2025年1月7日火曜日

回転窓/忘れてはならないこと

 「人は忘れる生き物」と言われるが、甚大な被害が発生した自然災害で得た教訓や知見は決して忘れず、防災・減災につなげていかなくてはならない▼本紙は元日特集号「安全・安心な国土づくり」を発行した。阪神・淡路大震災から30年の防災・減災や国土強靱化の取り組みを振り返りつつ、今後の施策などを展望している▼能登半島地震から1年がたつ1日、3カ月前の豪雨での犠牲者を含めた追悼式が石川県輪島市で開かれた。石破茂首相は式典で「世界有数の災害大国であるわが国を世界一の防災大国にすべく力を尽くす」と決意を新たにした▼防災大国の実現に向け、政官民の多くの人たちが日々奔走している。その一人で建設職域代表の足立敏之参院議員が昨年末に亡くなられた。建設省(現国土交通省)時代は土木技術者としてダムなど治水事業に従事。国会議員となってからは公共投資やインフラ再生の重要性を訴え、被災地にも頻繁に足を運んで復旧・復興を後押ししてきた人である▼激甚化、頻発化する自然災害のリスクは高まるばかり。足立氏の安全・安心な国土づくりへの強い意志を引き継いでいきたい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=170306
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建築家・原広司氏が死去/数多くの象徴的作品、代表作に京都駅ビルなど

 建築家で東京大学名誉教授の原広司(はら・ひろし)氏が3日、老衰で亡くなった。88歳だった。葬儀は近親者で行う。喪主は妻の若菜(わかな)さん。後日お別れの会を開く予定。代表作は、ランドマーク的建築で世界的にも有名な京都駅ビル(京都市下京区)、梅田スカイビル(大阪市北区)などがある。個人住宅や美術館、教育施設、高層建築、ドーム建築など幅広く設計を手掛けた。
 1936年神奈川県生まれ、64年東大大学院数物系研究科建築学専攻博士課程修了(工学博士)。東大生産技術研究所で助教授、教授を務めた。97年に退官し、名誉教授となった。
 70年からアトリエ・ファイ建築研究所と協働を開始し、99年に原広司+アトリエ・ファイ建築研究所に改称した。大学で教壇に立ちながら設計活動を行い、山本理顕氏、隈研吾氏など多数の建築家を輩出した。東大生産技術研究所で構えた研究室での集落調査から、家族やコミュニティーを大切にする建築を導いた。
 主な受賞は、日本建築学会賞、村野藤吾賞、BCS賞など。
 2017年11月の日本建築学会近畿支部講演会では「建築での素晴らしい間をつくるのが目標」と話していた。




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国交省/労務費の内訳明示、専門工事業団体の標準見積書作成促進へ

 国土交通省は各専門工事業団体に労務費・必要経費を内訳明示した「標準見積書」の作成を促す方針だ。法定福利費や安全衛生経費を内訳明示する従来の標準見積書の内容を「労務費に関する基準(標準労務費)」の導入を踏まえ見直してもらう。標準労務費と比較し適正かどうか判断可能とするため、見積書には労務費の総額だけではなく、歩掛かりを合わせて明記することを標準とする。
 改正法では受注者に工事種別ごとの労務費や材料費、それ以外の必要経費を内訳明示した「材料費等記載見積書」を作成するよう努力義務を課す。この規定に沿って中小規模の下請業者でも適正な見積書を作成できるよう、業界団体側で標準見積書を用意する。そのための「作成手順」を国が先んじて提示する方向だ。
 見積書に記載する労務費の額は、技能者の労務の「単価×歩掛かり×作業量」で算出することを基本とする。見積額の適正性を判断できるよう、歩掛かりとともに特記すべき仕様や条件も明記することにする。
 法定福利費と安全衛生経費は国が以前から示す方法で内訳を明示する。安全衛生経費のように内訳明示が浸透途上の経費は、簡便な方法による内訳の示し方も許容する。最初に注文者に提出した「当初見積書」と、価格交渉を経て契約に反映した「最終見積書」の保存ルールも明記。見積もり・契約のプロセスで不適正な減額行為があった場合、事後的な検証を可能とする。
 見積書作成の努力義務は元下間だけでなく受発注者間も対象となる。ただ特に民間工事で見積書の取り交わし方にさまざまなケースがあるため、受発注者間では元請が見積書の作成で順守すべき事項を国がガイドラインなどの形で提示する方向で検討する。




