2017年9月26日火曜日

【不動産の災害リスクを視覚化】アジア航測、リブセンスと情報提供ツール開発

IESHIL CONNECT(β版)の画面イメージ
 アジア航測はインターネットメディア事業を展開するリブセンスと、不動産物件の災害リスクを可視化する営業ツール「IESHIL CONNECT(イエシルコネクト、β版)」を共同開発した。

 リブセンスが扱う不動産の物件情報に地震や洪水、液状化といった災害リスクの情報を付加し、営業マンの提案活動をサポートする。アジア航測は保有する防災・空間情報技術・データを提供。リブセンスは自社運用する不動産のリアルタイム査定システムに災害リスクの情報を乗せて活用する。リスクを含めた不動産の物件情報を可視化することにより、不動産流通市場の透明性向上、サービス水準の引き上げを目指す。

 イエシルコネクトは、タブレット端末を使った営業活動で特定の不動産物件を指定すると、位置図や査定価格と一緒に地震や洪水、液状化、津波、土砂災害といった自然災害に対するレポート、評価がその場で引き出せる。消費者と営業マンのコミュニケーションを円滑化し、スムーズで丁寧な説明が可能になる。
地理空間情報と不動産情報の融合によって不動産市場の活性化を狙う
 リブセンスが保有する27万棟に達する不動産物件データと、アジア航測が持つ80億件の災害発生データを活用し、査定価格と総合的なリスク評価が素早く可視化できる。災害発生データは全国をカバーしており、地域に関係なくツールは利用可能だ。

 β版は災害リスク情報の提供を先行したモデル。今後、不動産情報に厚みを持たせ使い勝手の良さを高める。両社はIT(情報技術)を活用した不動産ビジネスサポート事業で連携を深め、サービス向上につながる情報ツールを開発・実用化する。アジア航測はG(地理)空間情報技術の用途を広げることで、業容拡大を図っていく。

【回転窓】600億円にふさわしい1票を

 永田町にまたしても解散風が吹き荒れた。衆院議員の任期は4年だが、任期満了によって総選挙が行われたのは戦後、1976年の1度しかないという。任期を1年以上残したこの時期に伝家の宝刀を抜き、解散に踏み切る安倍首相の決断は果たしてどのような結果をもたらすだろう▼前回2014年の総選挙では、600億円余りの経費が税金から支出されたという。投票用紙や選挙ポスターの制作費、選挙管理委員会の事務費などが主な内訳だ▼公職選挙法が改正され、国政選挙で政党がマニフェスト(選挙公約)を配布するようになったのは、03年の衆院選から。以後、選挙のたびに作られているが、肝心の公約の中身がどれほど実現したかといえば、評価ははなはだ怪しいと言わざるを得ない▼少子高齢化を背景にした人材の確保・育成と働き方改革、景気浮揚への対応、緊迫する国際情勢への対処…。直面する課題は枚挙にいとまがない。選挙になれば耳に心地よい言葉があちこちから聞こえてくるのが常だ▼多額の費用をかけて選挙が行われるのなら、各党や立候補者の考えをしっかり比較検討して1票を投じたい。

【〝勤務時間〟、世代間で考え方に差】建築技術者の転職、若手ほど「長時間労働」理由に

人材紹介や技術者の派遣事業などを手掛けるヒューマンタッチ(東京都新宿区、高本和幸社長)は25日、建設業界の人材市場に関するデータを公表した。

 転職希望者などを対象に実施した転職意識に関するアンケートによると、若手の技術者ほど「労働時間が長い」を理由に、転職を考えていることが分かった。

 アンケートは転職を希望し、同社に登録している建築技術者(316人)を「34歳以下」「35~44歳」「45~54歳」「55歳以上」の四つの年齢層に分類し、転職したい理由を調査。いずれの年代でも「給料が少ない」がトップだった。労働時間が長いことを理由に転職を検討している割合は、34歳以下で44%と最も高く、35~44歳では28%、45~54歳では23%、55歳以上では9%と、年齢を追うごとに減少していく。

 同社はこの結果を踏まえ、企業が若手人材の離職を防ぐためには、給料面だけでなく、残業時間の削減や週休2日制の導入など、労働時間短縮へ取り組むことが有効だと分析している。

 このほか、35~44歳では「もっとキャリアアップしたい」、45~54歳と55歳以上では「仕事内容が不満」がそれぞれ転職したい理由の2番目に挙がった。2020年東京五輪に向け、首都圏を中心に建設需要が旺盛になっている。若手技術者の労働時間をしっかり管理しながら現場を運営していくことが、今後、企業の課題になりそうだ。

【基本構想策定や施設マネジメント支援】山下PMC、スポーツ関連施設分野の対応強化

山下ピー・エム・コンサルタンツ(山下PMC、川原秀仁社長)が、スポーツ関連施設分野への対応を強化している。

 プロスポーツ施設建設の基本構想策定業務など、これまで手掛けたプロジェクトは進行中を含め70件弱(9月現在)と、昨年同時期の約4倍に達した。

 2020年東京五輪開催に向け国内のスポーツ熱が高まる中、豊富な経験を強みに、高収益で地域のにぎわい創出にもつながる最適な施設づくりを支援する。

 同社は、施設戦略や運営管理までカバーする総合的なプロジェクトマネジメントのサービス体制を構築。発注、設計、施工、運営管理に至るプロジェクトの全段階で顧客に寄り添ったサービスを提供し、数々のプロジェクトを成功に導く中、ここ数年はスポーツ関連施設の整備に伴うマネジメント業務の受託が急増しているという。

 直近の実績には、「北海道日本ハムファイターズ新球場建設構想調査検討サポート業務」「京都スタジアム(仮称)運営権PFI事業導入可能性調査業務に関わる技術的支援」「(仮称)JFAナショナルフットボールセンター建設に伴うCM業務」「横浜スタジアム増築・改修計画CM業務」などがある。

 この分野で国内トップシェアを誇るが、PR活動も強化。9月12~14日に千葉市美浜区の幕張メッセで開かれた「スタジアム&アリーナ2017」に、昨年に続きブースを出した。

 英国メディアのアラッド・リミティッドが主催する国際的なイベントで、日本での開催は2回目。同社のブースを訪れた人は昨年より3割増で、プロスポーツの運営者をはじめ、行政、メーカー関係者が目立つという。

 スポーツ産業は、インバウンド(訪日外国人旅行者)を取り込む観光分野と並ぶ日本の成長戦略の一つ。市場規模を、現在の5・5兆円から2025年には15・2兆円に拡大するとの方針が打ち出され、同社は次世代スポーツビジネス創出の施設参謀役を担う。

