2017年8月18日金曜日

【お悔やみ申し上げます】建築家・柳澤孝彦氏死去、新国立劇場など設計

 公共建築分野で数多くの優れた作品を手掛けた建築家の柳澤孝彦(やなぎさわ・たかひこ)氏(柳澤孝彦+TAK建築研究所代表取締役)が14日午前3時18分、前立腺がんのため東京都内の病院で死去した。82歳だった。葬儀は近親者で行い、後日、お別れの会を開く。喪主は妻の文恵(ふみえ)さん。

 1935年長野県松本市生まれ。58年に東京芸術大学を卒業し、竹中工務店を経て独立した。

 代表作に新国立劇場、東京オペラシティ、東京都現代美術館、真鶴町立中川一政美術館、奥田元宋・小由女美術館などがある。95年に郡山市立美術館(福島県)などの設計で日本芸術院賞を受賞した。

【回転窓】一生は名誉会長と共に

「私の一生は亡くなった大林芳郎名誉会長と共にあった」。3日に死去した元大林組社長の向笠眞二氏が、05年に社長を退くに当たっての記者会見で感慨深げに語ったこの言葉が印象に残っている▼向笠氏は1957年に東大工学部建築学科を卒業。在学中、当時社長だった芳郎氏が「わざわざ大学まで私を迎えに来てくれた」。会見では、8年にわたった社長在任期間の思い出を聞かれ、芳郎氏の死を挙げた。直接の「引き」という入社の経緯を含め、共に歩んできた芳郎氏の死の衝撃はそれほど大きかったのだろう▼03年7月に芳郎氏が亡くなる3カ月前、同社は「優良企業構想」を発表した。目指すべき企業像と、その実現に向けて何をやるべきかを全役職員に示し、受注量の確保と収益力の向上を同時に図る手法として「コンカレント・エンジニアリング」を提唱した▼優良企業構想で掲げた営業利益目標の2年前倒しでの達成は、支柱でもあった芳郎氏の死を乗り越え、一丸となって実現を目指した成果といえよう▼担当記者として当時の同社を取材できたのは、巡り合わせとはいえ、大変に幸運だったと今でも思う。

【旅客ビルを拡張、駐機スポット増設】国交省、高松空港コンセッションの民間提案公表

高松空港の全景(国交省報道発表資料より)
国土交通省は、国が管理している高松空港(高松市)の公共施設等運営権(コンセッション)事業で、優先交渉権者に選んだ三菱地所、大成建設、パシフィックコンサルタンツ、シンボルタワー開発(高松市)の4社でつくるコンソーシアムの事業提案内容を公表した。

 コンソーシアムは、空港の旅客数(15年180万人)と取り扱い貨物量(0・6万トン)を5年後の22年に260万人・1・3万トン、15年後の32年に307万人・1・7万トンへと増やす目標を設定。東南アジア2カ国(タイ、シンガポール)との直行便の新規就航を目指すほか、国内線も含めて世界的に需要が伸びている格安航空会社(LCC)の新規就航の増加などに向けて設備投資に取り組む提案を行った。

 具体的には、既設の駐機スポットを現在の6機分から8機分へと増設するほか、LCC専用の駐機スポットを新設する。駐車場の容量も約1000台から約1300台へと増やす。
 旅客ビルへの設備投資では、保安検査後の搭乗待合エリア(クリーンエリア)の面積を180平方メートルから3150平方メートルへと大幅に広げ、物販・飲食店舗を拡充。免税店の面積も120平方メートルから450平方メートルへと広げる。このほか、事務所棟の新設も行う。

 国交省は、設備投資全般に関するコンソーシアムの提案について、建設費や工事のスケジュールに関する内容は公表していない。今後、国交省は10月にコンソーシアムと契約を結び、来年4月にコンセッション事業を始める。事業期間は最長55年間。

【J1昇格見据え収容1・5万人規模に】野津田改修、基本設計を梓設計に委託

現在の町田市立陸上競技場(提供:東京都町田市)
 東京都町田市は「町田市立陸上競技場観客席増設基本設計業務」の委託先を3450万円で梓設計に決め、15日に随意契約を締結した。同社は競技場の将来構想策定業務も受託していることから、引き続き基本設計も任せることにした。

 野津田公園内にある市立陸上競技場の所在地は野津田町2035。観客席はメインスタンド(SRC造7階建て延べ9663平方メートル)が2492席、バック・サイドスタンドが7840席で、計1万0332席を備える。
未来構想に盛り込んだ収容1・5万人の改修イメージ
 同競技場の観客席増設(約5000席)に向け、基本設計を委託した。履行期限は18年3月16日。同競技場を本拠地として使用しているサッカーJリーグ・FC町田ゼルビアのJ1昇格を見据え、1万5000席以上と設定されている施設基準をクリアできるスタジアムへと整備する。

 18年度に実施設計や造成工事、19~20年度に増設工事を進める。工期は16・5カ月、概算工事費は58・8億円を見込む。

【工期は19年12月28日まで】京都スタジアム、建築工事の入札公告

スタジアムの完成イメージ(提供:京都府)
京都府が亀岡市で計画している「京都スタジアム(仮称)」新築工事(主体工事)の一般競争入札を公告した。WTO対象で、フレックス工期による契約方式、入札時VE方式、総合評価競争入札、予定価格事後公表の試行工事。入札説明書などは9月8日まで入札情報公開システムまたは文化スポーツ部スポーツ施設整備課で交付、入札参加資格や技術提案の確認資料は同7~8日に電子入札システムなどで受け付ける。入札期間は10月23~24日、開札は同27日。

