2018年12月11日火曜日

【回転窓】ネーミングは難しい

酒に溺れ自堕落な生活を送る怠け者の亭主を、やればできる男だと信じる妻の機転で立ち直らせ、改心した亭主が妻に感謝するという古典落語の名作「芝浜」は、クライマックスが大みそかということもあり年の瀬になると多く演じられる▼かつて江戸から品川にかけての海岸線のうち、芝付近の陸側は芝浜、海上が芝浦と呼ばれた。主人公がこの辺りで魚屋さんを営んでいたことから「芝浜」という題名が付けられたとされる▼夫婦の情愛を細やかに描いた人情ばなしの舞台では、国家戦略特別区域の特定事業に認定されたJR東日本、京浜急行電鉄、都市再生機構による都市再生プロジェクトが本格始動を迎える▼この戦略特区に設けられる山手線30番目の新駅の名称が1週間前に決定。山手線では初めて駅名にカタカナを用いることや、想定イメージとの食い違い、呼びづらさなどからキラキラネームとやゆする声も聞かれた▼JR東日本が6月に募集した駅名案には1万3228種類にも及ぶ名称が寄せられたそう。その第3位が3497票の「芝浜」。残念ながらグローバルゲートウェイにはふさわしくなかったようだ。

【政府の環境整備を注視】改正入管法成立、建設業界で交錯する賛意と不安

8日未明に成立した改正出入国管理法を巡って、建設業界内でさまざまな意見が交錯している。

 人手不足が深刻化しかねない将来への懸念がある中、堅調な建設需要を前に企業努力としての外国人材の活用に賛意を示し、「新制度の運用に協力する」姿勢の建設団体は少なくない。ただ元請業者、専門工事業者、国それぞれの役割分担と責任の明確化を求めたり、積み残しの検討事項に注文を付けたりする意見なども出てきている。

 国会審議などでは、建設業で働く外国人材の不法就労や不当な労働条件が問題になった。ある団体の幹部は「すべて建設業の責任と捉えられているなら残念」と指摘する。違法な外国人労働者の存在や労働条件の是正は、在留外国人としての問題であり、正すべき責任を負うのはまず国と考えているためだ。国内には工事に関わる人材の4%が外国人という現場もあるとされる。

 安全や品質を統括する元請業者にとっては、最低限の指導を理解できる語学力がない外国人材の存在は大きなリスクでもあるだけに、日本建設業連合会(日建連)のように元請業者の役割などに関する検討を開始した団体がある。

 政府は19年4月の新制度の導入を目指し、環境整備を進める。同法は国会審議前から注目を集めてきた。外国人材が安い賃金で雇用された場合に、日本人労働者の処遇改善の動きが後退しかねない懸念があるためだ。政府は、建設分野の外国人材の処遇などをチェックする仕組みを新設し、制度の適正な運用に努める。

 年内には、受け入れる外国人の規模などを定める建設分野の運用方針や、日本語教育をはじめ支援策を盛り込む総合的対応策がまとめられる見通し。建設分野は職種別に求める技能水準などが決まる。

 「改正出入国管理法の新制度も積極的に活用したい」と語るのは、技能実習制度に前向きに対応してきたある専門工事業団体の事務局幹部。少子高齢化による労働人口の減少に対する危機感が高く、「人材の不足は深刻化していく」と見ているためだ。「法律からは見えない部分が多い」とも指摘。外国人材の転職の在り方など政府による環境整備の行方を注視するという。

 受け入れた企業の倒産に伴う外国人材の受け皿の整備、外国人材を生かしたい企業への配慮、外国人材の送り出し・受け入れや制度の運用チェックに関するコスト負担、日本への就業を促すための魅力づくりなど、業界の関心は枚挙にいとまがない。

 人手不足がクローズアップされ、18年度補正予算や19年度公共事業予算の執行を不安視する声が再び大きくなることを懸念する見方もある。「制度を適正に運用するための自警的な役割を民間に求め過ぎるのはいかがなものか」(団体幹部)との意見もあり、政府の環境整備に関心が集まる。

