2018年5月21日月曜日

【回転窓】奮闘するシェルパ

ヒマラヤ登山の荷物運搬・案内役や、首脳会談の準備・調整を担う官僚の代名詞として用いられる「シェルパ」。建設業界でも企業の決算発表、受発注者の意見交換に伴う参考資料の作成などの担当者をシェルパと呼ぶようになったと聞いた▼日本建設業連合会(日建連)と発注機関との意見交換会が始まった。行政施策の動向や業界として主張するべき意見の背景について団体幹部を務める自社の経営トップに説明、飛行機や新幹線で本社にとんぼ返りする。この時期、団体と会員企業両方のシェルパとして活躍するゼネコン職員は多忙を極める▼日建連の意見交換会では、働き方改革や生産性向上を巡って活発な議論が進む。「言い過ぎた面がありましたらご容赦を」と宮本洋一土木本部長が発注機関側の出席者に理解を求めるほどに白熱する場面が少なくない▼日建連は、技術者評価や設計変更協議の現状などを参考資料にまとめた。是正や改善を求めるのではなく、「優れた取り組みを広げたい」(宮本本部長)からだ▼シェルパと事務局が丹精込めて作成した参考資料が呼び水となり、受発注者の議論が深まるよう願う。

【五輪期間中の宿泊施設確保】横浜市、ホテルシップ実現へ取り組み加速

横浜市が20年の東京五輪・パラリンピック期間中の導入を目指すホテルシップについて、実現に向けた取り組みを加速している。厚生労働省は16日、無窓客室の営業を可能にする規制緩和の条件などを市に通知した。これを受け、市は客船運航会社や旅行代理店などに積極的に働き掛ける考えだ。

 20年7月24日~8月9日に開催予定の五輪期間中、横浜港に停泊させたクルーズ船などを、インバウンド(訪日外国人旅行者)らの宿泊施設として活用する。旅館業法では窓のない客室はホテルとして認められない。市は1月、内閣府の国家戦略特区ワーキンググループに対し「ホテルシップの実施における旅館業法の適用除外」を提案していた。

 通知によると、すべての条件を満たせばイベント期間中に限定して無窓の客室を含む施設に、各自治体の判断でホテル営業の許可を与えてもよいとしている。主な条件は▽通常貨客の運送に利用されている旅客室を有する船舶▽全客室のうち無窓の客室が占める割合がおおむね4割程度以下▽窓に代わる設備(照明、換気)が確保されている▽宿泊者に対し無窓の客室であることを知らせる-など。

 船舶の受け入れ場所は横浜港内を想定。再開発を計画している山下ふ頭(中区)や大桟橋(中区)、新港地区(中区)、大黒ふ頭(鶴見区)などが候補に挙がっている。

 市港湾局によると、これまでに複数の船会社や旅行会社からの問い合わせがあったという。規制緩和の通知を受けたことで、具体的な協議が進むことになる。市は主要な競技会場までの交通利便性が高く、近隣に商業・観光施設が多いなどをセールスポイントに、ホテルシップの誘致を目指す考えだ。

【2023年3月開業めざす】大阪市北区で「うめきた2期地区地下駅設置工事」進む

 JR西日本が、うめきた2期区域(大阪市北区)で実施中の地下駅設置工事を報道関係者に公開した。

 大阪市が進めている東海道線支線地下化事業(延長2・4キロ)の関連工事で、大阪駅北側に島式ホーム2面4線の新駅(仮称・北梅田駅)を設置する。16年10月に工事着手した駅部工区では掘削工事を完了。今後、駅部の本体躯体工事に入る。開業は23年3月を予定だ。

 うめきた2期エリアの西端を通る東海道線支線は、東海道線吹田貨物ターミナルから新大阪駅を経由して大阪環状線福島駅を結ぶ路線。貨物列車のほか、特急はるか・くろしおなどの旅客列車が走行している。

 うめきた2期開発の基盤整備に合わせ、同線を中央部に移設・地下化し、ボトルネック踏切1カ所(西梅田1番踏切)の除却や既設交差道路の改良(2カ所)などを行う。新駅の設置により、大阪都心部と関西国際空港間のアクセス向上を図る。

 新大阪駅側約0・4キロと西九条駅側約0・3キロが掘割区間、中間部約1・7キロがトンネル区間となり、開削工法で施工する。現在は全6工区で工事が進んでおり、進捗(しんちょく)率は約20%。