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25年がスタート/ゼネコン各社トップが年頭あいさつ、持続可能な産業へ挑戦と成長

 2025年がスタートした。6日に仕事始めを迎えた建設関連企業の経営トップが年頭のメッセージを社員に発信。建設需要は旺盛なものの、資機材価格や労務費の高止まりなど先行きの不透明感もあり、利益の安定確保を堅持する構えだ。コスト上昇が続くことを前提に、収益を継続的に増やしていける企業が生き残る時代に入った。持続的な成長に向けゼネコンでは「挑戦」「変革」「成長」「生産性向上」を掲げる社が目立った。=2、3面に各社の年頭訓示
 24年4月に時間外労働の上限規制が適用された建設業は、生産性向上策や人的投資の加速で誰もが働きやすい環境にすることが求められる。大手ゼネコンのうち、鹿島の天野裕正社長は「現状維持は後退、衰退を意味する。ナレッジの整備やデジタル化、技術開発、品質確保に絶え間ない努力が必要だ」と訴えた。
 清水建設の井上和幸社長は「安全と品質の確保」の徹底を掲げ「品質のシミズという企業ブランドを確固たるものにしたい」と意気込んだ。竹中工務店の佐々木正人社長は「いま取り組むべきさまざまな課題に真剣に向き合う姿勢を崩さずリーディングカンパニーの責任を果たす」と表明した。大林組の蓮輪賢治社長と大成建設の相川善郎社長は7日に訓示を行う。
 24年11月に竣工した新本社ビルで訓示した戸田建設の大谷清介社長は「収益性だけではなく、ブランド価値も判断軸に加え、協力会社の維持・拡大のために中小規模案件を確保する」方針だ。熊谷組の上田真社長は「歴史と伝統を大切にしつつ、新たな挑戦へと踏み出し、持続可能な成長を追求する」と述べた。西松建設の細川雅一社長は「ボトムアップ型で社員自らが当事者として会社の未来予想図を発信できる風通しの良い企業風土の醸成に注力する」と表明した。
 ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の変化などを受け、世界経済の見通しは不透明にある。あるゼネコントップは「国内外で正直先行きが見通せない。どこに影響するか分からない」と不安を募らせる。「世界情勢などに左右されない企業基盤を構築する」と話した。
 今年の干支は「乙巳」(きのとみ)。「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年」になると言われている。経営トップの訓示からも「変化と成長」への強い決意が感じられた。




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2025年1月6日月曜日

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくおねがいします。

回転窓/ヘビの御年始

 福島県会津美里町雀林地区で毎年1月7日、伝統行事の「ヘビの御年始」が行われる。五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈願し、法用寺仁王門に1年間祭られていたわら製のヘビを子どもたちが担いで家々を回る▼かつて水不足で苦しんだ人々が地元の神社に水の神様である五龍王神を祭った。そしてこの龍を模して作ったわらの大蛇を仁王門に飾り、お参りするようになったのがヘビの御年始の起源という。町の観光ポータルサイトから引いた▼古くから信仰と畏怖の対象であったヘビにまつわる故事や伝承は多い。脱皮を繰り返し成長するヘビは「再生」「繁栄」の象徴とも言われる。今年の干支は「乙巳(きのとみ)」。過去の巳年にはベルリンの壁崩壊(1989年)、経済政策「アベノミクス」始動(2013年)などがあった▼1日発行の本紙新年企画特集号で年男・年女の方々に聞いた「今年の目標」を掲載している。勇往邁(まい)進、挑戦、追求、日々向上…。それぞれの思いが込められたコメントから、読んでいるこちらが元気をもらえてありがたい▼きょう6日は企業や官公庁などの多くが仕事始め。成長と繁栄を期する大切な1年がスタートした。