【記者手帖】多様な働き方に注目

国土交通省が業界団体と共に建設産業の女性活躍推進に取り組む行動計画を策定してから、来年で5年を迎える。業界で活躍する女性の数を倍増するのが数値目標で、これが達成するかどうかは気になるところ◆数値目標は、女性技術者(1万人)、女性技能者(9万人)を倍増させ、合計20万人とすること。目標達成に向けて日本建設業連合会(日建連)の「けんせつ小町」活動など、業界団体が率先した活動を展開していることは、本紙でもたびたび報じている◆目標数値の達成による、数の充足はもちろん重要だ。ただそれ以上に、女性が活躍する上で多様な働き方が出てきていることを感じる。ある測量会社では3次元(3D)図面作成を全てパートの女性に任せている、また、女性活躍を支援するIT系企業は、総務部門などの内勤女性が現場を側面支援するバックオフィスの改革を提唱する◆女性の特性を生かして活躍する場面を新たに生み出すなど、国交省が行動計画を推し進めたことが、男性中心の業界の働き方改革に影響を与えたことは注目してよいだろう。(え)

【専門学生10人が出版に協力】『建設業で本当にあった心温まる物語』の漫画版第2弾発売です

ハタコンサルタント(名古屋市中村区、降籏達生代表取締役)の『建設業で本当にあった心温まる物語2 マンガ版』が出版された。建設業で働く人たちがつづった心温まるエピソードを分かりやすく読んでもらおうと、名古屋デザイン&テクノロジー専門学校で漫画を学ぶ学生が描いた10話を一冊にした。

 降籏氏は、日刊建設工業新聞で毎月掲載する同タイトルの「心温まる物語」でも選者を務めている。全国の建設技術者や建設技能者から集めたエピソードを題材に、10人の学生たちがそれぞれのタッチで描いた。
 
 16年に発行した初弾に続く漫画版について降籏氏は、将来建設業に1人でも多く入職してもらうためにも、「子どもや一般の方々に多く読んでいただくことで、建設業に興味や関心を持ってもらいたい」とその狙いを語る。

 10話の物語を内容に応じて「お父さんはヒーロー」「職人の技が光る場所」「仲間が気づかせてくれた建設業の誇り」に大別し、3章立てで構成している。

 同社と降籏氏が代表のNPO法人建設経営者倶楽部KKCが制作し、ハタ教育出版が発行。体裁はA4判68ページで定価500円+税。同社のオンライン公式ショップで購入できる。

【新しい仲間が加わるよ!】マンホールカード第9弾、14日から配布開始です

名所や名産物、キャラクターなどが描かれたマンホールの蓋を紹介する「マンホールカード」第9弾の配布が、12月14日から始まる。

 今回は60種類のカードが新たに発行され、人気アニメちびまる子ちゃんの主人公「まる子」がにっこりと微笑む静岡市のカードも登場する。

 下水道広報プラットホーム(GKP)が企画・監修するマンホールカードは第9弾までで全国407団体から478種類が発行されている。これまでに290万枚が配布されているといい、コレクションアイテムとして定着しつつある。

 14日から配布されるカードの詳細やデザイン、配布団体などはGKPのホームページで要チェック!!カードは下水道関連施設や観光案内所などで無料配布する。
マンホールカード第9弾の全カード

2018年12月10日月曜日

【回転窓】営繕さんの仕事

建物を造ったり修理したりする-。「営繕」にはそのような意味がある。英訳はビルディング・アンド・リペアーズになるそうで、今の時代にぴったりな言葉だと思う▼その語源は1000年以上もさかのぼり、701年制定の大宝律令に営繕令という用語が使われている。当時は建物の営造と修繕だけでなく武器の製造、道路や橋梁、堤防、船などの営造と修繕を表し、現在よりも広い意味で用いられていたそうだ▼営繕の仕事を通して昔と変わらぬたたずまいを守り続けている建物は全国各地に存在する。1878年日本初の本格的リゾートホテルとして箱根に開業した富士屋ホテルもその一つ。「営繕さん」と親しみをもって呼ばれるスタッフが存在する▼彼らの仕事は建物の日々の細かなメンテナンスから庭園の橋や水車、ヒノキ風呂づくりまで多岐にわたる。舞台裏で活躍する営繕さんが和洋混交の建築群を守り、登録有形文化財の指定に寄与した▼営繕さんにスポットを当てた展覧会が東京・京橋のLIXILギャラリーで始まった。建築の守り人の仕事を写真や映像のほか現物も交えて紹介。会期は来年2月23日まで。

【「ハシダンシ」のキャラクター制作】松竹ら、都内の“橋”をテーマに新プロジェクト

 東京都内の河川に架かる橋がキャラクターに-。松竹と水都創造パートナーズ(夏目守康代表理事)、ムービック(東京都板橋区、國枝信吾社長)の3者は「ハシダンシ」と名付けたプロジェクトをスタートさせる。