 JR西日本はトンネル区間のうち約1キロの新駅設置事業を担当。駅部工区(施工=大鉄工業・清水建設JV)の進捗率は約30%。JR西日本の藤原慶信大阪工事事務所大阪工事所長は「地下水対策に万全を期しながら工事を進め、地下約15メートルまでの掘削工事を終えた。今後、本体の躯体工事を本格化させていきたい」と話している。

【凜】安藤工務店(神戸市)・安藤未都さん


 ◇楽しく安心して働ける環境に◇

 得意の語学力を生かした貿易や物流の会社勤務を経て、14年10月に家業の鉄筋工事会社に入った。父親が1人で事務作業を黙々とこなす姿をずっと見てきた。「自分も手伝いたい」と自ら進んで入社した。

 神戸市内で地場ゼネコンが施工するマンション工事に下請として従事。現場の技能者はベトナム人実習生を含めた6人、鉄筋加工場は4人で、これに協力会社の8人ほどを加えた体制で日々の工事に当たる。

 目下の課題は技能者の高齢化。組織の新陳代謝を図ろうとハローワーク経由での募集も試みているが、人材がなかなか定着しないなど苦戦が続く。入社4年でこの春から職長となった30代の男性には、若者が入ってきた時の指導役になってもらいたいと大きな期待を寄せている。

 人材確保の前提ともなる社会保険に加入しているが、それが経営を圧迫していることは否定できない。「加入義務を果たした会社が報われるような状況にしてほしい」。週休2日の実現と、有給休暇の取りやすい環境整備は大事な要素と認識。日給月給による現状の給与払いを月給制に移行する必要性も感じている。

 関西鉄筋工業協同組合の青年部に参加し、会合に出るたびに「若く、勢いのある皆さんから刺激を受ける」。仲間の意見も取り込みながら、若手や女性も「楽しく安心して働けるような会社にしたい」とする。

 (あんどう・みやこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・200

手掛けた構造物が完成した時、嬉しさが込み上げてくる
 ◇時代の変化に合わせて育て方も変えなくては◇

 バブル期並みに活況を呈す建設業界だが、それはここ数年の話。現場は忙しいが、「ただでさえ少ない若手の人材育成に今から本気になって取り組まないと手遅れになる」。ゼネコンの現場代理人として日々奮闘する橋本穣治さん(仮名)はそう話す。

 今でこそ、ダイバーシティー(人材の多様性)や、手厚い研修など働き方に関する新たな取り組みが次々に出てくる。ひとたび「不遇の時代」と呼ばれたかつてのような状況が訪れれば、人材育成どころの話ではなくなる。その繰り返しでは建設業は時代遅れの産業になってしまう。

 橋本さんが建設業を志すきっかけは、中学生時代にさかのぼる。課外授業で商業施設の建設現場を見学した際、その壮大さに圧倒され、感動を覚えた。「自分もこんな大きなものを造ってみたい」と強く感じた。高校卒業後、建築学科のある大学に進学し、さまざまな建設工事に携わることができるゼネコンを就職先に選んだ。

 駆け出しの頃の忘れられないエピソードがある。入社1年目に配属されたトンネルの建設現場でのことだ。所長に「あれをやってこい」と指示されても、その内容がまったく分からないということが何度もあった。所長に聞き返せば、現場から外されるのではないかという恐怖心もあった。

 当時は、親切な研修などはなく、先輩の背中を見て学べというのが一般的。現場の上下関係も厳しかった。毎日苦痛だったが、自分の手掛けた構造物が完成したのを目にした時、うれしさがこみ上げてきて、思わず涙した。「この出来事がそれからの仕事のモチベーションとなった」。

 橋本さんは今年、入社22年目を迎えた。今でこそ、現場でのことは把握しているつもりだが、人材育成を巡る悩みは尽きない。厳しく指導すれば、今の若者はすぐにやめてしまう。「葛藤の毎日だ」という。

 それでも「諦めていては、人は育たない」。現在担当している土木工事の現場には、若手の男性社員が2人いる。「自分にできることは微力だが、時代の変化に合わせて人の育て方も変えなくては」。

 建設業の先行きを誰よりも案じている。「建設業の将来のために人材育成を原点に返って見直す時期に来ている」。それが今だと感じている。

 人材育成に正解はないかもしれないが、ものづくりの醍醐味(だいごみ)を味わってもらうことで、仕事への意欲がわいてくるはずだ。自分の成長を感じ、できることの幅が広がれば、やりがいと喜びにつながる。「それが繰り返されれば、若者はさらに次のステップへ進める」と力を込める。

 そのためには、現場でコミュニケーションを積極的にとること。さらに、これまで培ってきた技術や知見を体系化し、知識面でのフォローを行っていくことも欠かせない。土木技術者としてのDNAを次の世代に伝えることが、自分の責務だと肝に銘じている。

