2018年11月14日水曜日

【回転窓】現代の名工と技術貢献

卓越した技能を持ち、その分野の第一人者が対象となる「現代の名工」に、本年度は建設部門を含む150人が選ばれた。昨年より1人多く、12日に東京都内で表彰式が開かれた▼厚生労働省の発表資料を見ると、古代鋳造技術の考察を踏まえた銅鐸(どうたく)の復元製作、製鉄用連続鋳造金型への合金めっきなど、表彰対象の技能はさまざま。いかに多種多様な専門技能が日本のものづくりを支えているかが分かる▼受賞者の一人で工芸品「多摩織」の名工・澤井伸さんは、伝えられた技術を生かして新しい生地の開発にも取り組み、米巨大IT企業に技術供与もするなど世界的な評価を得ている(11日時事)。伝統技術が分野や国を超えて活用されている一つの好例でもあろう▼18年度の「現代の名工」が発表されたのと同じ11日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機から分離された小型回収カプセルが地球に戻り、小笠原諸島・南鳥島沖で回収された。日本の宇宙技術の歴史を塗り替える大きな成功だという▼身近な環境づくりから最先端の宇宙開発まで、建設産業の技術が貢献できる領域もまだまだ広い。

【16件の取り組み表彰】土木学会、都内で「土木広報大賞」授賞式開く

 土木学会(小林潔司会長)は12日夕、東京・四谷の本部で「土木広報大賞2018」の授賞式を開いた。土木インフラの役割や意義、魅力を伝える優れた広報活動を選定し顕彰。最優秀など各賞に選ばれた計16件の取り組みを表彰した。

 土木広報大賞は本年度に創設された。99件の応募の中から、最優秀賞としてフォーラム・シビル・コスモス(FCC)が行う市民向けイベント「どぼくカフェ」を選出。優秀賞は静岡県建設コンサルタンツ協会が実施した「CON!CON! 富士山の体積をはかる『アイデア』大募集!」、土木技術者2人がつくる土木応援チームのデミーとマツによる「ワクワク土木土木(ドキドキ) デミーとマツの驚き土木体験イベント」が選ばれた。

 授賞式に先立ち、淺見郁樹副会長は「どれも立派な活動であることを身を持って感じた」とあいさつした。続いて選考委員長を務めた田中里沙事業構想大学院大学学長が「土木分野に新しい価値を吹き込む広報を選んだ」と提案作品を総括した。

【レースの舞台は超高層ビル(の階段)】横森製作所、世界的レース「スカイラン」のメインスポンサーに

 レースの舞台は超高層ビル-。鉄骨階段メーカーの横森製作所(東京都渋谷区、有明利昭社長)がメインスポンサーを務める「YOKOMORI presents ハルカス・スカイラン2018」が4日、大阪市阿倍野区にあるあべのハルカスで開かれた。

 世界9都市の超高層ビルの階段を駆け登る「VWC(バーティカル・ワールド・サーキット)」の第7戦。あべのハルカスの60階展望台まで標高差288メートル、1610段の非常階段を駆け登るレースに約1000人のアスリートが挑んだ。最速はポーランドから参加したピーター・ロボジンスキー選手が記録した8分32秒だった。

 非常階段の設計・製造・施工を担当した横森製作所の有明社長は「日常生活で階段はなかなか意識されにくいが、建物を建てる際に作業員の安全通路となり、唯一の避難経路となる。当社製品は日本で多く使われているが、ハルカス・スカイランで選手の皆さま方と共に主役となりレースに参加できた。階段の新しい価値が創出されていることを喜ばしく思う」とコメントを寄せた。

【海外勤務契機に観測隊志願】飛島建設・馬場潤氏、第60次南極観測夏隊に参加

 飛島建設大阪支店建築部の馬場潤氏が、第60次南極観測隊(夏隊)の設営部門のメンバーとして派遣される。今回の南極観測隊では風力発電装置3号機の建設をメインに、ヘリパッドの建設、自然エネルギー棟屋根の防水工事、道路の補修などを実施する。今月下旬にも出発し、19年3月末に帰国する予定だ。

 同社は1994年から、南極観測隊の設営部門(土木・建築)に技術者を継続派遣、延べ人数は第60次で25人に上る。主な活動内容は昭和基地にある建物の建設、解体、保守など。現地ではブリザードなど天候状況により計画通りに作業が進まない可能性もある。馬場氏は「気候をみながら作業工程を組み、柔軟に対応する」と意気込む。

 夏隊として参加する40人のうち、建設のプロは馬場氏を含む7人。「研究者や医療関係者など、建築知識を持たない隊員は多い。作業で隊員にけがをさせないよう注意を払う」と自身の役割を説明する。4年前に海外で仕事をした経験がきっかけで南極観測隊に志願。「誰にでも経験できることではない。無事に帰ってきて、良い報告をしたい」と笑顔で話す。

【モデルはJR六甲道駅復旧工事】奥村組、関テレのドラマ制作に協力

阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けたJR六甲道駅の復旧工事(施工・奥村組)を題材にした、関西テレビ開局60周年特別ドラマ「BRIDGE~はじまりは1995年・1・17神戸~」が、19年1月15日午後9時からフジテレビ系列で全国放送される。

 難工事に立ち向かった奥村組が特別協力社として参画。当時の現場担当者による監修、工事記録や映像・写真の提供など、ドラマ制作に全面協力している。

 JR神戸線(東海道本線)で最も被害が大きかった六甲道駅では、駅舎と線路が崩壊し東西をつなぐ大動脈が寸断した。「一刻も早く、電車が走る“日常”を取り戻さなければならない」。そんな強い使命感で復旧工事に挑んだ奥村組は、持てる知力・体力・気力を結集して六甲道駅をよみがえらせ、震災から74日間という驚異的な早さで電車を開通させた。

 ドラマは実話に基づいたフィクション。74日間の壮絶な復旧工事と、それを見つめた地元の人々との関わり合いを描く。主演を俳優の井浦新さんが務め、JRから復旧工事の依頼を受けた建設会社・磐巻組の高倉昭工事所長役を演じる。高倉所長は、実際の工事を指揮した奥村組の岡本啓さん(当時)がモデル。

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ハノイで都市計画セミナー開く

 ベトナム都市農村計画研究所(VIAP)とベトナム都市計画開発協会(VUPDA)は、10月26日にハノイ市内でセミナーを開いた。テーマは「建設計画とコンサルティング業務:課題と好機」。セミナーはVUPDAの設立20周年を記念する事業の一環で行われた。

