2017年10月20日金曜日

【変わる、安全帯の着用基準】連載「命守る帯-フルハーネス義務化」

フルハーネス型は胴ベルト型に比べて安全性に優れる
(本文とは関係ありません)
建設現場で働く人に欠かせない装備「安全帯」。厚生労働省が、高さ5メートル程度以上の場所で作業する際に着用する安全帯を、胴体部全体を支持する「フルハーネス型」に限定する方針を決めた。後を絶たない墜落・転落事故に対する安全対策の強化が狙いだ。着用義務が始まるのは早ければ3年後。建設業界や安全帯メーカーも対応を迫られる。

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【回転窓】地域に眠る土木遺産

「誰もその価値を把握できていなかった」。土木学会が17年度選奨土木遺産に認定した三重県御浜町の「緑橋防潮水門」。その講評で審査員が漏らした一言である▼緑橋防潮水門は1918(大正7)年、熊野灘に注ぐ市木川の河口部に石とれんがで建設された防潮堤と橋を兼ねた構造物。今も高潮の被害から地域を守り続けている▼選奨土木遺産は学会の支部ごとに推薦が行われる。その候補選びに使われるのが、土木学会発行の「日本の近代土木遺産-現存する重要な土木構造物2800選」。緑橋防潮水門は当初、このリストからも漏れていた▼実は文化庁はその価値を認め、登録文化財への指定を考えていたそうだが、地元行政が撤去を計画していたため宙に浮いていたという。保存を目指す地元市民が頼ったのが土木学会。関係者は「観光振興資源として地域に残る土木構造物を見直す機運が高まったことが幸いした」とみる▼土木学会は明治維新150年を迎える来年、明治に活躍した技術者や築造された構造物を大々的に取り上げる。地域に眠る貴重な土木遺産や技術者の掘り起こしにつながることを期待したい。

【推進賞はわかたけ保育園など2作品】熊本県アートポリス推進賞、受賞作品決まる

 熊本県は、県民の建築文化に対する関心を高めることを目的に県内の優れた建築物などを顕彰する「くまもとアートポリス推進賞」の第22回受賞作品を決定した。

 推進賞は▽わかたけ保育園▽再春館製薬所体育館サクラリーナ-の2件、推進賞選賞は▽エスエーハウス▽ギャラリーフラワーガーデン▽熊本県民テレビ新社屋-の3件。本年度は35件の応募があり、書類選考や現地審査を行い選定した。12月10日に表彰式を行う。

 受賞作品の概要は次の通り。▽作品名(所在地)=〈1〉用途〈2〉建築主〈3〉設計者〈4〉施工者〈5〉建物規模。個人名は敬称略。

〈推進賞〉

▽わかたけ保育園(水俣市)=〈1〉保育所〈2〉社会福祉法人わかたけ福祉会〈3〉篠計画工房〈4〉坂田建設〈5〉木造2階建て延べ685平方メートル
▽再春館製薬所体育館サクラリーナ(益城町)=〈1〉体育館〈2〉再春館製薬所
〈3〉リズムデザイン+キトレペ建築設計事務所〈4〉大成建設〈5〉S一部RC造2階建て延べ2766平方メートル
〈推進賞選賞〉

▽エスエーハウス(熊本市)=〈1〉一戸建て住宅(改修)〈2〉匿名(個人)〈3〉長野聖二建築設計處〈4〉YAJIMA建築〈5〉S造平屋82平方メートル
▽ギャラリーフラワーガーデン(宇城市)=〈1〉ギャラリー兼用住宅(改修)〈2〉松浦さち〈3〉ばん設計小材事務所〈4〉ハウジング創〈5〉S造2階建て延べ145平方メートル
▽熊本県民テレビ新社屋(熊本市)=〈1〉放送局〈2〉熊本県民テレビ〈3〉三菱地所設計〈4〉大成建設〈5〉SRC・S・RC造3階建て延べ6305平方メートル。

【ハレクラニ沖縄、19年夏に開業予定】三井不、沖縄県恩納村にラグジュアリーホテル

 三井不動産は19日、沖縄県恩納村で開発中のホテルを「ハレクラニ沖縄」として19年夏に開業すると発表した。

 完成すれば自社ブランドとして国内初のラグジュアリーホテルとなる。建物は延べ4・2万平方メートル規模を想定しており、5月に着工済みだ。設計は日建設計、施工は前田建設・國場組JVが手掛けている。

 建設地は沖縄県恩納村名嘉真下袋原1967の1ほか(敷地面積8万7146平方メートル)。建物はRC造10階建て延べ4万1747平方メートルの規模。客室数は360。

 ビーチに面して南北に伸びる敷地形状を生かし、客室は全室オーシャンビューとする。海を臨むプールや温泉を利用したスパ、四つのレストランやバーも設ける。

 「ハレクラニ」は1917年に創業したハワイ・オアフ島のワイキキビーチにあるラグジュアリーホテル。81年に三井不動産が取得し、再開発した上で84年にグランドオープンした。

