2023年8月30日水曜日

回転窓/自由研究の苦労と成果

 夏休みを終えて近所の小学校が28日から登校を再開した。朝の登校中に顔見知りの子どもたちに声をかけると、手提げ袋に入っている自由研究の作品を見せてくれた▼女の子は海で見つけた貝殻を写真立てに飾ったそう。利き足とは逆の足でボールを蹴る練習を続け、写真を添えて成果をまとめた男の子もいた。どれも力作だが、どこか保護者の苦労もうかがえるようでほほ笑ましかった▼夏休み期間中、全国各地で建設関係の子ども向けイベントが行われた。土木技術者女性の会東日本支部は、橋梁の点検体験とトンネル工事現場の見学をセットで企画。保護者にも建設の仕事を知ってもらおうと試みた▼点検には日本大学工学部土木工学科構造・道路工学研究室が作成した「簡易橋梁点検チェックシート」を利用。住民目線の点検に配慮されたシートを使い、参加者が歩道の舗装のひび割れや、伸縮装置の損傷の有無などを確認した▼「自由研究に役立つように企画しましたが、お子さんも保護者も熱心に点検してくださいました」と同支部の担当者。夏休みの思い出や自由研究が建設技術者を志すきっかけになればうれしい。

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2023年8月28日月曜日

回転窓/リレー競技のルーツ

 陸上世界一を決める2年に1度の世界陸上競技選手権大会(世界陸上)が19~27日、ハンガリーのブダペストで開かれた。東京五輪がコロナ禍で1年延期されたため、昨年に続く2年連続の開催に。今大会も心に残るさまざまなシーンが見られた▼人気種目のリレーは、男女混合4×400メートル決勝でトップを走るオランダのアンカーがゴール手前で転倒し、猛追してきた米国が世界新記録で優勝した。世界が注目する大舞台で、惜しくも金メダルを逃した選手の心情を思うと胸が痛む▼国際大会の競技種目で使われている距離の単位は、国際標準の「メートル」。その中で4×400メートルの1600メートルリレーは「マイルリレー」とも呼ばれる▼現在のようなリレー競技は、19世紀末に米ペンシルベニア大のF・B・エリスとH・L・ゲイエリンが考案したものだという。1893年、同大とプリンストン大のそれぞれ選手4人が、1人4分の1マイル(約402メートル)ずつ合計1マイル(約1609メートル)を走り競い合った▼それから今年で130年。アスリートたちがバトンをつないでゴールへ向かうリレーは、いつも見る者を魅了してくれる。

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2023年8月25日金曜日

回転窓/レインボーブリッジ30周年

 東京の都心部と臨海副都心エリアを結ぶつり橋「レインボーブリッジ」が26日、開通から30周年を迎える。首都高速道路会社は記念展などイベントを展開中だ▼ライトアップも行われており、26、27の両日は明るい未来への願いを込めて虹色で彩られる。デザイン監修を手掛けた照明デザイナーの石井幹子氏は「レインボーブリッジは東京港の主役」とコメントを寄せた▼同橋の整備に当たっては、利便性とともに景観の美しさを追求。真っすぐに立ち上がっている主塔や橋脚と、つり橋特有の伸びやかな曲線などが組み合わさった優美な姿は、東京を象徴する風景の一つとして定着した▼多数の船が行き来し、羽田空港も近接する制約がある中で、全長798メートルの大規模橋梁を建設する難易度の高いプロジェクトだった。6年半をかけて完成し、その後もメンテナンスしながら休むことなく交通や物流を支えている▼首都高速会社の特設サイトには、お祝いメッセージを掲載。土木の勉強を始めるきっかけになった大好きな憧れの橋--。そうした声もあった。人々の思いもつなぎながら、これからも活躍し続けてもらいたい。