 隅田川の吾妻橋や両国橋など都内を流れる河川の橋を擬人化したキャラクターを制作。イベントやキャンペーンの実施、東京都の舟運とコラボレーションした臨時便の運行といった取り組みを展開する。

 ハシダンシのキャラクタービジュアルは今月29日に公表。モデルとなる橋の特徴を反映させた、バラエティー豊かなパフォーマンスが持ち味のキャラクターになる。

 野村不動産や舟運・地域の活性化に取り組む企業、団体と共に、「ハシダンシ」による水辺空間や船着き場周辺のにぎわい創出プロジェクトも検討するという。「ハシダンシ」のお披露目は、東京都江東区の東京ビッグサイトで29~31日に開催されるコミックマーケット95になる。

【凜】関東整備局荒川下流河川事務所小名木川出張所長・池上清子さん


 ◇現場の声を大事に◇

 東京区部など人口密集地域を流れる荒川で、最下流部を管理する小名木川出張所を率いている。台風来襲時など24時間体制での対応が求められる場面もある。「皆さんの生命・財産を守るために堤防の健全性を維持することが第一の使命」。そうした思いで仕事に当たっている。

 出張所は、国土交通省の中でも特に地元に近い職場であり、住民と直接話す機会も多い。西日本豪雨など災害が続いた今年は、危機意識の高まりを感じたという。「堤防補強工事しっかりやってくださいね」「安全・安心のために頼みますね」。こうした声を耳にして、「荒川の堤防は絶対に切らせてはいけない」と気を引き締めている。

 管内の工事現場を回っていて、担い手の高齢化を感じている。生産性を高めていこうと建設現場の生産性向上策i-Constructionに積極的に取り組んでいる。

 だが、受発注者ともに手探り状態であり、改善の余地があると思っている。大事にしたいのは現場の意見。「使い勝手が悪いところも含めて、できるだけ現場の声を上げていきたい。そうすることで、より使いやすい制度や技術になっていけば」と先を見据える。

 休日に時間がある時には、弓道で汗を流す。「道場で会う人たちは、年代も職業も幅広い。いろいろな話ができるので新鮮」と笑顔で話す。

 (いけがみ・きよこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・217

仕事の楽しさややりがいを感じるのは時間がかかる
 ◇仕事の楽しさと誇りを◇

 約25年前にゼネコンに入社して以来、佐竹典夫さん(仮名)は土木一筋で現場の仕事に打ち込んできた。最前に立ち続けているからこそ、建設業が直面している労働者不足の深刻さや人材育成の重要性を痛感している。

 「駆け出しの頃に多くの人が支えてくれたおかげで、ものづくりの醍醐味(だいごみ)が分かり、ここまで働き続けられた。恩返しとして自分にできるのは、将来有望な若手を育てることだ」

 佐竹さんが建設業を志すようになったのは、小学生の頃に家族と出掛けた旅行先での出来事だった。父親が連れて行ってくれたダムを見た時、あまりの雄大さにすっかり心を奪われた。父からダムが作られた目的を教えてもらううち、幼いながらに「人々の生活を支えられる建設の仕事に就きたい」と強く思った。その熱は月日がたっても冷めることなく、大学卒業後、迷わずゼネコンに就職した。

 入社後に配属されたのは山岳トンネルの現場。父親の背中を見ていたこともあり「働く環境が厳しいのは承知の上。しゃかりきになって頑張ろう」と意気込んだ。ただ働き始めて4カ月、毎日朝早くから夜遅くまで働き休みもままならない状況に、ふと疲れを感じるようになった。新人だからといって丁寧に仕事を教えてくれる上司や先輩はおらず、自分の居場所がないような強い孤立感に襲われた。「もう辞めたい」。これまでの不満が爆発し、1カ月ほどしてから退職を願い出た。

 すんなりと退職届を受け取った上司は「辞めてもいいから少し休め」とだけ言った。1週間ほど休みをもらい電車で旅行に出掛けた。道中、竣工したばかりのトンネルに差し掛かった。その瞬間、これまで自分が働いていた現場のことが頭に思い浮かんだ。「今やっていることは、こうして人の役に立つ仕事なんだ…」。

 胸の中で渦巻いていた不満や後ろ向きな気持ちがやにわに消えていった。旅行を切り上げ、現場に戻って上司に辞表を撤回したいと伝えた。すると何事もなかったようにうなずき、諭すように「少しは肩の力を抜いて、使う人の思いや顔を浮かべて仕事しろ」と言われた。