 川原社長は「競技者のためだけの単なるスポーツ施設ではなく、観光やインバウンドを見据え、ホテルや商業施設を組み合わせた提案もしていきたい。バスケットボールの試合会場の横でバーベキューをしたり、子どもがプールで泳いだりと、プレーや観戦だけでない、人々が集う場を提供していきたい」と話している。

【聖橋や緑橋防潮水門など23件】17年度選奨土木遺産決まる

 土木学会(大石久和会長)は25日、17年度の「土木学会選奨土木遺産」として23件を選定したと発表した。関東大震災の復興橋梁として建設された「聖橋」(東京都)や、大正時代の石材とれんがを使った防潮堤と橋を兼ねた「緑橋防潮水門」(三重県)などが選ばれた。江戸時代から昭和40年代までに整備された現存する土木施設を対象に、社会へのアピールやまちづくりへの活用といった観点から選奨土木遺産選考委員会(小林一郎委員長)が審査を行った。

 17年度の土木学会選奨土木遺産は次の通り(▽件名=〈1〉所在地〈2〉完成年〈3〉選定理由)。
滝の上発電所施設群(北海道夕張市)
滝の上発電所施設群=〈1〉北海道夕張市〈2〉1925年(2014年改修)〈3〉落差のある岩盤に竪坑を設けた落水方式を採用し、改修を経て地域に貢献し続ける水力発電所

 ▽網走橋=〈1〉北海道網走市〈2〉1934年(1974年改修)〈3〉80年以上に渡り国道橋として活躍する北海道内で現存最古のゲルバー鈑桁橋
聖橋(東京都千代田区・文京区)
聖橋=〈1〉東京都千代田区神田駿河台四丁目~文京区湯島一丁目〈2〉1927年〈3〉関東大震災の復興橋梁として、土木と建築分野でそれぞれ大家となった山田守と成瀬勝武の設計で建設された鉄骨コンクリートアーチ橋

 ▽京浜港ドック=〈1〉横浜市神奈川区山内町〈2〉1926年〈3〉近代横浜港の整備に大きく貢献した土木遺産

 ▽JR上越線清水トンネル関連施設群=〈1〉群馬県みなかみ町~新潟県湯沢町〈2〉清水トンネル等(1931年)、新清水トンネル等(1967年)〈3〉トンネル掘削技術の進歩と貴重なループ線を今に伝える貴重な土木遺産
万内川砂防堰堤群・日影沢床固工群(新潟県妙高市)
万内川砂防堰堤群・日影沢床固工群=〈1〉新潟県妙高市〈2〉1921~1934年〈3〉現地産の石を極めて精巧に組んで作られた石積み構造の堰堤

 ▽亀甲橋=〈1〉山梨県山梨市〈2〉1933年〈3〉昭和8年に架橋された県内で珍しい3連の下路式アーチ鋼橋

 ▽東武鉄道渡良瀬川橋梁・砥川橋梁=〈1〉栃木県佐野市~群馬県館林市(渡良瀬川橋梁)、栃木県日光市(砥川橋梁)〈2〉渡良瀬川橋梁(1914年頃)、砥川橋梁(1896年製、1946年転用)〈3〉英国製から米国製への移行期以降の輸入トラス2橋で、歴史的風格を醸す土木遺産

 ▽里川水系水力発電所群=〈1〉茨城県常陸太田市、同日立市〈2〉1908年~1926年〈3〉茨城県で最初に電源開発された水系にかかる発電所群

 ▽玉川橋=〈1〉埼玉県ときがわ町〈2〉1921年竣工、1987年度高欄改装〈3〉大正10年に完成した清流・都幾川に架る埼玉県最初のRCアーチ橋
緑橋防潮水門(三重県御浜町)
緑橋防潮水門=〈1〉三重県御浜町市木〈2〉1918年〈3〉熊野灘に注ぐ市木川の河口部分に建設された防潮堤と橋を兼ねた石材とれんがによる構造物

 ▽駿府御囲堤(薩摩土手)=〈1〉静岡市葵区井宮町妙見下〈2〉1600(慶長年間)年ごろ〈3〉駿府の町を安倍川の洪水から守るために設置され、今でも洪水防御機能を有した貴重な御囲堤

 ▽往生地浄水場=〈1〉長野市西長野往生地1220番地2〈2〉1915年〈3〉長野市の水道創設事業で建設された市内最古の浄水場

 ▽樫野埼灯台=〈1〉和歌山県串本町大島樫野〈2〉1870年〈3〉英国技師ブラントンによる石造洋式灯台で、日本初の回転式洋式灯台

 ▽奈良市水道関連施設群=〈1〉奈良市、京都府木津川市〈2〉1922年。市坂ポンプ所のみ1957年〈3〉意匠的特長に富む高地区配水池、奈良阪計量器室などいずれも創設時の姿を残し現存する貴重な水道遺産群
鵬雲洞・毛見隧道(和歌山市)
鵬雲洞・毛見隧道=〈1〉和歌山市毛見〈2〉鵬雲洞(1991年)、毛見隧道(1925年)〈3〉紀州青石を用いた秀逸な意匠を持つ土木遺産

 ▽前河原橋りょう=〈1〉滋賀県米原市飯〈2〉1889年〈3〉独自規格のれんがによって構築され、スプリングラインに石材の挿入された特徴的構造を持つ歴史的鉄道橋

 ▽竹野川橋りょう・田君川橋りょう=〈1〉兵庫県豊岡市(竹野川橋りょう)、兵庫県新温泉町(田君川橋りょう)〈2〉竹野川橋りょう(1911年〈ラチス桁部分は1920年〉)、田君川橋りょう(1912年〈ラチス桁部分は1922年〉)〈3〉国内で3連現存するラチス桁のうちの2連で、架設当時の橋梁工事事情を現代に伝える土木遺産

 ▽大阪京都間鉄道煉瓦拱渠群=〈1〉京都府西京区(馬場丁川)、長岡京市(七反田、老ケ辻)、大山崎町(円妙寺)、大阪府高槻市(後藤川、奥田ノ端、藪ケ花)、大阪府茨木市(門ノ前、尻戸三)、大阪市北区(樋口暗渠)〈2〉1875年(樋口・円妙寺・馬場丁川暗渠、後藤川避溢橋、藪ケ花跨道橋)、1876年(尻戸三避溢橋、門ノ前跨道橋、奥田ノ端暗渠、七反田・老ケ辻拱渠)〈3〉欠円アーチやねじりまんぽなどの特徴を持つ土木遺産群

