2019年3月19日火曜日

回転窓/ごみ箱に直行した原稿用紙

 記者という仕事を始めたばかりの頃、記事は原稿用紙に手書きし、写真はフィルムを現像して使うのが当たり前だった。原稿を起こし隣の席に座っていた先輩に見てもらう時、いつも字の汚さを恥じていた▼20年余りの時が過ぎ、原稿を手書きすることはなくなり、写真もデジタル化されて現像という言葉も姿を消した。便利な世の中になったと感じる一方で、1文字ずつ原稿を書くという作業を経験して良かったと思うこともある▼自分の書いた記事を読んだ先輩が、何も言わずに原稿用紙をごみ箱に放り込む。何度か経験した出来事で、その時は先輩の行為に腹を立てることしかできなかった。けれども今にして思うと相当できの悪い内容だったのだろう▼人をどう育てていくかが、多くの職場で懸案事項になっている。丁寧に分かりやすく説明し、仕事を任せて問題点があれば改善していく。マニュアルをきちんと整備することは言わずもがなの条件…▼昔のやり方を懐かしむわけではないが、つらい経験や悔しい思いをし、腹を立てることも時には必要ではと考えることがある。自分の経験を伝えるのはなかなか難しい。

竹中工務店/65歳超対象の優良職長認定制度創設/機会均等へ認定要件緩和も

 竹中工務店は、同社の建設現場で働く優良職長を認定する「竹中マイスター制度」を改定した。マイスター認定者に手当を与える「竹中優良職長制度」の資格区分に、65歳超を対象とする「グランマイスター」を新設する。優良職長の認定要件となる稼働日数も一部緩和する。比較的稼働が少ない職種でも優良職長を認定しやすくして、機会均等や意欲向上につなげる。
 竹中優良職長制度は、これまでは、ジュニアマイスターとマイスター、シニアマイスターの3区分で、65歳を定年としていた。優秀な職長でも定年後は手当てが無くなるため、意欲低下が懸念されていた。
 グランマイスターは、最上位のシニアマイスターとして認定前年の12月末時点に65歳を迎えた人が対象。定年は満70歳。後進の指導・育成や技術の伝承などを担ってもらう。ヘルメット掲示用ステッカーを配布するとともに、初年度は記念の盾を授与する。2年目以降は、稼働日数に応じて最大8万円の商品券が与えられる。初弾として2月に5人が認定された。
 優良職長の認定に必要な稼働日数は、職種ごとの稼働状況などを考慮して、従前の1区分から3区分に改めた。鉄筋やとびなど一般職種は従前と同じで、初年度120日以上(東京・大阪は150日以上)、2年目以降は全国一律90日以上とする。掘削工など12工種は「特定I種」に位置付け、初年度70日以上(同90日以上)、2年目以降は同55日以上に緩和。くい工など5工種は「特定II種」として初年度25日以上(同30日以上)、2年目以降は同20日以上に改めた。

建退共/予定運用利回り見直し検討/今後5年間の赤字試算

 勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部(建退共、稗田昭人本部長)は、18日に東京都内で開いた運営委員会・評議員会で財務状況を報告した。2019年度は、中小企業退職金共済法で定められた5年に1度の財政検証の年に当たる。財務状況報告では、今後5年間で毎年約81億円の赤字が見込まれると試算した。安定的な収入源である自家運用と国内債券の運用収入が金利の低下に伴い減少するのが要因で、予定運用利回りと資産構成の見直しが必要とした。=2面に関連記事
 2月時点の試算によると、19~23年度の5年間の平均の自家運用収入は35億円、金銭信託運用収入は50億円で支出が上回り、毎年度約81億円の赤字になることが分かった。
 現在の予定運用利回りは3・0%、掛け金日額は310円。過去2回の利回り引き下げ時にはいずれも、掛け金日額の引き上げを同時に実施している。6月の運営委員会・評議員会でたたき台を示す。
 財政検証は労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)で審議され、予定利回りなども議論を経て決定される。
 1月末時点の建退共制度の概況は、共済契約者が17万2032カ所(前年比0・5%増)、被共済者は223万5456人(0・7%減)となった。
 18年4月~19年1月の掛け金収納額は457億71百万円(前年同期比1・6%増)、退職金支払総額は416億37百万円(0・3%増)で収納が支払いを上回る。資産の運用残高は1兆0127億円(0・0%減)となっている。
 18年4月~19年1月に退職金を支払ったのは4万6153人(1・0%減)、平均額は90万2000円(1・3%増)。最高支給額は昨年4月の1264万7000円で、過去最高だった11年10月の1099万円を上回った。
 建退共事業の19年度収支案は、主体の給付経理の収入が613億44百万円(前年度607億84百万円)で、うち掛け金収入は550億79百万円(537億16百万円)。支出は573億58百万円(581億39百万円)で、退職給付金が527億74百万円(536億39百万円)。19年度の新規加入被共済者数の目標は11万人以上(18年度は11・2万人)に設定した。

