2019年12月13日金曜日

【抽選で10人にプレゼント!!】調査団、アンコール遺跡の2020年カレンダー作製

 カンボジアにあり、世界遺産に登録されている「アンコールワット」。遺跡群の保存修復活動を展開するアンコール遺跡国際調査団(石澤良昭団長)が、2020年版のカレンダーを製作した。

 同調査団は1991年から同国政府と協力し、貴重な歴史的建造物の調査や研究、修復、人材育成といった活動を展開している。

 カレンダーはB4判16ページでオールカラー。遺跡群をさまざまな角度から捉えた写真を採用している。同調査団は製作したカレンダーを10人にプレゼントする。希望者ははがきに住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記の上、「株式会社ティル内アンコール遺跡カレンダーN係」(〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷2の39の3の401)へ送付すること(20日消印有効)。応募者多数の場合は抽選になる。発送は20年1月以降を予定している。

【回転窓】旅とストリートピアノ

ヘンデル、ベートーベン、ショパン、リスト。英国のピアノ製造技師のジョン・ブロードウッド(1732~1812年)が作ったピアノの弾き手には大音楽家の名前がずらりと並ぶ▼ブロードウッドが手掛けたピアノは、18世紀初頭のチェンバロ工場を起源とする鍵盤楽器の歴史と重なる。音楽界の歩みに欠かせないブロードウッド・アンド・サンズ製のピアノが、「ストリートピアノ」として京都にお目見えするそうだ▼嵯峨野観光鉄道・トロッコ嵯峨駅の19世紀ホール内にブロードウッド社製のピアノが置かれ、13日から自由に演奏できるという。19世紀に活躍したSLとピアノのハーモニー。「風光明媚(めいび)な嵯峨嵐山の旅をさらに楽しんでほしい」と同鉄道は呼び掛ける▼駅、空港、商業施設などで演奏するストリートピアノは世界中で注目され、動画サイトに多くの演奏がアップされている。高度なテクニックを披露するだけでなく、思い出に浸りながらしみじみと奏でる。弾き手の人生が垣間見えるような作品も▼ピアノの音色が旅情を豊かにする。ふらっと訪れた街で、ちょっと弾いてみようかという気になる。

【工事費最大90億円、開業は最速2027年度】JR北海道、ボールパーク最寄り駅の整備案公表

 JR北海道は11日、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの新球場として北広島市に建設中の北海道ボールパーク(BP)に隣接して建設を検討する新駅の整備案を発表した。

 普通列車のみの停車でホームは1面4線構造を想定。工事費は80億~90億円を見込み、開業は最速で2027年度末となる見通しだ。

 新駅はBP予定地の北側に建設する計画。現状では最寄り駅の北広島駅からBPまでは2キロ程度離れているが、新駅は数百メートルの距離に位置し、徒歩での移動が容易になる。北広島市の試算では、BPが満員(3万5000人)になった際の鉄道利用者は1万3500人程度で、このうち6割の8100人程度が新駅を利用すると見込んでいる。

 JR北海道によると、設計や行政手続きなどを含めた工期は7年で、仮に20年度中に関係者が合意して21年度に事業着手した場合、27年度末の開業となる見通し。23年3月を予定しているBPの開業には間に合わないため、BP開業当初は現北広島駅を改修して対応する。

 北広島駅の改修では札幌方面行きホームを4両分(88メートル)延伸してスペースをつくり、快速エアポートと普通列車の停止位置をずらし、ホームでの混雑を緩和。自動改札機を外側に移設して改札内コンコースを広げるとともに、エレベーター改札口を新設し、合わせて駅レイアウトも変更する。

 改修費用は全額自己資金で約9億円を試算。工事は20年9月ごろに着手し、22年12月ごろの完成、23年3月の全面使用開始を見込んでいる。

【ウィン・リゾーツ、15日に事務所開設】海外IR大手、横浜舞台にしのぎ削る

山下埠頭の全景(提供:横浜市港湾局)
 世界でカジノを含むIR(統合型リゾート)事業を展開するウィン・リゾーツ(米ネバダ州、マット・マドックス最高経営責任者〈CEO〉)は15日、日本進出の拠点となるオフィスを横浜市内に設立する。IR事業の進出候補地として「横浜」にフォーカスし、経営資源を投入する方針だ。

 海外IR大手では、9月にメルコリゾーツ&エンターテインメント(香港)が横浜オフィスを開設している。ラスベガス・サンズ(米ネバダ州)は「東京と横浜の開発機会に注力する」と発表。マカオに拠点を持つギャラクシー・エンターテインメントも横浜を候補地の一つに挙げている。横浜市が誘致を表明している山下ふ頭(中区)でのIRプロジェクトに、世界から熱視線が注がれている。

 ウィン・リゾーツは昨年12月、日本進出に向けてウィン・リゾーツ・デベロップメント・ジャパン(クリス・ゴードン代表)を設立した。東京都千代田区に開設を予定していたが、候補地を横浜に絞ったため変更した。オフィスの所在地は西区みなとみらい2の2の1(横浜ランドマークタワー18階)。