 ハレクラニ沖縄はハレクラニブランドを冠した2カ所目のホテルとなる。
 三井不動産はホテル・リゾート事業を成長分野の一つに位置付け、これまで自社ブランドの「三井ガーデンホテルズ」を国内で積極展開しながら、海外ブランドのラグジュアリーホテルを開発・誘致。併せてリゾートホテルの開発も推進してきた。

【ラファエル・モネオ氏らにメダル授与】美術協会、都内で高松宮殿下記念世界文化賞授賞式開く

 日本美術協会(総裁・常陸宮さま)が第29回(2017年)「高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式典を18日、東京・元赤坂の明治記念館で開き、受賞したスペインの建築家ラファエル・モネオ氏ら5人の芸術家の栄誉をたたえた。

 ビデオ上映で5人の作品や活動内容を振り返った後、常陸宮さまが受賞者らにメダルを手渡した。受賞者にはメダルのほかに感謝状と賞金1500万円も贈られた。

 式典で日枝久日本美術協会会長は「人種や国境の壁を越えた芸術の力を再認識した。世界にはさまざまな困難があるが芸術は心を1つにする」と述べた。同協会の国際顧問を務める中曽根康弘元首相は、モネオ氏が日本の寺院、特に京都の桂離宮の見学に多くの時間を割いたことを紹介した。

 同賞は建築と絵画、彫刻、音楽、演劇・映像の5部門で優れた功績を残した芸術家に贈られる。

 モネオ氏は1996年にプリツカー賞を受賞するなど、スペインを代表する建築家として活躍中。スペイン出身者として初めて同賞建築部門を受賞した。代表作に、スペイン・マドリードの「アトーチャ駅・新駅舎」(92年竣工)、米ロサンゼルスの「天使のマリア大聖堂」(02年竣工)、マドリードの「プラド美術館新館」(07年竣工)などがある。

【完全自動で時間当たりの作業量1・5倍】大林組、鉄骨柱・梁の現場溶接ロボ開発

 大林組がS造建築物の新築工事で柱と梁の接合部の現場溶接作業をロボットで行う新工法「現場ロボット溶接工法」を開発した。

 主要箇所の溶接作業をすべて自動化し、作業の省力化を図ると同時に、高い品質を安定して確保できる。1人のオペレーターがロボットを2台同時に稼働させた場合、単位時間当たりの溶接量は、溶接技能者の1・5倍程度になるという。

 鉄骨柱・梁で現場溶接する部分は、梁上フランジ、梁下フランジ、梁ウェブ、円形鋼管柱の継ぎ手、BOX柱の継ぎ手、角形鋼管柱の継ぎ手の6カ所。梁上フランジ、円形鋼管柱とBOX柱の継ぎ手は1990年代からロボット溶接が導入されてきたが、梁下フランジ、梁ウェブ、角形鋼管柱は溶接の難易度が高く、複雑な機械制御を伴うため、ロボットによる溶接が難しかった。

そこで同社は、15年2月に梁下フランジをロボットを使って上向きに柱と溶接できるようにした後、16年12月には溶接の速度制御機能を改善して角形鋼管柱の継ぎ手の現場溶接作業をロボット化した。

 その後、電流、電圧など溶接条件や溶接時の動作などをさらに改良し、梁ウェブの継ぎ手でもロボット化を実現。柱・梁の現場溶接作業を完全自動化した。

 溶接作業の難易度にかかわらず、複数のロボットを並行して稼働させることにより、溶接技能者よりも高い作業効率を実現する。

 従来は、溶接技能者の経験や技量によって品質にばらつきが発生し、検査結果によっては再施工しなければならない場合もあったが、ロボットの施工再現性により、高い品質を安定的に得られるようになる。

 JR東日本から受注した「品川新駅(仮称)」の建設工事で梁ウェブの継ぎ手に同工法を適用。大断面の梁での有効性を確認した。

2017年10月19日木曜日

【回転窓】秋雨の波紋

列島付近に居座る秋雨前線の影響で、例年になく各地で雨降りの日が続いている。秋晴れを見込んで運動会などの屋外イベントが数多く予定されている時期だけに、雨と曇りマークが並び続ける天気予報にやきもきする人も多かろう▼スポーツの秋を代表するイベント、プロ野球クライマックスシリーズが始まった。セ・パ両リーグのレギュラーシーズン上位3チームが日本シリーズの出場権を争う▼上位チームにはホーム試合や勝ち星などのアドバンテージが与えられるが、逆境をはねのけて下位チームが勝ち上がる「下克上」も魅力の一つである▼雨に泣かされたのはホームの甲子園球場で戦った2位の阪神。15日の第2戦は雨と泥沼の中で強行され、最悪のコンディションを味方に付けた3位の横浜DeNAが逆王手をかけて押し切った。実力を十分発揮できなければ悔しさが残ろう▼本社の野球チームも報道各社のチームが集う大会に出場するが、試合は現在、雨天順延が続いている。来月5日にはライバル紙のチームとの試合が予定されている。「無理せず楽しく」がモットーだが、秋晴れの下で全力を出し切りたい。