 それから佐竹さんは少しずつ、仕事に誇りを感じるようになった。景気が落ち込み、会社が厳しい経営を迫られた時期も経験した。結婚を機に自宅を購入しようと思ったが、会社がいつ倒産してもおかしくない状態だったため、泣く泣く一軒家は見送った。悔しい思いをしたものの、「誇りが持てるこの仕事に携わり続けたい」と、転職は考えなかった。

 それから十数年がたった今、時代は目まぐるしく変化した。会社の経営は安定し、多忙ではあるが仕事にやりがいを感じている。その一方で、技術者として工事に携わるだけでなく、現場を運営し人を育てる立場にもなった。

 「入社当時の自分が挫折したように、厳しくすれば建設業の楽しさや誇りが実感できる前に辞めてしまう。それは心苦しい」

 後輩たちにものづくりの醍醐味を何とか味わってもらいたい。だからこそ「建設業の将来のために人材育成の原点に返って何が必要かを考え、少しでも未来を明るくできればうれしい」と強く思っている。

【駆け出しのころ】世紀東急工業取締役常務執行役員事業推進本部長・平喜一氏

 ◇悩んで考えてこそ強くなれる◇

 「今日からここが君の部屋だ」。今もこう言われた時のことが鮮明に思い出されます。入社して最初に配属された当時の川崎営業所の建物は、まだ老朽化したプレハブ造りで、1階が事務所、2階が宿舎となっていました。意気揚々と、現場の最前線である営業所に赴任して来たものの、2階に上がって部屋を案内され、本当にここで生活しながら働いていけるのか?と正直不安になりました。

 1年目は防衛庁の横須賀米軍施設内のヘリポート工事と、東京都発注の道路改築工事に携わりました。工期が迫った年度末になると休日のない日が続き、これはとんでもない会社に入ってしまったと、心中穏やかではなかったのですが、面倒見が良い先輩のおかげもあり、会社を辞めようとまでは思いませんでした。

 入社5年目の26歳の時、川崎市発注の下水道工事で初めて現場代理人に抜てきされます。大変うれしかったのですが、喜びもつかの間、深さ10メートルの立坑築造など、さまざまな未経験の工種もあり、知識と見識不足を痛感しました。さらに施工中のトラブルも相次ぎ、精神的にも徐々に追い詰められていきました。当時は会社や現場からの呼び出しでポケットベルが鳴ると気がめいり、体調不良で病院に行った際にも診察中でさえベルが鳴り、泣けてきたことを今でも覚えています。そのような状況の中でも何とか工事自体は完成させましたが、結果は大赤字で心身共に本当にボロボロの状態でした。

 6年目、栃木県佐野市の北関東営業所に異動し、ここで大きな転機を迎えることとなります。旧建設省の道路改良工事で主任技術者を務め、心機一転、道路と公共工事を基本から勉強し直しました。そうして少しずつ自分を取り戻し、土木という仕事に誇りを持てるようになりました。その後もさまざまな現場でいろいろしびれる局面もありましたが、反面教師の自分と素晴らしい人たちとの出会いにより、心は折れることはなく前を向いて何とか乗り越えられました。

 こうして振り返ると、20代のころの私は、仕事は知らない、世の中も知らない、そして相手の思いも分からない、そのくせどこかで突っ張っていてボロボロになって当然でした。唯一の救いは「逃げなかったこと」だけではなかったかと思います。

 建設業界の仕事というのは、しょせん一人では何もできません。“人材と人間関係が全て”の業界であり、あとは心の持ちようです。志と情熱があれば何とかなります。米国の詩人ロングフェローに『悩んで強くなることがいかに崇高なことか知れ』という名言があります。若い人たちには大いに悩み、考え、努力して乗り越え、立派な建設マンになってほしいと思います。

 (たいら・よしかず)1984年鹿児島大学工学部海洋土木開発工学科卒、世紀東急工業入社。北関東支店長、執行役員関東支店長兼東京支店長、常務執行役員工務部長、取締役常務執行役員事業推進本部副本部長兼工務部長などを経て、18年4月から現職。福岡県出身、57歳。
入社1年目に携わったヘリポート工事の現場で