 同社は横浜が持つ文化や歴史、観光などの資源を高く評価。世界有数のMICE(国際的なイベント)施設、ビジネスツーリズムの目的地として高い可能性を秘めていると判断した。3月に同社が開いた会見ではマカオ、シンガポール、ラスベガスなどの施設よりも規模が大きい「現時点では世界最大規模のIRになる」としていた。初期投資は約8950億~1兆円になるとの見通し。

 マッド・マドックスCEOは「目指すIRは世界から観光客を呼び込む日本のショーケースになる」と意欲を示す。クリス・ゴードン代表は「今後はオフィスを起点に自治体や企業、市民らと対話を重ねたい」と地域との連携をアピールした。

 □IRアドバイザリー業務をEY新日本有限責任監査法人に委託□


 横浜市は「横浜IR(統合型リゾート)に関するアドバイザリー業務」委託の公募型プロポーザルでEY新日本有限責任監査法人と2億1691万2960円(3カ年合計、税込み)で契約した。契約日は11月29日。プロポには同社だけが参加した。

 業務内容は▽横浜IRの競争力強化に向けた戦略検討▽開発条件・事業実施条件の検討支援▽応募条件・事業枠組み等の検討支援▽公募プロセス等の検討支援▽実施方針の作成・公表支援-など。履行期限は2022年3月31日。

【だ円形水槽でクラゲを観察】オリックス不、すみだ水族館(東京都墨田区)の大規模改修実施

ガラス越しにクラゲが観察できるアクアラボとアクアギャラリーエリアの完成イメージ
オリックス不動産は12日、東京都墨田区にある「すみだ水族館」をリニューアルすると発表した。クラゲの飼育作業などが観察できる「アクアラボ」、水槽が並ぶ「アクアギャラリー」などを全面改修する。設計と施工は大成建設と丹青社が担当。2020年1月上旬から工事に入り、同4月下旬の公開を目指す。

 現在のアクアラボとアクアギャラリーがあるエリアに、楕円(だえん)形の水盤型水槽を新設する。水槽のサイズは長径7メートル、短径3メートル。水槽の一部を床に埋め込むことで、約500匹のクラゲが泳ぐ姿を上から観察できる。

 現在アクアラボで展示しているクラゲの飼育設備などを移し、餌を与える様子を確認できる「オープンスペース」を設ける。30個の水槽を並べ、クラゲの成長過程などを観察できるカウンターも配置する。すみだ水族館は複合施設「東京スカイツリータウン・ソラマチ」(押上1の1の2)の5、6階にある。12年5月の開業から初めての大規模リニューアル工事となる。

【国際線のキャパシティー拡大】関空、T1ビルの大規模改修スタートへ

開校以来初の大規模改修を実施する関西国際空港
(関西エアポート提供)
 関西圏の空の玄関口である関西国際空港(大阪府泉佐野市)で、第1ターミナル(T1)ビルの大規模改修がスタートする。空港運営会社の関西エアポート(大阪府泉佐野市、山谷佳之社長兼最高経営責任者〈CEO〉)が12日に改修方針案を発表した。

 改修デザインコンセプトを「日本らしさ、関西らしさ」に設定。国際線のキャパシティー拡大やエアサイドエリアの充実、国内・国際線エリアの配置見直しなどを実行する。商業店舗も大幅に拡充し、増加する空港利用者のニーズに応える。全体の改修面積は約8万9000平方メートル。総投資額は2018年9月の台風21号の防災対策を含め1000億円に上る見通し。

 「関西国際空港T1リノベーション」は計画をシンガポールのポピュラスが策定し、基本設計を日建設計が担当している。今後詳細設計を進め、20年末に着工する。段階的に工事を実施し2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催前の25年春の完成を目指す。
国際出発エリアの改修イメージ
2019~20年に設計と調整を終え、20年末から4段階で工事を進める。国内線エリアの増築・改修と本館3階国際線到着動線の増築が第1段階。改修は▽第2段階=2階国際線出発エリア(中央)の新設、2階一般エリア商業の新設▽第3段階=4階保安検査場エリアの増築、3階国際線ラウンジの新設▽第4段階=2階国際線出発エリア(南北)の新設-の流れで実施する。

2019年12月12日木曜日

【ひと】川島組(茨城県土浦市)・川島一男代表取締役「曳き家『名工』の誇りを胸に」

 「私たちにしかできないことをしている」という誇りを胸に、仕事を続けてきた。曳き家工事のプロとして「現代の名工」に選ばれたことを「人生最大の喜び」と話す。曳き家工事は建物の構造によって施工方法を見極める。技術と経験が求められる仕事だ。1棟の移動に約2カ月を費やす難しい仕事をやり遂げた時の達成感は大きい。