【雨にも負けず98人参加】ゼネコン女性交流会、神奈川県厚木市で現場見学会開く

ゼネコンなどに勤務する女性社員同士の交流や意見交換を目的にした「ゼネコン女性交流会」は13日、新東名高速道路厚木第二高架橋他8橋(PC上部工)工事(神奈川県厚木市)の現場見学会を開いた。

 交流会の開催は14回目。施工者の三井住友建設が幹事を務め、98人の参加者が職員の説明を受けながら現場を見学した。

 同工事の発注者は中日本高速道路会社で、三井住友建設と日本ピーエスが工事を担当。新東名高速道路の厚木南インターチェンジ(仮称)内のランプ橋など7橋と近傍の本線橋2橋(上下線)のPC上部工工事を行っている。プレキャストセグメント桁と、プレキャストPC板を用いたPC合成床版との合成桁構造が特徴で、施工の省力化やコスト削減を図っている。完成は18年5月を予定している。

 交流会では、工事概要説明の後、参加者が3グループに分かれて地上30メートルに位置するランプ橋を見学。セグメントの接合状況などを見て回った。

 質疑応答は柴田宙所長と小野誠副所長が対応。終わりのあいさつで柴田所長は「これからも各業者間で協力しながら現場を運営していきたい」と語った。

【一般社団法人になりました】ツタワルドボク、福岡市で全国大会開く

土木技術や土木技術者の重要性や魅力を広く伝えることを目的に設立したツタワルドボク(片山英資会長)は15日、一般社団法人設立を記念し「ツタワルドボク学会全国大会」を福岡市中央区の天神テルラで開いた。

 初開催となる今大会のテーマは「『きっかけ』のつくりかた」。はじめに、天神地下街に隣接して整備している福岡市地下駐輪場の工事現場を見学。その後、天神テルラに場所を移し基調講演と討論会を行った。

 基調講演では、片山会長が「今、ツタワルドボクが必要だ」と題して講演。討論会では、福岡大学の渡辺浩教授と土木好きの一般参加者2人が「土木に興味が湧いてくる」をテーマについて研究討論した。続いて、参加者は3班に分かれてアイデア会議を行い、土木の魅力を伝えるためのアイデアとその実現に向けた手法について話し合った。

 片山会長は開催に当たり「国民の生活を支えるインフラを子や孫の世代に引き継ぐためには、土木の技術に興味を持ってもらうことが必要。土木技術者と市民とが共に学び、共に伝えていかなくてはならない」と語った。

【銀座駅が生まれ変わる!!】銀座線銀座駅ほか改良、大成建設で11月から始動

 東京メトロが進める銀座線全駅の大規模リニューアル事業で、11月に銀座駅(東京都中央区)の改良工事が始まる。

 丸ノ内線、日比谷線の銀座駅も含めた改良工事の施工者選定で、価格交渉を進めていた大成建設と195億円で月内に契約を交わす予定だ。

 設計は日建設計が担当。リニューアルデザインも決定し、20年度までに駅舎の主要部分の工事を完了させる。2020年東京五輪後に出入り口の一部などの残工事に着手する。

 総額500億円を投じる銀座線の大規模リニューアル事業では、12月30日で開通90周年を迎える浅草~上野駅間を中心とした下町エリアなどで改良工事が先行して進められている。各エリアに合ったデザインやアイデアを広く募るデザインコンペを行い、各駅舎のリニューアル計画に反映させている。

 銀座駅ではリニューアルテーマの「地下にいても地上を感じることができる銀座のまちの地下1階」に基づき、「憧れの街~人と街をつなぐ光のゲートアベニュー」をデザインコンセプトに設定した。

 銀座4丁目交差点側の改札口では、上品で温かみのあるホテルエントランスのような雰囲気を演出する。

 出入り口についてはコンペ最優秀賞のアイデアを具現化し、門型の構えによって存在感と視認性を高めつつ、各路線のラインカラーであるレモンイエロー(銀座線)、シルバーホワイト(日比谷線)、チェリーレッド(丸ノ内線)の光のグラデーションを施す。

 銀座線のホーム側壁には、古き良き銀座の街並みのイメージを一面に描く。ホーム上の光柱は、出入り口と連動してラインカラーの色や頭文字のパターンによって、天井から垂れる「銀座の柳」をイメージした光の演出を導入。空間と人々を明るく、美しく照らすとともに、路線サインの機能も持たせる。

 コンコースについては、既存の施設配置や天井内設備のルートを徹底的に見直すことで、駅全体の見通しやすさを改善。天井もできるだけ高くし、明るく広がりのある開放感あふれる駅空間を創出する。

 乗り換え客や地下部で接続する百貨店などに向かう多くの人たちで常ににぎわう日比谷線コンコース(晴海下通り)では、銀座駅のメインストリートといえる空間を、銀座の街をイメージした上品で落ち着きのある装いに一新する。

 「銀座線銀座駅ほか2駅改良建築・電気・土木工事」の施工者の選定手続きは、6月9日に開札した一般競争入札(WTO対象)が不落札となったため、大成建設と随意契約に向けた手続きを進めていた。