 施設規模はRC造(一部PCaRC造、屋根S造)4階建て延べ3万4140平方メートル。場所は亀岡市追分町。工期は19年12月28日まで(工事開始期限日は18年2月1日)で、基本設計を日建設計、実施設計を東畑建築事務所が担当した。

スタジアム内部の完成イメージ(提供:京都府)
府は、亀岡駅北土地区画整理事業地内(亀岡市追分町)での新設を計画している専用球技場を収益性の高い施設として整備するため、昨年度に「京都スタジアム(仮称)運営権PFI事業導入可能性調査業務」を発注。PwCアドバイザリーが9月末までに、民間の経営原理や資金を導入する公共施設等運営権制度を活用したPFI事業(コンセッション事業)の導入可能性について、調査結果をまとめる予定となっている。

2017年8月17日木曜日

【どうなってるの!?、五輪施設整備】4回目は馬事公苑や幕張メッセなど7会場

 「どうなってるの!?、五輪施設整備」シリーズの4回目はレスリングやフェンシングといった競技が行われる幕張メッセ(千葉市美浜区)などの7会場を紹介する。

馬事公苑

2期工事が完了した馬事公苑再整備の完成イメージ
【所在地】  東京都世田谷区上用賀2の1の1

 【開催競技】 馬術(馬場馬術、総合馬術、障害馬術)
馬事公苑の正面入り口(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 1964年の東京大会でも馬術競技が行われた施設。馬関連の施設として屋外のメーンアリーナ(760人収容)、グラスアリーナ(1690人収容)、屋内のインドアアリーナ、複数棟の厩舎がある。運営は日本中央競馬会(JRA)。1期と2期に分け再整備を進める計画で、1期工事の設計・施工者は、2015年12月に大成建設を代表者とする連合体(構成員=山下設計)に決めた。

 東京五輪時にメーン会場となる屋外競技場の「メーンアリーナ」、大会事務局が入る「メーンオフィス」(3階建て)、屋内競技場の「インドアアリーナ」(同)、馬の診療所や装蹄所が入る「管理センター」(同)、それぞれ40馬房を備える8棟の厩舎、2棟の検疫用厩舎など大部分の施設群を整備する。2019年10月末の工事完了を目指す。

 2期工事は、東京五輪後のJRA独自事業となる。メーンアリーナに常設の屋根付き観覧席を設置するほか、2棟の厩舎や馬の育成施設なども増設し、2022年11月に全体工程を完了させる予定だ。

武蔵野の森総合スポーツプラザ

3月に竣工した武蔵野の森総合スポーツプラザ(ⓒ 東京都)
写真右側がメインアリーナで、道路をはさんで東京スタジアムと近接する
【所在地】  東京都調布市飛田給11の41

 【開催競技】 バドミントン、近代五種(フェンシング)

 【施設動向】 東京スタジアムに隣接して新しく整備された総合スポーツ施設。メインアリーナはバレーボールやバスケットボールのコートが4面設置可能。固定席は約6000席で、仮設椅子などを設置すれば1万人以上を収容できる。サブアリーナはバレーやバスケのコートが2面とれる広さで、固定席は374席。屋内プールは50m×20mの8コースで、207席の見学席が設けてある。3月末で竣工したが、東京五輪に向けバリアフリー化工事を行い、開業は11月25日を予定している。8月9日には施設の運営管理を担う指定管理者の候補として東京スタジアム(東京都調布市、田崎輝夫社長)ら5社グループを選定している。

東京スタジアム

【所在地】  東京都調布市西町376の3

 【開催競技】 サッカー、近代五種(水泳、馬術、ランニング、射撃)、ラグビー

 【施設動向】 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)でも使用される既存スタジアム。規模はS・RC一部SRC造地下1階地上5階建て延べ8万6142m2。観客席数は約5万席。改修に向けた基本設計を日本設計が担当した。

 2017年度に実施設計、2018年度に改修工事の契約手続きを行い、2018年度の着工、2019年度第1四半期の完工を目指す。ラグビーW杯の開幕までに、昇降機の増設、車いす対応トイレの増設、競技用照明のLED化、特別観覧席の更新、既存観客席の一部更新、受変電設備の一部更新などを行う予定だ。五輪開催に向けては近代5種競技のうち水泳種目を行う準備として、仮設プールの設置も検討している。

 ラグビーW杯開催の関連準備としては、ピッチの耐久性や強度を高めるため、天然芝と人工芝を組み合わせる「ハイブリッド芝」の導入も検討している。東京都は3月、「東京スタジアムのフィールド芝導入実験業務」をオフィスショウ(東京都渋谷区、池田省治社長)に委託。スタジアムに隣接する投てき競技練習場で打ち込み型と基材敷設型のハイブリッド芝を試験導入(各100平方メートル)し、全面採用に向けた検証を実施している。

さいたまスーパーアリーナ

【所在地】  埼玉県さいたま市中央区新都心8

 【開催競技】 バスケットボール

 【施設動向】 さいたまスーパーアリーナ本館(S一部SRC・RC造地下1階地上7階建て延べ13万2310m2)のうち、経年劣化が進行している部分を修復する。外壁棟改修工事の第1工区では、本館の中・高層部の外壁、鉄部塗装、シーリングなどの改修を実施。第2工区では低層部で同じ内容の工事を行った。第1工区は大成建設、第2工区は寄居建設が担当した。