2級施工管理技術検定/受験者数3年連続10万人超に/受験機会拡大策が奏功

 建設業法に基づく施工管理技術検定の2018年度2級学科試験で、若年層の受験者が多い「学科のみ試験」の受験者数が初めて4万人を超えた。全6種目を年2回実施する取り組みが奏功した。「学科・実地試験」を含めると3年連続で10万人を超えた。国土交通省が進める受験機会の拡大策で「学生だけでなく社会人にも広がっている」(建設業課)としており、幅広い世代に受験を促す効果を発揮しているようだ。
 技術検定は、監理技術者や主任技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得するための試験。土木、建築、管工事、電気工事、建設機械、造園の6種目それぞれに1級と2級があり、学科試験と実地試験で構成する。受験者・合格者の平均年齢も上昇傾向にあるため、国交省は技術力の水準は維持しつつ、若年層の受験機会の拡大や受験要件の緩和を進めている。
 建設現場の担い手確保の一環として、若年層の受験者が多く、高校在学中の合格者の増加が期待できる2級学科試験を、18年度からすべての種目で年2回実施した。この結果、学科のみ試験の受験者数は、6種目合計で4万0165人(17年度2万6674人)と過去最多を更新。年2回実施する前の16年度(1万7268人)と比べると2・3倍に伸長した。
 18年度の種目別内訳は▽土木=1万5746人(16年度7054人、17年度1万2395人)▽建築=1万4580人(7339人、1万0803人)▽管工事=3536人(704人、825人)▽電気工事=3498人(1537人、2019人)▽造園=1594人(500人、528人)▽建設機械=1211人(134人、104人)。
 「学科・実地試験」を含め2級全体では、6種目合計は10万7071人(10万0696人、11万1227人)。土木と造園が減少したものの、残り4種目は前年度を上回り、3年連続で10万人超となった。
 近年は1、2級ともに女性の受験者数が増加しており、合格率も高い。受験者に占める女性比率は1級学科が3・8%、2級学科が7・3%。6年連続で比率が高まり、18年度は1、2級とも学科は過去最高を更新した。2級実地の合格者の女性比率は8・9%で過去最高を記録した。
 国交省は16年度に2級の学科のみ試験を17歳で受験できるよう要件を緩和した。17年度からは土木と建築の2種目、18年度から全6種目で年2回実施。建設業界への入職・在職する動機付けの強化を図ってきた。

2019年3月14日木曜日

【回転窓】「大迷惑」も今は昔

就職活動シーズンに入り、街中でリクルートスーツ姿の学生を見かけるようになった。社会人としての第一歩を踏み出す上で、就職活動に費やす時間と労力は今も昔も大切なことに変わりはない▼保険大手のAIGグループが会社都合による転居を伴う勤務制度を4月に廃止するそうだ。社員が希望勤務エリアを選びエリア内での異動を原則化する内容。試験運用では社員のモチベーションが上がっているとの声が予想以上に届いた▼「君をこの手で抱き締めたいよ。(中略)帰りたい」。歌手の奥田民生さんが在籍するバンド「UNICORN」の曲の一節だ。単身赴任の悲哀を歌い、ヒットしたのは平成元(1989)年。「大迷惑」というタイトルも含めサラリーマンらから共感を呼んだ▼さまざまな事情を抱える人がいる中で、働き方の選択肢を増やして優秀な人材を呼び込む。この流れは揺るぎないものになっている▼建設業界で働く場合、施工管理を担う技術職など仕事によっては対応が難しいケースもある。だが、人を呼び込むには当たり前を変えるのが不可欠。「建設業も変わった」と言われる日がいずれは来るのだろう。

【床材にCLT導入、施工は竹中工務店】三菱地所、仙台市にCLT採用マンション完成

三菱地所は13日、仙台市泉区の泉パークタウンで建設を進めていた賃貸マンション「PARKWOOD高森」の竣工式を開いた。

 国内で初めて床材にCLT(直交集成板)を採用した高層建築物で、RC造に比べ3カ月程度の工期短縮を実現したという。設計・施工は竹中工務店が担当し、同社が開発した2時間耐火集成材「燃エンウッド」も使用した。