 銀座、丸ノ内、日比谷3線の銀座駅の駅施設やホーム、コンコースなどのリニューアルを一体的に行う。工期は72カ月を見込む。

【選手村ビレッジプラザに使用】東京五輪組織委、国産木材無償供給者に62自治体選定

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2020年東京五輪の選手村関連施設「ビレッジプラザ」(中央区晴海4)の整備で使用する国産木材の無償供給者の公募で、全国の地方自治体から41者(計62自治体)を選定した。連名による応募は1者として扱っている。

 全国の木材をビレッジプラザのさまざまな箇所に使用することで、社会の多様性と調和を訴える。五輪の出場選手や大会関係者向けの日用品などを販売する木造の仮設施設とする計画で、メディアセンターなども配置する。

 18年に実施設計、19年に本体工事を進め、五輪までに完成させる。基本設計は日建設計が受託している。ビレッジプラザは五輪後に解体し、使用した木材を大会のレガシー(遺産)として各自治体に返却する。木材の供給単位別の提供者は次の通り(連名は1者扱い)。

 【棟単位】

 ▽岩手県▽山形県▽岐阜県、岐阜県関市、同中津川市、同郡上市、同下呂市、同白川町、同東白川村▽熊本県▽宮崎県日南市▽東京都

 【部材単位】

 ▽北海道紋別市▽同下川町▽同置戸町▽同遠軽町▽青森県▽岩手県宮古市▽宮城県登米市▽秋田県▽秋田県大館市▽山形市▽山形県金山町▽福島県▽栃木県、栃木県鹿沼市、同日光市▽千葉県▽相模原市▽神奈川県秦野市▽新潟県、新潟県柏崎市、同十日町市、同村上市、同糸魚川市、同上越市、同湯沢町、同関川村

 ▽山梨県▽長野県根羽村、同川上村、同天龍村▽静岡県▽静岡市▽静岡県浜松市▽同小山町▽和歌山県▽鳥取県▽同智頭町▽島根県▽岡山県▽徳島県▽愛媛県西予市▽高知県、高知県香美市、同大豊町▽長崎県▽大分県、大分県日田市、佐伯市▽宮崎県▽鹿児島県。

【イメージは〝街のエネルギー凝集した結晶体〟】道玄坂一丁目駅前地区再開発(東京都渋谷区)、外観デザイン決定

 東京都渋谷区のJR渋谷駅前で再開発事業を推進している「道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合」と参加組合員の東急不動産は18日、再開発ビルの外装デザインを決定したと発表した。

 「街のエネルギーが凝縮された結晶体のような建築」をデザインの軸に設定した。16年に着工済みで、19年秋の竣工を目指す。マスターアーキテクトは日建設計、デザインアーキテクトは手塚建築研究所、設計・監理・施工は清水建設が担当している。

 建設地は渋谷区道玄坂1丁目にある旧東急プラザと隣接街区を含めた3336平方メートルの敷地。再開発ビルは地下4階地上18階建て延べ5万8970平方メートルの規模で、高さは103メートル。

 高層部にオフィス、中低層部に商業施設、1階の一部にはバスターミナルを入れる。渋谷駅とビルの間には接続デッキも整備する。
 外観は多様な形や色素材が複雑に重なり合い、見る角度や時間帯(日中・夕方・夜)や季節に応じて変化に富むようなデザインとする。

 東急グループは世界的に新しいビジネスや文化を発信する「エンタテインメントシティSHIBUYA」の実現を目指し、渋谷駅周辺で今回の計画を含め七つの大規模再開発事業を推進している。

2017年10月18日水曜日

【ご冥福をお祈りいたします】全鉄筋会長・内山聖氏が死去、職人の地位向上に尽力

全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)の会長や建設産業専門団体連合会(建専連)副会長を務め、業界の発展や技能者の地位向上などに尽くした小黒組代表取締役会長の内山聖(うちやま・きよし)氏が13日、死去した。74歳だった。葬儀は近親者で済ませた。後日、「お別れの会」を開く。

 東京都出身。1965年に東洋大学社会学部を卒業し、71年に小黒組に入社。常務を経て93年4月に社長に就任。2010年2月まで務めた後、代表取締役会長に就任した。

 鉄筋業界にとどまらず専門工事業を中心に建設業界全体の発展や職人の地位向上などに尽力。業界団体の多くの要職を歴任した。全鉄筋では常任理事を経て07年5月に会長に就任。単価の改善や技能者の社会保険加入促進などの取り組みを業界のトップとして引っ張った。

 09年から技能者の育成施設「富士教育訓練センター」(静岡県富士宮市)を運営する全国建設産業教育訓練協会の副会長も務め、担い手の確保・育成に力を注いだ。10年から各職種の専門工事業団体で構成する建専連の副会長も務めていた。

 13年の日刊建設工業新聞のインタビューでは、「日本の鉄筋工の技術は世界でもトップクラス。それをどう継承し、生かしていくか、そうした将来戦略を検討していきたい。同時に、優れた技能を持ち、心配りのできる優秀な職人を育てたい」と話し、「全鉄筋は社会保険未加入問題にいち早く取り組んだ団体だと自負している」とも語っていた。10年に建設事業関係功労国土交通大臣表彰、11年に黄綬褒章を受章。