【駆け出しのころ】紅梅組取締役建設工事部長・柳谷明弘氏

 ◇人とのつながりが仕事に生きる◇

 横浜で生まれ育ち、中学生のころは卒業したら親戚の畳屋で働いて畳職人になろうと考えていました。でも、母親に高校だけは卒業するよう言われて入学したのが、地元の神奈川県立神奈川工業高等学校です。高校の3年間は建築を学びながら、すし屋でアルバイトをしていました。

 店の常連さんに建設業の親方たちがいらして、よくかわいがっていただきました。親方
たちはきっぷが良くて細かいことなど言わず、若い職人さんたちにすしを食べさせる姿も格好良く見えたものです。会社に入ってしばらくたち、自分が後輩を連れて飲みに行くようになった時などは、あの親方たちを頭のどこかに浮かべていたかもしれません。

 入社して最初に配属されのは小学校の新築工事現場です。その4カ月ぐらい後に中学校の新築工事現場に移り、ここでは最初の杭打ちから竣工まで携わることができました。高校時代のバイトで親方たちとご一緒できた経験もあり、自分では建築の世界にすぐなじんでいけたのではないかと思っています。

 25歳で担当したビル新築工事でのことです。基礎工事までは上司の所長がおられたのですが、途中から私が所長を任されました。これが初めての所長です。それまでは社員が6、7人いる現場ばかりで、しかも一番若かったために現場運営の経験などなく、正直に言ってどう進めていけばいいのか不安でした。職人さんたちにいろいろ教えてもらい、何とか完成させることができた時は胸をなで下ろしました。

 いつ誰に教えていただいたものかは覚えていませんが、好きな言葉の一つは高杉晋作が残した「人は旧(きゅう)を忘れざるが義の初め」です。お世話になった方をないがしろにしてはいけないという教えであり、人と人のつながりがしっかりしていれば仕事は進んでいくものです。

 かつて現場の職員が事務所の固定電話だけを使っていたころは、例えば後輩が間違った数量の資機材を注文していると、周りの先輩や上司が気付いて指摘したものです。ところが今は携帯電話を使って事務所の外でやりとりすることも多いため、周りの人には間違っていても分かりません。これも時代の流れでしょうが、それだけに何事も確認を徹底させることが求められているともいえます。

 現場はもちろん、事務所や倉庫の中もしっかり整理整頓ができていないと、よい建物は造れません。私が長年にわたり実践してきことであり、今もそう指導しています。若い社員には手配する人ではなく、自ら図面を描き、細かい納まりも分かる本当の技術者としての成長を期待しています。

 (やなぎや・あきひろ)1975年神奈川県立神奈川工業高等学校卒、紅梅組入社。工事課主任、工事部係長、同専任課長、同専任部長、執行役員工事部管理部長、上席執行役員などを経て、16年6月から現職。神奈川県出身、61歳。
1990年代初めに行った社内旅行での一枚

2018年5月18日金曜日

【東急電鉄、8月からサービス開始】渋谷キャストにアウトドアオフィス

 東急電鉄は東京都渋谷区の複合施設「渋谷キャスト」で、野外で開放的な執務環境を提供する「アウトドアオフィスサービス」を始める。

 敷地内の広場にキャンプ用のテントを設置し、オフィスとして利用してもらう。議論の活性化で画期的なアイデアを誘発し、新ビジネスの発信拠点として渋谷の街づくりを進める狙いだ。期間を設けずアウトドアオフィスサービスを提供するのは国内初の事例となる。

 16日には企業向けのアウトドアオフィス体験会が現地(渋谷1の23の21)で開かれた。東急電鉄の担当者は「渋谷にはIT系のベンチャー企業が多い。サービスを通じて、渋谷がクリエーティブな街になれば」と話した。利用者からは「いつものオフィスでの会議に比べて会話が弾んだ」といった感想が聞かれた。

 今回始める「CAMPING OFFICEサービス」は、組織や地域の活性化のためのコンサルティング業務などを手掛けるスノーピークビジネスソリューションズ(愛知県岡崎市、村瀬亮社長)と連携して行う。今後、6月からテナント企業などを対象としたトライアルを実施。8月から利用者の一般募集を開始する。

【候補地に代々木公園など8カ所選定】東京都、五輪ライブサイト設置へ

東京都は、2020年東京五輪の競技会場外で試合をライブ中継する仮設会場(ライブサイト)の設置について、考え方をまとめた。都内では複数の都立公園や、JR品川駅~田町駅間に建設中の新駅近くなど計8カ所を候補地に絞り込んだ。今秋ごろ、都内と東日本大震災の被災地などにそれぞれ設置するライブサイトの基本計画を固める。