 ▽金慶橋=〈1〉神戸市北区有馬町孫七1762の2〈2〉1961年〈3〉構造用強度材としてアルミニウム合金が使用された土木遺産
山陰道の石畳-駟馳山峠・蒲生峠(鳥取県岩見町)
山陰道の石畳-駟馳山峠、蒲生峠=〈1〉鳥取県岩美町〈2〉駟馳山峠(1812年)、蒲生峠(1892年以前)〈3〉通行が困難であった峠道を改良するために施された石畳

 ▽府能隧道=〈1〉徳島県佐那河内村、神山町〈2〉1923年〈3〉れんが積みと飾り石など丁寧な意匠が施された土木遺産

 ▽中島川変流部護岸=〈1〉長崎市〈2〉1889年〈3〉第1次長崎港改修事業の唯一の遺構で、設計や調査にはデ・レーケが携わるなど、歴史的にも貴重な土木遺産。

【記者手帖】AIがもたらすもの

先日、米アップルから最新モデルの「iPhoneX(テン)」が発表された。顔認証で端末のロックが解除できるなど最新技術が盛り込まれた。小さな白黒の液晶画面で、通話ぐらいしかできなかった十数年前の携帯電話とは雲泥の差だ◆技術の進歩は暮らしや企業活動に変化をもたらす。中でも最近、注目を集めているのがAI(人工知能)。日進月歩の勢いで活用が進められている。先日、ある講演会で車の自動運転へのAI活用に関する話を聞いた。車体の全方向を認識できるカメラを取り付け、人の飛び出しや信号の確認、障害物の検知などを瞬時に行う。人が運転するよりも安全という◆さらに驚かされたのは、現在ある仕事の約半分はAIによって支配されるというのだ。われわれ記者の仕事も例外ではなく、AIに代替される仕事の一つに入っていた。これからはAIと競争する時代になるのかもしれない◆だが、人にしかできないことは多くある。それは血の通ったコミュニケーション。こんな時代だからこそ、人と人とのつながりをさらに大切にして取材に臨みたい。(敬)

2017年9月25日月曜日

【プールは民活導入検討】宮崎県、国体施設整備400億円の事業費見込む

宮崎県は2026年に開催予定の2巡目国体に向け計画しているスポーツ施設の整備方針を県議会常任委員会に報告した。陸上競技場と体育館は建設地の各市と共同で整備し、プールはPFIなど民間活力の導入を検討する。類似施設を参考にした概算事業費は3施設と県総合運動公園(宮崎市)の津波対策で総額395億~415億円程度を見込む。今後、1年ほどかけて基本計画の策定を進める。

 整備方針によると、都城市の山之口運動公園に整備する新たな陸上競技場は市が用地提供と付帯施設などの整備、県が用地造成と競技場などの整備を行う。

 主競技場の観客席は1万5000~2万人規模。国体開会式では3万人分が必要となるため不足分は仮設対応を検討する。大規模大会に対応するため駐車場を追加整備する。概算事業費は競技施設が120億円程度、用地造成が60億円程度、駐車場が20億円程度の計200億円程度を見込む。

延岡市の市民体育館敷地に計画する体育館は市が用地を提供し、施設は県と市で共同で整備する。観客席の規模は荒天時の開閉会式会場として使用するかによって設定する。

 概算事業費は競技施設が70億円程度、用地造成が15億円程度の85億円程度。荒天時の開閉会式会場とせず観客席の規模を縮小する場合は整備費も減額となる。体操やスポーツクライミングなど特殊設備の整備のあり方は基本計画の中で検討する。

 プールは民間との連携により整備費や維持費を抑える方向で、宮崎市内の県有地に全屋内プールを整備する手法の可能性や整備内容を市と協議する。全屋内が難しい場合は一部屋外として整備する。

他県の例で一部屋外とした場合の整備費は30億~50億円程度。民間との連携により費用を抑えられれば競技場プールや補助プールなどすべてを屋内施設として整備する。県総合運動公園または錦本町県有グラウンドの2カ所を挙げていた整備場所は民間との連携の可能性と併せて検討する。

 県総合運動公園が競技会場となる場合は、必要な施設基準確保のため既存施設の改修などを行い、南海トラフ巨大地震への備えとして津波避難施設を追加整備する。工作物を想定して試算した津波避難施設の整備費は80億円程度を見込む。県では今後、コンサルタントに業務委託し、より詳細な施設配置や規模、仕様の検討、事業費の試算などを進め、おおむね1年程度かけて基本計画を策定するとしている。

【女子パトレンジャー見参!!】加藤建設(愛知県蟹江町)、女性目線で現場の作業環境改善

 加藤建設(愛知県蟹江町、加藤徹社長)は、建設現場の環境改善を進めるため、女性社員で構成する「女子パトレンジャー」(女子パト隊)を編成し、活動を展開中だ。

 女性の目線で建設現場の作業環境を改善してもらうのが目的。現場のトイレや休憩所の装飾をはじめ、自社が進める環境改善活動「エコミーティング」などにも参加し、建設現場の環境改善策やイメージアップ対策、環境対策などを提案し、実践している。

 女子パト隊は昨年2月に設置。当初、自社の現場を訪ね、作業環境の評価などを行っていたが、誰もが働きやすい現場環境を具体的に提案し、それを現場の担当者と相談しながら実施するように活動を変更した。

 例えばトイレの出入り口が外から見えないように目隠しパネルを設置したり、殺風景な現場事務所や休憩室に装飾した鍵掛けやハンガー掛けなどを設けたりしている。野外の休憩スペースも木調パネルで囲い、ベンチや椅子、さらには植物なども置き、作業員がくつろげる空間を創出している。

 現在、本社の女性事務系職員5人で構成。東京支店にも同様な組織を今年に入り設けた。同社では女子パト隊の活動を本格化させるため、各担当者を漫画で描いたイメージポスターを作成した。

