2024年6月10日月曜日

回転窓/先人からの手紙

 社内で書棚を整理していると、建設会社の社長を務められた方からの手紙を見つけた。封筒の消印に30年以上前の日付が記されている▼宛名は日刊建設工業新聞社の先代社長。今は鬼籍に入っている2人の間で手紙のやりとりがあったようで、当時の建設業界を知る人であればつづられた内容のことがよく分かる▼公共工事を巡る不祥事が相次いだため、入札契約制度が大きく変わろうとしていた頃である。そうした中で手紙の送り主は、建設業界が直面する問題を念頭に「変えたからといってそれだけで解決出来るものではない」と書いている▼そして「建設業の抱えている背景がどんなものか理解もしないで正面だけを見、横、背面を見ていません」と、国の審議会で進められていた議論に懸念を示す。文面からは社長在任中に起きたことへの忸怩(じくじ)たる思いや新体制となった会社への期待、今後の建設業界をどれほど案じていたかが伝わってくる▼激動のただ中にいた建設人が何を考え、どのような問題意識を持っていたのか。その後も時代は目まぐるしく変わってきたが、一通の手紙から多くの教訓が読み取れる。

source https://www.decn.co.jp/?p=164308

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