 建設地は泉区高森2の1の11の敷地約3550平方メートル。建物は木造とS造を組み合わせたハイブリッド構造で、規模は10階建て延べ3605平方メートル。住戸数は39戸。専有面積は51・74~89・46平方メートル。間取りは2LDKと3LDK。主にファミリー世代の入居を見込む。23日に入居を開始する。

 国土交通大臣認定を取得したCLT耐火床システム(三菱地所、三菱地所設計、竹中工務店、山佐木材の共同開発)は4~10階の床に使用。下面に強化石こうボード、上面に石こう系材料(セルフレベリングプラスター)を使用することで高層化に必要な2時間耐火性能と被覆工事の省力化を実現した。1~5階部分にはCLT耐震壁を取り付けた。

 木材の周りを不燃化材(石こう系セルフレベリング材など)で包み込んだ燃エンウッドは、耐火構造の木造部材(集成材)として2~10階の柱や梁などに採用した。同社は沖縄県の下地島空港旅客ターミナルや、三菱地所が事業主の東京都中央区晴海のプロジェクトにCLTを採用している。

【26年国民スポーツ大会見据え調査実施】宮崎県、県営プール整備運営でPPP・PFI導入可能性調査

 宮崎県は、2026年開催の国民スポーツ大会などに対応するため計画している新たな県プール整備についての民間活力導入の可能性を調査する「県プールPPP/PFI手法導入可能性調査業務」の公募型プロポーザルを公告した。

 参加表明書と提案書の提出期限は4月3日。同17日にプレゼンテーション・ヒアリングを行い最優秀提案者を選定する。

 参加資格は県で物品の買い入れ等の「調査・研究・検査」または建設工事等の「都市計画および地方計画」か「建築設計」の入札参加資格があり、国内に本社か営業所を有し03年度以降に同種または類似業務の実績があることなど。

 業務内容は▽前提条件の整理と課題の抽出▽施設基本計画の検討支援▽運営計画の検討▽想定事業スキームの抽出・整理▽民間事業者ヒアリング▽VFM(バリュー・フォー・マネー)の算定▽事業評価と最適事業スキームの抽出▽事業化に向けた課題・スケジュール整理。履行期限は9月30日。参考業務規模は1270万円(税込み)を限度とする。

 プールの建設地は宮崎市錦本町の県有グラウンド内。敷地面積約5・8ヘクタールのうち駐車場を含むプール用地は1・6ヘクタール程度を想定している。

 施設は10レーンで可動床の50メートルプール、8レーンの25メートルプール、仮設を含め2500席程度の観客席、トレーニング室、多目的スペース、大規模災害対応の備蓄倉庫などで構成し、規模は地下1階地上3階建て延べ約1万2120平方メートル。

 PFIで行う場合は19年度後半に事業者選定を開始し20年度末までに事業者を選定、24年度の完成を予定している。担当は国体準備課(4月以降は国民スポーツ大会準備課)。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/PM2・5で公共工事中断も

今後3日以上、高濃度微細粉じん(PM2.5)の非常低減措置が発令されれば、公共機関が発注した建設工事の現場で作業が中断される見通しだ。

 7日会見したチョ・ミョンレ環境部長官は「これまで非常低減措置が連続発令した際、5等級車両の走行制限、発電所の80%上限制約(稼働制限)といった一律的な措置で対処してきたが、今後は発令日数に応じて段階別に強化措置を施行して効果を高める」と表明した。

 環境部は3日連続発令時には国発注工事や資材官給建設工事のうち微細粉じんが大量発生する掘削などの工事を中心に、現在50%まで短縮できる工事時間をさらに短くする方向で調整に入った。

 石炭火力の稼働率80%の上限制約対象を40基から60基に増やす。低硫黄炭の使用拡大を図る一方、老朽化した石炭火力2基(保寧1号機・2号機)の早期閉鎖を検討。公共建物屋上の遊休空間に空気浄化設備をモデル的に設置して低減効果を検証する。

 中国との共同対策では西海上空で人工降雨実験を年内に実施。PM2.5予報・早期警報システムも構築する。

CNEWS、3月8日)

