2025年7月31日木曜日

建設業の未来-日建連「新長期ビジョン2・0」・1/スマート技術で未来を開く

 建設業に関わる幅広い関係者が共有でき、建設業全体を俯瞰(ふかん)した中長期的な方向性とは--。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が2050年を見据え、今後10年間で建設業の取り組むべき課題や具体的な方策を示した「建設業の長期ビジョン2・0」を策定。経済や暮らしを支える社会資本の整備・維持管理・更新の重要性が増す中、宮本会長はAIやデジタル技術などを駆使し「明るい未来に貢献していく」と話す。若手や外国人から選ばれる魅力的な産業を目指す施策を打ち出した。

住友不ら7者/断熱化リフォーム普及促進へタスクフォース、建材メーカーらも参加

 住友不動産など7者は30日、断熱化リフォームの普及促進を目指すタスクフォースを立ち上げた。同社のほかYKKAPやLIXILといった建材・設備メーカー、業界団体などが参加。消費者向けの情報発信や営業力の強化、技術力の強化をともに推し進める。今後は8月にホームページ(HP)を立ち上げ、10月以降にイベントなどを通じた情報発信を始める予定。業界内での理解醸成を通じ、タスクフォースのメンバーも増やしていきたい考えだ。

宮城県/県民会館・NPOプラザ複合施設、鹿島JVらで起工・28年度開館へ

 宮城県は、仙台市宮城野区の仙台医療センター跡地で計画する「県民会館・NPOプラザ複合施設新築工事」の起工式を30日に現地で開いた。青葉区にある「東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)」と宮城野区の「みやぎNPOプラザ」を移転集約。東北を代表する文化・芸術の拠点になる複合施設を建設する。設計・工事監理は石本建築事務所、鹿島・橋本店・阿部和工務店JVが新築工事を施工する。工期は2028年11月30日まで。
 工事場所はJR仙石線・宮城野原駅に近接する宮城野2の301の1の一部(敷地面積5万2811平方メートル)。メインの複合施設棟(免震)はSRC一部RC、S造地下1階地上4階建て延べ3万1996平方メートルの規模で、各種演目に対応できる2150席を備えた大ホール、多様な表現芸術に活用できるスタジオシアター、小規模な講演に適したスタジオ、展示ギャラリーなどを備える。

安藤ハザマ/月面放射線防護装置32年に提供めざす、試作品製作やコア技術開発へ

 安藤ハザマは30日、月に建設する月面放射線防護装置「宇宙シェルター」と月地下空間構造物「ルナ・ジオフロント」の研究開発戦略を発表した。医療施設やトンネルなどの設計・施工で培った技術やプロジェクトマネジメントのノウハウを応用し、月面に届く大量の放射線を遮蔽(しゃへい)して人が安全に過ごせる空間を構築する。1~2年以内に試作品や施工技術を開発し、2030年ごろまでに本格実証へ移行。32年に宇宙シェルターの提供、45年にルナ・ジオフロントの利用開始を目指す。

2025年7月30日水曜日

回転窓/ロボット審判の行方

 米大リーグでストライク、ボールの判定をAIと複数のカメラを使って行う「ロボット審判」のシステムが初めて導入された▼15日にアトランタで開催されたオールスター戦で、1回裏に球審が低めのボールと判定した場面。投手と捕手が球審に異議を申し立てる「チャレンジ」を行った結果、機械判定で見逃し三振に覆った▼実際にロボットが立っているわけではない。センターと1、3塁に設置されたカメラによる「自動ボール判定システム」(ABS)が投球の軌道を計測して判定。結果は信号でイヤホンを装着した球審と3塁塁審に伝えられ、それを球審がコールする▼試合の公平性や判定の一貫性を高める一方、スポーツの醍醐味である「人間味」を損なう可能性も否定できない。ゾーンぎりぎりの投球を捕球動作などでストライクと判定させるキャッチャーのフレーミング技術や、審判によって異なる判定の傾向を読む駆け引きが無くなっては面白さに欠ける▼AIやロボットの活用は多くの産業、日常生活に広がり進化が止まらない。それらが人間の感情を推定し行動できる能力を持つ日も近いのだろうか…。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176182
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国交省・宿本尚吾住宅局長/省エネから脱炭素へ、ストック社会の市場環境整備注力

 1日に就任した国土交通省の宿本尚吾住宅局長が日刊建設工業新聞などの取材に応じた=写真。改正建築物省エネ法・建築基準法を4月に全面施行し、小規模住宅も含めて省エネ基準への適合が義務化された。建築物のライフ・サイクル・アセスメント(LCA)の実施を促す制度の検討が本格化する中、「建築物を“使う”ところに限らず“つくる”ところでも対応が求められる。“省エネ”から“脱炭素”へウイングを広げていく」と話し、関係省庁を交えた議論を推進する。

四国整備局/安芸道路安芸トンネル工事WTO入札公告、12月24日開札

 四国地方整備局は30日、「令和7-11年度安芸道路安芸トンネル工事」の一般競争入札(WTO対象)を公告する。通常技術提案に加え、軽微な設計図書の変更を許容した技術向上提案を求める総合評価方式の「技術提案評価型SI(エスイチ)型」を試行する。技術向上提案のテーマは「鋼製支保工作業における自動施工技術等を活用した省人化施工」とし、1次審査の評価項目としている。

大林組/MR施工管理システム刷新し協力会社も利用可能に、仕上げ検査25%省力化

 大林組は、MR(複合現実)技術を利用して施工確認や検査を行う品質管理システム「holonica(ホロニカ)」をアップデートした。協力会社向けの閲覧・利用機能を新たに実装。情報を円滑に共有し、仕上げ検査時の指摘事項の入力から是正完了確認までをデジタル空間上で完了できる。従来の検査手法と比べ、約25%の省力化に成功した。

2025年7月29日火曜日

回転窓/我が成すことは我のみぞ知る

 日々の職場や暮らしの中で「また不満ばかり言っているな」と感じる場面に出くわすことは少なくない。誰しも、つい愚痴をこぼしてしまう。だが不平不満を口にするだけでは、何も動かず、何も変わらない▼〈言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから〉。貧困や病と向き合う人々のために生涯をささげたマザー・テレサの言葉だ。口にする言葉が思考を形づくり、行動を導く。だからこそ、どんな言葉を発し、どう生きるかが問われる▼まず大切なのは「己を知る」こと。自分の強みや弱みを冷静に受け止めれば、できること、やるべきことが見えてくる▼次に「周囲を見る」。他人の立場や背景に目を向ければ、単なる批判ではなく、共感と提案のある会話が生まれる。そして「目標とそこに至る道筋を描く」。現実的なゴールと歩みを思い描くことで、建設的な思考が芽生える▼最後は「行動する」こと。〈世の人は我を何とも言わば言え、我が成すことは我のみぞ知る〉(坂本龍馬)。不満を口にする前に、自分が何を変えられるかを考え、動く。その積み重ねが周囲を、社会を、そして自分を変える力になる。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176136
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参院選当選の見坂茂範氏/仕事量確保と賃金アップへ、インフラ整備に防衛予算活用も

 20日投開票の参院選で、自民党から建設産業の職域代表として立候補し初当選を果たした見坂茂範氏が日刊建設工業新聞などの取材に応じた。選挙戦で訴えてきた「(建設業の)仕事量の確保と賃金アップの二つが最大のミッション」と改めて表明。2025年度補正予算の編成にも言及し、「国土強靱化実施中期計画の1年目として極めて重要。しっかりと予算を確保し、仕事量確保につなげたい」と述べた。「防衛関連予算をインフラ整備に活用すべき」との考えも示し、国政の場で訴えていく方針だ。

日建連/長期ビジョン、若者が描く「建設業の未来予想図」

 □意見募集に1543件、AIが統合し画像生成□
 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、新たな「建設業の長期ビジョン」の作成に当たり、2050年に日本経済を担う若者(24年4月1日時点で10~35歳)から、建設業の未来の姿を広く募った。全国から集まった1543件の作品をAIを駆使して統合。現代の若者が描く夢や希望の集合体として「建設業の未来予想図」を描いた。

大阪府河内長野市/旧保健センターなど跡地、25年秋までに活用方針提示

 大阪府河内長野市が南海電気鉄道・近畿日本鉄道河内長野駅の東側にある旧市立保健センター跡地(菊水町2)などの利活用を巡り、事業者の公募時期や手法の再検討に入っていることが分かった。2025年度内のプロポーザル方式による民間事業者の募集・選定を視野に入れていたが、実施方式や公募内容を含めて見直す必要があると判断。秋ごろまでに新たな活用方針を示す。

大成建設/プラ仮設資材を環境配慮型に、植物由来の単管キャップ本格導入

 大成建設は、建設現場に用いるプラスチック仮設資材を環境配慮型に刷新する。鉄筋や足場などに使う単管パイプの先端に取り付けて擦り傷事故を防ぐための保護キャップを、植物由来の生分解性バイオマスプラスチックで製品化。6月から東京都内で施工する現場11カ所に本格導入した。今後も現場の用途に応じて生分解性バイオマスプラスチック製品の適用範囲や種類を順次拡大する。従来使用してきた石油由来プラスチック製品の使用量と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を両立させる。

2025年7月28日月曜日

回転窓/火山と共に

 世界最古の地震計は中国で作られた。その名称は「候風地動儀」。西暦132年、後漢時代に詩人で自然科学者の張衡が発明した▼銅製で形状は酒樽と似ていて、外側の八方に竜が付いている。内部に特殊な仕掛けがあり、地震を感知すると揺れが伝わってきた方角と同じ竜の口から玉が落ち、下のカエルの口に入る▼この復元模型が福島県北塩原村の磐梯山噴火記念館にある。1888年7月に磐梯山は大規模な噴火を起こし、約480人が犠牲になった。記念館には当時の記録写真など多くの関連資料が展示されている▼福島県では1900年7月にも安達太良山が噴火し大きな被害をもたらした。そうした災害史を踏まえ、火山の防災と魅力を広めようと8月23日に二本松市内で「令和7年度福島県火山防災シンポジウム-安達太良山噴火125年と火山ガス災害-」が開かれる▼元号「令和」は万葉集の一節から引用した言葉だが、張衡の句「於是仲春令月、時和気清」に着想を得ているとの説も。令和の英訳は「Beautiful Harmony」。美しく調和が取れた日本であるためにも災害への備えは怠れない。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176080
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凜/内閣府政策統括官(防災担当)付・阪井瑞季さん、何気ない日常を守りたい

 「人の命を守る仕事をしたい」と国土交通省に入省した。3年目の今年、内閣府に防災担当として出向。国の防災の中枢とも言える部署での仕事に「周りの小さい幸せ、何げない日常を守ることに貢献できていると思うと、やる気が出る」と張り切る。