 開会のあいさつでファン・ティ・ミ・リン副大臣は、「ベトナムの都市計画は常に強化・発展を続けている。全国800の都市が社会経済発展の原動力だ。都市システムの強化は建設計画の進展にも貢献している」と述べた。

 VIAPは2012年に設立された建設省傘下の組織。VUPDAは都市・農村計画を担うコンサルタントなどの団体で、専門家間の知見の共有や中央・地方政府と企業の協力促進などを目的としている。

セイ・ズン、11月2日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/韓国の建築設計界、フリーランサー急増

労働時間の上限を週52時間とする改正勤労基準法が7月1日に施行となった韓国の建築設計界で、フリーランサーの雇用が急増している。

 正規職員の勤務時間が52時間に達した時点で、代わりに夜勤を通じて残った業務を行うケースが増えているという。韓国版「働き方改革」によって生じた労働力不足により、かつて月に400万~500万ウォンで雇用できていたフリーランサーの報酬が最近では700万~800万ウォンにまで跳ね上がっている。

 同国では、週52時間労働時間制が導入されて4カ月近くが経過した。日刊建設工業新聞が提携する同国の建設経済新聞が報じた1日付の紙面によると、常用労働者300人以上を抱える大手建築事務所が一斉に労働監督調査を受けており、このうち最大手10社の一部では現場調査も行われたようだ。法規定の順守を巡る労働監督調査を恐れる企業が、フリーランサーの雇用を急増させているとした。

 フリーランサーは、プロジェクトごとに会社を転々と渡り歩き、正規職員らと共に作る数人単位のチームに混じって、仕事の手伝いをする。これまでは納期を控えた時期に緊急雇用するケースが多かったが、現在はプロジェクト開始時点から構成員として使われることが多い。チーム単位で雇用するフリーランサーはこれまで1~2人だったというが、今は2~4人にまで増えている。

 52時間労働時間制の導入以降、需要が急拡大したフリーランスの報酬は天井知らずの状況という。ある建築設計事務所の役員は、「正規職員の月給よりフリーランサーの月給の方がはるかに多い」として、同じプロジェクトで仕事をする職員の士気低下を懸念する。1年単位で勤務時間を策定すれば、週52時間の規制に適合できるのに、「政府があえて3カ月単位としたことによる弊害が出ている」とも指摘した。

 現場調査を受けた大手事務所のうち、8月から調査が入っているとするA社の関係者は、「この3カ月間で業務がまひした状態であり、精神的にまいった」とする。労働監督官が誘導質問を続けたとするB社関係者は「非常に緊張した。職員休暇願などの書類もきちょうめんに調べていった」とした。

 政府が現在進める現場調査は、52時間労働時間制の確実な実施に向けた啓発と位置付けられているというが、C社役員は「後で要注意業者に分類されて強力な調査を受ける」のではないかと警戒感を示す。そのため同社は、問題の素地をなくすためにも、「正規職の採用を減らして、フリーランサーを最大限稼働させることにした」という。

CNEWS、11月1日)

2018年11月13日火曜日

【回転窓】入管法改正案審議の行方は

外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法(入管法)改正案がきょうの衆院本会議で審議入りする。与党は「移民」という言葉に敏感に反応し、政府も「移民政策ではない」とするが、日本の入国管理政策の大転換となるだけに審議の行方から目が離せない▼2日に閣議決定した入管法改正案は、新たな在留資格の創設を打ち出した。特定技能1号と同2号の二つ。在留期間が通算5年の特定技能1号は「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与えられる▼この1号資格の対象として想定されているのは、人手不足が深刻で日本人の労働者が集まらない14の業種。ほかならない建設業もその一つ▼過去にも外国人労働者の受け入れ論は幾度となく浮上したものの、日本人労働者の処遇改善が先決として、第一歩は踏み出せないままだった▼特定技能1号の要件となる「相当程度」の知識・経験がどの程度のものなのかは、まだはっきりしていない。「単純労働は考えていない」というのが山下貴司法相の弁。しかし「単純」な労働など、14業種にはないだろう。大きな一歩への慎重な審議をお願いしたい。

【アンコール遺跡カレンダー、10名にプレゼント】遺跡国際調査団、19年版カレンダー作成

 アンコール遺跡国際調査団(団長・石澤良昭上智大学アジア人材養成研究センター所長)は、石澤氏が総合監修した19年版の「アンコール遺跡カレンダー」を作成した。B4判16ページのカレンダーは全面カラー刷り。カンボジアにある世界文化遺産のアンコール遺跡群を多面的にとらえている。調査団はこのカレンダーを10人にプレゼントする。

 同調査団は、カンボジアが世界に誇る同遺跡と関連した伝統文化の保存・修復活動を1991年から展開。その活動は同国政府に協力する形で調査、研究、修復、人材育成など多岐にわたる。石澤氏は調査団活動が評価されて昨年、アジアのノーベル賞ともいわれるラモン・マグサイサイ賞を受賞した。

 同遺跡群を代表するアンコール・ワットは12世紀初頭、スーリヤヴァルマン2世によって建造された「寺院のある都」を意味する遺跡の一つ。クメール人が造営した世界最大級の国家鎮護の寺院だ。

 クメール民族の象徴として、高さ65メートルの中央祠(し)堂がそびえ、紙1枚も通さないほどの精巧な石積み加工が施されている。約800年を経てもその荘厳な威容は多くの人を感嘆させ、海外旅行先としても絶大な人気を誇っている。

 プレゼント希望者は、はがきに住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記入し、〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷2の39の3の401ティル内アンコールカレンダーN係まで申し込む。当選者発表は来年1月以降となる発送をもって代える。

【河川工事の魅力、発信します】関東整備局、現場関係者限定の写真コンテスト開催

 関東地方整備局は、「河川工事“ナマ”現場写真コンテスト」と題した新しい取り組みを開始した。同局が発注した河川工事の受注者から募集し、優秀な作品を表彰する。施工に従事する人だけに限定して、現場の内側から見た写真を募集する。同局によると全国初の試みという。

 応募資格者は同局発注の河川・ダム・砂防工事に、元請企業や下請企業などで従事する人。応募数は各現場2点までとする。募集期間は19年2月22日まで。同3月以降に、同局内や同局ホームページなどで紹介する。