2019年3月13日水曜日

【回転窓】未完建築を楽しむ

SF作家の星新一氏は小説の題材に困った時、気になる言葉をメモした紙を何枚も袋に入れ、そこから二つだけを取り出し、言葉を組み合わせて物語を創作したという▼星氏いわく。「新鮮な組み合わせは組み合わせるものの間がかけはなれていればいるほどいい」(『きまぐれ博物誌』角川文庫)。だが、それを奇想天外な読み物にしていくには、単なる想像力だけでなく、幅広い見識が必要なのは言うまでもない▼建築は独創的な想像力が必要なことに今も昔も変わりはない。ただ時代の変化とともに街並みや人の価値観の変化など、別の要素を組み合わせることが求められるようになってきた。その中で、どれだけ個性や独創性を発揮できるかが問われる▼埼玉県立近代美術館で24日まで開催している「インポッシブル・アーキテクチャー」展は完成に至らなかった構想や建築、あえて提案にとどめた建築などの図面や模型などが展示されている。未完建築だけに逆に見る人の想像力をかきたてる▼この作品はどうして実現しなかったのか。建築家は何を考え訴えたくて図面を描いたのか。見る側が勝手に想像するのも楽しい。

【概算事業費29億円、20年度着工へ】熊本競輪場施設整備、バンク縮小やメインスタンド改修を計画

熊本市は、熊本地震で被災し自場開催ができなくなっている熊本競輪場(中央区水前寺)の再開に向けた施設整備基本計画をまとめた。

 現在の周長500メートルのバンクを解体し400メートルのバンクを新設。メインスタンドは耐震補強と大規模改修を行い観客席や車券発売機能などを集約する。2019年度に設計や解体工事、20年度に建物の改修工事やバンクの工事にそれぞれ着手し21年12月の完成を目指す。概算事業費は約29億円。

 既存のメインスタンドと選手管理棟に合わせて400メートルバンクを配置。メインスタンド(延べ約4500平方メートル)は耐震補強と大規模改修を行い観客席、車券発売機能、投票所などの来場者が利用するスペース、管理機能、開催機能を集約し、座席数1250席で立ち見を合わせて2000人を収容できる施設とする。

 選手管理棟の耐震補強・大規模改修、自転車競技練習棟の増築も行う。サービスセンターは地域交流施設として再び活用できるよう整備する。バックスタンドとサイドスタンド、第2支払い棟は解体。解体後のオープンスペースには小規模公園や駐車場を整備し災害時には避難場所として活用する。

 概算事業費のうち建築改修工事に約13億8200万円、バンクの設計・施工に約6億3900万円を見込む。19年度当初予算案には関連事業費として約3億6200万円を計上し、20年度までの限度額3億1800万円の債務負担行為を盛り込んでいる。基本計画策定業務は三菱UFJリサーチ&コンサルティングが担当。

【ものづくりは生き残れるか】金剛組専属宮大工・木内繁男氏、LEXUSドキュメンタリー映像に出演

 高松コンストラクショングループの事業会社で世界最古の建築会社として知られる金剛組(大阪市天王寺区、刀根健一社長)の専属宮大工棟梁(とうりょう)の木内繁男氏が、日本の匠(たくみ)に焦点を当てたドキュメンタリー映像に出演する。

 高級自動車ブランドのLEXUSが誕生30周年記念として制作した映像で、タイトルは「Takumi-A 60,000-hour story on the survival of human craft(Takumi:AI時代にモノづくりは生き残るのか。)」。4人の匠たちが、長年にわたって鍛錬を繰り返す匠の姿を通じて、人工知能(AI)時代のものづくりの未来を考える内容となっている。19日からアマゾンプライムビデオなどで配信する。

 木内氏は、宮大工歴51年で、金剛組の専属宮大工組織「匠会」の会長を務める。「本物の匠になるためには一生かかるだろう。宮大工に定年はない。ずっと仕事をしていたい」とコメントを寄せている。

【竹中工務店とMBJがコラボ】東京・六本木に未来の暮らし体験施設開設

 メルセデス・ベンツ日本(MBJ)と竹中工務店は13日、東京・六本木にモビリティーとリビングの未来を具現化した体験施設「EQ House」をオープンする。建築とモビリティー、情報、自然がつながり、暮らしを豊かにしていくイメージだ。

 施設内に車が入り込む構造となっており、暮らしと重なる状況を生み出す。手の動きや声で室内環境の操作が可能で、太陽の位置などに合わせて透明度を変える調光フィルムも導入している。人とのコミュニケーションを通じて人工知能(AI)が快適な環境を学習し、人を見守るように成長する「生命が宿る建築」(竹中工務店)という。

 12日に発表会が開かれ、MBJの上野金太郎社長兼最高経営責任者(CEO)は「最新テクノロジーを駆使した施設で近未来を体験してほしい」と語った。

 竹中工務店の大神正篤代表取締役執行役員副社長は、「モビリティーとリビングの両観点から未来を描いた」と説明した。EQは、MBJの電動モビリティーを包括するブランド。同施設にはMBJの初弾となる電気自動車も展示される。