日建連会員の現場閉所、24年度は4週で平均7・12日/土木・建築ともに着実に推進

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、週休2日を巡る会員企業の2024年度の取り組みに関する報告書をまとめた。4週間の平均閉所は前年度と比べ0・25ポイント上昇し、7・12日。土木、建築とも閉所日が増えた。建築は過去最高の上昇幅で0・35ポイント増の6・81日。建築の閉所状況も4週8閉所以上の割合が50%を超えた。
 24年4月から1年間の週休2日実施率を調査。会員140社のうち96社、1万5238現場(土木7305、建築7933)、従業員5万7805人(土木2万8115、建築2万9690)の結果をまとめた。
 24年度の平均作業閉所日は4週7・12閉所(前年度6・87閉所)となった。調査を始めた19年度から0・9ポイント上昇。土木・建築別で見ると、土木は7・46日(前年度7・32日)、建築は6・81日(6・46日)と閉所が進んでいる。時間外労働の上限規制や働き方改革、日建連が定めた「適正工期確保宣言」などの取り組みが奏功した。
 作業所の閉所割合は全体が▽4週8閉所以上=61・0%(52・0%)▽4週7閉所=13・3%(13・8%)▽4週6閉所=10・3%(13・5%)▽4週5閉所=7・4%(10・3%)▽4週5閉所未満=7・9%(10・4%)。4週8閉所以上は土木が72・8%(66・1%)、建築が50・2%(39・1%)だった。
 作業所勤務社員の休日取得は、4週8休以上が全体で89・4%(84・9%)。土木が91・7%(88・4%)、建築が87・2%(81・5%)となり、4週8休の休日取得が浸透している。
 適正工期確保宣言が契約に反映された工事で24年度通期竣工工事の4週8閉所実現状況を見ると、対象となった771事業所のうち、75%に当たる578事業所が4週8閉所を実現していた。実現できなかった25%の事業所では「(台風などの)不可抗力による工期遅延や発注者都合による設計変更が発生したが十分な工期延長を認められなかった」「資機材や労務の調達が困難になり工期遅延が発生したため」などが理由に挙がった。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176094
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東京都/日比谷公会堂に免震装置導入、デザインと機能は維持

 東京都は千代田区の日比谷公園内にある日比谷公会堂の改修と大音楽堂の再整備内容を明らかにした。日比谷公会堂は耐震性を高めるため、建物下部に免震装置を設置。建物のデザインと機能は維持しつつ、地震の揺れが建物に直接伝わらない仕様にする。大音楽堂はスロープを付けるなどバリアフリー化を推進する。2階観覧席を新設し、誰もがステージを見やすい空間を構築する。
 都は25~27日に両施設の整備内容に関するオープンハウスを開いた。
 1929年に竣工した日比谷公会堂は老朽化が進み、耐震性能の不足などから2016年から休館している。耐震化に向けては免震装置設置のほか、柱や壁、梁の耐震補強も行う。ホール天井も改修し、揺れによる落下を防ぐ。
 利用者が全ての階を移動できるエレベーターも設置する。通路はバリアフリー化し、客席までの段差をなくす。客席はゆとりを持たせるとともに最適な視界を確保できる構造にする。ホールやホワイエなど主要空間は建設当時の設計趣旨を尊重して復元する。リハーサル室を新設するとともに楽屋も増設し、出演者の利便性も向上する。
 大音楽堂は1923年に完成後、54年と83年に改築した。最後の改築から40年以上が経過する中で老朽化が進んでいた。
 観客席の入り口にはスロープとエレベーターを配置し、誰もが入場しやすい空間に仕上げる。資機材搬出入用の大型車2台が駐車できるバックヤードも新設する。楽屋も現在の2室から最大7室利用できる構造に改める。
 新たなステージは向きを公園の中心方向(東方向)にすることで公園外に漏れる騒音を低減する。騒音対策ではこのほか、大音楽堂の外周部に2階レベルの防音壁を設置する。壁の間には透明のスリットを入れ、圧迫感を減らす。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176081
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竹中工務店/次世代バイオディーゼル燃料を導入、現場重機のCO2排出量削減

 竹中工務店は、建設現場で用いる重機や機械の二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。グループの朝日興産(大阪市中央区、宮本靖雄社長)が供給する次世代バイオディーゼル燃料の導入を開始。植物油や廃食用油などの再生可能な生物資源から製造される持続可能な代替燃料として、重機・機械使用時のCO2排出量を大幅削減する環境配慮型燃料としての効果に着目した。エンジンを改造せずに活用できるメリットもある。東京都内の建設現場で先行導入した。
 軽油に代わる次世代バイオディーゼル燃料の実証実験を2023年4月に開始。大阪・関西万博の施設関連工事などの現場で使用した▽クローラクレーン▽ラフテレーンクレーン▽トラック▽フォークリフト▽発電機▽杭打機-などの重機や機械を対象に検証。エンジンや周辺機器、操作性への影響がないことが確認した。
 竹中工務店によると、次世代バイオディーゼル燃料の代表例として、水素化処理植物油(HVO)のリニューアブル・ディーゼル燃料がある。今後は朝日興産からの安定供給体制を構築し、全国の現場に順次導入していく。
 竹中工務店の工事で排出されるCO2のうち、スコープ1(自社による温室効果ガスの直接排出)が約75%、スコープ2(他社から供給された電気や蒸気の使用に伴う間接排出)が約25%を占める。グループ全体で30年までにスコープ1のCO2排出量を19年比32%削減する目標を設定している。軽油から次世代バイオディーゼル燃料に切り替えることで、32%の削減目標のうち約20%分の削減効果を見込む。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176088
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2025年7月25日金曜日

建築へ/まちづくりに書店が果たせる役割とは、福島県浪江町で開業した佐藤成美さん

 まちの書店が近年急速に減っている。2014年に約1.4万店だった総店舗数は、24年に約1万店へと減った。背景にはスマートフォンの普及などに伴い、人々が紙の本に触れる機会が減っている状況がある。こうした中、4月に福島第1原子力発電所事故の影響を受けて一度無人になった福島県浪江町で、新たに書店を開業した女性がいる。復興が進むまちで、積極的にまちづくりに関わるような新たな形の書店を目指し、模索を続けている。
 佐藤成美さんは福島県田村市の出身。幼い頃から本が好きで、「時間があれば図書館や書店に行くような子どもだった」という。高校卒業後は山梨県内の大学に進学。古書店の面白さにはまり、時間を見つけては電車で神保町(東京都千代田区)の古書店街に通う日々を送った。
 佐藤さんにとって書店は「目的がなくてもふらっと入れて、新しい世界に出会える大好きな場所」。関心に合う本に出会えた時のわくわくした気持ちや、読んで今まで知らなかった世界に入り込む感覚は何物にも代え難いという。
 大学では福島県という地元を、一度外から見る機会にも恵まれた。講義でエネルギー政策が扱われれば、必ず地元の話が出た。周りの人からは「震災の時、大丈夫だった?」とよく聞かれた。
 震災や原発事故は県内でも大きな問題だったが「外に出るまでは、触れられない話題のような気がして距離を置いてしまっていた」と振り返る。大学卒業後は古里が抱える課題に正面から向き合いたいと考え、浪江町が募集していた地域おこし協力隊に応募した。
 22年の着任後は、修学旅行や企業研修を案内する仕事に備え、まちの人に話を聞くなどして歴史を調べた。印象に残っているのはJR常磐線浪江駅の駅前にあった、商店街のエピソード。震災前には多くの人でにぎわったが、原発事故で無人になった。
 現在は駅前に交流施設や商業施設などを造る「浪江駅周辺整備事業」が進展。準備として商店街の建物はほとんどが取り壊され、往時の面影はしのべない。きれいな建物が立つ未来に期待も高まったが「私はまちに、本屋があってほしかった」と一抹のさびしさも覚えた。
 いつかはこのまちで本屋をやりたい--。思いをたびたび周囲に打ち明ける中で、「うちのスペースを使わないか」と声をかけてくれたのが建築設計事務所「Fimstudio」の渡部昌治さんだった。福島県本宮市で使われた応急仮設住宅を浪江町に移築し、セルフビルドで事務所へ改装したが、スペースに余裕があり活用法を探していた。
 佐藤さんは一念発起し、町に企画書を提出。協力隊活動の一環として事務所の一画を借り、書店を開くことを認めてもらった。協力隊の任期が満了した今年4月、正式に書店「コウド舎」として開業した。
 店内の書架には地域にまつわる本や歴史の本、小説などさまざまな本が所狭しと並ぶ。テーブルと椅子もあり、営業時間中はコーヒーなどの飲み物を提供。人々が気軽に立ち寄れる憩いの場になっている。大きなキッチンやDJ機材、3Dプリンターなど、普通の書店では見られない物もある。どんな趣味趣向を持つ人が訪れても、何かしら琴線に触れる物に出会える。
 佐藤さんによると「まちの人たちがシェアキッチンや演奏会、サークル活動といった『やりたいこと』を次々に持ち込んできた結果、いろいろな物が集まってきた」という。多様な要素が自然と混ざり合い、多くの人にとって居心地のいい空間になった店内。佐藤さんは「まちというのは、こうやって出来上がっていくのかもしれない」と感じている。
 浪江駅の駅前広場には地元の人たちが定期的に集まり、コンサートを開催している。更地になったまちにも、人々の活動が息づいている。今後は店で来客を迎えるだけでなく「コンサートなどイベント会場の一画にブースを出して、まちの人が紙の本に触れるきっかけを積極的に作っていきたい」という佐藤さん。多くの課題を抱える地域で、書店が果たせる役割とは--。模索は続く。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176038
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新社長/東鉄工業・伊勢勝巳氏、技術力磨き大型工事受注