【回転窓】クルマとケンセツの未来

第45回東京モーターショーが27日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕する。11月5日まで。近年は来場者数がピークの半分以下に低迷しているというが、一昨年の前回も80万人以上が来場し、クルマ好きには待望の祭典である▼自動車メーカー各社からどのようなコンセプトカーや最新技術が公開されるのか。若者のクルマ離れに歯止めが掛かることにも期待しつつ、モーターショーで見られるクルマの未来に興味は尽きない▼日刊建設工業新聞社が13日に発行した提言特集「国のかたちを考える」で、自動車メーカー2社のカーデザイナーに「未来の建設現場」を描いてもらった▼〈人のココロを動かし、豊かにする挑戦…「建設現場の未来は…」非常に大きな可能性を秘めている場所だと思います〉〈現場で働く人たちが今以上に自分の持つ専門性を生かし、プライドを持って働ける。そんな建設現場の未来を描きました〉。デザイン画の出来栄えに加え、デザイナーたちの言葉にも共感を覚えていただけるだろう▼ケンセツ技術の未来を発信する-。こんな夢のあるイベントが開かれたら、きっと楽しいに違いない。

【天然芝グラウンドなど整備】鹿児島県指宿市、サッカー・多目的グラウンド実施設計発注

基本計画で公表したサッカー・多目的グラウンドの完成イメージ(17年8月)
鹿児島県指宿市は、「指宿市サッカー・多目的グラウンド実施設計業務委託」の公募型プロポーザルの実施要項を公表した。30日まで参加表明書、11月9日まで技術提案書などをそれぞれ受け付け同13日に1次審査結果を通知、同15日に2次審査のプレゼンテーション・ヒアリングを行い同16日に2次審査結果を通知する。

 参加資格は市で土木設計か建築設計の入札参加資格を有し、建設部門の登録を受けた技術士と1級建築士が所属していること。統括設計責任者か主任担当技術者が1000人以上収容できる屋根付き観客席を備えたサッカー場または類似施設の基本設計か実施設計業務の実績があるなど。

 建設場所は東方新田地区(敷地面積約8・5ha)。施設内容は▽メイングラウンド約9360㎡(天然芝)▽スタンドRC造2階建て延べ約880㎡▽サブグラウンド約8362㎡(人工芝)▽多目的グラウンド約1万9900㎡(芝生広場)▽クラブハウスRC造平屋約650平方メートル▽ミニグラウンド約2000平方メートル(天然芝)▽屋外トイレRC造平屋約55㎡▽駐車場その他約1万8000㎡(アスファルト舗装を基本)。

 予定工事費は15億1200万円(税込み)。18年度に造成工事を行い19年度の建設工事着手、20年度の供用を予定している。実施設計業務の履行期限は18年5月30日(うち造成設計業務は18年1月31日)。業務委託料上限額は8600万円(税込み)。担当は市長公室政策推進係。

【こちら人事部】西松建設「人の魅力を前面に人材確保」

 1874年の創業から140年以上の歴史を誇る西松建設。ここ数年は計画通り100人前後の採用を続けている。

 採用担当の堀部学管理本部人事部人事課長は「ゼネコンの立場で現場で業務を進めていくだけのコミュニケーション能力、最後まで責任を持ってやり切れる能力を持ち、ものづくりに喜びを感じることができる人に集まってほしい」と話す。

 ゼネコンへの入社を希望する建築、土木の学生が減少し、新卒者の獲得競争は年々厳しさを増している。その中で採用を維持するには「人の魅力を前面に出した活動」が決め手だと堀部課長は話す。「西松建設の一番の財産は『人』。学生さんに直接、西松の社員に触れてもらえると、ファンになってくれる」と若手を中心とした同社の社員と学生が直接会話できる機会を設けることに力を入れている。

 会社説明会では、パワーポイントでの会社説明はそこそこに、一般社員と話ができる座談会や懇談会などに多くの時間を割いている。堀部課長は「会話することによって、うちの人間の魅力が伝わり、共鳴してくれる学生さんも多い。社員が、良い思い出も悪い思い出も含めて今までの経験を自信を持って話すことによって、入社後に対する不安を取り除くことができ、ミスマッチをなくすことにもつながる」とその効果を話す。

 採用活動とともに、学生からの質問が多い入社後の教育も充実を図っている。新入社員研修は、入社後2週間を全体研修とし、その後は土木系、建築系、事務系に分かれ、各事業本部で2カ月程度の技術研修を行って各職種に必要な基礎的な知識を習得する。

 最初の全体研修では、学生から社会人への意識転換を図る「個人」、会社の組織や建設業界について学ぶ「会社」、コミュニケーション能力を養う「関係性」の三つを重点テーマにしている。

 教育担当の加藤豊人財育成課長が「中でも特に重要」と話すのが関係性の研修。「われわれの仕事は現場重視。現場では協力会社はもちろん、お客さま、近隣住民といったさまざまなステークホルダーとの良好な関係性を築くことが重要になる」からだ。

