2018年10月19日金曜日

【回転窓】消えゆく素材を残す努力を

竹酔日(ちくすいじつ)に植え、3年目の10月13日辺りに採集する-。竹細工師の故水谷六々斎が残した言葉だ▼竹の植え替えに最適な日とされるのが旧暦5月13日の「竹酔日」。この日は竹が酒に酔っていて移されたことに気づかないのだそう。その由来は中国の古書に残るとも、民間伝承ともいわれるが、不思議なことに竹が酔う理由は判然としない。ただ、この日に植えた竹は繁茂すると信じられている▼六々斎は竹酔日から3年を経て最もいきおいのある竹にこだわり、花かごなどの作品をつくった。腕を磨くだけでなく、使う材料にこだわるのも一流職人の証しだ▼左官職人の挾土秀平氏から「本物の材料を手に入れるのが難しくなった」と聞いたことがある。「素材を育てる人、保存する人、吟味する人が消えると職人も駄目になる」と警鐘を鳴らしていた▼生け垣やしっくい、畳などに使う材料をどう守り続けるか。高齢者に支えられている世界だけに、残された時間は多くない。技術を継承する前に素材が無くなったというのでは本末転倒。生産者らを含め建築業界も本腰を入れて対応を話し合う時期にきている。

【公共建築賞、表彰式は11月9日】「京都国立博物館平成知新館」など6施設選定

 公共建築協会(春田浩司会長)は18日、第16回公共建築賞を決めたと発表した。全国から応募のあった102作品の中から、審査委員会(委員長・和田章東工大名誉教授)の審査を経て、「行政施設」「文化施設」「生活施設」の3部門ごとに、国土交通大臣表彰となる公共建築賞の受賞作品を1施設ずつ選定。官房官庁営繕部長表彰の特別賞には3施設を選んだ。表彰式は11月9日に東京都内で行う。

 公共建築賞に選定されたのは、行政施設部門が「高知県庁舎(免震レトロフィット)」(高知市)、文化施設部門が「京都国立博物館平成知新館」(京都市東山区)、生活施設部門が「東京駅丸の内駅舎保存・復原」(東京都千代田区)。

 特別賞は、文化施設部門から「弘前市民会館(大規模改修)」(青森県弘前市)と「東京スカイツリー、東京スカイツリータウン」(東京都墨田区)、生活施設部門から「長野県立こころの医療センター駒ケ根」(長野県駒ケ根市)が選ばれた。

 公共建築賞は、優れた公共建築を表彰することで総合的水準の向上に寄与することを目的に1988年から隔年で実施。国土交通省、全国知事会、全国市長会、全国町村会が後援している。竣工後3年以上経過した公共建築物が対象で、設計・施工の優秀さに加え、地域社会への貢献や施設の管理、保全といった視点からも審査する。

 今回は17年6月に募集を開始。同10月に全国9地区の地区審査を経て優秀賞32施設を選定。審査委員による現地審査を行った上で受賞作品を決定した。

 受賞施設の概要は次の通り。(施設名(所在地)=〈1〉構造・規模〈2〉事業者〈3〉設計者〈4〉施工者)

【公共建築賞】

高知県庁舎(免震レトロフィット)(高知市)=〈1〉RC、SRC造地下1階地上6階塔屋3階建て延べ1万9781平方メートル〈2〉高知県〈3〉佐藤総合計画〈4〉清水建設・大旺新洋・ミタニ建設工業特定建設工事JV
京都国立博物館平成知新館(京都市東山区)=〈1〉RC、SRC、S造地下2階地上4階建て延べ1万7997平方メートル〈2〉国立文化財機構京都国立博物館、近畿地方整備局〈3〉谷口建築設計研究所〈4〉戸田建設
東京駅丸の内駅舎保存・復原(東京都千代田区)=〈1〉鉄骨れんが造、RC、S、SRC、免震地下2階地上4階(一部5階)建て延べ4万2971平方メートル〈2〉JR東日本、東日本鉄道文化財団、日本ホテル〈3〉JR東日本、ジェイアール東日本建築設計事務所〈4〉東京駅丸の内駅舎保存・復原工事JV

【公共建築賞特別賞】


弘前市民会館(大規模改修)(青森県弘前市)=〈1〉RC一部S造地下1階地上2階塔屋1階建て延べ5593平方メートル〈2〉弘前市〈3〉前川建築設計事務所(協力・アトリエタアク一級建築士事務所)〈4〉堀江・弘和・工藤建設工事JV
東京スカイツリー、東京スカイツリータウン(東京都墨田区)=〈1〉S、SRC、RC造、タワーヤード・地下1階地上29階塔屋4階建て、イーストヤード・地下3階地上31階塔屋2階建て、ウエストヤード・地下2階地上7階塔屋2階建て総延べ22万9728平方メートル〈2〉東武鉄道、東武タワースカイツリー〈3〉日建設計〈4〉タワーヤード・大林組、イーストヤード・大林組・株木・東武建設JV、ウエストヤード・大成建設・谷内田建設JV
長野県立こころの医療センター駒ケ根(長野県駒ケ根市)=〈1〉RC一部S造3階建て延べ1万0184平方メートル〈2〉長野県立病院機構〈3〉共同建築設計事務所〈4〉1期・ヤマウラ、2期・岡谷組。

【MR技術を工事に活用】大成ロテック、ホロレンズで地下埋設物を視覚化

 大成ロテックは、電線共同溝工事に伴う既設埋設管の損傷防止に向け、新たな対策を導入した。

 レーダー探査による既設埋設物の3次元(3D)モデルデータと、計画する電線共同溝の3D設計データを、米マイクロソフトのゴーグル式MR(複合現実)端末「ホロレンズ」に取り込む。