 鉄道インフラメンテナンスの先進企業として培ってきた技術力をさらに磨き、JR東日本の大型プロジェクトや公営・民鉄の旺盛な需要を取り込む。協力会社と一体となった担い手の確保や育成にも注力。手厚い処遇やきめ細かな経営助言などを展開し、施工体制の確保に万全を期す。
 --経営環境の見通しは。
 「2025年3月期は連結で過去最高の売上高を更新し、各利益とも最高益を達成した。中長期的にJR東日本の大型プロジェクトや公営・民鉄でも維持更新などの需要が期待され、26年3月期も増収増益を見込んでいる。5カ年中期経営計画『アクションプラン2029』最終年度の29年3月期連結目標も上方修正し、売上高を1700億円以上から1900億円以上、自己資本利益率(ROE)を8%以上から10%以上に引き上げた。労務費の上昇や資材の高騰など不確定要素は多いものの、高い目標に挑戦する」
 --注力する取り組みは。
 「JR東日本の大型プロジェクトでは、首都圏を中心に当社の技術力が生かせる高架橋や駅ホームなどの耐震補強、ホームドアの整備に力を注ぐ。31年度からは新幹線の橋梁やトンネルといった土木構造物を大規模改修するプロジェクトが本格的に始まる。グループ会社と共に工法や材料などの技術開発や施工環境の整備に取り組み、工事を効率よく進められるようにする。技術開発では自動化施工も課題の一つになる」
 --公営・民鉄の戦略は。
 「線路メンテナンスの需要をさらに取り込んでいきたい。関東の民鉄では25年3月期の受注が80億円(24年3月期34億円)と大幅に増加し、26年3月期も増えるだろう。当社の特殊技術を生かすことで特命のような随意契約による受注も可能になるため、この分野を伸ばしていく方針だ。高架下リニューアルや駅付近でのホテル建設などの動向も注視している」
 --担い手の確保育成は。
 「持続的成長を実現するためには協力会社との共存共栄が不可欠だ。保線の協力会社に対し3年連続で作業員単価を引き上げ、昨冬に一時金を支給したことなどが離職率の大幅な低下につながっている。当社社員が後継者問題や金融機関とのやりとりなど経営面のさまざまな助言も行っており、6月にはこれらの業務を所管する『グループガバナンス部』を新設した」
 「施工技術や安全レベルの向上でも協力会社と連携する。技術開発成果の共有を目的にJR東日本のパートナー会社と毎年開催している『機械作業技術交流会』を全国の線路メンテナンス会社に広げ、今年はさらに規模を拡大する予定だ。軌道業界全体の技術革新をけん引していく」。
 (6月26日就任)
 (いせ・かつみ)1988年東京大学工学部土木工学科卒、JR東日本入社。常務執行役員総合企画本部復興企画部担当兼鉄道事業本部設備部担当、代表取締役副社長兼技術イノベーション推進本部長などを経て2025年6月現職。「活発に会話をしないとイノベーションは起こらない」という姿勢で成長に導く。石川県出身、60歳。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176033
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全建/社会貢献活動推進月間中央行事開く、優れた取り組み65事例を表彰

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は24日、東京都千代田区の経団連会館で2025年度「建設業社会貢献活動推進月間中央行事」を開いた=写真。各都道府県協会・会員企業による優れた社会貢献活動や広報活動を顕彰。今回受賞した計65事例の協会・支部、会員企業の関係者らに、今井会長が表彰状を手渡した。=2面に受賞者の一覧
 冒頭、今井会長は「地域建設業は兼ねてより、地域の守り手として自然災害の復旧対応や、鳥インフルエンザ、豚熱などの防疫対応も含め、さまざまな形で社会貢献活動を実施してきた。若い世代の人たちはSDGs(持続可能な開発目標)や環境、社会貢献などへの関心が高い人が多い。本日のような活動のさらなる発信が必要だと考えている」とあいさつした。
 来賓として出席した国土交通省の楠田幹人不動産・建設経済局長は「建設業に携わる皆さまが常に地域を思い、地域の守り手として強い使命感の下、その役割を日々果たされていることは多くの国民の皆さまに着実に伝わってきている。今回表彰した取り組みはいずれも地域に寄り添い、建設業のイメージアップにも大きく寄与する大変意義の大きいものだ。今回の表彰を契機に皆さまの活動がさらに充実、発展することを大いに期待する」と述べた。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176050
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三重県四日市市/大学基本計画案、看護医療大移転なら工事費最大380億円

 三重県四日市市の四日市市大学基本計画策定委員会の谷口研二委員長(大阪大学名誉教授)は23日、JR四日市駅西側(本町2ほか)に設置する大学の基本計画案を森智広市長に手渡した。駅前への移転を検討している四日市看護医療大学を合わせて整備する場合の工事費は約350億~380億円、含めない場合は248億~268億円を想定する。市は計画案を踏まえ四日市看護医療大学との協議を進め、早期に結論を出す。基本設計を委託するための費用を補正予算で計上し、本年度中に選定手続きを開始する予定。順調に進めば2027年度に着工、31年度の開学を目指す。
 JR四日市駅に接続し、市民、学生、企業をつなぐ、まちに開かれたキャンパスを目指す。市が中心となって設置する公立大学の規模は延べ約2万4100平方メートル。協議中の四日市看護医療大学の規模は延べ約1万0400平方メートルを想定する。商業事業者や鉄道事業者と連携して商業機能(延べ約1万2000平方メートル)や駅前広場(約5400平方メートル)、駅舎、自由通路、駐車場(延べ約1万4800平方メートル)、駐輪場(延べ約900平方メートル)も整備する。
 事業手法は基本設計を進める中で決める。実施設計と施工を一括発注するDB、DBO(設計・建設・運営)またはPFIのBTO(建設・移管・運営)方式を候補としている。
 四日市看護医療大学が入る場合は、基本設計約3億6000万円、実施設計約9億7000万円、入らない場合は基本設計約2億8000万円、実施設計7億5000万円を見込む。
 工事費は、公立大学が230億~250億円、四日市看護医療大学が100億~110億円、駐車場が13億円、駅前広場が5億円と算出。商業機能の整備費は105億~115億円を想定し、商業事業者が負担する。自由通路などの費用は鉄道事業者が検討中。
 公立大学の収容定員は800人。学部、学科は素材や半導体、情報などの分野を設定した。国立三重大学が入る場合も全体で800人となるよう定員を配分する。四日市看護医療大学の収容定員は600人としている。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176044
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戸田建設/AI活用し爆薬装填ホース自動挿入装置を開発、トンネル発破の安全性向上

 戸田建設は山岳トンネル工事の発破作業の効率化に向け、爆薬装填ホースの自動挿入装置を開発した。AI画像処理技術などで装薬孔の位置を正確に検出し、AIロボットアームでホースを自動で挿入する。爆薬の装填作業を遠隔化・自動化することで、崩落の危険性がある切羽での作業を減らし、安全性を高める。
 対象物をスキャンして距離情報を取得する「ラインスキャナ」とAI画像処理技術を搭載した「AIロボットアーム」、ホースを押し込む「送り装置」で構成する。UP設計コンサルタント(大阪市港区、道上敦之代表取締役)、HCI(大阪府泉大津市、奥山浩司社長)、虎乃門建設機械(東京都渋谷区、櫻井弘毅代表取締役)の3社と協力して開発した。
 ラインスキャナをAIロボットアームで横方向に移動させながら壁をスキャンし、平面的に距離情報を取得する。遠方部分を暗く表示して装薬孔内部を際立たせ、坑内の照度や色調などの環境条件の影響を受けずに、装薬孔の位置を正確に特定できる。
 AIロボットアームにはAI画像処理機能に加え、力覚センサーと連携するロボットコントローラーを搭載した。装薬孔付近の画像をAI画像処理し、孔の中心位置を検出。アームが自動で爆薬装填ホースを運び、挿入作業を行う。
 ホースの挿入時には、アーム先端の力覚センサーがホースと壁の接触を感知し、自動的に位置を微調整する。送り装置は、装薬孔に挿入後のホースを上下2組のローラーで挟み込み、回転しながら奥まで押し込めるようにした。
 HCIの工場で検証実験を実施し、装薬孔の検出から爆薬装填ホースの挿入、押し込みまでの一連の工程を自動で実施できることを確認した。精度と作業速度を高め、現場実装を進める。




from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=176047
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2025年7月24日木曜日

回転窓/米どころの選挙

 房総半島の南部を東西に横断するのに便利な長狭街道は千葉県の太平洋側の鴨川市と東京湾側の鋸南町を結ぶ。長くて狭い平野を通る約30キロの道路は途中に適度な上りや下りがあり、自転車やバイクの愛好家もよく走っていると聞く▼

東京都・小池百合子知事に聞く/調節池の整備を加速、頻発化する豪雨に対応

 頻発している豪雨などに対応するため、東京都は調節池の建設を加速している。また、地下河川整備の事業化に向けた検討も進めている。大規模地震に対しては木造住宅密集地域を局所的に解消する新たな施策を展開。防災性向上のため、道路・公園など公共施設の整備を誘導する。小池百合子知事は「『備えよ、常に』の精神でさらに強靱化を進める」と、2025年度も防災対策をブラッシュアップする考えだ。

関東整備局/管内の発注者と建設業団体がリーフレット、週休2日浸透や魅力発信

 建設業の担い手確保に向けて関東地方整備局と管内の発注機関、建設業団体が連携し、新たな取り組みを始める。働き方改革への協力要請や建設業の魅力・意義を周知するリーフレットを作成。月内に9都県の区市町村や商工会議所ら経済団体に配布する。業界の最重要事項である週休2日の浸透を図りつつ、直轄工事現場での出前講座やSNSを通じて若年層の入職促進につなげる。

トーエネック/酷暑対策で8月に週休3日試行、架空配電線部門対象

 トーエネックは酷暑期の働き方改革として、8月に週4日稼働の週休3日制を試行する。屋外で電線の張り替えなどを行う架空配電線部門の技能職と技術職が対象。毎週水曜日を振り替え休日に設定して連続勤務を回避させ、体内の熱を逃がし水分・塩分補給を確実に実施することで熱中症対策に万全を期す。同社によると、電気工事業界では初の取り組みになる予定。

国交省/旭川ダム再生事業、新規事業採択時評価手続きに着手

 国土交通省は旭川ダム(岡山市北区、岡山県吉備中央町)の洪水調整機能を強化するダム再生事業について、2026年度当初予算に向けて新規事業採択時評価の手続きに着手した。20年に事業化された既存の再生計画を見直し、ダム下流側に新たな堤体を築造し、ダム貯水池を有効活用することで洪水調節機能を増強する。県への意見聴取に加え、学識経験者などで構成する委員会からも意見を聞き、最終的な新規事業化を決定する。

飛島建設ら/クラウド上にBIM・CIMモデルで工事現場再現、情報共有を円滑化

 飛島建設は、クラウド上にBIM/CIMモデルで工事現場を再現した「サイバー建設現場」を応用技術と共同開発した。現場のカメラ映像や位置情報、天候といったデータと組み合わせたデジタルツインを構築。遠隔地にいても現場状況を把握できるようにして、生産性を高める。既に土木工事の2現場に導入。説明時間の短縮や省人化の効果を確認し、2024年度の土木学会技術賞を受賞した。