 そうした現場監督としての心構えを養うために行っているのが合宿制での研修。新入社員は最初の1週間、ホテルで共同生活を送り、同期との絆を深めながら切磋琢磨(せっさたくま)していく。さらに実際に現場に配属された際の仕事のやり方や不安、悩みを話せるよう先輩社員との懇親の場も設け、「同期同士の横のつながり、先輩との縦のつながりを通し、さまざまな場面でのコミュニケーション能力を養える場面を作っている」(加藤課長)。

 堀部課長は「短い就職活動期間の中でもやり切ってほしい。インターネットで調べるだけではなく、実際に会いに行って、会社の人、雰囲気を肌で感じ、自分に合う会社を見つけてほしい」とアドバイスする。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性92人(うち技術系87人)、女性16人(13人)(2017年4月入社)
 
 【3年以内離職率】13%(14年度新卒)
 
 【平均勤続年数】男性18・9年、女性9・3年(17年3月末時点)

 【平均年齢】43・5歳(17年3月末時点)

2017年10月17日火曜日

【会員制と一般向けの2施設、20年夏開業めざす】リゾートトラスト、MM21地区(横浜市西区)でホテル開発着工

リゾートホテルの完成イメージ
(ⓒ TAKENAKA CORPORATION,AXS SATOW INC.2017)
リゾートトラスト(名古屋市中区、伊藤勝康代表)は17日、横浜市のみなとみらい21(MM21)地区(横浜市西区)でリゾートホテルの建設に鹿島の施工で着手する。会員制ホテル「横浜ベイコート倶楽部ホテル&スパリゾート」と一般向けラグジュアリーホテル「ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜」を併設する。設計は観光企画設計社(東京都港区)が担当している。開業は20年夏ごろを予定している。

 建設地は西区みなとみらい1の9ほか。MM21中央地区の20街区で、パシフィコ横浜や新設中のMICE(国際的イベント)施設に隣接して整備する。敷地面積は9486平方メートル。建物は建築面積7584平方メートル、S一部SRC・RC造地下1階地上14階建て延べ4万8114平方メートルの規模で、高さは60メートル。総事業費は458億円。

 横浜ベイコート倶楽部は138室で、同社のハイエンドブランドの完全会員制ホテル。ザ・カハラは一般向けで146室。ハワイの「ザ・カハラ・ホテル&リゾート」ブランドの世界初展開となる。MM21地区で開催する国際会議に参加する政府要人などの宿泊に対応できる国際水準のラグジュアリーホテルとして、国内外の需要に応えるとしている。

【記者手帖】「楽しそう」の次の一歩

将来の仕事に建設業を選んでもらおうと、子ども向けの現場見学会や建設機械の試乗体験が各地で開かれている。元気いっぱいに楽しむ姿を見ると、未来は安泰かと感じる◆だが、そう簡単ではないようだ。大手ゼネコンの部長がこんなことを言っていた。「子どもたちは建機のスケール感などに驚いているが、それだけで終わってしまっている。具体的な仕事の魅力までは伝わっていないのでは」◆幼い頃、職業体験施設に連れていってもらったことがある。体験したのは消防士。ホースでの消火にわくわくし、「こんなことが毎日できると楽しいだろうな」と思った記憶があるが、覚えているのはそこだけ。具体的な仕事内容などは頭に残っていない。消防士の仕事に就くことはなく、いつしか忘れてしまった◆その仕事に就きたいと思ってもらうために「楽しそう」という第一印象は大切。だが、それは入り口の扉を見てもらっただけともいえる。扉を開き、一歩踏み入れるまでには大きな隔たりがある。興味を持ってもらえているからこそ、次の一歩を導く対策が必要だろう。(裡)

【ドーム含め47施設の現況調査】札幌市、18年度にスポーツ施設配置・活用計画策定へ

札幌市は「スポーツ施設配置・活用計画」の18年度の策定に向けて、現在市が所有しているスポーツ施設47施設の利用状況や老朽化具合などの調査に着手する。

 10日に「札幌市スポーツ施設配置・活用計画策定支援業務」の委託先を決める公募型プロポーザル手続きを開始した。同計画には施設の建て替えや廃止の方針を盛り込む予定だ。

 業務では、計画策定時に施設の建て替えや廃止の判断材料とするため、47施設の維持管理や改修などにかかるコストの比較を行い、建て替えも視野に入れたシミュレーション資料を作成する。将来的な人口減少や人口構造の変化などを考慮した施設の需要予測を行い、スポーツ施設の必要総量を算出して配置計画を検討する。これらの検討成果を踏まえ、施設配置・活用計画の素案をまとめる。

 検討対象となる施設の内訳は、▽体育館12施設▽屋内競技場1施設▽スケートリンク3施設▽カーリング場1施設▽温水プール8施設▽野球場3施設▽庭球場5施設▽その他夏季スポーツ施設(サッカー場など)8施設▽冬期スポーツ関連施設(スキージャンプ競技場など)6施設▽スポーツ交流施設1施設▽藤野野外スポーツ交流施設1施設と、札幌ドーム。このうち、3施設が夏と冬で異なる機能の施設として活用されている。

