2023年11月30日木曜日

回転窓/拝観料の値上げ

 約2年にわたる値上げの波は身近な食品や光熱費だけでなく、さまざまなモノやコトに広がっている。その一つが社寺の拝観料。先日、奈良市にある東大寺が資材高騰で文化財の修理費用がかさんでいるなどを理由に、来年4月から大仏殿などの拝観料を値上げすると発表した▼大仏殿、法華堂(三月堂)、戒壇堂、東大寺ミュージアムの各拝観料を大人(中学生以上)600円から800円に、小学生300円から400円に引き上げる。30人以上の一般団体は550円から700円とし、高校生以下は据え置く▼寺によると、新型コロナウイルスの感染拡大により参拝客が減り財政状況が悪化。2019年に300万人を超えた参拝者数がコロナ禍で2~3割に激減し、積立金を切り崩すなどしてしのいできたそうだ▼数年以内に南大門の屋根の修理を予定するが、資材価格の高騰で調整が難航。老朽化した防災・防犯設備の更新や防犯カメラの設置も必要という▼こうした悩みは多くの社寺が抱えていよう。拝観料の値上げは訪れる人にとってあまりいい話ではないが、値上げ分を文化財の保護に生かし未来につないでほしい。

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2023年11月29日水曜日

回転窓/正しい後出しじゃんけん

 近所の幼児教室が知能教育の一つに後出しじゃんけんゲームを取り入れている。「勝ち」「負け」「あいこ」を先生が決めてからグー・チョキ・パーのどれかを出し、幼児は先生が指示した結果になる手を選ぶ▼掛け声は「後出しじゃんけんぽん・ぽん」。初めの「ぽん」で先生、一拍おいた「ぽん」で幼児が手を出す。楽しみながら瞬発力や思考力を養えるゲームとして始めたのだそう。「なかなか終わらせてくれません」と先生が笑顔で話しているのを聞いた▼複合施設や庁舎の整備を計画する際、サウンディング調査を行う公的機関が増えている。民間事業者にとっては、調査や資料作成などの費用と労力を伴うが、上流の貴重な情報を早い段階で得られるなど参加のメリットは少なくない▼ある公的機関は、調査に参加した民間事業者からの提案と比較した上で、手持ちの計画案の採用を決めた。事業費が最も安くなるのが最大の理由だと説明していた▼ルールに基づいた調査と政策判断の結果を問題にしたいわけではない。ただ、誰かにとってはちっとも面白くない後出しじゃんけんになったのではないか、と少し気になった。

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2023年11月28日火曜日

回転窓/冬将軍の到来

 11月は寒暖差の激しい日が続いている。先週後半からは強い寒気が南下し、冬将軍が本格的にやってきた▼冬型の気圧配置が強まった24~25日、雪の範囲が北海道から東北、北陸へと広がり、北日本の秋田、山形、福島、仙台などで初雪を観測した。北海道では今季初の暴風雪警報を発表。冬季は雪だけでなく、路面凍結にも十分注意する必要がある▼東日本高速道路会社が国内初のロータリー除雪車の自動運転を実現し、今冬から北海道の道央自動車道で適用するという。高精度な地図情報と準天頂衛星システムで得た測位情報により、車両の走行と除雪作業の操作を自動化。熟練の技術や経験に頼らず、作業員も従来の2人から1人で済む▼これから本格化する道路などの除雪作業では、地域建設業が大きな役割を担う。出動要請に素早く対応するため、作業員の待機や除雪機械の保持といった負担も小さくない中、地域の守り手としての責務を果たす▼積雪寒冷地域の山間部などでは過疎化が進み、除雪に要する人手の確保も難しいのが実情。建設・インフラDXの深化と合わせ、持続可能な建設業の取り組みは待ったなしだ。