 重機オペレーターと工事関係者がホロレンズを使い、施工前に設計と既設埋設物の位置関係を確認し、既設埋設管の損傷防止に役立てる。

 国土交通省近畿地方整備局和歌山河川国道事務所発注の「国道42号秋葉町管路敷設他工事」に適用した。道路沿いに商店や住宅が並び、交通量も多いため、片側規制で交通開放しながらの施工となる。施工スピードが求められると同時に、地下埋設物の損傷防止など、安全管理にも細心の注意が必要とされた。

 ホロレンズは、現実世界の中にホログラフィックを重ねて表示できる。地下の既設埋設物の正確な位置情報を可視化。作業員に現場で周知することで高精度の施工を実現し、埋設物の損傷を防ぐ。

 CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)データの活用により、既設管と設計を3Dデータ上で比較できる。管路の干渉など事前協議がスムーズに進み、手戻りを減らす効果もあった。新しい事故防止技術として、同種工事への適用を本格化させる。

 ホロレンズによる視認を体感した近隣住民からは、「自宅前の地下にたくさんの管が通っていることに驚いた。非常に興味深い経験だった」との感想が聞かれたという。

【施設の複合化へ整備手法など調査】沖縄Jリーグスタジアム整備事業、民間対話を実施

沖縄県は、那覇市の奥武山公園内で計画している「Jリーグスタジアム整備事業」を対象に施設の活用方法や整備手法などについて民間事業者から意見、提案を求めるサウンディング(対話)型調査を実施する。

 24日まで現地見学会の参加申し込みを受け付け、31日に見学会を開催。11月7日まで調査の参加申し込みを受け付け同30日までサウンディング調査を行う。調査結果は19年4月以降に公表する。

 調査項目はスタジアムの利活用アイデア、複合機能の可能性や施設内容、事業アイデアとこれらの市場性や事業成立性、運営する場合の整備条件、事業スキームとその期間、参入を判断する際に重要となる公募条件や公募条件に関する要望など。

 対象施設のうちスタジアムはRC一部S造6階建て延べ4万7500平方メートル、収容人数2万人。天然芝フィールドや大型映像装置、フットサルコートなどを備える。

 にぎわいの創出に向けスタジアムに併設を想定している複合施設の規模は最大で建築面積5540平方メートル、延べ4万平方メートル。建設地は那覇市奥武山町45、敷地面積約6・2ヘクタール。21年度の供用を予定している。担当はスポーツ振興課。

【建築家・田根剛氏が展覧会】「未来の記憶」テーマ、TOTOギャラリー・間(東京都港区)で

 ◇エストニア国立博物館や古墳スタジアム紹介◇

 建築家・田根剛氏(ATELIER TSUYOSHI TANE ARCHITECT主宰)の展覧会「Archaeology of Future-未来の記憶 Search&Research」が、12月23日まで東京都港区のTOTOギャラリー・間で開催されている。

 完成までに10年を費やしたエストニアの国立博物館や進行中の国内外のプロジェクトなどを600点の模型で紹介している。

 建築物が立地する土地の歴史や痕跡を分析する考古学的な視点で、設計作品を生み出している田根氏。北欧エストニアの国立博物館は、自身が20代に設立した設計事務所「ドレル・ゴットメ・田根」(DGT.)が手掛けたことでも知られている。

 旧ソビエト連邦(現ロシア)の支配下にあった同国の軍用滑走路を利用して建築を生み出した博物館は国際コンペで1等を獲得。占領という負の遺産を新たな未来へと転換させている点が特徴となっている。

 2012年に参加した新国立競技場(東京都新宿区など)の基本構想国際デザイン競技では、スタジアムの周囲を緑で覆った「古墳スタジアム」を提案。斬新なデザインは、幅広い層に強い印象を与えることとなった。

 個展は、エストニア国立博物館や古墳スタジアムなどの代表作品、2020年に竣工予定の「(仮称)弘前市芸術文化施設」を含む最新プロジェクトを大型模型や映像で紹介する。

 個展を目前に控え、17日に行われた報道機関向けの内覧会で田根氏は、「場所には必ず記憶がある。建築はその記憶を継承しながら、未来をつくることができる。建築の持つ力や使命、未来への可能性を考えるきっかけにしてほしい」と思いを語った。

 来場者に対しては「模型は見る角度によって違った表情を浮かべる。足を運んだ方々が好奇心を持ってもらえるとありがたい」と鑑賞方法のポイントも解説した。

 ギャラリー・間の所在地は南青山1の24の3のTOTO乃木坂ビル3階。入場無料。開館時間は午前11時~午後6時(月曜、11月3日と12月23日は休館)。東京都新宿区の東京オペラシティ・アートギャラリーとの2館同時開催となる。詳細はギャラリー・間のホームページへ。

2018年10月18日木曜日

【回転窓】危機管理のプロに学ぶ

「世間の耳目を集めた警備事案で陣頭指揮を執られ、危機管理のプロとして大いに活躍された」-。今月10日に死去した初代内閣安全保障室長で評論家の佐々淳行氏を悼み、菅義偉官房長官が記者会見で述べた言葉である▼警察庁時代に東大安田講堂事件やあさま山荘事件などの現場で指揮を執った。退官後は危機管理に関わる評論や執筆活動で活躍し、7年前、本紙インタビュー連載「国のかたちを考える」にも登場いただいた(11年10月24日付)▼自然災害などの緊急時は前例にとらわれず、最も適した制度や組織を迅速、有効に活用して対処する。そして頻発する異常な集中豪雨に対応できる都市の新しい水害対策を急ぐ。インタビューで指摘したこれらのことがいかに重要かは論をまたない▼〈陣頭指揮〉に対する考えが自著に書かれている。多くのリーダー、それも力のある人ほど陣頭の場所を間違えて最前線に出たがるが、〈これでは組織体としての情報対応など、さまざまな弊害があって一利なし〉。個々の力を最大限に引き出せてこその陣頭であろう▼佐々氏の著作を読み返し、危機管理の在り方を改めて学びたい。