【設計は森ビル、施工は清水建設ら】虎ノ門・麻布台地区再開発(東京都港区)、7街区のうち3街区の施工者決定

東京・六本木周辺で計画されている総延べ約86万平方メートルの大規模再開発プロジェクトが始動する。虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合(東京都港区)は、七つの街区で計画する再開発ビルのうち、三つの街区で施工者を決めた。

 延べ約46万平方メートルのA街区と延べ約17万平方メートルのB-2街区を清水建設、延べ約19万平方メートルのB-1街区を三井住友建設が担当する。

 計画地は外苑東通り(都道319号)や桜田通り(国道1号)に面する虎ノ門5ほか(区域面積8・1ヘクタール)。旧麻布郵便局のあるA街区をはじめ、B-1~2、C-1~4の計7街区に分けて整備する。

 A街区の建物規模はS一部SRC・RC造地下5階地上64階建て延べ46万1292平方メートル。B-1街区がRC一部SRC・S造地下5階地上64階建て延べ18万5228平方メートル、B-2街区が同地下5階地上54階建て延べ16万9341平方メートルとなる。

 A街区とB-2街区は8月初め、B-1街区は10月初めに着工し、2023年3月末の竣工を目指す。C-1~4街区の施工者は未定。すべての街区で森ビルが設計を手掛ける。

2019年3月12日火曜日

【回転窓】気分転換が必要かも

4月の新年度を控え、さまざまな業界で労働組合と経営者が賃金や労働条件を話し合う春闘が最終盤を迎えている。基本給を引き上げるベースアップ(ベア)の労使交渉。電機大手6社は9日までに月額1000円で事実上決着したという▼つい先日まで景気拡大期間が戦後最長になったといわれていた国内景気も、ここに来て雲行きが怪しくなってきた。経済協力開発機構(OECD)の経済見通しなどを見ても、世界的に景気減速を示す指標や予測が相次いでいる▼国内景気は後退局面に入ったのかどうか。本来であれば政府が公表する雇用や景気動向などの調査結果を頼りにするところなのだろうが、年明け早々に発覚した政府統計のデータを巡る不祥事があっただけに、何を信じていいのか判断に迷う人も多かろう▼将来の見通しが明るいと感じられれば、消費が活発化して景気も良くなりやすくなる。先行きに不安を感じれば財布のひもは固くなり、行動も慎重になって景気に悪影響が出る▼きょう3月12日は数字の語呂合わせで「サイフの日」だそう。暗い話はとりあえず脇に置き、気分転換に財布でも替えてみるか。

【海外富裕層の訪日後押し】スーパーヨットの受け入れ拡大へ省庁連携

政府は観光振興の一環で、外国人が個人所有する超大型クルーザー「スーパーヨット」の受け入れ環境の整備に向けた議論を開始した。

 省庁横断の「スーパーヨットの受入拡大に関する関係省庁連絡調整会議」を設立し、8日に東京都内で初会合を開いた。スーパーヨットの誘致を巡る課題を整理し、港湾施設の機能増強による長期係留の実現など今後の方向性を検討。富裕層を中心としたインバウンド(訪日外国人旅行者)の取り込みを狙う。寄港地での消費拡大による地域経済の活性化や地方創生にも期待している。

 スーパーヨットの明確な定義はないが、一般に外国人富裕層などが個人所有する全長24メートル以上の大型クルーザーを指す。連絡調整会議では主な課題として、港湾施設の機能増強が挙げられた。

 現在、スーパーヨットが係留可能な施設規模を持つマリーナは少ない。公共の岸壁も使用できるが、スーパーヨットは長期停泊する傾向があるため、貨物船など本来岸壁を使用する船舶との調整が難しい。既存施設の有効活用を念頭に、施設増強を図る。

 対策として、港湾の中で利用頻度が低い岸壁を浮桟橋で延伸することなどを想定している。港湾管理者が設備投資することになるが、政府として財政面での後押しも検討する。

 スーパーヨットは寄港地での食事や観光、宿泊、土産物の購入などで大きな経済効果を生む。スーパーヨット誘致会議(横浜市、小谷昌会長)によると、16年に全長54メートルの船が3日間停泊し、1200万円を消費した事例もあったという。日本への来訪実績は2018年が10隻で、19年は10~15隻程度を見込む。