 一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計は、INA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JVが他の10会場と合わせて進めている。

陸上自衛隊朝霞訓練場

射撃競技会場の整備予定地(ⓒ tokyo2020)
【所在地】  陸上自衛隊朝霞訓練場

 【開催競技】 射撃

 【施設動向】 陸上自衛隊朝霞駐屯地に隣接する訓練場。1964年の東京大会でも射撃競技が行われた。射撃の競技場・練習場として使用されていて、東京五輪開催時にはオリンピック基準に適合した仮設施設が整備される。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の整備を予定している。

 北関東防衛局が施設整備を進めていて、2016年には「朝霞(28)射場新設建築工事」を発注し、村本建設が落札。今年7月7日には、「朝霞(29)射場新設建築追加工事」の一般競争入札を公告した。射場を新設する建築工事で、規模はRC一部S造平屋約2100m2。土木追加工事なども含む。開札日は10月4日。工期は2019年8月30日までとなっている。

霞ケ関カンツリー倶楽部

霞ヶ関カンツリー倶楽部のコース(ⓒ tokyo2020)
【所在地】  埼玉県川越市笠幡3398

 【開催競技】 ゴルフ
霞ヶ関カンツリー倶楽部のコース(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 緑豊かな武蔵野丘陵に広がるゴルフ場。一流設計者が設計したコースを有していて、80年以上の歴史がある。1957年に日本初のゴルフ国際大会が開催された。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計は、INA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JVが他の10会場と合わせて進めている。

幕張メッセ

【所在地】  千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1番地

 【開催競技】 テコンドー、レスリング(Aホール)、フェンシング(Bホール)

 【施設動向】 1989年開業の複合コンベンション施設。25年以上が経過し施設・設備の老朽化が進んでいるため、千葉県では15年間(2016~2030年度)をかけ設備更新や内装改修を実施。東京五輪の競技が支障なく運営できるようにするとともに、展示場としての競争力向上も図る方針だ。

 まずは、特別高圧受変電設備、高圧発電設備、エレベーターとエスカレーターの更新(一部増設含む)、トイレと中央エントランスのリニューアルに着手する。基本・実施設計が槇総合計画事務所に委託されていて、2018年度の着工、2019年度の完成を目指す。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計はINA新建築研究所・エーシーエ設計・手島建築設計事務所JVが進めている。


どうなってるのシリーズの回目はこちらから。

【回転窓】迅速な災害対応に連携策を

この1カ月、九州北部と秋田での記録的豪雨に続き、列島を縦断した台風5号が近畿・北陸一帯に爪痕を残した。被災者や復旧活動に当たる人たちはお盆休みも返上だったのではないか▼インフラの復旧には人材とともに重機が必要。最近は高価な重機を自ら保有せず、必要に応じて借りる企業が多い。レンタル会社は災害の規模が大きくなれば被災地以外から重機を調達するが、短期間にあちこちで災害が起きると調達先に困る▼九州北部豪雨の復旧需要に備え、名古屋以北から重機の調達に入っていたレンタル各社。そこに秋田豪雨が起きたため、岩手、宮城両県の震災復興でピークを過ぎた工事現場を探し、余剰の重機を回したそうだ▼2020年東京五輪関連のインフラ整備や都市開発が活発な首都圏の重機需要を支えながら九州北部、秋田に続く台風5号の被災地復旧のための重機をどう調達するか。台風シーズンはまだまだ続く。災害が相次げば調達先はさらに先細る▼大規模な災害が短期間に広域分散で発生した場合の迅速な復旧対応をどう進めるか。重機調達も含め地域間、企業間の連携策がもっと必要だろう。

【回転窓】家電売り場の浦島太郎

先日、長らく愛用していたオーディオ機器のミニコンポがついに壊れた。新しいものを買いに家電量販店を回ってみたら、MD(ミニディスク)機能付きの商品がどこにもないことに驚かされた▼メーカー各社ともかなり前に生産を終了していたらしい。デジタル家電市場に疎いアナログ世代は、店内で浦島太郎状態に陥ってしまった▼オーディオ機器の搭載機能もレコード、カセットテープ、CD、MDと変遷し、今はメモリータイプが主流。パソコンやスマートフォンの普及も影響し、機器内に搭載したメモリーやメモリーカード、USBメモリーなどのメディアによって手軽に録音・再生ができる▼家電製品の規格争いではビデオデッキの「VHS対ベータ」が思い出される。最終的に勝利したVHSもその後、DVDやブルーレイに取って代わられ、さらにハードディスクなどに主役の座が移り変わる▼さまざまな規格の中から特定の規格の製品を大多数が使うことで確立される「デファクトスタンダード」。国内のものづくり産業が発展を続けていくためにも、日本独自の技術を世界標準とする国家戦略が求められる。

【周辺再開発の起爆剤に】首都高日本橋区間撤去・地下化事業、五輪後着工へ検討本格始動


 ◇立体道路道路制度の活用視野◇


 東京都中央区にある日本橋の景観が復活する。国土交通省と東京都は、日本橋の真上を走る首都高速道路を2020年東京五輪の後に撤去し、地下に移設する方針を決めた。近く建設主体の首都高速道路会社と共に事業計画作りに本格着手する。新設する地下トンネルのルートは立体道路制度の活用を視野に、日本橋周辺で計画される複数の都市再開発事業の用地内に確保する方針だ。