【初弾は新大久保駅、食文化の発信拠点開設】JR東、山手線沿線街づくりプロを始動

 JR東日本は山手線を起点に、個性的で心を豊かにする都市生活空間の創造プロジェクトに乗りだす。

 東京新宿区の新大久保駅に「食」にかかわる人々が集まり、新しい食文化を創造するための交流拠点を開設する計画。昨年に引き続き、世界各国のデザイナーが東京の街の魅力を異文化視点で発掘する活動を実施し、成果を沿線街づくりに生かす。

 東京都心部を走る山手線沿線の街づくりに当たり、同社は「東京感動線/TOKYO MOVING ROUND」をコミュニケーションワードに掲げた。街の個性を引き出し、街や人が有機的につながる都市生活空間を継続的に創出するプロジェクトを展開する。

 新大久保駅での初弾プロジェクトでは、食にかかわる交流拠点を開設し、食を通じて新しいライフスタイルを提案。駅に隣接するビル内(3~4階部分)にシェアダイニング(対象面積約180平方メートル)とコワーキングスペース(約300平方メートル)を配置。20年夏ごろの開業を予定している。

 世界の各国・地域からデザイナー6人を招聘(しょうへい)。山手線沿線の街の魅力を異文化視点で発掘する「TOKYO SEEDS PROJECT 2018」を17~25日に行う。沿線の街を巡りながら、東京の魅力を体感した各デザイナーに魅力を伝えるためのコミュニケーションデザインを提案してもらう。

 プログラムの活動成果やデザイナーからの提案などを、国内外に向けたコミュニケーション活動をはじめ、インバウンド(訪日外国人旅行者)のプロモーション戦略や海外事業展開などに生かす。

【麦わら帽子?、違います、ヘルメットです】関東整備局のSNS投稿が話題に

 関東地方整備局利根川上流河川事務所が工事現場で撮影し、SNS(インターネット交流サイト)に投稿した写真が話題になっている。これまでに77万人超が閲覧。9日に開かれた同局と関東建設青年会議(増子秀典会長)との意見交換会で、同事務所の三橋さゆり所長が紹介した。

 投稿したのは、麦わら状の日よけをヘルメットに装着させた女性技術者の写真。暑さが増してきた6月28日に発信しており、「担当技術者さんが使ってた、ヘルメットが麦わら帽子に変わる優れもの!」というコメントを寄せて投稿したところ、6200件以上の「いいね!」が集まった。リツイートも5000件を超えた。

 今回の投稿は、小川工業(埼玉県行田市)の女性社員の工夫を三橋所長が見かけて面白いと感じ、発信しようと考えたことがきっかけだった。三橋所長はSNSでの発信に当たって、建設会社の話を盛り込んだり、実際の担当者の名前が入った写真を投稿したりすることを心掛けているという。

 77万を超える閲覧となったことで、建設業に興味がない人にまで拡散している可能性が高いと分析。「押しつけがましい広報は見ている人にとっては面白くない。(建設業などに)関心がない人に見せることが、伝わることになると思う」と話している。

【福島市、公共施設再編検討委が提言】コンベンション優先、サッカースタジアムは中長期的課題に

福島市は17日、老朽化した公共施設の再編整備の基本的な方向性を議論する「公共施設の戦略的再編整備検討委員会」(委員長=佐藤滋早稲田大学教授)の会合を開き、コンベンション施設や消防本部・福島消防署、市役所本庁舎西棟などの優先度が高いとする提言をまとめた。

 コンベンション施設は駅前再開発事業と連携して検討すべきだとしている。一方で、サッカースタジアムは中長期的な課題に位置づけ、当面は調査研究活動を続けるよう求めている。今後、中心市街地のにぎわい創出を検討している「中心市街地将来ビジョン検討委員会」の提言とともに11月下旬に市に提出する。市は両委員会の検討結果を踏まえ、年内に再編整備の青写真を示す考えだ。

 提言によると、コンベンション施設は公会堂機能と市民会館機能の複合化により、新たな集客・交流拠点として整備すべきだとし、施設整備に当たっては官民連携や民間事業者のアイデアを取り入れるプロセスを入れるよう求めた。また、効果的・効率的な施設の管理運営や用地取得に課題があることからJR福島駅前で地権者らで計画している同駅東口地区市街地再開発事業(仮称)との連携を検討すべきだとした。

 消防本部と福島消防署については、適地を検討した上で、単独施設として再整備を求めた。本庁舎西棟は市民交流機能と市民会館機能のうち近隣利用者の集会所、中央学習センター機能と統合・複合化すべきだとしている。図書館については分館や学習センター図書室を含めた図書館の在り方を十分検討した上で再編整備すべきだとした。

 サッカースタジアムに関しては、整備効果の見極めや民間主導による運営の可能性など多くの課題があることから、当面は中長期的な課題として調査を続けるとともに、ファン拡大や観客動員の増加に向けて取り組むよう求めた。福島駅新東西自由通路は民間事業者との役割分担や整備コストなどに課題があり、中長期的な課題として駅周辺の都市機能の集積状況を見極めながら適時検討すべきだとしている。

【地元企業が新潟三越の土地建物購入】篠田昭新潟市長、地域活性化へ支援表明

 新潟市の中心市街地にある百貨店「新潟三越」の土地建物について、地元建設会社の廣瀬(新潟市西区)が、三越伊勢丹ホールディングス(HD)と購入契約を交わし、取り壊した上で再開発を進めるとの見通しを示した。これを受け、新潟市の篠田昭市長は「市としても応援したい。居住、にぎわいの要素を持った複合的な魅力ある建物を造っていただけると期待している」と述べた。