 連絡調整会議は内閣官房のほか、法務、財務、厚生労働、農林水産、国土交通(観光庁、海上保安庁含む)各省で構成。国交省の港湾局海洋・環境課が事務局を務める。

【建設業の魅力を発信】戸田建設のリクルート動画、再生回数が60万回超に

 戸田建設は建設業の魅力を発信するため、就職活動を行う学生向けのリクルート動画を作成した。

 タイトルは「Building Symphony(建築篇)」。就職活動に悩む大学生が、会社説明会の帰り道にたまたま建設現場の前を通りかかり、現場の作業音を自分を応援する音楽のように感じるという内容。現場で生き生きと働く人たちの姿を目にすることで、自身の将来の道筋を見いだしていくというストーリーだ。

 現場で発生している音を実際に録音してクラシック音楽と掛け合わせた。現場を率いる現場監督の姿をオーケストラの指揮者と重ねて描いている。就職活動に悩む大学生の役に女優の岡本夏美さん、現場監督などの役に俳優の釆澤靖起さんを起用し、同社社員らも出演している。

 2月19日に動画投稿サイトのYouTubeにアップした。今月11日午後時点で再生回数は60万回を超えている。鞠谷祐士代表取締役専務執行役員管理本部長は「若い層の方が見ている。就職という範囲を超えて、建設業や現場の姿を見ていただける良いチャンスと思っている」と話している。

2019年3月11日月曜日

【鉄骨工事終了後の東京駅現る】横須賀市で東京駅建設当時の写真発見

神奈川県横須賀市で建設当時の東京駅駅舎の鉄骨部分を写した写真の原本(横須賀市自然・人文博物館提供)が発見された。

 5日に開かれた定例会見で上地克明市長が明らかにした。1911(明治44)年7月に撮影されたもので、鉄骨工事を終えたころの駅舎の様子がうかがえる貴重な資料という。

 写真は縦205mm×横535mm(台紙は360mm×685mm)。市の担当者は「石川島造船所(現IHI)制作とあり、鉄骨製作に関わったのではないか。おそらく鉄骨が組み上がった工程記録、あるいは記念として撮影されたもの。戦災で失われた構造部分もよく分かる写真」と話す。

 東京駅中央停場(東京駅駅舎)の工事は日露戦争が終わった1908(明治41)年ごろから本格化。1914年(大正3)年の12月20日に開業した。施工したのは大林組。写真は南北二つのドームと中央部の鉄骨構造がはっきりと分かり、同様の写真の複製は現在の東京駅復元工事の際にも参考にされた。

 市の西行政センター地下倉庫で発見され、歴史的にも非常に貴重な資料であることから、市は活用方法を検討するとしている。

【主要6作品の設計図面70点以上展示】アントニオ・ガウディ企画展、3月27日から都内で

 寺田倉庫(東京都品川区、中野善壽社長)が運営する建築倉庫ミュージアムが27日から、アントニオ・ガウディ(1852~1926年)の魅力に迫る企画展「ガウディをはかる~GAUDI QUEST~」を開催する。

 スペイン・バルセロナのカトリック教会「サグラダ・ファミリア」の設計で知られるガウディが手掛けた建築作品の設計図面などを展示する。スペイン・カタルーニャ地方で生まれたガウディは、バルセロナ建築学校で建築を学んだ。伝統的な建築技術をベースにしつつ、独創的なデザインにより数々の作品を手掛けた。

 現在も工事中の「サグラダ・ファミリア」や奇抜なデザインを取り入れた東屋(あずまや)が特徴の「グエル公園」(スペイン・バルセロナ、1914年竣工)など多くの作品を生み出してきたガウディ。その建築スタイルは模型とスケッチを基に現場の職人と築き上げているため、知名度に反して建造物の設計図面がほとんど残されていない。

 企画展は40年にわたりガウディ作品を研究してきた建築家・田中裕也氏の協力で、所蔵品を初公開する。サンタ・テレサ学院(同、1890年竣工)など主要6作品の設計図面70点以上を展示。8年を費やし完成したグエル公園の実測図や同公園に配置されている階段を原寸大で紹介する。5メートルを超えるサグラダ・ファミリアの鐘楼図も見ることができる。

 場所は東京都品川区東品川2の6の10の同ミュージアム展示室A。開館時間は午前11時~午後7時(月曜休館)。入館料は一般3000円(大学生と専門学生は2000円、高校生以下は1000円)。会期は6月30日まで。

【営業線直下の難工事】リニア中央新幹線、名古屋駅新設工事が急ピッチ

 JR東海が進めているリニア中央新幹線の建設プロジェクトで、新設する名古屋駅の建設工事が急ピッチで行われている。

 新駅は東海道新幹線、在来線の名古屋駅直下に設置され、「営業中の新幹線の下で行うこれまでにない地中工事になる」(出口彰同社中央新幹線建設部名古屋建設部愛知工事事務所長)という。

