民間人の猟友会が最前線に立ち、自衛隊は後方支援に回っている。秋田県での支援活動は災害派遣ではなく、「土木工事等の受託」という任務での出動だそうだ▼活動に制限があろうとも、住民の安心など心理的な側面は大きい。少しでも不安が取り除けるような生活環境を整えてほしい。




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関東整備局/首都直下地震想定し防災訓練/2会場で道路啓開、支援物資輸送など

 関東地方整備局は13日、首都直下地震を想定した防災訓練をさいたま市中央区と東扇島(川崎市川崎区)の2会場で行った=写真。訓練には総務省消防庁や北関東防衛局など国の機関、東京都、民間企業を含む11者が参加。防災ヘリコプターを使った被災調査や道路啓開、緊急物資海上輸送訓練を行い、災害時に取るべき行動を確認した。

登戸駅前地区再開発(川崎市多摩区)/26年2月にも着工、29年9月竣工へ/組合

 JR・小田急登戸駅の南側(川崎市多摩区)で超高層複合ビルの建設を計画する登戸駅前地区市街地再開発組合が2026年2月の着工を目指している。権利変換計画の認可を市に申請。竣工は29年9月を計画する。延べ約6・5万平方メートルの商業、住宅、子育て支援施設などを備えた複合施設を建設。資材価格や人件費の上昇、高止まりを受け、工事費は24年11月の事業計画決定時点から約27%増の453億3200万円になる見通しだ。参加組合員として東急不動産と小田急不動産、東急の3社が参画している。

東洋建設/小径ループ継ぎ手で桟橋上部工構築/施工省力化や工期短縮に効果

 東洋建設は13日、組み立て式桟橋の上部工構築で、小径ループ継ぎ手を採用し鋼管杭とRC製プレキャスト(PCa)を接合する「TM-LOOP工法」を開発したと発表した。海上での溶接作業を省き、桟橋上部工の施工省力化や工期短縮につなげる。現場打ちコンクリート工法と比べ海上施工の工期を約50%、作業員数も約75%削減できると確認した。

2025年11月13日木曜日

伊藤組土建/札幌市で現場写真展開幕/若い感性で建設業の魅力発信

 伊藤組土建が北海道内の学生と協力して実施している建設業PR企画「撮ろう!建設現場#北海道の学生が写し撮る建設の今、そして未来」の作品展が11日、札幌市中央区の大通ビッセ1階ロビーで開幕した。学生5人が撮影した同社工事現場写真を展示し、建設業の魅力を発信する。会期は17日まで(開催時間午前7時から午後11時まで、最終日は午後9時まで)。

回転窓/大阪・関西万博のお礼

 セルビアの名物料理の一つにパイ(ピタ)がある。ジューシーなひき肉をサクサクの生地で包んだピタ・サ・メソムや、チーズたっぷりのピタ・サ・シロムは、大阪・関西万博の同国レストランで人気を集めた▼同国は世界有数の冷凍ベリー供給国でもある。レストランのメニューには8月にベリータルトも登場。ポータルサイト「食べログ」では外国パビリオンの評価で1位になったこともあった▼同国政府が「2027年、ベオグラードでお会いしましょう!」とSNSで呼び掛けている。首都で同5月15日に始まるベオグラード万博への招待告知だ▼こちらの万博のテーマは「人類のためのあそび」で、スポーツや音楽を扱う。分断の様相を深める懸念が世界で高まる中、テーマには人とのつながりや手を携える大切さを伝えたい思いが込められたという▼経済産業省がベオグラード万博の日本館や展示の基本計画をまとめた。テーマは「日本のあそび心」。受け継がれてきた日本の遊びの諸相を紹介し、「ともにあそび、つながる」思いを表現する。セルビアの関係者も多く訪れた大阪・関西万博、そのお礼ができたらいい。




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福祉共済団/現場のクマ対策呼び掛け/保険金支払い事例も

 建設業福祉共済団(茂木繁理事長)の調べによると、2024年度の建設共済保険の保険金支払いで、クマによる労災事故により保険金を支払った事例があることが分かった。

三井不、鹿島/東京都中央区のオフィスビル竣工/12階建て延べ1・4万平米

 三井不動産と鹿島が東京都中央区で建設していたオフィスビル「日本橋本町M-SQUARE」が12日に竣工した。両社の共同開発事業で、設計と施工は鹿島。ビルの規模は延べ1万4222平方メートルとなる。緑豊かな外構空間も備え、都心でありながら自然に憩える。宇宙・ライフサイエンス分野の複数企業が入居する。

鳥取県/鳥取空港第2期コンセッション(鳥取市)/JPiXグループに

 鳥取県は鳥取空港(鳥取市)で導入する第2期コンセッション(公共施設等運営権)事業の優先交渉権者に日本共創プラットフォーム(JPiX)とオリエンタルコンサルタンツによる企業グループ(JPiX・OCコンソーシアム)を選んだ。空港や航空保安施設などの維持管理のほか、円滑な空港運営につながる事業を実施する。月内に基本協定を締結し、2026年2月の県議会に関連議案を提案。同3月に運営権を設定し、27年4月から20年にわたって事業を実施する。

清水建設ら/高精度な滞在人口推定モデル開発/時間帯別や来街者の属性別に分析

 清水建設は位置情報データの活用支援などを行うGEOTRA(東京都千代田区、陣内寛大社長)と共同で、機械学習を使って都市開発エリアに滞在する人口の変化を高精度に予測できるシミュレーションモデルを開発した。計画エリアの滞在人口分布の変化を平日・休日別、時間帯別、来訪者の属性別に分析。まちづくりや都市開発の計画初期段階で定量的な根拠に基づく合意形成に活用できる。

2025年11月12日水曜日

公共建築協会/都内で公共建築賞表彰式開く

 公共建築協会(藤田伊織会長)などは11日、第19回「公共建築賞」の表彰式を東京都中央区の東京証券会館ホールで開いた。佐々木紀国土交通副大臣が行政、文化、生活の各施設部門の同賞受賞者に表彰状と銘板を授与した=写真。特別賞の受賞者には、佐藤由美国土交通省官房官庁営繕部長が表彰状と銘板を手渡した。

回転窓/踊る笑顔に誘われて

 先日、カルチャースクールで社交ダンスを習う知人の発表会に足を運んだ。10年以上続けているだけあって、動きはまさに見事。何より、心から楽しそうに踊る姿に、こちらまで笑みがこぼれた▼社交ダンスの起源は約900年前のヨーロッパ。もとは宮廷で輪になって踊る舞踊だったという。1990年代には、周防正行さんが監督・脚本を務め、役所広司さんや草刈民代さんが出演した映画が大ヒットし、社交ダンスがブームを巻き起こした▼知人と同じチームの男性は「仕事以外で夢中になれる趣味を見つけた」と語る一方で、「メンバーの高齢化が悩み」ともこぼしていた。若手の勧誘に力を注いでいるそうだ▼教養を深めつつ、ストレスも発散できるカルチャースクールは幅広い世代に人気だ。小欄の住む自治体でも、ボクシングやスイミングなど40を超える講座が開かれている▼SNSでのやりとりが当たり前になった今、井戸端会議のような光景はすっかり見かけなくなった。カルチャースクールは人と人とが出会い、つながる貴重な場かもしれない。社交ダンスの入会案内を取り寄せようか、少し心が揺れている。




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日本道路/福岡県東峰村と森づくり事業で協定締結

 日本道路は10日、福岡県東峰村と森づくり事業に関する協定を結んだ。今後、村内の森林での植樹活動への協力、同社のPRイベント、間伐材を用いた商品や教材づくりなどに取り組む。同日、村役場で開かれた協定式には、小楠直彦執行役員九州支店長や真田秀樹村長らが出席し、協定書を交わした。協定期間は2028年3月31日まで。

松山市/中央配水本管と送水管を一体施工/シールド設計を順次発注

 松山市は、市之井手浄水場(溝辺町65)から市内中心部に水を配るための中央配水本管の建設を計画している。中央配水本管と送水管を一体的に整備する。工事では管径2950~3000ミリ規模のトンネルをシールド工法で構築。市之井手浄水場と新たに整備する新竹原浄水場を結ぶ延長約6000メートルを3工区に分けて発注する見通しだ。シールド工事の詳細設計業務を順次発注している。

JS/卵形消化タンク築造の現場公開/大型型枠で施工性向上、工期短縮

 日本下水道事業団(JS)は、長野県松本市の両島浄化センターに建設している「卵形消化タンク」の工事現場を報道関係者に10日公開した。下水汚泥を細菌消化で減量し、発生したメタンガスなどを取り出す施設。タンクは卵のような形状で、大型型枠を使った工法で施工性向上や工期短縮を実現している。施工は守谷商会。

上場ゼネコン大手4社/25年4~9月期決算、全社増益/国内建築で採算改善

 上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、大成建設、清水建設)の2025年4~9月期連結決算が11日に出そろった。豊富な手持ち工事を順調に消化し、2社が増収。採算管理や施工段階のリスク管理を徹底し、追加・設計変更工事の獲得や原価低減も進展した。全社が増益となり、単体の完成工事総利益(粗利益)率は建築を中心に改善した。26年3月期は利益率の一段の好転を見込み、3社が通期業績予想を上方修正している。

2025年11月11日火曜日

回転窓/肩書きより影の知恵

 職業とは肩書ではなく、社会という劇場で演じる役割を指すのだと思う。だが、自分がキャスティングされた意味や使命に気付ける人は意外に少ない▼気付く人は、自分という俳優が舞台でどこに立つべきかをよく確認し、周囲の声に耳を澄まし、場の空気を敏感に察知する。気付けない人は、舞台の中央で拍手を独り占めした気になり、客席の所々が空いていることに気付かない▼職場という名の劇場では、その差が周囲への影響となって現れる。自覚ある者は連鎖反応の触媒となり、場を温める。無自覚な者は、知らぬ間に場を冷やす。まるで歩く冷蔵庫のように▼評価とは、その場の空気を読む感度を測る、ささやかなセンサー。皮肉なことに、高評価を得ても自己認識の薄い人は、他人の賛辞を栄養に勘違いの機を必死に育てようとする。成長力とは、自己認識の芽に水をやれる人の特権である▼結局、肩書の重さより、立場を知り、周囲に影響を与え、学び続ける力が重要だ。照明は平等でも、スポットライトを浴びて輝くのは、自分の影を笑い飛ばせる人。万雷の拍手に酔いしれる人ほど、客席が静まり返っているものだ。




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財務省/生産性向上見込んだ予算に/社会資本整備で見解

 財務省は、建設業の人手不足を「他産業以上に構造的な課題」と指摘し、公共投資の増大が民間投資を圧迫するという趣旨で同省が懸念する「クラウディングアウト」を引き起こさないよう留意が必要だと改めて主張した。人手不足の影響が公共・民間のさまざまな事業の延期などにつながっており、何よりも生産性向上の重要性を強調。「公共事業関係費も国土交通省の掲げる生産性向上の目標を織り込んだ水準としていくべきだ」と説いた。

建機大手3社/25年4~9月期決算/3社とも減収に

 建設機械大手3社(コマツ、日立建機、コベルコ建機〈神戸製鋼所建設機械部門〉)の2025年4~9月期決算が10日に出そろった。前年同期と比較し円高になった影響もあり、コマツと日立建機は減収営業減益。米国の関税政策は「需要への影響は明確には見られない」(コマツ)、「北米での独自展開事業は底堅く推移している」(日立建機)とし、懸念していた需要減速は軽微だった。

吉村建設工業、ポリウス/重力式擁壁を3Dプリンター施工/オンサイトで実演

 ◇京都市発注の中山石見線道路改築現場
 吉村建設工業(京都市中京区、吉村良一社長)と建設用3Dプリンターなどを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)は、京都市内で国内最大規模の建設用3Dプリンター施工を行っている。6日に現場見学会を開催し、日本で初となる重力式擁壁を現場で直接印刷するオンサイトプリンティングを実演した。

2025年11月10日月曜日

回転窓/おいしいミカンでひと息

 ビタミンCとクエン酸が豊富に含まれ、秋から冬にかけておいしく健康にもいい果物がミカン。今年も10月ごろから収穫時期の早い極早生(ごくわせ)ミカンが店頭に並び始めた▼ミカンの生産量は今年、不作だった昨年と比べて回復する見通しという。ただ一昨年よりは少なめとの予測もある▼不思議なのは多くの実が付く表年と、少ししか実らない裏年が交互に巡ってくること。こうした現象は「隔年結果」と呼ばれる。気温や降水量の変化、前年に実を付けた枝には花が咲かないなどの理由が推測されるが、詳しい原因は分かっていないとも言われる。生産者は対策を講じて安定収穫に努めている▼先日行った青果店で「ミカンの選び方」が掲示されていた。形は扁平(へんぺい)で重みがあり、果皮のつやが良くてフカフカしていない。こんなミカンがお勧めだという▼ミカンは極早生の収穫時期が終わると、早生、中生(なかて)、晩生(おくて)へと移っていく。冬に向かうこれからの季節は風邪の予防に役立つだけでなく、色と香り成分でリラックス効果も得られる。忙しい仕事の合間にも食べてほっとひと息つきたい。




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凜/アズビル・服部里奈さん/変化を楽しみ、自分らしく

 技術者として、建物の省エネルギー診断や改修を行うESCO事業に携わり、全国の病院や商業施設を訪れて設備の状況を確認している。電力やガスの使用量や二酸化炭素(CO2)排出量を分析し、どの程度削減できるかを試算して最適なシステムを提案する。自分が設計した制御システムが実際に稼働し、遠隔監視でその成果が見られると、大きなやりがいを感じる。

大阪府/発注標準を全体的に引き上げ/物価・人件費上昇に対応

 大阪府は建設工事の入札参加資格審査に用いる等級区分の工事金額(発注標準)を全体的に引き上げる。土木一式、建築一式、電気、管、舗装の各工種を対象に、発注規模の実態や物価・人件費の上昇傾向を踏まえた対応。おおむね1~2割の増額改定とし、より現行市場に即した基準に改める。新区分は2026年度の公告案件から適用する。

岐阜県多治見市/新庁舎基本設計案/市民が主役の施設目指す

 岐阜県多治見市は7日、市役所新庁舎の基本設計案を公表した。「『市民が主役』人とまちをつなぎ、にぎわいを発信する新庁舎」を目指し、広場に面した1階は多世代が交流する多目的空間「市民リビング(仮称)」の整備などを盛り込んだ。概算建設費は73億7000万円(税込み)を見込む。2026年度に実施設計を完了し27年度に着工、29年度の完成を予定する。基本・実施設計は安井建築設計事務所が担当。

ジャパンパイル/高支持力杭の杭頭接合構法開発/定着筋の本数削減、設計手法も確立

 アジアパイルホールディングス(HD)の事業会社ジャパンパイルは、高支持力杭工法の性能を最大限に引き出す新しい杭頭接合構法を開発した。「Smart-PILECAP構法」は、パイルキャップに杭を埋め込み、杭頭接合部の耐力を高める。過密になりがちな杭頭部の定着筋の本数を削減できる。実験データに基づき埋め込み部の配筋の設計手法も確立。日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得した。

伊藤工業とカナモト/建機の遠隔操縦技術を実証/電波不感地帯での施工性確認

 伊藤工業(北海道室蘭市、伊藤豊社長)とカナモトは、建設機械遠隔操縦の実証実験を行っている。バックホウにカナモトの遠隔操縦システム「KanaTouch」(カナタッチ)を組み込み、衛星通信サービス「スターリンク」を使用して電波不感地帯での施工性を検証している。伊藤工業の荒雅秀工事課長は「遠隔地からもタイムラグがなく臨場感のある操作ができると確認できた」と今後の本格導入への手応えを話した。

2025年11月7日金曜日

回転窓/ガウディの塔、百年越しの完成へ

 子どもや一般に建設現場を開放する見学会は夏休みの恒例行事だが、最近は工事が佳境を迎える時期に合わせて開かれることも多い。ものづくりの奥深さを伝え、建設業とそこで働く人への理解を深めてもらう貴重な機会となっている▼着工から140年以上が過ぎてもなお工事が続くスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリアは、もはや見学の域を超えた世界的な観光名所だ。未完の聖堂では、高さ172・5メートルの主塔「イエスの塔」が2026年に完成し、主要部分が仕上がる見通しという▼この年は設計者アントニ・ガウディ(1852~1926年)の没後100年にも当たる。聖堂へとつながる巨大な階段など外構の仕上げは、34年ごろに完了予定とされる▼歴史的な節目を迎えるに当たり、ガウディ没後100年の公式展覧会が日本で開催されることになった。聖堂の図面や手記など、これまで公開されてこなかった資料も多数並ぶそうだ▼26年1月10日~3月15日に東京・寺田倉庫G1(品川区)で開幕し、春には大阪へ巡回予定。ガウディの夢を今に伝える貴重な機会。巨匠の息づかいに触れる日が待ち遠しい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=179020
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パシコン/先端技術センター内にオプション創造室がオープン/ラボ型開発の拠点に

 パシフィックコンサルタンツは、社外に専属チームを置いて新技術を生み出す「ラボ型開発」を始動する。同社先端技術センターに10月1日付で設けた「オプション創造室」を拠点に社外リソースを活用した技術開発に力を注ぐ。

国交省/インフラ分野DPF利活用促進へ/AI共創パートナー募集

 国土交通省は、所管各分野のデータ連携基盤となる「国土交通データプラットフォーム(DPF)」の利活用促進に向けた新たな試みとして、インフラ分野でのAI活用に関心がある民間事業者などが協働して議論・実証を行う場を設ける。参加者を「インフラAI共創パートナー」として募集する。インフラ整備・管理に関するデータの保有者や、AI技術の保有者を対象とし、成果物となるデータの一部は国交DPFで検索・表示やダウンロードを可能にする。

国交省/女性用トイレ行列解消へ協議会初会合/設置数基準の見直し着手

 国土交通省は、鉄道駅や大規模商業施設などで問題化している女性用トイレの行列を改善する方策を検討する一環で、トイレの設置数に関する基準の点検・見直しに着手する。公共空間のトイレに関係する施設管理者や建築設計者、メーカーなどに学識者を加えたメンバーで協議会を立ち上げ、6日に初会合を開いた。年度内に点検・見直しの共通事項や基本方針をガイドラインにまとめる。

高知県内建設業/給与や賞与引き上げ/就職希望者のニーズ対応

 高知県内の建設会社が社員の待遇改善に力を入れている。新技術やICT機器を積極的に導入し生産性を高め、賃上げや労働時間短縮などの成果につながっている。少子高齢化とともに人材獲得競争は一段と激しさを増している。学生が就職先に求める要素のトップに給与や賞与が高いとの調査結果がある中、各社は採用数の確保とともに、どうすれば新人が定着するか知恵を絞っている。