 市ができる再開発の後押しについて「どのような支援メニューがあるのか国と意見交換を行い早急に一覧にしたものを示したい」と話した。新潟三越の再開発については、全国的なデベロッパーも交えた勉強会を行っていたことを表明。「デベロッパーの知恵と力をいただけるのではないかと考えている」と語った。

 三越伊勢丹HDは9月、20年3月に新潟三越を閉店し、土地建物を売却するとの方針を示していた。所在地は中央区西掘通5の866。土地は約5000平方メートル、建物は地下1階地上9階建て。

【施工は大林組JV、大阪・なんばに新ランドマーク】なんばスカイオ(大阪市中央区)が開業

 南海電気鉄道が南海会館ビル跡地(大阪市中央区)に建設を進めてきた商業施設・オフィスなどで構成する超高層複合ビル「なんばスカイオ」が17日、開業を迎えた。施設規模はS一部SRC、RC造地下2階地上31階建て延べ約8万5000平方メートル。設計・監理を大林組、施工を大林組・竹中工務店・南海辰村建設JVが担当した。

 建設地は大阪市中央区難波5の1の60。かつて南海電鉄の本社が入っていた南海会館ビルの建て替え事業として、15年9月から工事が進められてきた。

 新ビルの2~6階と10階には物販・サービス・飲食など41店舗で構成する「なんばスカイオShops&Restaurants」が入る。7~8階がコンベンションホール、9階がメディカルフロア、10階がスカイロビー、高層部の13~30階がオフィスとなる。

 同日午前10時のオープンを前に、1階北側エスカレーター付近で式典が行われ、遠北光彦社長兼最高経営責任者(CEO)が「無事に開業を迎えることができたのも大林組・竹中工務店・南海辰村建設JVをはじめ、関係者のご尽力のおかげだと感謝している。当社は創業以来133年にわたり、難波の地で地域の歴史や文化と呼応しながら、多様な都市機能の集積を図ってきた」とあいさつ。

 なんばスカイオを国際交流拠点として発展、成長していく象徴と位置付け、「2031年に予定されている『なにわ筋線』の開業に向け、今後もホテルや商業、オフィス機能の充実を図っていきたい」と述べた。

 この後、遠北社長と山中諄取締役相談役、歌舞伎俳優の市川右團次さん、高島屋の粟野光章常務大阪店長、総合南東北病院の渡邉一夫理事長、スイスホテル南海大阪のバーント・シュナイダー総支配人がテープカットを行い、開業を祝った。

2018年10月17日水曜日

【回転窓】観光立国への投資

秋の行楽シーズンは観光地にとってかき入れ時。地震や豪雨被害があった北海道や西日本地域では客足が遠のくことも心配されたが、被災インフラの復旧は進んでおり、集客に力が入る▼観光地をつなぐ交通インフラでは高速道路に点在するサービスエリア(SA)も地域の観光資源として存在感を増している。人気の飲食店や地元名産の物販店などが入る商業施設、アメニティー空間やアトラクションなど複合施設への再整備が進む▼17年度の売り上げトップは東名・海老名SA(上下線)の170億円。1日当たり約5万人の来場者があったそうだ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(約4万人)を上回り、国内屈指の人気を誇るテーマパーク・東京ディズニーリゾート(約8・2万人)との間に割って入るほど高い集客力を誇っている▼18年度上半期(4~9月)の東京ディズニーランドとシーの入園者数は過去最高の計1551・8万人。入場者が伸び悩む中、大規模な施設拡張を相次いで実施し集客力アップを狙う▼集客施設にとって魅力を保ちさらに高めるための継続的な投資は不可欠。観光立国は一日にしてならず。

【来春から改修工事着手】横浜マリンタワー次期運営事業、交渉権者にリストプロパティーズら

横浜市は15日、中区にある横浜マリンタワーの次期運営事業者を選定する公募型プロポーザルで、優先交渉権者にリストプロパティーズグループを選定したと発表した。

 定期建物賃貸借契約で期間は20年4月1日~30年3月31日の10年間。19年3月の契約後、提案に沿った改修工事を行う。

 代表事業者はリストプロパティーズ(横浜市中区、北見尚之社長)で、構成員がゼットン(東京都港区、鈴木伸典社長)。協力会社としてTKスクエア(東京都港区、楠本孝夫代表取締役)と横浜エフエム放送(横浜市西区、藤木幸夫社長)が加わっている。近年のトレンドや地域の動きを踏まえ、市民利用の拡充を含んだ提案が評価された。

 市は19年4月から20年3月にかけてマリンタワーの改修工事を行う。改修設計は日建設計が担当している。計画では塔体部の塗装改修、エレベーター更新、空調機器更新などを行う予定。リストグループが提案する内装改修工事なども並行して行う予定で、こちらは同グループが発注する。詳細は19年度内に決める。

 所在地は中区山下町15。施設概要は建築面積1510平方メートル、延べ床面積4389平方メートル。展望塔と塔体部はS造、低層棟はSRC一部RC造、増築棟はS造。低層棟と増築棟は1~4階、展望室は29~30階、EV機械室は32階、灯台室は33階。

 マリンタワーは横浜港開港100周年記念事業として建設。100周年から2年近く経過した1961年1月にオープンした。当時の建設工事は、設計と建築工事を清水建設、鉄骨工事は石川島播磨重工業(現IHI)が担当した。

