日本の建築界をリードした建築家・前川國男(1905~86年)は、国内に多くの代表作を残した。東京都内では紀伊國屋ビルディング(新宿)や東京文化会館(上野)などとともに、世田谷区役所・区民会館を設計したことでも知られる▼1960年竣工の同区役所は中庭を中心とした施設配置で、当時珍しい開かれた公共建築だった。建物の老朽化で惜しまれつつ建て替えが決まり、2021年に1期工事が始まった▼着工から3年、3月29日に新庁舎の一部と区民会館が完成した。大階段を再現し、中庭も配置するなど、新庁舎は旧庁舎の特徴を可能な限り継承している▼旧庁舎から引き継がれエントランス付近で存在感を放つレリーフは、洋画家・大沢昌助(1903~97年)の作品。いつの間にか灰色で塗りつぶされてしまったが、区民の寄付で竣工時の色彩によみがえった▼今月19日に内覧会も開かれ多くの区民が完成を喜んだ。「これまで以上に開かれた場所になる」と保坂展人区長。旧庁舎関連資料を展示する前川ギャラリーも設置され、新庁舎には日本モダニズム建築の旗手と称される前川の意思が宿っている。
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