2018年12月7日金曜日

【回転窓】必要なのは高いモラルと誠実さ

ヒット商品はいかに生まれるのか。どんな手法を使うにしても「決して偶然はない」という話を、先日取材した講演で聞いた▼マーケティングは「顧客が求める商品やサービスを作り、情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」のが基本。アイデアや技術がどんなに優れていても、顧客のニーズにかなうものでなければ意味がない。その価値を顧客が理解しなければサービスを得たり、購入したりしようとする行動にはつながらない▼情報を届ける手段として最近では、SNS(インターネット交流サイト)を生かす取り組みが建設産業でも盛んになってきた。材料の特性を紹介するだけでなく、施工後の写真をインスタグラムやフェイスブックに投稿して興味を引くやり方だ▼建材なら設計者に気に入ってもらい、設計図面で指定すれば営業的に成功となる。だがSNSの登場によって「この材料を使いたい」と指定する施主が増えたそうだ▼情報の届け方は千差万別。インターネットに情報があふれる時代の中で、うそ偽りない情報を分かりやすく届ける。情報の発信者には高いモラルと誠実さが求められる。

【治水対策の重要性をレクチャー】高潮堤防補強工事を岐阜女子大生ら見学

 中部地方整備局木曽川下流河川事務所と高田建設は5日、岐阜女子大学の学生らを対象とした見学会を三重県桑名市の高潮堤防補強工事の現場で開いた。生活科学科居住学専攻の学生と教職員の9人が事業の目的や地盤改良工法などを学んだ。

 木曽三川下流部沿川は国内最大のゼロメートル地帯が広がり、堤防が決壊すれば甚大な被害が発生する。このため、南海トラフ巨大地震に備え堤防の耐震化が急がれている。

 学生らが訪れたのは木曽川鎌ヶ地下流川表高潮堤防補強工事の現場で、19年2月末の工期で地盤改良工や天端被覆工、護岸工を実施している。井田理長島出張所長が事業概要を、高田建設の谷口晃生所長が液状化現象や地盤改良の方法などを説明。工事の状況などを見学した。

【最優秀に越後湯沢温泉観光協会と比治山大学】国交省、水の里の旅コンテスト受賞者決定

 国土交通省は6日、「水の里」の観光資源を活用した旅行企画を顕彰する「“水のめぐみ”とふれあう水の里の旅コンテスト2018」の受賞者を発表した。

 最優秀賞は一般部門が越後湯沢温泉観光協会(旅行地域・新潟県、写真)、学生部門で比治山大学(鳥取県)が受賞。両者は絶景賞にも選ばれ、ダブル受賞となった。

 表彰式は18日に東京都千代田区の同省で行われる。同コンテストは、ダム周辺など河川の上流部の区域に位置する水の里の大切さと魅力を伝え、地域の活性化を推進することを目的に10年度から創設された。

 最優秀賞以外の受賞者は次の通り。

 【一般部門】優秀賞=せとうち観光社(愛媛県)△奨励賞=Tabayama Base(山梨県)【学生部門】優秀賞=関西学院大学(大阪府)△奨励賞=和歌山大学・林美紗(和歌山県)【特別賞】観光庁観光資源課長賞=ひろうら田舎暮らし体験推進協議会×茨城町(茨城県)。

【価値創造と生産性向上へ】竹中工務店、東京本店ビルを「健築」リニューアル

 竹中工務店は新たな価値創造と生産性向上への取り組みとして、東京都江東区にある東京本店をリニューアルした。

 ▽いきいきと働くことができる環境▽健康に働く仕掛け▽オープンイノベーション-の三つがテーマ。コミュニケーションの活性化を目指し4階と6階の中央吹き抜け階段の脇に、「図書」や「緑」など特性の異なるラウンジを設けた。

 最適な環境を選択できるフロア計画を実現するため執務環境をオープン化。ワークスタイルに合わせた少人数会議エリアも設けた。50%の書類削減を行い、ペーパーレスのワークスタイルを実現していく。

 1階には同社の最新情報を発信する展示ラウンジや顧客とベンチャー、大学などと協業するオープンイノベーションスペース、食堂などを整備した。ダイバーシティー(多様性)に対応した「祈祷祈室」も新設した。

 「健築」の観点を随所に取り入れ、来秋に健康や快適性の観点から建物・室内環境を評価する国際認証(WELL認証)の取得を目指す。2004年に竣工した東京本店ビルはS造7階建て延べ2万9781平方メートルの規模。改修工事は4~11月に実施した。