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2023年11月27日月曜日

回転窓/からくり技術と文化

 江戸時代に書かれた『機巧図彙(からくりずい)』は、和時計やからくり人形の仕掛けを解説した名著として知られる。当時は江戸での刊行に続き、大阪、京都で再版される人気の本であった▼著者の細川半蔵頼直は柱時計や茶運び人形などの仕組みを図解。現代語訳が付いた『完訳からくり図彙〔注解付き〕改訂版』(編訳・村上和夫、並木書房)を読むと、機巧図彙は国際的に貴重な文献であると高く評価されているという▼現代にも名著と評されるのはからくり技術の指南だけでなく、〈人と共存する独自のロボット文化〉を育んだ原点があるから。「ロボットが人間の愛すべきパートナーとなることさえ示している」と博物学者・荒俣宏氏は推薦文を寄せている▼建設産業ではこれまでも作業を自動化するロボットなど、生産性向上へさまざまな技術開発が進められてきた。ここ数年で建設用3Dプリンターが実用段階に入り、DXなども進展し建設生産の可能性は広がりを見せる▼もの造りの現場はどう変わるのか。その近未来像を発信することも必要だろう。後世になって評価される新たな建設技術文化は、今この時に育まれている。

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2023年11月20日月曜日

回転窓/短い秋を味わう

 きょう11月20日は「ピザの日」。食品メーカーで構成するピザ協議会のホームページにその意味が書かれている▼1889年、イタリア王妃・マルゲリータがナポリを訪れた際、有名なピザ職人からトマトとモッツァレラチーズ、バジルで国旗の色を模したピザが献上された。これを王妃が大変気に入り、「ピッツァ・マルゲリータ」の誕生となった。ピザの日は王妃の誕生日に由来する▼子供から大人まで人気のピザは、2022年度の国内市場規模が年間約3279億円に上るという。同協議会の推計(末端売上高)によるもので、1994年の調査開始以来、2021年度に続いて過去最高を更新した▼ピザ好きが高じて、以前に自宅の庭でれんが製の石窯作りに挑んだことがある。材料を買いそろえて始めたものの、なかなかうまくいかず途中で断念。行き場をなくした耐火れんがのいくつかが今、小さな花壇の仕切りになっている▼近所のイタリア料理店で先日、秋のイチジクと4種のチーズを乗せて焼く季節限定の一品がメニューに加わった。今年の短い秋の味を楽しみたい。プロの料理人が作るおいしいピッツァで。

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2023年11月17日金曜日

回転窓/国際男性デー

 今年になって取材先の知人である男性2人が育児休暇を取得した。しばらくして復帰の連絡が入り、大変ながらも子育てを楽しまれているようだった▼積水ハウスが小学生以下の子どもを持つ男女を対象にした調査を6月に実施。男性の育児休業取得率は24・4%の約4分の1にとどまっているものの、2019年実績(9・6%)から大きく伸びている▼11月19日の「国際男性デー」は、1999年にトリニダード・トバゴで始まった取り組みが由来とされる。男性や男児の心身の健康に目を向け、ジェンダー平等を促すことが狙い。各地で展示やシンポジウムが開かれる▼「男性も生きづらい部分がたくさんある。男性自身がこの問題に目を向けて、自分を変えていくといい」。男性学研究者の伊藤公雄京都産業大学教授が、国立女性教育会館(萩原なつ子理事長)のインタビュー企画で指摘していた▼男性だけを意図したものではない。「男性が変わらないとなかなかジェンダー平等が進まない」(伊藤氏)ことが背景にある。互いに認め合いながら、支え合う姿勢が大事。男性の育児休暇取得の促進も重要な一歩となる。

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2023年11月16日木曜日

回転窓/2023年11月の渋谷

 1日当たり乗降客数200万人超の巨大ターミナル渋谷駅(東京都渋谷区)。駅前広場に立つ「忠犬ハチ公像」といえば待ち合わせ場所としてあまりにも有名で、国内だけでなく海外にも知られているそう▼飼い主亡き後も駅前で主人を待ち続けたハチの逸話は今も人々の胸を打つ。「忠犬」と呼ばれることになるハチは10日に生誕100年を迎えた。銅像のある渋谷区では各所で記念イベントが開かれ、街を挙げて記念日を盛り上げている▼その一環で、ハチが部屋の中に入ってベッドの上に座っているかのように飾り付けたアート作品が12日限定で出現した。普段外にいるハチが部屋の中にいる逆転現象は、通り掛かる人たちの目を楽しませ、想像力を大いに刺激しただろう▼ハチが見つめ続ける渋谷は今、100年に1度と言われる大規模再開発の真っ最中。JR渋谷駅では機能更新と再編、駅ビルの再開発が一体的に進行している▼JR東日本は渋谷駅の線路切り替え工事に伴い、17日終電~20日始発に山手線一部区間の運休を予定。限られた時間内での施工となるが、練り上げた計画の下、作業を安全で無事に終えてほしい。