 石井啓一国交相と小池百合子都知事が7月21日にそれぞれ開いた記者会見で表明し、青空が広がる日本橋の水辺空間の形成に期待を示した。国と都の方針決定を経済界も好意的に受け止める。不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は「東京の都市の景観は国際競争力に極めて大きな影響を持つ」と指摘。「世界の代表的な都市を見ると、都心の中心部には高速道路が通っていない。東京が成熟した都市になってきたことを考えれば、世界標準的な都市の造り方を参考にすべきだろう」と話す。

 今後、国交省は首都高速会社の事業計画を認可する立場、都は道路整備や都市再開発の都市計画決定・変更を認可する立場から、首都高速会社と共に日本橋区間の撤去・地下移設の事業計画作りを進める。協議の枠組みと開始時期は未定だが、関係者は「遅くても年内に動きださないと五輪後の着工も遅れてしまう」との見方を示す。

 1964年東京五輪の前年に開通した日本橋区間は、高架橋の都心環状線竹橋ジャンクション(JCT、千代田区)~江戸橋JCT(中央区)間(延長約2・9キロ)にある。既設ルートは高架橋の真下を流れる日本橋川と並行している。日本橋区間の撤去は、これまで官民による提案が何度も行われてきた。このタイミングで国交省と都が決断した背景には二つの大きなきっかけがある。一つは14年に首都高速会社が高架橋の架け替えによる竹橋JCT~江戸橋JCT間の大規模更新計画(事業費約1400億円)を決定。もう一つは16年に日本橋周辺で計画されている複数の再開発が国家戦略特別区域制度の認定都市再生事業に提案されたことだ。

直上の高架橋が日射を遮るため、日本橋川は水質悪化も問題になっている
国交省によると、竹橋JCT~江戸橋JCT間は1日当たり約10万台が通行する都心の交通の要衝。このため、日本橋区間の地下化は、既設の高架橋をできるだけ使いながら進める必要がある。こうした状況を勘案すると、地下トンネルは高架橋の橋脚が林立する日本橋川の真下ではなく、周辺用地に整備。通行をトンネルに切り替えてから高架橋を撤去するという手順になりそうだ。

 現時点で、日本橋区間の撤去と地下移設にかかる期間は数十年、建設費は現行の更新計画の規模を大幅に上回る見通しだ。そのため、近く始まる事業計画作りではコストの削減方策が優先課題になる。そこで国交省らは、日本橋周辺の複数の再開発用地内で道路と構造上一体になった建築物を建てられる立体道路制度の活用を検討する。地下トンネルのルートを効率的に確保するのが狙いだ。この方法だと、民間の再開発事業者にとっても、一般的な再開発ビルの建設時より手厚い容積率割り増しなど優遇措置を受けられるメリットがある。

 事業の意義について、首都高速会社の幹部は「老朽化したインフラを更新しながら社会的価値をさらに高める。インフラ整備のイメージを大きく変える社会的にエポックメーキングな取り組みだ。施設構築物が密集する都心でのこうした取り組みは世界的にも例がないだろう」と強調する。

 ただ、日本橋周辺の再開発には課題もある。地権者などの事業関係者が極めて多いことだ。都によると、同様に立体道路制度を活用して建てられた虎ノ門ヒルズ(港区)よりも事業関係者は大幅に多いという。今後の事業計画作りは、地元の意見を十分に考慮しながら進める必要がありそうだ。

 □景観に好影響、不動産価値上昇に期待□


 半世紀以上にわたり、日本橋(東京都中央区)の上空を覆っていた首都高速道路の地下化の方針決定を受け、日本橋川の周辺5地区=図参照=で、地下化と連動した再開発事業の機運が高まっている。立体道路制度の活用を視野に、準備組合が施設計画を検討。デベロッパーや区も再開発を積極的に支援している。

 今回の方針決定を「念願であり悲願」(中村胤夫名橋「日本橋」保存会会長)と好意的に受け止める地権者は多い。「コストをかけずに(道路を)撤去するべきという意見もあるが、地元では大半の人たちが喜んだ」(区幹部)という。景観が良好になるため「地価など不動産価値も上がる」(事業関係者)との見方もあり、地下化が再開発にも追い風となる格好だ。

 再開発が検討される5地区のうち、初弾の「日本橋一丁目中地区(4~12番街区)」は施設規模が固まっているが、それ以外の4地区は立体道路制度の活用が想定されるため、施設計画の検討は今後本格的に進む。地下化の議論の行方を注視しながら、首都高と構造上一体になった再開発ビルの建設が検討されることになりそうだ。

 複数の地区の再開発構想に事業協力者として関わる三井不動産の菰田正信社長は「事業化の取り組みはこれからが本番だが、地下化の方針が決定されたことは一歩前進だ」と評価。再開発計画の具体化に向け、準備組合への支援に本腰を入れる方針だ。

2017年8月10日木曜日

夏季休業のおしらせ

夏季休業のため、8月14日(月)~16日(水)付の新聞は臨時休刊とします。
また、オンラインサービスの会員受け付け、問い合わせは8月17日(木)から再開いたします。
ご了承ください。