 テーマは自由だが、工夫を凝らした仮設物や珍しい建設機械・資材、生き生きと働く現場関係者、その時しか見ることができない工事現場の空間・景色などを想定している。

 現場や従事する人に光を当てることが狙いで、優秀な作品は河川工事の広報活動に活用する。その際には、撮影者の氏名や所属会社名なども合わせて紹介する。佐藤寿延河川部長は「砂防工事などはなかなか人目に付かないが、すごいことをやっており“見える化”していきたい。見せたいと思う写真を応募してほしい」と話している。

【社員や家族、550人参加】飛島建設、30年ぶりの社内運動会開く

 飛島建設は東京都練馬区のとしまえんで10日、1988年以来30年ぶりとなる社員運動会「TOBISHIMA Sports Fes!飛島ハンパないって」を開いた。

 大会は本社(赤組)、首都圏土木支店(青組)、首都圏建築支店(黄組)の3チーム対抗。社員とその家族約550人が参加し、大玉送りやリレーなどで熱戦を繰り広げた。

 開会に当たってあいさつした乘京正弘社長は「日ごろから社員には『コミュニケーションを大切にしよう』と話しており、今回の大会はコミュニケーションをはぐくむのに最高のイベント。これを機に職場や家族とのコミュニケーションを一層深め、壁を越えた幅広いコミュニケーションの場としてほしい」と話した。

 大会では準備運動の後、全員参加の大玉送り、借り人競争、親子競技の宝探し、綱引きなどが行われ、チームが一丸となって優勝を目指した。結果発表では本社の赤組が優勝に輝き、乘京社長からチームの代表者にトロフィーが手渡された。

【都市公園をスポーツ拠点に】アシックス、日比谷公園にスポーツテーマのカフェ開設

 アシックスジャパンは東京都公園協会(佐野克彦理事長)と連携し、日比谷公園(東京都千代田区)内に「スポーツステーション&カフェ」をオープンする。

 公園周辺や皇居外周などを走るランナー向けの「ランステーション機能」と、美や健康をサポートする「カフェ機能」を備える施設。スポーツギャラリーも常設し、スポーツイベントに合わせて展示内容を変えていく。

 新しい施設は、都心部にある日比谷公園の機能を高める取り組みの一環として開設する。同社は15年8月に都公園協会とスポーツ・レクリエーション事業の実施で基本協定を結んでいる。都立公園を活用し、スポーツをより身近に感じ楽しんでもらう目的がある。

 日比谷公園はオフィス街や官庁街に近く、仕事の合間や終業後にランニングを楽しむ人が多く訪れている。施設は23日にオープン。ガラスを多く使って自然光を取り入れ、ウッドテラスで公園と一体化を図るなど、自然との調和を目指したデザインになっている。

【回転窓】衛生問題を考える空間

10年以上使っていた自宅の温水洗浄便座を買い替えようと先日、家電量販店を訪ねた▼店内に並ぶ製品は多彩な機能を搭載し、デザインも洗練されていてどれを選んでよいのか迷ってしまうほど。懐具合と相談しながら機能も吟味し、新しい製品を購入した。業界団体の日本レストルーム工業会によると、水回りという過酷な環境で使う家電製品なのである程度の使用年数に達したら点検や交換を、と推奨している▼今や旅客機のトイレにも搭載されるようになった温水洗浄便座。高機能をうたう日本のトイレの特徴といえるが、清潔さも世界に誇れる部分ではないか。国連児童基金(ユニセフ)の調査によると、世界ではいまだ3人に1人が衛生的なトイレを使えないという。15年時点で23億人がトイレのない生活を送っている▼屋外排せつなどが原因で感染症にかかり、病気になったり命を落としたりすることも少なくない。国連は毎年11月19日を「世界トイレの日」と定め、世界中でトイレの衛生問題に関する啓発活動を展開している▼世界に胸を張れる日本のトイレ文化。貢献できることはまだまだあるのではないか。

【国交省、有識者懇で方策検討】インフラツーリズム、20年度に集客100万人へ

 国土交通省は、観光施策として注力する「インフラツーリズム」のさらなる拡大を図る。20年度までにダムや橋、港といったインフラや工事現場見学などの年間集客数を17年度の約50万人から約100万人に引き上げる。

 地域にある他の観光施設との連携も模索。来年3月までに目標達成の方策で方向性を詰める。

 国交省は9日、旅行会社など外部有識者で組織する「インフラツーリズム有識者懇談会」を立ち上げた。来年3月まで集客数の増加策を話し合う。同日に東京都内で開いた初会合で同省の栗田卓也総合政策局長は、「地域や民間事業者と連携し、インフラを観光資源として磨き上げる必要がある」と述べた。

 インフラツーリズムは、政府が13年に策定した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」で掲げた観光施策の一環。国交省によると、民間主催のツアー件数は16年度32件、17年度80件と着実に増えている。

【凜】東京・中野区都市政策推進室・藤村玲子さん


 ◇いいインパクトを残す事業に◇

 街づくりを専攻した大学時代、行政と協力したイベントに参加した体験を通じて、「行政職員として働くことへのイメージが湧いた」。東京・中野区への入庁を志したのは、住宅が多い地域で街づくりに携わりたいと思ったのがきっかけとなった。

 最初の4年は区施設の営繕部署で、耐震改修工事などの設計や発注手続きを担当。当時は女性の建築職も少なく、現場について分からないことばかりで戸惑っていたが、「施工業者の職人の皆さんが丁寧に教えてくれた」ことに救われた。

 最初に手掛けたのは保育所のトイレ改修工事。完成後の検査現場で、保育士たちが「きれいになった」と喜んでくれた。調査から完成までの短期間に現れた「目に見える成果」に、営繕の面白さを感じた。

 その後、建築基準法に基づく許可手続きの担当を経て、現在の部署に配属となって5年目となる。

 JR中野駅北側の再整備など、担当する事業は長期間に及ぶだけに、滞りなく進めるのが自分の役割と認識。区役所に近接する大規模跡地で行われた「中野四季の都市(まち)」のように「いいインパクトを残す事業にしたい」。住宅とサブカルチャーが混在する独特な雰囲気を持つ街並みも大切にしたいという。

 休日は2人の子どもと時間を過ごす。無邪気な姿に元気をもらい、仕事への英気を養う。

 (ふじむら・れいこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・214

大工仕事は楽しい。子どもたちの笑顔を見ると分かる
 ◇カリスマ職人育てたい◇

 大工職人の内森公太さん(仮名)は、実力と誇りを持った大工を一人でも多く育てたいと、若手の育成に力を入れている。こだわっているのは木材を自ら加工する手刻みの技術。新築だけではなく、現場合わせの修繕などもしっかりとこなせる人材が地元に根付いている。それが目指す姿だ。