2018年12月6日木曜日

【回転窓】伝統の継承

秋田・男鹿半島に伝わる「ナマハゲ」など10行事が「来訪神 仮面・仮装の神々」として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に選ばれた。仮装した人が神の使いとなって地域の家を回る行事で、無病息災などにつながるとされている▼男鹿半島ではナマハゲの後継者不足が深刻化していると聞いた。ナマハゲが回る家々も住民の高齢化が進む。「泣く子はいねが!」と大声で入っていくと、老夫婦から「よく来たな」と歓迎されて苦笑する。そんな光景もあるそうだ▼こうした伝統行事はいったん無くなると、復活が非常に難しい。今回の登録によって国内外で注目が高まり、見に行く人が増えるはず。そのことが世代を超えて継承していく力にもなってほしい▼無形文化遺産への登録で、日本は「伝統建築工匠の技」も提案中だ。木工やかやぶき、左官など14の伝統技術で構成される。歴史的な木造建築物では、時には部材を取り換えながらも一体性を維持し、持続可能性を高めてきた▼伝統技術を文化的観点からも認めていくことは担い手を確保していく上でも重要な視点ではないか。次回の朗報にも期待したい。

【施工は東鉄工業、来春供用へ】JR常磐線・Jヴィレッジ駅建設が終盤に

 福島県楢葉町で東鉄工業が施工するJR常磐線新駅「Jヴィレッジ駅」の建設工事が終盤に差し掛かっている。

 11カ月の工期で完成させるため、材料に工場生産のプレキャスト(PCa)部材を多用するなど、工期短縮に取り組んでいる。隣接するサッカーのナショナルトレーニング施設「Jヴィレッジ」の全面開業に合わせ、19年4月の供用開始を予定する。

 新駅は常磐線広野~木戸駅間に設置。駅からJヴィレッジに徒歩2分でアクセスできる。駅は2面2線形式。工事では上下線に延長215メートルのホームを構築する。ホームと駅舎は約20メートルの高低差があり、エレベーターやスロープ、階段を設ける計画だ。

 1年未満という短い工期で駅の供用開始に間に合わせるため、材料にPCa部材を積極的に導入している。社員、作業員ともに昼夜交代の工事に当たり、施工開始から約6カ月で進捗(しんちょく)率約75%を達成した。

 現在はホーム部の工事が完了した段階で、エレベーターやスロープ、階段などの完成を急ぐ。来年1月に駅舎の建築や電気などの工事に入る予定だ。

 着工当初から現場指揮に携わってきた熊谷諭監理技術者は「Jヴィレッジ駅は震災復興のシンボルとして福島県民はもとより、スポーツを愛する全ての人々の期待を担っている駅。工事に携わることにとてもやりがいを感じている。新駅が開業した時に駅の利用者に喜んでもらえるよう無事に工事を完遂したい」と意気込みを語った。

【熊谷組がHPを全面リニューアル】「くま所長」の何でも研究所開設

 熊谷組がホームページを全面リニューアルした。「見やすさ」と「使いやすさ」をポイントに、コンテンツやデザインを構成した。

 同社を初めて知ってもらう人に会社概要や事業活動を解説する「5分で分かる熊谷組」コーナーのほか、マスコットキャラクター「くま所長」が登場し、建設業に関連した疑問に回答する子ども向けの「くま所長のなんでも研究所」コーナーを新設した。

 トップページに同社が施工した切目川ダム(和歌山県印南町)とサイエンスヒルズこまつ(石川県小松市)の写真を大きく配置。経営理念に掲げる「自然との調和のとれた人間活動の場を構築」を表現している。

 技術とサービス、実績、現場の取材記事、CSR(企業の社会的責任)活動、投資家向け情報提供(IR)などを充実させた。ページ内検索システムの利便性を高めたほか、スマートフォンやタブレット端末など、さまざまなデバイスに合わせ、画面が最適表示されるようにした。

【西口地区で所有ビル再開発、駅上空に複合施設】京急電鉄、品川駅周辺開発の検討加速

 京浜急行電鉄は、東京都港区の品川駅西口での大規模開発に向けた検討を加速している。西口地区(高輪口)では、所有する複合ビル「SHINAGAWA GOOS」(延べ約8・4万平方メートル)を再開発し、延べ床面積を現状の3倍程度に拡大する方針だ。

 11月29日に横浜市で開いた個人投資家向け会社説明会で原田一之社長が明らかにした。駅舎を核とする駅街区地区では駅改良とともに複合ビルの建設を展開する。原田社長は一連の開発について「19年以降にそれぞれのプロジェクトが具体的に動いていく」と説明した。