電設協/広島市で会員大会開く/働き方改革と担い手確保へ総力結集

 日本電設工業協会(電設協、文挾誠一会長)は6日、広島市中区のリーガロイヤルホテル広島で2025年度会員大会を開いた。全国の会員約520人が参加。本年度は「働き方改革を深化させ担い手確保に向けて業界の総力をあげて取り組もう!」を大会決議として採択した。働き方改革や多様な人材確保などを柱とする第4次アクションプラン(24~27年度)の着実な実行で機運を高めた。

国交省建設業政策勉強会/人的資源の在り方に焦点/教育・配置や重層・繁閑解消も議題

 建設業政策の次なる展開を模索する国土交通省の有識者会議で、企業経営の目線から建設業の人的資源の在り方に焦点を当てた議論が始まった。処遇改善や働き方改革を通じ担い手確保を目指す従来の取り組みにとどまらず、建設業で働く人材の「教育」「配置」「就業環境整備」などに視野を広げ、政策的対応の方向性を模索する。人的資源の有効活用という観点で、重層下請構造や仕事量の繁閑差も課題に挙げる。これらの業界特性に起因する弊害を軽減する経営の在り方も議題となりそうだ。

奈良県、橿原市/医大新駅周辺まちづくり/事業エリア拡大、商業施設など一体整備

 奈良県は近鉄橿原線新駅の西側(橿原市四条町)に新アリーナを建設するPFI事業について、対象区域に駅東側の3ヘクタールを加え、民間提案施設を併せて整備する方針を固めた。県と橿原市が4日、県庁で開いた第5回「まちづくり協議会」で決定した。事業名を「(仮称)医大新駅周辺まちづくり」として2026年度に実施方針の公表と事業者募集を行い、27年度に整備に着手する。

前田建設、ダイハツ/発電・蓄電・使用の小規模電力網、茨城県取手市で実証実験開始

 前田建設とダイハツ工業は6日、茨城県取手市にある前田建設のICI総合センターで、複数施設向けのマイクログリッド(小規模な電力網)システムの実証実験を始めると発表した。太陽光発電で電気をつくり、移動可能なコンテナにためて、複数施設で使う仕組み。実験データとノウハウを基に、実効性のあるサービスに展開する。実証期間は12月から2年を予定している。

2025年11月6日木曜日

回転窓/コスモスのような論戦に期待

 小高い丘の上にある公園で、今年もコスモス祭りが開かれている。色とりどりの花々が入り交じる畑が幾重にも広がり、花弁の外側と内側で色合いが異なる品種もあちこちに咲く▼前年と同じように花が密集するよう植えられており、幼児なら顔のすぐ横に花が寄り添う高さだ。見頃を迎え、陽気に恵まれた週末には多くの人が花畑を訪れている▼国会で高市早苗首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。自維連立政権として初の国会論戦になる。経済政策や安全保障、裏金問題に関係した議員の要職起用など注目点は尽きない▼防災・減災や国土強靱化のように、多くの政党が大切さを認める政策もある。一方で安全保障、外国人政策、議員定数削減といったテーマでは、与野党間だけでなく与党内でも意見が分かれている。少数与党を率いる高市首相は、難しい判断を迫られる場面が続くだろう▼コスモスの花言葉の一つに「調和」がある。思惑は交錯しても、国をより良くしたいという願いは各党に共通するはずだ。一輪では風に揺れる花も、群れ咲けば景色となる。多様な声が響き合う国会であってほしい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178979
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インフロニアHD/Bリーグ冠試合で地域に新風

 ◇仙台市で参加型イベント/スポーツ通じインフラの魅力発信□
 プロバスケットボールBリーグとイノベーションパートナー契約を結ぶインフロニア・ホールディングス(HD)は、10月29日に仙台市太白区のゼビオアリーナ仙台で行われた「仙台89ERS」のホーム戦(冠試合、対滋賀レイクス)で参加型イベントを開催した。アリーナには4000人を超えるブースターが詰めかけ、熱気に包まれた空間の中で、スポーツを通じてインフラの魅力や社会を支える力を楽しく発信した。

東北6県企業/建設業の8・7%が外国人労働者雇用/帝国データ仙台

 帝国データバンクは、東北6県企業における外国人労働者の雇用と採用に関する動向調査の結果をまとめた。外国人を雇用している企業は全業種で10・5%。建設業は業種別で4番目に高い8・7%となった。建設会社からは「働き手が少なくなってきており、外国人の採用を検討しなければならない」「貴重な人材だ」などの声が寄せられたという。人口減少に歯止めが効かない中、担い手不足解消に向けた一つの方策として外国人材の雇用、活用が進んできていることが浮き彫りになった。

滋賀県/医療福祉拠点人材養成機能の看護職系大学(大津市)設置事業者を再公募

 滋賀県は5日、大津市で計画している医療福祉拠点のうち「人材養成機能」について、看護職系大学を設置する事業者の再公募を開始した。任意参加の説明会を11日に開催する。説明会の申し込みは10日まで、企画提案書などは12月25日まで受け付ける。プレゼンテーション審査を2026年1月上旬に実施し、同1月中旬に事業候補者を決定する。看護学部・学科は29年4月以降の早期の設置を目指す。

西松建設、五洋建設ら/立坑深部で面的誤差20ミリの高精度出来形データ取得

 西松建設と五洋建設、KDDIスマートドローン(東京都千代田区、博野雅文社長)は、地下トンネルの工事で構築する立坑の出来形を高精度で測量する技術を確立した。現場内に常設した自動充電ポート付きのドローンで遠隔から3D測量を実施。GNSS(全球測位衛星システム)の信号が届きにくい立坑深部の施工箇所でも、面的誤差が20ミリ程度にとどまる高精度な出来形のデータ取得に成功した。

2025年11月5日水曜日

国交省/労務費・賃金の実態把握/試行参画促進へ、受注者に丁寧に説明

 国土交通省が直轄土木工事で今月中旬に開始する労務費や技能者賃金の実態を把握する試行では、受注者に日報入力や契約書の提出などの対応を求める。直接の契約関係にある元請だけでなく、下請にも契約書や技能者の賃金情報の提出に協力してもらう。試行対象工事では労務費と賃金の適正さを判断する「達成率」を算出するが、当面は何らかのインセンティブやペナルティーは設けない。国交省は試行への積極的な参画を促すため、その目的などを「受注者に丁寧に説明する」(官房技術調査課)考えだ。=1面参照

関東整備局利根川ダム統合管理/25年夏の渇水で八ッ場ダムが整備効果発揮

 ◇8ダム+貯水池で取水制限回避
 関東地方整備局利根川ダム統合管理事務所が1級河川・吾妻川中流部にある八ツ場ダム(群馬県長野原町)を報道陣に10月24日公開した。塩谷浩所長が放流設備などを案内。2025年夏の渇水期に取水制限を回避できた要因などを説明した。

東京都/島しょ部での浮体式洋上風力/早期実装目指し施策検討

 東京都は、伊豆諸島での浮体式洋上風力発電の早期実装を目指す。専門家を交え、メリットや課題などを整理。地域研究会や検討会を通じて、実現に向けた施策を検討していく。伊豆諸島沖では5海域が国の再エネ海域利用法に基づく準備区域に指定されている。都は脱炭素だけでなく、島しょ部のエネルギー地産地消にもつながるとして、長期計画「2050東京戦略」にも位置付け、実現を急ぐ。

東急建設/可搬型木造建物を自社建設現場に設置/災害時に応急仮設住宅を迅速供給

 東急建設は開発した可搬型木造建物「モクタスキューブ」を、自社の建設現場に設置した。作業所の仮設事務所として使用。平時は事務所、震災などの有事には応急仮設住宅として被災地へ迅速に供給することを想定している。今後も自社の建設現場へ設置し、災害時の要請に迅速対応できる「社会的備蓄」を増やしていく考えだ。

香川県/丸亀病院整備検討委が初会合開く/25年度中の基本計画策定目指す

 香川県は、医療関係者らで組織する「香川県立丸亀病院整備検討委員会」(委員長・久米川啓香川県医師会長)の初会合を10月31日に高松市の県庁で開き、老朽化に伴う現在地での建て替えに向けた議論を開始した。2025年度中の基本計画策定を目指す。

鹿島道路/空気だけでアスファルト微細気泡作るフォームドアスファルト技術開発

 鹿島道路は、中温化アスファルト合材の温度低減効果や施工性をさらに高める技術を開発した。空気だけで微細な気泡を作る世界で初めてのフォームドアスファルト技術。水を添加する従来方法に比べ、生成される気泡は粒径が非常に小さく数も多いため消えにくい。アスファルトの流動性を高めるベアリング(摩擦軽減)効果を長期間発揮し、締め固め性能が向上。製造温度の低減や二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献する。

2025年11月4日火曜日

25年秋の叙勲/旭日中綬章に三好武夫氏/旭日小綬章は鹿内雄二氏、石川利勝氏ら

  政府は2025年秋の叙勲受章者を決定し、3日付で発令した。大綬章と重光章の受章者は11日に皇居で親授式と伝達式を行う。中綬章以下の受章者は各省が伝達式を開く。国土交通省の伝達式は12日午前11時から東京都港区の東京プリンスホテルで行われる。=2面に建設・不動産関係の受章者一覧

広島市/広島城復元検討会議開く/天守群の復元図を提示、工事費は最大194億円

  広島市は10月30日、老朽化した広島城天守の復元に関する検討会議(座長・三浦正幸広島大学名誉教授)を開き、小天守を含む天守群の復元図を示した。小天守はかつて大天守の東と南にあったが、明治期に取り壊されており、指図や絵図に加え、古写真を解析して寸法などを検討した。工事費は東側から資材を搬入する場合が178億2000万円(税込み)、北側の堀を横断する場合が194億7000万円(同)と試算。設計などを除く工期は9年を見込んだ。

政府経済対策の国交省施策案/国土強靱化で強い経済実現/物価高踏まえ規模確保

  政府が策定する「総合経済対策」で、国土交通省関係施策の方向性が明らかになった。高市早苗首相の検討指示を踏まえ、経済対策の三つの柱のうち「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」の具体施策で防災・減災、国土強靱化の推進を打ち出す。与党に意見聴取を始めた段階で、国土強靱化を含む公共事業全体で規模・事業量の確保を求める声が強くある。足元の物価高への対応として労務費確保の必要性や資材価格高騰の影響を考慮する考えを明記。建設業や物流業の賃上げ環境の整備も施策メニューに盛り込んだ。

2025年10月31日金曜日

建設技術展2025近畿/大阪市で開幕/本社、近畿建設協会

 ◇過去最多239者・282ブースが出展
 「ええもん(技術)使こて、ええモン創ろ!」をテーマに掲げた「建設技術展2025近畿」(主催・日刊建設工業新聞社、近畿建設協会)が30日午前、大阪市住之江区のインテックス大阪で開幕した。今年は行政や企業、大学・高専・高校など過去最多の239者が計282ブースを出展。9分野約650件の先進技術や研究成果を披露し、2日間にわたって産・学・官の幅広い交流の場となる。入場無料。=1面参照

回転窓/失われゆく春と秋、二季化バテにご注意を

 ここ数日、東京も朝晩の冷え込みが一段と強まった。つい先日まで夏日を記録していた地域もあっただけに、気温の急降下に慌ててセーターや上着を取り出した人も多いだろう▼日本の「夏の期間」が1982~2023年の42年間で3週間ほど長くなったと、三重大学の研究グループが報告した。「冬の期間」はほとんど変わらず、夏の日数だけが増える傾向にある。春と秋が短くなり、夏が長引くことで、季節は「夏と冬」の二つに近づきつつある。いわゆる「二季化」と呼ばれる気候変動だ▼研究グループは、地球温暖化による海面水温の上昇を主因に挙げる。熱帯域の積乱雲の活発化や、太平洋高気圧とチベット高気圧の二重の覆い、ラニーニャ現象なども、夏を一層長く、厳しい季節にしている▼春と秋が短くなると、暑さや寒さに体を慣らす時間が減る。熱中症のリスクが増し、風邪も引きやすくなる。急な気候の変化が心身に影響する「二季化バテ」という言葉さえ生まれた▼明日から11月。年末年始の足音が近づく、何かと慌ただしい時期だからこそ、寒さに気を配り、心も体もぬくもりを大切にして過ごしたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178829
via 日刊建設工業新聞

JAC/CCUS現場運用費用支援/元請向けに新制度、11月4日から申請受け付け

 建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴の蓄積環境を整える元請企業を支援する制度を新設し、11月4日に申請受け付けを開始する。日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)の会員企業を対象に、CCUSの事業者登録料と管理者ID利用料、カードリーダー購入費用、現場で従事する外国人技能者のカードタッチ費用を支援する。

大和ハウス工業/住友電設を子会社化へ/TOBなどで全株式取得

 大和ハウス工業は30日、住友電設を買収すると発表した。両社と住友電設の親会社、住友電気工業の3社が同日に業務提携契約を結んだ。

東京都国分寺市/旧庁舎用地利活用事業/大日本土木グループに

 東京都国分寺市は30日に「国分寺市旧庁舎用地利活用事業事業者選定公募型プロポーザル」の結果を公表し、大日本土木を代表とするグループを優先交渉権者に決めた。跡地北側を民間に貸し付け、南側には複合公共施設を整備する。大日本土木グループは北側の活用方法に温浴施設を提案した。事業では南側の公共施設の設計・施工も担う。1月の新庁舎移転から1年未満で、跡地全体の活用が具体化してきた。

竹中工務店らゼネコン4社/建設ロボシステムの汎用性向上へ標準化技術開発

 竹中工務店と鹿島、大林組、フジタは、特定用途に特化した建設ロボットシステムの汎用(はんよう)性を高める標準化技術を開発する。建設現場で使う資材自動搬送や風量測定、耐火被覆吹き付け、汎用移動の多機能化を研究開発・実証。これらのロボットシステムで共通して使えるプログラム部品の「システムインテグレーション(SI)モジュール」を開発する。ロボットシステムの開発・運用コストを削減し、業界全体の担い手不足を補完していく。
 4社はロボット分野などでゼネコンらが技術連携する「建設RXコンソーシアム」の枠組みを活用。共同提案体として、ソフトウエアの標準化技術を活用した建設ロボットシステムを研究開発する。期間は2027年度末まで。28年以降の実装を目指す。
 竹中工務店は資材自動搬送ロボットシステムとして、刻々と変化する現場環境で高精度な自律走行を目指す。鹿島は風量測定ロボットシステムで、BIM連携による自律走行型の検査・帳票作成技術を研究開発する。
 大林組は耐火被覆吹き付けロボットシステムとして、環境認識ロボットとの連携による吹き付け作業の計画修正を目指す。フジタは汎用移動ロボットの多機能化に向け作業アタッチメントを研究開発する。
 従来の建設ロボット開発は、個別用途に特化したハードとソフトが一体化されたシステムが中心。開発した技術を他のロボットに転用できないなど汎用性が低く、さまざまなロボットシステムを効率よく開発することが難しいなどの課題があった。
 4社は研究開発を推進し、新たに開発する多用途なSIモジュールを組み込んだ建設ロボットシステムの幅広い活用を目指す。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウエア開発基盤構築」とも連携し、より効率的で高性能なロボットシステムを目指す。新たに開発するSIモジュールを建設以外のサービス分野にも展開していく方針だ。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178841
via 日刊建設工業新聞

2025年10月30日木曜日

中部整備局/大鹿村塩川床固め工群完成式・鹿塩川渓流保全工着工式開く

 中部地方整備局天竜川上流河川事務所は25日、大鹿村塩川床固め工群の完成式、鹿塩川渓流保全工の着工式を大鹿村交流センター(長野県大鹿村)で開いた。國友優国土交通省水管理・国土保全局砂防部長や森本輝中部整備局長、新田恭士副知事、熊谷英俊村長、地元関係者ら約100人が出席。事業の進展を祝うとともに、今後の工事の推進を祈念した。

回転窓/ガラス戸の向こうの夢

 近ごろ観光名所のようになったパン屋で働いていた知人が、その隣でカフェを始めた。コーヒーやレモン飲料、「ぜひ食べてほしい」という自慢のケーキとエビカレーを提供する▼祖父母の邸宅にあったガラスの引き戸や花柄の透けガラスを取り付け、好きな調度品を並べた。夢を形にした空間で、おいしい飲み物と料理を一人で切り盛りする姿が輝いて見えた▼人気が出るほど、思わぬ悩みも増える。パン屋もカフェも片側1車線の国道沿いにある。専用の駐車場を備えてはいるが、遠方からも客が訪れるため、初めての人が路上に車を止め、近隣の住民とトラブルになることがある▼自家栽培の小麦でパンを手作りするのがモットーの店だが、4人も入ればいっぱいの小さな店構え。駐車場を借りるコストは無視できず、それゆえ、十分な駐車スペースを確保するのが難しい現実もある▼小さな繁盛店の駐車場問題はどこにもある。クレームの矛先は店でなく、まずはドライバーの側に向けられるべきだろう。店を繁盛させるのも、守るのも結局のところはお客次第。マナーと善意で知人の夢が長く続いてほしいと願ってやまない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178781
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九州戦略会議/半導体産業集積/産学官拠点整備で政府に支援要望へ

 九州と沖縄、山口の9県の知事と関連経済団体でつくる九州地域戦略会議は28日に沖縄県名護市で会合を開き、半導体産業などが集まる産学官連携の拠点整備に向けた特区制度創設を政府に要望する方針で一致した。産学官連携の拠点は2029年度までに域内に5カ所整備することを目標に掲げる。進出企業に対する税制支援などを政府に求める考えで、「新生シリコンアイランド九州」の実現への取り組みを加速させる。

2025年10月29日水曜日

回転窓/“我田引鉄”でない鉄道整備を

 他人のことを考えずに自分だけが利益を得ようとする行動を我田引水という。この言葉をもじり、かつてのマスコミは選挙区に鉄道を誘致しようとする政治家を“我田引鉄”と批判した▼その人物として有名なのが田中角栄元首相だろう。彼は故郷の新潟から東京に人や物が行き来しやすいよう上越新幹線や関越自動車道などのインフラ建設を進めた▼明晰(めいせき)な頭脳と行動力から〈コンピューター付きブルドーザー〉と呼ばれた角栄氏。だが大都市と地方にある隔たりをなくすため、インフラ整備に全身全霊をささげた姿と行動は賛否両論あるだろうが、日本の将来を本気で考えた政治家の一人だったのではないか▼東京都は都営大江戸線の終着駅から、さらに北西へ4キロ延ばし、練馬区の土支田、大泉町、大泉学園町の3駅を新設する延伸案を公表した。長年〈陸の孤島〉と呼ばれた地域。住民にとって、このニュースは吉報だったはずだ▼鉄道の開通は街に新たな価値をもたらす。国内には鉄道空白地域がたくさんある。我田引鉄ではなく、地域の声に耳を傾け、真に必要な鉄道整備が進められる政治家を待ちたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178758
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大林組、JFEエンジら/160億円でインドネシアの下水処理場建設工事を受注