 そう思うようになったきっかけは、自分たちの地域を襲った自然災害だった。「困っているんです」「いつになったら修繕に来てもらえますか?」。災害後、内森さんの会社は家が壊れてしまった人からの依頼電話が鳴り響くようになった。一日も早く快適な住まいに戻してあげたいと思いながらも仕事が追いつかず、被災者に工事を待ってもらう日々が続いた。「自分の技術を求めているお客さんがいるのに応えられない」と無力感に包まれた。

 自分だけが頑張ろうとしてもたかが知れている。仲間を増やすしかない。そうした答えに行き着き、仕事の合間を使って大工講座や学生向けの授業などを始めた。災害を通じて自分の考えが変わったことが原動力になった。

 若者も災害を経て、人のためになる仕事を求めるようになったと感じている。「来てくれる若者は、『いくら稼ぐか』よりも『何で稼ぐか』を考えている。効率よく稼ぐことが格好いいとは思っていない」。そうした若者は軸足がしっかりしているからこそ、腕を上げるための努力を惜しまない。それは大工として筋が良いことを意味する。

 内森さんは、使命感ややりがいを持った若者を頼もしい存在だと思っている。だが、そうした若者が大工として人生を全うするには、「いくら稼ぐか」も非常に重要だ。そのためのキーワードは「ブランド化」だという。

 「一生で一番高い買い物のはずなのに、造っているのが名も無き大工さんというのは、おかしいと思う」。人の住まいやなりわいの拠点は何年も使い続けられ、時には世代を超えて利用される大事な物だ。伝統工芸品や料理、美容などの世界にはカリスマと呼ばれる人が存在する。一流のプロが手掛ける物やサービスを求める顧客は、何年でも待つはずだ。

 「あの大工さんは5年待ちだよ」。そう言われるような大工がどんどん出てくるべきではないのか。当然責任は増すが、そうした評判が定着すれば、仕事に対する誇りも収入も必ず付いてくる。一心に腕を磨くことはもちろん、成果物について分かりやすく説明し、時には楽しく顧客と話すことができるコミュニケーション能力が必須になるだろう。

 地域に住んでいる人が、地元のカリスマ大工に仕事を頼み、その大工が地元の材料を使って住宅などを造る。人材までも含めた地産地消が理想の形だ。一つ一つは小さい仕事であってもお金が循環することで、地域の持続可能性も高まっていくはずだ。大きなことをやるつもりはない。手の届く範囲で地域に貢献していきたいと思っている。地道な取り組みが地方創生につながると思っている。

【駆け出しのころ】日特建設取締役常務執行役員事業本部長・中牟田憲吾氏

 ◇先輩の声を励みに乗り越える◇

 入社して最初に配属されたのは新潟支店で、刈谷田川ダム(長岡市)の建設現場に赴任しました。私たちの会社が担当していたのはダムの基礎工事だったのですが、ダム本体がどう造られていくのかに興味があり、仕事の合間を縫って堤体コンクリートの打設やトンネルの測量作業などを見に行っていました。

 ここでは現場の宿舎で寝泊まりし、週末には市内の寮に帰るという生活でした。一日の仕事が終わると、宿舎で皆が輪になって話しながら酒をよく飲んだものです。つまみの定番は、私たち若手が車で山を下りて買ってくる栃尾の油揚げで、今でもあのうまさは忘れられません。施工班には狩猟の免許を持った職人さんもいて、その方が射止めた熊の肉で鍋をつくって食べたこともありました。

 休日は寮にいる同僚たちとテニスをして過ごしたのもいい思い出になっています。豪雪地帯にあるダムのため、11月ごろから翌年4月ごろまでの現場が閉鎖される冬の間は、他現場の応援に行っていました。

 3年目に九州支店へ異動となります。ここでもダムの基礎工事を担当するよう言われたのですが、自分から上司に「構造物を造らせてほしい」とお願いし、下水道工事を担当させていただきました。

 初めて責任者として現場を任せられたのは20代後半です。部下と2人で運営しなければならない現場で、施工中に不具合が続いてかなり悩んでいた時期がありました。この頃、現場の近くにちょうど出張で来た父親と食事し、「サラリーマンなのに何でこんなに悩まなくてはいけないのか」と愚痴をこぼしてしまったことがあります。

 でも、どんなに厳しくても「終わらない仕事はない」という先輩から聞いた言葉を励みに何とか乗り越えることができました。こうしたことは私だけの話ではなく、誰もが悩み苦労しながら一人前になっていくのだと思います。

 これまでに広島、大阪の支店長を計11年ほど務めてきました。若いころのことはもちろんですが、そうした50歳を過ぎてからの支店長時代に経験できたことは貴重な財産となっています。心掛けてきたのは自分から声を掛け、相手が何を考えているのかを聞くことです。部署間で意見が違ったとしても積極的に話し合い、最終的には同じベクトルを持って進むことも大切です。

 若い人たちには仕事が好きになってほしいと思います。仕事が好きでなかったり、仕事に何らかの不満があったりすると、当然に面白くもなく、持っている力のすべてを発揮することはできません。皆が力を出せるようにしていくのが私たちの役割であります。

 (なかむた・けんご)1978年法政大工学部土木工学科卒、日特建設入社。九州支店工事部長、同営業部長、広島支店副支店長、執行役員広島支店長、常務執行役員大阪支店長、同事業本部長などを経て、17年6月から現職。佐賀県出身、64歳。
入社3年目。休憩中の現場事務所での1枚

2018年11月8日木曜日

【回転窓】技術革新と規制のバランス

技術革新を進めようとする場合、規制の在り方が常に問われる。規制が強すぎるあまり、産業の発展を遅らせる原因になることもある▼興味深い一例に、19世紀後半に英国で施行された「赤旗法」がある。同法では、歩行者や馬車の安全を確保するため、赤旗を持った者が自動車の前方で先導し、危険物の接近を知らせなければならないとされた。これがスピードを要求される自動車産業の発展を遅らせたともいわれる▼現在の自動車産業が目指している自動運転で常につきまとうのが安全性との両立だ。道路脇から急に子どもが飛び出してきた時などの事故リスクをどう防ぐかが問われている▼リスクを回避しようと規制を厳しくしすぎれば、技術の発展も望めない。一方で規制を打破してこそ、未来につながる技術が革新していくのだとすれば、英国の赤旗法も過去の過ちと笑えなくなる▼「もっと自由な発想で考えるべきではないか」。規制を作る側の行政関係者がそう話していたのを聞いた。「賢く使う」ことが求められるインフラ分野。大胆な発想を阻むことがないよう、未来を形作る上で規制とのバランスが問われる。

