旧暦の5月ころ(現在の6月ころ)の長雨を表す「五月雨(さみだれ)」。今も昔もこの時期には日本列島に梅雨前線が停滞し、全国各地で雨が降り続ける▼〈五月雨を集めてはやし最上川〉(松尾芭蕉)。元の句では「はやし」を「涼し」といったん詠んだものの、その後の川下りで増水による流れの激しさを感じて詠み直したそう。初夏の風流な様子よりも、日本三大急流での危険な体験が俳人の心を揺さぶったのだろう▼梅雨入りが今年発表された地域は3日時点で沖縄・奄美のみ。平年では5月下旬~6月中旬に九州から東北地方で順次発表される▼梅雨期は大雨による災害が発生しやすい時期だ。1999年6月の広島豪雨災害は、土石流や崖崩れなどで人命や家屋に甚大な被害をもたらした。翌年には国が土砂災害防止法を制定。危険区域を明示し、警戒避難態勢の整備、住宅等の移転や立地抑制などの対策を推進している▼豪雨災害は勘弁願うが、農作物にとっては恵みの雨。夏以降に必要な水を蓄える時期でもある。治水と利水の両面から、人々の暮らしとなりわいを守るための継続的な取り組みが求められる。
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