【こちら人事部】高砂熱学工業/「人財」を幅広く育成

 ◇向上心持ちグローバルに活躍を◇

 1923年11月16日、前身となる「高砂煖房工事」として設立した。1943年に現在の社名に改称。「人の和と創意で社会に貢献」を社是とし、空調設備工事をコア事業とする「総合エンジニアリング企業」として事業を展開する。

 現在は、省エネ技術やエネルギーマネジメントの分野だけにとどまらず、ファシリティーマネジメントやプロパティーマネジメントなど多様な事業を担える企業へ転換を図り、2023年に迎える創立100周年に向け、成長を続けている。

 新卒採用や人材育成などに携わる村上誠コーポレート本部人事部タカサゴ・アカデミー長は、人が会社の財産という視点から「『人材』よりも『人財』との表現を多く使用する」と話す。

 新卒に求める人材像については「環境の変化に強く、コミュニケーション力が高い人財を望んでいる」と強調する。同社のビジネス領域は建設業界だが、建築や機械の学問専攻にこだわらず、電気や情報、環境、化学など多様な学問を専攻した人財が活躍している。

 今後、さらに幅広い領域で事業展開するためにも「IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などを活用した新たなサービスや新規領域を開拓したいと向上心を持つ人やグルーバルで活躍できる人財を獲得したい」(村上氏)。

 学生にとって有利な売り手市場が続く中、学生を募集する際の応募人数を確保するため採用側も工夫を凝らす。その一環として▽なるべく多くの学校を採用担当者が訪問する▽夏季インターンシップ(就業体験)の日程を5日間と1日間の両コース設置▽提携している学校からのインターンシップ生の積極的な受け入れ▽社員教育と育成に取り組む「タカサゴ・アカデミー」の設置-と幅広い取り組みを展開する。

 入社後の研修は、本社(東京都新宿区)で1カ月間、ビジネスマナー講座や基礎的な空調設備講座などを実施。各支店に配属し、現場研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などを2カ月間行う。その後再び集合研修を繰り返す。新入社員研修期間は2年間。事務系も技術系と同じ教育研修を受ける。

 昨年度には、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターでの実習を開始。現場の実務を模擬体験し現場作業の苦労や危険なポイントを実感することで施工に対する理解を深め、施工管理能力の向上を図っている。

 入社2年目以降も業務と並行して階層別や目的別の研修など、社員それぞれに最適な教育カリキュラムを準備。例えば、キャリアアップ支援の一つとして、建設業界では珍しいMBA(経営学修士)の学位取得制度なども実施している。「『社員のための研修』を厚くすることで多くの人財が活躍できる。さらに必要な能力やビジネススキルを身に付けてもらえれば、モチベーションの向上につながっていく」(村上氏)。

 村上氏は、就職活動中の学生に向け「将来何がしたいのか、そのためにはどうなりたいかと考えることが最も重要。入社してから会社の中で、自分の役割をしっかり見つけられるようになってほしい」とアドバイスを贈る。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性69人、女性19人(18年度実績)

 【平均勤続年数】男性17・5年、女性13・5年(18年3月末時点)

 【平均年齢】  42・3歳(18年3月末時点)

2018年10月16日火曜日

【おかげさまで創刊90周年】建設業界と共に歩み、「今」を伝え続けた90年

 日刊建設工業新聞は10月15日、創刊90周年という大きな節目を迎えました。1928(昭和3)年の創刊以来、社会資本整備や街づくりを担う多くの方々にご愛読いただきましたことを、心から感謝します。今後も〝未来〟づくりに貢献する建設産業のために、有益な情報を発信し続けたいと思っています。建設にフォーカスした日刊全国専門紙として存在感を高めてまいりますので、今後ともよろしくお願いします。
1947(昭和22)年1月1日付
戦後復興期の紙面
1948(昭和23)年7月7日付
建設省設置法の成立を報じる
1949(昭和24)年4月2日付
ブランケット判(大判)となり題字も変わる
1950(昭和25)年3月2日付
現在と同じ題字になる
1950(昭和25)年9月4日付
現在と同じ日刊紙になる
1964(昭和39)年10月10日付
東京オリンピック開幕日
1970(昭和45)年3月16日付
大阪万博開幕を伝える
1989(平成元)年1月9日付
平成最初の紙面
2001(平成13)年1月1日付
21世紀最初の紙面
2016(平成28)年10月25日付
11月からの新紙面(現在)に関する社告を掲載
2018(平成30)年6月25日付
創刊90周年記念特集号第1集

【回転窓】読み間違えと文章校正

「みまなさに だじいな おらしせ」で始まる広告のキャッチコピーがネットニュースなどで話題を呼んだ。富山県の和菓子店が看板商品のどら焼きのリニューアルを告知するためにとった広告戦略で、売り上げと認知度の両方が一気に高まった▼文字が入れ替わっていても補正して文章を読むことができる人間の認知の特性を逆手に取ったこの広告キャンペーンは大成功を収め、10日間で5万9200個の売り上げがあったという▼文字が並べ替わっていてもその文章を読めてしまうのは、われわれの脳が文章に含まれる単語を一つの集合として視覚的に認識しているためで、「タイポグリセミア現象」と呼ばれる▼この現象、人間の脳のだまされやすさを象徴しているともいえるが、編集業務とりわけ校正作業の担当者にとっては厄介な存在だ。すんなり読めていたはずだったのに活字になった段階で誤りに気付くという落とし穴のような現象だからである▼文字を扱う出版・印刷業界に先駆けて証券・金融業界では文章校正に人工知能(AI)を活用する事例が広がりつつあるようだ。AIなら冒頭の文書をどう読むのだろう。

【災害対応人員が27%減少】群馬建協、地方の危機管理見据えた対応要望

 災害対応力低下を防ぐため次の一手を-。群馬県建設業協会(青柳剛会長)が行った会員企業らへの実態調査で、災害時に応急対策を担う人員が大きく減少していることが分かった。