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2023年8月24日木曜日

回転窓/近づく未完の終わり

 工期を定める建設工事で「未完」と形容される建造物は少ない。中でも未完の聖堂として広く知られる世界遺産がスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア。着工から約140年経過した現在も建設が続いている▼建築家アントニ・ガウディが40年以上にわたり聖堂の姿を練り上げ、建設に情熱を傾けた。だが完成には長い年月を要することに。一時は新型コロナウイルスの影響で工事が中断するも2020年10月に再開された▼建物の中心に位置する最も高いイエスの塔が、ガウディの死後100年に当たる26年の完成予定となり、一部はまだ残るが「未完の終わり」が視野に入ってきた。竣工を楽しみにしながらも、未完の聖堂の姿が見られなくなるとさみしさも覚える▼東京・北の丸公園の東京国立近代美術館で展覧会「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が開催中。お盆休みに鑑賞し、多くの図面や模型、最新映像でガウディ建築の魅力に引き込まれた▼〈人間は創造しない。人間は発見し、その発見から出発する〉(展覧会ポスターより)。東京会場の会期は9月10日まで。続いて滋賀、愛知の会場を巡回する。

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2023年8月23日水曜日

回転窓/届け、少年野球選手の思い

 近所の公園で毎朝、小学4年生の男の子が野球のバットを握り、素振りに励んでいる姿を見掛ける。入団した少年野球チームの監督から宿題を出され、自主練習の内容と、その日に楽しかったことを一つ、「野球ノート」に書くのだそう▼バットは卒団した選手からのもらいもの。6年生が使っていたバットは少し長く、重いようだ。まだ試合の経験はないけれど、いつかやってくる初打席で夏休みの努力が報われると信じたい▼JR東海と野球用品大手のミズノが開発した子ども用の金属バットが話題を集めている。東海道新幹線の廃車車両から、独自の溶解・精製技術を駆使して抽出した強度のある高純度のアルミ合金を再利用した▼バットのデザインは、白と青の新幹線カラーのほか、点検車両のドクターイエローをイメージした黄色などを用意。両社は「夢を追いかける少年少女を応援していきたい」という思いを込め、1日に販売予約を始めた▼再生アルミバットの発売予定本数は1400本。10月14日の「鉄道の日」に発売する。コレクターが多く何かと人気の鉄道グッズだが、練習に励む子どもたちの手に届いてほしい。

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2023年8月21日月曜日

回転窓/『はちみつの教科書』から学ぶ

 コクのある甘さが特徴の蜂蜜は、コロナ禍に免疫力を高める効能が改めて注目された自然食品である。近年の健康志向も背景に需要は増加傾向にあるようだ▼人類と蜂蜜の関係は古く、スペインに残る石器時代の壁画に蜂の巣を採る女性が描かれている。古代ギリシャの医学者・ヒポクラテスは、さまざまな治療に蜂蜜を活用した▼自然療法家の有馬ようこさんは、そうした歴史や安心できる蜂蜜の選び方などを自著『〔入門〕世界一やさしい はちみつの教科書』で解説する。蜂蜜がより身近なものに感じられ、抗菌作用を正しく理解するのにも役立つ内容だ▼8月も下旬に入ったが猛暑はまだ続きそう。ミツバチにも真夏の暑さは大敵で、巣内の温度を保つために多くの働き蜂が羽を震わせて送風し、また外から運んできた水の蒸発に伴う気化熱も利用しているのだという。蜂蜜製品販売会社のホームページなどから引いた。蜂の知恵に驚かされる▼蜂蜜にはエネルギーを生み出す全ての要素がそろい、そして人は〈エネルギーが多ければ、他者も思いやれる〉と有馬さん。『はちみつの教科書』からそんな大切なことも学べる。