【回転窓】家電売り場の浦島太郎

 先日、長らく愛用していたオーディオ機器のミニコンポがついに壊れた。新しいものを買いに家電量販店を回ってみたら、MD(ミニディスク)機能付きの商品がどこにもないことに驚かされた▼メーカー各社ともかなり前に生産を終了していたらしい。デジタル家電市場に疎いアナログ世代は、店内で浦島太郎状態に陥ってしまった▼オーディオ機器の搭載機能もレコード、カセットテープ、CD、MDと変遷し、今はメモリータイプが主流。パソコンやスマートフォンの普及も影響し、機器内に搭載したメモリーやメモリーカード、USBメモリーなどのメディアによって手軽に録音・再生ができる▼家電製品の規格争いではビデオデッキの「VHS対ベータ」が思い出される。最終的に勝利したVHSもその後、DVDやブルーレイに取って代わられ、さらにハードディスクなどに主役の座が移り変わる▼さまざまな規格の中から特定の規格の製品を大多数が使うことで確立される「デファクトスタンダード」。国内のものづくり産業が発展を続けていくためにも、日本独自の技術を世界標準とする国家戦略が求められる。

2017年8月9日水曜日

【武蔵野の森総合スポーツプラザ、11月開業】指定管理者候補者に東京スタジアムG

3月に竣工し、バリアフリー対応工事に入っている
武蔵野の森総合スポーツプラザ(提供:東京都)
 東京都は9日、調布市に新設した「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の指定管理者候補者を、東京スタジアムグループに決定したと発表した。指定期間は17年11月1日~23年3月31日で、11月25日の開業を予定している。今後は9月都議会に契約議案を提出。承認されれば指定管理者として正式決定。同グループは東京スタジアム(東京都調布市、田崎輝夫社長)、京王設備サービス(東京都渋谷区、浅野義行社長)、シミズオクト(東京都新宿区、清水太郎社長)、東京ビジネスサービス(東京都新宿区、野島信明社長)、東京ドームスポーツ(東京都文京区、鈴木茂之社長)の5社で構成する。

 施設の建設地は調布市飛田給1の1の41ほか。SRC一部RC造地下1階地上4階建て延べ2万7603㎡のメインアリーナ棟、同地下1階地上3階建て延べ2万1517㎡のサブアリーナ・プール棟などで構成する。メインアリーナはフロア面積が約4800㎡で1万人以上が収容可能だ。多摩地域のスポーツ拠点として隣接する味の素スタジアムなどと機能する。

 設計は日本設計が担当。建築工事はメインアリーナ棟を竹中工務店・奥村組・株木建設・白石建設・東起業JVが、サブアリーナ・プール棟を鹿島・東急建設・TSUCHIYA・京急建設JVが施工。設備工事の担当はきんでん・日本リーテック・野里電気工業JVら。東京五輪で近代五種(フェンシング)とバドミントン、パラリンピックでは車いすバスケットボールが実施される予定だ。

 指定管理者の選定手続きには4者が参加。東京スタジアムグループは審査で150点満点中128点の評価を受けた。次点とは2点差だった。同プラザと隣接する味の素スタジアム、西競技場との一体的に運用・活用し、オリンピック・パラリンピックだけでなく、2019年開催のラグビーワールドカップ日本大会の円滑運営につなげる提案が評価された。

【どうなってるの!?、五輪施設整備】3回目はオリンピックアクアティクスセンターなど7会場

 「どうなってるの!?、五輪施設整備」シリーズの3回目は水泳競技などが行われるオリンピックアクアティクスセンターなど7会場を紹介。夢の島公園内に計画しているアーチェリー会場は現在設計に入っており現時点で公表可能な完成イメージがない。設計と並行して盛り土工事が近くスタートする見通しだ。
大井ホッケー競技場
メインスタンドの完成イメージ(16年6月時点、ⓒ東京都)
 【所在地】  東京都品川区八潮4の1の19。東京都大田区東海1

 【開催競技】 ホッケー

 【施設動向】 大井ふ頭中央海浜公園に新しく整備される施設。ホッケー競技に加え、フットサルなどにも使える多目的グラウンドとして整備される。客席数1万席の常設のメーンピッチを新築するほか、仮設のサブピッチも整備する。メーンピッチは東京五輪後も都内有数の多目的人工芝競技場として、ホッケーその他の競技の拠点となる予定だ。基本設計および実施設計は梓設計が進めていて、「大井ホッケー競技場(仮称)(29)新築及び改修その他工事」が8月下旬に発注される見通しだ。工期は2019年6月まで。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計は、パシフィックコンサルタンツが他の6会場と合わせて進めている。

海の森クロスカントリーコース
クロスカントリーコースの完成イメージ(環境影響評価書より)
 【所在地】  東京都江東区青海3丁目地先

 【開催競技】 馬術(総合馬術、クロスカントリー)

 【施設動向】 東京都が東京湾の中央防波堤内側埋め立て地で造成を計画している「海の森公園」の敷地を暫定活用する。環境影響評価書によると、芝の競技コース(距離約6km、幅員約15m)や、ウオームアップエリア(面積約5300m2)などを配置する。「2017年度海の森クロスカントリーコース整備工事」が7月5日に入札公告され8月8日に開札、8月17日前後に結果が公表される予定だ。工期は2018年7月31日まで。コース整備の基本計画策定やアドバイザリー業務はJRAファシリティーズ、詳細設計は東京ランドスケープが担当。