 職人4人を率いる会社の代表。70歳を超えた今も現場で陣頭指揮を執り職人らに指示を送る。少数精鋭の陣容は「きちんと目の行き届くくらいが最も仕事を進めやすい」からだ。

 今でも印象に残っているのは、東日本大震災による地盤の液状化で傾いてしまった飲食店を移動させた時のことだという。田んぼを埋め立てた土地にあった倒壊寸前の建物を、新しい基礎の上に降ろした。大切な建物を曳き家の技術で守った喜びは「職人冥利(みょうり)に尽きる」。

 若手に入職を促す一環で高校生の職場体験も積極的に受け入れる。建物を移動させた時の達成感を通じて「特殊な仕事の面白さを感じてほしい」と願いを込める。

 (かわしま・かずお)18歳で父親が率いていた曳き家工事の仕事に就く。この秋、卓越した技能者に贈られる厚生労働省の「現代の名工」に。茨城県土浦市出身、71歳。

【ファンタジー営業部、2年ぶりの新連載!!】前田建設、映画「前田建設ファンタジー営業部」とのコラボ企画始動

ガラダK7が巨大ブーメランでマジンガーZを攻撃!格納庫は耐えられるのか!?
(ⓒ永井豪/ダイナミック企画・くろがね屋 ⓒ前田建設/Team F
ⓒダイナミック企画・東映アニメーション)
前田建設のファンタジー営業部が2年ぶりの新連載!!。2020年1月31日に全国ロードショーされる映画「前田建設ファンタジー営業部」とのコラボレーション企画で、題して「劇中の土質屋山田さんはどのくらい正しいのか編」。映画に登場する山田さん(前田建設技術研究所職員、土質担当)の提案を掘り下げ、正しいかどうかを真面目に検証する。

 連載で取り上げるのは、アニメ「マジンガーZ」に登場するバリエーション豊かな機械獣の中でも有名な「ガラダK7」の巨大ブーメラン攻撃。「巨大なブーメラン状の金属兵器が直撃したときの格納庫の安全性評価」を、ファンタジー営業部が総力を結集して分析・検討する。シミュレーションは、衝撃解析を手掛けるJSOL(東京都中央区、前川雅俊社長)の協力を得て実施。連載内容は映画のストーリーともつながっている。

 映画は若手俳優の高杉真宙さんが主演。上地雄輔さんや岸井ゆきのさん、小木博明さんらが出演する。監督は英勉氏。「アニメの世界に登場する構造物を現実に建設しようとしたらどうなるのか」を真剣に検討するサラリーマンの奮闘を描く。新連載の初回は11日から前田建設ホームページで公開している。

【2019年度内に工程表策定へ】政府、首里城(那覇市)復元の基本方針決定

 政府は11日、焼失した首里城(那覇市)の復元に向けた基本的な方針を決定した。前回復元時の基本的な考え方を踏襲。正殿は1712年に再建され、1925年に国宝指定されたものに復元することを原則とする。

 前回復元後に確認された資料内容を反映しつつ、防火対策の強化などに取り組む。技術的な検討の場を内閣府沖縄総合事務局内に設ける。年度内に復元へ向けた工程表の策定を目指す。

 同日、官邸で開かれた「首里城復元のための関係閣僚会議」(議長・菅義偉官房長官)で決定した。菅官房長官は「予算措置を含め早期復元に向けて必要な措置を講じるとともに、観光振興や復元過程の公開など地元ニーズに対応した施策を進めてほしい」と指示した。

 基本方針には、政府一丸で木材や漆などの資材調達に取り組むことを明記。沖縄独特の赤瓦の製造や施工など、前回復元時から県内に蓄積、継承されている伝統技術の活用に向けて支援する。首里城の世界遺産登録に悪影響が及ばないよう、国連教育科学文化機関(ユネスコ)と緊密に連携していく。

【若手技術者が建設工事の魅力紹介】国交省官庁営繕部、若手技術者の声をHPで紹介

 国土交通省官房官庁営繕部は将来の担い手確保に向け、建築ものづくりの魅力を広く発信する。

 営繕工事の現場で活躍している若手技術者に官庁営繕部の担当技術者がインタビュー。仕事のやりがいや魅力など語ってもらった内容を取りまとめ、官庁営繕部のホームページ(HP)に11日から掲載。若い技術者の活躍している姿を伝える。

 インタビューの対象は本年度に完成予定の営繕工事で元請企業の若い技術者。▽財務省本庁舎耐震改修(15)建築工事=清水建設(入社6年目)▽赤坂迎賓館前公園施設(仮称)新築(18)建築その他工事=鉄建建設(2年目)▽特許庁総合庁舎改修(16)建築/機械設備工事=竹中工務店(4年目)/ダイダン(2年目)-の3プロジェクト・4工事。

 現場の若手技術者からは「やりがいは自分が組んだ工程通り流れた時」「お客さまの思いを職人さんにつなぐことが役割」「多くの人の暮らしを支えるものづくりに魅力」といった声が寄せられている。次の世代の担い手へのメッセージも発信している。