2025年7月23日水曜日

IHI、三菱地所/豊洲セイルパーク(東京都江東区)7月24日街開き/施工は鹿島

 IHIと三菱地所が東京都江東区で開発している大規模複合施設「豊洲セイルパーク」が24日に街開きを迎える。同日に低層部の商業施設がオープン。残る施設も8月以降、段階的に開業する。建物はA棟(きんでん豊洲ビル)とB棟(豊洲セイルパークビル)の2棟に分かれ、A棟の設計を三菱地所設計、A棟の施工とB棟の設計・施工は鹿島が担当している。

回転窓/投票率を上げるには

 物価高や外国人政策などが争点となった第27回参院選が20日投開票された。野党の追い上げもあり、自民、公明の与党は非改選を含めた議席で過半数を割り込んだ。石破茂首相は続投表明したが厳しい政権運営を迫られそうだ▼選挙のたびに取り上げられるのが投票率だ。2016年6月に改正公職選挙法が施行され、選挙権が得られる年齢は「18歳以上」になった。小欄の近所にお住まいの方は、一緒に暮らす20歳の娘さんに〈大事なことだから〉と投票を促したという▼参院選の投票率は速報値で58・5%。24年10月の総選挙(53・8%)より高いものの、ピークだった1958年に比べると20ポイント程度低い▼投票率のアップに良策はあるのか。欧州では美術館や動物園などの観光名所に投票所を設け、足を運びたくなる仕掛けを施している。日本でもユニークな取り組みがあり、堺市の飲食店では期日前に投票済証を見せるとランチを無料で提供するサービスを行い、話題になっていた▼国の将来を左右する重要な選挙はこの先も続いていく。投票したくなるひと工夫は若者が政治に関心を向けるきっかけになるかもしれない。




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日建連/長期ビジョン策定/50年のあるべき姿示す、新4Kへ35年までの具体策も

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、建設業全体を俯瞰(ふかん)し中長期的な方向性を示した新しいビジョンを策定した。「建設業の長期ビジョン2・0-スマートなけんせつのチカラで未来を切り拓く-」と題し、2050年までの超長期的なスパンで時代を概観。50年の建設業の姿や役割を示している。35年までの建設市場や担い手の推計をした上で具体的な方策も提示。生産性向上や担い手確保を進め、新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)の実現を目指す。=2面に関連記事

理研/和光地区拡張用地(第1期)新研究棟建築(埼玉県和光市)/大成建設に

 理化学研究所(理研)は22日、「理化学研究所和光地区拡張用地(第1期)新研究棟建築工事」の施工者を120億9890万円(税込み)で大成建設に決めたと公表した。理研和光地区(埼玉県和光市)の南側に隣接する拡張用地に延べ1・9万平方メートル規模の研究施設を新築する建築工事。

2025年7月22日火曜日

積算協会/都内で創立50周年大会開く、信頼され選ばれる技術者団体に

 日本建築積算協会(浦江真人会長)が創立50周年を迎え、18日に東京都港区の明治記念館で記念大会を開いた=写真。協会会員以外に国土交通省の幹部や建築関係団体の関係者らが多数出席。大きな節目を祝うとともに、新たなスタートを切った。

回転窓/海の行楽へ誘う

 古くから親しまれてきた海の行楽に潮干狩りがある。日本独特の文化といえ、春から初夏にかけて各地の人気スポットは多くの人でにぎわう▼行楽としての潮干狩りが発展するのは江戸時代とされる。江戸では昼前ぐらいに潮が引き、潮干狩りを楽しんだ後に皆でお弁当といった行楽コースが確立されていたようだ(原田知篤著『潮干狩りマニアック』パブファンセルフ)▼東日本建設業保証は毎年、浮世絵柄のうちわを顧客に届けている。今年の絵柄は葛飾北斎「冨嶽三十六景」から「東都浅艸本願寺」と「登戸浦」の2種。この「登戸浦」には潮干狩りに興じる人たちが描かれている▼登戸は現在の千葉市中央区登戸のこと。ここら一帯は埋め立てられるまで遠浅の海に面し、海水浴や潮干狩りに絶好の場所であったという(「EAST TIMES」2025春号)▼潮干狩りを描いた浮世絵は多く、〈恐らく江戸の人達を行楽へ誘う宣伝の意味もあったと考えられます〉と原田氏は著書で考察する。場所によっては9月ごろまで潮干狩りができる。時代が移り変わっても、貝を探すのに夢中となる楽しさはきっと変わらない。




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宮城、山形県ら/みちのくウエストライン早期実現へ期成同盟会、積極的に要望活動

 みちのくウエストライン「石巻市新庄道路・新庄酒田道路」の早期実現に向け、新団体「宮城・山形・4団体連合整備促進期成同盟会」が立ち上がる。宮城と山形の両県、関係団体の結束を強め、一層強力な要望活動を展開する。村井嘉浩宮城県知事と吉村美栄子山形県知事の2人が会長に就く。28日に山形県最上町の国指定重要文化財「旧有路家住宅」で設立総会を開く。

清水建設/静岡浅間神社大拝殿40年ぶり大改修進む、漆塗りと彩色補修が本格化

 清水建設が静岡市葵区の静岡浅間(せんげん)神社で、国の重要文化財(重文)の大拝殿の保存修理工事を進めている。昭和の大修理(1982~87年)以来約40年ぶりの大規模改修になる。7月からは1階大広間を彩る天井絵10点の漆塗りと彩色を補修する工事が本格化。美術工芸品の修理を専門に手掛ける装こう師(そうこうし)が慎重に作業している。=1面参照

関西電力/南港発電所3基更新、大阪府らにアセス準備書提出

 関西電力は火力発電所「南港発電所(大阪市住之江区南港南7)」の更新計画で、環境影響評価(環境アセス)法に基づく環境アセスの「準備書」を大阪府などに提出した。府は2025年度に準備書、26年度に評価書の手続きを完了させる予定で、環境アセスの事前手続きが大詰めを迎える。26年12月に着工し、30年度の新1~3号機の同時稼働を目指す。

大成ロテック/次世代舗装実用化へ耐久実験本格化、複数車両の連続走行で評価期間短縮

 大成ロテックは福島県田村市にある「大成建設グループ次世代技術実証センター」に整備した舗装テストコースで、無人自動運転トラックを5台同時に24時間連続で走行させる耐久実証実験を開始した。荷重車両の複数・連続走行が可能になったことで、実道のアスファルト舗装で10年程度必要だった評価期間が約1~3年に大幅に短縮できる。二酸化炭素(CO2)を固定したり、さらに長寿命化できたりするような「次世代舗装技術」の実用化をスピードアップする。=3面に関連記事

2025年7月18日金曜日

建築へ/建築ロボット普及拡大へ、日建連専門部会が新たな指針

 ◇現場への導入手順、安全管理の在り方整理
 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が建築現場でのロボット導入を後押ししている。建築技術開発委員会技術研究部会建築ロボット専門部会が安全指針を新たに作成し、導入に向けたガイドラインを改定した。施工現場へのロボット導入を円滑に進める手順や、安全に運用する考え方を整理した。建築ロボットを導入したいと考えている企業や担当者がガイドラインと安全指針を参照し、ロボット活用に必要な計画・準備・管理・検証に役立ててもらう。

下水道協会ら/国交省に予算確保要望、資機材価格・人件費上昇で

 日本下水道協会(会長・大西一史熊本市長)と全国町村下水道推進協議会(会長・三村裕史広島県熊野町長)、流域下水道都道府県協議会(会長・西俊光大阪府下水道室長)の3団体は17日、国土交通省の幹部を訪ね、下水道予算の確保などを求める要望活動を行った。高見康裕大臣政務官、廣瀬昌由技監、塩見英之国交審議官らに各団体の提言書を提出した。要望活動には2025年ミス日本「水の天使」を務める高坂実優さんも同行した。

名古屋市/名城エリアにぎわい共創基本構想案、31年めどに施策推進

 名古屋市は、名城エリアにぎわい共創基本構想案をまとめた。観光の核である名古屋城や今月オープンしたIGアリーナなどエリア内の資源を活用し、歴史・観光・文化・スポーツの拠点機能形成を目指すため、多くの関係者が連携して取り組みを推進するための指針とする。将来的な展望も見据え、名古屋城一般公開・名城公園開園100周年となる2031年をめどに、名城公園の北園再整備(第2期)や堀川の水辺空間づくり、名古屋駅地区や栄地区との連携に向けた検討などに取り組む。

飛島建設ら/不安全行動を自動検出、AIで管理業務効率化

 飛島建設とアクシスウェア(東京都港区、西内克至代表取締役)は現場作業所に設置されたネットワークカメラの映像を活用し、荷役作業や脚立使用時の不安全行動を自動検出するAIシステムを開発した。市販のネットワークカメラで撮影した映像を利用でき専用機器の導入が不要。現場ではカメラの設置方向を調整するだけで運用できるため、ハードウエアの調達コストや現場側の運用負担を大幅に軽減する。

2025年7月17日木曜日

富士ピー・エス/九州小竹工場リニューアル(福岡・小竹町)、新事務所棟に着工

 富士ピー・エスが福岡県小竹町御徳の同社九州小竹工場で進めるリニューアル工事の最終段階となる新事務所棟が着工を迎え、15日に地鎮祭が開かれた。建物規模はプレキャスト・プレストレストコンクリート(PCaPC)造2階建て延べ776平方メートル。鋼板ダンパーを用いた制震構造を採用し、同社のPCaPC技術をPRする場となる。設計は西日本技術開発(福岡市中央区)、施工は英建設(小竹町)が担当。2026年3月に完成する予定。

回転窓/日本と中南米のPLACIDA

 中南米の国で公用語になっているスペイン語やポルトガル語。共通の文法や語彙(ごい)があり、似た言語として知られる▼ポルトガル語も教えてくれる近所のサッカークラブのブラジル人コーチによると、スペイン語でサッカーの素晴らしいゴールを意味するgolazoは、ポルトガル語だとgolaçoと書くが意味は同じ。スペルがほとんど同じ単語は多く、両言語で会話しても意図を理解し合えることがあると聞いた▼国土交通、外務、経済産業の3省が立ち上げた「中南米地域へのインフラ海外展開に関する官民連携プラットフォーム」の初会合がきょう、東京都内で開かれる。官民の連携組織で日本のインフラや技術を中南米に広げるための方策を議論する場として期待されている▼組織の略称は、英語表記の「Public-Private Platform」や「Latin American」などの頭文字から「PLACIDA」とされた▼スペイン語のplacida、ポルトガル語のplácidáはともに温和や平穏を意味する。日本らしい方策が検討され民間の着実な海外展開が促されたらいい。




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東京・新宿区/住宅供給促進型を廃止、大規模開発に新たな規制