 現場で働く人たちの声を聞きながら、多くの現場に女子パト隊を派遣し、現場の作業環境の改善に取り組む方針だ。

【回転窓】観戦力を鍛えてみよう

女子テニスの世界ランク4位まで上り詰めた伊達公子さんが引退した。1996年にいったんコートを離れたが、2008年に37歳で現役復帰。けがを抱えながら9年半にわたって世界最高峰の舞台で輝きを放ち、2度目の引退を決断した▼「得意だから」との理由で、主導権を握りやすいサーブよりレシーブを好んだ。上がり際のボールをたたく「ライジングショット」が代名詞。テンポを変えてボールを打ち返す特技は、観客だけでなく相手選手も魅了。まねをしたテニス愛好家も少なくない▼最初に世界ランク上位に躍り出たのは90年代初頭。日本人がテニスでも世界を相手にできることを実証し、メディアやファンとプロスポーツ選手の向き合い方にも新風を吹き込んだ▼ゴシップ記事を書いたメディアには「取材は受けません」と言明。日本での熱戦中、ボールをネットに引っ掛けた際に客席から漏れた「あぁ~」のしぼみ声に、「ため息ばっかり」と叫び返し、落胆より鼓舞を求めた▼世界のトップ選手の試合を間近に観戦できる東京五輪まで3年弱。迎える側として観戦する目と姿勢をさまざまな競技で鍛えたい。

【凜】長谷工コーポレーション・足立佳葉さん

 ◇目標は1級建築士と現場所長◇

 父親の実家が姫路城(兵庫県姫路市)の近くにあり、よく遊びに行っていたことで、世界遺産などの古い建物に興味が湧いたという。大学はデザイン工学部建築学科に進学し、古い建物の調査などを行った。

 就職活動の時期に差し掛かった時、ゼネコンで施工管理に携わりたいと考えていた。「長谷工コーポレーションに女性の現場所長がいると聞き、入社を強く希望した」という。

 今年で入社3年目を迎える。これまで、東京都内のマンションの建設現場に配属され、コンクリートや内装の工程管理などに携わった。「竣工直前の内覧会に参加した時、自分が施工に携わったマンションを見てお客さまが喜んでくれた時に大きなやりがいを感じた」と笑顔で話す。

 現在は、横浜市金沢区で施工中の新築マンションの建設現場で、仮設と鉄筋、コンクリート型枠の管理などを任されている。仕事に打ち込む熱心さでは人に負けないつもりだが、「職人さんから専門的な質問をされた時に、自分の知識不足から即座に答えられず、もどかしさを感じることも少なくない」という。「今後は、現場での知識不足を少しでもカバーし、自信を付けたい」。

 「1級建築士の資格取得にも挑戦したい」と意気込みを語る。「将来は、現場の方から信頼される技術者に成長し、所長になる」のが目標だ。

 (建設部門第三施工統括部、あだち・かよ)

【サークル】ライト工業 フットサル同好会

 ◇目標は年末の大会、若手加え雪辱果たす◇

 フットサル同好会が発足したのは約15年前。社内のサッカー好きの有志が集まって活動を開始した。メンバーは8月時点で約20人。代表を務める石岡崇さん(財務経理部)は、「部署や年齢は問わず、幅広い社員が参加し、積極的に活動している」と話す。

 活動のモットーは、「健康増進と社内コミュニケーションによる親睦」。練習はコートが取れた所で不定期に行っている。技術を磨くと同時に、試合勘を養うため、他社のチームとの練習試合にも精力的に取り組んでいる。

 毎年5月ごろに開催される東京都土木建築健康保険組合主催のフットサル大会に、昨年から連続して出場している。「今年の大会では成績が振るわなかった。年末に企画される別の大会があるので、雪辱を果たしたい」と石岡さん。

 チームは40代が中心で年々、平均年齢が高くなり、高齢化が目下の悩みだったが、今年は社内の若手が新たに加わった。「フットサルは5人で行う競技。交代要員が多いと、試合中にスタミナが切れて動けなくなる心配もない。社内でもっと声を掛け合い、活動を盛り上げていきたい」と意気込みを語る。

【建設業の心温まる物語】船谷建設・竹内要さん(三重県)

 ◇あんたには現場で助けてもらっていたから◇

 数年前に三重県津市内で、賃貸マンションの建設をしているときのことです。悪天候が続いたことで、長尺シート張りの工事が引き渡しまでに完了できるかどうかギリギリのところまで追い込まれました。もう自分ではどうすることもできないと思い、協力会社に作業員の増員をしてくれるように頼みました。しかし、激しい口論になってしまい、作業員の増員どころか「もう現場から作業員全員を引き上げる」と言われてしまいました。引き渡しまであと2日。目の前が真っ暗になりました。

 工事を完成できなかったらお客様に対して、どのようにして責任をとればいいのかを考えながら現場前の歩道をとぼとぼと歩いていました。すると偶然、口論になった協力会社の方が車で通りすぎたのを見かけたのです。ダメもとで、思い切って携帯電話に連絡をしました。

 「嫌な思いをさせて申し訳ありませんでした。どんなことでも手伝いますから、作業を進めていただけませんでしょうか」と何度も何度もしつこく頼みました。すると「そこまで言うなら、なんとかしてやる」と言ってくれたのです。そして他の現場で作業している職人さんを数人呼んでくれ、なんとか間に合わせてくれました。

 工事終了後、その方に「なぜ最後の最後で助けてくれたのですか」と聞いたところ「あんたには普段から現場で助けてもらっていたから気になっていたんだよ。そうしたら、電話がかかってきて真剣に頼まれたから放っておけなかった」と言われました。その言葉を聞いて、普段の行いが大切なこと、そして工事に携わる方々の優しさに心が温まりました。

【建設業の心温まる物語】前田道路中部支店・前田亮太さん(愛知県)

 ◇いつの日か「父のような父」になりたい◇

 私がこの建設業界に入ったきっかけは「父」と「祖父」の存在です。祖父が立ち上げた建設会社を父が継いでいます。子供のころから2人が働く姿を見てきました。

 父は昔から私には「自分のやりたいようにやれ」と言って大学生まで好きなようにさせてくれました。そのおかげでずっと本格的に野球を続けることができました。

 父の会社は舗装工事、外構工事を主体として行っており、私が現在勤務する会社が発注する工事も協力会社として施工しています。私の就職が決まってからも、アルバイトとして父の会社で地元の国道のバイパス拡幅工事を施工しました。元請現場監督と仕事の話をしている父、測量をしている父。一緒に地元を車で移動しているとき、「あそこはうちが施工した」と誇らしげに語る父。その全てがかっこいいと思いました。

 昨年の夏季休暇にて地元に帰った時、私が関与した国道が完成していました。地元の人なら誰もが通るバイパスを私も協力できたという喜び、そして誇らしい気持ちは忘れられません。