【967・7億円で竹中工務店JVが落札】大阪駅隣接地で大規模プロジェクト始動

 大阪駅に隣接する旧大阪中央郵便局の敷地を含めたエリアで、大規模複合開発が始動する。

 日本郵便、JR西日本、大阪ターミナルビル、JTBの4社が連携し、高さ約188メートル、延べ約22万7000平方メートルの複合ビルを建設。基準階貸室面積が約4000平方メートルに達する西日本最大級のオフィス、商業施設やホテル、座席数1200の劇場などを設ける。

 日本郵便は11日に「梅田3丁目計画(仮称)建設工事」の落札者を竹中工務店・西松建設・錢高組JVに決めたと発表した。落札額(税込み)は967億7800万円。

2019年12月11日水曜日

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/電子カードで不法外国人排除

来年から現場で働く建設労働者に発給される電子カードに、外国人労働者の在留資格や期間などの情報が書き込まれる見通しだ。大統領直属雇用委員会が発表した「建設雇用支援対策」によると、建設現場電子カードシステムに外国人労働者の登録情報を追加する施策が示された。不法在留外国人の雇用を遮断し、韓国人の雇用を守る狙いだ。

 電子カードシステムでは建設労働者が建設現場に置かれた端末にカードをタッチして、出退勤を記録・管理する。10月31日の国会本会議で「建設労働者の雇用改善等に関する法律」(建設労働者法)が改正され、来年12月からシステム導入が義務化される。

 雇用労働部は、来年上半期に建設労働者法の下位法令を改正し、電子カードシステムを設置しなければならない建設現場基準を策定する計画だ。並行して労働者教育情報など電子カードに記録する情報を整理する。外国人労働者が建設現場に就業する時に受ける基礎安全保健教育の履修証に在留資格と期間を明示し、電子カードとも連携させる考えだ。

CNEWS、11月20日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/日越共同研究が技術基準取得

 国立土木工学大学(NUCE)とJFEスチールが手掛けてきた共同研究が、成果を収めつつある。

 日本の高度技術をベトナムの建設事情に合わせた「つばさ杭」が一つの例。先端に翼を付けた鋼管杭で、NUCEの越日高度技術研究所(VJIAT)との共同研究によりこのほど国内の技術基準を取得した。

 NUCEとJFEスチールは2016年8月に研究を開始し、18年1月に完了した。今年8月にハノイ、ダナンで9月に行われた建設省職員に対する研修でも紹介された。今後、既存工法の欠点を補う新技術としてベトナム国内での普及が期待されている。

セイ・ズン、12月5日)

【工場探訪】住友大阪セメント栃木工場「災害廃棄物処理で地域貢献」

 住友大阪セメントにとって栃木県佐野市にある栃木工場は、セメントの一大需要地である首都圏に近接する重要な生産拠点。高品質なセメントを安定的に製造し供給するという役割に加え、原燃料として受け入れている廃棄物を処理し続けるという使命も負っている。

 リサイクル率は国内にあるセメント工場でもトップクラス。10月の台風19号では地元の佐野市で発生した災害廃棄物を大量に受け入れ、早期の復旧・復興実現を下支えしている。

 栃木工場は1938年に操業を開始した。現在は約100人の従業員が働く。セメントの主原料の石灰石は市内の唐沢鉱山で採掘し、世界に1台だけという空気圧送輸送機(カプセルライナー)で、約3キロの離れた工場に搬入している。企業活動や家庭で排出された廃棄物や副産物も受け入れ、原燃料として使用している。

 栃木工場でセメント1トンを製造するのに使うリサイクル原燃料は679キロ(2017年度実績)と、国内にあるセメント工場の平均値(約500キロ)を大きく上回る。09年4月に稼働したバイオマス発電設備(定格出力2万5000キロワット)は木質チップなどを燃料に発電。セメントの製造に必要な電力をすべて賄っている。石炭などの化石燃料の使用量を削減して二酸化炭素(CO2)の発生量を抑え、地球温暖化防止に寄与するという役割を果たしている。

 セメント製造で不可欠な燃焼炉(ロータリーキルン)は、燃焼温度が1450度にも達する。超高温での処理は燃えかすがほとんど出ず、有害物を無害化できるという特徴もある。台風19号の襲来後は、佐野市内から浸水した畳や倒壊した家屋の木材といった災害廃棄物を受け入れ、燃焼処理している。

 受け入れた災害廃棄物は、燃焼効率を上げるために同社グループ会社の泉工業(栃木県佐野市、中塚誠代表取締役)で「1次破砕」を行い、細かくして栃木工場に運んで利用する。細かく砕いた家具は木材チップとなりバイオマス発電の燃料に使用する。畳は栃木工場に持ち運んだ後に「2次破砕」を行う必要があり、処理後にセメントの製造過程の熱エネルギーに使われる。