【2022年度の開園めざす】ジブリパーク構想(愛知県長久手市)、基本設計はスタジオジブリ・日本設計に

「ジブリパーク」の施設配置イメージ(愛知県発表資料より)
愛知県は6日、長久手市の愛・地球博記念公園に計画している「ジブリパーク構想」で、スタジオジブリ・日本設計の企業グループと基本設計業務契約を結んだと発表した。契約方式は随意契約で、契約額2億8443万9600円(税込み)。スタジオジブリがデザイン監修し、日本設計が基本設計を行う。契約を10月15日に交わした。

 同構想は17年5月、大村秀章知事と鈴木寿敏夫スタジオジブリプロデューサーが基本合意し、具体化した。今年3月には役割分担などを定めた確認書を交わし、4月に基本デザインとイメージ図を公表していた。
「もののけの里エリア」のイメージ(ⓒスタジオジブリ)
基本デザインによると、全体は5エリアで構成。映画「耳をすませば」の世界観や19世紀末の空想科学的要素を盛り込んだ「青春の丘エリア」(約7500平方メートル)、温水プール跡地を利用し、シアターや子供の遊び場、巡回展などの展示物を収納する倉庫を設ける「ジブリの大倉庫エリア」(約4200平方メートル)、映画「もののけ姫」に登場する「タタラ場」などの建物を再現する「もののけの里エリア」(約5400平方メートル)、映画「ハウルの動く城」「魔女の宅急便」に登場する原寸大建物や遊戯施設を整備、ミニ遊園地的なエリアとする「魔女の谷エリア」(約2万7000平方メートル)、「となりのトトロ」に登場する「サツキとメイの家」周辺の「どんどこ森エリア」(約2万平方メートル)が計画されている。
「青春の丘エリア」のイメージ(ⓒスタジオジブリ)
基本設計は、県がパシフィックコンサルタンツに委託している運営手法などの検討と合わせ、本年度中にまとまる。これにより、22年度内の開園を目指す同構想が、本格的に動きだす。

【日比野克彦氏が出入り口扉デザイン】京成旧博物館動物園駅(東京都台東区)、駅舎リニューアルが完成


 京成電鉄が東京都台東区で進めていた旧博物館動物園駅駅舎のリニューアル工事が完成し、2日に記念式典を開いた。

 リニューアルでは既存建物の補修のほか、東京芸術大学美術学部長の日比野克彦氏がデザインした出入り口扉を新設。施工は京成建設が担当した。

 式典には京成電鉄の三枝紀生代表取締役会長と小林敏也社長、来賓として服部征夫台東区長、日比野氏らが参加。出入り口扉の除幕セレモニーなどを行った。

 同駅の所在地は上野公園13の23。1933年12月に開業した駅舎は西洋風の荘厳な造りが特徴だった。リニューアルでは駅舎内部のしっくいやタイルなどの補修と清掃、建具の改修、外部の清掃などを実施。新設した扉は、国立西洋美術館や国立科学博物館といった上野エリアに点在する九つの文化・芸術施設をモチーフとした。

 同駅は開業以降、帝室博物館(現・東京国立博物館)や恩賜上野動物園の最寄り駅として使用された。利用客の減少により97年に営業を休止した。現在も駅舎やホームは当時の姿を残す。今年4月に鉄道施設として初めて「東京都選定歴史的建造物」に指定された。

【世界最大級の木構造梁使用】有明体操競技場建設が後半突入、施工は清水建設

 清水建設が施工を担当している2020年東京五輪競技会場の一つ「有明体操競技場」(東京都江東区)の建設工事が、完成に向けた折り返しに入った。

 現在は外装工事と並行して競技場の特徴である木構造の大屋根を施工中だ。大屋根には世界最大規模となる88メートルのアーチ状梁を使用。木構造梁は19年5月まで5回に分けて地上30メートルの高さにまで引き上げる予定で、7日に2回目のリフトアップが行われた。 =1面参照

 有明体操競技場は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(森喜朗会長)が発注。基本設計を日建設計、実施設計と施工を清水建設が担当している。

 施設は大屋根を中心に国産木材をふんだんに使用している点が特徴だ。使用する木材の量は五輪関連施設の中で最も多い約2300立方メートル。うち1500立方メートルを屋根に使用しており、これにより屋根の重量が鉄骨を使用した場合と比較して半分になった。外部コンコースの上に斜めに張り出した外壁にも木材が使われており、高橋秀通日建設計設計部門設計部長(設計)によると「日本建築特有の縁側のような空間を表現した」という。
有明体操競技場の完成イメージ(ⓒ tokyo2020)
施工に当たっては安全性と施工効率の向上に向けて作業工程などを工夫。アーチ状の木構造梁は地上作業で照明や音響などの設備をあらかじめ設置しておくことで、架設後の高所作業を極力減らした。足場にはキャスター付きの移動足場を採用し、作業工程ごとに使い回して組み立て・解体の手間を省いた。
有明体操競技場の内部イメージ(ⓒ tokyo2020)
同日のリフトアップでは、油圧ジャッキを使って1時間当たり5メートルの速度で所定の位置まで引き上げた。19年5月までに残り3回のリフトアップを実施する。現場を統括する清水建設の永田正道所長は「リフトアップのサイクルを繰り返していくことで作業手順に慣れてもらい、施工のスピードアップを図る」と話している。

2018年11月6日火曜日

【回転窓】インバウンドと社名変更の関係

自然災害が相次いだこともあり、今年9月の訪日外客数は前年同月比で5・3%減(日本政府観光局調べ)となった。ただ1~9月の累計は2300万人を大きく超え、その数は順調に増加を続けている▼政府は訪日外国人旅行者(インバウンド)の人数を東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に4千万人、30年までに6千万人にする目標を定める▼アジアや欧米などさまざまな地域から訪日客をいかに増やすか。今や行政も民間も今後の戦略を練る上で欠かせない視点になっている▼山口県長門市にあり123基の色鮮やかな朱塗りの鳥居が特徴の神社が、来年元日に社名を変更するという配信記事を見た(5日付時事通信社)。増え続けるインバウンドにも覚えやすいよう改名を考えているそう。社名が変わることに賛否もあったようだが、こんなところもにも影響があるのかと思った▼観光は今の日本にとって成長戦略の大きな柱。東京などの大都市はもちろん地方にとっても重要な視点であろう。より快適に滞在を楽しんでもらい何度も訪れてもらう。そのためにできることが、建設産業にもまだまだあるはずと思う。

