ラジオの聴取者はリスナーと称される。テレビにはこうした聞き慣れた言葉が見当たらず、ラジオ好きな人たちを総じた呼称とも言えよう▼1925年に日本のラジオ放送が始まってから来年で100年を迎える。当時は関東大震災(23年)を契機に高まったラジオへの期待が放送開始への後押しとなった。現在も災害時のメディアとしてラジオが果たす役割は大きい▼毎日放送の大牟田智佐子さんが『大災害とラジオ』(ナカニシヤ出版)に書いている。ラジオの災害放送は被害や生活に関わる情報を伝えるだけでなく、被災者らがいつものパーソナリティーの声を聞いてほっとするなど、特性の一つに〈共感〉があるという▼AMとFMとでは違いが見られ、例えばAMはリスナーの声を拾い上げて交流し、FMが音楽や日常の話題で安心を届ける。リスナーの置かれた状況に寄り添い共感して励ましなどを提供するもので、大牟田さんはこれをラジオの〈共感放送〉と呼ぶ▼民間ラジオ放送事業者がAM放送を終了し、FM放送への転換などを検討している。災害時に限らずこれからも大切な共感性はどうか失われないでほしい。
source https://www.decn.co.jp/?p=161731
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