 18年度に策定する計画では、施設の課題や現状を分析し、今後5年、15年、30年の間に実施する施設整備のスケジュールを示す予定。

 同計画策定支援業務の公募型プロポーザルでは、企画提案書の提出を16日までスポーツ局スポーツ部企画事業課企画担当係で受け付ける。25日に行うプレゼンテーションを経て委託先を決定する。業務の履行期限は18年3月30日。

【中堅世代】それぞれの建設業・180

地域を守る地元建設業の存続には担い手確保が不可欠
 ◇「天職に転職」いつか言えれば◇

 2年半前に地元の建設業関連団体の事務局に転職した田端修平さん(仮名)。前職は建設専門紙の記者。10年間、地域建設業に寄り添った取材を続けていた。

 転職当初は、情報を求めて東奔西走していた記者時代が恋しくなることもあったが、そのたびに「やりがいは自分で見つけるもの。それが持てるか否かは自分の責任」と自らを奮い立たせた。近ごろはやっと団体の仕事にも慣れ、手応えを感じ始めている。

 そもそも転職を決断したのは、取材で地元の建設業者と関わるうちに、「より深く、内側から業界を支えていきたい」と考えるようになったからだ。地元でも、業界全体の課題となっている人材不足が深刻化している。「災害時に最前線で復旧作業に当たる地元の建設業が機能しなくなれば、地域の安全は誰が守るのか」。そんな危機感が募った。

 記者時代も地元の建設業関連団体が取り組む学校への出前講座や地域貢献のボランティア活動などをつぶさに取材していたが、「外側からではなく内側から、より川上から情報発信をしたい」と思った。「記者としての経験が業界のアピールの強化に役立つのではないか」。そんな思いも背中を押した。

 以前は取材対象者として対等な関係で付き合っていた会員企業に対し、今は事務局の方が立場が下だと思っている。「かゆい所に手が届く、ではなく、先回りしてかく必要がある」。そこが仕事の難しさだ。

 総会や出前講座などの行事は準備を完璧にし、成功させるのが当たり前。失敗は許されない。並々ならぬ決意を持って団体に入ったものの、刺激の多かった記者時代と比べ、入念な段取りがものを言う事務局の仕事には物足りなさを感じることも転職当初はあったという。

 転機となったのは、初めて小学生向けの出前講座を準備から運営まですべて任されたことだった。学校側との調整はもちろん、当日の進行では、安全管理に神経を使い、夏場だったため熱中症対策で塩あめを用意したり、水分補給の時間をスケジュールに組み込んだりもした。

 取材の経験から講座の流れは分かっていたが、実際に自分でやってみると気力も労力も使い果たす重労働だと気付かされた。と同時に、建設機械に目を輝かせながら乗る子どもたちの顔を見て、入念な準備や積み重ねてきた努力が報われたと実感した。「安堵(あんど)感や達成感を味わえる」。この仕事の妙味が分かった気がした。

 会員企業が何を求めているのか、常にくみ取ろうとしている毎日だ。「考え過ぎて白髪が増えた」と苦笑するが、その表情からは仕事への手応えや意欲がにじむ。今は「天職に転職したといつか振り返ることができれば」と思っている。いつも前向きな姿勢を心掛け、情報発信力に一層磨きをかける。それが目標だ。

【凜】西松建設開発・不動産事業本部・中島範子さん


 ◇建築・土木連携の橋渡し役に◇

 都市計画研究室に所属していた大学院時代、住民と関わりながら地域のまちづくりに参画する実践研究を行ったことがきっかけで「都市計画に携わりたい」とゼネコンへの就職を志望した。

 「西松建設の仕事を見て、それまでゼネコンに抱いていた『造ったら終わり』というイメージとは違い、まちに関わっている会社だ」と感じ、開発・不動産事業本部初の新卒採用者として入社した。

 所属する開発事業第一部は、入社と時を同じくして新設された部署。上司や先輩はすべて建築系や事務系から異動になった職員。開発職としての採用も、女性技術者も部内には自分一人という状況だったが、そうしたことより「新人の自分にここまで仕事を任せてもらえるんだ」と、多くの仕事に携わる機会を与えてもらえたことが一番の驚きだったという。

 現在の業務は、自社が開発・運営するショッピングセンターでのイベントの企画・運営。入社時の希望通り、利用者や地域住民の声を聞きながらイベントを作り込む仕事に、「毎日充実していて、楽しい」。

 入社3年目。仕事の楽しさだけではなく、厳しさも感じているが、「開発の仕事は、土木や建築と連携して成り立つ。自分が建築、土木との橋渡し役になって、オール西松建設の仕事をやってみたい」という目標に向かい、日々業務に打ち込んでいる。

 (なかしま・のりこ)

【サークル】森ビル ヨガ部


 ◇老若男女が巨大都市模型の前でポージング◇

 「社内でヨガがしたい」という声の高まりから、4月に公認部活動として発足した。部長を務める深町友子さん(営業本部マーケティング部)を中心に新入社員から還暦越えの社員まで約80人が所属し、終業後に汗を流している。