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2023年8月18日金曜日

京都市立病院機構/京北病院機能在り方検討、契約予定者にシステム環境研究所

 京都市立病院機構は、「京北病院が果たす機能の在り方の検討に係る調査等業務」の公募型プロポーザルで、システム環境研究所を契約予定者に選定した。プロポーザルには同者のみが参加した。  同病院(京都市右京区京北下中町鳥谷3、敷地約1・3ヘクタール)は、京都市の総面積で4分の1を占める京北地域唯一の病院として、1958年に開設。同機構が2011年から運営を手掛け、介護老人保健施設や通所リハビリ施設、居宅介護支援事業所を新設するなど、高齢者医療と介護サービスの拠点として機能を強化してきた。  業務では、同病院が果たすべき役割や必要機能・サービスについて、京北地域の人口減少や高齢化を踏まえつつ、持続可能な在り方を検討するための調査などを実施する。  業務内容は必要情報の調査・収集・分析(京北地域の将来人口推計、医療・介護環境、医療・介護需要推計、在り方提案と収支推計など)や、庁内ワーキングへの対応など。  履行期限は24年3月31日。  予定価格は500万円(税込み)。

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回転窓/台風7号の猛威

 日本列島で台風7号が猛威を振るった。15日に紀伊半島から上陸し、関西地方を縦断して北上。近畿や東海、中国など各地で大雨となった▼鳥取県では鳥取市佐治などで総降水量が500ミリを超えた。道路で土砂流出や護岸崩落などが発生し、復旧作業が進む。今後も不安定な天気が続くため、土砂災害などに引き続き警戒が必要だ▼東海道・山陽新幹線など交通機関も大きな影響を受けた。運行には車両の運転だけでなく、線路の保守などに多くの人が必要になる。乗客にとっての安全・安心な運行はもちろんのこと、見えないところで働く人たちの安全も忘れてはならない▼広島市北部を襲った大規模な土砂災害の発生から20日で9年となる。この災害を契機に土砂災害防止法が改正され、土砂災害の危険性がある区域の明示や、円滑な避難勧告発令などに向けた情報提供などが進んだ▼安全な場所への避難が大事であり、近年は台風前などに早期の避難を求める声が目立つ。そうした中でも行政や地域建設業らは支援や復旧に向かう。「地域の守り手」の存在感を高め、誇りを持って働ける環境の構築も欠かすことはできない。

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2023年8月17日木曜日

回転窓/AI上司

 人材派遣のパーソルホールディングスが就業者10万人を対象に実施した労働観などの調査で、AIに対する受け止めを聞いていた。7%の人が「上司がAIであることに抵抗はない」と回答。若い世代ほど多かった▼AI上司は責任の所在など懸念がありそう。だが、過去の膨大な蓄積を参照して、ニーズを踏まえて総合化することは、AIの方が得意であることも事実▼カーナビゲーションなど多くの分野でAIのアドバイスが溶け込んでいる。対話型AI「Chat(チャット)GPT」などが容易に活用できるようになり、より身近な存在になってきた▼「仲間を信頼すべきだが信用してはいけない」。ある経営者が野球を例に話していた。誰でもエラーをすることがあるから、いつでもカバーできるよう準備しておく。ただ、エラーした選手は次の打席で奮起するかもしれない。だから、仲間を信頼する気持ちが大事なのだと▼AIの導入はどんどん加速していくのだろうが、体調を崩すと判断力が鈍るように、人間が集めた蓄積を参照するAIも間違えることがあるはず。そのことを忘れずに共に歩む姿勢が求められる。

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2023年8月10日木曜日

回転窓/10分間のクーリングタイム

 厳しい暑さの中、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場では高校球児たちの熱戦が続いている。出身校や出身地の高校が活躍するのを楽しみにしている方も多いだろう▼今夏の全国高校野球では新たな暑さ対策として「クーリングタイム」が導入された。選手たちは5回終了後にベンチ裏へ移動し、クーラーや送風機が置かれた涼しいスペースで10分間の休息をとる▼このスペースには、保冷剤を入れた「アイスベスト」や首の周りを冷やす「ネッククーラー」が用意され、体を冷やしたり水分を補給したりする。理学療法士が対応に当たり、サーモグラフィーなどで熱中症の症状がある選手がいないかも確認しているそうだ▼熱中症予防にはこまめな水分補給や適度な塩分の摂取に加え、体を冷やすことが大切と言われる。スポーツだけでなく、普段の生活や仕事でもそうした対策を講じ、パフォーマンスが落ちないよう心掛けたい▼多くの会社や団体などが明日から来週にかけて夏季休暇となる。台風の被害を受けた地域では復旧に追われ、新たに発生した台風の影響も心配されるが、暑さに十分気を付けて体調管理に努めていただきたい。