 大林組とJFEエンジニアリングは、両社が参画するJVがインドネシア・ジャカルタで下水処理場の建設工事を受注したと28日発表した。受注金額は約160億円。同国公共事業省が政府開発援助(ODA)で行うジャカルタ下水整備計画のうち、最も人口密度が高い第6工区で下水処理場を整備する。同じJVが2023年に第1工区の下水処理場も受注しており、段階的な下水道整備で現地の生活環境改善を目指す。

中建審WG/標準労務費最終案固まる/個別現場への浸透が鍵に

 改正建設業法に基づき中央建設業審議会(中建審)が勧告する「労務費に関する基準(標準労務費)」の最終案が、27日に開かれた中建審のワーキンググループ(WG)で固まった。標準労務費の設定水準や作成方法に加え、見積もり慣行の定着や労務費・賃金支払いの確認といった実効性確保策も明記。12月初旬の中建審総会を経て勧告され、実際の運用が始まる。発注者を含めた建設工事のサプライチェーン(供給網)全体に新たなルールを周知し、現場の個々の取引まで浸透させる段階に今後入る。

石原環境相/メガソーラー抑制も必要

 石原宏高環境相は27日、日刊建設工業新聞社など専門紙の就任インタビューに応じた=写真。地域との共生が社会問題化しつつあるメガソーラーについて、「地域との共生に懸念が生じている」と指摘した上で、「再生可能エネルギーの推進は地域と共生しながらの促進、抑制するところは抑制が必要」と述べ、共生が課題となっている事業に対する規制の必要性を強調した。

リバスタ/ICT機器ソリューションに新機能/プッシュ配信と縦型モニタ投影

 リバスタ(東京都江東区、高橋巧代表取締役)は、建設現場に特化したICT機器ソリューション「BANKEN(バンケン)」のデジタルサイネージで新機能の提供を始めた。「プッシュ配信」と「縦型モニター投影」の2機能。プッシュ配信機能で災害速報などをすべての現場へ迅速、確実に伝える。縦型モニター投影機能によって、既存コンテンツを最適にレイアウトし表示できる。

首都高速会社/羽田線更新下り線工事完了/大規模更新事業の初弾案件

 首都高速道路会社が2016年度から実施していた首都高速1号羽田線・東品川桟橋・鮫洲埋立部(東京都品川区)下り線の大規模更新工事が完了した。首都高大規模更新の初弾案件。プレキャスト(PCa)ボックスや高架橋を再整備し、幅員を17メートルから18・2メートルに拡大した。地震などの災害に備え、耐久性を高め、維持管理のしやすさにも配慮した。29日に走行ルートを切り替え、供用を開始する。

2025年10月28日火曜日

イケフェス大阪2025/多くの建築ファンらでにぎわう

 日本最大級の建築イベント「生きた建築ミュージアムフェスティバル(イケフェス)大阪2025」が25、26日に開かれた。普段は一般公開していない建築物や、建築団体やゼネコン・設計事務所の展示、ワークショップ(WS)を目当てに多くの建築ファンが訪れ、建築の魅力に触れていた。

回転窓/文鎮と経験則の関係とは

 仕事をしていると蓄えた知識や積み重ねた経験が自分を助けてくれる瞬間がある。経験則に従って行動すれば大きな間違いは回避できる。今まではそうだった。でも、それがずっと通用するかどうかは正直言って分からない▼ベテランの話は重みがある。たしかに。けれど時々、その重みは“鉄アレイ”というより“文鎮”に近くなる。机の上では頼りになるけど、持ち歩けば無用で役に立たない荷物でしかない▼「俺の経験ではね」と始まる言葉は、たいてい時代遅れの取扱説明書みたいなもの。10年前、20年前のパソコンのマニュアルを堂々と渡されても、もう電源の入れ方から違っていたりする▼もちろん、経験が知恵になる場面もある。でも往々にして、「自分の成功体験」という名の土産話を“普遍的な真理”として手渡してくる。それを受け取る若手の心境は、修学旅行のお土産で木刀をもらった時のようだ。正直、使い道も飾る場所にも困る▼経験が未来を照らすこともある。でも過去の武勇伝を繰り返すだけなら、照らしているのは自分だけ。若手としては「ライトの向き、逆ですよ」と心の中でつぶやくしかない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178738
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JR東日本/執行役員建設工事部長・井料青海氏に聞く/羽田空港アクセス線に注力

 東京都心部と羽田空港を結ぶ新路線の整備や、渋谷、東京など主要駅で改良工事が進む。6月に就任した井料青海執行役員建設工事部長は「駅が使いやすくなることで東京全体の魅力向上につながる」と語る。国鉄時代から培われた技術とノウハウを継承する技術者集団を率い、顧客の利便性向上に挑む。

地域建設業の災害対応、地域を越えて経験共有/石川と徳島、若手経営者らが対話

 地域建設業に期待される「地域の守り手」としての役割を果たそうと、地域を越えて災害対応の経験や教訓を共有する動きがある。主体となっているのは各地の建設業界を支える若手の経営者らだ。自らが被災した場合や、近隣の被災地を支援する場合に備え、事前に何を準備すればいいか、どう初動対応するのが適切か。具体的な実体験を伝え、直接対話することが、それぞれの地元を守ることにつながる。

渋谷区神南一丁目再開発/ビルは延べ10.8万平米/準備組合

 東京都渋谷区の神南一丁目地区で計画している民間再開発で、建設を予定するビルの高さが約145メートル、延べ10・8万平方メートル規模で検討していることが分かった。神南一丁目地区市街地再開発準備組合が区に施設規模などを提案した。低層部に商業・情報発信施設が入り、中層部は事務所、高層部が宿泊施設になる計画。2026年度の都市計画決定を想定し、建設工事を含めた事業期間は29~33年度を予定している。準備組合には東急不動産が参画している。

鹿島/電気不要の環境配慮型オイルダンパー開発/世界最高レベルの制震効率

 ◇超高層プロジェクトに積極提案

 鹿島は、システム制御に電気を使わない建築物用の環境配慮型オイルダンパーを開発した。わずかな電力で振動エネルギー回生システムを制御する自社開発のセミアクティブ型制震オイルダンパーを改良。従来を大幅に上回る世界最高水準の制震効率も確保する。超高層ビルの建築プロジェクトに積極提案・適用していく。

2025年10月27日月曜日

回転窓/「あくび」の教え

 眠いときなどに出る「あくび」には四季折々の種類があるらしい。古典落語が好きな方ならお分かりだろう。人気の演目「あくび指南」で、江戸っ子の熊公はあくび指南処(どころ)に行き、師匠から季節ごとのあくびを教えてもらう▼例えば夏は川で舟遊びに興じるうちに退屈となり出るあくび。秋は名月を見ながら出るあくび。はなし家の見事な話芸でそれぞれの情景が目に浮かんできて面白い▼秋は春とともに眠気を誘う季節でもある。寒暖差が大きいと自律神経が乱れ、眠気やだるさが生じやすい。寝不足でないのに何度もあくびが出るのは、体調悪化のサインかもしれない▼時と場合によってはあくびも不謹慎で失礼な行為とされてしまう。政策審議中に大きなあくびをする議員が写真や映像に撮られ、批判を浴びることも。必要な政策を実施してくれるなら、審議に疲れて出るあくびの一つや二つは大目に見られてもいい。あくびには緊張やストレスの緩和効果もある▼さて、落語の「あくび指南」で熊公より器用にあくびができたのは誰か…。指南を受けるまでもなく、意識せず普通に出るあくびに勝るものはない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178697
via 日刊建設工業新聞

凜/ボルテックス・清水南生子さん/対面での会話を大切に

 長野県軽井沢町で別荘の管理・運営を担っている。何より大切にしているのは、顔を合わせて言葉を交わすこと。週に1、2回は東京の本社から軽井沢に足を運び、現地スタッフに自分の思いを直接届けている。

CCUS能力評価基準/「石材施行技能者」追加/対象46分野に

 建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録技能者に対する能力評価(レベル判定)基準に、石材の加工、築造工事、取り付け工事などの「石材施工技能者」が追加され、24日から能力評価が行われることになった。能力評価の実施は全国建築石材工業会が担う。この結果、能力評価は46分野で実施されることになった。

JASM/熊本県菊陽町の第2工場本体着工へ菊陽町と立地協定/27年12月稼働へ

 半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)子会社のJASMは24日、熊本県菊陽町原水に建設する第2工場の本体着工に向けた立地協定を同町と締結した。第2工場の投資金額は約139億ドル(約2兆1128億円、1ドル=152円換算)。第2工場の建築面積は6万8941平方メートル。延べ床面積や設計者、施工者は公表していない。2027年12月の稼働開始を目指す。
 同日に県庁で木村敬知事の立ち会いの下、JASMの堀田祐一社長と吉本孝寿町長が協定書に調印した。
 第2工場の建設地は24年12月に稼働を開始した第1工場の東側で、本体着工に向けた造成工事などが進められていた。建築面積は第1工場と比べ9260平方メートル広く、第1工場と合わせると12万8622平方メートルとなる。第1工場の設計・施工は鹿島が担当した。
 第2工場では回路幅6ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体などの生産を計画している。従業員は約1700人を予定し、第1工場と合わせると約3400人の規模となる。当初は24年中の着工予定だったが、着工時期を先送りしていた。
 堀田社長は県道大津植木線の拡幅事業など、県などが行う周辺インフラ整備への感謝を伝え、「地域振興や地元雇用、環境保全、自然との調和に改めて協力すると約束する」と述べた。第1工場に引き続き、「環境に配慮した生産設備の導入や、水資源の効率的な利用にも取り組む」とした。
 木村知事は「この大きなチャンスを生かし、持続的な発展、子や孫の世代まで豊かな熊本を残せるよう全力で取り組む」、吉本町長は「建設が計画通りに進むよう、県をはじめ関係者と連携してしっかりと支援したい」とそれぞれ語った。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178701
via 日刊建設工業新聞

大林組/木造中規模建築の燃えしろ深さ自動計算ツール開発/算出時間8割短縮

 大林組が中規模木造建築物の準耐火構造提案を支援する計算ツールを開発した。建物の設計情報を入力したBIMモデルと連携。構造データの自動抽出で、火災時に燃える木材表面の炭化深度「燃えしろ深さ」が短時間で算出できる。中規模建築物の建て替えをターゲットに、木造実現評価を効率化する計算ツールを使った純木造ビルを提案していく。

2025年10月24日金曜日

大建協/第71回野球大会決勝戦/奥村組が優勝、5年ぶり8度目

 大阪建設業協会(大建協、錢高久善会長)が主催する第71回野球大会(後援・建設業福祉共済団)の決勝戦が22日、大阪府吹田市の万博記念公園スポーツ広場で行われ、8対4で竹中工務店を制した奥村組が5年ぶり、通算8度目の優勝を果たした。

回転窓/小さな努力の積み重ね

 2020年10月26日に、当時の菅義偉首相が「50年カーボンニュートラル宣言」を掲げてから5年を迎える。当時は国内外で大きな期待が寄せられ、エネルギー転換への議論が一気に加速した。けれども現在は、宣言したものの実行が難しく、息切れ感が漂っている▼化石燃料依存からの脱却の難しさ、技術的・経済的な負担、そして再生可能エネルギー導入の停滞など、課題は山積している。これらが背景にあり、宣言通りに進んでいない現状が浮かぶ▼それを裏付けるかのように、気象庁は16日、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素〈CO2〉、メタン、一酸化二窒素)の濃度が増加し続け、24年の世界平均濃度が最高を更新したと発表。特にCO2は前年からの増加量が最大という▼世界気象機関(WMO)は、24年は地球の広い地域で高温と乾燥が続き、大規模な山火事が頻発。CO2排出を押し上げたとしている。この状況が続けば、温暖化はさらに深刻になっていくだろう▼宣言の目標年まで残り25年。増加傾向を反転させるには、国や産業界の取り組みだけでなく、日常の中で、国民一人一人の工夫と努力も欠かせない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178630
via 日刊建設工業新聞

ANION/機能性吸着材製造工場(福島県南相馬市)の開業式典開く

 日本国土開発の全額出資子会社であるANION(東京都港区、大野睦浩社長)が福島県南相馬市に建設していた「機能性吸着材製造工場」が完成し、23日に現地で開業披露式を行った。関係者約60人が出席し、代表によるテープカットで開業を祝った。投資額は約10億円。設計・施工は中里工務店(南相馬市)が担当した。

高市新政権発足、新国交相就任/宮本日建連会長がコメント

 高市内閣発足と金子恭之国土交通相の就任を受け、日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)がコメントを発表した。

四国整備局/山鳥坂ダム本体建設1期(愛媛県大洲市)/安藤ハザマJVに

 四国地方整備局は、6日に一般競争入札(WTO対象)を開札した「令和7-11年度山鳥坂ダム本体建設(第1期)工事」の落札者を安藤ハザマ・熊谷組・淺沼組JVに決めた。落札金額は220億8391万円(税抜き、以下同)。予定価格は239億5150万円で調査基準価格は220億3538万円だった。ほかに清水建設、鹿島・飛島建設・鴻池組JV、大成建設・日本国土開発JV、大林組・佐藤工業JVが入札に参加したが4者とも無効となった。

戸田建設ら/AIで工事車両検知・制御/現場周辺の交通災害ゼロへ

 戸田建設とGRIFFY(東京都千代田区、入澤拓也社長)は、AIで工事車両を即時に検知し、建設現場の出入りを制御するシステムを開発した。道路を走る全車両から工事車両が特定できる「特定マーカーAI検知モデル(AIカメラモデル)」を導入。救急車など緊急車両のサイレン音を検知し、工事車両の出入りを制御する「音声AI検知モデル(AIマイクモデル)」と組み合わせて運用する。交通量が多い幹線道路付近の現場などで適用し、交通災害ゼロを目指す。

2025年10月23日木曜日

回転窓/時が経っても姿勢は変わらずに

 土木や建築などの施工管理技士は、受験資格がたびたび見直されてきた。その一つが学歴による制限である。現在は学歴差を撤廃した受験資格の適用で、受験者が増えた資格もある▼学歴制限の問題は、1998年5月の衆院決算行政監視委員会でも取り上げられた。当時、ある議員が見直しを強く求めた。背景には、江戸時代の目安箱にも通じる“声に耳を傾ける政治”の姿があったと思う。時が流れても、民意をくむ制度の大切さは変わらない▼日本の政治は新たな局面に立つ。自維連立政権が発足し、国土交通大臣には自民党の金子恭之衆院議員が就任。公明党の離脱を経て、自民党からの起用は16年ぶりとなった▼高市早苗首相の政権運営は、維新との連立合意書をどう生かすかが焦点となる。課題山積の状況で手腕への期待は高まるばかりだ▼合意書には議員定数の削減も盛り込まれた。多いか少ないかは議論の余地があるにせよ、議員が減れば民意をくむ機会も減ることになる。学歴制限の見直しを求めたのは、当時まだ当選2回の高市氏だった。民意と政治の折り合いをどうつけるか--新政権の歩みに注目したい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178576
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スコープ/日立建機/重機ファンの交流を業界の活性に

 重機ファンと一緒に業界を盛り上げる--。日立建機の公式ファンクラブが作った「重機好き」が集まるコミュニティーには、建設以外の業種や学生も多く参加している。ファン同士が業種や年齢を超え、親交を深め本音で語り合う。そんな中から、建設業界の課題解決のヒントが浮かび上がることも少なくない。同社は活動を通じて建設を仕事にする仲間を増やし、社会と会社の持続的成長を目指す。

東京・台東区ら/上野3地区で取り組み、歩きたくなる空間実現へ

 東京・台東区や地元団体が、上野地区でウォーカブルなまちづくりに取り組んでいる。上野公園や博物館などの自然・文化施設と駅・まちが回遊しやすい環境を整えるため、2023年から不忍通りなどで車道を歩行者空間にする社会実験を展開。居心地が良く歩きたくなる空間の実現を目指す。

兵庫県姫路市/新美化センターDBO実施方針/26年1月に入札公告

 兵庫県姫路市は、DBO(設計・建設・運営)方式で行う「姫路市新美化センター整備・運営事業」の実施方針を公表した。現行の可燃ごみ処理施設「市川美化センター」(東郷町)を、旧南部美化センター跡地(飾磨区今在家1351の27、敷地3万6877平方メートル)に移転する。特定事業の選定を受けた後、2026年1月下旬に事業者を決める総合評価一般競争入札を公告する予定だ。事業期間は52年3月まで。

三井住友建設/産業副産物添加の地盤改良材、適用範囲を拡大/杭孔埋め戻しに初適用

 三井住友建設が、産業副産物を添加した地盤改良材「サスティンGeo(ジオ)」の適用範囲を広げている。東京都内の再開発現場で、解体後に残された地中杭の撤去に伴い発生した杭孔の埋め戻しに初めて採用。セメント系固化材を用いる従来工法に比べ、埋め戻し体積当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を約8割削減した。既に建築物の場所打ち杭施工で発生する掘削土の改良にも適用しており、今後は多様な用途やより深層の地盤改良工事への展開を目指す。

2025年10月22日水曜日

回転窓/「サナエノミクス」に期待

 高市早苗首相率いる新内閣が21日に発足した。憲政史上初の女性首相。日本維新の会が閣外協力で連立に加わり、久々に政治が安定へと向かう兆しも見えてきた▼「サナエノミクス」と称される高市内閣の経済政策は、安倍晋三元首相の「アベノミクス」が掲げた積極財政の路線を一段と鮮明にする。株価の上昇は政策への期待を映した動きとも言えよう。金融緩和と財政出動の両立をどう持続させるか、早くも真価が問われる▼建設業界も公共投資の動向を注視している。今年も各地で台風や豪雨による災害が相次ぎ深刻な被害が出た。災害に強い国土を築き、持続可能な成長を支える基盤を整えることは、いつの時代も政治の最も重い責務だ▼国土強靱化対策の事業費は補正予算に大きく依存してきた。災害対応を迅速、確実に進め、施工体制を確保するには、当初予算での計上が不可欠だ。計画的な財政運営で担い手の確保や技術継承にもつなげていくべきだろう▼2026年度には第1次国土強靱化実施中期計画が始動する。高市首相が掲げる「強い日本」の実現に向け、現場に寄り添った実効性ある政策を示してほしい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178545
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大豊建設/能越道復旧工事現場で女性技術者現場研修開く/11人が震災対応学ぶ