 都内の候補地は▽代々木(渋谷区)▽日比谷(千代田区)▽井の頭恩賜(武蔵野市、三鷹市)▽上野恩賜(台東区)-の各都立公園と、池袋西口公園(豊島区)、品川新駅前用地(港区)、都庁都民広場(新宿区)、臨海部(青海地区など想定)の計8カ所。

 中継映像はチケットを持たない人でも自由に観戦できる。スポーツ体験、文化発信などの拠点としても利用。都と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が共同で運営する。

 ライブサイトは、11年の東日本大震災で被災した東北3県(岩手、宮城、福島)と、16年に熊本地震が起こった熊本県にも確保する。都内には、区市町村が運営するコミュニティーライブサイトも別途設置する方向だ。

【働きやすい環境づくりへチェック!!】前田建設九州支店、けんせつ小町が福岡市内で現場パト

 前田建設九州支店けんせつ小町(大東万里奈代表)は15日、福岡市博多区で同社が施工中の(仮称)博多駅前四丁目第二地区住宅施設棟・住宅棟他建設工事の現場で「けんせつ小町パトロール・現場見学会」を開いた。女性職員15人が参加。建設現場の作業環境をチェックし、職場の垣根を越えて交流を深めた。

 けんせつ小町パトロール・現場見学会は女性ならではの意見を建設現場の作業環境の改善に生かすとともに、支店や各現場の垣根を越えて女性職員の交流を深めるのが目的。4回目となる今回は現場で働く技術系職員4人に加え、現場事務職員4人、支店の女性職員7人も参加した。

 一行は作業所で工事の進捗(しんちょく)状況について説明を受けた後、内装などの仕上げ工事が進む現場内を約1時間かけてパトロールし、女性更衣室や休憩室の設置、トイレの防音対策、整理整頓の状況などを事前に作成したリストに沿ってチェックした。

 パトロール後、参加者は「思っていたより現場が整理整頓されていて驚いた」などと感想を述べ、建設現場に対するイメージが変わった様子だった。今後もパトロール・現場見学会を継続開催し、女性に限らず誰もが働きやすい建設現場の作業環境づくりに努める意向だ。

【回転窓】土木離れに歯止めを

土木分野の優れた技術や業績、プロジェクトを顕彰する「土木学会賞」に今年は過去最多の111件が選ばれた▼応募総数は昨年とほぼ同じにもかかわらず、受賞件数は10件以上増えた。技術賞は応募12件のすべてが受賞し、高難度の地下プロジェクトが目立った。審査員の一人は「世界がまねできない日本の土木技術の一つが地下構築技術。インフラの輸出を支援する上で日本技術のPR効果も考慮した」と選考の内幕を明かす▼華やかな技術賞の裏で気になったのは論文の応募数の少なさ。コンクリート分野を対象にした吉田賞の論文部門は該当なしに。新技術の開発や既存技術の海外展開の理論的根拠となる論文の減少は技術立国を標ぼうする日本の成長戦略に影響を及ぼしかねない▼土木学会は来年、若手研究者の論文を対象とする吉田研究奨励賞応募の年齢上限を35歳から40歳に引き上げる。ただ論文が減ったのは研究者の減少が主因。年齢引き上げは果たして応募増につながるか▼若年層の土木離れに歯止めを掛け、研究者をどうやって増やすのか。本質的な議論の活性化には土木学会の主導的な役割が欠かせない。

【民間ノウハウでアセット活用支援】三菱地所ら3社、東大の保有不動産活用で協定締結

 三菱地所は東京大学が保有する不動産の有効活用に乗りだす。三菱UFJリサーチ&コンサルティング、三菱UFJ銀行とともに、東大と「資産活用企画に関する協定」を締結した。

 主な協力内容は▽不動産の有効活用▽研究成果などの有効活用▽財政基盤の拡充-など。東大の保有資産の有効活用に当たり、民間3社が事業ノウハウを生かして、企画提案や事業協力などの支援活動を展開する。

 17年4月施行の改正国立大学法人法により、国立大学では教育研究開発活動に支障がない範囲で、文部科学大臣の認可を経て土地などの保有不動産を、第三者に貸し付けることができるようになった。

