2025年4月25日金曜日

回転窓/幾多の困難乗り越え再建

 つつじの名所で知られる根津神社(東京都文京区)で「文京つつじまつり」が30日まで開かれている。今は早咲きの花が終わり遅咲きの花が見頃。まつりの期期中に根津権現太鼓や奉納演芸など多彩な催し物も行われる▼境内では現在、築130年以上たつ木造建築の移築工事が進む。森鴎外が小説「舞姫」などを執筆した旧邸であり、2020年閉館した台東区の旅館「水月ホテル鴎外荘」に保存されていた▼くぎを使わない組み込み式で柱には節のない木をぜいたくに使い、大黒柱のような太い柱を用いず全体で支えるという構法で頑丈な造り。宮大工のこだわりが詰まった明治期の貴重な建築物だ。これが江戸期の建造物を残す根津神社に移築されることになった▼ただ困難も多く、その一つが現行法規への適用。旧邸は文化財指定されていないため、当時の面影を残しつつ、構造や耐火など各種基準を満たして移築しなければならない。価格高騰にも直面するが3度のクラウドファンディングで乗り切った▼22年秋に始動した移築プロジェクトが6月に終わる。邸宅、旅館を経て再生された名建築を見るのが楽しみでならない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=173385
via 日刊建設工業新聞

0 comments :

コメントを投稿