 大豊建設は20、21の両日、2024年に地震や豪雨に見舞われた石川県能登半島の被災地で、女性土木技術者を対象に復旧工事現場の研修会を開いた。全国の拠点から11人が参加し、同社が施工に携わる能越道や海岸堤防の復旧工事現場を視察。国土交通省北陸地方整備局金沢河川国道事務所による震災復旧事業に関する講話などを通じて災害対応への理解を深めた。

名古屋市/宿泊施設の客室バリアフリー化基準示す/26年9月ごろ条例施行、義務化へ

 名古屋市は、「宿泊施設の客室のバリアフリー化基準に関する基本的な考え方」の案を公表した。一定規模以上の宿泊施設を新築する場合に、客室内の通路幅など事後の改修で対応が困難な項目について条例で基準を定め、義務化する。11月18日まで市民意見を募集する。2026年2月議会に条例案を示し、議決されれば同3月に条例を公布、同9月ごろの施行を見込んでいる。

NTT、産総研/陥没リスクの早期検知可能に/地盤モニタリング技術を開発

 NTTと産業技術総合研究所(産総研)は21日、光ファイバーを使った地盤モニタリング技術を開発したと発表した。これまで探査が難しかった地下3~30メートルの地盤が遠隔調査でき、空洞発生リスクを早期検出することが可能になる。実証実験で地盤特性変化の把握と空洞形成の予兆を推定することに成功した。自治体や上下水道事業者と連携し、2026年度に実際の都市環境で実証実験を行う予定だ。

兵庫県/新庁舎基本構想案/整備費650億円、12月に基本計画・基本設計プロポ公告

 兵庫県は21日、「県庁舎のあり方等に関する検討会」(会長・嘉名光市大阪公立大学大学院教授)を開き、県本庁舎(神戸市中央区下山手通5ほか)の現在地建て替えに向けた基本構想案を提示した。3月に閉館した交流拠点「県民会館」との合築などで施設のコンパクト化を図り、新たな整備面積を約6万4000平方メートル、整備費を約650億円に圧縮。2021年に事業中断していた従前計画では、現在の物価水準で1010億円まで膨らむとされていた。今後、12月にも基本計画策定支援と基本設計の委託先を一括で決める公募型プロポーザルを公告する予定だ。

2025年10月21日火曜日

回転窓/プリクラ進化論「本物よりも自分らしく」

 1995年に登場したプリクラ(プリント倶楽部)が30周年を迎えた。開発のきっかけは、ゲーム会社の社員がこぼした「ゲームセンターに来る女の子に楽しめる機械がない」という一言とか▼ゲーセンの片隅に置かれた“思い出の自販機”は、女子中高生たちの心を射抜いた。撮って、シールにして、交換する。ささやかな儀式に、笑顔と友情、そして少しのときめきが詰まっていた▼浮き沈みを経ても「かわいい文化」の象徴として海外にも知られるプリクラ。技術の進歩で「写す機械」は「より魅力的に映す装置」に変わり、今やAIが最適な私を提案してくれる。自分らしさを引き出す演出装置と言えるかもしれない▼現実と少しの工夫がほどよく混ざり合い、プラスアルファの「かわいさ」が評価される時代。価値観の変化は自然に広がり、SNS全盛の今、プリクラは証明写真ではなく、自己表現の大切な一部となった▼プリクラの前でポーズを決める私を、気の利くAIが魅力的に仕上げる。「新たな自分」はどこまでが加工で、どこからが現実なのか--。そんなはかない錯覚を、きょうも静かにプリントし続けている。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178508
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日建連/PR動画公開/最先端の技術で社会支える未来の建設業描く

 「未来をつくるのは、きっと私だ」--そんな言葉で締めくくられる日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の新しいPR動画が20日に公開された。未来の建設業を舞台に、若い世代に夢と希望を届けるドラマ仕立ての作品だ。

大林組/シンガポール事業60周年で式典開く/人材育成とイノベーションに注力

 大林組がシンガポールへの建設事業進出60周年を記念し、現地ホテルのマリーナベイ・サンズで9月4日に式典を開いた。大林剛郎会長兼取締役会議長や佐藤俊美社長兼最高経営責任者(CEO)ら役職員、ステークホルダーの関係者に加え、来賓のチー・ホン・タット国家開発相や石川浩司駐シンガポール特命全権大使ら約620人が出席。同社のサステナビリティーやDXの取り組みを紹介する動画上映や日本らしい和太鼓や鏡開きなども行い、節目を盛大に祝った。

JR東日本、JR東海/検測車や新技術の開発推進/AI使い地上設備の状態把握

 JR東日本とJR東海が新幹線のレールや架線などの状態を調べる検測車や技術の開発に取り組んでいる。JR東日本は先端技術を使い、高速走行での調査が可能な車両を造る。東北や上越を含め全方面の路線に2029年度導入する。JR東海は1月に引退した検測車(ドクターイエロー)に代わり営業車へ新たなシステムを設置。27年1月の運用開始を見込んでいる。

2025年10月20日月曜日

回転窓/「BUSHIDO」に学ぶ

 カナダのブリティッシュコロンビア州の州都ビクトリアは「花の都」と呼ばれ、多くの観光客でにぎわう。この市と日本の盛岡市が姉妹都市となり今年で40周年を迎えた▼盛岡に生まれ育ち、教育や農業振興、国際平和活動に尽力した新渡戸稲造(1862~1933年)の終焉(えん)の地がビクトリア。こうした縁から、両市は85年に姉妹都市提携を結んだ▼新渡戸の代表的な著書『武士道』は、日本人の精神文化を世界に広く紹介した。『現代語訳 武士道』(ちくま新書)の訳者・山本博文氏は「日本人が外国人に向けて書いた初めての日本文化論」であり、武士道の解説だけでなく「日本人の拠(よ)って立つ道徳意識や思考方法を明らかにしている」と書いている▼満州事変で悪化した日米関係の改善などに努めた新渡戸の没後、日本は太平洋戦争へと突入する。世界にいまだ戦火が絶えない中、かつて国際社会の調整に奔走した偉人の功績をたどる意義は大きい▼米国で刊行された初版『武士道』のタイトルは『BUSHIDO~The Soul of Japan』。大切にしたい〈日本人の魂〉とは何かが分かる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178475
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凜/国土交通省関東地方整備局企画部企画課施策分析評価係・梅野朱里さん

 ◇仕事の内容や魅力を広く発信
 企画部企画課で職員採用活動に関連したイベント運営などを担当する。SNSを使った広報、上司や同僚と協力しながら建設現場の見学会や採用面接の案内役を担う。整備局の仕事内容や魅力を丁寧に伝える努力を重ね、学生に寄り添った対応を心がける。

東急不ら/ビル管理業務を最適化/AI使いデータ分析

 東急不動産ら4社は、東京都渋谷区にある東急不動産の本社ビル「渋谷ソラスタ」で、AIなどを使ったビル管理業務実証を2026年に始める。IoTセンサーや防犯カメラで来館者の人数、行動、トイレの利用状況などのデータを取得しAIで分析。清掃や警備、エネルギー管理などを最適化し、来館者、ビル管理者とも快適な空間の提供を目指す。

九州整備局九州技術/UAV人材育成の新組織始動/国家資格取得も支援

 九州地方整備局九州技術事務所は17日、ドローンなどUAV(無人航空機)の操縦人材の確保や、関連技術の開発に取り組む「UAV調査技術試験飛行隊」を本格始動した。隊員は国土交通省航空局からUAV操縦の許可・承認を受けた同事務所の職員26人で構成。災害現場の実地調査でのUAV活用に向けた同局職員の人材育成や、必要に応じたUAVの試験飛行などを担っていく。

京都市/次期クリーンセンター(西京区)整備/施設規模は日量220~350トン

 京都市は17日、市廃棄物減量等推進審議会の次期クリーンセンター整備等検討部会で、西京区の旧西部クリーンセンターで計画している次期クリーンセンターの施設規模を日量220~350トンとする算定結果を報告した。今後バイオガス化施設を併設した場合の焼却施設規模の減少などを踏まえ、決定する。次期クリーンセンターの供用開始は2037年度を予定している。

熊谷組/AI活用で最適なトンネル発破パターン提案/迅速に支援情報提供

 熊谷組はトンネル発破工事でAI技術を活用し、地質評価に基づき発破仕様を自動設計するシステムを開発した。切羽を観察し、地質条件に応じた最適な火薬量や発破パターンを提案。施工結果のデータ化や視覚的表示といった見える化機能も備える。アプリケーションでの簡単な操作で、リアルタイムに支援情報を提供する。今後、現場で実証実験を行い、導入効果を確認する予定だ。

2025年10月17日金曜日

土木伝道師デミー博士/土木の日(11月18日)にSNSへ投稿呼び掛け

 土木の魅力を楽しく広めようと、「土木伝道師」として知られるデミー博士(長崎大学工学博士・出水享氏)が中心となり、「teamどぼイチ」が11月18日の「土木の日」に合わせたSNSキャンペーンを企画している。合言葉は共通ハッシュタグ「#土木の日2025」。当日は日付にちなんで、午前11時18分をピークに投稿を呼び掛ける。X(旧ツイッター)やインスタグラムで「土木」をテーマに、写真やイラスト、動画、思いなどで自由な投稿を促している。投稿数に制限はなく、何件でもOK。公式サイトでは、撮影時に使えるデザインシートが無料でダウンロードできる。

全建ブロック会議・近畿地区/受注機会の拡大要望、猛暑時期の歩掛り見直しも

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)と2府5県の建設業協会による近畿建設業団体協議会(幹事・中井賢次和歌山県建設業協会会長)、国土交通省などによる2025年度地域懇談会・ブロック会議が16日、和歌山市で開かれた=写真。業界側は国土強靱化を第一に、受注機会の拡大を訴えた。冒頭、中井会長は「建設業者の安定経営維持には事業量確保が最優先課題」と主張した。

門前仲町駅前地区再開発(東京・江東区)/周辺まちづくり方針提案/準備組合

 東京・江東区の門前仲町駅前地区市街地再開発準備組合は「まちづくり提案門前仲町駅前地区事業エリア別まちづくり方針」をまとめ、区に提出した。東京メトロ門前仲町駅周辺の再開発の一環として、門前仲町2丁目に事業エリア(再開発エリア)を設け、新たな駅前拠点を形成する。整備方針として歩行者ネットワーク形成や防災性強化などを掲げた。区は2026年3月に方針素案をまとめ、6月に方針を決定する。

大阪府泉佐野市/りんくう中央公園用地買い戻し/MICE誘致は白紙、需要調査へ

 大阪府泉佐野市は、MICE(国際的なイベント)関連施設の整備用地として2018年6月、マレーシアの不動産開発会社SP Setiaに売却していた「りんくう中央公園用地」(りんくう往来南6、約2ヘクタール)を買い戻すことを決めた。9月補正予算に買い戻し費10億88百万円を計上。MICE誘致計画は事実上の白紙となり、今後は関西の玄関口・りんくうタウンの立地特性を生かし、用途を限定しない柔軟な活用策を検討する。

道路舗装各社/ハイウェイテクノフェアで多機能舗装や床版補強PR

 道路舗装会社が高速道路の老朽化対策や長寿命化などに貢献する技術開発に注力している。高速道路関連の最新技術を発信する「ハイウェイテクノフェア2025」(主催・高速道路調査会ら)が16日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕=写真。施工や維持管理の作業効率を高めつつ、高耐久で環境負荷が低減できる舗装や橋梁床版の取り換え・補強技術を各社がPRしている。会期は17日まで。

2025年10月16日木曜日

回転窓/創業150年の現実に目を

 空港行きの列車に電子機器を置き忘れた友人が、帰国後に鉄道会社から「見つかった」との連絡を受け、喜んでいた。車内にはなかったが、折り返し先の駅に届けてくれた人がいたという▼鉄道各社の落とし物検索サービスの充実ぶりに驚かされる。落とし物やなくし物の情報とともに写真データを登録できる会社もあり、その恩恵にあずかった人も少なくないだろう▼鉄道の日の10月14日、今年は新橋~横浜間の初の鉄道走行を記念する多くの事業が行われた。国土交通省は32回目となる鉄道関係功労者表彰で、「鉄道関係事業の特別功労関係」として鉄道百五十年史編集委員会を選んだ▼年史は、わが国の鉄道創業から150年目となる2022年に、国内初の総合鉄道史として刊行された。国交省は「鉄道を巡る国民活動の知的基盤の構築」を理由に挙げ、関係者の功績をたたえた▼鉄道会社からはデジタル技術を生かした豊富なサービスが提供され、整備中や計画中の新路線も複数ある。ただ地方に目を向けると、廃線や路線維持の議論が紛糾する地域もある。鉄道の恩恵と課題、その両方にこれからも、しっかり目を向け続けたい。




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契約書に「変更条項」設定を/改正業法で義務化、施行直前で6割対応/国交省調査

 改正建設業法で新設された契約変更協議の円滑化ルールが2024年12月に施行してから初めての運用実態調査の結果を国土交通省が公表した。改正法では価格転嫁や工期変更のための協議を円滑に行うため、契約上の義務として請負代金や工期の「変更方法」を契約書の法定記載事項とした。25年1月時点で契約済みの民間工事を対象に、契約変更条項が「あった」と回答した建設会社は6割にとどまる。法施行を踏まえ、今後締結する契約では契約変更条項を必ず設け、これに基づき受発注者間で協議を行う確実な対応が必要だ。

竹中工務店ら/都市型自動運転船を実証実験/観光事業などでの社会実装めざす

 竹中工務店らが開発を進める都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の第5回実証実験が、7~9日に大阪城公園(大阪市中央区)の東外堀で行われた。同ロボットは3メートル四方の床状の水上モビリティで、純国産制御システムを搭載。実験ではLiDAR(ライダー)センサーを使った位置制御と自動運転が可能なことを実証し、今回で技術面の検証を終えた。今後は観光事業などでの社会実装を目指す。

「軍艦島」保存へ研究拠点施設/清水建設の木造仮設・デジタルツイン結集

 「軍艦島」の通称で知られる長崎市沖の端島(はしま)で、清水建設が老朽建物の保存に全面協力する。同社の木造仮設技術を導入し、組み立てや解体が容易な研究拠点施設を新設する。島内での新築は55年ぶり。デジタルツインを活用し、AIや遠隔臨場による劣化・被災度の自動診断システムの開発も目指す。2015年に登録された世界文化遺産の維持と継続に貢献する。=1面参照

2025年10月15日水曜日

回転窓/時間管理の心構え

 新聞記者は常に締め切り時間と格闘しながら原稿を書いている。取材メモを基に内容を整理し、限られた時間でふさわしい表現方法や言葉を吟味し記事を仕上げる。どんなに重要な情報でも、締め切りを過ぎれば翌日の紙面には載らない。小欄もかつて、その現実を痛感した一人である▼締め切りが毎日あるわけではないにせよ、多くの仕事には納期が伴う。期日を守れなければ取引先や関係者に迷惑をかけるばかりか、信頼関係を損ねかねない▼ビジネスの世界には〈段取り八分、仕事二分〉という言葉がある。日頃から準備を怠らなければ、ミスも最小限に抑えられる。さらに言えば、予期せぬトラブルにも柔軟な対応が可能になる▼もちろん能力には個人差があり、どんな仕事でも一人で完璧にこなすのは難しい。負担を分散し、チームで支え合う工夫が求められる。そのためには日常的なコミュニケーションが欠かせない▼そして何より大切なのは〈締め切りを必ず守る〉という自己認識だ。時間は有限であり、使い方は結局、自分次第。賢い時間術は誰かに教わるものではなく、自らの経験で磨くものだと肝に銘じたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178272
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大阪・関西万博/閉幕式開く/建設技術を結集した会場、未来社会の実験場として次代へ

 2025年大阪・関西万博(テーマ=いのち輝く未来社会のデザイン)は13日、大阪市此花区夢洲の万博会場・EXPOホール「シャインハット」で閉幕式を開き、4月の開幕から半年にわたる会期を終えた。世界158カ国・地域と七つの国際機関が参加し、2800万人超(関係者含む)が来場。大屋根リングをはじめとした先進木造建築やインフラ整備など建設技術の粋を結集した会場は、未来社会の実験場として次代へと受け継がれる“レガシー(遺産)”を残して幕を閉じた。=1面参照
 式典は「Countdown to the Futures(未来へのカウントダウン)」の映像で幕を開け、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長が開式を宣言。大阪すみよし少年少女合唱団による国歌斉唱の後、十倉雅和会長が「世界は多様でありながら一つであることを再認識できた。万博で得た感動を次代につなげていく」とあいさつした。
 万博の歩みを振り返る映像「Moments of All Lives in EXPO2025」ではパビリオンの建築美や来場者の笑顔が映し出された。
 続いて吉村洋文知事が「夏の暑い日も雨の日も頑張ってくれた3万人のボランティア、会場の安全を守った警備員、命と健康を支えた医療従事者、そして来場者すべてにありがとう。皆さんのおかげで世界が一つになれた」と感謝を述べた。石破茂首相は「開幕前は準備への懸念もあったが、参加者と関係者の力で乗り越えられた。連帯と寛容を体現した博覧会は新しい日本の幕開けを示した」と締めくくった。
 その後、BIE(国際博覧会事務局)のアラン・ベルジェ総会議長が「大阪・関西万博は逆境を跳ね返すレジリエンスの象徴となった」と称賛し、30年リヤド国際博覧会などへの旗の引き継ぎが行われた。
 秋篠宮皇嗣殿下は「多くの人々がここ夢洲に集い、共通の課題を考える機会となった。体験が次世代へ受け継がれることを願う」とお言葉を寄せられた。最後に伊東良孝国際博覧会担当大臣が「大阪・関西万博宣言」を発表し、成果の継承を誓った。
 同日、万博公式キャラクター「ミャクミャク」は内閣総理大臣賞を受賞した。
 閉幕後、大屋根リングは一部保存と残り部材の再利用を予定。木材の一部は能登半島地震の被災地の災害公営住宅に活用される。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178280
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2025年10月14日火曜日

北陸整備局国営越後丘陵公園/アーバンバイクパークがオープン

 北陸地方整備局国営越後丘陵公園事務所が公園内に建設したマウンテンバイク(MTB)やバイシクルモトクロス(BMX)などが楽しめる施設「かわべの里ながおかアーバンバイクパーク」が9月27日にオープンした。