 東海道新幹線の既存高架を受け替えた上で地中を掘削するため、現場は深さ約75メートルの地中連続壁や仮受け杭を構築する仮受け準備工を実施している。

 作業空間が高架下に限られており、高さを抑えた専用の掘削機や鉄筋かごの建て込み機を駆使しながら、「安全、環境の保全、地域との連携」(同)をモットーにした急速施工が続く。

【回転窓】丘に咲くひまわり

「お母さんたちはひまわりの世話をしながら、子どもたちのことを話すのです」。宮城県石巻市立大川小学校に通い東日本大震災の大津波で命を奪われた児童の母親の手紙や話に基づいて制作された絵本『ひまわりのおか』(岩崎書店)の一節だ▼児童が避難しようとした丘に、母親などがひまわりを咲かせていく物語の絵本。日常を一変させた大震災を忘れず、命の尊さを伝えようと、ボランティアらによる朗読会が各地で開かれている▼伝承の取り組みは活発なものの、大震災を巡る世間の認識は変化しつつある。NHKが行った調査によると、小中学生の防災教育で大津波の映像を見せた方がいいと回答した被災者は7割にのぼったという▼被災地の中には、賛否が出るのを承知でこれまで避けてきた大津波の被害を見せる教育に踏み切った学校があると聞く。幼少期に被災した子どもたちも時の流れとともに成長した。大震災後の生まれで小学2年生になった児童もおり、防災教育の在り方が改めて問われている▼大震災から8年-。被災者、被災地の今とこれからをそれぞれの立場で考える。今日はそういう1日にしたい。

【PFI導入視野、緑地全体を一体管理】等々力緑地再整備(中原区)、東急電鉄が事業提案

等々力緑地には陸上競技場やアリーナ、ミュージアムなどが立地
(写真提供:川崎市)
川崎市は8日、民間活力導入を検討している等々力緑地(中原区等々力、敷地面積約56ヘクタール)の再整備で、東京急行電鉄から事業提案があったと発表した。東急電鉄は、PFI法の規定に基づき民間企業が事業実施を提案できる制度を活用した。市は提案内容の妥当性を速やかに検証し、提案に対する方針を決め東急電鉄に通知。その上で、等々力緑地再整備の在り方について検討し、方向性を明らかにする。

 市によると、東急電鉄の提案は「等々力緑地の一体的な管理・運営、等々力陸上競技場や市民ミュージアム、とどろきアリーナ、その他公園施設の活用、民間収益施設の設置」などを柱とする複数年のPFI事業を想定している。

 等々力緑地全体を対象に企画から設計、建設、維持管理運営までを一貫してプロデュース。市の財政負担を軽減するため施設の規模などを抜本的に見直し、維持管理費の軽減を図る。等々力緑地を多機能化して地域活性化の起爆剤とし、市民や利用者にとってより魅力的な公園にする。

 等々力緑地の再整備に関連し、市は2018年11月~19年1月に民間企業を対象にサウンディング(対話)型市場調査を実施。19者が調査に参加した。市は東急電鉄の提案を優先的に検討し、採用・不採用の結論を出す。通知後に等々力緑地再整備の計画を改めて検討し、結果を明らかにする。

【陸上競技場建設や総合管理棟移転】愛知県春日井市、朝宮公園再整備第1期着手へ

愛知県春日井市は2019年度、スポーツ公園「朝宮公園」の再整備第1期事業で、メイン施設の陸上競技場に着工する。

 19年度当初予算案に21年度までの継続費として35億89百万円を計上した。同市と隣接自治体に本格的な陸上競技場がないことを踏まえ、観覧スタンドやトラックを備えた第3種公認競技場を建設する。第1期事業の完成は21年度の予定。その後、テニスコート、多目的広場などの第2期整備に入る。総事業費は約42億円を見込んでいる。

 同市朝宮町にある朝宮公園は、広さ約12・5ヘクタール。天然芝競技場、野球場、テニスコート、プールなどを備えた県営運動公園として、1978年7月から順次供用を開始した。その後、施設の老朽化による維持管理が課題となり、17年4月に県から市に無償移管された。

 これに先立ち市は、市民の健康やスポーツ振興に役立てるため、同2月に再整備基本構想、同11月に基本計画を策定した。18年度には準備工事に着手し現在、プールの解体を行っている。