 同社は品川駅西口に約6万平方メートルの社有地を持つ。西口地区は国道15号を挟んで同駅に隣接し、SHINAGAWA GOOS(高輪3の13の3、敷地面積2万5000平方メートル)のほか、京急第1ビル(低層部に商業施設のWING高輪WEST)、同7ビルなど自社物件が集積している。プリンスホテルの施設群も立ち並ぶ。6月にはSHINAGAWA GOOS以北エリアの地区計画が都市計画決定された。

 同社は地区内で「都市機能と緑豊かな空間の調和がとれた街づくりと駅前空間の整備を進める」(原田社長)。その核となるSHINAGAWA GOOSの開発ではオフィスやMICE(国際的イベント)、商業施設、迎賓機能を持つホテル、住宅などが入る複合ビルの建設を計画する。

 駅街区地区ではホームを現在の2階から1階に移し、線路を2面3線から2面4線に増強する。駅上空には商業施設とオフィスなどが入る複合施設を建設する。16年度から5カ年の中期経営計画では、土地区画整理手法を活用し、19年度の事業着手を目指すとしている。

 駅西口では関東地方整備局など行政主導で、国道15号上空を活用した駅前広場の整備に向けた検討が進む。京急電鉄も事業協力者として参画している。

【『けんせつ姫』で建設業の魅力発信】土佐工業、フリーペーパー大賞で最優秀賞受賞

 土佐工業(千葉県船橋市、柴田久恵社長)が発行するフリーペーパー『けんせつ姫』が、日本地域情報振興協会(古川一郎代表理事)が主催する「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2018」の企業誌部門で最優秀賞を受賞した。

 東京都台東区にある国立文化博物館の日本館で4日に授賞式が行われ、古川代表理事が柴田社長に表彰状を手渡した。

 同社は17年に女性向けの作業着「けんせつ姫」を作った。18年2月には建設業で働く女性を紹介する同名の雑誌を創刊した。同大賞の審査では、複数の領域をまたいだブランディングのアイデアが高く評価された。

 柴田社長は「建設業の魅力を伝えようという思いでやってきた。受賞を今後の励みにしていきたい」と喜びを語った。

 現在は第2号の準備を進めており、19年2月の発行を目指している。関東全域の建設関係指定学科がある高校や大学などに配布する予定だ。
表彰状と記念の盾を手にする柴田社長

【東京五輪開催前の供用めざす】日比谷線新駅、「虎ノ門ヒルズ」に

東京メトロは5日、日比谷線の霞ケ関~神谷町駅間に建設している新駅の名称を「虎ノ門ヒルズ」に決めたと発表した。

 名称決定では、新駅が周辺の再開発ビルと一体的に整備されていることなどを踏まえ、利用者が分かりやすく街と一体になったイメージが伝わるようにした。

 虎ノ門ヒルズ駅は再開発ビルの建設が相次ぐ東京・虎ノ門地区の国道1号(桜田通り)直下に整備する。2020年東京五輪・パラリンピック開催前の供用開始、22年度の全体完成を予定している。

 銀座線虎ノ門駅との乗換駅となり、地下歩行者通路を整備して駅間を接続する。
 新駅は東側の虎ノ門ヒルズ森タワー、西側で計画されている再開発ビル「(仮称)虎ノ門ヒルズステーションタワー」と地下部分で一体的な構造となる。西側の再開発ビルは19年10月の着工、23年2月の竣工を見込む。

2018年12月5日水曜日

【回転窓】氷見の寒ぶり宣言

富山湾に寒ブリのシーズンが到来し、1日に富山県氷見市の氷見魚市場で「ひみ寒ぶり」の出荷宣言が発表された。この時期が来るのを待ちわびた魚好きの方も多いだろう▼丸々と太って身が引き締まり、脂も乗り切っている寒ブリ。中でも氷見で水揚げされるのは高級ブランド魚として知られる。初日は695本が水揚げされ、多くの仲買人らでセリがにぎわったようだ▼氷見は定置網漁の発祥地であり、天正年間の1573年ころにワラが材料のワラ台網を敷設したのが始まりという。そうした漁法の歴史は氷見漁業協同組合のホームページに詳しい▼水産物の流通に漁港施設が大きな役割を果たしているのは言うまでもない。10年以上前に氷見漁港で水産市場施設の衛生管理を高度化させるリニューアル工事を取材したことがある。施設の営業を続けながらの工事で、さまざまなノウハウが駆使されていた▼富山湾の寒ブリは今シーズン、豊漁になるとの予測が報じられている。まずは刺し身で食し、続いて薄めに切った身をしゃぶしゃぶで…。高級魚だけになかなか巡り合えないが、想像するだけでもそのうまさは分かる。

