成和リニューアルワークス(東京都港区、大石憲寛社長)が開発した「リクリアビジョン」は、建設現場に設置する濁水処理プラントの自動運転を支援するシステムだ。従来は運転員が現場で対応してきた装置の調整を、過去のデータを基にクラウド経由で制御する。3月に初適用した九州地方の建築プロジェクトの造成工事現場では、運転員の1日当たりの作業時間を約半分に短縮した。AIを活用して運転制御機能のさらなる高度化を目指す。
リクリアビジョンは、現場で濁度・pH(水素イオン指数)・流量などのデータを収集し、MODE(東京都千代田区、上田学最高経営責任者〈CEO〉)が提供する現場の遠隔監視クラウド基盤「ビズスタック」に送信する。過去の運転データから最適化した処理条件に基づき、薬品用ポンプや高分子添加ポンプ、原水調整弁を自動制御し、薬品使用量を最適化する。
特に効果を発揮するのが、処理水が所定の基準を満たさない異常時だ。この場合、自動でクラウドに蓄積された過去データから、最新の処理原水の濃度に近く、処理結果が良好だった運転データを検索。その内容を参考に制御値を切り替える「過去再現運転」に移行する。開発した運転制御の自動化システムと従来の遠隔監視機能を組み合わせることで、運転コストと運転員の作業負担を大幅に軽減した。
現場で扱う濁水処理プラントの処理能力は一般的に1時間当たり約5~約300立方メートル。成和リニューアルワークスの試算によると、処理能力が大きいほど従来設備に比べて運転コストの削減効果が高まる。処理能力が30立方メートル程度まではほぼ変わらないものの、150立方メートル程度になると約6%の削減を見込む。
初適用した造成工事現場では、薬品使用量を31%削減した。運転員が現地で行っていた管理業務も1日当たり8時間から4時間45分まで短縮。薬品使用コストの削減に加え、少人数でのプラント運用を可能にした。
1年前からシステム開発に着手した。国を挙げて自動・遠隔施工を推進するi-Construction2・0も意識する。同社によると、遠隔監視クラウドと連携し、濁水処理プラントを自動制御する技術は国内初という。
開発を先導する機械統轄部機械部機械技術営業室の乙坂航平副課長は「省人化につながる技術を共に働く仲間に周知し、改善点を常に意識しながら顧客の要望を捉えていく」と語る。さらに「業界全体で遠隔制御できる機器を増やすため、レンタル会社などとアライアンスを組み、導入支援を進めていきたい」と力を込める。
乙坂氏によると、現在のシステムでは原水の変動に追従して最適化するには限界がある。流入水の水質変動への対応や処理速度の向上を踏まえた制御が課題という。そのためクラウドAIを活用し、さらなる自律運転化を推進する。多様な仮設プラントに対応したメンテナンス手順を生成AIで横断的に呼び出せる機能の実装も目指す。
今後は適用範囲を都市部のシールド工事や山岳トンネル工事などへ順次拡大し、5年以内に10件程度の適用を目指す。同時に、プラント全処理工程の完全自動化を視野に入れ、AIを活用したさらなる省力化に力を注ぐ。
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