 陸上競技場は、プール跡地と隣接する芝生広場の敷地に整備される。全天候舗装の8レーン×400メートルのトラック、サッカーなどにも利用できる人工芝の投てき競技用フィールド、メインとバックの観客席、夜間照明などを備える同市内初の本格的な陸上競技場となる。大屋根を設けるメインスタンドは約1050席、バックスタンド約500席。芝生席も含め最大収容人数は約3000人。メインスタンド棟には、選手控え室など大会運営に必要な諸機能も入る。

 このほか第1期では、総合管理棟の移転・改築、駐車場の拡張などを予定している。
 第2期整備では、遊具広場、8面のテニスコート、人工芝と簡易照明を備えた多目的広場を整備する予定。既存の野球場は必要な修繕を行って引き続き使用する。運営には指定管理者制度など民間活力の導入を検討している。

【東日本大震災から8年】JICAエッセイコンテスト、最優秀に福島高専・齋藤真緒さん

「地元の復興街づくりに関わり続けたい」と、将来の抱負を語る齋藤さん
(2月23日のJICAエッセイコンテスト表彰式で)
 ◇「行動して、現状を知る」大切さ学ぶ◇

 国際協力機構(JICA)が開いた「エッセイコンテスト2018」の高校生の部で、福島工業高等専門学校3年の齋藤真緒さんの作品「行動して、現状を知る」が最優秀賞に輝いた。福島県大熊町出身の齋藤さんは小学4年生の時、東日本大震災と福島第1原発事故を経験した。多くの人たちの支援を受け、元気づけられた体験から、ボランティア活動などに積極的に参加。活動を通じて自ら現地に赴き、現実を知る大切さを学んだという。

 東日本大震災の時に助けてもらったボランティアの方々のように、災害で悲しい思いをしている人たちを元気づけたい-。

 2015年のネパール大震災を知った齋藤さんは、現地で被災した人たちに何かをしてあげたいと考え、ボランティア留学を決意した。高専2年の夏休みを利用してネパールを訪れ、現地の学校の壁に得意の絵を描いた。当時を振り返り「その絵を見るために多くの子供たちが教室に入ってきて、喜んでくれた姿を見た時、絵が持つパワーの強さを肌で感じた」と話す。

 今回書いたエッセーで、齋藤さんは「世界の幸せのために私たちにできることは行動すること」といったメッセージを強く発信している。ネパールの現地スタッフから聞いた復興状況の話で衝撃を受けたのは、日本から送った支援金のたった数%程度しか国民に行き届いていないという現実だった。

 テレビや新聞などで知った情報だけで地域の状況を判断し、支援金・物資を送った行為で被災地や被災者の役に立ったと思うのは浅はかだと気付いた。実際にネパールへ行って自分の目で見て、耳で聞いたからこそ現実を知ることができた。

 帰国後、より良い支援・復興に関心を持つようになった。ある講演会で企業関係者が災害国に支援物資として米を送ったが、現地では災害で調理器具など生活に必要なものがすべて無くなり、米を炊くことができなかった事例を話していた。支援する側の自己満足ではなく、被災地のための支援に向けて「私たちは現地の人たちの声を聞かなくてはいけない」という言葉に共感したという。

 大熊町内にある齋藤さんの実家は帰還困難区域にある。帰宅できる日が来ても地元に戻ってくる人たちは少ないと予想されている。原発周辺地域の復興には課題も多いが、震災後に経験してきたことを踏まえ、地元の街づくりに携わりたいとの思いは、一層強くなった。

 現在、地元の建物に絵を描くボランティアができないかと大熊町役場の関係者に相談している。絵の持つパワーで地元を元気づけたいという思いからの提案だが、この活動で多くの住民が戻ってくるかは分からない。それでも行動することで、次に進むための何かが見えてくると齋藤さんは信じている。
廃炉作業が進む福島第一原発。
事業の早期完了が地域の復興には欠かせない
(1月30日、代表撮影)
福島県の大熊町と双葉町にまたがる東京電力福島第1原子力発電所。原発構内では東日本大震災時の津波の影響で炉心溶融(メルトダウン)を起こした原子炉1~3号機の核燃料取り出しや溶け落ちた核燃料(デブリ)の除去を目指し、30~40年の作業期間を要する廃炉事業が進む。

 原発周辺地域の復興には廃炉事業の終結が不可欠。東京電力ホールディングスの小野明福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントは「原発事故から8年がたち、今も避難生活を送っている多くの方々にご心配、ご迷惑を掛けている。廃炉を進めることが福島の復興には必須であり、安全に責任を持って廃炉事業を全うしたい」と話す。