回転窓/日傘とアイデンティティー

 東京都が9月に約8350人の男女を対象に実施した「日傘利用に関する都民アンケート」で、この夏に約7割の人が日傘を利用していることが分かった。男性でも4割以上が利用し、このうち今年から使い始めた人は半数近くに上る▼日傘男子を世代別に見ると、30代以下では2人に1人が利用。厳しい暑さへの対策として若い世代を中心に利用者が増えているようだ▼日本では江戸時代に青紙を張った日傘が男女を問わず流行し、人混みで邪魔になるなどの理由で幕府から使用禁止のお触れが出されるほどの人気だった。中でも男性が使用することには厳しかったという▼ビニール傘と呼ばれるビニール生地の雨傘が広く使われるようになって久しい。値段が手頃で扱いやすく、急な雨でもコンビニなどですぐに手に入れられる。そうした便利さの半面で使い捨てが大きな問題となってきたが、用途は広がり晴雨兼用の商品も売られている▼日傘は夏の猛暑を乗り切るために欠かせないグッズとなっている。かつてのようにおとがめを受ける心配はなく、男性も自分好みの日傘を選んで差す人がもっと増えていくに違いない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178244
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時流自流/橋梁調査会理事長・石原康弘氏/地域の人に愛される橋造りを

 ◇持続可能なメンテサイクル構築
 橋梁を含む道路構造物の持続可能なメンテナンスサイクル(点検・診断・措置・記録)に貢献する。長年実施してきた橋梁診断業務の経験や技術を道路管理者に共有し、精度の底上げを図る。データベース(DB)を基軸としたメンテナンスサイクル全般の自動化も見据える。

台風22号/八丈島、青ケ島で被害甚大/地元企業が倒木撤去に奔走

 9日に伊豆諸島南部を通過した台風22号は、猛烈な風で八丈島や青ケ島などに甚大な被害をもたらした。家屋の損壊や電線の切断、倒木が相次ぎ、海底通信ケーブルの損傷で通信が不安定になった。被害の全容はまだ明らかになっていない。八丈島では10日午前11時時点で多くの地区が断水しており、地元の建設会社が倒木撤去や道路啓開作業に当たっている。

大林組/低炭素型コンクリのPCaPC床版開発/製造時CO2排出量を67%削減

 大林組は10日、独自の低炭素型コンクリート「クリーンクリート」を適用したプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)床版を開発したと発表した。一般的なコンクリートと比べ初期強度の発現が遅い課題を材料配合や養生条件の工夫で克服。従来と同等の製造サイクルとコストを実現した。従来のPCaPC床版と比べ製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を67%削減する。

鹿島/ツール・ド・九州に協賛/押味至一会長らが佐世保市の会場視察

 九州を舞台にした国際自転車ロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2025」(10~13日)で、鹿島が今年もプラチナスポンサーとして大会を支えた。国内外のプロサイクリストたちが長崎、福岡、熊本、宮崎、大分の各県を駆け抜け、熱戦を繰り広げた。

2025年10月10日金曜日

戸田建設ら/なついちごパフェ第2弾提供/チーズを加えさらにおいしく

 戸田建設と京橋千疋屋(東京都中央区、谷清行社長)がコラボレーションし、昨夏に期間限定で販売して話題となった「下川町のなついちごパフェ」。今年はレシピをパワーアップし、第2弾=写真(報道発表資料から)=を31日まで提供している。

東京都/業務委託の総合評価方式改定/ダンピング対策強化

 東京都は、設計などの業務委託を対象とした入札契約手続きで、総合評価方式の内容を一部改定する。ダンピング対策の強化が目的。応札価格が基準価格より低い場合、価格点を減らす仕組みにする。新設する特別基準価格を下回った場合は価格点がゼロになる。2026年1月1日以降に発注する案件から適用する。

山口県/木屋川ダム再開発(下関市)/地権者協議会と損失補償協定締結

 山口県が計画する木屋川ダム(下関市)の再開発事業に向けて、県と下関、長門両市の地権者協議会が9日、損失補償に関する協定を締結した。沿川地域の浸水被害の軽減と流水の正常な機能の維持を目的に既設のダム堤体をかさ上げするもので、今後は地権者と個別協議に入る。当初のかさ上げ計画発表から50年以上経過したが、再開発事業が大きく前進する。

2025年10月9日木曜日

回転窓/海辺の街の灯ろう

 漁港に隣接した海辺の商店街で先週末、夜市に合わせた「灯ろうナイトウォーク」が開かれた。大漁旗の老舗工房と地元の小学生が製作した灯籠が、やわらかな光で通りを照らした▼地元の飲食店や物販店が海産物を生かした料理などを提供。大人も楽しめるイベントなどもあり、心地よい秋風に吹かれながら、温かな明かりに包まれた夜の港町の散策を多くの人が楽しんだ▼この夜市は、コロナ禍で中止されていたが、昨年5年ぶりに復活。大阪・関西万博でも話題になった「ワンハンドフード」を企画し、「ワンコイン」もテーマに加えた。街歩きをしながら片手で食べられる500円メニューが多く並び、気軽に味わえる工夫が光った▼商店街ではコロナ前から閉店が目立っていた。夜市ではシャッターを閉じた建物の軒先も店舗として活用。以前は8月に開催していたが、猛暑を避けて昨年から10月に変更した▼夜市は17回目。親となって子どもと訪れる人も少なくないという。にぎわいづくりや観光振興に苦労する商店街は多いが、活気はアイデアと工夫次第。灯籠と行き交う人々の笑顔が、それを教えてくれた気がした。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178165
via 日刊建設工業新聞

大建設計/社長に田嶋慎也氏、11月25日就任

 大建設計は、田嶋慎也取締役兼常務執行役員が社長に昇格する人事を内定した。11月25日開催予定の定時株主総会後の取締役会で正式決定する。菅野尚教社長は代表権のある会長に就く。=3面に社長交代会見

国交省/営繕BIMモデル拡充/複数の使用ソフトで作成

 国土交通省は、直轄営繕事業の設計業務で作成するBIMデータの入力情報や設定内容の目安として公開している「営繕BIMモデル」のバリエーションを拡充した。これまではオートデスクの「Revit」で作成したモデルしか用意していなかったが、BIMソフトの国内市場でのシェアを考慮し、新たにグラフィソフトの「Archicad」を使用したモデルを作成、公開した。

Honda青山ビル/11月に解体工事着手/施工はTANAKEN

 東京都港区の青山一丁目交差点付近ある「Honda青山ビル」=写真=が11月から解体工事に入る。ホンダの自社ビルで、本社として使っていた。解体工事の施工はTANAKEN(東京都港区)。工期は11月4日~2027年8月31日を予定している。ホンダは青山ビルと土地の所有権の一部を三井不動産レジデンシャルに譲渡。三井不動産レジデンシャルと共同で建て替える。

大林組/トンネル覆工補強工事の工程削減/特殊製法シートを実用化

 大林組は、トンネル覆工コンクリート補強工事の工程が削減できる炭素繊維シート接着工法を実用化した。縦・横2方向に補強効果がある特殊製法シートを覆工表面に貼り付ける。1方向のみ織り込まれたシートを使う従来の2層貼り付けから1層に半減。幅も500ミリから1000ミリの大判にし、工程の約20%を削減する。岩手県八幡平市で施工する「東北自動車道竜ケ森トンネル補強工事」(発注者・東日本高速道路東北支社)の現場に導入し、施工効率を大幅に高めた。

2025年10月8日水曜日

鴻池組JV/親子で描くアートイベント開く/倉敷市庁舎再編整備現場の仮囲いに

 岡山県倉敷市が進めている「市庁舎等再編整備事業(行政ゾーン整備)」の工事現場で4日、子どもたちが仮囲いに絵を描くアートイベントが開かれた。施工などを担当する鴻池組・中国建設工業・久米設計・宮崎建築設計事務所JVが企画し、市と共同で開催。市内の小学生や保護者ら48人が参加した。

回転窓/一人一人の最適なWLBを

 ワーク・ライフ・バランス(WLB)という言葉を捨てて、働いて働いて働いてまいる--。自民党総裁選に勝利した高市早苗衆院議員の抱負が波紋を広げている▼テレビ番組のコメンテーターやSNSでは「国を立て直す強い覚悟の表れ」として称賛や期待の声がある一方、「時代に逆行する昭和の根性論」との批判も少なくない▼高市氏は議員にも「全員に馬車馬のように働いてもらう」と発破をかけた。国民には「WLBを大切にしてほしい」とコメントしたようだが、一連の発言は励ましよりも圧力として受け止められかねない▼内閣府が2024年3月に公表した働き方に関する調査では、建設業を含む多くの企業が「人員の確保が難しい」「業務量が多く人手が不足している」と課題を挙げた。仕事の処理量を増やすだけでは、深刻な人手不足に対応できない現実は明白だろう▼家庭の事情や背景によって「WLBを捨てる選択肢がない」人もいる。一人一人の価値観やライフステージに応じた最適なWLBが選択できる社会こそ、誰もが安心して働ける環境を築き豊かに生きる力を支える、持続的成長の土台となる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178139
via 日刊建設工業新聞

栃木建協/人材確保で取り組み強化/合同企業説明会の参加対象を拡大

 栃木県建設業協会(谷黒克守会長)が、人材確保・育成の取り組みを強化している。県内高校生だった「とちぎ建設業合同企業説明会」の参加対象を、次回(2026年3月)から大学生まで広げる方針。6日に開いた関東地方整備局、県との意見交換会で報告した=写真。

JR東日本/広域品川圏のまちづくりに注力/年間営業収益1000億円を視野に

 JR東日本が「広域品川圏」のまちづくりに注力している。2026年3月28日に東京都港区で「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティー)」がグランドオープン。品川区でも同日に都市生活共創拠点がまちびらきする。30年代半ばまでには広域品川圏で同社グループが保有するビルの延べ床面積約150万平方メートル。年間営業収益約1000億円超を視野に入れている。

2025年10月7日火曜日

回転窓/個人の知恵を組織の力に

 どれほど優れた経験や知識も、個人が抱え込んでいたら生かしきれない。組織に広げてこそ成果につながる。いわば、倉庫に眠る種はまかなければ実を結ばないのと同じだ▼「知識とは経験の積み重ねだ」〈アインシュタイン〉。ただ積み重ねただけでは目に見えない“知識の山”に過ぎない。共有してこそ道となり、他者の役に立つ。灯台が自分の足元だけを照らしても、船は導けない▼「周囲が知らないのは自分に原因がある」という心構えも大切だ。説明が抽象的ではなかったか、相手が実践できる形にまでかみ砕けたか。伝える工夫は伝える側の責任である。知識は川の水のように流してこそ澄み、ため込めば濁る▼知識を共有するには方法を形にすることが要だ。手引をまとめる、話し合いの場を設ける、あるいは一緒に手を動かして学んでもらう。こうした工夫で、個人の知恵は組織の力に変わる▼「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」。ドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉だ。知識は種火、広げてこそ炎になる。他者の経験を学び自分の力に変える環境は企業の成長だけでなく、社会の未来を照らすことにつながる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=178100
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中国整備局浜田河川国道/三隅・益田道路の舗装工事現場で見学会/地元小学生が参加

 2025年度内の開通が予定される島根県益田市の国道9号三隅・益田道路の建設現場で3日、地元の小学生を対象にした見学会が行われた。中国地方整備局浜田河川国道事務所が土木工事の魅力を知ってもらおうと、益田建設業協会らと共同で企画。子どもたちは建設重機に試乗したり、アスファルト舗装を体験したり楽しみながら建設業の仕事を学んだ。

自民党/新総裁に高市早苗氏選出/経済対策を早期策定

 石破茂首相の後任を決める自民党総裁選は4日に投開票され、高市早苗衆院議員が第29代総裁に選出された。15日にも召集される臨時国会で第104代首相に指名される見通しだ。高市氏は首相就任後、物価高などに対応する経済対策を早期に策定し、裏付けとなる2025年度補正予算案を臨時国会に提出する考え。経済対策に基づく補正予算で例年措置されている国土強靱化関係予算の扱いが焦点になる。

瑞浪駅地区再開発(岐阜県瑞浪市)/瑞浪市、都計案縦覧開始/26年度中に組合設立

 岐阜県瑞浪市は6日、JR瑞浪駅南側で計画する「瑞浪駅南地区第一種市街地再開発事業」と該当エリアの高度利用地区の都市計画案の縦覧を開始した。施行地区面積は0・9ヘクタール。三つの街区に店舗や公益施設、屋内広場、駐車場、住宅を整備する。施設規模は延べ約1万5000平方メートルを見込む。今月中に開催する都市計画審議会に諮った後、都市計画決定する予定。2026年度中の再開発組合設立を目指す。着工や完成のスケジュールは今後固める。

鉄建建設ら/汎用重機のMG技術実用化へ/非GNSS環状下でも施工状況を把握

 鉄建建設らが汎用(はんよう)重機の遠隔・自動化施工の実現に向け、独自の自動検出システムによるMG(マシンガイダンス)技術の実用化にめどを付けた。撮影カメラと可搬式LiDAR(ライダー)一体の装置(エッジシステム)と自動検出システムが、トンネルや地下などGNSS(全球測位衛星システム)信号を受信できない環境でも施工状況をリアルタイムにガイダンスできるか検証。実現場に導入できることを確認した。

2025年10月6日月曜日

回転窓/19年で積み上げた勝利

 「マー君」の愛称で親しまれるプロ野球の田中将大投手(巨人)が9月30日、日米通算200勝を達成した。王手をかけてから足踏みが続き、今季に達成できるのかとやきもきした方も多かろう▼高校時代から甲子園を湧かせ2007年楽天に入団。1年目から11勝を挙げ、13年には24勝で無敗という驚異的な成績を残した。大リーグ・ヤンキースでは6年連続で2桁勝利を挙げるなど多くの記録を打ち立てる▼21年に楽天復帰後、3年間で計20勝を挙げるも昨季はわずか1登板で未勝利に終わり、オフに退団。巨人に入団し投球フォームの改造に取り組んだが、今季は試合前時点で9試合に先発登板し2勝4敗と勝ち星が遠かった▼勝利後の会見で田中投手は「変化を恐れては進化できない。すぐにはできないし、うまくもいかない。でも立ち止まっていては乗り越えられない」と心境を吐露。200勝がゴールではないとし「日本一になるチャンスがある。勢いに乗ってポストシーズンを戦っていきたい」と決意を口にした▼一つ一つの積み重ねと継続の大切さは新聞づくりも同じ。立ち止まらずに価値ある情報を読者に届けたい。




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凜/応用地質防災・インフラ事業部防災リスクコンサルティング部・佐々木絵美さん

 入社9年目。地滑り対策やのり面調査の結果分析や取りまとめを中心に取り組んでいる。出産を機に、仕事のスタイルが現場から内業中心に変化。それをきっかけに「女性技術者が希望を持てる働き方って、どんな形だろう?」と模索するようになった。

経産省と国交省/洋上風力の指定を追加/有望区域に秋田市沖、響灘沖

 経済産業省と国土交通省は、洋上風力発電施設の整備に関し、「秋田市沖」と「福岡県響灘沖」の2カ所を「有望区域」に指定した。さらに「千葉県旭市沖」「長崎県五島市南沖」「鹿児島県いちき串木野市沖」の3カ所を「準備区域」に位置付けた。再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向けた整理の一環として実施した。

京急電鉄と三井不/リゾートホテル建設で協定締結/油壺マリンパーク跡地に

 京浜急行電鉄と三井不動産は、油壺マリンパーク(神奈川県三浦市三崎町小網代1082)跡地にリゾートホテルの建設を目指す。3日に協定を締結した。今後、具体的な事業計画の検討に着手する。両者は地域と連携した持続可能な開発を推進する考えだ。

東日本高速北海道支社/橋桁の多軸台車一括架設現場を公開/施工は五洋JV

 東日本高速道路北海道支社は、北海道小樽市で施工している「後志自動車道小樽ジャンクションCランプ橋工事」で、北海道内では2例目となる多軸台車による橋桁の一括架設を採用した。地上で組み立てた1径間分の鋼製橋桁を多軸台車2台を使って一括架設する方法で、1日夜から2日未明にかけて実施した1回目の作業を報道関係者に公開した。

戸田建設/シールド仮壁切削補強材にバサルトロッド国内初適用/安価で引張強度2倍超

 戸田建設は、シールドトンネルの仮壁切削工事に使う補強材として、玄武岩を原料とする無機系繊維で製造した「バサルトロッド」を国内で初適用した。鉄筋の2倍以上の引っ張り強度を持ちながら、炭素繊維やガラス繊維材に比べて大幅にコストが抑えられる。ニューマチックケーソン工法では国内最大級の深さ約110メートルに達するリニア中央新幹線シールドトンネルの立坑工事に採用し沈設を終えた。

2025年10月3日金曜日

回転窓/間違い探しの効用

 よく似ている2枚のイラストを見比べて違いを探す「間違い探し」--。全てを探せた時の達成感は気持ちいいが、難度が上がるとあと一つ、二つの違いを見つけられずに苦戦することも多い▼脳科学の専門家によると、間違い探しで脳は前頭葉の血流が増えて活性化する。これが注意力や記憶力、視空間認知力の向上につながるのだという▼自民党総裁選の投開票があす4日に行われる。総裁選はこの5年で3度目。国際情勢も大きく変化する中、今回のように首相がわずか1年の在任期間で交代してしまうのには疑問符を付けざるを得ない。政権運営に難題は多いが、こうした事態をなぜ招き、どこかに間違いがなかったのか▼物価高騰対策で有効な手だてを打てず、実質賃金も依然低迷している。明るい展望を持てる実効性の高い政策が展開されていくことへの期待は大きい▼少子高齢化時代にも経済が安定成長しながら、安全・安心の確保と産業振興に必要な社会基盤づくりが計画的に推進され、多様な働き方もできる持続可能な社会へ。これらの実現に向かわなければ、政治に対する間違い探しの目は一層厳しくなる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177995
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堺市上下水道局/詳細設計付き工事、25年度に中・大口径に適用拡大

 堺市上下水道局は老朽化が進む下水管の改築・耐震化を効率的に進めるため、詳細設計と工事を一括で発注する「詳細設計付き工事」を試行している。2025年度からは小口径に限らず中・大口径の管渠にも対象を広げる。効果検証と制度拡充を重ね、早期の本運用を目指す。

長崎県佐世保市/新学校給食センター整備を検討/10月21日に官民対話

 長崎県佐世保市は、老朽化などが課題となっている学校給食センター4カ所と校内調理場38カ所について、新たな学校給食センター整備による集約を検討している。今後、基本構想策定など事業を進めるに当たり、21日にアルカスSASEBOで開催する「佐世保PPPプラットフォーム」で事業説明と官民対話を行い、PFI手法の実施可能性など民間事業者の意見を聞く。

大末建設/大阪・関西万博チェコパビリオンでアカペラ大会/8大学9チームが歌声披露

 大末建設が施工した大阪・関西万博チェコパビリオン内の大末ホールで1日、同社主催の「関西学生アカペラ大会」が開かれた(協賛・FC大阪)。関西の8大学から9チームが出場し、息の合った歌声を披露。優勝した立命館大学の「Dear」にはトロフィーなどが授与され、副賞として11月に行われるFC大阪の試合のハーフタイムで歌う権利が贈られた。