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2023年8月9日水曜日

長崎県佐世保市/小中学校再編計画案11校に再編、2校は校舎を新たに整備

 長崎県佐世保市は、少子化などに伴い検討している市立小中学校の再編計画案をまとめた。2031年度までに小中学校21校を小学校の統合や義務教育学校とすることで11校に再編する。うち義務教育学校1校と統合小学校1校は対象学校の敷地内で校舎などを建て替え、義務教育学校4校は中学校敷地内に小学校の校舎を増築する。8月中に保護者らに計画案を示し、9月の計画策定を目指す。  施設整備に必要な想定期間が8年以上の長期は対象校が小学校5校と中学校3校で施設一体型義務教育学校1校と小学校3校の統合校1校に再編し、小学校1校と中学校2校の通学区域を変更する。3~5年の中期は対象校が小学校5校と中学校4校で、施設一体型義務教育学校4校に再編。約1年の短期は対象校が小学校3校と中学校1校で、施設分離型義務教育学校と小学校2校の統合校にする。  長期の施設一体型義務教育学校は福石小中学校を統合し、校舎などの老朽化対策のために福石中学校(干尽町)の敷地内で校舎などを建て替える。約20年後の児童生徒数は約350人と推計している。統合する小学校は木風、潮見、白南風の3小学校で、白南風(山祇町)の敷地内で建て替える。約20年後の児童数は約510人と推計している。  中期の施設一体型義務教育学校は宇久中学校(宇久町平)、宮中学校(城間町)、光海中学校(金比良町)、鹿町中学校(鹿町町下歌ケ浦)の敷地内に小学校の校舎などを増築する。  短期については大規模工事は想定していない。  再編を巡っては対象は51校あり、実施期間が22~31年度を第1期、32年度以降を第2期に分けており、今回の計画案は第1期となる。

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回転窓/水の日の教え

 5日に東京都内で開かれた「水のワークショップ・展示会」(主催・水の週間実行委員会)で、小学校低学年の女の子が「川の水をためるの。洪水しちゃうから」と、ダムの役割を父親に話していた▼会場では、気象予報士・敷波美保さんの天気と水循環に関する講演などが行われた。女の子は、敷波さんが出した山に降った雨の行き先などについての質問にすらすらと回答。驚くほどの豊富な知識と、「じゃあこれは?」と関係する質問を出していく父親の教育に感心した▼このワークショップ・展示会は、8月1日の「水の日」と、同日から1週間の「水の週間」に合わせて企画されたイベント。子どもたちが大きさの異なるコップで水をすくうなどして、昔と今の水の消費量の変化などを学んだ▼水資源の有限性や開発の重要性に理解を深めてもらおうと、1977年に水の日は制定された。会場で報道席の前に座った親子のやりとりを見聞きし、そのコンセプトがしっかりと浸透しているように感じた▼父親から答えが分かった理由を聞かれ、「本で読んだ」と女の子。読書の大切さも改めて教えられる今年の水の週間となった。

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2023年8月8日火曜日

回転窓/車窓からの打ち上げ花火

 先週末、帰宅途中の電車の車窓から打ち上げ花火が見えた。夜空を彩る幻想的な風景にしばし目を奪われ、夏の風物詩を楽しむ日常が戻ってきたことに喜びを感じた▼花火大会は屋外のイベントのため天候に左右され、雨や風の影響で中止になることも。大会関係者らは気象予報に細心の注意を払いながら、開催の可否を判断する。多くの人が楽しみにしているイベントも安全の確保が最優先される▼長年の研究や蓄積した知見・データなどにより、気象予報の精度も向上している。とはいえ自然が相手なので予報が外れることもしばしば。今月初め沖縄周辺に襲来し、大きな被害をもたらしている台風6号の迷走も予想が難しかったようだ▼各国の気象機関が計算した進路のシミュレーション結果はばらつきが非常に大きく、予想進路が大きく変わる可能性を示唆していた。今後の予報円や予想進路の動向など、台風情報には引き続き注意が必要だ▼花火大会には迎え火・送り火の一環で慰霊・鎮魂の目的と合わせ、悪疫退散など平和な日常への祈願の意味合いもある。これから本格化する台風シーズンを大過なく過ごせますように。