 今では建設会社に入社して一年が経ちました。実家に帰ると父と仕事の話ができるようになりました。父はそんな私の話をじっと聞いてくれ、私はすごくうれしく思います。今後も祖父、父、私の三代で建設業について話をしていきたいと思います。今は私が働く静岡と祖父、父のいる広島とで離れていますが、いつか一緒に仕事をすることが私の夢です。

 いつの日か「父のような父」になりたいです。

【建設業の心温まる物語】地下室・坪崎陽一郎さん(東京都)

 ◇父の感じていた感動◇

 私の父は、個人で一級建築士事務所をしていました。私は幼いながら、当時、父の収入はかなり波が激しく、多い時と極端に少ない時の差がとても激しかったことを覚えています。そのため、父は親族から「仕事を変えろ」とよく言われていました。そのため私も、建築業だけは絶対やりたくないと思っていました。

 私は学校を卒業して以来、建築業とは異なる業界で働いていました。事情があり、転職を考えているとき、ふと父の仕事ぶりを思い出しました。父はあんなにも親族たちに反対されていたにもかかわらず、なぜ設計の仕事を続けてきたのだろうか。そしてなぜ今まで続けることができたのだろうか。それまで考えたこともなかったのですが、父の気持ちが不思議に感じたのです。

 私が小さいころから通っていた夫婦で経営している病院は、父が昔設計した建物でした。そのご夫婦に会うと今でも「良い病院を建ててもらってよかった」と言ってくれます。もう建築して30年以上経つにも関わらず、綺麗に使っていただいています。また父が設計したビルや総合病院も、現在も立派に残っています。父の仕事は長いあいだ、人の心や街に残り続けている素晴らしい仕事だと改めてわかりました。

 その後、私は建設会社に就職しました。現在までに何件か引き渡した物件があります。そのうちの1件の住宅にメンテナンスに伺ったときのことです。お施主様が「本当に良い家を作ってくれてありがとう」と言ってくださり、飾ってある一枚の木彫りプレートを見せてくれました。そこには私も含め施工に携わった大工さん、職人さんの名前が彫ってありました。

 それを見た時、父が感じていた感動を少しでも感じることができるようになったのだ、と思いました。

【駆け出しのころ】松尾工務店専務取締役工事統轄本部長・松本文明氏

 ◇技術者のプライドを教えられる◇

 入社して最初に配属された現場は、神奈川県内のマンション建築工事でした。ここで先輩と一緒に墨出しをしている時のことです。風が吹いて飛ばされそうになった図面をとっさに足で踏んで押さえると、その先輩から「貴様、神聖なる図面を踏むとは何事だ!」とものすごい勢いで怒られたことがありました。

 突然のことでびっくりしましたが、すぐに意味が分かりました。当時の施工図は職員が自らの手で書いていましたので、一枚一枚に対する思い入れが強く、技術者としてのプライドが詰まっていたのです。それを新人が踏んだのですから、怒られても当然でした。

 入社2年目になり、大学の夜間(二部)に通い始めました。入学試験に合格するまでは誰にも言わず、合格してから会社にお願いして認めていただきました。高校時代はレスリングに熱中し、そのまま進学せずに就職することを選んだため、社会人になってから勉強したいという思いが強くなっていました。

 在学中は一日の仕事を必ず終えてから大学に行くようにしていました。次第に大学での課題が増え、仕事との両立に悩んだ時期もありました。でも「良い成績を残そうと思わず、とにかく卒業しよう」と割り切ると、次第に気持ちが楽になっていったのを覚えています。卒業できたのは会社の理解と協力があったからです。通っている時はかなりのプレッシャーがあったのか、30代半ばの頃まで、「あの単位が足りない」と焦っている夢をよく見たものです。

 初めて所長を任されたのは28歳の時で、学校の体育館建設工事でした。発注した物が所定の時期までに納入されず、そのメーカーに出向いて「遅れて余計にかかる費用を負担するという念書を書いてほしい」と直談判したこともあります。今振り返ると、若造だった自分がよくそんなことを言ったものだと思いますが、ある工程が遅れた責任を後工程の人たちに負わせるわけにはいきません。それに卒業式までに工事を完成させることが必達目標でしたから、とにかく「何とかやり切らなければ」という考えで動いていたのでしょう。

 若い人たちには、人と人との触れ合いを大切にしてほしいと思っています。相手が何を考えているかというのはメールだけでは分かりません。建設は一人でできる仕事ではなく、人と接しながらいろいろなことを吸収していってほしいと思います。

 現場にはうるさくておせっかいな親方がいたものです。でも心はとても温かい人たちです。私たちは「おやじ」と親しみを込めて呼べるこうした人から多くのことを学びました。これからも現場にはそんなおやじさんがもっといてほしいと願っています。

 (まつもと・ふみあき)1976年長崎県立島原工業高校建築科卒、松尾工務店入社。82年関東学院大工学部第二部建設工学科卒。積算部長、第一建築部長、執行役員、取締役、常務建築本部長を経て、16年4月から現職。長崎県出身、59歳。
入社3年目、神奈川県内の現場で

2017年9月22日金曜日

【中学生と高校生が応募できるよ】建コン協、フォト大賞Jr.の作品募集開始

建設コンサルタンツ協会(建コン協、村田和夫会長)は、第5回「建コンフォト大賞Jr.」の作品募集を開始した。

 中学生、高校生を対象に土木施設の役割を広く知ってもらうことなどを目的に実施している写真コンテストで、「土木施設を探せ」がテーマ。最優秀賞(1点)には賞状と副賞として2万円相当の図書カードが贈られる。

 応募は1人1点(他のコンクールなどで受賞歴のないもの)。締め切りは11月15日。募集要項などは建コン協のホームページに掲載している。

 入賞者への通知は来年2月末までにメールで行い、入賞作品は来年4月に協会誌「Consultant」と協会ホームページで公表する。建コン協は全国の1053校の写真部に写真コンテストの実施を周知したとしている。

【青森市に水泳連盟公認プール】新総合運動公園水泳場PPP・PFI事業FS業務、みずほ総研に

青森県は、日本水泳連盟公認の競泳プールとして新青森県総合運動公園(青森市宮田)に計画している水泳場の整備で、PPP/PFI事業可能性調査業務をみずほ総合研究所に委託することを決めた。簡易公募型プロポーザルで最優秀に選定した。