 畳は処理の手間が掛かることから受け入れと処理が追いつかないという。処理スピードが遅いと、畳などは発酵し臭いが発生してしまうため作業環境が悪くなる。こういった現状から泉工業の中塚代表取締役は「いかに早く処理するかが課題だ。処理スピードを上げていち早く次の災害廃棄物を受け入れたい。作業環境も改善していきたい」と力を込める。

 同工場の大橋博工場長は「今後は、ほかの市からの受け入れを検討したい。セメント業界での取り組みを理解してもらい、当社は微力ながらも地元に根付く会社として貢献したい」と話している。

【国際線ターミナルに直結】住友不、羽田空港隣接地に大規模複合施設

羽田エアポートガーデンの完成イメージ
住友不動産は10日、東京都大田区の羽田空港跡地で進める複合開発の詳細を明らかにした。街区名称は「羽田エアポートガーデン」。同空港の国際線ターミナルに直結する計1717室のホテルを中心に、MICE(国際的なイベント)が開催できるホール、商業施設や天然温泉といった機能が「オールインワン」でそろう。来春からの順次開業を予定する。

 建設地は羽田空港2(敷地面積約4・3ヘクタール)。住友不動産が全額出資する羽田エアポート都市開発(東京都新宿区、津村健二社長)が事業主となり、住友不がマスターリースして運営する。設計は日建設計。西松建設が施工している。

【神戸港に二つの長大橋】近畿整備局ら、大阪湾岸道路長大橋の形式決定

新港・灘浜航路部に整備する連続斜張橋の模型
 国土交通省近畿地方整備局と阪神高速道路会社は10日、大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北~駒栄間)の海上部に設ける長大橋の橋梁形式の選定結果を発表した。学識経験者らで構成する技術検討委員会(委員長・藤野陽三横浜国立大学上席特別教授)で一定の整理がなされたことから、中間取りまとめ(II)として公表したもの。東側の新港・灘浜航路部は「連続斜張橋」、西側の神戸西航路部は「1主塔斜張橋」を選定した。今後、残された課題のさらなる検討を進めるとともに、部材などの基本構造における詳細検討を実施する。

 大阪湾岸道路西伸部は神戸市東灘区向洋町東の六甲アイランド(六甲アイランド北IC)からポートアイランドを通り、長田区西尻池町に至る14・5キロ。陸上部、海上部とも大半が橋梁となり、公共事業と有料道路事業(阪神高速道路会社)の合併施行方式で行う。総事業費は約5000億円。

 新港・灘浜航路の連続斜張橋は、中央径間を均等割りにした最大支間長約650メートルの5径間連続斜張橋で、連続斜張橋としては世界最大規模となる。

 主桁は鋼桁、主塔は鋼製主塔(橋軸A型を基本)、主塔基礎は鋼管矢板基礎とする。単独斜張橋に比べ、地震時の損傷リスクの高い桁端部が少なく、桁端部が陸上に近接した箇所に存在し、緊急点検時のアクセス性や修復性に優れている。国際航路間の中央海上橋脚がなく、点検・補修も容易になる。また、二つの人工島を結ぶ1本の線として連続性を有することから景観にも優れている。地震動や地盤変位に対する構造冗長性も高い。

神戸西航路部に整備する1主塔斜張橋の模型
 神戸西航路は支間長410メートルと480メートルの1主塔斜張橋(ポートアイランド側主塔)で、1本主塔の斜張橋としては世界最大規模。主桁は鋼桁、主塔は鋼製主塔(ダイヤ型を基本)、主塔基礎は鋼管矢板基礎とする。

 2主塔斜張橋および和田岬側の1主塔斜張橋に比べ、維持管理性が高く、主塔が1本であることからデザイン性も高い。断層上の堆積層にみられる地層の傾斜を避けた位置に主塔を配置することもできる。今後、詳細設計に着手するが、具体的なスケジュールは未定としている。

2019年12月10日火曜日

【会長賞は模型部門の都立総合工科高校に】東建、高校生作品コンペの結果発表

 東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)は、「東京都建設系高校生作品コンペティション2019」の入賞作品を決め、会長賞に模型部門の「新国立競技場」(都立総合工科高校)を選んだ。

 作品コンペティションは、東京都都市整備局との共催。建設系学科の生徒に学業の成果を発表してもらい、一般の人に建設への関心と理解を深めてもらった。6、7日の2日間、新宿駅西口イベントコーナーに作品を展示した。6日には飯塚会長が視察した。

 今回は7部門に9校から143作品の応募があった。会長賞は、2020東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場。トレンドを取り入れたテーマや規模の大きさなどが高く評価された。公開されている限られた情報を基に製作したという。

 作品について飯塚会長は「毎年素晴らしい作品が並び、年々レベルが高くなっている。甲乙つけがたい作品ばかりだった。高校生の作品製作の苦労話も聞けて改めてものづくりの良さを感じた」と感想を述べた。