海の森水上競技場
競技場の完成イメージ(16年5月時点、ⓒ東京都)
 【所在地】  東京都江東区青海3丁目地先

 【開催競技】 カヌー(スプリント)、ボート

 【施設動向】 東京港中央防波堤内側及び外側埋立地間の水路に新しく整備される施設。延長約350mの締め切り堤などの港湾施設や、水門2基、揚排水施設各1カ所、S造2階建て延べ6000m2の競技関連棟2棟などを整備する。基本設計はパシフィックコンサルタンツが担当。実施設計と施工はデザインビルド(DB)方式で一括発注され、2016年1月に大成建設・東洋建設・水ing・日立造船異業種JVに決定した。工事は河川、建築、ポンプ据え付け、水門門扉の四つに分割。河川は大成建設・五洋建設・佐藤工業・岩田地崎建設JV、建築工事は東洋建設・大末建設JV、ポンプ据え付けは水ing、水門門扉は日立造船がそれぞれ担当する。小池百合子東京都知事の就任後、競技施設見直しも検討されたが、建設継続が決まった。工期は当初計画通り2019年3月28日まで。

カヌー・スラローム会場
カヌー・スラローム会場の完成イメージ(16年5月時点、ⓒ東京都)
 【所在地】  東京都江戸川区臨海町6の1
 
 【開催競技】 カヌー(スラローム)
 
 【施設動向】 都立葛西臨海公園の隣接都有地に新しく整備される施設。水路に人工的に流れを作り出し、競技ができる国内初のカヌー・スラロームコースとする。基本設計および実施設計はパシフィックコンサルタンツが担当。「カヌー・スラローム会場整備工事」は鴻池組・西武建設・坪井工業JVに決まった。カヌー・スラローム会場の土木関係工事のうち、競技コース(延長200m)やウオーミングアップコース(同180m)、スタート・フィニッシュプール、ポンプ施設、雨水・汚水本管、敷地内通路などを整備する。東京五輪閉幕後は、周辺の公園や水域と一体となったレジャー・レクリエーション施設として活用される予定。

アーチェリー会場(夢の島公園)

 【所在地】  東京都江東区夢の島2丁目地内

 【開催競技】 アーチェリー

 【施設動向】 夢の島公園に新しく整備される施設。恒設の予選会場と仮設の決勝会場で構成する。軟弱地盤対策として、予選会場の盛り土工事(養生含む)を今夏から2019年度にかけて行う。また、予選会場の基本・実施設計は一式で景デザイン研究所が担当している。履行期間は2018年3月15日まで。


オリンピックアクアティクスセンター
アクアティクスセンターの完成イメージ(15年10月時点、ⓒ東京都)
 【所在地】  東京都江東区辰巳2の1の35

 【開催競技】 水泳(競泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミング)

プールの完成イメージ(15年月時点、ⓒ東京都)
 【施設動向】 都立辰巳の森海浜公園に新しく整備される施設。当初計画では、大会後に5000人規模への縮小を想定した上で、2万人の観客が観戦できるようにするはずだった。施設規模はS一部SRC・RC造5階建て延べ約7万7000m2。小池百合子東京都知事の就任後、競技施設見直しが検討され、観客席は2万人から1.5万人に減らすことに。施設の階数なども変更される見通しだ。

 基本設計は山下設計が担当。実施設計と施工がDBで一括発注され、2016年1月に大林組・東光電気工事・エルゴテック・東洋熱工業異業種JVに決定した。工事は建築、電気、給排水衛生、空調の四つに分割。建築は大林組・鉄建・西武建設・TSUCHIYAJV、電気は東光電気工事・栗原工業・新生テクノスJV、給排水衛生はエルゴテック・櫻井工業・池田煖房工業JV、空調は東洋熱工業・大成温調JVがそれぞれ担当する。


東京辰巳国際水泳場
水泳場の外観(ⓒtokyo2020)
 【所在地】  東京都江東区辰巳2の8の10

 【開催競技】 水泳(水球)


 【施設動向】 1993年に開業し、水泳の全国規模の大会などに使われている既存施設を改修する。規模はS・SRC造地下2階地上3階建て延べ2万2319m2で、約5000席の観客席を有している。改修に向けた基本設計は環境デザイン研究所が担当した。履行期限は2017年3月23日。一時的に備え付ける仮設オーバーレイ(仮設観客席、テントなど)の基本設計は他の4施設と併せて日総建が行っている。

【ものづくりの楽しさ、知ってもらえたかな?】福岡と奈良でけんせつ小町現場見学会

 日本建設業連合会(日建連)が主催する「けんせつ小町活躍現場見学会」が福岡市と奈良市で開かれた。3日の「(仮称)桜坂3丁目計画新築工事」(福岡市中央区、施工=三井住友建設)には10家族33人が参加。7日の「新奈良県総合医療センター新築工事」(奈良市、施工=奥村組・村本建設・山上組JV)は女子小中学生と保護者36人が参加した。

 ◇子どもたちが配筋や測量に挑戦◇

 福岡市の現場見学で、日建連の北井久美子けんせつ小町部会長は「普段学校ではできない体験をし、いい思い出を作って将来の就職先として建設業を目指してもらえれば」とあいさつ。同社の城島和貴子さんから鉄筋コンクリートの仕組みや作業工程などの説明を受けた後、現場を見学した。