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能登半島地震から1年/石川県建設業協会会長・鶴山庄市氏、諦めず今しっかりと対応

 復旧工事の続く能登半島地震の被災地。石川県建設業協会(石川建協、鶴山庄市会長)は、2024年1月1日の発災直後から9地区協会の会員企業が緊急対応に入った。交通・生活インフラや、大規模な土砂災害などからの復旧は続き、今後も本復旧、復興の工事が行われていく。発災当時の平櫻保前会長の後を継ぎ、石川建協の先頭に立つ鶴山会長は「5年、10年後のためにも今が大事」と話す。
 --発災から1年が過ぎた。
 「会員企業も、その社員も被災者となったつらい状況で、避難所から現場に向かう仲間がいた。国道249号をはじめ、あまりにも被害が大きい。復旧を進める中で、9月には大雨に見舞われた。あれほどの大規模な土砂崩れが起きていても諦めない気持ちがあった。毎年起きる災害に対峙(たいじ)し、いとわずに関わっていく気持ちを持った会員会社、建設業界の一致団結したまとまりがある。つくろうと思ってもつくれない空気を感じる。社会的な存在感を世間が認めてくれていると思う」
 --半島の各地で復旧工事が行われている。
 「会員企業は高齢化や新規入職の問題と向き合っている。地震の後、子どもたちのつらい気持ちや学校教育に配慮するなど、さまざまな理由で建設業から離れざるを得なくなった人がいる。対応する力は3割ほど減ったかもしれない。『力にならなかった』と思われないように、離れた人たちに戻るきっかけにしてもらうためにも今しっかりやろうと話している。その思いを理事会で投げ掛け、馳浩石川県知事にも伝えた」
 「日本建設業連合会(日建連)の存在なくして被災地の復旧は語れない。パートナーとして工事に臨んでいる会員企業は、新しい技術や働き方を目にしている。地域外の建設会社と企業体を結成する会員企業もいる。会社の規模を問わず、それぞれにとってプラスの経験になっている」
 --復興への展望は。
 「社員寮を建てるなど人をつなぎとめて工事に対応している建設会社がある。災害査定が進めば、本復旧の工事が本格化する。自治体発注のように地域建設業が多く担う工事がある。個社の施工能力を見れば、1億円規模が得意な建設会社もある。どう直していくかとともに、地域を見た発注を考えていただく場合もあるだろう」
 「初動や連絡体制が機能し、地域が連携したことが確認できた。防災・減災に対して、どうあるべきか考える必要がある。資材のストックや重機のデータを残すような備えもいる。輪島の朝市や和倉温泉の活気が戻ったなら、分かりやすい復興の景色になる。地域なしでわれわれの存続はあり得ない。地域とのつながりを大切に活動していく」。




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静岡県湖西市/次世代型バイオガス発酵システム実証実験、小規模処理場向け技術実現へ

 静岡県湖西市は、下水汚泥や地域のバイオマス資源を活用して新たな資源・エネルギーを創出する「次世代型バイオガス発酵システム」の実証実験を湖西浄化センターで行う。バイオガスの生成技術や農業利用が可能な高品位濃縮バイオ液肥の製造技術を検証する。期間は10日から2月28日まで。
 下水道分野では、温室効果ガス排出量削減に向け嫌気性消化技術による汚泥のエネルギー化が注目されているが、小規模な自治体では資源量の確保や事業効果などの面で課題があり取り組みが遅れている。
 このため市は2024年4月、豊橋技術科学大学と同大学発のベンチャー企業である豊橋バイオマスソリューションズの3者で小規模処理場向けの高効率の次世代型メタン発酵システムを実現するため、産学官共同で実証実験に取り組む基本合意書を締結し、これまで準備を進めていた。実証実験は国土交通省の下水道応用研究委託費を活用して行う。
 実験は、下水汚泥とし尿・浄化槽汚泥、豚糞を原料に微生物を利用した発酵過程で発生するアンモニア等を除去する技術を活用し、地域バイオマスからのバイオガス生成技術を検証する。ガス生成後に排出される消化液(残さ)には窒素やリンなどの肥料成分が多く含まれていることから、消化液から粒子状物質を除去し滅菌処理を行う新技術を活用し、農業利用が可能な高品位濃縮バイオ液肥を製造する技術も検証する。