【記者手帖】被災して思うこと

北海道胆振東部地震で北海道全域が停電に陥るブラックアウトを体験し、電力の大切さを改めて実感した。固定電話は使えず、携帯電話も充電できないためバッテリーが切れたら使用不能。冷蔵庫も使えないため食料は保存できず、スーパーやコンビニも休業。自宅の共同住宅は地下タンクから電動ポンプで給水する仕組みのため、水道も停止した◆被災当日から出勤したが、気掛かりは自宅に残してきた小、中、高校生の3人の子どもたち。普段、家ではスマホやゲームに夢中で家の手伝いなどはせず、兄弟げんかばかり。一緒に遊ぶことはほとんどない。余震もさることながら、仲良く過ごせるかが心配だった◆帰宅すると、末の娘が「今日は3人でトランプやボードゲームで遊んで楽しかった」と出迎えてくれた。電力が途絶え真っ暗な中を3人で過ごし、スマホもゲームもできなかったことが良い方に転んでくれた◆地震から約2カ月。今は地震の時がうそのように毎日何度も兄弟げんかが起きている。大声で止めることにうんざりする時もあるが、日常の良さを感じている。(堀)

【下関港に新名所、開業は22年秋】下関港WF開発、ホテル事業者の選定続き開始

あるかポート地区全体の開発イメージ
山口県下関市は5日、「下関港ウォーターフロント開発あるかポート1番36、37、38事業」の開発事業者を選定する公募型プロポーザルを公示した。同地区でホテル事業を行う事業者を選定する。

 20~26日に参加表明を受け付け、19年1月21日~2月1日に企画提案を求める。同2月下旬にヒアリングを行い、同3月下旬に優先交渉権者を選定する。事業スケジュールは、19年秋ごろ事業契約を締結、20年秋ごろの普通借地契約締結(施設建設工事着手)、22年秋ごろの施設運営開始を目指す。

 参加資格は、ホテル事業を展開するのに十分な資力、信用、技術能力を有する単独企業またはグループ。主な事業をホテル事業として、敷地面積1ヘクタール当たり100室以上、1室当たりの客室面積20平方メートル以上のサービスを提供することが必須。開発コンセプトとして、単なるビジネスホテルではなく、市民利用にも配慮した魅力ある事業計画を求める。

 市は、市民が未来に希望を感じることのできる下関を実現するため、「希望の街へ改革への挑戦」を基本姿勢とし、▽活力▽にぎわい▽優しさ▽安心-の四つの視点から各種施策に取り組む。

 特に、魅力あふれるハイクオリティーなウオーターフロント開発は、その中核と捉え、世界有数の景観を誇る関門海峡のロケーションを生かした上質な空間の形成や、都市型ホテルなどの施設誘致を目指している。民間活力の導入を前提に中心市街地と一体となった段階的な整備を進めていくこととしている。

 あるかポートは、海陸交通の玄関口として発展してきた唐戸地区とJR下関駅の間の、市の観光を先導するウオーターフロントエリアに位置。全体をA~Eの五つのエリアに区分し、Aエリアは複合体験アミューズメント、Bエリアはシティーホテル、CとEエリアは回遊性確保、Dエリアはコテージ型宿泊施設を開発コンセプトとしている。

 今回募集するのは、Bエリアに誘致する宿泊機能を主とした施設。賃貸可能面積は約1・8ヘクタール。今月中旬に現地説明会を開催する予定で、14日まで参加申し込みを受け付けている。

【幾何学模様や陰影で日本らしさ表現】20年ドバイ万博日本館、19年早々にも工事入札公告

 ◇建築設計は永山祐子建築設計◇

 経済産業省は5日、20年にアラブ首長国連邦のドバイで開催される国際博覧会(ドバイ万博、20年10月20~21年4月10日)に出展するパビリオン「日本館」建設事業の進捗(しんちょく)状況を公表した。

 建築設計は永山祐子建築設計(東京都杉並区)が担当。日本館のテーマ「地球交差点(仮)出会う・共感する・そして動き出す」を表現するデザインが特徴となる。年明けにも施工者を決める入札契約手続きに入る。大会開幕直前の20年夏ごろの完成を目指す。

 日本館の建築コンセプトは、▽シルクロードで交差していた日本と中東の文化や歴史を象徴する幾何学文様▽古くから日本の美意識の中で大切にしてきた光と影▽日本らしい水と風を現代的に表現-の3点。伝統文様「麻の葉文様」を立体格子で表現し、日よけと風を通す役割がある立体格子とテント膜で多様な光と影を演出する。建築物全体を環境装置と位置付け、水の循環システムと風の流れを利用した快適な空間を実現する。

 経産省によると、日本館建築工事の発注手続きは日本貿易振興機構(JETRO)に委託して行う。日本館の階数は4階建て程度、延べ床面積は5500平方メートル程度を見込む。建築工事費は未定という。

【米HKSが参画、建設費600億円】ファイターズ新球場、設計・施工は大林組ら2者グループに

 日本ハムと北海道日本ハムファイターズ(札幌市豊平区、竹田憲宗社長)、北海道ボールパーク(札幌市豊平区、福田要社長)の3社は5日、札幌市内で記者会見し北海道北広島市で計画している新球場の概要を公表した。

 RC・S造地下1階地上4階建て延べ10万平方メートルの規模で、収容人数は約3万5000人。建設費に約600億円を見込む。20年春ごろの着工、23年1月の竣工、同3月の開業を予定。設計・施工は大林組と米HKS。PM(プロジェクトマネジメント)・CM(コンストラクションマネジメント)業務は山下PMCが担当する。

 新球場の建設地は北広島市共栄の「きたひろしま総合運動公園」。選手のパフォーマンスが最大限に生かせるよう天然芝フィールドとし、屋根は大小2枚構造で、大きい屋根が稼働するリトラクタブルルーフを採用。センターからホームプレート側に160メートルスライドし、約25分で開閉する。

 建設に当たってはPM・CM業務を山下PMC、設計・施工はプロポーザル方式で選定した大林組と米大手建築設計事務所HKSの2社グループが担当する。

 HKSはMLBミルウォーキー・ブルワーズの本拠地「ミラーパーク」やテキサス・レンジャースが建設中の新球場「グローブライフフィールド」、NFLダラスカウボーイズの「カウボーイズ・スタジアム」といった大規模スタジアムの設計を数多く手掛けている。