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2023年11月15日水曜日

回転窓/人と技術が出会う場に

 お世話になった道路舗装会社の技術者に展示会で偶然再会した。定年退職を迎え、再雇用制度によって技術営業部門のスタッフとなり、展示ブースの説明役を担っているのだと言う▼新型コロナウイルスの5類移行もあり「どこの展示会も盛況で、他社の同世代の仲間に会えるのも楽しい」とその人が話してくれた。技術や製品の紹介だけでなく、そうした交流の場になるのも展示会には期待される▼市場調査会社が行った調査によると、展示会に「行きたい」と回答した人の割合が、今年は感染症のまん延防止等重点措置が解除された時に比べて20ポイント上昇した。感染が心配なため「行きたくない」は5%にとどまった▼調査会社は会場で注目される「繁盛ブース」も話題に上げている。デザインや説明員の立ち位置などこつはいくつもあるようだ。出展者は来場者にそれぞれのPRポイントができるだけ分かりやすく伝わるよう工夫を凝らす▼「建設技術展2023関東」(日刊建設工業新聞社主催)がきょう15日と16日に東京・東池袋のサンシャインシティで開かれる。今年も多くの方々と技術が出会う場所としていただきたい。

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2023年11月14日火曜日

回転窓/トイレを交流拠点に

 先週11月10日の「いい(11)トイレ(10)の日」に、日本トイレ研究所が「日本トイレ大賞2023」の授賞式を開いた。グランプリには埼玉県所沢市の水道工事会社、石和設備工業による公衆トイレを核とした地域活性化事業が輝いた▼自社敷地内にコミュニティースポットの概念を取り入れた公衆トイレ「インフラスタンド」を整備。シェアサイクルステーションやフリーワイファイ、自動販売機も設け、地域の交流拠点としての役割を担う▼マルシェ「KAWAYA市」を定期的に開き、公衆トイレのネガティブなイメージを拭い去り、人が集うにぎわいづくりを進める。清潔で多機能なインフラスタンドの整備・運営を通して、水道工事の新たな魅力発信につなげる狙いも▼日本トイレ大賞は生活に不可欠なトイレ環境の改善を促し、インバウンドのおもてなしのほか、女性が働きやすい社会を形成するなどの理念から国が2015年に創設。女性活躍推進の一環で、工事現場に設置する快適トイレも受賞している▼人材確保には、男女問わず働きやすい職場環境が不可欠。現場で働きたくなる快適トイレの普及に期待したい。

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2023年11月13日月曜日

回転窓/塩せんべいとこだわり

 小説家・子母澤寛(1892~1968年)の随筆集『味覚極楽』に「日本一塩煎餅〈鉄道省事務官 石川毅氏の話〉」と題した章がある。塩せんべいを好んだ石川のこだわりがよく分かり面白い▼〈舌の上でぴりっと醤油(しょうゆ)の味がして、焼いたこうばしさがそれに加わって…〉。こう話す石川は全国の塩せんべいを食べて回った。お茶を飲むのは残り味が舌の上で消えるか消えないかの時で、そのお茶もあっさりした味の番茶に限ると。酒のつまみにもしていた▼ところでしょうゆ味のせんべいが塩せんべいと称されるのはなぜか。もともと塩せんべいは雑穀に塩を加えて焼いたものだったが、米を原料にしょうゆ味で作られるようになり、これが好評で関東の塩せんべいを代表する味になったようだ(『お菓子の日本語文化史』和泉書院)▼かつてせんべいは球状の地球びんに入り1枚単位で売られていた。今もこのスタイルを守る老舗があり、そんな店を訪れて買うのは楽しい▼ちなみに地球びんは形状からせんべいをまとめてざっと入れても割れにくいのだとか。作る側も食べる側もこだわりを持ってこその食文化である。

