2024年8月26日月曜日

回転窓/戦後80年の節目を前に

 第42代首相の鈴木貫太郎(1868~1948年)は、日本を終戦に導いた功績が広く知られる。小説や映画でもその人物像が描かれてきた▼軍部が徹底抗戦を主張する中、戦争終結にこぎ着けた鈴木首相。作家の志賀直哉が当時の日本を今にも沈みそうなボロ船にたとえ、「軍はそれで沖へ乗出せといふ。鈴木さんは舳(へさき)だけを沖に向けて置き、不意に終戦といふ港に船を入れて了(しま)つた」と書いている(『志賀直哉全集 第七巻』岩波書店)▼幼少期と晩年を過ごした現在の千葉県野田市関宿町に「鈴木貫太郎記念館」が開館したのは60年代。愛用品や書簡、「最後の御前会議」の油彩画などを展示する施設だが、台風被害や耐震強度不足で5年前から臨時休館が続く▼管理運営に当たる市は、博物館機能を備えた施設への再建準備に入っている。基本構想では2028年度に着工し、30年度の開館を目指す▼来年は戦後80年の節目を迎える。戦後に鈴木がよく揮毫(きごう)した言葉は、終戦の詔書から引用した〈為萬世開太平〉。何世代も続く世のために平和な世をつくるというこの意志を、日本は世界へ発し続けなければならない。




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