 参加者は躯体工事が最盛期を迎えている建物の内外を見て回り、鉄筋の配筋作業や型枠のくぎ打ち、測量などを体験したほか、大型クレーンにも試乗した。

 福岡県うきは市から参加した小学6年生の女子児童の母親は「ものづくりが好きな子どもの将来を考え、お仕事体験として参加した。工事現場は危険と思っていたが、女性でも活躍できる仕事があると分かった」と話し、小学1年生の妹と母親と参加した福岡市内の小学3年生の女子児童は「ドキドキした。ハイウオッシャー(高圧洗浄機)を使ったり、鉄筋を組み立てるのが楽しかった」と満足そうな笑顔を見せた。

 見学後、同社の則久芳行会長は「夏休みの宿題や自由研究、絵日記にきょうの体験を生かし、学校の友達にも楽しかったこと、けんせつ小町が頑張っていることを伝えて」と呼び掛けた。

 同現場で働く進由貴子さんは「建設現場が意外ときれいで女性でも普通に働けることを伝えていければ」と話し、藤田裕二作業所長は進さんの仕事ぶりについて「チェックやきめ細かな作業もきっちりとこなしてくれる」と信頼を寄せていた。

 同工事は三菱地所レジデンスが計画する322戸、4棟総延べ3万5099平方メートルの大型マンション新築工事。工期は18年10月末。

 ◇免震構造の役割、子どもたちに紹介◇

 奥村組JVが奈良市内で施工する建築工事の見学会。木村真也作業所長(奥村組)が建築概要などを説明した後、現場で働くけんせつ小町の伊庭花子さん、坂下由佳さん、亀山佑美さん、岩井涼子さん、喜多万奈巳さんの5人が現場を案内した。

 参加者は地下階に設置された免震装置や、建設が進む病棟、外来診療棟などを見て回った。ブリヂストンの協力を得て免震体験車にも乗車。兵庫県南部地震など過去の地震波データを基に再現した地震の揺れと、免震装置を設けた場合の揺れの違いを体験し、免震の役割など学んだ。

 見学会終了後、子どもたちからけんせつ小町に「建設業で働きたいと思ったきっかけは何ですか」「現場でつらかったこと、楽しかったことは何ですか」など多くの質問が出された。

 現場で働く伊庭さんは「建築現場には多くの職種がある。つらいことも多いが、女性でも活躍できる場がたくさんあることを分かってもらえるとうれしい」と話していた。

 新奈良県総合医療センターは、教育研修棟・外来中央診療棟・病棟で構成する本館棟が地下1階地上7階建て、エネルギーセンター棟が地下1階地上1階建てで、総延べ床面積は約6万7500平方メートル(540床)。12月の完成、18年春の開院を予定している。

【大規模改修へ準備進む】五輪関連施設3件の実施設計、日本設計らに

東京都調布市にある東京スタジアム
東京都は、「東京スタジアム(29)改修工事実施設計」を9100万円で日本設計、「東京辰巳国際水泳場(29)改修工事実施設計」を2850万円で環境デザイン研究所、「東京体育館(29)改修工事実施設計」を1億2425万9000円で槇総合計画事務所にそれぞれ委託した。各社は基本設計の受託者で、設計内容に一貫性を持たせるため実施設計も引き続き任せることにした。

東京・千駄ヶ谷にある東京体育館
2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会や20年東京五輪の開催に備え、各施設を改修する。

東京・江東区にある東京辰巳国際水泳場(ⓒ tokyo2020itakusaki )
現施設の規模は、ラグビーW杯と五輪で使用する「東京スタジアム(味の素スタジアム)」(調布市西町)がS・RC一部SRC造地下1階地上5階建て延べ8万6142平方メートル、五輪の水球競技が開かれる「東京辰巳国際水泳場」(江東区辰巳)がS・SRC造地下2階地上3階建て延べ2万2319平方メートル、五輪の卓球を行う「東京体育館」(渋谷区千駄ケ谷)がS・SRC造地下2階地上3階建て延べ4万3971平方メートル。

 実施設計の履行期限はいずれも18年3月23日に設定されている。

【人気シリーズで活躍】CAT新型ショベルが映画「トランスフォーマー」に登場!!

 キャタピラーが今秋に発売する油圧ショベルの新製品が、4日に封切られたマイケル・ベイ監督のロボット映画「トランスフォーマー 最後の騎士王」に登場している。

 正義と悪のロボット生命体が抗争を展開するトランスフォーマーシリーズの5作目。新作では、同社の新型油圧ショベルがオートボットに姿を変え、悪を懲らしめるヒーローロボットチームの一員としてスクリーンを駆け巡る。

 作中、同社の油圧ショベルが姿を変えたオートボットは、主人公が困難に立ち向かうのを助けるパートナーの役割を果たす。

 キャタピラーは作品への出演を決めた理由を、映画のコンセプトが、顧客とのパートナーシップを重視する自社の考え方と一致しているためと説明している。

 同社は映画の公開に合わせ、既存のウェブサイト「建機プロ」に特設ページを設け、映画の壁紙や動画をダウンロードできるようにした。

【戸田建設の病院建築現場に】石井国交相、けんせつ小町見学会を初視察

 石井啓一国土交通相が8日、日本建設業連合会(日建連)が毎年の夏休み期間に女子小中学生と保護者を対象に行っている「けんせつ小町活躍現場見学会」を初めて視察した。

 現場は東京都港区で戸田建設が施工している「虎の門病院整備事業」。石井国交相は、参加した女子小中学生12人に積極的に話し掛け、実際に現場を見た感想を聞いたり、建設業の魅力をPR。