2025年10月2日木曜日

丸本組/宮城県東松島市に寄付/ブルーインパルス機体、道の駅に常設展示支援

 丸本組(宮城県石巻市、佐藤昌良社長)は、宮城県東松島市が航空自衛隊ブルーインパルスの機体を道の駅「東松島」に常設展示するプロジェクトに100万円を寄付した。9月30日に佐藤社長が東松島市役所を訪れ、渥美巌市長に目録を手渡した。佐藤社長は「創業80期を機に市の交流人口を増やす協力ができればと社内で協議し、寄付を決めた。機体を間近で見られる良い機会をつくってほしい」と期待を寄せた。

時流/防衛省官房施設監・井上主勇氏/士気高く任務に専念できる環境整備

 ◇経済成長の視点で民間との連携強化
 政府の防衛力整備計画に基づき総額4兆円規模の施設強靱化プロジェクトに取り組んでいる防衛省。5か年計画の3年目を迎え、今後、工事が本格化していく。8月1日付で官房施設監に就いた井上主勇氏は「歴代施設監の取り組みに継続性を持たせ、政策課題を前に進めたい」と抱負を語る。施設更新に対する自衛隊員の期待は大きく、「士気高く任務に専念できる環境の整備」にまい進する。

スコープ/テラドローン社長・徳重徹氏/「丁字戦法」で世界を開く

 ◇ドローンでインフラ革新けん引
 ドローン関連事業を展開するテラドローン(東京都渋谷区)が、「日本スタートアップ大賞2025」で国土交通大臣賞を受賞した。2016年の設立以来、屋内点検用ドローンや運航管理システム(UTM)を開発し、国内外に事業を拡大。アジアや中東へも進出し、24年11月には東京証券取引所グロース市場に上場した。徳重徹社長は「世界の動きを見極め、顧客に価値を届けられる分野をさらに広げたい」と意欲を語る。
 成長の秘けつは…
 もともと米国を中心にスタートアップ支援に携わっていた徳重氏は、その経験を基に「日本初のグローバルメガベンチャーを創る」との構想を描き、10年に電気自動車(EV)の会社を設立。ただ、当時の市場は早過ぎた。業績が伸び悩む中、次の事業として注目したのが米国などで普及が進んでいたドローンだった。「早く、安く、安全に点検や物流が行える」ドローンは、徳重氏が重視する「顧客価値の明確さ」を備えていたことが決め手となり、16年にテラドローンを創業した。
 創業から10年足らずで急成長を遂げた背景には、「人とのつながり」があると徳重氏は強調する。創業初期、山形でドローンを測量に活用していた企業から技術者を迎え入れた。同社は当時まだ珍しかった、5センチ単位の精度が出せるドローン測量技術を独自開発しており、それが初年度からの事業成功につながった。
 徳重氏はこの関係構築法を「丁字戦法」と名付ける。多くの人に会い、「これだ」と思う相手には深く関わっていくスタイルで、国内外に幅広いネットワークを築いてきた。早稲田大学のレーザースキャナー技術を買い取り、「テラライダー」へと事業化した事例や、インドネシアでの農業支援サービスなど、展開は多岐にわたる。

 国内市場に逆輸入も
 新規株式公開(IPO)を達成した今も、「上場は通過点に過ぎない」と話す徳重氏は、「目線を下げない意識改革が大切」と説く。上場後に陥りがちな「重要業績指標(KPI)偏重」への懸念も示し、「数字にとらわれず、イノベーション志向を重視する」との姿勢を崩さない。
 今後の成長戦略ではグローバル展開を加速する。テラドローンの売り上げのうち海外比率は56%を占め、インドネシアや中東で測量・点検・農業支援を展開中だ。さらに、欧州を中心に8カ国で導入実績のあるベルギーのUTM開発企業・Uniflyに出資し、子会社化。日本へのイノベーションの逆輸入も視野に入れる。
 一方、国内市場にも大きな可能性を見いだす。測量から物流、セキュリティー監視まで多様なニーズがあり、「規制緩和が進めば有人地帯での運航も現実味を帯びてくる」と分析。ドローンポートを用いた「ドローン・イン・ア・ボックス」型の自律飛行が今後の主流になると予測している。

 挑戦こそが本質
 建設分野では、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故以降、屋内や地下の点検ニーズが増加。国交省が推進するi-Construction2・0の拡充や、第1次国土強靱化実施中期計画などの政策も追い風だ。1月に発売した屋内点検用ドローン「Terra Xross1」を軸に、サービス拡大を目指す。「建設分野は創業時からの柱。今後も測量・点検で価値を提供していきたい」と話す。
 若者へのメッセージとして、「考え過ぎず、まずやってみることが大切」と徳重氏は力を込める。「失敗は前提。そこから修正すればいい。挑戦こそがスタートアップの本質」と語った。
 (とくしげ・とおる)九州大学工学部卒。住友海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)を経て、米サンダーバード国際経営大学院で経営学修士(MBA)取得。2010年にテラモーターズ、16年にテラドローンを設立。山口県出身、55歳。




from 企業・経営 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177969
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滋賀県/県庁舎(大津市)在り方懇話会が初会合/整備手法や将来像など検討

 滋賀県は9月30日、学識者ら14人で構成する「滋賀県庁舎等のあり方検討懇話会」(座長・中嶋節子京都大学大学院人間・環境学研究科教授)の初会合を大津市の滋賀県危機管理センターで開いた。施設の老朽化や社会構造の変化に伴い、次の100年を見据えた県庁舎の在り方を検討する。この日は県庁舎の現状や課題、他自治体の整備手法の事例などを報告。今後は2026年度までに計6回程度の会合を開き、県庁舎の目指すべき将来像や整備手法、配置検討案をまとめる。
 県庁本館(大津市京町)は竣工から86年が経過し建物と設備の経年劣化が進行。国の登録有形文化財に登録されていることから、保存・活用に向けた検討が求められている。その他の庁舎も今後建て替えや大規模改修の時期を迎えるとともに、増築を重ねているため棟の配置が複雑化し、目的地が分かりにくいことなどの課題を抱えている。このため、庁舎全体を取り巻く状況を踏まえ、今後のあるべき姿について一体的な検討に着手する。
 県庁舎は、▽本館(1939年竣工、RC造地下1階地上4階建て延べ1万6472平方メートル)▽北新館(74年竣工、SRC造地下1階地上5階建て延べ3271平方メートル)▽新館(同、SRC造地下1階地上7階建て延べ8835平方メートル)▽東館(83年竣工、SRC造地下1階地上7階建て延べ5798平方メートル)▽新新館(87年竣工、SRC造地下1階地上7階建て延べ1万1831平方メートル)▽危機管理センター(2015年竣工、RC造5階建て延べ5487平方メートル)-などで構成。西側では27年2月の竣工を目指し、「(仮称)第二大津合同庁舎」の整備も進む。
 県は、庁舎の現状・課題や必要機能、規模の調査を行う基礎調査業務を山下設計・三菱UFJリサーチ&コンサルティングJVに委託。調査結果や懇話会での意見を踏まえ、方向性を検討する。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177961
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三井不ら/田町駅西口駅前地区開発事業/延べ9・8万平米ビル着工

 三井不動産と森永乳業、JR東日本は1日、東京都港区の田町駅近くで展開する「田町駅西口駅前地区開発事業」で、新たなビルの建設に同日着手したと発表した。「森永プラザビル」の跡地を中心に延べ約9・8万平方メートルのビルを建てる。鹿島が基本・実施設計と監理、施工も担当している。2029年3月に建物が完成し、利用も始める。33年度中に全体竣工する。
 建設地は港区芝5の412の6(地名地番、敷地面積約6615平方メートル)。地下2階地上24階建て延べ約9万8570平方メートルで、高さは約125メートルとなる。
 1~3階にはJR東日本グループのアトレが運営する商業施設が入る。4階には産業支援施設を配置。スタートアップの育成・支援拠点に位置付ける。田町・三田エリアに集積する大企業やメガベンチャーとの交流や双方の事業機会の獲得を目指す。6~23階はオフィスで、一部フロアに森永乳業が本社を移転する計画だ。
 地上レベルでは交通広場を整備し、歩道部を拡幅する。バスやタクシーの乗降場の引き込みなどを通じ、歩行者ネットワークの改善を図る。33年には緑地広場を整備し、住民やワーカー向けの憩い空間を創出する。
 2階レベルではJR田町駅構内の東西自由通路の拡幅や、駅前デッキ広場の拡張を予定している。同広場は約2000平方メートル規模になる。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177955
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東洋建設/CO2固定化実証実験始動/衣浦3号地最終処分場で、事業スキーム構築へ

 東洋建設は9月30日、愛知県武豊町の海面最終処分場で、場内にたまった水(保有水)に二酸化炭素(CO2)を固定化する実証実験を開始した。アルカリ性の保有水にCO2が溶けやすい性質を利用する。水温や水素イオン指数(pH)など季節によって溶解量や溶解速度が変動するため、実験を通じ保有水のpHと溶解速度の関係を把握する。併せて溶解速度を速める方法も検証する。2カ年で実証実験を進め、CO2固定化の事業スキーム構築を目指す。
 実証実験の名称は「CO2回収・固定化プロジェクト」。カーボンニュートラル(CN)の実現など環境分野の課題解決に向け、愛知発の環境イノベーションを創出・実装する革新的なプロジェクトとして県が認定、実証フィールドの提供・紹介などを支援する。実験場所は、衣浦3号地廃棄物最終処分場の管理型区画。埋め立て処分を行っている愛知臨海環境整備センター(アセック)が実証フィールドを提供した。
 焼却灰や汚泥などを搬入しているため保有水はアルカリ性となっている。CO2は廃棄物から溶け出したカルシウムと結合、炭酸カルシウムとなり水底に沈殿し貯留される。
 実証実験では、保有水に沈めた円筒状のアクリル製容器(CO2溶解用カラム、直径50センチ、延長4メートル)に、ボンベから高濃度CO2を充填、加圧することで効率的に溶解させる。カラムで溶解したCO2はファインバブル発生装置で拡散する。電力は発電機を暫定利用しているが今後、太陽光発電装置に接続する。高濃度CO2も将来的には周辺の工場や発電所から回収して使用する予定。年間150~200トンの固定化が目標。そのほか、搬入灰へのCO2固定化なども検討しており年間1000トンの固定を目標としている。
 管理型海面処分場へのCO2貯留が可能になると、埋め立て地盤や排水が一定の中性化が図られることで処分場の早期安定、跡地利用の促進につながる。東洋建設土木事業本部土木技術部の山崎智弘部長は「全国初の取り組み。管理型海面処分場は全国にある。実証実験を通じ技術を確立したい」と話した。あいち環境イノベーションプロジェクトを推進する県環境局環境政策課の担当者も「愛知発の技術として成果を広くアピールしていきたい」と期待を寄せた。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177966
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2025年10月1日水曜日

回転窓/承認欲求が招く危うさ

 ユーチューブなどで再生数を稼ごうと、配信者が過激なパフォーマンスに走るケースが後を絶たない。先日も未調理のインスタント麺を大量に食べた未成年が死亡する事故が起きた▼注目を集めなければ膨大な動画の中で埋もれてしまう。それでも、軽率で無謀な行為が許されるわけではない。過激な配信の背景には、視聴者に認められたいという強い承認欲求が見える▼誰かに認められたいという思いは、ごく自然な感情だ。ただし、過剰になれば事件や事故を引き起こす。広大なネットの海で、きょうも危険な動画が生まれている。今や情報入手の中心はSNSだ。小中学生が自ら動画を投稿する時代になり、家庭の役割と責任はこれまで以上に重い▼オーストラリアでは16歳未満のSNS利用を禁止し、欧州連合(EU)も規制導入を検討中だ。日本でも愛知県豊明市が、子どもがスマートフォンを使う時間を制限する条例を1日に施行した▼個人の自由と保護のバランスをどう取るかは難しい課題だが、全国一律の規制が必要かどうか、社会全体で議論すべき時期に来ている。考える時間は、決して多くは残されていない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=177906
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時流自流/日本建設業連合会事務総長・中原淳氏/実態に即した発信強化

 ◇長期ビジョン実現し入職者増やす
 日本建設業連合会(日建連)の事務総長に8月1日付で就任した。建設業行政に長年携わってきた経験も踏まえ、シンクタンク機能としての発信を強化する。国や民間発注者などには多様な働き方や実態に即した柔軟な制度設計を求めていく。7月に発表した「建設業の長期ビジョン2・0」を実現し、新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)をベースにした持続可能な建設産業を目指す。

インフロニアHD/26年3月期業績予想を上方修正/連結売上高1・1兆円に

 インフロニア・ホールディングス(HD)は9月30日、連結子会社化した三井住友建設の業績目標などを織り込んだ2026年3月期の業績予想と、27年度までの中期経営計画を公表した。5月14日に公表した業績予想(国際会計基準)は、三井住友建設の業績を織り込み、売上高1兆1310億円(前回8963億円)、事業利益773億円(545億円)、営業利益696億円(549億円)、当期利益510億円(334億円)に上方修正した。

中野国交相/着実に成果上げた/道路4公団民営化20年

 中野洋昌国土交通相は9月30日、閣議後に会見し、1日で道路4公団の民営化から20年となることについて、「(民営化当時の)目的に即して着実に成果を上げてきた」と評価を述べた。有利子負債の着実な減少、ネットワーク整備と安全・安心なサービスの提供、SA・PAの売上高増加、民間ノウハウを生かした多様なサービス提供を成果に挙げた。

長岡天神駅西地区再開発(京都府長岡京市)/整備計画公表まとめる/地権者検討会

 ◇総延べ5万平米複合施設に
 阪急長岡天神駅西地区市街地整備事業地権者検討会(京都府長岡京市)は、「西地区整備計画」をまとめた。阪急電鉄長岡天神駅の西地区に、第1種市街地再開発事業で総延べ約5万平方メートルの複合施設や歩行者デッキ、広場などを整備する。敷地北側の複合施設は店舗やオフィス、ホテル、賃貸住宅など、南側は店舗や分譲・賃貸住宅、駐車場などで構成。年度内の準備組合設立に向けて現在準備を進めており、設立後2年程度で事業実施計画案をまとめる予定。着工までは10年程度かかる見通しだ。

鉄建建設ら/鉄塔基礎向け機械式深礎工法を試験施工/双腕機械で破砕と積み込みなど

 鉄建建設と東北電力ネットワークは9月30日、送電鉄塔の基礎工事向け機械式深礎工法の試験施工を宮城県大郷町内で行った。送配電会社や送電工事の施工会社などを招き実施。バケットとブレーカーを備えた双腕型掘削装置などによる掘削や排土、裏込め注入の作業状況を確認した。施工は同工法の機械管理などを行うジェイテック(東京都千代田区、三宅信次社長)が担当した。2026年春にも採用を予定している。

2025年9月30日火曜日

最近1年間の完成工事高2025年上期調査

 今回は「2025年上期調査」として2024年4月~25年3月の決算期分を対象に、9月25日までに回答を得た532社の業績速報として集計した。集計の都合上、総合建設業304社、道路・舗装工事業28社、鉄骨・橋梁工事業8社、電気・通信工事業23社、設備工事業155社のほか、いずれにも分類できない14社は建設関連としてまとめ、次ページ以降に完成工事高順などでランキング掲載した。調査票に完工高が未記入の会社は、各分類の末尾に参考として掲載している。

 集計対象のうち、24年4~9月に決算期を迎えた会社のデータは、前回集計の「2024年下期調査」(25年5月9日掲載)と同じ数値となっている。今回は主に24年10月~25年3月に決算期を迎えた会社のデータを更新した。
(9月30日付別刷 タブロイド版12ページ)


 ※2025年上期調査データは、日刊建設工業新聞 電子版で公開しています。電子版会員の方は、ログインして 各種資料>完成工事高調査 からダウンロードが可能です。




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関東整備局ら/常総水害から10年/茨城県常総市で式典開く

 ◇復興の軌跡共有、次世代に教訓継承
 2015年に関東・東北地方を襲った豪雨に関連し、関東地方整備局ら9者が茨城県常総市で「常総水害から10年」と題した式典を28日に開いた。約1350人が出席。復興に向けて取り組んできた10年の軌跡を共有し、水害の教訓を次世代に継承していくことを誓った。

回転窓/リスケして出直します

 文化庁の2024年度「国語に関する世論調査」で、「にやける」の意味を「薄笑いを浮かべること」と答えた人が8割を超えたという。本来は「なよなよしている様子」だが、すっかり笑い顔のイメージにすり替わっている▼言葉は時代とともに変わる。とはいえ、意味の変化に「えっ、そうなの?」と戸惑うのは、年齢のせいなのか、単に感覚のアップデート不足なのか。言葉は生き物。変わっていくのが自然だ。でも度が過ぎると“伝える道具”が“迷わせる道具”になってしまう▼日本語は外来語も柔軟に吸収する言語。ビジネスの世界では「リスケ」「コンセンサス」「エビデンス」といった言葉が、波のように押し寄せてくる。でも「エンゲージメントが大事」なんて言われても、ピンとこない▼会議で「アグリーです」「コミットします」と真顔でうなずく人たち。そんな空気の中で、日本語とカタカナ語のあいだを右往左往していると、自分の足元がぐらつくような感覚になる▼これって、もしかして?、いやたぶん間違いなく…「ガチでエモい?」。書いてる本人がイミフなってきたので、リスケして出直します。




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中野洋昌国交相/管路点検技術を視察/民間の下水道研究施設(神奈川県厚木市)で

 中野洋昌国土交通相が29日、神奈川県厚木市の厚木の杜環境リサーチセンター(森の里若宮5の1)を訪れ、下水道管路調査の技術などを視察した。1月に埼玉県八潮市で発生した大規模陥没事故など、全国で管路などの破損事故が多発する状況を踏まえ、事故の未然防止につながる最新技術などで説明を受けた。

奈良県立医科大学/付属病院新A棟基本計画案まとめる/概算事業費は512億円

 奈良県立医科大学は老朽化が進む付属病院A棟(外来棟、奈良県橿原市)の建て替えに向け、基本計画案をまとめた。近鉄橿原線新駅の予定地に近い敷地南側に、既存施設を除却して建設する。2025年度に基本・実施設計に着手し、29年度の着工、31年度の供用開始を目指す。既存棟の改修工事費などを含めた概算事業費は512億円を見込む。

大成建設/シールド工事に脱炭素型裏込め注入材/CO2排出量を最大110%削減

 大成建設は、シールドトンネル工事に使用する脱炭素型の裏込め注入材を開発した。独自技術の環境配慮コンクリートを応用。多様なニーズに合わせて4タイプをラインアップした。材料製造時の二酸化炭素(CO2)排出量が従来と比べ60~110%削減できる。既存の設備や施工プロセスのまま現場に導入可能。10月に名古屋市内で初適用する。別工事への導入も検討していく。