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2023年11月8日水曜日

回転窓/横断歩道の思いやり

 車で聴いていたFMラジオの番組で、リスナーから寄せられた運転中の出来事の話を紹介していた▼ある日、信号のない横断歩道を渡った小学生が、一時停止した車の運転手に向かって深くお辞儀してお礼するのを見かけた。運転手に目を向けると、小学生に笑顔で小さく手を振っていたそう。増えたらいいなと思える場面が目に浮かび、温かい気持ちになった▼日本自動車連盟(JAF)がまとめた「信号機のない横断歩道」に着目した2023年の調査によると、道路を渡ろうとする歩行者がいる場合に一時停止した車の割合(一時停止率)は全国平均で45・1%。前年より5・3ポイント高かったが、依然として半数以上の運転手は止まらず走り続けているのが実態だ▼調査はJAF職員が歩行者となって8~9月に全国で実施。都道府県別の一時停止率は長野県で80%を超えた一方、低いところでは20%台が複数あった▼ちなみに番組放送局のある県の一時停止率は昨年までの20%台から31%へ上昇。番組で紹介された小学生と運転手のような振る舞いが広がれば、一時停止率はさらに高まるだろう。思いやりの連鎖を期待したい。

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2023年11月7日火曜日

日本テレビ放送網/二番町計画(東京都千代田区)/延べ8・7万平米の複合機能棟建設

 日本テレビ放送網は東京都千代田区の旧本社跡地で計画している「日本テレビ二番町計画」の概要をまとめた。新たに延べ約8万7500平方メートル、高さ約80メートルの「複合機能棟」を建設。周辺に60メートルの高さ制限が設定されているため、同棟は60メートル以上の上層部をセットバックして隣接道路からは見えなくする。地上には約2500平方メートルの公園も整備。区は内容を了承済みで、今後都市計画法で定める素案・案の縦覧手続きに着手する。  区が6日開いた都市計画審議会に報告した。計画地は二番町14(面積約1・5ヘクタール)。東京メトロ有楽町線麹町駅に直結する。同社は敷地東側(約0・5ヘクタール)に「日本テレビ番町スタジオ」を建設し、大成建設の設計・施工で2018年に完成した。現在は敷地西側(約1ヘクタール)の利用計画を検討している。現況は駐車場や、暫定利用の緑地となっている。  今後は南側に複合機能棟を建設し、商業や業務、エリアマネジメント拠点といった機能を入れる。高さ60メートルでセットバックして階段状になる部分は緑化する。地下鉄駅とを結ぶバリアフリー動線の整備も計画している。  建物北側の低層部はピロティ構造とし、北側に整備する公園の面積を広げる。芝生広場を設け、四季を感じられる樹木も植える。完成後は地域住民の憩いの場として開放する。  同社が今回示した計画は、住民の理解を得るために区が要請した内容を踏まえた修正案となる。同社は22年、区に都市計画提案を提出。容積率の最高限度を700%、高さの最高限度は90メートルに設定する内容で、同社は高さ約90メートルのビル建設を計画していた。住民の意見や区の要請を踏まえて計画を修正した。

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回転窓/冬支度も油断大敵

 11月の異名として一般的な「霜月」は、現在の新暦で12月ころに当たる。このほか「霜降月」「霜見月」「雪待月」「雪見月」など霜や雪に関する呼称が多く、本格的な冬の到来を連想させる時節とされる▼現代の季節感と比べると、新・旧暦の違いだけでは説明できないズレが生じているようだ。先週後半から季節外れの暑さとなり、各地の最高気温も25度以上の夏日が続出。沖縄や九州の一部では30度以上の真夏日になるところも▼普段なら冬用に衣替えを済ませている時期だが、夏物をしまえずにいる方も多かろう。気候変動の影響が日々の暮らしにも広がりつつある▼気象庁が先月発表した11月から来年1月までの3カ月予報によると、日本上空の偏西風が平年より北側を流れ、寒気の南下が弱くなる見通し。平均気温は北日本(北海道と東北)で平年並みか平年より高く、東・西日本と沖縄・奄美地方で高いとしている▼全国的には暖冬傾向のようだが、降水量は平年並みか多く、降雪量は地域によって一時的に強い寒気が入ることで大雪になる可能性もあると警鐘を鳴らす。除雪対応などを含め油断せずに冬支度を進めたい。

