2024年1月9日火曜日

回転窓/波の花と朝市の地に

 海岸に舞う「波の花」は、石川県の奥能登の冬を彩る風物詩として知られる。強い季節風により岩場で砕けた波が泡状になって浮遊する。その光景はまるで花吹雪のようだという▼もう数十年前のことになる。高校時代に友人たちと寝台特急やバスを乗り継ぎ訪れたのが冬の能登。波の花を見るのが楽しみだったが、残念ながら風も弱く条件が合わない日で希望はかなわなかった▼能登半島地震の発生から9日目を迎えた。元日の穏やかなひと時が一変し、繰り返し強震に見舞われた恐怖はどれほどのものであったろう。津波の恐ろしさも改めて痛感させられた▼大規模火災が起きた輪島市の朝市通り一帯では約200棟が延焼した。10代の旅行で楽しい思い出をつくれた地であり、変わり果てたまちの姿に言葉を失う▼先週末時点でも被害の全容が分からず、発表される犠牲者数は日を追うごとに増える。道路の寸断で輪島市や珠洲市などの一部地域が孤立。県内の広い範囲で断水も続いている。災害に対する安全性を高めるためにどれだけの教訓を得ればいいのか。安全で安心できる国・地域づくりへの歩みはこれからも続く。

source https://www.decn.co.jp/?p=159929

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