 委託業務名は「新青森県総合運動公園水泳場PPP/PFI事業可能性調査業務」。県内に日本水泳連盟公認の屋内プールがないことから、25年度に開催予定の国民体育大会に合わせ、同公園(62・6ヘクタール)の既存屋内プールの隣接地に水泳場を整備する。競泳と水球競技に対応する屋内温水プール(縦50メートル×横25メートル、水深2メートル以上、10レーン)で、仮設を含めて3000人以上を収容するスタンドを設置する。

 業務では、水泳場の概要や機能を整理し、民間活力の導入による整備の可能性について調査を行い、最適な事業スキームを整理する。PFIに限定せずにデザインビルド方式なども検討する。

 具体的には基本計画の検討支援や運営計画の検討、想定事業スキームの抽出・整理、民間事業者ヒアリング、VFM(バリュー・フォー・マネー)の算定、最適事業スキームの抽出が主な業務となる。履行期間は18年3月9日。

【総重量は350t!!】IIS、八ツ場ダム建設で放流管引き込み完了


 国土交通省関東地方整備局が群馬県長野原町の吾妻川で進めている八ツ場ダムの本体建設工事(施工=清水建設・鉄建建設・IHIインフラシステムJV)が大きな節目を迎えた。設備工事を担当するIHIインフラシステム(IIS)が、常用洪水吐き設備(主ゲート)に使用する放流管の設置作業を完了させた。常用洪水吐き設備は、ダムの洪水調節機能を担う最重要設備の一つ。放流管は堤体付近で組み立てられた後、慎重に設置作業が進められた。

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【回転窓】異分野交流の果実

太陽光発電と農業を両立させる「ソーラーシェアリング」が全国に広がっているそうだ。人気の理由は農産物と売電による二つの収入が期待できること。天候不順による不作や外国産との価格競争に備える農家に新たな収入源を生み出すことは、後継者確保にも役立つとみられる▼ソーラーシェアリングは農地に高い支柱を立てて太陽光発電設備を設置。下部空間で作物を育てる。営農の邪魔にならない支柱配置やパネル下に日差しを通す工夫が必要になる▼そうした農家のニーズに合わせた仕様を実現するのは多くが建設業だ。工夫の成果は、野菜、果物など多品種の生産が可能なことに表れている▼同様のシェアリングの発想は下水処理場や道路の上下部空間の活用など建設分野にもあるが、実施例は少ない。土木と建築の融合も実現のカギの一つだが、普段は両分野の技術者の交流は多くないようだ▼一つの事業にさらなる付加価値を与えるには1人より2人、2人より3人の発想を持ち寄ることが有効だ。異分野の発想が交われば新たな社会資本整備の可能性も広がる。国には異分野交流を促す事業の実施も期待したい。

【積女ASSALだより】大成建設・坂上菜奈子さん


 ◇「三つの目力」を大切に◇

 概算仕上げ積算に9年携わった後、現在はプロジェクトの川上段階で過去案件のデータ分析に基づく超概算積算を担当しています。

 ビジネスの「三つの目」は積算業務でも不可欠です。

 「蟻(あり)の目」のように、一つ一つ数量と単価を正確に積み上げる目。「鷹(たか)の目」のように、構造・仕上げ・設備などの区分を越えてプロジェクト全体を捉える目、営業・設計・作業所・積算事務所・専門業者といった社内外の組織全体を見渡す目。そしてもう一つは「魚の目」のように、社会情勢を常にキャッチし、物価変動や今後の建設業界を取り巻く環境について先を見通す目です。

 どの案件にも責任を持ってまとめ上げることにやりがいを感じ、また柔軟に、多面的に案件を進められる女性の力を発揮できる仕事だと感じます。積女ASSALの絆や刺激により、さらに「三つの目力」を強くしていきたいと思っています。

 (次回は大洋建設の古畑しおりさんを紹介します)

2017年9月21日木曜日

【回転窓】ボランティアの存在感

災害の被災地ではさまざまな形で支援の輪が広がる。国や自治体などの公的機関が行う「公助」。混乱した初動期に自衛隊や消防が最前線で被災者を救助する役割も大きい▼一方、自らの意思で現地に入り、支援の手を差しのべるボランティア。これも被災地の復旧・復興を後押しする存在として欠かせない。公助にも限界がある中、現場の細かなニーズをくみ取るボランティアの重要性は一段と高まりつつある▼政府開発援助(ODA)の一環で、途上国を中心にボランティア事業を行う国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊。相手側のニーズによって隊員の役割も千差万別。経済発展が著しいタイでは、より高いスキルを持つボランティアの要請が強まっているという▼隊員の佐野かおりさんは、特別支援学校での勤務経験を生かし、ろう学校で聴覚障害児の教育支援や教材制作、各種行事の企画運営に携わる。教員拡充の提案が採用されるなど現地関係者からの信頼も厚いようだ▼ボランティアを難しく考えず、まず一歩、行動に移す。地域に根付いた継続的支援が国際社会で日本の存在感を高めることにつながる。

【こちら人事部】熊谷組「『一流』目指す人求む!!」


 ◇会社を好きになってしなう会社◇

 1898年創業で、来年2018年に120周年を迎える熊谷組。採用を担当する管理本部人事総務部人事グループの沼口宣江課長は、「みんなが協力して一つのものを造り上げていくのがゼネコン。ものづくりに興味があること、好きであることに加え、主体的に物事を考えられる人、自ら積極的に行動できる人に来てほしい」と話す。

 激しい争奪戦が続く新卒採用活動。採用に対する意識は年々高まっており、同社では出身校別にリクルーターを決めて、大学や専門学校などに積極的に出向いている。「学生と話ができるのを楽しみにしている社員も多い。親身になるあまり、他社の方が合うと感じた学生には正直にそう伝えてしまうリクルーターもいた」。採用担当の白田和之氏は、同社のカラーが伝わるそんなエピソードを披露する。

 会社説明会には、学生と年齢が近い若手社員が職種別に参加し、本音で話し合う機会を設けている。本社では、女性を対象とした会社説明会を文系と理系に分けて今年初めて開催した。他社にはない取り組みで、学生からの評判も上々という。19年春入社の採用活動に向け、採用ホームページの充実も図る予定だ。

 若手の手厚い研修制度にも定評がある。新入社員研修では、ビジネスマナーや仕事の基本、各部門別の研修、現場や技術研究所の見学を行う。その後、各部署・現場に配属され、半年後にフォローアップ研修を実施する。研修を担当する小川武副長は「フォローアップ研修では半年間を振り返ると同時に、3年先を見据え、どのような社員になっていたいかという短期的ビジョンを考えてもらう」と狙いを説明する。