 東京・新宿区は区内で大規模マンションや再開発ビルを建設する際の都市開発制度を見直した。都市の防災性や環境への配慮、地域との共生を重視したまちづくりを進めるのが目的。15日付で「住宅供給促進型」と呼ばれる容積率緩和措置を廃止し、関連する都市開発諸制度の基準を改定・施行した。

大分県別府市/新湯治・ウェルネス事業研究・実践拠点施設、事業手法などで対話調査

 大分県別府市は新湯治・ウェルネス事業の核として計画する研究・実践拠点施設について、導入機能の案を公表した。温浴機能は市民向けと、観光客向けに利用ゾーンを分離し、研究開発が中心のラボエリア、民間提案による滞在施設を設ける。今後、想定機能に対する必要面積や事業手法、スケジュールに関する民間事業者の意見を聞くサウンディング(対話)調査を行い、年内に基本計画を取りまとめる。

2025年7月16日水曜日

回転窓/対すれば相和す

 「和の武道」といわれる合気道の達人・塩田剛三(1915~94年)は身長154センチ、体重46キロと小柄な体格ながら厳しい鍛錬で心と体を練り上げ、生ける伝説ともうたわれる存在になった▼17日は不世出の合気道家の命日。合気道は誰でも親しめる護身術として人気が高く、世界に多くの道場がある▼他人と優劣を競わず、互いを尊重する姿勢を貫き、ひたすら稽古に打ち込む。塩田が合気道の修行でたどり着いたのが「対すれば相和す」の理念。弟子から「合気道で一番強い技は何か」と聞かれた時に「自分を殺しに来た相手と友達になることだ」と返した▼力のもみ合いはしない、押されても押し返さない。引っぱられても引っぱり返さない。文字通り「相手と気を合わせる武道」の基本にいつでも立ち返り、素直な心を持つことが調和と自信を育むと説いた▼先日、米トランプ大統領が8月から日本に25%の関税を課すと表明し、石破茂首相は「なめられてたまるか」と応戦したと聞く。はっきりともの申す姿勢はもちろん大切だが、言葉の選択として正しかったのか--。「和合の道」は難解な外交にも通じる部分がある。




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長大ら量子コンピューティング協会/量子人材育成に注力/資格者の交流活性化

 量子コンピューティング技術の普及啓発や研究支援などに取り組む「日本量子コンピューティング協会」(代表理事・高野秀隆長大クオンタム推進部長)が人材育成に力を入れ、新たな事業を創設する。協会の認定資格者を増やしながら、資格者同士のコミュニティー形成も促す。認定資格者が興した企業を支援し、事業の成長を促進するインキュベーション事業を協会活動の柱の一つに育てていく方針だ。

大阪府大阪狭山市/狭山中を建て替えで高層化/8~9月に基本計画発注

 大阪府大阪狭山市は市立狭山中学校(狭山4)の建て替えによる高層化に向けた基本計画策定業務を8~9月ごろに指名競争で発注する。現在、指名に向けた準備を進めており、教室不足と老朽化解消への対応を急ぐ。2025年度当初予算に委託費として上限1413万円の債務負担行為を設定しており、25~26年度の2カ年でまとめる。

シェルター/純木造超高層の建築技術確立/高さ110メートル、耐震・耐火性確保

 木造・木質建築を手掛けるシェルター(山形市、木村仁大社長)は、世界最高層の高さ110メートル、地上24階建て純木造超高層ビルの建築技術を確立した。東京都内に建設する前提で、事務所や集合住宅が入る複合機能の純木造超高層ビルをシミュレーション。高剛性の集成材や接合技術などを取り入れ耐震性や耐火性を確保し、温室効果ガス排出量の大幅削減が見込めることも確認した。

2025年7月15日火曜日

回転窓/覆水盆に返らず

 「覆水盆に返らず」ということわざがある。一度起きたことは元に戻すことができないというたとえだ。政治家の口から出た言葉も同じ。発言撤回という便利な言い訳で幕を引いたつもりでも、拡散した情報も生まれた不信もネットに半永久的に残り続ける▼にもかかわらず似たような光景が繰り返される。撤回会見で原稿を読み上げるだけ、謝罪らしき言葉を並べるだけでは責任という器を満たすことはできない▼重要なのは過ちを正す行動だ。誤った数字を示したなら根拠を示し直し、誤解を招く政策案なら再検討の工程表を公開する。言葉と行動が一致して初めて、失われた信頼は少しずつ取り戻せる▼覆水は戻らなくとも新しい水を注ぎ直す努力は可能なはずだ。発言を受け止めた側も聞こえのいい撤回に安易に頷くのではなく、後始末のプロセスを監視し、結果を評価する責任を負う▼新聞報道にも同じことが言える。ニュースを伝えるのは水の循環に似ている。透明で清らかな流れを保つには丁寧で慎重な取材活動と言葉を吟味する知識が必要だ。自戒を込めて、清流を濁せば重い代償が待っていると肝に銘じたい。




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全圧連/台湾コンクリ工学会と意見交換/生コンの加水問題などで協議

 全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連、佐藤隆彦会長)は11日、台湾コンクリート工学会(TCI、金崇仁会長)の幹部らとの意見交換会を東京都千代田区のステーションコンファレンス万世橋で開催した。全圧連が組織や活動内容などを説明するとともに、台湾で問題となっている生コンの加水問題などについて意見を交わした=写真。

見積もり交渉、労務費減額3割超/下請目線の回答で/国交省調査

 建設工事の元下契約での労務費交渉の実態が、国土交通省の調査で明らかになってきた。建設業許可業者約2万者の回答結果を集計したところ、下請として請負契約で労務費を内訳明示した場合、最初に元請へ提出した「当初見積書」より、価格交渉を経て契約に反映した「最終見積書」の方が低くなったとの回答が3割以上あった。著しく低い労務費への減額変更依頼を禁じる改正建設業法の施行を前に、「建設Gメン」がこの調査結果を端緒とした個別の違反行為の洗い出しに乗り出している。

徳洲会/湘南大磯病院建替へ/設計は内藤建築事務所、26年6月着工予定

 医療法人徳洲会は、神奈川県大磯町の湘南大磯病院(権藤学司病院長)を建て替える。現施設が老朽化したため、施設を更新し診療環境の充実を図る。新病院は8階建て延べ2万5000平方メートル規模で、8階レストランを一般開放するなど地域に開かれた施設に生まれ変わる。設計は内藤建築事務所が担当。8月ごろ施工者の選定手続きに入る。着工は2026年6月ごろの予定。28年夏ごろに新病棟を開院し、既存病棟の解体後、29年夏ごろの完全オープンを目指す。概算事業費は約195億円を見込んでいる。

清水建設ら/自律施工型ブルドーザーで盛り土実証開始/25年内の実現場適用へ

 清水建設らは土木工事の無人化施工に向けた一環として、自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」による盛り土工事の実証施工を開始した。運転動作の自律制御システムと環境認識システムを実装しており、動的に変化する周囲の環境に応じて最適な施工経路を自ら判断する自律施工機能を搭載。実証フィールドでの動作検証を経て、年内に実現場への適用を目指す。

2025年7月14日月曜日

回転窓/子育地蔵尊に参る

 東京都文京区の江戸川橋地蔵通り商店街入り口に「子育地蔵尊」が祀(まつ)られている。祠(ほこら)にその由来が書いてある▼三方を台地に囲まれたこの地が一面の田畑であった頃、近くの江戸川(現神田川)はしばしば氾濫していた。そして明治の初めにいずこからか流れてきた地蔵尊を祀ったのが起源だという。洪水が多かった日本でこうした伝承は各地に残る▼米南部テキサス州で4日発生した大雨による洪水は、先週までに死者が少なくとも120人に上る大災害となった。キャンプに訪れていた多くの子どもたちも犠牲になったと報じられている▼地球規模で自然災害が激甚化・頻発化する中、日本では梅雨の時期から秋にかけて大雨に伴う洪水と土砂災害が懸念される。昨年は大地震に見舞われた能登半島が再び豪雨により大きな被害を受けた。これを踏まえて国交省の有識者検討会が6月、複合災害の被害軽減に向けた提言をまとめた▼江戸川橋の子育地蔵尊は子育てや商売繁盛に御利益があり、「火伏せ地蔵」としても敬われている。赤ん坊を抱いたやさしいお顔の地蔵尊にお参りし、改めて切に願う。子どもたちと地域の安全を。




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凜/東京建物ロジスティクス事業部・大山美咲さん、顧客とウィンウィンになる施設を

 入社して16年目。現在はロジスティクス事業部で、物流施設の開発を手掛けている。物流施設はオフィスなどと比べ顧客企業の賃借頻度が高い。そのため「満足してもらえれば次の案件につながるなど、成果が目に見えるのが面白い」と魅力を語る。過去には都心部の大規模開発なども担当。培った経験を生かし、今後も「関わる人に幸せを感じてもらえる施設を造っていきたい」と笑顔で話す。

五洋建設/シンガポールで大型埋め立て工事受注、172ヘクタール・受注額335億円

 五洋建設は11日、シンガポールのトゥアス北部地区の大型埋め立て工事を受注したと発表した。約172ヘクタールの新たな工業用地を創出し、将来的な土地需要の増加に対応する。トゥアス南部とトゥアス港へのアクセス性を高め、インフラと道路網の充実させる。受注金額は約335億円。工期は2030年7月まで。

強靱化が投資拡大けん引、住宅反動減・関税影響も/建設経済研ら

 建設経済研究所と経済調査会が建設投資予測の最新推計を11日発表した。6月決定の「第1次国土強靱化実施中期計画」による予算拡大を見越し、4月時点の前回推計から上方修正した。2025年度の投資総額は名目値で前年度比2・5%増の75兆4500億円(前回推計1・3%増)、物価変動の影響を取り除いた実質値で0・7%増(0・9%減)と予測。ただし民間住宅投資は、改正建築物省エネ法・建築基準法施行前の駆け込み着工の反動で24年度を下回るとみる。

鹿島ら/東京科学大田町キャンパス土地活用事業(東京都港区)、26年7月着工へ

 鹿島ら4社で構成する企業グループは東京都港区で推進している「東京科学大学田町キャンパス土地活用事業」で、建設工事に2026年7月着手する。建物は延べ約29万平方メートル、高さ179メートルの規模。オフィスや大学施設、インキュベーション施設などで構成する複合施設になる。30年6月の竣工を目指す。

三機工業ら/小型ドローンで既存設備をデジタル化、3Dモデルの精度向上

 三機工業とグループ会社のキャド・ケンドロ(仙台市太白区、菅野正浩社長)はレーザースキャナーと小型点検用ドローンを併用し、既存設備のデジタル化手法を確立した。既存技術で課題だったレーザーが届きにくい狭く閉鎖的な場所でも、より精度の高い3Dモデルを効率的に作成できることを実証した。