 東大は全国に3億平方メートル超の土地を持つ。三菱地所は多様な開発事業で培ったノウハウを生かし、コンセプトの設定や活用手法のアイデア提案などを行う。

2018年5月17日木曜日

【回転窓】インフラメンテ先進国

インフラ管理の最適化は、万国共通の課題だろう。高度成長期にインフラ整備が急速に進んだ日本では今、老朽施設の更新対応が本格化。増大する維持・修繕業務の効率化に知恵を絞る▼長年にわたってインフラを管理・運営してきた事業者側は技術・ノウハウを蓄積。点検情報など膨大な関連データを有効活用するため、人工知能(AI)などを導入しながら維持・修繕の高度化に取り組む▼「インフラメンテナンス先進国」として、最先端のメンテナンス技術や関連システムを海外に売り込む動きもここにきて目立ってきた。東日本高速道路会社はインドの有料道路でコンセッション(公共施設等運営権)事業を展開する現地企業への出資と技術支援に乗りだした▼高速道路事業の歴史が浅い途上国や新興国は、日本の経験知と技術力に大きな期待を寄せる。一方で制度や慣習など日本と異なる事業環境下で見込んだ効果や収益が上げられるのか懸念もある▼政府系機関などが民間企業の海外展開を支援する「インフラ輸出促進法案」の国会審議が進む。官民連携の枠組み強化が海外での商機拡大につながることを期待したい。

【洋上風力発電の設置工事に威力】戸田建設らの洋上風力専用作業台船が完成

 戸田建設と吉田組(兵庫県姫路市、壺阪博昭社長)は16日、両社が出資する合同会社「オフショアウィンドファームコンストラクション」が計画していた洋上風力発電施設建設用の台船が完成したと発表した。

 長崎県五島市崎山沖で計画している浮体式洋上風力発電事業に活用するととともに、発電事業者にも貸し出していく。=1面参照

 新造船の名称は「フロートレイザー(はたあげ)」。環境省の補助を受けて建造した。全長110メートル、幅43メートル、総トン数1万2300トン、デッキ面積約3890平方メートル。長さ40メートルのスパッド4本を備える。

 浮体式洋上風力発電施設のブレードを支える浮体構造物「ハイブリッドスパー型浮体」を陸上で建設し、台船上に積み込む。沖合までこの台船をえい航し、海水に甲板を沈めた状態で浮体構造物を進水・浮上させることができる。

 甲板上から7・4メートルまで潜水可能で、前後に傾斜を付けた状態で潜水できるという。国内に数隻しかない大型起重機船を使わずに施工できるため、浮体式洋上風力発電施設を効率的に施工できるようになる。

 12日に同市の福江港で完成披露式典が開かれ、関係者が参加して完成を祝った。同社は「ハイブリッドスパーのほか、スパー、ケーソン、ジャケットなどの浮上・進水にも広く活用できる。洋上風力発電の普及促進に大きく貢献できる」とコメントしている。

【安全・円滑運行支える作業拠点】東京メトロ、深川車両基地を公開

 東京メトロはグループの業務・事業を幅広く情報発信する目的で実施する「メディアツアー」の一環で、東京都江東区にある「深川車両基地」を報道関係者に公開した。

 東西線を走る車両のメンテナンスなどを行う同基地のツアーでは、車両の洗浄や広告の張り替え、比較的簡易な検査を行う検車区、車体と台車を分離して車両全体の安全性などを徹底検査する工場などの各施設を見て回った。計画的に車両の保守・点検を行いながら、日々の安全・円滑運行を支えている車両基地の役割や重要性をアピールした。

 東西線車両(相互直通運転の東葉高速鉄道を含む)を専門に保守点検する深川車両基地(敷地面積約8・7ヘクタール、留置能力300両)。車両の検修計画や工程管理、入出庫・在庫管理など担う「深川車両管理所」、車両を分解して部品ごとに検査・修繕を実施する「深川工場」、運行時の状態で車両の検査・修繕を行う「深川検車区」で構成される。

 検車区では、昨年5月に新検査庫(ピット)が竣工した。規模は平屋一部3階建て延べ約5700平方メートル。東京メトロ初の空調(冷暖房)設備、台車下降装置設備を備えたピット施設となり、点検・検査の作業効率の向上、職場環境の改善を図った。自然換気システムの導入や壁面緑化、全照明設備のLED化など、省エネ化・環境保全にも配慮している。

 車両を分解せずに検査業務を行う検車区では、10日以内のサイクルで消耗品と電車の主要部分の機能などを確認する列車検査、3カ月以内のサイクルで電車の状態と機能を対象とした月検査を実施。車両の洗浄・清掃、車輪の削正、入出庫車両の運転なども行う。