 ファイターズの竹田社長は「新球場を介して、スポーツと生活が近くにある社会の実現に一層注力したい」と話した。600億円の建設費には球場周辺の外構部や球場内の設備・機器なども含まれる。

2018年11月5日月曜日

【回転窓】季節の変わり目、運動で健やかに

「ジャンプして手拍子に合わせて着地だよ、パンッ♪パンッ♪パンッ♪」。近所の少年サッカーチームの練習場から元気な声が聞こえてくるようになった。サッカー経験者でもあるダンススクールの先生がボランティアで指導していると聞いた▼リズムに合わせて体を動かすと、子供は脳と体の発育が特に促されるという。世界トップのサッカー選手は独特のリズムを刻んでドリブルしているそうで、「ダンスでサッカーうまくなるの?」と疑問だった子どもたちも、真剣に先生をまねるようになったそうだ▼建設業向けにも体を動かす教材がある。その一つが「けんせつ体幹体操」。腰をひねる腹斜筋のストレッチやバランスを崩さずに脚を抱え込むレッグリフトなど、初級編と上級編がある▼この体操は労働災害を減らそうと、徳島県建設業協会の働き掛けで業界団体による製作委員会が組織され、16年夏に完成した。今夏には技術系高校の運動部が参加する講習会が開かれ、建設業を知ってもらうツールとしても役立っている▼明後日は二十四節気の立冬。季節の変わり目を健やかに過ごせるようもう少し体を動かしてみよう。

【外苑前、駅構内を全面改装】東京メトロ外苑前駅改良建築・電気(東京都港区)、安藤ハザマに

東京メトロは1日、「外苑前駅改良建築・電気工事」の施工者を安藤ハザマに決め、22億7446万1000円で特命随意契約(WTO対象)を結んだと公表した。

 銀座線全駅を対象にしたリニューアル事業の一環。外苑前駅(東京都港区北青山2の7の16)を改良する建築、電気工事を実施する。

 工事内容は駅構内の全面改装のほか、バリアフリー設備の整備としてホームと改札階をつなぐエレベーター4基の新設、改札階と地上をつなぐエレベーター1基の新設、エスカレーター2基の新設、多機能トイレの新設・改修(各1カ所)を行う。照明設備のLED化も行う。工期は20年8月24日まで。

 設計はメトロ開発と久米設計が担当した。リニューアルのデザインコンセプトは「スポーツの杜」。明治神宮外苑のイチョウ並木をはじめ、自然に囲まれた競技場やスポーツ施設があるエリア特性を踏まえ、人々が集い爽やかさを感じるデザインにしている。

【高画質・高精細な映像装置を設置】京都スタジアム新築大型映像設備(京都府亀岡市)、契約候補に三菱電機

技術提案時点のスタジアムの完成イメージ(提供:京都府)
京都府は「京都スタジアム(仮称)新築工事(大型映像設備工事)」の公募型プロポーザルで、三菱電機を契約候補者に選定した。同者の提案は表示装置の高画質・高精細化やスポーツ興行上の運営トラブルを予想した対応システム、ライフサイクルコストなどが総合的に優れていると評価された。

 現在建設工事を進めている京都スタジアム(仮称)に大型映像装置と送出装置を設置する。施設規模はRC一部PCaRC・S造4階建て延べ約3万4140平方メートル。大型映像装置の画面サイズは縦6・72メートル以上、横11・52メートル以上、画面面積77・4平方メートル以上。場所は亀岡市追分町。契約期間は19年12月28日まで。契約上限額は4億2368万4000円。

 プロポーザルには、三菱電機とパナソニックESエンジニアリングの2者が参加。▽表示装置▽送出装置▽表示内容・方法、運用方法▽維持管理▽その他特筆すべき事項-に関する提案内容やライフサイクルコスト(10年間の維持管理費)、提案価格を合計100点満点で評価した結果、90・33点を獲得した三菱電機を契約候補者として選定した。

【中堅世代】それぞれの建設業・213

子どもに教えながら自らも成長する
 ◇子どもから学ぶ人材育成術◇

 「最近は子どもに会うのが楽しみ」と話すのは建築現場の世界で24年、鉄筋組み立て作業を行う鉄筋工の合田武さん(仮名)。建設業の技能競技大会で鉄筋工部門の上位となり、現場で職長を任される一人でもある。

 合田さんが入職した当時は「技は盗むもの」という気風が強く残っていた。ベテランの職人や親方から「手取り足取り」で細かく教わることはなく、骨組みとなる鉄筋を網目状に組む作業や、「ハッカー」と呼ぶ結束用工具で鋼線を引っかけ回転させて鉄筋を縛る作業は先輩の仕事から見よう見まねで必死に覚えた。自分が終えた仕事を先輩らが無言で直すのを見て、職人の世界は「そんなものだ」と漠然と考えていた。

 「無駄な言葉は要らない」というのが当時の現場。次々に入ってくる仲間も「仕事がきつい」というだけでなく、そんな雰囲気になじめずに辞めていくものも多かった。「耐えられるものだけが残る世界」といえば聞こえはいいが、「若手が定着しない業界には将来への不安もあった」。

 そんな考えを変えるきっかけを作ってくれたのが子ども向けの現場見学会。作業に追われる毎日の中で、見学会の準備に割かれる時間は少なくない。「事故が起きてはいけないから当たり前のことだが、作業の遅れをどうするのか」と見学会を引き受けた建設会社に当初は不信感も覚えた。

 ところが子どもたちは素直で明るい。「皆が大きな声であいさつする」。最初はとまどっていた職人も、子どもが安全で楽しく回れるように自主的に掃除し、危険な場所にはロープや立ち入り禁止の札を貼り、段差は板で覆うなどの工夫を凝らし始めた。子どものあいさつにはきっちり返し、聞かれたことには苦労しながらも分かりやすく説明しようと努力していた。

 「楽しいひとときを過ごしてもらいたい」と提案した鋼線の結束競争では「できる子」と「できない子」が生まれた。同じように結束の仕方を教えているつもりでも、なかなか習得できない子もいる。「ほかの子ができるのを見ながら、涙を浮かべているのを見ると教え方が悪いんだなと考える。どうしてもできるようにしたくなるから、ハッカーの握りや手の動きなどの教え方や接し方を考え尽くした」と振り返る。