2025年7月11日金曜日

建築へ/建築家・藤本壮介氏初の大規模個展、森美術館で開催

 ◇創造と希望が膨らむきっかけに
 建築家・藤本壮介氏の初めてとなる大規模個展「藤本壮介の建築:原初・未来・森」が東京都港区の森美術館で始まった。初期から世界各国で進行中のプロジェクトまで約30年にわたる活動を8セクションに分け網羅的に紹介している。現代美術館で建築展の可能性も追求。インスタレーションや大型模型などを活用し、視覚的、聴覚的にも藤本建築を体感できる内容になっている。

国交省・安部賢港湾局長が就任会見/建設会社の適正利潤考慮、持続的な担い手確保へ

 1日に就任した国土交通省の安部賢港湾局長が記者会見し=写真、今後重点を置く港湾関係政策を明らかにした。プロジェクト推進の担い手となる建設会社や調査・コンサルタント会社が「将来も持続的に活動・貢献してもらえる環境整備に注力する」と話し、荒天リスクなど港湾・海洋工事の特殊性を踏まえた働き方改革、潜水士などの担い手育成を促すと強調。建設会社が作業船更新の投資余力などを持ち、継続的に事業実施に貢献してくれるよう「適正利潤を確保できているか丁寧に考えたい」とも述べた。

熊本県菊陽町/土地開発公社を新設、開発事業のスピードアップに期待

 熊本県菊陽町は工業団地など複数の土地開発事業が計画されていることを受け、事業の円滑化を目的に土地開発公社を新設する。6月の町議会で公社新設に関する議案が承認され、県に対して設立の認可申請手続きを行った。町内では原水地区で約70ヘクタールの土地区画整理事業や、約24・2ヘクタールに及ぶ工業団地の造成が計画されている。公社設立により用地取得や造成に必要な予算執行などを機動的に行うことができ、開発事業のスピードアップが期待される。

千葉県流山市/ジェトロ江戸川台職員宿舎跡地に複合施設、事業者選定プロポ公告

 千葉県流山市は、東武アーバンパークライン(野田線)江戸川台駅東口にある日本貿易振興機構(ジェトロ)江戸川台職員宿舎跡地にPPPを活用して公共公益機能を集約した複合型施設を整備する。事業手法は「定期借地権+賃貸借方式」を採用する。基本構想によると施設の最大規模は3階建て延べ3600平方メートルという。10日、事業者を選定する公募型プロポーザルの手続きを開始した。

大林組/施工済みダクトで熱中症対策、建物全体を空調冷却

 大林組は建設現場の熱中症対策として、施工済みダクトに大型仮設空調機を接続させた仮設空調システムを構築した。「建設現場涼人(りょうじん)プロジェクト」として、東京都中央区で施工中の中高層オフィスビル新築現場に初めて導入、試行。技能者の作業環境改善に向け、竣工前建築物の空調稼働前に全館空調して冷却する取り組みは建設業界で初になる。
 大林組は建設現場の熱中症対策として、施工済みダクトに大型仮設空調機を接続させた仮設空調システムを構築した。「建設現場涼人(りょうじん)プロジェクト」として、東京都中央区で施工中の中高層オフィスビル新築現場に初めて導入、試行。技能者の作業環境改善に向け、竣工前建築物の空調稼働前に全館空調して冷却する取り組みは建設業界で初になる。




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2025年7月10日木曜日

回転窓/真夏の玩具の価値

 この前の日曜日に近所の公民館で「子ども縁日」が開かれた。複数の町内会が協力し毎年開催している▼かき氷を安価で販売していた部屋と同じくらいにぎわっていた一画をのぞいてみると、輪ゴムで飛ばす紙飛行機やけん玉、だるま落としなどの昔ながらのおもちゃで多くの人が遊んでいた。「昔遊び」がテーマのコーナーだったようで、子どもたちと同じくらい夢中になっている大人たちの姿がほほ笑ましかった▼経済産業省は先月末に「玩具の価値を考える会」の中間取りまとめを公表した。官民共同の検討組織が幼児の遊びや市場の変化といった玩具産業の現状を考察し、好みが多様化する消費者への対応や、世界展開の方策を示している▼報告では玩具が子どもの心身の発達に大きな影響を与え、大人にとっても「より豊かな人生を送るための文化的価値を提供している」と明記している。日本の価値を支える産業として官民が協力して振興に取り組む必要性も指摘された▼昔遊びは8月に行われる小学校の夏祭りでも実施される予定という。玩具を通じて交流が広がり真夏の楽しい思い出が少しでも多くなってほしい。




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防衛省/自衛隊施設の再配置・集約化、官民連携導入へ可能性調査推進

 防衛省は駐屯地や基地といった自衛隊施設の再配置・集約化などの整備で、官民連携手法の導入可能性調査を進める。2025年度は8件の調査業務の発注を予定し、うち2件は委託先選定の手続き中。検討などに着手済みの案件を含めて26年度までに20件を具体化する目標を政府のPPP/PFI推進アクションプラン(25年改定版)に定めており、官民連携の手法が適用できるか駐屯地や基地単位で検討していく。

茨城県桜川市/規模縮小し新庁舎整備の設計変更案を公開、開庁は28年1月予定

 茨城県桜川市は設計・施工一括(DB)方式を採用して整備する新庁舎の規模を縮小する。当初RC一部S造4階建て延べ8277平方メートルだった新庁舎を3階建て塔屋付き延べ6681平方メートルにする。構造は未定。新庁舎の開庁は2028年1月を予定している。既存の東庁舎も改修し、29年4月に開庁する見通し。

横国大、鹿島ら/世界初の植物バイオものづくり研究開発拠点を開設

 横浜国立大学や鹿島らは9日、遺伝子組み換え植物を利用した有用物質の生産を目指す新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環で、「植物バイオものづくり研究開発拠点」を同大学内に設置した。有用物質の生産用に開発した植物の栽培から遺伝子発現、目的物質の抽出、精製までを一貫して実施できる世界初の施設になる。技術情報も発信し、人材育成や産学連携を後押しする。

2025年7月9日水曜日

回転窓/休める国を目指して

 フランスでは1年間に2週間の有給休暇を連続して取得することが「バカンス法」で保障されている。都会の喧噪(けんそう)を忘れ、観光地で家族と余暇を過ごすのも立派な業務の一環なのだそう▼従業員をいかに休ませるか。フランスではこれが仕事の最優先に置かれ、部下に休暇を取らせようと管理職はあらゆる手段で業務をサポートするという▼日本の有休消化率は6割と先進国で最も低い。建設業や運送業などのエッセンシャルワーカーは個人にかかる業務負荷が大きいためか、まとまった休みを取るのが難しいと言われる▼国土交通省の出先事務所が7、8月の猛暑に現場を休みにする働き方改革に取り組んでいる。取材に応じた所長は、次代の担い手たちに「建設業界がバカンスの取れる進んだ業界だと思ってもらえるようにしたい」と話す▼かつてのフランスも労働者には十分な休暇が与えられなかった。バカンスの取得は、いわば労働者が勝ち取った権利と言える。日本で実現するには課題も多いが、小さな行動が大きなうねりを起こし、やがて変革をもたらすかもしれない。一歩を踏み出す勇気にこそ価値がある。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=175567
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新会長/日本コンストラクション・マネジメント協会・吉田敏明氏

 ◇中小、地方にCM拡大へ
 組織設計事務所出身の会長就任は創立以来初になる。市町村や地方にある中小の設計事務所を照準にCM(コンストラクションマネジメント)方式の普及、拡大を狙う。本・支部一体となって広報などの活動を強力に展開。沖縄や北海道での支部創設も視野に入れ、会員数のさらなる増加を目指す。

JR四国/鉄道運輸機構から140億円出資受け入れ/軌道強化などに活用

 JR四国は8日、100%株主の鉄道建設・運輸施設整備支援機構から140億円の出資を受け入れたと発表した。新型ハイブリッド式ローカル車両の新製、特急車両とローカル車両の延命化・リニューアル、軌道強化、各種システムの省力化・省人化による生産性向上の資金に充てる。
 2021~25年度に受ける支援(総額1025億円)の一環。同社は今回の支援を有効活用し、経営自立を果たすべく経営改善に取り組んでいくとしている。




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国交省/25年建設事業功労者大臣表彰の受賞者決定、239人・3団体に

 国土交通省は2025年の建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰の受賞者を決定した。建設事業関係各分野の発展に尽くした239人と優良3団体を表彰する。10日に東京・霞が関の同省内で表彰式を行う。=6面に受賞者一覧

東京都/外堀の水質改善で実施計画案策定へ/荒川の水や下水再生水を導入

 東京都は千代田区や新宿区などに広がる複数の外堀の水質改善に向け、具体的な技術や施設の設計方針を固める。8日に実施計画案の策定に向けた検討業務を公告した。外堀の浄化に当たっては荒川の水や下水再生水を流し込むことで濠水を流動化。約5日で外堀の水を入れ替え、水質悪化の原因となるアオコの大量発生を防ぐ。人々が憩える空間をよみがえらせる。

清水建設/地下ピットを球体ドローンで遠隔検査/作業時間9割減、人員も半減

 清水建設は地下ピットの検査業務を効率化するため、球体ドローンによる遠隔検査手法を確立した。実際の現場で試行したところ、従来7日間を要していた検査の作業時間を90%削減し1日で完了。作業人員も2人から1人に半減した。今後、東京駅日本橋口で施工中の国内最高の超高層ビル「Torch Tower」(トーチタワー)など、大規模現場での適用を予定している。

2025年7月8日火曜日

回転窓/自信・慢心・謙虚

 「自信は成功の第一の秘訣(ひけつ)である」。米国の思想家で作家や詩人としても知られるラルフ・ワルド・エマーソン(1803~1882年)の言葉は、福沢諭吉や宮澤賢治も大きな影響を受けた▼仕事と向かうとき、己の力を信じる自信はエンジンになる。だが自信が「もう十分だ」という慢心に変わった瞬間に歯車は狂う。将棋の羽生善治九段も「慢心は弱さの一種」と警鐘を鳴らす。慢心は学びを止め、視野を狭め、成長の芽を摘む▼ではどうすればいいか。「私が一番知っているのは、自分がまだまだ知らないということだ」(松下幸之助)。自信という帆を広げながら、謙虚といういかりを海底に下ろす。いかりがあるから帆は嵐でも傾きが修正できる。自信は背中を押す風、謙虚さは足元を照らす灯火だ▼風が強過ぎれば足が浮き、灯火が消えれば闇に迷う。均衡を取る知恵は経験から生まれる。失敗を恐れず一歩踏み出し成功に酔わず一歩退く。リズムを刻むことで安定した航路が描けるようになる▼自信と慢心、謙虚の三つを循環させ常に挑戦者であり続ける構えこそが、明日を切り開く鍵になると信じる。