 工場では、車体と台車を分離する台抜き作業後、台車・車体・機器をそれぞれ検査する。具体的には4年以内または走行距離60万キロ以内のサイクルで重要部(動力発生装置、走行装置、ブレーキ装置など)を分解・検査・修繕する重要部検査、8年以内のサイクルで車体を含めた車両全体を分解・検査・修繕する全般検査を担う。定期検査のほか、新車購入時や大規模な車両改善後の臨時検査も実施する。

 国内の鉄道路線の中でも通勤時間帯の混雑が特に激しいことで知られる東西線。東京メトロは混雑緩和や遅延防止に向けて駅ホームの大規模改良や折り返し線の整備を進めるほか、通勤時間帯を早めるキャンペーンなど、ハード・ソフト両面から対策を展開中だ。車両基地についても、多くの旅客を乗せる車両の安心・安全確保や快適空間の提供といったサービスを担い、日々の運行を支えている。

 同社関係者は「東西線の安心・安全かつ円滑な運行を支える拠点施設として、人材の確保・育成を含めて施設機能の強化・拡充に継続的に取り組む」と話している。

【施工は大成建設JV、21年3月完成予定】栃木県新体育館・屋内水泳場PFIが起工

 栃木県が宇都宮市で計画している「新体育館・屋内水泳場(仮称)」の起工式が、16日に現地で開かれ、工事が本格的にスタートした。

 PFIを導入し、日立キャピタルらの14社コンソーシアムが競技施設を整備・運営する。設計は梓設計・大成建設・安藤設計JV、施工を大成建設・中村土建・渡辺建設JVが担当。21年3月に完成し、22年国体などに利用される予定だ。

 BTO(建設・移管・運営)方式のPFIを適用し、特別目的会社(SPC)・グリーナとちぎが整備と運営を担う。工事監理は梓設計・安藤設計JV。物品調達をブレイン、コクヨ北関東販売、大谷石産業、運営はミズノ、日本水泳振興会、ベルモール、維持管理をハリマビステム、環境整備が担当する。運営・維持管理期間は21年2月~36年3月。

 計画地は総合スポーツゾーン東エリア(今宮4の297の1ほか)で、敷地面積は6万6152平方メートル。建物規模はRC・S造4階建て延べ3万8700平方メートル。メインアリーナ(約5000席)や、サブアリーナ(約300席)、50メートルプール、飛び込み兼用25メートルプールなどを設ける。宇都宮市の観光名所である大谷石採掘場をイメージしたデザインを採用している。

【〝噂の技術者〟デミーとマツが活躍!!】体験会で最先端の建機を子どもたちに紹介

 日本の土木の大切さや魅力を伝えるために土木技術者2人で結成したボランティア団体「噂の土木応援チームデミーとマツ」は12日、福岡県嘉麻市のコマツIoTセンタ北九州でワクワク・土木土木(ドキドキ)・驚き土木体験イベント「親子で世界最先端の建機を体験せよ!」を開いた。

 地元の小中学生の親子約40人が参加し、ロボット化、ICT(情報通信技術)化が進む世界最先端の建設機械に試乗体験した。

 今回のイベントは、コマツカスタマーサポートの協力の下、学校では学べない土木体験イベントを通して多くの子どもたちに土木の役割、大切さや魅力を伝えるために開催。参加した児童たちは、普段触れる事のない建設現場や災害現場の最前線で活躍する建設機械への理解を深めていた。

 主催者の長崎大学大学院工学研究科の出水享工学博士は「建設機械がないと土木工事や災害復旧ができないという事を知ってもらいたい」、共同技術コンサルタントの松永昭吾福岡支店長は「今日の体験で一人でも土木に興味を持って帰ってほしい」とあいさつ。

 参加した児童からは「世界で活躍する重機に乗れて楽しかった」「将来はこんな大きなものを動かす仕事をしてみたい」、保護者からは「建設業を体験する機会を増やしてほしい。子どもにとって貴重な経験になる」「子どもの将来にいい影響を与えることができた」といった声が聞かれた。

2018年5月16日水曜日

【回転窓】舟運と若手起業家

静岡県を代表する観光スポットの浜名湖で新しいクルージングサービスが始まったと知り、2年ぶりに現地を訪れた。実際に利用すると、こんな楽しみ方もあったのかと気付かせてくれる貴重な体験になった▼昨年7月から高級感のあるクルージングボートで水上ドライブが楽しめるサービスを提供するのはオフィスナッツ。浜松市にある光産業創成大学院大学で次世代型観光産業の創出に向けて研究するオーナーの山内秀恭さんが、16年5月に起業した▼船上から浜名湖の美しい景色を見られるだけでなく、ラウンジでは音楽やドリンクなどで上質な空間を演出してくれる。ドローン(小型無人機)を使った思い出の動画づくりや湖上VR(バーチャルリアリティー)体験などもできるという。これまでにない試みだろう▼浜名湖では建設業や漁業、遊船業など地元関係者らが「浜名湖地域舟運都市構想研究会」を組織し、舟運を生かした地域づくりや観光振興に取り組んでいる。本紙でも2年前に活動の内容を報じた(16年8月23日付)▼舟運活用の機運が高い地域に誕生した新サービス。若手起業家の新発想に期待が膨らむ。