 石井国交相は、女性技術者のサポートを受けながら型枠の取り付けや鉄筋の組み立てを体験する小中学生の様子を見学。女性技術者とも意見交換した。視察後、「女性に生き生きと活躍してもらうことが、いろいろな方に建設業に入っていただく魅力的な産業につながる」と強調した。

【回転窓】大学入試制度改革を控えて

おそらく受験生であろう。近くの図書館に行くと、閲覧席で勉強する多くの中学生らの姿があった。インターネット全盛の時代となっても、この時期に図書館で見られる光景は以前と変わらないようだ▼現在の中学3年生は、2020年度の大学入試制度改革に伴う「大学入学共通テスト(仮称)」を受ける1期生。国語と数学で新たに導入されるのが記述式問題だ。大学入試センターが5月、モデル問題例を公表した▼国語では「駐車場使用契約書」を読み、借主が不利益にならないための方策を記述する問題などが例示されている。論理が明確で実社会と関わりが深い契約書の文章を題材とし、的確に読み取る力と目的に応じた表現力を問うのだという▼「経済界の意向を色濃く反映した入試制度改革が設問にも現れている」。教育関係者からそんな声も聞かれる▼冒頭に「以前と変わらない」と書いたが、最近は学生が勉強するのを禁止する図書館も少なくないのだとか。マナーが悪ければ諭し、必要があれば利用できる制限時間を決めればいい。問題を読み解く力と解決策の表現力を問われるのは、受験生だけではない。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓)/ミキサー車需給調節の後遺症

松島、ペゴツ新都市など仁川市南東部一帯の建設現場がミキサートラックの運行縮減闘争に苦しんでいる。

 関連業界によれば、国土交通部が7月21日に営業用ミキサートラックの新規登録制限を2019年7月末まで延長することに決定した直後の24日から、一帯でトラック運転者が運行縮減闘争を展開している。

 現在は1回当たり4万ウォンの運搬費を4万5000ウォンに12.5%引き上げよというのが主な要求。ペゴツ新都市のマンション建設工事現場と松島一帯の建設現場は非常事態に陥った。

 1日7~8回あったレミコンのミキサートラックの運行回数が4回に減ったためでで、運転者たちが運送回数を2回にまで減らすという通報をしており、戦々恐々としている。

 仁川市の松島とペゴツ新都市に現場を抱えているのは、ポスコ建設、大林建設、GS建設、ホバン建設、漢羅。ユジン企業、三票産業、長院レミコン、トゥリムレミコンの工場でレミコンを注文している。これら地域のミキサートラックの運転者たちは、8・5制勤務闘争(午前8時から午後5時まで勤務)中の全国レミコン運送総連合会とは別個に活動しながら、7・6制(午前7時から午後6時まで勤務)に固執している。

 相対的に、レミコン需給が円滑だっただけに、受けた衝撃はその分だけ大きい。建設会社の関係者は「一日4回に減った昨日までは、何とかやりくりしてしのいでいたが、2回にまで減らされれば、骨組み工事を止めなければならなくなる」とし、「レミコン会社に対し、他の地域のミキサートラックも動員して解決してくれるよう依頼したが、『交渉中』とだけ言われた」と訴えた。

CNEWS 7月28日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ホーチミン市に雨水貯留施設整備

 日本の技術を使った雨水貯留施設の建設が、ホーチミン市トゥードゥック区のヴォー・ヴァン・ガン通りで始まった。積水化学工業グループの「クロスウェーブ」と呼ばれる雨水貯留システムを道路の地下に設置する工事で、8月5日に完成する。ベトナムの市街地では大雨の際の浸水が大きな問題となっており、短期間で工事が完了する同技術の普及に期待がかかっている。

 クロスウェーブは公園や学校、駐車場、空港などさまざまな場所に設置可能。再利用可能なプラスチック製のモジュールを使用している。設置後は埋め戻して地上空間を利用でき、ヴォー・ヴァン・ガン通りの貯留池は、25tまでの車両が走行できる。たまった水は植栽の水やりに使われる。

セイ・ズン 8月4日)

【凜】太平洋セメント関東支店技術部・中山莉沙さん


 ◇顧客の期待にしっかり応えたい◇

 大学時代は土木学科で水質や土質、構造の基礎を学ぶとともに、競泳や水球などのスポーツにも力を入れてきた。

 就職活動を始めた当初は、幅広い分野から就職先を探していたが、「太平洋セメントの説明会に参加した際、これまで学んできた土木の知識をこの会社で役立て成長していきたいとの思いが強まった」という。

 2014年に入社。最初の2年間は千葉県佐倉市にある中央研究所に勤務し、高強度コンクリートの研究などに従事。その後、関東支店(群馬県高崎市)の技術部に異動した。

 技術部では「当社のセメントを使っているお客さま(生コン会社や製品メーカーなど)の技術的な相談に乗っている。ほかにも講習会を開催し、お客さまの技術向上に役立ててもらっている」と話す。

 顧客が抱える問題はさまざまで、それぞれのニーズに合った専門知識が必要とされる。「相談や問い合わせに対応し、お客さまから感謝の言葉をもらえた時に一番やりがいを感じる。しっかりと期待に応えられるよう全力を尽くしていきたい」と笑顔で話す。

 「将来は、自分自身の技術力と知識を高め、多くのお客さまへ最適な提案を行えるようにすること。その上で中央研究所に戻り、お客さまが抱える問題の解決を図る研究に携わりたい」と夢を描く。

 (なかやま・りさ)