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東京都内の25年注目プロジェクト/世界から選ばれる都市に、再開発事業の動き活発

 東京都内では2025年も再開発プロジェクトの動きが活発だ。都市間競争が激化する中、世界から選ばれるためには地域の基盤を整備し、経済や研究・開発活動などをいかに促進するかが重要になる。ただ、建設費の高騰が事業推進の足かせになるケースも出てきており、慎重な対応が求められる。25年の注目プロジェクトをまとめた。
 JR東日本は港区で整備を進めている新たなまち「高輪ゲートウェイシティー」のまちびらきを3月に行う。所在地は港南2ほか(敷地面積約7・4万平方メートル)で、JR山手線高輪ゲートウェイ駅の西側に位置する。南北に細長い敷地で、北から順に▽住宅棟▽文化創造棟▽複合棟(THE LINKPILLAR2)▽同(同1)-で構成する。THE LINKPILLAR1は2棟構成のため、全体は5棟で、総延べ約85万平方メートルの規模となる。
 まちびらき時に開業するのはTHE LINKPILLAR1で、オフィスのほか、2000人規模のMICE(大規模なイベント)施設、ラグジュアリーホテルなどが入る。残る施設は26年春の開業を目指す。
 港区ではこのほか、JR新橋駅近辺でも再開発の動きが具体化しつつある。2月には新橋駅東口地区再開発協議会が再開発準備組合に移行する。
 対象エリアは駅東側に位置する約1・7ヘクタールで、1966年竣工の新橋駅前ビル(2棟総延べ約4万平方メートル)などを一体的に建て替える。新たな建物にはオフィスや商業施設、ホテル、サービスアパートメントなどを設ける計画となっている。
 JR有楽町駅の西側一帯に広がる「丸の内仲通り南周辺地区」(千代田区)では、複数の街区が連動した大規模な再開発が始まる。自由度の高いまちづくりを進めるため、同地区を都市再生特別地区に追加する。都市計画の決定・告示は6月ごろを予定している。
 丸の内仲通り南周辺地区は、▽国際ビル・帝劇ビル▽新東京ビル▽新国際ビル▽新日石ビル▽有楽町ビル・新有楽町ビル-で構成している。このうち国際ビル・帝劇ビルは建て替え後、延べ17・6万平方メートル、高さ約145メートルの規模のビル建設が可能になる。
 中央区にある敷地面積約19ヘクタールの築地市場跡地での施設整備を巡っては、事業予定者や有識者、東京都などが基本計画の内容を練っている。水辺に設置する広場の拡充のほか、防災拠点となるオープンスペースをどう整備するかなどを議論。25年も基本計画策定に向けて話し合う予定だ。
 まちづくりに当たり、障壁になっているのが建設費の高騰だ。JR中野駅前にある中野サンプラザ跡地(中野区)を含めた再開発事業は、施行予定者が24年6月末に施行認可申請した後、工事費が約900億円上昇することが判明。同10月に認可申請を取り下げた。
 専門業者の繁忙期が重なったことや、時間外労働の上限規制などが影響した。施行予定者は住宅用途の面積割合を当初の4割から6割に変更する方針で、区はおおむね受け入れる考えだ。3月に事業見直しの方針と今後の事業スケジュールを区に報告する。どのような内容になるか、注目が集まる。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=170285
via 日刊建設工業新聞