【18年3月期業績出そろう】上場ゼネコン大手4社、粗利益2桁を維持


 上場ゼネコン大手4社の18年3月期連結決算が15日に出そろった。安定した受注環境で公共工事、民間工事とも堅調に推移。前期に引き続き、工事の採算性を示す完成工事総利益(粗利益)率は全社が2桁を維持した。

 大林組は営業利益と経常利益、大成建設と鹿島は営業利益、経常利益、純利益で過去最高を更新。鹿島は単体の純利益が1003億円となり初めて4桁に乗った。 

 売上高は大林組が北米子会社の売り上げ増を追い風に1・5%増の1兆9006億円と、2兆円台に迫った。鹿島と大成建設も増加。完成工事高が減少した清水建設は前期を下回った。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/時短適用基準は「工事金額」で

 政府と建設業界が建設現場の労働時間短縮による影響を最小化する議論を進める中、大統領直属の雇用委員会が設けた建設分野プロジェクトチームは、改正労働基準法の施行を控えて政府と建設業界の意見を調整している。

 同チームは、政府関係各部、大韓建設協会、大韓専門建設協会、海外建設協会、民主労組、韓国労総、学識経験者で構成する。

 同チームは最近、「常用労働者数」で施行時期が異なる基準を「工事金額」に切り替えようという意見を提起した。建設業の特性を反映しなければならないという業界の意見を政府も一部受け入れた形だ。ただ、適用基準を切り替えることについて、総合建設業界と専門建設業界の間で意見が異なる。

 大韓建設協会は、総工事契約金額に基づき別途に常用労働者数を算定する方式の導入を主張。対して専門建設協会は、工事金額別基準に従えば、大多数の専門建設業者が予定より早く改正法の適用を受けると指摘している。

CNEWS、5月8日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/空港でレーダーシステム実証

日本企業の持つさまざまなワイヤレス技術を、ベトナムの通信、リモートセンシング、航空、気象などに取り入れようとする動きが始まっている。

 航空分野では、日本無線が南部キエンザン省のフーコック空港にレーダーシステム(MLAT)を提供することが決まった。

 同社はこのほど、ベトナム航空管制機関と事業実施に関する合意文書を交わした。日本側が約2億円を拠出し、2年間の予定でシステムの実証を行う。ベトナム初のMLAT導入事例となる。

 日本政府はベトナム政府と情報通信分野で協力することで合意している。ベトナムのIT(情報技術)プロジェクトに日本企業などが投資し、開発が進むことが期待されている。

セイ・ズン、5月4日)

2018年5月15日火曜日

【オープン予定は2020年3月】上越市体操アリーナ建築、福田組JVに

新潟県上越市は14日、大潟区に建設する新しい体操アリーナ建築工事一般競争入札結果を発表した。

 落札者は福田組・高舘組・西田建設JVで、落札金額は10億5000万円。入札には落札者を含めて4者が参加、4月26日に開札した。

 オープンは20年3月の予定。設計はハート一級建築士事務所が担当している。建築と同じ4月5日公告の体操アリーナ新築機械設備工事は今月8日に再公告した。23日に開札する。

 工事概要は、S造2階建て延べ3812平方メートルのアリーナの建築。屋根はキール梁部、アリーナ部とも高耐食性カラーガルバリウム鋼板、ハゼ式折板葺き。定員11人積載量750キロの標準型機械室レスのエレベーター設置。建設場所は大潟区九戸浜。工期は19年11月30日まで。

【定礎式でダンプやブルを披露】鹿島、小石原川ダム建設に建機自動化施工システム導入へ

 鹿島は、小石原川ダム建設事業(福岡県朝倉市)に建設機械の自動化施工システム「クワッドアクセル」を本格導入する。

 発注者の水資源機構が12日に開いた定礎式で、全自動制御の建機で堤体建設地に礎石を埋める作業を行った。クワッドアクセルを定礎式で使用するのは初めて。鹿島・竹中土木・三井住友建設JVが担当する同ダム本体工事で今秋から本格導入する。