 技術・事務系問わず入社後1年間をOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)活動に当てる。OJTの担当者は入社3~10年目の若手。小川副長は「マンツーマンで後輩を指導することで孤立化を防ぐ。今は背中を見せて育てる時代ではない。自分が育てないといけないという意識付けになり、若手の育成にもつながる」とし、OJT担当者の研修も今年から始めた。

 研修は一般職層から指導職層に昇格する7年目、初級管理職、管理職と続く。「今後の業界を考えると、トップダウンではなく、ボトムアップがより重要になる。社員の変化、挑戦を促す気付きを与える研修を企画している」と小川副長。女性技術者が一堂に会する交流会を昨年から開催するなど、女性のための環境、ネットワークづくりも後押ししている。

 トンネルや超高層ビルなど国内外で数々のプロジェクトを手掛けてきた同社。白田氏は「一流の技術者を目指すなら、ぜひ当社に来てほしい。自分たちの技術力にプライドを持ち、仲間意識も強い。会社のことが好きになってしまう会社」と胸を張る。沼口課長は「今はネット社会。こういう時代だからこそ、自分の足で回り、肌で感じて、自分に合う会社を見つけてほしい」とアドバイスを送る。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】男性70人、女性33人(2017年度実績)

 【3年以内離職率】7・5%(14年度新卒)
 
 【平均勤続年数】男性19・6年、女性12・0年(17年3月末時点)
 
 【平均年齢】42・2歳(17年3月末時点)

【関内・関外地区(横浜市)をスポーツタウンに】三菱総研が構想実現の調査報告書取りまとめ

三菱総合研究所が横浜スタジアム(横浜市中区)を核とした「スポーツタウン構想」の実現に向けた調査報告書をまとめた。

 DeNAグループが計画している同スタジアムの増築・改修事業に連動し、関内・関外地区にスポーツを足掛かりにした①クリエイティビティ②ホスピタリティ③マネジメント-の3機能を導入するプロジェクトなどを実施。「スポーツタウンとしてのブランドを構築し、新事業の創出による経済効果を生み出す」としている。
横浜スタジアム増築・改修の完成イメージ
(ⓒ 清水建設)
同スタジアムの周辺地区で計画するプロジェクトは、DeNAグループが主導する「横浜スタジアム増築・改修」と「旧関東財務局事務所活用(THE BAYS)事業」、行政機関が担う「横浜公園活用事業」と「市役所跡地活用事業、周辺民間開発事業」を連動させる。プロ野球・横浜DeNAベイスターズのブランドやコンテンツを有効活用するほか、DeNAや横浜スタジアムが持つスポーツ・イベントビジネスのノウハウを生かし、関内・関外地区への来訪者を増やしながら、観光消費などの経済効果と地域ブランドの確立を目指す。
横浜文化体育館再整備・メインアリーナの完成イメージ
関内・関外地区では横浜文化体育館再整備事業や大通り公園活用事業といったハードプロジェクトのほか、横浜中華街など既存地域資源との連携、歩行者動線の連続化といったソフト面での取り組みの検討を促す。さらに隣接する横浜港は山下ふ頭地区でのリゾート開発計画が進行中。MM21中央地区はパシフィコ横浜でのイベント・国際会議などの開催、横浜マラソンの実施といった実績があり、こうした事業・取り組みとの連携も図っていく。

 三菱総研はスポーツタウン構想の関連事業として、同地区周辺で検討・計画中のプロジェクトのうち、市役所跡地活用・周辺民間開発事業をピックアップし、スポーツコンプレックスの開発事業が可能かどうかケーススタディを実施した。スポーツ関連のテナントやライフスタイル型・高単価型ホテルが入る延べ1万3000㎡の複合施設を建設した場合、施設建設の初期投資、スポーツ観戦や飲食、観光などの経済効果に加え、関内・関外地区に年間58・2万人の来訪者増が見込めると試算。複合施設の完成後2年目から事業の経常収支は黒字転換できると見ている。

 JR関内駅もスポーツタウン実現でキーポイントになると指摘。都心部回遊軸・交通結節点としての機能強化を図りながら、横浜スタジアム、横浜文化体育館、周辺民間街区との連続性を高めることで、地域価値の向上につながるとしている。

スポーツタウン構想による経済面の定量的効果は、構想実現による地価上昇で863億円(関内地区)、横浜スタジアムの観客増で年間8億円(27万人)、イベント開催で年間51億円(147万人)、新規商業施設の整備・運営で年間42億円(145万人)、横浜文化体育館再整備で年間13億円(41万人)などと試算する。

 かつては業務や商業が中心だった関内・関外地区の役割をスポーツ・観光に転換することで、横浜の経済活動に大きく貢献できると結論づけている。

 この調査は経済産業省の16年度「観光資源等を活用した地域高度化計画の策定等支援事業(魅力あるスタジアム・アリーナを核としたまちづくりに関する計画策定等事業)」として実施した。

2017年9月15日金曜日

【回転窓】施策を進めるための「うねり」

公共工事品質確保促進法、建設業法、公共工事入札契約適正化法を一体で改正した「担い手3法」。14年5月に国会で成立してから3年数カ月が経過した▼3法に規定された事項は着々と進展している。先日、自宅に届く地元自治体の議会だよりを見ていたら、3法を巡る質疑が報告されていた。公共工事品確法に明記された「適正利潤の確保」などに対する認識が地方レベルでも浸透してきた表れだろう。施策が法律に基づく事項かそうでないかの差は大きい▼行き過ぎた価格競争の防止、「安ければよい」という意識の改善、そして将来にわたる担い手確保。建設産業が直面する課題に応えようと、政治と行政、業界それぞれの思いが「うねり」となり、全会一致で法律が可決・成立した意義は今もって大きい▼建設業の働き方改革が連日話題を呼んでいる。長時間労働の解消と現場で働く人たちの休日の確保。それには、業界の自助努力は当然として、行政のバックアップ、そして民間を含めた発注者の理解と協力が欠かせない▼それらが大きな「うねり」となれば、困難も乗り越えられるはずだ。そのことに期待したい。

【カスリーン台風から70年】埼玉県加須市長・大橋良一氏に聞く「治水対策のあり方は」

 ◇人を守る公共事業を◇

 1947年9月のカスリーン台風による大雨で、埼玉県加須市の利根川本川の堤防が決壊し、広大な地域が水没する事態となった。同市の大橋良一市長は、直前の同5月に市内で生まれ、両親などから水害の恐ろしさを聞かされてきたという。治水対策がなぜ必要なのか。利根川上流カスリーン台風70年実行委員長も務める大橋市長に聞いた。

