2026年7月15日水曜日

話題の技術/応用地質の樹木健全度診断/地中レーダーで完全非破壊かつ迅速に

 応用地質は、地中レーダーに関する特許技術を活用し、自治体などが管理する樹木の適正管理を支援している。樹木を傷つけることなく、わずか数分で内部の空洞や腐朽の有無を把握できる。診断結果は地理情報システム(GIS)で樹木の位置情報とひも付け、一元管理する。診断から維持管理までをワンストップで提供し、PDCA(計画・実行・点検・改善)サイクルを支える。
 2021年12月には、地下空洞探査に用いる地中レーダー技術を応用した樹木の簡易診断技術で特許を取得した。開発に携わった地球環境事業部自然環境部の石澤伸彰部長は「全ての木を精密診断するには時間もコストもかかる。簡易診断で対象を確実に絞り込み、効率よく危険木を把握できる」と胸を張る。
 同社が自治体などに提供する樹木管理ソリューションでは、まず予備調査として樹木の外観を目視で確認する。樹種や樹高などの基礎情報を収集して、レーダーを当てる位置を決める。
 続く簡易診断では、特許技術を活用し、2台の地中レーダー機器で樹木内部に透過波を送る。2基の送受信アンテナのうち送信用は固定し、受信用は幹に沿って移動させながら電波を受信。その特性を分析し、精密診断が必要かどうかを判断する。診断は1本当たり数分程度で終わり、結果もその場で確認できる。このため1日当たり約100本の判定が可能だ。
 電波が減衰して途切れた場合は、幹内部に空洞や腐朽の疑いがあると判断し、精密診断へ移る。地中レーダーで幹内部を詳しく調査し、その結果を基に断面図を作成。腐朽率を算出して倒木リスクを評価する。「精密診断に要する時間も非常に短い」と石澤氏。測量を含めても1断面当たり約30分で済み、1日15~20断面を測定できる。
 同社は17~25年度に、全国34件の街路樹や公園樹木などの点検・管理業務を担当。26年度に入ってさらに1件を受託した。自治体に加え、企業や神社でも導入実績を重ねる。相次ぐ倒木事故を背景に、引き合いはさらに増えているという。
 従来の樹木管理では、自治体職員による日常点検や樹木医の外観調査を経て、精密診断の対象を選定している。外観調査ではキノコの発生や害虫被害などを目視で確認するが、内部の状態までは把握できず、見逃しによる倒木を防ぎ切れないのが実情だ。
 そこで同社は、日常点検・外観調査と精密診断の間に特許技術を活用した簡易診断を組み込み、効率的に対象を絞り込むスクリーニング手法を確立し、提案している。
 さらに、GISを基盤とする「樹木管理データベースシステム」も構築した。1本ごとの健全度に加え、位置情報や次回診断の内容、実施年度などをひも付け、地図上で一元管理する。毎年度の診断・管理計画の策定にも活用できる。
 全国では倒木事故が後を絶たない。国土交通省は3月、自治体向けの街路樹点検指針を策定し、通学路沿いの街路樹などを対象に定期巡回を基本とする方針を示した。一方、同省が24年度に自治体を対象に実施した調査では、21年4月~24年11月の間、都道府県の33%、市町村の68%が街路樹の定期巡回を実施していなかった。
 石澤氏は「樹木の診断結果や位置情報をデータとして蓄積している自治体はまだ少ない。診断技術と合わせて、効率的な樹木管理を支えたい」と話す。街路樹の一斉点検に加え、天然記念物や神木などにも対象を広げ、計画的な維持管理の実現に貢献していく。


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from 技術・商品 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=186050
via 日刊建設工業新聞

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