石川県内で広域農道として建設中のトンネル現場を7年ほど前に訪れた。楡原(にれはら)層と呼ばれる砂岩と泥岩のもろい地山を掘削する難工事。地滑り対策や安全衛生活動の強化により、災害なく貫通できたという▼現場取材の翌朝、同県輪島市の「朝市通り」に出かけた。朝食での旬の魚の食べ方を刺し身にするか、焼いてもらうかで迷い、定食の豪勢なあら汁に驚かされたのを覚えている▼能登半島地震の発災からきょうで4カ月。被災地では損壊した建物の公費解体が動き出しているものの、さまざまな事情から思うように進んでいないそう。同県の推計によると、申請総数は全体の3割ほどにとどまる▼道路や水道などのインフラ復旧が着実に進展する一方、被災地の多くで家屋が損壊した風景が今も広がっている。輪島市の坂口茂市長は「心情的に復旧、復興が進んでいないと言われる」と明かす▼地震による大火災で焼失した朝市通り跡も手付かずのまま。インフラの本復旧と合わせ、復興街づくりの計画をどう描いていくのか。かつてのにぎわいを取り戻すには困難もあろうが、被災地の未来を追い続けたい。
source https://www.decn.co.jp/?p=163193
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