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2023年11月6日月曜日

回転窓/ウクライナの復興を願って

 ロシアによるウクライナ侵攻が、依然として解決を見いだせずにいる▼ウクライナ側が提唱する和平案「平和の公式」を協議する国際会議が先月28日、マルタで開かれた。ロシア軍の撤退や領土の回復などを求める内容。日本政府は、ウクライナ支援とロシアへの制裁を続ける方針を表明した。ロシア側は和平案に拒否する姿勢を示している▼ウクライナでは厳しい冬が近づきつつある。本来は今すぐに復旧・復興に取りかかるべきだが、悲しいことにその状況にない。一刻も早い停戦が求められる▼国際協力機構(JICA)が1日、ウクライナの復旧・復興促進への体制整備で首都キーウの事務所を再開した。「今後の復旧・復興フェーズで支援を本格化させていく中で、多岐の分野にわたる支援を迅速かつ着実に実現していく」。上川陽子外務相は定例会見で語った▼来年初めには「日・ウクライナ経済復興推進会議」が開催される予定だ。日本には戦禍や度重なる自然災害から復興してきた経験がある。必要になった段階で即応できるよう準備し、同国の人たちが安全・安心に暮らせる環境を一日も早く取り戻してもらいたい。

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2023年11月2日木曜日

回転窓/観光需要増の光と影

 昔懐かしいレトロなコッペパンが名物のお店に立ち寄ると、大きなキャリーバッグを持った外国人の家族が楽しそうにパンを選んでいた。インバウンドであろうか、駅から遠く分かりにくい場所にある小さな店舗をよく見つけたものだと感心した▼思わぬところで旅行者に遭遇したが、観光庁の統計によると9月の訪日客数は約218万人で、コロナ禍前の2019年9月と比べて96%の水準まで回復。中国からの訪日を除くと128%になるそうだ▼国内外の観光需要が回復し多くの観光地でにぎわいを取り戻している。一方で観光客の急増により地元住民の生活や自然環境に悪影響が及ぶオーバーツーリズム(観光公害)が顕在化。バスや鉄道の混雑、ごみの放置、騒音などの問題が観光地の魅力低下につながると懸念される▼政府は先月、オーバーツーリズム防止に向けた対策パッケージをまとめた。混雑状況に応じて交通機関の運賃設定を変える取り組みなどが柱で、全国20地域を選んで年度内にもモデル事業が始まるという▼今後さらなる混雑も想定される中、観光客の受け入れと住民の生活の両立を図る対策が急がれる。

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2023年11月1日水曜日

回転窓/気持ちは伝わる

 携帯ショップで初めてスマートフォンを買ってもらった小学生の男の子が、契約手続きを担当した若い男性店員に「ありがとうございました」とお礼を言っていた▼店員は新人なのだそう。契約書に記入する保護者に「あっ、こっちこっち」「誕生日、僕と1日違い」などの言葉で話しかけるのは気になったが、マニュアルを見たり先輩に聞いたりしながら、丁寧に分かりやすく説明しようと努める対応に好感を持てた▼企業や団体がリカレント教育に力を入れている。技術者に「学び直し」の場を提供する建設業団体のトップは「常に新しいことを学び、自分を振り返ってほしい」と強調する▼リカレント教育は仕事に生かす知識やスキルを高めることで、活躍の場を広げられるなどのメリットが期待できる。この建設業団体は「技術者が相手の気持ちを考えるのは大切なこと」と捉え、リカレント研修で知識の習得だけでなく他社の技術者との交流を深めるよう求めている▼他人をおもんぱかる気持ちはキャリアにかかわらず相手に伝わる。店を出る時に「優しい人だったね」と笑顔で話す男の子がそう教えてくれた気がする。

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