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2023年8月7日月曜日

回転窓/2024年問題と人材育成

 夏は就職活動中の学生には大切な季節である。2025年卒の就活生から、一定要件を満たすインターンシップ(就業体験)であれば企業は取得した学生の情報を採用活動に生かすことが可能になった▼マイナビが大学3年生と大学院1年生を対象に行った調査では、学生情報を採用選考に利用するインターンシップに「参加したい」の回答が8割に上った。早い段階から就職に少しでも有利に働く機会を求めている若者の心境がうかがえる▼いつの時代も企業にとって若手社員の育成は大きな課題に変わりない。だが「この4年ほどで難しい問題が顕在化してきた」と、既に罰則付き時間外労働の上限規制が適用されている建設関連業の人事担当役員は話す▼時間の管理が厳しく行われる中、若手の仕事を上司や先輩が先回りして進行させるのが目立つようになったのだという。これからの会社を担う人材が、それで実践的な対応力とスキルを高めていけるのか。働き方改革を後退させることなどありえず、担当役員は頭を悩ませる▼建設業に上限規制が適用される24年問題でクリアするのは、どうやら時間の壁だけではない。

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2023年8月3日木曜日

回転窓/大会後のレガシー

 2024年にフランス・パリで開催される五輪・パラリンピック競技大会に向け、代表内定や参加標準記録突破といった報道が増えてきた。さまざまな種目の選考会は熱を帯び、手に汗を握り観戦している方も多いだろう▼史上初めて3年間隔で開かれるパリ大会の開幕まで1年を切った。五輪は7月26日~8月11日に32競技329種目、パラリンピックは同23日~9月8日に22競技549種目が行われる▼パリ大会はスポーツ会場だけでなく、パリのランドマークが競技の舞台になる。セーヌ川北岸にあるコンコルド広場でBMXフリースタイル、エッフェル塔の前でビーチバレー、ベルサイユ宮殿で馬術などと、スポーツと文化遺産が融合する。テレビ中継では熱戦とともに映り込む名所も楽しめそうだ▼一昨年の東京五輪・パラリンピックでは、1964年大会に建設した国立代々木競技場でハンドボール、新国立競技場では開・閉会式や陸上競技などを実施。レガシー(遺産)を活用し、新たなレガシーも創出した▼大会後にそうしたレガシーが都市の魅力にどうつながっているのか。パリ大会を前に改めて注目したい。

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2023年8月1日火曜日

回転窓/地球沸騰化時代に突入

 さすがにこれだけ厳しい暑さの日が続くとバテ気味になる。ささやかな抵抗だが、外出時は太陽の日差しから逃れるために地下街を通ったり、建物の影に入ったりしながら移動している▼最近は男性でも日傘を差す人が目立つ。軽量で晴雨兼用など、高機能な商品が増えているようだ▼日傘も色と素材の違いで紫外線カット率や遮熱などの効果が変わる。黒は光を吸収して紫外線を抑え、カット率が白よりも高いとされる。日焼け対策を考えると白よりも優れるが、黒は赤外線を吸収するので傘自体が熱を持ち、暑さ対策には不向きという▼世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関が先週、今年7月は観測史上最も暑い月となる可能性が「極めて高い」と発表。これを受け、グテレス国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が来た」と警告した(時事)。より厳しい表現でカーボンニュートラル(CN)関連の取り組み強化を訴える▼7月31日発行の本紙暑中特集「新CN市場展望」では、脱炭素と経済成長の両立に向けた最新動向などを紹介している。建設産業に求められる役割は大きい。

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