 群馬建協は、若年入職者の確保・育成につなげるため、建設産業の最低限の経営を担保する「限界工事量」の確保が不可欠と指摘。地域密着型工事の拡大や公共事業予算の確保、大型補正予算の編成などを、国土交通省や自民党、群馬県らに訴えていく。

 群馬建協の調べによると、災害時に応急対策を担う会員企業と下請企業の人員は、6年前と比較して約27%減少している。こうした傾向が続くと災害時の緊急対応や応急復旧が遅れる要因となり、安全・安心や社会経済への悪影響が懸念される。このため、「災害対応組織力を確保・維持するための提言」をまとめて、積極的に要望活動を展開することにした。

 青柳会長は15日に前橋市で会見し、「災害時に緊急対応できる余力がほとんど無くなっている。全国的にも同じだと思う」と指摘。地域密着型の工事を発注して、災害時の応急対応を担う人材を育てていくことが重要との認識を示し、「国土強靱(きょうじん)化で集中投資する際に、(こうした状況を)意識しながら仕事を計画していくべきだ」と訴えた。

【長時間労働是正へ建設業法令改正検討】政府、働き方改革実行計画の進捗状況を初報告

政府は15日、17年3月に決定した「働き方改革実行計画」に基づく施策の進捗(しんちょく)状況を初めてまとめた。今年の通常国会で同計画の内容を踏まえた働き方改革関連法が成立し、新たに時間外労働の罰則付き上限規制が規定された。建設業の長時間労働是正に向けた今後の取り組みでは、建設業法を含む関連法令の改正検討などを列挙した。

 施策の進捗状況は、同計画で掲げた▽非正規雇用の処遇改善▽賃金引き上げと労働生産性向上▽長時間労働是正▽柔軟な働き方がしやすい環境整備▽病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進▽外国人材の受け入れ▽女性・若者が活躍しやすい環境整備▽雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実▽高齢者の就業促進-の9項目で整理した。

 「長時間労働是正に向けた取り組み」は建設業に特化した内容を列挙した。国土交通省が建設業法など関連法令の改正を検討。政府が7月に改定した「建設工事における適正な工期設定等のガイドライン」のさらなる改定に向けた検討も進めるため、中小企業の実態を調査する。

 国直轄工事を対象にした週休2日拡大も推進。中小建設会社への積極的なICT(情報通信技術)活用を促すため、公共工事積算基準の改善も図る。施工時期の平準化策として国庫債務負担行為の活用、地域単位での国と地方自治体の発注見通し統合、自治体への数値目標設定といった取り組みも促す。

 施策の進捗状況は、同日に東京・永田町の首相官邸で開いた「働き方改革フォローアップ会合」(議長・安倍晋三首相)で報告した。安倍首相は締め括りのあいさつで、65歳以上の継続雇用や中途採用の大幅拡大を新たな柱とする働き方改革のさらなる推進に意欲を示した。

【油圧重機に〝力触感〟技術導入】大林組ら、油圧駆動重機に力触覚技術適用

重機作業でオペレーターが力触覚を感じながら作業ができるようになる
(写真はイメージ)
大林組は15日、触れた物の硬さや軟らかさを伝える力の感覚(力触覚)を再現する「リアルハプティクス」と呼ばれる技術について、油圧駆動の建設重機に適用するシステムを慶応大学と共同開発したと発表した。対象物を正確につかめているかや、破損させてはいけない重量物を適切な力加減でつかんで持ち上げられているかなどの感覚を、オペレーターが視覚や聴覚に加えて感じながら作業できる。作業効率を高めると同時に、安全な作業を実現する。

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【サムライブルーの新拠点、施工は戸田建設】JFA、ナショナルフットボールセンター(千葉市美浜区)の建設に着手

 日本サッカー協会(JFA、田嶋幸三会長)は千葉市美浜区の県立幕張海浜公園内で計画する「(仮称)JFAナショナルフットボールセンター」の建設工事に着手し、14日に現地で起工式を開いた。

 19年12月の完成を目指す。設計監理は三菱地所設計・戸田建設JV、施工は戸田建設、CM(コンストラクションマネジメント)は山下PMC・オオバJVが担当する。グラウンドの工事は東亜道路工業が施工する。

 式典には田嶋会長のほか、山下PMCの川原秀仁社長、三菱地所設計の竹内晋一副社長、戸田建設の今井雅則社長らが出席。来賓として千葉県の森田健作知事、千葉市の熊谷俊人市長らも同席した。関係者による鍬入れで工事の無事完了を願った。

 田嶋会長は「日本代表の拠点であり、サッカーに関わるあらゆる知見の集まる施設にしていきたい」とあいさつ。川原社長は「プロジェクトの成功は関係者全員の協力が必要だ」と述べた。竹内副社長は「関係者とタッグを組み、いい施設を造りたい」と話し、今井社長は「全社を挙げて工事に取り組み、満足いただける施設を建設する」と語った。森田知事は「この施設を機にわれわれもサッカーと千葉両方の魅力を発信していきたい」と述べた。

 建設地は美浜1の1(敷地面積12万3518平方メートル)。JFA創立100周年記念事業で、選手や指導者育成などの拠点施設となる。

 ラウンド4面(うち天然芝2面)やクラブハウス棟(S造2階建て延べ4319平方メートル)、フットサルアリーナ棟(RC一部骨組膜構造平屋1582平方メートル)などを建設する。グラウンド工事のうち、A、Bピッチは戸田建設の協力会社として東亜道路工業が実施する。CピッチはJFA、Dピッチは千葉県サッカー協会が事業主体となって同社が整備する。