【500tの大屋根をリフトアップ】清水建設JV、東京国際展示場増築工事大詰め

 清水建設・錢高組・村本建設・共立建設JVが施工する「東京国際展示場増築工事」(東京都発注)が19年6月の完成に向け大詰めを迎えている。

 東京都江東区の東京ビッグサイトに展示棟や駐車場棟などを増築するプロジェクト。総延べ床面積は6・6万平方メートルに達する。現時点での進捗(しんちょく)率は80%。

 4日には重量約500トン、面積約2200平方メートルの大屋根ユニットのリフトアップを実施。ジャッキを使い、約2時間かけて地上40メートルの高さまで引き上げた。

 リフトアップに当たっては、4階床の完成後に床上で大屋根ユニットを構築。同時にリフトアップ用のジャッキを設置する仮設の鋼製やぐら4体を、各ホール外周部の躯体上に組み立てた。各やぐらにジャッキを4台ずつ設置し、ワイヤケーブルでジャッキと大屋根ユニットの四隅16点を連結。最後にジャッキで大屋根ユニットを持ち上げ、躯体と一体化した。

 屋根にかかわる高所作業では墜落や転落などの災害が発生しやすい。リフトアップでは墜落・転落災害を防ぐため、あらかじめ床上で大屋根ユニットを構造、設備、仕上げを含めて完成に近い状態に施工。高所作業を減らすことで安全性を高めた。

 東京ビッグサイトは2020年東京五輪・パラリンピックで国際放送センター(IBC)とメインプレスセンター(MPC)として稼働する予定だ。

【栃木市に財政、組織の両面で支援要請】栃木ウーヴァ、サッカー専用球技場建設へ

サッカー関東1部リーグ所属のフットボールクラブを運営する「栃木ウーヴァ」(栃木県栃木市、大栗崇司社長)は3日、新スタジアム建設に協力を求める要望書を栃木市の大川秀子市長に提出した。

 サッカー専用スタジアムの建設計画への財政支援や人的・組織的支援などを求めた。市有地の活用を想定している。市は前向きに受け止めており、大川市長が14日の定例会見で当面の対応方針を表明する見通しだ。

 同クラブは、日本フットボールリーグ(JFL)に昇格した上で、将来的なJリーグ参入を目指している。参入要件を満たすために新スタジアムの整備が必要となっている。新スタジアムは5000人規模の収容人数を想定しており、早ければ21年の完成を目指すとしている。

 要望書によると、ホームとなるサッカー専用スタジアムや、利用者向けのレストランといった飲食モールを整備する。スタジアム隣接地に天然芝のフルピッチ練習場を設けることや、できるだけ練習場に近い場所に寮などを整備することも要望事項に盛り込んだ。

 基本的に民間資金で整備・運営を行うとしつつも、各種制度を活用した助成金や補助金を含めた財政支援への協力を求めた。クラブへの派遣対応を含めて、人的・組織的な支援も要望した。

 市側は、同クラブがホームタウン整備を打ち出したことに対して、前向きに対応を検討する方向だ。建設地などは白紙の状態だが、市内には運動公園が複数あり、有効活用などが課題となっている。同クラブの要望を受け入れる場合には、こうした市有地の現状や周辺環境、利便性などを含めて、総合的な観点から検討が進むことになりそうだ。

【照明デザインに面出薫氏起用】田町~品川駅間の新駅名称は「高輪ゲートウェイ」

 JR東日本は4日、JR品川駅と田町駅間に設ける山手線・京浜東北線の新駅の名称を「高輪ゲートウェイ」に決めたと発表した。

 一般から提案された駅名(応募総数6・4万件)などを参考にしながら、地域の歴史や特性などを踏まえて選定。深澤祐二社長は「駅名が皆さまに愛され、浸透していけば何よりだ」と話している。

 併せて、新駅の照明デザインの担当を面出薫氏(ライティングプランナーズアソシエーツ代表取締役)に決定。「街のランドマークとなる暖かな光の駅舎」をコンセプトに、特徴的な大屋根を照らし柔らかな光に包まれたコンコースを創出す