2025年9月29日月曜日

回転窓/“黄葉”は生命力の輝き

 近くの神社で大きく枝を広げたカヤの木がたくさんの実を付けている。その一つが足元にポトンと落ち、これも何かの御利益かと手に取り観察した▼カヤは9月下旬~10月ごろに実を落とす。種子が食用や薬用などに重宝され、優れた木材としての性質も持つ。寿命が長く大木となる特徴からか信仰の対象にもなってきた▼神社や寺には、繁栄や再生を象徴する生命力の強い樹木がある。カヤなどとともによく見られるのがイチョウ。切り株から新しい芽が育ち、火事で幹が焼けても再生したとの話も伝えられる▼イチョウは氷河期に中国南部を除き消滅してしまう。日本にも生息しなくなったが、平安~鎌倉時代に中国から伝来し広まったとされる。17世紀末に訪日したドイツ人医師がイチョウを欧州に紹介すると、それまで絶滅したと考えられていたために植物学者が驚嘆したという(渡部一夫著『公園・神社の樹木』)▼気象庁の予報では10月の気温も全国的に高い。残暑の影響でイチョウの葉が黄金色に染まる見頃は平年より遅くなるのだろうか。絶滅の危機にひんするも生き残った木が放つ輝きは、今年もきっと美しい。




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凜/パシフィックコンサルタンツ・米田理津子さん

 資源分野の調査・計画づくりや脱炭素化に向けた検討業務を任されている。定型の仕事にとどまらず、ワークショップで地域の人と直接向き合う場も多い。「声に耳を傾け参考にできるのは楽しい」と、うれしそうに語る姿が印象的だ。

都道府県・政令市の独自歩掛かり/「現場実態と乖離」認識強く/国交省、事例集作成へ

 国土交通省直轄工事と地方自治体発注工事で工事規模や現場実態が異なることを背景に、都道府県・政令市のほぼ半数で積算に用いる歩掛かりを独自に設定しているケースがあることが、国交省の調査で分かった。国交省の標準歩掛かりを使用せず、独自に歩掛かりを作成する理由を「現場実態との乖離(かいり)」と回答した団体は3割に達する。国交省は調査結果を本年度内に事例集としてまとめる予定。各地域の実情に合った適切な歩掛かりの作成を後押ししていく考えだ。

大成建設・相川善郎社長/東洋建設TOB成立受けコメント/迅速・着実にシナジー発揮

 大成建設の相川善郎社長は26日、東洋建設に対する株式公開買い付け(TOB)が成立したことを受け、「迅速かつ着実にシナジー(相乗効果)施策を実行する」とのコメントを発表した。「大きな節目を迎えることができたことに安堵(あんど)している」と述べつつ、「ここからが本番だ」と強調した。

東北福祉大学/仙台・国見新キャンパス構想発表/設計は安井建築設計事務所

 東北福祉大学は、仙台市青葉区の国見キャンパスに教育機能を集約する「新キャンパス構想」を発表した。2026年度から「図書館・食堂棟」と「体育館」を新設する。28年度の完成後に既存建物を解体し、分散する学科を集約するための新講義棟を建設する。設計は安井建築設計事務所が担当。年内にも施工者を決める。約10年かけ、ワンキャンパスプロジェクトを実現する。

鉄建建設/山岳トンネル遠隔監視にAI活用/切羽危険エリア侵入で警報

 鉄建建設は26日、AIを活用した山岳トンネル工事向け遠隔監視システムを開発したと発表した。AIの画像解析技術で作業工程をリアルタイムに管理。工程管理の効率化と生産プロセスの可視化でマネジメントの質を高める。AIが映像内で作業員の動きを解析し、切羽近傍の危険エリアへの侵入を即時検知。柔軟で高度な安全管理につなげる。

2025年9月26日金曜日

建専連ら/専門工事業合同体験フェア開幕/業界の魅力伝える

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)と建設産業専門団体中部地区連合会(中部建専連、清水敬央会長)の共催で「第12回建設専門工事業合同体験フェア」が25日、愛知県小牧市のポリテクセンター中部で開幕した。26日までの2日間で愛知県、岐阜県、静岡県の7校から延べ約220人が参加する予定。作業体験を通じて専門工事について理解を深めてもらうとともに、やりがいや魅力を伝える。

回転窓/まずはプラマーク探しから

 小欄が暮らす自治体で10月1日から、「燃やすごみ」として扱っていたプラスチックの分別回収が始まる。最初は少し戸惑いそうだが、新しいルールに早く慣れていきたい▼対象品目を改めて確認してみると、身の回りがいかにプラスチック製品に囲まれているかに気付かされる。歯ブラシや保存容器のような全体がプラスチックのものだけでなく、普段何げなく捨てていたごみの多くが、実は分別の対象だった▼ペットボトルのキャップやラベル、冷凍食品や菓子の包装、弁当容器やカップ麺の入れ物、錠剤のシート…。挙げ始めればきりがないように思える。矢印で「プラ」を囲んだプラマークが、見分けの目安だという▼2020年7月、容器包装リサイクル法の省令改正でレジ袋が有料化され、エコバッグの利用が広がった。けれども、日本のプラスチック削減やリサイクルの取り組みは、まだ始まったばかりといえる▼今回の分別回収は、22年4月施行のプラスチック資源循環促進法に基づく対応だそう。鍵になるのは消費者一人一人の心遣いと丁寧な行動。まずは身近な商品のプラマークを探すことから始めてみよう。




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大成建設/東洋建設へのTOB成立/9月30日付で連結子会社化

 大成建設の東洋建設に対する株式公開買い付け(TOB)が24日に成立した。8月12日からのTOBに5830万5532株の応募があった。買い付け価格は1株当たり1750円で、取得価格は1020億34百万円。TOBの成立を踏まえ、大成建設は残る株式をスクイーズアウトで取得する。所定の手続き後、東洋建設は上場廃止になる。
 東洋建設はTOBの決済を開始する30日付で大成建設の連結子会社になる予定。東洋建設の株式の約3割を持つヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)がTOBに応募。約2割を保有していた前田建設はTOBに応募せず、東洋建設が実施する自己株式取得に応じる。
 経営統合で陸海相互補完の関係が形成される。従来はすみ分けられてきた陸上・海上の施工領域にとらわれない幅広い分野での協業が可能になる。土木事業はJV組成による落札率の向上とともに、民間大型案件で陸海共同提案による受注増加を目指す。建築事業はより大型で高収益な案件、設計・施工一括(DB)案件の受注増加もにらむ。
 洋上風力発電事業では両社がそれぞれ開発、実証している浮体式の実用化を推進。陸上系統工事と洋上風力ケーブル敷設の共同受注も視野に入れる。
 事業全般でDXの推進や設計・積算業務の高度化による生産性向上、主要資材の集中購買、知名度を生かした採用の強化にも期待し、設備投資のさらなる推進も見込む。




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関東整備局港湾空港/CNP認証の川崎港、10月9日に交付式

 関東地方整備局港湾空港部は25日、国土交通省が3月に創設した「カーボンニュートラルポート(CNP)認証」に川崎港コンテナターミナルが選ばれたと発表した。脱炭素化に貢献する高度な設備と機能を持った港湾を評価。同港はLED照明や二酸化炭素(CO2)フリー電力で稼働するガントリークレーンを採用している点で評価を受けた。10月9日に横浜市内で認証の交付式を行う。
 CNP認証制度は脱炭素に配慮した取り組みを行っている港湾を1~5段階で評価し、他港にも取り組みを促す目的がある。認証を受けた港湾を利用する荷主や船社、港湾関係者にとっては社会全体にアピールでき、港自体のブランド向上にもつながる。認証は3年間有効という。
 川崎港コンテナターミナルでは港湾脱炭素化推進計画の策定に加え、構内照明のLED化などを行っている。再生可能エネルギーを利用して排出量を実質ゼロにするCO2フリー電力で動くインバーター方式のガントリークレーンも導入。水素換装型トランスファークレーンを2基取り入れ、荷役機械の脱炭素化も推進している。
 こうした取り組みにより、認証レベルは上から2番目となる「レベル4+」だった。
 交付式は横浜第2合同庁舎(中区北仲通5の57)で行う。同港以外に名古屋や大阪、高松、博多の4港も選ばれている。




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第一生命保険/仙台第一生命ビル新築工事入札公告/来年6月着工へ

 第一生命保険は、仙台市青葉区の定禅寺通沿いにある「仙台第一生命ビル」(愛称・黒ビル)の建て替えで「(仮称)仙台第一生命ビル新築工事」の一般競争入札(総合評価方式)を26日に公告する。国分町3の1の1にオフィスビル(S造地下1階地上13階建て延べ1万6149平方メートル)を建設する。設計は竹中工務店。参加申請を10月3日まで受け付ける。提案書の提出期限は11月25日。入札結果は同月末に通知する。2026年6月に着工し、28年4月5日までの工期を予定している。=発注公告別掲
 参加希望者は、10月1日までに同社不動産部不動産開発課仙台PJ担当(〒100-8411、東京都千代田区有楽町1の13の1)に名刺と会社概要を送ること。募集要領と入札参加申請書をメールで配布する。
 参加には仙台市の競争入札参加資格が必要になる。経営事項審査で「建築一式工事」の総合評定値が1200点以上で、15年度以降にS造で10階建て以上、延べ1万平方メートル以上の賃貸用オフィスビル(基礎、躯体、外装、内装を含む)を元請で施工した実績を求める。
 国分町三丁目一番地区優良建築物等整備事業として、主要用途が事務所、店舗の新ビルを整備する。建設地(敷地面積1417平方メートル)には1970年7月に竣工した現「仙台第一生命ビル」(愛称・黒ビル)が立っている。SRC造地下1階地上10階建て塔屋4階の規模で、延べ床面積は1万1110平方メートル。竹中工務店が設計・施工し、現在は同社が解体工事も施工している。
 仙台市の「せんだい都心再構築プロジェクト」の適用を24年9月に受けた。容積率などが緩和され、事業採算性の向上が期待できる。新市役所本庁舎と商店街を結ぶ「つなぎ横丁」、近接する勾当台公園、定禅寺通、新本庁舎と一体になった全周4面の再整備を通じ、エリアの魅力・価値向上を実現する。




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大成建設/カーボンリサイクル・コンクリで外壁部材/国内初の1時間耐火認定取得

 大成建設は、自社開発のカーボンリサイクル・コンクリートを用いた建築物のカーテンウオール(外壁部材)を開発した。工場生産で大量の二酸化炭素(CO2)を排出するセメントを全く使わずにカーテンウオールを製造。材料に合成繊維を混合して耐火の要求性能も満たしている。部材の製造時にCO2の排出収支がマイナスになるという。国内初の1時間耐火の国土交通大臣認定を取得。通常の建築確認申請手続きで高層ビルなどに適用できる。
 同社は環境配慮コンクリートとして「T-eConcrete」シリーズを展開している。カーテンウオールに採用したのは同シリーズのうち、セメントを全く使用しない「カーボン・リサイクル」タイプ。柱や梁、壁など主要構造部材に適用する場合、耐火性能を確認し大臣認定を取得する必要があった。
 同社によると、開発したカーテンウオールはこれまでのコンクリートと比較し、製造時のCO2排出量が大幅に抑えられ、条件が整えば排出収支がマイナスになる、「120%削減」の効果が得られるという。セメントを使う従来品と同様の方法で製造が可能。クリート(PC)工場での設備変更はいらない。
 1時間耐火の国交大臣認定を国内で初めて取得している。通常の建築確認申請手続きで個別の建築プロジェクトに適用できる。プロジェクトごとの耐火性能確認は不要。高層ビルなどさまざまな建築物に使用可能だ。
 まずは1棟にカーボンリサイクル・コンクリートのカーテンウオールを適用する予定。他の主要構造部材への適用拡大も視野に入れている。




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2025年9月25日木曜日

愛知大学/豊橋キャンパス新棟オープニングセレモニー開く/学術研究などの拠点に

 愛知大学は23日、創立80周年記念として整備した豊橋キャンパス新棟「Center Bldg.(センタービル)」のオープニングセレモニーを愛知県豊橋市の同キャンパス内で開いた。多くの関係者が出席し学術研究や地域連携の拠点となる新たなアカデミック棟の完成を祝った。設計・監理は日建設計、施工は鴻池組が担当した。
 冒頭、広瀬裕樹理事長は「新校舎は豊橋キャンパスの長い歴史を未来につなげるシンボリックでモダンなデザインとした。大事なのは学びの豊かさであり、学生が充実した生活を送れるよう細部までこだわった」とあいさつ。来賓の江口幸雄副知事は「地域の将来を担う人材育成は急務。愛知大学の果たす役割はますます重要になっている」、長坂尚登豊橋市長も「地方都市で活躍する人材の育成は重要。パートナーとしてさらに連携を強化していく」と述べた。
 建設報告で日建設計の塩田哲也設計監理部門設計グループ部長がセンタービルの特徴を説明。鴻池組名古屋支店の細川確所長は、品質向上に向けた提案や騒音・振動対策など「責任と使命感で取り組んだ。無事、完成を迎えることができたのは全ての関係者の協力のおかげ」と工事を振り返った。式典では、広瀬理事長から山本英樹日建設計執行役員名古屋オフィス代表と中山貴鴻池組執行役員名古屋支店長に感謝状が贈られた。関係者によるテープカットも行われた。
 愛知大学は1946年、豊橋市の旧陸軍士官学校旧陸軍第15師団跡地に創立した。施設の老朽化が進んでいたため22年から豊橋キャンパスの施設整備事業を進めている。センタービルの規模はS造4階建て延べ約1万1500平方メートル。1階は交流スペースや大・中教室、2階は情報メディア関連スペースなどワークフロア、3階は100万冊の蔵書をそろえる図書空間と学習エリア、4階のトップフロアは自然と調和したキャンパスを眺望する学習フロアとなっている。




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回転窓/高専生とジビエ

 山間部にある建設職人の育成校を訪れた高等専門学校の生徒たちに、地元の食材をふんだんに使った夕食がふるまわれた。クマやシカのジビエ料理、アユの塩焼き、「今年最後」と紹介された朝採れのトウモロコシ。食卓を彩った季節の恵みに舌鼓を打っていた▼ジビエは育成校の講師の知人を通じて手配され、地元で食堂に勤める方が調理を担当した。シカ肉の刺し身の味付け、クマ肉の部位ごとの焼き方などを丁寧に教えてくれた。「また来てね」との声に「また来ます」と応じた生徒の笑顔が、心に残った▼この取り組みは、注目を集める二地域居住に関連した「二拠点教育」の一環。初めて訪れた土地で建設技術を学びながら、自然と共にある暮らしや地域文化に触れることを目的としている▼生徒の希望に応える形で実現し、国土交通省や厚生労働省、建設業振興基金の支援と協力を得た。同行した教員は「これまで見えていた景色が変わっていく」と語り、感謝の気持ちを伝えた▼現地には他校の関係者も休暇を取り自費で視察に訪れていた。建設業の未来を見据え、若者の学びを支える輪が、静かに広がり始めている。




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土木学会/25年度選奨土木遺産/嵐山橋など19件選定

 土木学会(池内幸司会長)は24日、2025年度「土木学会選奨土木遺産」として19件を選定したと発表した。国内で初めて張り出し架設工法で建設された「嵐山橋」(神奈川県)や大口径放流管を備えた国内初の本格的な洪水調節ダム「大野ダム」(京都府)などを土木遺産に認定。00年度に創設した選奨土木遺産は累計550件になる。=2、11面に関連記事
 同日、土木学会選奨土木遺産委員会の小野田滋委員長(鉄道総合技術研究所)と三輪準二専務理事が会見した。小野田委員長は「前回の14件から19件に増えた。これまで戦前の土木構造物が選ばれていたが、戦後の昭和遺産的な構造物が選ばれていると実感している。もっと素晴らしい土木構造物があることを示し、国の重要文化財などに選ばれることも重要だ。明治以前の時代の土木構造物も検証が重要と思っている」と講評した。
 選奨土木遺産の対象は竣工から50年以上が経過した土木関連施設。社会や土木技術者へのアピール、まちづくりでの活用、失われかねないストックを救済・保護する観点で、毎年度20件程度を選定し青銅製の銘板を贈る。表彰式は各支部で土木の日(11月18日)などの行事に合わせて開く。




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大林組/建物CO2排出量予測システムを拡張/WLC予測可能に

 大林組は、建物の二酸化炭素(CO2)排出量を予測するシステムを機能拡張した。資材製造から施工段階までだった予測の対象範囲を広げ、新たに施工後の使用・運用や維持保全・更新、解体に至るホール・ライフ・カーボン(WLC)全体を網羅する。建物の仕様が未確定な計画初期段階からWLCの算出と削減対策効果のシミュレーションが可能になり、より早い段階から効果的な対策を検討しやすくした。
 24日に発表した。2023年12月に「カーボンデザイナー」として開発した建物CO2排出量予測システムの機能を拡張。予測範囲が施工段階までにとどまる従来の予測機能では資材の数量情報を入力する必要もあり、建物の仕様が未確定な計画初期段階では活用しにくかった。
 機能拡張版では、▽建物用途▽延べ床面積▽工事請負金額▽工期-の4項目の情報を入力すると、大林組の施工実績や算定ノウハウ、公的データに基づきWLCを即時予測できる。着工から解体まで時系列で予測することも可能にした。4項目以外の詳細情報の追加入力にも対応し、検討の進捗に応じて予測精度を高められるようにした。
 さらに低炭素資材や軽油代替燃料の採用などの削減対策メニューや割合・数量などを設定すると、WLCの削減効果を自動計算してグラフにする。基準建物との比較を自動計算する機能も強化。さまざまな対策メニューの組み合わせによる削減効果を即時に予測、把握できるようにした。
 同社は機能拡張したカーボンデザイナーを積極提案、建物の計画初期段階からWLCを削減しやすい環境構築に貢献していく。




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JR東日本ら/再エネ利用拡大に注力/高輪ゲートウェイシティーで実証