 隣接地にはサンフジホールディングスによるスポーツスパ棟の建設も計画されている。建物の規模はS造2階建て延べ3067平方メートルを想定。19年2月の着工、同年12月の完成を目指す。設計は玉岡設計が担当。施工は未定。

2018年10月15日月曜日

【回転窓】パラリンピックのレガシー

ミニバンタイプのタクシーを街でよく見かけるようになってきた。通常料金で誰もが普通に使えるUD(ユニバーサルデザイン)タクシーのマークが付いており車内空間や乗降口が広いのが特徴。高齢者や車いす使用者などが利用しやすい移動手段だ▼都内や近県では2020年東京五輪・パラリンピックの開催に向け、公共の交通機関や建築物などを中心にバリアフリー化が進んでいる。この動きをさらに広げ全国でバリアフリーの街づくりを推進するため、先の通常国会で改正バリアフリー法が成立した▼法改正で「共生社会の実現」「社会的障壁の除去」という理念が掲げられた。国は大会を法の理念を具現化する契機にしたいと考える▼海外のパラリンピアンとの交流をきっかけに、UDの街づくりと心のバリアフリーに取り組む「共生社会ホストタウン」に13の自治体が登録されている。大会時の選手の受け入れだけでなく、大会後もさまざまな形で交流を続けていく▼障害のある選手たちと接することで共生社会の実現に向けた気付きを得て意識を変える。パラリンピックの価値や意義を根付かせるチャンスだと思う。

【IR解禁でプロジェクト具体化へ活動】米シーザーズ社、国内4カ所のIR施設開発構想案公表

横浜・山下ふ頭での施設開発イメージ
カジノを含むIR(統合型リゾート)開発事業の具体化に向けた動きが活発化する中、関連事業を展開する海外企業の参入意欲も高まってきた。世界5カ国で53のホテルやカジノを運営する米シーザーズ・エンターテインメントは、日本国内4カ所を想定したIR施設の開発構想案を公表した。候補地は北海道苫小牧市と大阪市、横浜・山下ふ頭(中区)。東京・台場地区は数年前に開発コンセプトとマスタープランを作成している。先行して提案活動を展開しながら、事業化を後押しする狙いだ。

 国内4カ所の各施設の規模や整備スケジュールなどは明らかにしていない。

 横浜の開発構想案は、横浜市がIR誘致の検討材料にするため、民間事業者から募った提案内容だ。ハーバーリゾートとして市が再開発を計画している山下ふ頭を建設地に、MICE(国際的なイベント)機能や集客施設などを集めるプロジェクトを想定している。

 開発コンセプトは「Yokohama Art&Culture Park and Entertainment」。山下公園沿いの公共空間を拡張し、景観を損なわず地域活性化につなげる。IR施設は葛飾北斎の浮世絵にある「波」をイメージした外観。ホテルやMICE施設、家族向けアトラクション、物販・飲食店などで構成する。
東京・台場地区での施設開発イメージ
市は国内外の12事業者・グループから構想案の提出を受けている。同社の構想案もその一つ。市は現時点でIRの誘致について「白紙」としている。市内では横浜商議所を中心とする経済団体などがIR導入に積極的な姿勢を示している。山下ふ頭の事業者らで構成する横浜港運協会(藤木幸夫会長)は、カジノ導入反対の立場を表明している。
苫小牧市での施設開発イメージ
北海道では苫小牧市のRFI(情報提供依頼)と北海道の事業構想案募集に応じた。「森の精霊」をコンセプトに世界初の統合型エコリゾートを提案している。土地固有の環境との調和を図り、道内最大のMICE機能やスパ専用ヴィラ、グランピング、温泉庭園、通年のディスカバリーセンターなどを備えたフルスケールのIR施設を想定している。
大阪市での施設開発イメージ
大阪はウェルネス、MICE、エンターテインメントの三つのテーマを柱とするIR施設を構想。2025年の万博開催に向けて大阪が提唱するテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に合致する提案となっている。建設地は大阪市此花区の夢洲を想定している。

 東京・台場地区の開発コンセプトはエンターテインメントだけでなく、地域住民のコミュニティーとしての魅力づくりも目的にしている。花びらの形をした建物やちょうちんのモチーフなど日本の自然やシンボルからヒントを得た開放的なIR施設を提案している。

【凜】三建設備工業北関東支店工事部・尾形祐美さん

 中学生のころに見たテレビ番組がきっかけとなり、建築に興味を持った。建築学科のある大学に入学してからしばらくたった時、教授の「建物は設備があってはじめて人が住めるし機能する」という話が心にとまり、設備工事会社への就職を志すように。

 自宅近くで建設中の建物に携わっていたことで三建設備工業の存在を知り、入社試験に挑戦して合格。14年春に入社した。

 約3カ月間の研修を終え、今も所属する北関東支店工事部へ配属となった。

 「最初に現場へ出たときは、何をしていいのか全く分からなかった」

 それでも先輩社員から仕事を教えてもらいながら自身でも勉強を重ね、知識を一から身に付けていった。その後、いくつもの設備工事に携わり、経験を積んでいった。

 現在、女性社員初の現場代理人として、大学の設備工事に日々奮闘する。責任も重く、苦労も絶えない立場となった。それでも「自分自身が成長するためのステップと捉えて頑張りたい。同じ工事部に所属する後輩に良い意味で刺激を与え、お互いに成長しあっていきたい」と話す。

 「女性であることに限界をつくらず、会社の女性後輩社員の道筋を作れる存在になりたい」。自らの目標をそう語りながら、「いずれは管理職となり、女性活躍の一翼を担いたい」と情熱を燃やす。

 (おがた・ゆみ)