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国交省/AI活用し排水機場の異状検知、9月に協議会発足へ

 国土交通省は、AIを使った河川排水機場の遠隔異常検知システムの開発と実装に向け「インフラ施設管理AI協議会(仮称)」を9月ごろに立ち上げる。会員募集を8月6日まで受け付け、12月にも初会合を開く。行政や研究機関に加えポンプメーカー、AI開発ベンダーなどに参加してもらい、産学官連携で社会実装を目指す。協議会の下にワーキンググループ(WG)を設け、分野ごとに議論を進める予定だ。

関内駅前北口地区再開発(横浜市中区)/組合が発足、26年度着工めざす

 ◇三菱地所らが協力
 横浜市中区のJR関内駅前で再開発を計画する関内駅前北口地区第一種市街地再開発組合が4日に発足した。6月25日に横浜市長から設立認可を取得した。20階建て延べ3・4万平方メートル規模の事務所、住宅など複合施設を建設する。参加組合員として三菱地所ら5社が参画している。2025年度に権利変換計画認可を受け、解体工事に着手する。26年度に着工し、29年度の竣工を予定している。

2025年7月7日月曜日

回転窓/ウナギで味わう至福

 ウナギ好きの方なら、甘辛いタレと香ばしい風味のかば焼きやうな重を無性に食べたくなる特別な日が近づいてきた。今夏の「土用の丑(うし)の日」は19、31日と2回巡ってくる▼古くからウナギは精が付く食べ物として知られていた。奈良時代の歌人・大伴家持は、夏やせで心配される友人にウナギを食べるよう勧めている。〈石麻呂に われ物申す 夏痩(やせ)に 良しといふ物そ 鰻(むなぎ)取り食(め)せ〉(万葉集巻十六)▼ウナギを伝統食とする日本にとって影響の大きい国際的な動きが先日報じられた。欧州連合(EU)がニホンウナギも含むウナギ属の全種を、絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引に関するワシントン条約の対象に加えることを提案。認められれば国際取引の管理が強化される▼EUの提案は11~12月に開く締約国会議で議論される見通し。日本政府は「国際取引による絶滅の恐れはない」と反対する立場を表明している▼〈かぶりつく とろける鰻(うなぎ) 至福感〉(浜名商工会主催・2021年「うなぎ川柳」金賞作)。そんな至福を味わえるウナギが新たな規制で食卓から遠ざからないよう願うばかり。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=175517
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凜/フジタ首都圏土木支店土木工事部・伊藤杏子さん、土木の世界に心引かれて

 高校の授業で橋やダムなどの大きな構造物を造る土木の世界を知り、心が引かれた。大学で構造力学などを専攻。「最も現場に近い仕事」に魅力を感じ、働くならゼネコンと思うようになった。就職先に選んだのはインフラ整備に強みがあるフジタ。大学時代を過ごした広島がルーツの企業で不思議な縁を感じた。

国交省/ICT施工、舗装・地盤改良で原則化へ/26年度から発注者指定型拡大

 国土交通省は直轄工事の「舗装工」と「地盤改良工」の2工種で、ICT施工の原則化に向けた検討に着手した。ICT施工の実施を前提とした発注者指定型の範囲を2026年度から段階的に拡大し、27年度以降に原則化する方針。2工種ともICT施工を施工者希望型で発注した際の実施率が直近で7、8割と高水準にあり、まずは26年度から発注者指定型に切り替える範囲を年度末までに固める。

国交省、農水省/日事連と木材利用促進で協定締結/設計支援ツール作成目指す

 国土交通、農林水産両省と日本建築士事務所協会連合会(日事連、上野浩也会長)が「建築物木材利用促進協定」を結んだ。中層建築物の木造設計支援ツールの作成や普及、木材需給のミスマッチ解消などで連携する。都道府県単位で建築士事務所協会と自治体の木材利用促進協定の締結も促す方針だ。

東京都/新葛西臨海水族園(東京都江戸川区)完成イメージ公表/屋内にペンギン飼育場

 東京都は実施設計を終えた新しい「葛西臨海水族園」の完成イメージを公表した。展示スペースが入る本館はRC一部S造地下1階地上2階建て延べ2万平方メートルの規模。ペンギン飼育場は鳥インフルエンザ対策のため屋内にする。感染リスクが低い時期に限って2階にある屋外(屋上)施設に出られる仕様にする。各階にアクセスしやすくするためエスカレーターも増設する。

前田道路/CN貢献舗装技術、万博で世界にPR/CO2固定再生路盤材を紹介

 前田道路が大阪・関西万博でカーボンニュートラル(CN)に貢献する未来の舗装技術を発信している。二酸化炭素(CO2)を固定したコンクリート再生路盤材を紹介。展示スペースの一部に敷いたアスファルト舗装の材料に大気中のCO2を固定した合成炭酸カルシウム(合成石粉)を使っている。合成石粉にはアサヒ飲料の「CO2を食べる自動販売機」で回収したCO2を利用した。新しい舗装技術を国内外から訪れた来場者にPRし、早期の実装を目指す。

2025年7月4日金曜日

回転窓/過剰に反応せず備える

 7月に日本で大きな災害が起こる--。そんな漫画での予言が国内にとどまらず海外にも広がっているそうだ▼予言が載る作品は、たつき諒さんの『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)。自身が見た予知夢を記し、「2025年7月5日に、南海トラフ地震の想定をはるかに超える津波が押し寄せる」といった内容が書かれている▼中国語版も発行され、特に香港では訪日を控える動きが出ている。日本政府観光局によると、5月の訪日外国人数(推計値)は同月で過去最多を更新した一方、国・地域別では香港だけが減少。香港の航空会社は日本路線の一部で欠航や減便を決めた。漫画の予言が経済活動にも影響を及ぼしていることに驚く▼気象庁の野村竜一長官が先日の会見で「現在の科学的知見では日時と場所、大きさを特定した地震予知は不可能。そのような情報で心配する必要は一切ない」と呼び掛けた。過剰に反応するのは間違っているという意味だろう▼予言の信ぴょう性はさておき、南海トラフ地震などが高い確率で発生すると予測されているのは事実。さまざまな機会を捉え災害への備えをアップデートし続けたい。




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中部整備局愛知国道/けんせつ小町・チーム“愛”意見交換会開く/意見集レビュー議論

 中部地方整備局愛知国道事務所は2日、けんせつ小町・チーム“愛”の本年度第1回意見交換会を名古屋市千種区の同事務所で開いた=写真。作成から5年が経過した意見集の見直しに向け、職場環境の改善など提案内容の達成度や新たな課題などをレビューとして取りまとめ、12月に開催予定の建設技術フェアで企業などに配布することを決めた。学生との意見交換や現場見学会を拡充するため、本年度の活動内容に関する意見も交わした。オンラインも含め28人が参加した。

東京・荒川区/今後30年間で24の学校施設建替/第一期は第六日暮里小など7校

 東京・荒川区は今後30年程度をかけて、区内24校の学校施設を段階的に建て替える。区内の学校施設は半数以上が築50年以上経過し、老朽化が進んでいる。計画では10年ごとに第一期(2026~35年度)、第二期(36~45年度)、第三期(46~55年度)に分け、築年数や老朽度合いを基準に優先順位を付けて建て替える。再整備ではバリアフリーや防災機能を備えた、現代の利用ニーズに対応した学校施設とする。

日立製作所、日立プラントサービス/メタバースで設備管理作業手順を可視化

 日立製作所と日立プラントサービスが施設の管理業務を効率化し、作業員の心理的な負担を減らすAIシステムを開発した。現場の知見を蓄えたAIを使い、建物設備のメタバース(3D仮想空間)で作業する手順と場所を重ね合わせるように表示。直感的に可視化することで、機器の特定や操作に迷う場面を減らす。非熟練者の不安を解消しつつ、熟練者の技能継承につなげる。

2025年7月3日木曜日

日本国土開発/松島イノベーションヒルズが起工、工業・物流施設用地で28ha分譲 

 日本国土開発が宮城県松島町で開発を進めている土地区画整理事業「松島イノベーションヒルズ」(松島IH)の造成工事に本格着手し、2日に現地で起工式を行った。東北自動車道や三陸沿岸道路に近い立地を生かし、施工面積約54・6ヘクタールのうち保留地約28ヘクタールを工業・物流施設用地として分譲する。同社は松島町初原土地区画整理組合(赤間幸夫理事長)と一括業務代行契約を結び、設計・施工を担う。2026年10月に1期分として12・8ヘクタールの引き渡しを開始。27年10月の竣工を予定している。

回転窓/無投票当選の覚悟

 取材でお目にかかった瀬戸内のある市長が無投票当選の選挙を振り返り「これからが大事になる」と話していた。地方自治は首長と議員を有権者が直接投票で選ぶ二元代表制。無投票で民意を問うプロセスがなかっただけに「評価を自分で見聞きする」のが大切との思いがあると受け取った▼「人口が毎年1%減っている。選挙のための政策を並べても地域は持続しない」。無投票は地域を思う気持ちと政策が評価された結果だったのかもしれない▼第27回参議院議員通常選挙が3日に公示される。災害への備え、賃上げや経済対策、外交・安全保障など課題は枚挙にいとまがない。足元の生活と将来どちらも大事になる▼各党の政策アピールが始まり、現金給付や減税の話に熱がこもっている。物価高対策なのか選挙対策なのか…。財政の見通しや国を豊かにする政策もきちんと聞きたいと思う有権者は多かろう▼瀬戸内の市長によると「市民の不平不満は山ほど出てくる。できないことでもやらないといけないこともある。必要なのは覚悟」なのだそう。参院選の投票日は20日。選ばれる側の覚悟や真意に触れる機会をぜひ。




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国交省/建設Gメンの活動強化、補助員配置・法施行前の禁止行為も指導

 国土交通省は建設工事の取引実態の実地調査に当たる「建設Gメン」の活動を強化する。建設Gメンが調査に入る取引事案をあらかじめ洗い出したり、調査結果をフォローアップしたりする「補助員」を5月に配置するなど、より効果的で効率的な活動を展開していく。12月までに全面施行する改正建設業法で労務費のダンピングと減額変更依頼、工期ダンピングが規制されることを見据え、法施行後に問題となる可能性がある行為の改善指導に取り組む。=2面に関連記事