 クワッドアクセルは建設業界の担い手不足や作業時の安全性向上などの課題を解決するため、同社とコマツが共同開発した次世代の建設生産システム。建機の自動化や制御プログラム、計測・認識技術を組み合わせ、1人のオペレーターが複数の無人建機をタブレット端末で同時にコントロールし、自動で作業を行う。

 定礎式では、定礎行事の最後に行う埋納の儀でオペレーターから指示を受けた自動のダンプトラックが、礎石を埋める盛り立て材を搬入。ダンプトラックの退出信号を受信したブルドーザーが礎石に盛り立て材をかぶせて整地し、続いて振動ローラーが転圧を行った。参列者らは無人で稼働する建機を興味深げに見守り、正確な作業に感心していた。

 クワッドアクセルは五ケ山ダム(福岡県珂川町)や大分川ダム(大分市)の建設現場で段階的に試験施工を実施している。ダンプトラック、ブルドーザー、振動ローラーをセットで本格稼働させるのは小石原川ダムが初となる。同ダム本体工事ではダンプトラック3台、プルドーザー2台、振動ローラー4台を今秋から本格稼働させ、19年7月ごろまで堤体の盛り立てを行う。

 鹿島の三浦悟機械部自動化施工推進室長は「自動でやれることを増やすために性能を上げていきたい」、大内斉小石原川ダム本体建設工事事務所長は「人と(自動化の)機械の作業が混在する点を注意して施工に当たりたい」と語った。今後、成瀬ダム(秋田県東成瀬村)の本体工事などでも使用する考えを明らかにした。

 水資源機構朝倉総合事業所の染谷健司所長は「高齢化の時代で人が少なくなる。(自動化の技術に)大変期待している。JVと一緒に技術を開発していければ」と話した。

【優勝は秋山俊貴選手(矢島鉄筋工業)】東鉄協、都内で鉄筋技能大会開く


東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、新妻尚祐理事長)は13日、東京都足立区の城東職業能力開発センターで第3回鉄筋技能大会を開いた。

 46歳以上のシニア部門4人を含めた17人が出場。1級鉄筋施工検定の組み立て課題に、はら筋を一段設置することを加えたより実践的な組み立てで、精度と作業時間を競った。大会は矢島鉄筋工業(墨田区)の秋山俊貴選手が初出場で優勝した。

 15年度と17年度に行われた過去2回の大会は、全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)が主催する全国大会の予選の位置付けで行われた。全国大会がない本年度は組合の自主活動として開催。全国大会の資格要件となる45歳以下の年齢制限を撤廃し、1級鉄筋技能士(組立作業)合格から2年以上が経過していれば出場資格を与えられた。

 開会式で新妻理事長は、回を重ねるごとにレベルが向上している技能大会を継続し「技能向上が現場に生かされるような組合活動を展開したい」と述べた。

 優勝した秋山選手は大型連休明けの1週間、現場に出ず大会の練習に励んだ。「会社に練習の時間を取ってもらったことが優勝につながったと思う」と喜びを語った。

 現場の品質が一段と求められるようになっている現状を踏まえ「この優勝を現場作業に生かしていきたい」と決意を新たにした。

 2位には永和産業(江戸川区)の塗木辰弥選手、3位には新妻鋼業(埼玉県三郷市)の高坂淳弥選手、シニア部門特別賞には石澤工業(江東区)の天野弘勝選手が入った。大会会場には、参加者の家族や所属会社役職員ら200人近くが集まり、競技に臨む各者を応援。新妻理事長は「鉄筋工の仕事がどのように行われるかを知ってもらういい機会になった」と話した。表彰式は18日に開催する総会で行う。

【これからはGKGが職場チェック】群馬建協、「ぐんケンガール」が職場点検

 群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、女性視点で快適職場を点検する新たな活動を18年度から展開する。

 「ぐんケンガール(GKG)」を任命。これまでの環境すみずみパトロールを進化させ、整理整頓や快適トイレの導入といった身の回りの働き方改革、週休2日の導入、適正工期、社会保険加入などをチェックする。パトロール結果を踏まえて優れた現場をGKG大賞や同優秀賞として選び、11月に表彰する。

 全国建設業協同組合連合会(全建協連)の「ユニフォームデザインプロジェクト」で最優秀賞を受賞した作品を身に着けた女性をモデルにGKGポスターを作製。現場や学校に配布し、取り組みを周知する。

 魅力ある建設業を実現する一環で群馬建協は、入社3~5年の技術者を対象とした「リカレント(学び直し)教育」にも取り組む。前橋市内で建て替え工事が進行中の新たな建設会館を研修の場とし、3~4カ月のスキルアップ研修でマネジメント力や専門力を備えられるようにする。