 こうしたことの繰り返しが現場の雰囲気を変えた。「先輩の姿を見て、技を覚える」という古い考え方を押し付けていた時より、「仲間への接し方や教え方がうまくなり、今は現場を離れる若手も少なくなった。子どもを教えることを通して、皆の技能も上がった」と話す。「見て、学べ」から「教えて、学ぶ」という子どもに教えられた人材育成のスタイルは「今の若手に合っている」と感じている。

 合田さんが働くのは東京・日本橋の高層ビルの現場。地元には何百年と続く老舗がある。地元の旦那衆の1人から「進歩がない伝統は真の伝統になりえない」と教わった。今は「日々、進歩を」を掲げ、子どもと触れ合い、人材教育のヒントをもらうことを何よりも楽しみにしている。

【サークル】日本工営 華道部「植物を通して個を表現しよう!!」

半世紀以上の活動を誇る会社公認の部。登録された部員数は男女合わせて25人(10月時点)で、事務系、技術系の若手、中堅の幅広い人材が集まって和気あいあいと稽古に励んでいる。

 講師は草月流の鏡原浩楓先生。本社での定期稽古は月3回。年1~2回は先生の邸宅で研究会を行い、完成までに時間のかかる作品や普段の稽古で扱わない花を生けている。草月展や他流派の展覧会にも勉強のために足を運ぶ。

 草月流は「基本花型」の習得後、「応用花型」「自由花型」へと段階を踏んで進む。華道というと堅苦しいイメージがあるが、一定レベルに達すれば、枝や花を見て、一本一本の姿・形が一番美しく、全体にまとまりのある造形美となるよう自由に生けている。

 モットーは「個性を生かした、形にとらわれない『自由な造形』」。部の代表を務める流域水管理事業部河川部の中力まりさんは「皆が同じ花材を使って生けているのに、出来上がった作品は個性が豊か。植物を通して個を表現できるのが華道の魅力」と話す。

 たくさんの人々に作品を見てもらおうと、「自主展覧会を本社で開催する」のが中力さんの夢の一つだ。

【凜】清水建設建築総本部・土井理子さん


 ◇若い人に職人の魅力伝えたい◇

 「いろんな人と話すことが好きだったので、就職活動中は接客業も考えた」と話す彼女が飛び込んだのは、まさかの建設業。「建設業なら多くの職種と関わり合いが持てるのではないか」とアドバイスを受けたのがきっかけとなった。

 入社以来、調達部門で協力会社との契約や、協力会社の入職支援に携わっている。ここ1年は専門工事業者の人材採用支援に取り組む。10月には建設業を紹介する冊子を製作した。その中で「どうすれば若い人に専門工事業の魅力が伝わるか」を考え抜いた。

 冊子には構造物が完成するまでの工程を説明するページがある。各工程について「魅力的で、かつ一言で分かるような」フレーズをつけようと、社内ワーキンググループのメンバーから案を募った。とび工事は「建設現場の花形」、ガラス工事は「快適さを与える演出家」と、若い人の心に響きそうな言葉を選んだ。

 掲載する絵のリアリティーにもこだわり、イラストレーターに渡す資料写真を自ら撮影しに現場に出向いたことも。めったに歩くことのない足場には足がすくんだ。現場で職人たちがどんな思いで仕事をしているか「もっと勉強しなくては」と痛感した。

 仕事を通じて協力会社の重要性は身にしみている。「現場で働く職人さんのかっこよさを、若い人に知ってもらいたい」と伝え方を模索し続ける。

 (調達・見積総合センター管理部管理グループ、どい・さとこ)

【駆け出しのころ】IHIインフラシステム取締役・森内昭氏

 ◇実際に見て想像力を働かせる◇

 新入社員研修は横浜の工場で3カ月間行われ、溶接の実習なども受けました。もともと自分の手で物を作るのが好きでしたので、そうした実習がとても面白かったのを覚えています。

 最初に配属されたのは技術研究所流体・燃焼研究部で、橋梁やビルの模型を使った風洞実験などに携わりました。机にずっと向かっているよりは、実験場で模型やデータを見ながら思考している方が自分には向いていたのですが、上司からの仕事に対する要求はかなり厳しいものがありました。

 当時の課長は社内でも知られた厳しい方で、仕事への姿勢やデータのまとめ方などについて細かく指導されました。とにかく要求に応えるのが大変で、何度か会社を辞めたいと考えたこともあります。でも、この方に教えていただいたことが、今の自分につながっていると思っています。

 5年目からは2年間、海洋架橋調査会に出向しました。出向中に大型風洞実験施設で実験していた時のことです。長大つり橋の模型による実験の模様をビデオで撮影していたのですが、途中で電池が切れてしまったため、予備のものを取りに行こうと実験室を出ました。そのほんのわずかな時間でフラッター現象が起き、模型がひっくり返り壊れてしまったのです。

 米ワシントン州のタコマ・ナローズ橋が大きくねじれながら落橋した事故の原因として知られる現象です。模型を壊したことも問題なのですが、私はその貴重なシーンを実験室の外から見ただけで、映像に残すチャンスを逸してしまいました。周りの人からも残念がられ、今、こうして振り返っても悔しい気持ちでいっぱいになります。

 かつて担当した橋梁の補強工事では、設計者として現場にも出ていました。あまりに採算が合わず、他社が撤退していく中、発注者から「技術的に信用しているので継続してほしい」と言われて踏みとどまったことがありました。社内では、当初は大赤字で怒られましたが、会社の技術を信用していただいたことがうれしく、また、その後は費用もみていただけるようになり、続けて良かったと思っています。

 会社でこれまでの経験も踏まえて言っていることは、実際に物を見ることの大切さです。設計標準に合わせて図面を描いたとしても、実際に形づくられたものを見てイメージとの違いに驚いたこともありました。想像力を働かせるためにも、実物をしっかり見ることが必要です。 

 最近の若い人たちを見ていると、真面目で一生懸命なのは分かるのですが、良い意味での遊び心を持ってほしいと思います。それぞれの能力を伸ばしていくため、100%ではなく、もう少し上の110%のことをやってもらいたいとも考えています。そうやって新しいこと、難しいことでも積極的にチャレンジしていってほしいと期待します。

 (もりうち・あきら)1989年東海大大学院工学研究科航空宇宙学専攻修了、石川島播磨重工業(現IHI)入社。機械鉄構事業本部橋梁事業部設計部課長、IHIインフラシステム理事橋梁技術部長などを経て、17年6月から現職。三重県出身、54歳。
建設中の明石海峡大橋のキャットウオークを歩く
(手前から2人目が本人)