兵庫県三木市/吉川地域義務教育校基本構想案、吉川高校跡地に整備

 兵庫県三木市は、吉川地域に新設する義務教育一貫校の基本構想案をまとめた。2027年3月に閉校する県立吉川高校の跡地(吉川町渡瀬300の12、約4・5ヘクタール)に、吉川小(同みなぎ台1の31の3)と吉川中(同大沢2)を施設一体型で統合する。2030年度の開校を目指す。

都市機構/新たな事業メッセージ公表、「ゆるやかに、くらしつながる」

 都市再生機構は1日、組織の理念を表現する新たな「事業メッセージ」を公表した。メッセージは「ゆるやかに、くらしつながる」。団地は少子高齢化や地域活性化など、さまざまな課題に直面する。そんな中、住人同士がほどよい距離感でつながる仕掛け作りを通じ、課題解決や居心地のいい住環境の創出につなげたいとの思いを込めた。メッセージを紹介するテレビCMを4日に放映開始する。

熊谷組ら/鋼製支保工自動建込技術を国内初適用、山岳トンネル切羽作業無人化が前進

 熊谷組らはイタリアMACCAFERRI社が開発した「鋼製支保工の自動建込技術」の試験施工を国内で初めて実施し、有効性を確認した。山岳トンネル工事現場で切羽作業の無人化や遠隔化、機械化を推進する取り組みの一環。試験施工で作業員が切羽に立ち入ることなく、既存の機械を用いて鋼製支保工の建て込みができたことを確認。これにより実トンネル現場への本格導入を目指す。機械構成や施工手順を最適化し、作業の省力化や安全性のさらなる向上を図る。

2025年7月2日水曜日

書籍案内『改正公共工事品確法と運用指針の解説―第三次・担い手3法で持続可能な建設産業へ』

 書籍『改正公共工事品確法と運用指針の解説―第三次・担い手3法で持続可能な建設産業へ』を発刊しました。


2024年の「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(公共工事品確法)改正に携わった自民党公共工事品質確保に関する議員連盟の中心メンバー3人が編著者となり、改正に至る背景や経緯、法律と指針の内容などを全21項目のQ&Aも交えて分かりやすく解説します。


公共工事品確法は「建設業法」、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入契法)とともに一体的に改正され、「第三次・担い手3法」として運用が始まりました。05年に議員立法で公共工事品確法が制定されて今年で20年。今回の改正で▽担い手の確保のための働き方改革・処遇改善▽地域建設業などの維持に向けた環境整備▽新技術の活用などによる生産性向上▽公共工事の発注体制の強化に関わる内容の充実が図られました。



本書では公共事業の発注者、受注者に向けて公共工事品確法の改正ポイントと、今年2月に決定された同法に基づく発注関係事務の共通ルールとなる運用指針の改定内容などを解説。

編著者の一人で同議連の幹事長を務める佐藤信秋参院議員と、社会基盤マネジメント研究所の木下誠也代表理事(東京都市大学客員教授)による対談「これからの公共調達の在り方」も掲載しています。



『改正公共工事品確法と運用指針の解説―第三次・担い手3法で持続可能な建設産業へ』

編著:梶山弘志、佐藤信秋、古川禎久

価格:2,530円(税込)

A5判266ページ

https://www.decn.co.jp/book



月刊工事情報 2025年7月号

 月刊工事情報 2025年7月号


◎特集

建設関連企業の2025年3月期決算

東京都財務局、石神井川上流地下調節池工事を公告

中国整備局、高梁川酒津・清音地区河川改修に着工


◎特典

定期購読契約いただくと全国の工事情報データをExcelでダウンロードできる「月刊工事情報」データダウンロード会員に登録できます。


毎月1日発行

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回転窓/熱中症に用心

 プロ野球・埼玉西武ライオンズの今井達也投手が熱中症と診断された。6月27日に本拠地のベルーナドームで行われた北海道日本ハムファイターズ戦に登板。無失点で抑えていた4回途中、マウンドに突如しゃがみこみ緊急降板した▼ベルーナドームは屋外球場だった西武球場に屋根を取り付けた構造。他のドーム球場と異なり仕切りや空調設備がなく、夏はサウナのように外の暑さや湿気がこもりやすい▼暑さ対策として8日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦からメインコンコースに大規模な冷却用ミスト設備を導入し、計10カ所で屋根や支柱の足元からミストを噴射する。最大5度程度の温度低下を見込む▼熱中症は日中の屋外作業が多い夏の建設現場にとっても最大の安全リスクだ。厚生労働省の統計では、2020~24年に熱中症で死傷した建設業就業者は計961人と業種別で最多となる▼7月に入りいよいよ夏本番。職場での熱中症対策が義務化され建設各社もあの手この手の工夫を凝らす。1日には「全国安全週間」がスタート。早期の気づきや無理せず休むことの大切さを再認識し、万全の対策を講じてほしい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=175380
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関東整備局/遠隔・自動施工の取り組み工事成績評定で評価、全国地整で初

 関東地方整備局は、「遠隔施工・自動施工」と「ICT施工ステージ2」の取り組みを工事成績評定で評価する。i-Construction2・0で掲げる「施工のオートメーション化」を普及する目的で、2025年度の発注工事で適用している。自動施工などを成績評定で評価する取り組みは全国の地方整備局で関東が初めてという。

三郷駅前地区再開発(愛知県尾張旭市)、事業計画を変更・事業費209億円に/組合

 愛知県尾張旭市の三郷駅前地区市街地再開発組合(秋田誠三理事長)は、再開発事業の事業計画を変更する。建設資材や人件費の高騰を踏まえ、事業費を約54億円増の約209億円(公共施設の内装など想定工事費5億円含む)に見直した。施設規模や整備範囲などの見直しに伴い事業スケジュールも変更。当初は2025年度中の本体着工を見込んでいたが、27年4月に着工し29年度内の完成を目指すことにした。施行期間も31年3月まで延伸する。

相模原市/相模原駅北口土地利用計画案、業務・商業・居住など5機能を導入

 相模原市は1日、「相模原駅北口地区土地利用計画(案)」を公表した。多様な交流が新たな価値を生み出す「グリーン×ライフ×イノベーションシティ」をコンセプトに設定。業務、商業、居住、交流ハブ、交流にぎわいの5機能を適正に配置する。意見募集を経て8月以降に計画を策定する見通しだ。

安藤ハザマら/国内全現場に暑熱対策AIカメラ導入、海外でも検証・他業種展開も

 安藤ハザマは建設現場の暑さ対策を強化する。化粧品大手ポーラ・オルビスグループのポーラメディカル(横浜市戸塚区、松本剛社長)と連携し、AIが顔の表情や発汗などから体調変化を検知する暑熱対策AIカメラ「カオカラ」を活用。安藤ハザマが施工する国内全現場に導入し、ラオスやネパールといった海外の現場でも検証を始めた。

2025年7月1日火曜日

回転窓/現場の誇りを込め「ご安全に」

 梅雨の雲間から陽射しが覗く天候が続く。暦が半夏生を迎え、これから夏の暑さがさらに厳しくなる▼建設業界にとって夏は過酷な季節。肌を刺すような日差し、耐えがたい高温多湿、突然の豪雨や突風。自然の猛威に加え、重機作業や高所作業といった危険と隣り合わせの現場は、わずかな気の緩みが大きな事故を招く▼今年も全国安全週間がスタートする。現場の「命を守る文化」を根付かせるため、多くの人が「安全第一」という言葉と真剣に向き合っている。それでも起こってしまう事故。作業前の点検、こまめな水分補給、声かけによる注意喚起。小さな積み重ねが大きな事故の防止につながる。ヒヤリハットの共有や熱中症対策の徹底は自分自身だけでなく仲間を守る意識そのものだ▼建設業は社会を支える重要な基盤を築いている。だが基盤を築くには、まず人が安全でなければならない。半夏生を境に季節は確実に夏本番へと移りゆく▼今夏も全国の現場でたくさんの技術者、技能者が汗を流し、ものづくりに心血を注ぐ。ご安全に--。現場の誇りを込め多くの人が日々口にするあいさつの尊さをもう一度考えたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=175338
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国交省/7月1日付幹部人事発令/事務次官に水嶋智氏

 国土交通省は1日付で幹部の人事異動を発令する。事務次官に水嶋智氏、国土交通審議官は塩見英之氏が就く。
 官房長に黒田昌義氏を起用。総合政策局長に鶴田浩久氏、国土政策局長に佐々木正士郎氏、不動産・建設経済局長に楠田幹人氏、住宅局長に宿本尚吾氏、道路局長に沓掛敏夫氏、水管理・国土保全局長に林正道氏、都市局長に中田裕人氏、港湾局長に安部賢氏が就任する。
 建設業を所管する不動産・建設経済局では、官房参事官(建設人材・資材担当)に伊勢尚史氏(前海事局内航課長)、国際市場課長に羽矢憲史氏(観光庁観光産業課長)を充てる。直轄工事などの発注行政を担当する官房技術審議官は小林賢太郎氏が就く。
 中部地方整備局長は森本輝、近畿地方整備局長は齋藤博之、中国地方整備局長は杉中洋一、九州地方整備局長は垣下禎裕の各氏が務める。北海道開発局長に遠藤達哉氏を起用する。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=175335
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福祉共済団/保険金区分、6000万円に引き上げ検討/26年度実施へ調査・検証

 建設業福祉共済団(茂木繁理事長)は、年間完成工事高契約の最高補償額に当たる保険金区分を現在の5000万円から6000万円に引き上げる検討を始めた。2021年10月に保険金区分5000万円を新設したが、より高額な示談金を払う事例が増えている。保険金区分を改正し26年度から実施したい考え。実態調査や検証を行い厚生労働省や国土交通省ら認可官庁に申請する。

インタビュー/東北アライアンス建設・陰山正弘社長/共創の追求で新たな価値を

 東北6県の地域建設会社7社とみずほ銀行が共同出資で6月30日に「東北アライアンス建設(TAC)」を設立した。地域が直面する課題と正面から向き合い単独では難しかった価値の創造や業種を超えた連携を目指す。社長に就いた陰山正弘氏(陰山建設代表取締役)は「周囲の期待を重く受け止め建設会社、建設業界の価値を高める可能性を追求したい」と話す。

九大箱崎キャンパス跡開発/住商グループが基本計画検討状況を公表/安全性などに配慮

 九州大学箱崎キャンパス跡地(福岡市東区、区域面積約28・5ヘクタール)の開発事業を巡り、土地利用の優先交渉権者である住友商事を代表とするグループが基本計画の検討状況を公表した。昨年4月の企画提案の内容から、一部施設の配置場所や仕様を見直した。居住ゾーンでは歩行者の安全性・回遊性の向上とともに、圧迫感軽減につながるよう、建物の高さや形状、配置とする考えを示した。