 「ヨガは女子だけのものではありません」と深町さん。ヨガは女性に人気だが、本来は誰でも自分のペースでできるのが特徴。ヨガ部も部員の約3割を男性社員が占める。「ヨガという生涯続けられるコンテンツがベースなので、年齢、性別、役職、専門分野を問わないダイバーシティーに富んだ部活になりました」。

 活動場所は森ビルが作った東京を精巧に再現した巨大都市模型がある部屋。月に1~2回、毎回30~40人がヨガマットを手に集まり、東京の夜景と模型の両方を眺めながらヨガを楽しんでいる。部員から活動回数の増加を求める声も多く、将来的には週1回程度に活動ペースを上げていきたいという。

 深町さんは「社内でも普段会わない人との交流の場を創出できたことが設立の最大の成果。今後も部員それぞれが自分のペースで続けられる環境づくりをしていきたい」と意欲を見せる。

【駆け出しのころ】竹中土木常務執行役員東京本店長・西條俊一氏

 ◇個々が自主性を発揮するために◇

 中学生の頃、家の近所に大学の土木工学科に通っている方がおられました。釣りに連れていってくれるなどとても親しくしていただき、大学で描いた土木の図面を見せてもらうこともありました。当時はまだ漠然としたものでしたが、いつしか大学へ行くなら土木を勉強したいと思うようになっていました。

 竹中土木に入社し、2週間の研修を経て配属されたのは、東京都内のシールドトンネル工事現場です。次に担当したのは神奈川県内の道路拡幅工事で、かなり山深い所にある現場でした。都内で開かれた懇親会に出て終電が無くなり、途中の駅から真っ暗な山道を2、3時間かけて歩いて宿舎に帰ったこともありました。

 入社2年目からは東北支店の工事に携わります。東北自動車道や東北新幹線の建設が進んでいた頃で、東北支店は非常に忙しい時期でした。私は異動してすぐ、福島県内で延長1・5キロほどの道路工事を任され、安全、工程、品質など全ての施工管理や測量を一人で行わなければならない状況に置かれます。

 ここではわからないながらも会社の先輩に教えてもらったり、自分で工夫したりしながら頑張りましたが、いろいろ失敗もありました。杭を打つ日のことです。現場に杭打ち機が到着するまで、私はその進入路や施工基盤をつくっていないことに気付かず、杭屋さんに怒られてあわてて対応しました。何事も自分がやらなくては工事が進みません。大変な経験でしたが、自立心が芽生えた現場でもありました。それに忙しくても自分がつくった工程通りに工事が進んでいくと、仕事が楽しくなっていったものです。

 東北支店の現場に3年半ほど携わった後は、技術研究所で2年間研修を受けました。再び現場に出てからは、この研修が生き、自分で難易度の高い技術計算なども行えるようになっていました。そうした技術的な視点からも現場を見られるようになったのは大きく、現場で生じる問題も自ら解決していく姿勢につなげることができたと思っています。

 人にはそれぞれの特色があり、それを自ら創造力を働かせて引き出してくことが大切だと考えています。口で言うほど簡単ではありませんが、職場では細かな指示を出すのではなく、できるだけそうした自主性を発揮できる雰囲気で部下や後輩と接するようにしてきたつもりです。個々が持っている能力を発揮することが、会社や組織としての大きなパワーとなります。

 仕事ではいろいろと困難な問題に遭遇するでしょう。でも決して逃げることなく、正面から解決に向けて努力する。若い人たちにはそうした姿勢で頑張ってほしいと期待します。

 (さいじょう・しゅんいち)1978年早大理工学部土木工学科卒、竹中土木入社。横浜支店長、東京本店統括営業部長、執行役員東京本店長などを経て、16年3月から現職。東京都出身、61歳。
技術研究所での研修終了時に行った旅行先での一枚
(左側の上から3人目が本人)

2017年10月13日金曜日

【回転窓】記号としての「アイコン」

 建設現場の生産性を抜本的に高める取り組みとして国土交通省が主導するi-Constructionは、「アイコン」などと略されて一般化しつつある。「i」の意味が何かと取り沙汰され、「愛」を表すなどと説明する人もいたが、既に意味がそぎ落とされた「記号」として用いられているように思う▼東京・秋葉原が発祥のAKB48など、ご当地の頭文字でネーミングしたアイドルグループがもてはやされている。その肝は、名前に意味を込めない記号化にあるともいわれる▼名前に意味や大きな期待を込めることが、必ずしも成功に導くとは限らない。鈴木一朗という平凡な名前が「イチロー」となって世界を舞台に活躍している事例もある▼アイコンのロゴマークが制定されるという。既に複数のデザイン案が出され、年内には一つに絞り込まれるそうだ。ロゴ付きのヘルメットや建設機械は、生産性向上の取り組みを業界内外にアピールする格好の材料になろう▼もっとも、デザインに過大な期待や意味を込めるよりは、将来の建設産業を担う若者に受け入れられるかどうかの一点に絞った選定が重要な気もする。