【記者手帖】東北のたくましさ体感

東京の本社から東北支社に転勤して3カ月がたった。1日のスケジュールをはじめ経費の精算や備品の使い方など、当初は「同じ会社なのにこんなにも違うのか」と戸惑いの連続だった。先輩方に丁寧に教えていただきながらようやく慣れてきたところだ◆新たに出会った取材先や同業他社の方にも大変お世話になっている。支社に来て最も驚いたのが東北の広さ。東京のように鉄道で短時間に移動できる目的地はほとんどない。そんな時、取材先や同業他社の方の車に同乗させていただくこともある。本当に感謝の気持ちしかない◆東日本大震災から間もなく9年。10月の台風19号は東北に再び大きな傷跡を残したが、応急復旧に当たった国や地方自治体、発注機関や建設関係団体・企業への取材からは震災で培われた経験やノウハウ、困難に立ち向かうたくましさを随所で感じた。震災復興を必ずやり遂げるという強い思いも、東京で取材していた時以上に伝わってくる◆これまで知らなかった東北のありのままをどれくらい体感できるのか楽しみだ。微力ながら紙面で発信していきたい。(か)

【銀座にeスポーツの新拠点】コナミリアルエステートの「クリエイティブセンター」竣工

 コナミリアルエステート(東京都港区、東尾公彦社長)が東京都中央区に建設していた「コナミクリエイティブセンター銀座」が完成し、9日に竣工式が行われた。関係者約35人が出席し完成を祝った。設計・監理は櫻井潔建築設計事務所・ETHNOS(櫻井潔社長)。三井住友建設が施工した。

 東尾社長は竣工式後に「銀座という素晴らしい地との相乗効果で、よりクリエーティブな制作物の生産と、eスポーツ関連の情報発信を行っていきたい」と語った。櫻井社長は「銀座の人通りが感じられ、製品開発に生かせるような開放的なデザインにしている」と設計のポイントを説明した。

 建設地は銀座1の11(敷地面積2527平方メートル)。建物はS造地下1階地上12階建て延べ2万2509平方メートルの規模。

 2階がeスポーツの配信用スタジオで、大会を実施しあらゆる動画メディアに情報発信できる。複数言語による同時配信やライブ映像へのCG合成など最新の設備を導入。eスポーツだけでなく、音楽や演劇などさまざまなエンターテインメントに対応する。

【回転窓】季節外れではありますが…

少し季節外れな話題になるかもしれないが、夏の夜、寝ようと思って目を閉じるとどこからともなく聞こえてくる「プーン」という羽音。追い払ってもやってくる厄介者に安眠を妨げられた経験はどなたにもあるはず▼約2500種が存在する「蚊」。頼んでもいないのに血液を吸い、お礼とばかりにかゆみを残して去っていく。病気を媒介する衛生害虫との格闘を根本的に解決するかもしれない研究が成果を上げつつあるそうだ▼金鳥ブランドの蚊取り線香でおなじみの大日本除虫菊(大阪市西区)が、蚊取り線香の原料である多年生の植物「除虫菊」のゲノム解析に世界で初めて成功したという。除虫菊に含まれる天然の殺虫成分を高濃度で含んだ品種や育成期間の短い品種が開発できるのでは、と今後に期待が持たれている▼蚊取り線香を使う家庭は少なくなったかもしれない。けれども創業130年を超える老舗の殺虫剤メーカーが取り組んだ研究には大きな可能性がある▼蚊が媒介する病気で苦しむ人はアフリカや東南アジアなどの地域で多いはず。蚊には迷惑な話だろうが、渦巻き型線香のパワーアップに期待したい。

2019年12月9日月曜日

【実施設計・施工は竹中工務店JV】有明アリーナが竣工、五輪後は民間が運営

 2020年東京五輪・パラリンピックでバレーボールと車いすバスケットボールの競技会場になる「有明アリーナ」(東京都江東区)が9日に竣工を迎えた。整備主体は東京都。五輪後の運営では都有施設で初めてコンセッション(公共施設等運営権)方式が導入される。

 施設規模は5階建て延べ4万7200m2。約1万5000席(仮設約3000席含む)の観客席を備え、都内最大級のアリーナとなる。

 基本設計は久米設計が担当。実施設計と施工は竹中工務店・東光電気工事・朝日工業社・高砂熱学工業異業種JVが担った。工事は建築、電気、給排水衛生、空調の四つに分けて進められた。工事期間は17年4月からの約33カ月。今後、五輪開催に向け東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が床の整備を実施する予定だ。

 五輪開催後は電通ら7社が設立した特別目的会社(SPC)が運営を担当。スポーツ大会やコンサートなどさまざまなイベントに活用されることになる。

【MM21にロープウエー、ゴンドラは8人乗り】横浜市と泉陽興業、ロープウェイ整備で実施協定締結

 横浜市と泉陽興業(大阪市浪速区、山田勇作社長)は6日、横浜市西区のみなとみらい(MM)21地区で計画しているロープウエー建設事業の実施協定を締結した。

 同社が桜木町駅前と新港ふ頭を結ぶロープウエーを整備し運営。2020年度末までの営業開始を目指し、準備工事に着手する。

 施設名称は「YOKOHAMA AIR CABIN(仮称)」。ルートはJR京浜東北根岸線の桜木町駅東口駅前広場から新港ふ頭の運河パークまでの延長約630メートル。汽車道沿いの海上で、停留所は桜木町駅前(S造2階建て、ピロティ形式)と運河パーク(S造2階建て)の2カ所。支柱は地上2基(高さ約10メートル)と海上3基(高さ約40メートル)。ゴンドラは乗車定員8人で36基(全基車いす対応)構成を計画している。営業時間と料金は未定。