 JR東日本は、バイオガスや水素など再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みに力を入れている。バイオガス施設は東京都港区の「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティー)」の地下に配置。飲食店から出る食品廃棄物を基にガスを生成し、ホテルの給湯で使う熱の約10%をまかなう計画だ。実証結果を踏まえ、他の開発案件へのバイオガス施設導入も視野に入れている。
 JR東日本グループは2050年度に二酸化炭素(CO2)排出量「実質ゼロ」を環境長期目標として掲げている。高輪ゲートウェイシティーは将来の心豊かな暮らしのための実験場に位置付けている。環境負荷軽減のための実証実験も展開。さまざまなサービスで使用するエネルギー全体でCO2排出量実質ゼロを目指している。
 高輪ゲートウェイシティーは3月にまちびらきした。「THE LINKPILLAR1(ザ・リンクピラー1)」と同2、文化創造棟、レジデンス棟に分かれる。3月に開業したのはザ・リンクピラー1。残る施設は26年春のオープンを目指している。
 バイオガス施設はザ・リンクピラー1の地下2、3階に設置。商業施設「ニュウマン高輪」が9月12日にオープンしたのに合わせ、本格稼働した。飲食店などから出る食品残さを集めて発酵させ、ガスを生成。ガスを燃料にビル内の温水ボイラーを稼働し、今後開業するホテルに温水を供給する。
 ゲートウェイシティ全体が開業後は1日当たり約4トンの食品残さを処理する。食品廃棄物の約7割を減らせる見込みだ。
 高輪ゲートウェイ駅北側には純水素燃料電池システムを設置した。現在は外部の企業が太陽光発電を使って製造した水素を吸蔵合金カセットに充填(じゅうてん)。同駅まで運び、燃料電池システムに供給している次のステップとしてまちの中で水素を造り、サプライチェーン(供給網)も構築する。
 24日に都内で開いた見学会で、JR東日本は「ゼロカーボンへのチャレンジをグループの総力を挙げて推進し、サステナブルな社会の実現を目指したい」(天内義也マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットマネージャー)との方針を示した。




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2025年9月24日水曜日

回転窓/言葉の重みを胸に

 記者の仕事は、時に一本の細い道を歩くようだ。右にも左にも落とし穴があり、踏み外せばたちまち信頼を失う。だからこそ矜持(きょうじ)、すなわち誇りが問われる。「真実を伝える者は、火の中を歩む覚悟を持て」との古い言葉があるが、まさにその通りだ▼ある大企業の副社長に取材した時のこと。取材の途中で不意に「君と話していると楽しいよ」ともらされた。記事に直接関係のない一言だったが、不思議と胸に深く染み込んだ。鋭い質問も柔らかな相づちも、本音を引き出す一助になる。あの言葉は、取材の先にある出会いの大切さを教えてくれた▼記事は読者との橋であり、同時に取材相手との鏡でもある。老子は「善行は跡なさず」と説いたが、記事もまた、名を残さずとも人の心に、静かな波紋を広げる▼矜持とは、声高に掲げる旗ではなく、胸の奥で燃える小さな灯火のようだ。出会いを重ね、言葉を編むたびに、炎は揺れながらも消えずに続く▼リルケは「生きるとは問うこと」と書き残した。取材は問いを携えた旅。まだ見ぬ答えに向かって歩み出す。小さな一歩の中に、矜持はそっと息づいている。




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新社長/DNホールディングス・原田政彦氏、民間案件の受注体制強化

 2026年7月に次期中期経営計画がスタートする。好調な業績をさらに伸ばせるよう、民間受注に力を入れ公共発注量の減少に対応できる体制を整える。支社単位ではなく、技術分野単位でフレキシブルに案件を受注できる事業部制も取り入れる。新分野のM&A(企業合併・買収)やAIでのノウハウ伝承で技術力も高めていく。
 --経営環境をどう見る。
 「実行中の3カ年中期経営計画(24年6月期~26年6月期)の目標売上高を2年目で達成し業績は好調だが、受注高の8割を官公庁案件が占めているため、公共事業の減少に危機感を持っている。民間の受注体制強化に取り組んでいるが、効果が出るのに5~10年かかるだろう」
 --受注戦略を。
 「次期中期経営計画で民間受注をてこ入れする。高速道路会社などの橋梁の構造設計に注力する。事業会社の大日本ダイヤコンサルタントに統合されたダイヤコンサルタントは電力関連の地質調査を強みとしており、これを構造設計にも広げていく。再生可能エネルギー分野では、陸上風力発電の造成設計や、部材を運ぶ道路の設計の需要を取り込む」
 「自動車メーカーなどの工場の新設・更新事業にも参入している。先方の担当者にたどり着くのが難しかったり、専属の担当者がいなかったりなど道のりは険しいが、着実に取り組みたい」
 「フィリピンなどを中心に海外事業も推進する。橋梁の新設や維持管理の技術を必要とする発展途上国などは多い。息の長い取り組みになるが、現地法人の設立などを通して当社の技術を広め、貢献できればと思う」
 --社内体制をどう強化する。
 「次期中期経営計画が始まるのと同じタイミングで、現在の支社制を取りやめて技術分野ごとの事業部制を採用する。業務の受注や実施は支社単位で行っているが、それを全社で行うように切り替える。これまでは業務量が多い支社に人を多く配置する必要があったが、これからは配置換えをせず対応に当たれるようにする」
 --技術力向上も急務だ。
 「特定の技術分野でトップ位置にいれば、発注量が減る中でも存在感を示せる。トップ技術を持つ企業のM&Aも重要だ。常にアンテナを張って備えたい」
 「社内に蓄積されたノウハウの伝承などにAIを活用する。社長直下に約25人のメンバーで構成するDX戦略推進部を設け、そこで学識者をアドバイザーに招いてAIツール情報の収集や技術開発を行っている。今期はAIに関する勉強会を各支社で開き、知見を広めていく」。
 (9月26日就任予定)
 (はらだ・まさひこ)1985年金沢大学工学部土木工学科卒、大日本コンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。大日本ダイヤコンサルタントでは取締役兼専務執行役員などを経て23年から社長。DNHDでは21年執行役員経営企画本部長、24年取締役兼副社長執行役員。座右の銘は「なせば成る」。富山県出身、63歳。




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環境省/霞が関中央合同庁舎3号館(国土交通省)に除去土壌搬入

 環境省は20日、国土交通省のある東京・霞が関の中央合同庁舎3号館に、東日本大震災の原子力発電所事故の除染から出た除去土壌を搬入した。土壌の復興再生利用を促す取り組みの一環。3号館正面入り口にある2カ所の花壇に約6立方メートルを使う。同日朝に福島県内の中間貯蔵施設から七つの大袋に入れ、10トントラックで搬送し、作業員が花壇に投入した=写真。
 中央合同庁舎での施工は4施設目となる。計9施設で復興再生利用する計画で、同日で5施設への搬入を終えた。3号館での施工面積は約31平方メートル。花壇の底に15センチの高さまで入れ、その上を20センチ覆土してある。花壇には復興再生利用を行っていることが表示される。
 関係法令、ガイドラインに基づいて搬送・施工した。「風で飛散しないよう天候を見て作業する日を決めた」と環境省の担当者。「来庁者の目に留まりやすく、(復興再生利用についての)国民理解の醸成につながってほしい」という。
 中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)には約1400万立方メートルの除去土壌が保管されている。約4分の3を占める1キロ当たりの放射能濃度が8000ベクレル以下の土壌は公共事業などで再利用が可能とされており、環境省は復興再生利用の取り組みを引き続きアピールしていく。




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青森県/統合新病院基本設計WTOプロポ、佐藤総合計画・八洲JVが最優秀

 青森県は「統合新病院新築基本設計業務」のWTO対象公募型プロポーザルで最優秀提案者に佐藤総合計画・八洲建築設計事務所(青森市)JVを22日に選定した。次点は日建設計。プロポには4者が参加した。県立中央病院と青森市民病院を統合新築する新病院棟(9階建て程度延べ7万2600平方メートル、病床757床)の基本設計などを任せる。参考価格は3億7180万5500円(税込み)。月内にも契約する。履行期間は2026年9月30日まで。
 プロポは審査委員会(委員長・河合慎介京都府立大学大学院教授)で技術提案書やプレゼンテーションなどの2段階で審査した。
 県立中央病院と青森市民病院の機能・資源を集約した新病院を新設する構想で、県と青森市が共同経営する。高度急性期医療と地域医療を両立する中核医療拠点に位置付ける。
 履行場所は青森市浜田豊田ほか(敷地面積8万8500平方メートル)。基本設計の範囲は建築(総合)と同(構造)、電気・機械設備の標準業務。病院棟や緊急医療施設(2階建て程度1000平方メートル)、院内保育所(平屋600平方メートル)、来院者用立体駐車場(4階建て程度1万5600平方メートル、700台)、職員用立体駐車場(6階建て程度2万3400平方メートル、950台)、ヘリコプター格納庫(500平方メートル)が対象になる。必要になる開発設計や許可申請手続きなども業務に含む。
 新病院の工事費は648億~729億円(税込み)に上る。建設地にある県営スケート場は26年度の国民スポーツ大会後に解体するため、28年度から施設整備が可能になる。造成などを含めた工期は28~32年度。同10月の開院を見込む。
 「統合新病院新築基本設計コンストラクション・マネジメント(CM)業務」はプラスPMに委託している。




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大成建設/ダム現場で完全無人化施工、自動建機群を協調運転

 大成建設はダム建設現場で、建設機械3機種の協調運転による完全無人化施工を実現した。自動運転と遠隔操作による複数の自動運転建機を組み合わせる協調運転制御システム「T-iCraft」を導入し、狭隘(きょうあい)で複雑な経路での土砂運搬や非常に狭いエリアでの盛り土作業などを迅速、正確に実施した。今後はダムや造成などの現場に積極導入し、人手不足を補完しながら作業のさらなる生産性向上を目指す。
 同システムは建機メーカーに関係なく、自動運転または有人運転いずれも対応可能。最大32台まで複数機種の建機を協調制御できる。パナソニックアドバンストテクノロジー(大阪府門真市、前田崇雅社長)が保有するロボット自律制御・協調タスクプランニング技術を活用している。
 2020年12月~25年3月に栃木県鹿沼市で施工した「南摩ダム本体建設工事」(発注者・水資源開発機構思川開発建設所)に導入した。有人操作機とも連携しつつ、遠隔操作によるバックホウと自動運転のクローラーダンプ、ブルドーザーの3機種を用いて、作業エリア内の完全無人化施工を実現した。
 クローラーダンプの走行ルートは最少幅5メートル、高低差が20メートルあり、折り返し走行が必要な複雑な経路だったものの、周囲の障害物を検知して自動走行する機能で安全に運搬した。ブルドーザーによる土砂の敷き均(なら)しエリアは幅10メートルの狭い場所にありながら、クローラーダンプで運搬された土砂を計測し、最適な経路生成の機能を持つ自動運転ブルドーザーで敷き均しした。
 計画や施工、出来形管理、評価、フィードバックといった一連の施工サイクルも自動化した。複数の建機を用いた土砂の積み込みや運搬、敷き均しといった一連作業について、計画を入力するとシミュレーションによる評価も実施。施工がシミュレーション通りに完了しているかデジタルツインで確認し、出来形管理・評価した結果をフィードバックして次の作業に反映できるようにした。




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2025年9月22日月曜日

凜/建設技術研究所東京本社水システム部主任・大石夏帆さん

 ◇探求し分かりやすく伝える
 「探求するのが自分に向いている」。そんな思いが建設コンサルタントの道を選んだ理由だ。貯水池や河川の水質分析に取り組み、浄化や悪臭防止など地域の暮らしを守る施策を考えている。水の出入りや住民との関わりを調べ、限られた予算をどう生かすか発注者と調整を重ねる。地道な積み重ねでオーダーメードの対策を作り上げる姿勢に誠実さがにじむ。
 対外的な説明では、一つの言葉がどう響くかを気にかける。夏場にプランクトンが繁殖し、カビ臭の原因物質が検出されることがある。資料に「カビ臭」と記したところ、水域の管理者から「体に有害との誤解を与えかねない」と指摘され、「雨上がりの土の匂い」に言い換えた。柔らかい言葉に置き換える工夫は、相手への思いやりだろう。
 発注者との打ち合わせも限られた時間での勝負だ。専門用語は極力省き、要点は太字で強調する。短時間でも内容をつかんでもらえるように工夫する姿勢は、相手を気遣う誠意の表れでもある。
 入社して9年目。本人は「水質や水環境に特化した技術者になりたい」と将来を見据える。物質分析の専門資格・環境計量士の取得を目指す姿は、まっすぐで頼もしい。「データの見方を知れば気づきが広がる」と語る目は真剣そのもの。仕事への情熱を話す姿は、思わず応援したくなる魅力にあふれている。
 (おおいし・なつほ)




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建退共/制度検討会議で最終案報告/技能・経験に応じ支払い、現場ごとに掛け金設定も

 勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部)は19日、東京都内で第4回建退共制度検討会議を開き、最終取りまとめ案を報告した。建設労働者などの処遇改善のため、技能・経験に応じた退職金を建退共制度から受け取れるようにする。複数掛け金制度の導入と、制度の民間工事への普及、手続きの電子化の推進を見直しの3本柱に据える。退職金は最低でも1000万円を目指す。
 退職金引き上げを巡る建退共制度の検討が大詰めを迎えた。最終取りまとめは、国土交通省や厚生労働省など関係機関に提出されることになる。
 最終取りまとめ案では、建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者のレベル区分に応じ、段階的に金額を上乗せした掛け金日額の標準モデルを示した。事業主が選択することも可能にする。工事ごとや厳しい労働条件(災害や危険度)などを踏まえ、柔軟に掛け金日額を10円単位で設定できる仕組みも盛り込んだ。
 労務費とともに確保すべき「必要経費」となる建退共制度の掛け金は、元請と下請が掛け金相当額を見積書に明記することで発注者に示すことが必要となる。工事費の中で確実に確保される仕組みとして、CCUSと制度を連携させていく中で、現場管理の効率化、適正な履行確保、不正利用防止、災害時の紛失防止などの観点から電子ポイント方式を推進するとした。
 公共工事中心だった制度の利用を民間工事に広げる施策も盛り込んだ。掛け金を見積書に明記し、必要経費として発注者に理解を求めることにしている。建設Gメンによる検証も推進する。見積書に内訳明示されることで、掛け金が発注者・受注者間、元請・下請間で適切に確保されているかを確認できるようにもする。CCUSに登録のある技能労働者のうちの制度未加入者向けに、「CCUS建退共事務組合(仮称)」を設立し、元請・下請の協力の下で掛け金納付の手続きが進むようにする案も示した。建設技能人材機構(JAC)と連携した外国人労働者への勧奨強化など、普及の取り組みを幅広く進めることも検討していく。
 複数の掛け金を設ける場合、事務手続きが煩雑になることが懸念される。そこで電子ポイント方式を前提に制度とCCUSの完全連携を進め、掛け金の透明性を確保し、事務を効率化する。手続きの電子化は2030年度末をめどに、遅くとも35年度末までの移行を目指すとした。




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全中建/ブロック別意見交換会スタート/中部地区の現状報告、環境改善へ課題共有

 全国中小建設業協会(全中建、河崎茂会長)と国土交通省による2025年度ブロック別意見交換会がスタートした。18日に名古屋市中区のアイリス愛知で行われた中部地区を皮切りに全国6地区で実施。中部地区の関係団体からは中小建設業の厳しい現状が報告され、環境改善に向けた課題を共有するとともに、官民が協力・連携しながら持続可能な事業環境を創出していくことを確認した。
 中部地区の意見交換会には全中建の幹部のほか、国土交通本省、中部地方整備局、愛知県土木研究会、愛知県舗装技術研究会、愛知県建築技術研究会、静岡県中小建設業協会の関係者らが参加した=写真。
 冒頭、全中建の河崎会長は、若者から選ばれる建設産業を目指す上で「優良な中小建設業者が存続し、地域社会に貢献する力強い地場産業として、その役割を十分果たしていける基盤を築くことが重要だ」と訴えた。
 関係団体を代表し、愛知県土木研究会の大矢伸明会長は人手不足や資材高騰、酷暑などによって経営環境が一段と厳しさを増していると説明。災害発生時に第一線で活躍する地元の中小建設業者の存続が危ぶまれていることを踏まえ、「業界の頑張りだけでは力が足りず、(官民が)両輪で良好なパートナーシップを築けるよう努めたい」と参加者らに呼び掛けた。
 続いて、国交省の不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の酒井大斗課長補佐が建設業行政の動向や課題などを説明後、各団体からさまざまな意見・要望が示された。
 主な要望事項は▽週休2日制による労働日数減少分の日給アップ(1・2倍)▽下請企業の賃金形態を月給制にする施策の検討▽最低制限価格、低入札調査基準価格を予定価格の95%以上に引き上げ▽週休2日制の推進に向けた市町村、民間発注者への指導・働き掛け▽週休2日が困難な現場での経費補正や休日単価計上▽スライド条項の弾力的な運用が進むよう県への指導・働き掛け▽提出資料の簡素化とデータでの提出▽高温日の発注者からの休工指示など熱中症対策の拡充▽総合評価での自由設定項目の適正運用▽繰越明許費の明示による適正工期の確保▽公共建築工事での余裕期間制度の促進とフレックス方式の制度改善▽常時1年分の発注見通しの公表▽受注予定者に対する見積期間の延長-など。
 自由討議では「大手と中小企業での制度のすみ分け」「建設業のイメージアップにつながる地域貢献活動を促進するインセンティブの明示」「週休2日制の推進で制約を受ける現場見学会の平日開催支援」などについて意見を交わした。




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インフロニアHD/三井住友建設へのTOB成立/事業全般をワンストップで

 インフロニア・ホールディングス(HD)の三井住友建設に対する株式公開買い付け(TOB)が18日に成立した。インフロニアHDの岐部一誠社長は「エンジニアリング力をより強固にし、さまざまなインフラで(設計から施工管理、運営など事業全般を)ワンストップで手掛ける唯一無二の企業集団に近づける」とコメントした。近く連結後の影響を織り込んだ2026年3月期通期業績予想と中期経営計画(28年3月期)を公表する。
 TOBは8月6日から今月18日まで実施し、1億2646万4423株の応募があった。買い付け予定の下限は1億0458万9800株。取得価格は758・7億円(1株当たり600円)。TOBが成立したため、残る株式はスクイーズアウトで取得する。三井住友建設はTOBの決済を開始する26日付でインフロニアHDの連結子会社になる。スクイーズアウトの実施後、三井住友建設は所定の手続きを経て上場を廃止する。
 岐部社長は「これからが本当のスタートで、経営統合に向け身が引き締まる思い」とした上で、インフロニアHDが近く更新する中期経営計画で「高い目標を設定する」方針を明らかにした。さらに「目標達成にはHD、グループ各社の不断の改革が必要になる」ため、「グループ全体で組織運営をより効率化する」考えだ。
 三井住友建設はプレストレストコンクリート(PC)橋梁や、独自の工期短縮技術を使った超高層マンションなどで業界トップクラスの技術力がある。海外事業の実績も豊富だ。両社は経営統合を機に、請負・脱請負の幅広い領域でエンジニアリング力を生かし、シナジー(相乗効果)の具体化を目指す。
 合意事項では、前田建設と三井住友建設の両方が強みを発揮できる分野の工事は、リソースなどを1社だけで入札するか、JVを組んで対応するかを決めていく。前田建設と三井住友建設の合併など、事業会社の再編は当面実施しない方針だ。




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