【中堅世代】それぞれの建設業・211

経営理念の具体化に向け話し合いを進めている
 ◇経営理念を意識した仕事心掛ける◇

 普通高校を卒業後、二つの会社勤務を経て、建築資機材の販売・レンタルを手掛ける今の会社に就職したのが7年前。杉戸明さん(仮名)は、営業マンとして日々現場に出向いて資材を納入している。営業マンとして心掛けているのが、現場で取引先のニーズを丹念に聞き取る「ご用聞き」としての活動だ。

 勤めているのは、グループ会社の建築工事部門を含め社員が10人ほどの小さな職場。社長は、さまざまな業種の企業が加盟する中小企業団体に参加している。団体は会員各社に経営理念の策定を推奨。杉戸さんの会社も昨年1月、「わたしたちは、お客さまの“創る歓び”と“想い”を創造します」「わたしたちは、個人の知識と経験を最大化し、協働します」「わたしたちは、人と人が繋がる地域を愛し、地域を活かします」の3項目を柱とする経営理念を成文化した。

 経営理念には、社会的存在意義やビジョンを明らかにし、社員の使命感や意欲を高めていこうという思いが込められている。社内では成文化後、理念の内容を具体化するための委員会を精力的に重ねている。

 杉戸さんは最近、社会人として初めて3人の部下を持つ立場になった。中小企業団体の支部会にも顔を出している。「うわべの付き合いではなく、経営者同士が本音で語り合える貴重な場であり、勉強になる」と感想を語る。

 部下の仕事ぶりを見て、物足りないと感じることもある。「『この日までにこの商品を持ってきてほしい』という顧客からの電話があっても1、2件当たってみて在庫が探せないと、すぐに諦めてしまっている。諦めが早い」。世代間ギャップの大きさを感じている。

 中小企業団体の会合に出て気付かされたのは「上司が本気でぶつかっていかないと、部下は変わらない」ということ。会合への出席は、部下への指導という面でも役に立っている。

 経営理念を具体化するために、全社員参加で地域貢献を検討する委員会も立ち上がった。自社ビルの1階にある倉庫を活用して、地域の人たちも参加できるようなイベントを開催できないかと話し合っている。

 会社は製品の自社開発を進めている。「建築資機材の販売・レンタル業は同業社が多く、価格競争に陥りやすい」。杉戸さんは、自社製品を持つことによって提案営業を行い、受注獲得を狙いたいとする。

 経営理念に掲げた「創る喜び」。ものづくり現場を顧客とする会社として、子どものころに感じた創ることへの感動やわくわく感、際だつデザイン、幸福感などをイメージしている。

 日々の仕事を進める上で、絶えず経営理念を意識し、協力会社や仕入れ先と協働することを心掛けている。

【駆け出しのころ】高砂熱学工業執行役員エンジニアリング事業部長・神谷忠史氏

 ◇多様な感性持つエンジニアに◇

 私が新人時代に先輩から受けた教育は、同期の人たちと比べてもだいぶ違っていたようです。入社して2週間の新人研修を終えて現場に配属された日、私の教育係であるエルダーの先輩から現場関係者を紹介していただくとともに、仕事の大まかな流れについて聞きました。すると翌日から他にいくつもの現場を担当している先輩は自分の現場に来られない日が多く、いきなり1人で仕事をしなければならない状況に追い込まれました。

 携帯電話などない時代です。他の同期の現場は所長もエルダーも常駐していましたが、私は分からないことがあっても先輩にすぐ聞けず、本社へ電話して課長に来てもらい、資材の注文方法を教えてもらったこともありました。それだけ必死だったのだと思います。現場で分からないことは細かくメモし、先輩が1週間に2、3度来られた日の短い時間に質問するようにしていました。

 次に携わった現場でも先輩とご一緒し、スキルが足りないと自覚していた施工図の描き方などを教えていただきました。このころもそうでしたが、まずは後輩に仕事を任せて経験させ、たとえ失敗して損が出たとしても自分が他でカバーする。先輩の後輩指導はこういうものであったと、2、3年たってから分かった気がしました。それだけ鍛えられ、新人時代には半年で3年分の仕事を覚えたと思っています。

 実は入社したころ、早く仕事を覚えて所長になりたいと安易に考えていました。ところが施工管理や図面の描き方を覚えるだけでも大変で、さらに予算面も含めた全体の管理運営をしなければならない所長となるには、時間がかかっても実践で勉強するしかないという気持ちに変わっていきました。そして4年目、クリーンルームの建設工事で初めて所長を務めることができました。

 お客さまから指名を受けた工事を担当していた時のことです。工事途中で異動の辞令が出されたのですが、これにどうしても納得がいかず、工事が終わるまでの1カ月間、自分の判断で現場を離れませんでした。それが指名していただいた自分のエンジニアとしての責任だと考えたからです。社内で認められることも大切ですが、お客さまと良好な関係を築けると大きなモチベーションになります。これは会社で部下によく言っていることでもあります。

 これまで現場施工や設計などに携わってきた中で、高い技術力を持つ多くの先輩に出会うことができました。この財産を生かし、いろいろなタイプの人材を多岐に育てていくのが私の使命だと思っています。自分の何を磨いていくかはそれぞれに違いますが、若い人たちには多様な感性を持って、お客さまの視点で付加価値を高められるエンジニアになってほしいと期待します。

 (かみや・ただし)1986年北海道大学工学部衛生工学科卒、高砂熱学工業入社。産業設備事業部技術3部長、環境ソリューション事業部産業設備部長、エンジニアリング事業部技術部長、理事エンジリアリング事業部長などを経て、18年4月から現職。北海道出身、54歳。
入社8年目、新宿パークタワーの施工現場の打ち合わせで
(左端が本人)