 同計画は横浜市が17年10月に公募した「まちを楽しむ多彩な交通の充実」で採用された提案の一つ。横浜都心臨海部に新たな交通ネットワークを形成するとともに、移動自体を楽しむことと新たな景観づくりを目指すコンセプト。完成すれば国内初の常設都市型ロープウエーになるという。

 照明計画は世界的な照明デザイナー・石井幹子さんが監修する。演出照明は周辺の住宅やホテルなどに配慮し、都市的交通としての落ち着いた夜間景観を目指すとしている。

【凜】鉄建建設土木本部地下・基礎技術部・岩川実郷さん

◇現場と本社を身近に◇

 東京都港区のJR新橋駅で行われている駅改良工事に入社後の5年半ほど携わっていた。「職人の人たちと一つのものをつくり上げ、無事に構造物を引き渡した時は『この仕事をやっていて良かった』とやりがいを感じた」と当時を振り返る。鉄道工事特有の厳しいルールの中で奮闘していた日々は、かけがえのない財産になっている。

 大学で都市計画を学び「デスクワークよりも体を動かす仕事をしたい」と就職先に建設業を選択。鉄道工事にも携われることから鉄建建設への入社を決めた。

 入社後に配属された新橋駅改良工事の現場では、作業に使う道具の名称や工事の流れ、図面の読み方など覚えることがたくさんあった。とりわけ驚いたのは鉄道工事特有の施工ルールの数々。「ルールだけ覚えようとしてもダメだ」と思い、ルールが設けられた背景をベテラン社員に教えてもらうことにした。背景から覚えるとルールだけでなく理由も分かるようになり「現場に後輩が入ってきたときに教えられるようになった」という。

 10月に本社の土木本部に異動し、技術面での現場支援を担当することになった。卒業以来久しぶりに大学時代の教科書を引っ張り出し、施工方法の検討などで参考にしている。今回の異動で本社と現場に距離があると気が付いた。「現場と本社がもっと身近に感じられるようにしていきたい」と今後の目標を話す。

 (基礎・地盤・土木グループ、いわかわ・みさと)

【中堅世代】それぞれの建設業・242

10年後の現場監理は全く違っているだろう
という思いを強く抱いている
仕事のやり方を根本的に変えなければならない-。ゼネコンの技術部門で働く阿部康治さん(仮名)は、建設現場の生産性向上策i-Constructionの推進部署へ配属されてから、そうした意識をより強くしている。

 テレビや新聞を見ても「働き方改革」が大きく目立つようになった。若手を中心に、休みが増えて当然というように意識も変わっている。政府方針という段階はとっくに過ぎて、社会的なうねりのように感じている。だが、建設業界では週休2日制にすら行き着いていない。できることはすべてやらなければいけない。i-ConやICT(情報通信技術)は、ツールの一つに過ぎないが、使いこなせるかが大きな分かれ道になる。

 かくいう自分も意識が変わったのは最近のこと。今の部署に来る前も、便利なアプリなどがあるとは聞いていたが、わざわざ覚えようとは思わなかった。だが、ビジネスチャットであれば同じ時間に現場で集まるような場面を減らすことができる。測量や書類作成を効率化できるシステムもどんどん出てきている。各種ツールを組み合わせていけば、より大きな相乗効果が出てくる。

 一つ一つの効率化は、微々たるものかもしれない。だが、毎日の作業を1分短くできれば、年間で数時間の短縮になり、それが社員や協力会社の大多数に広がれば全体では大きな力になる。「新しい働き方を作っていく起爆剤にする」。まずは自身がそう信念を持って取り組んでいる。

 例えば、大量のコンクリートを施工する現場であれば、少しでも多く早く打設できないかに頭を絞る。1回当たり10秒間の短縮でも、打設回数が1万回であったとしたら、その効果が積み重なり現場の利益を押し上げる。現場もi-Conもやろうとする方向性は同じだ。食わず嫌いのシニア層には、そう言って説得している。

 振り返れば、入社してからの約30年で、仕事のやり方は激変した。入社当時は文書も図面も手書きだったが、もうすぐ紙に印刷すらしない時代が来るだろう。「現場の親方のような仕事をするつもりで入ったのにイメージと全然違った」と苦笑いで話すが、悪いこととは思っていない。

 とはいえ一抹の不安もある。ツールに頼れば頼るほどブラックボックス化していく点だ。今でもコンピューターで高度な計算モデルを解いて方針を決めるケースなどは多いが、ノウハウや経験値のようなもので正しいかを判断している。現場で写真を撮影して一瞬で図面になって出てくるとしたら、それは非常に便利。だが、何か不具合がある時に見抜けなければ、後々に悪影響を及ぼしかねない。

 阿部さんは、技術者がデータ入力のオペレーターのようになってしまったら、安全かつ高品質な構造物は造れないと思っている。人工知能(AI)の活用が進めば進むほど、技術者特有の勘のようなものが、より重要になってくる。若手にそうした素養を高めてもらいながら生産性を高める道が、必ずあるはず。そう思って模索を続ける。

【サークル】東急建設硬式庭球部「設立45年、初心者も上級者も楽しむ」

 テニス好きが集まって発足した同好会の「東急建設硬式庭球部」。ベテラン社員によるとその歴史は45年ほどといい、会社の中で最も伝統あるサークルの一つ。発足当時は練習コートが少なく、さまざまなコートを転々として練習していた。現在は東京都渋谷区のコートに腰を据え練習に励んでいる。

 部員数は約20人(4月時点)。営業・設計部門のほか、現場に配属されている社員など幅広い職種の社員で構成する。毎年春に行われる東急グループ内の個人戦や、ゼネコンを集めた建設業大会の個人戦への参加が主な活動内容だが、一般の大会への参加も検討中だ。ゴールデンウイークには山中湖で山梨県にある企業との合同合宿でレベルアップを図っている。

 部員のレベルはさまざまで、初心者は「テニスを好きになること」、上級者は「建設業テニスリーグ優勝」や「東急グループ大会優勝」を目標に掲げる。「秋の建設業大会団体戦では1部リーグに返り咲くことが今の目標」と話すのは、建築事業本部設備統括部設備設計部設備設計第四グループの嶋司ちひろさん。次回の大会で好成績を目指す。

【駆け出しのころ】川田工業執行役員鋼構造事業部副事業部長・内海靖氏

 ◇深く考え成長の糧に◇

 コンピューターによる構造解析を専門とする大学時代の恩師が川田工業との関わりが深く紹介されて入社することになりました。それまで橋梁もゼネコンがやっていると思い、橋梁メーカーのことは知りませんでした。

 学問と仕事の知識は別物で、駆け出しのころは先輩たちに教えてもらったり、文献を読んだりしながら必死についていったことが思い出されます。大型コンピューターが出始めたころで汎用(はんよう)ソフトがあまりなかったため、自分たちで理論を勉強してプログラムを作成していました。当時は本四架橋の事業が動きだしたばかり。将来に備え、プログラムでつり橋の構造解析などに従事しました。

 大学まで実家で暮らし、入社早々の大阪の寮生活では社会人としていろいろ学びました。1年後に東京へ戻り、本四架橋対応の専門部署に配属されましたが、8カ月ほど因島大橋の補剛桁の現場に勤務しました。大型コンピューターの端末を導入した国内では例のない現場で、実際の架設作業で形状や応力の変化をリアルタイムで計算しながら施工管理の高度化に取り組みました。

 現場ではJVの他社の技術者からも学ぶことは多いです。同世代の人たちとは切磋琢磨(せっさたくま)し、橋について語り合う中で橋をより好きになっていきました。

 明石海峡大橋はいろいろな面で転機となった大プロジェクトです。世界に例のない規模の工事となるため、設計業務では20社から約35人が神戸に集まり、毎日夜遅くまで検討しました。

 施工中には阪神・淡路大震災が発生。当時住んでいたマンションは無事でしたが、大きな揺れに襲われた時は自分も橋もだめだろうと思いました。発災後、自宅から橋の主塔が倒れずに立っていた姿を見た時は安心しました。さまざまな苦労はありましたが、完成した時は大きな喜びと同時に、プロジェクトを離れる寂しさも感じました。

 人の移動や物流など交通の便をよくする橋は、周囲との景観も重要であり、構造物としての魅力にもなります。既設の橋を先人たちがどういう考えで設計し、工夫しているのかといったことに思いをはせることは面白く、こうした視点は今の技術者が成長するための糧となります。

 ものの表面だけを見て、結論づけて進むのは危険です。ものができあがる過程を想像しながらどういう思いで造り上げられたのか。そこまで深く考えれば、おそらく間違うことはありません。

 若い人たちには何より仕事を好きになってもらいたい。好きならつらいことがあっても乗り越えられます。つり橋など特殊構造の橋梁の新設工事は激減していますが、長年培われた技術や考え方を継承するためにも、学びの場を増やしていければと考えています。
入社13年目ころ。明石海峡大橋のJV関係者と
(後列右から2人目が本人)
(うちうみ・やすし)1981年法政大学工学部土木工学科卒、川田工業入社。タコマプロジェクト室や鋼構造事業部橋梁企画室などを経て2017年6月から現職。神奈川県出身、60歳。