 --利根川の治水対策をどう見ている。

 「当時の記録を見るにつけ、治水対策の重要性を改めて感じている。利根川は大河川であり、被害の大きさは他の河川とは比べものにならない。必要な治水対策は講じられてきているが、関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊したように、支流を含めてまだ十分ではない。堆積している土砂の除去なども必要だと感じている」

 「加須市には、利根川の右岸と左岸の両方が含まれる。右岸側は、カスリーン台風の時のように決壊すれば東京側へと水が流れていく。一方、利根川に渡良瀬川が合流する左岸側は、洪水が起きると、水がどんどんたまり、利根川の水位が下がらなければ水がはけない。対策も場所によって違う視点で取り組まなければならない」

 --広域的な観点も重要では。

 「水害の時には、水が来ないところに逃げなければならない。水がたまってしまう左岸側は、特に広域避難の必要性が高い。今年初めて市内での広域避難訓練を行った。バスで移動してもらったが、高齢の方など一人一人の状況が違い、短時間で避難してもらうためには、相当なシミュレーションを重ねなければならないと感じた。広域避難のためのアクセスも確保する必要があり、これから要望していく。(国土交通省関東地方整備局と利根川中流域5市町らで)広域避難協議会を立ち上げた。運命共同体として助け合うべきで、そうした共通認識に立っている。参考となるような枠組みを作りたい」

 --利根川水系全体で意識を高める必要がある。

  「上流部では傾斜もあり、水がどんどん流れていくが、下流に行けば行くほど、流れが緩やかになり、水位も高くなる。下流で雨が降っていなくても、上流の大雨が原因で下流が決壊する可能性もある。本当の意味で対策が必要なのは、(人口などが多い)中・下流のはずだ。ただ、大きい河川だからこそ、水害が起きるまで準備の時間もある。落ち着いて対応すれば、命は守ることができる。命は必ず守るという意識でやらなければならない」

 --カスリーン台風で印象に残っている言葉は。

 「『人間はもとより馬や牛、家、すべてを洪水は流してしまう。しかも、誰も抵抗できない』と聞かされてきた。起きてしまえば止めることができないし、(人を)助けようとしても助けられない。『公共事業は悪』のような話があるが、人を守る公共事業はやっておくべきだ。(戦前に)戦費優先であのような結果になった。洪水は、すべてをゼロにしてしまう。想像力を働かせて対応しなければならない。教訓をしっかり伝えていきたい」。

【橋好きな方必見、いくつ集められる?】北海道道路メンテ会議、「かけ橋カード」発行

 北海道開発局と北海道、札幌市、東日本高速道路北海道支社で構成する「北海道道路メンテナンス会議」は、北海道内にある橋梁の基本情報などを盛り込んだ「北海道かけ橋カード」を発行する。

 カードは全部で13種類あり、16日から道内の道の駅やパーキングエリアなど、橋梁の所在地付近13カ所で無料配布する。かけ橋カードを通じて、老朽化が進む橋梁の維持管理や安全への取り組みについて広く発信したい考えだ。

 北海道道路メンテナンス会議では、道路インフラの現状や老朽化対策の必要性に対する理解を深めてもらう目的で、橋の長寿記念イベントやパネル展、現場見学会などを実施しており、そうした活動の一環として「北海道かけ橋カード」を作成することにした。

 カードを発行する13橋は、北海道開発局、北海道、札幌市、東日本高速道路が全道各地で管理する橋の中から長寿命の橋を選定した。

 カードは表面に橋梁の写真をレイアウトし、裏面では橋梁に関するエピソードや維持管理の経緯などを紹介している。

 カードの種類と配布場所は次の通り。

 ▽上姫川橋=道の駅YOY・遊・もり(森町)

 ▽古平橋=道の駅スペース・アップルよいち(余市町)

 ▽旭橋=道の駅あさひかわ(旭川市)

 ▽幌別橋=道の駅ウトナイ湖(苫小牧市)

 ▽網走橋=道の駅流氷街道網走(網走市)

 ▽猿骨橋=道の駅さるふつ公園(猿払村)

 ▽岩尾内大橋=道の駅絵本の里けんぶち(剣淵町)

 ▽天塩河口大橋=道の駅てしお(天塩町)

 ▽茂岩橋=道の駅うらほろ(浦幌町)

 ▽厚岸大橋=道の駅厚岸グルメパーク内観光案内窓口(厚岸町)

 ▽錦橋=定山渓観光案内所(札幌市)

 ▽千歳川橋=輪厚パーキングエリア(PA)上り・下り(北広島市)

 ▽張碓大橋=金山PA上り・下り(札幌市)

【落札額313億円、メインアリーナ開業は24年4月予定】横浜文化体育館再整備PFI(横浜市中区)、フジタら10社グループに

メインアリーナの外観イメージ
横浜市は14日、8月29日に一般競争入札(WTO対象、総合評価方式)を開札した「横浜文化体育館再整備事業」の落札者を313億3000万円(税込み)でフジタグループに決めた。PFI事業で2棟の体育施設とホテル、飲食店などを整備・運営する。提案したのは同グループだけ。予定価格は313億8741万円(税込み)だった。

 10月に基本協定、12月に本契約を締結する。サブアリーナは20年10月下旬、メインアリーナは24年4月の供用開始を目指す。事業期間は39年3月31日までを予定している。

 グループの代表企業はフジタ(統括管理、設計、建設)、構成員は電通(統括管理、運営)、梓設計(設計、工事監理)、大成建設(設計、建設)、馬淵建設(建設)、渡辺組(建設)、川本工業(建設)、横浜市体育協会(運営)、日本管財(維持管理、修繕)、スターツコーポレーション(運営、民間収益事業)。
サブアリーナの外観イメージ
協力会社としてアーキボックス(設計、工事監理)、ハリマビステム(維持管理)、電通東日本(運営)、テレビ神奈川(運営)、神奈川新聞社(運営)、横浜エフエム放送(運営)、ディー・エヌ・エー(運営)、横浜アリーナ(運営)、その他企業として日本海員掖済会(民間収益事業)が参画する。スターツコーポレーションはホテル、飲食店などの整備運営、日本海員掖済会は病院を整備・運営する。

 現文化体育館の敷地(中区不老町2の7、面積1万1014平方メートル)と隣接する旧横浜総合高校跡地(中区翁町2の9の10、面積8280平方メートル)の2カ所の市有地を使い、メインとサブの二つのアリーナを備えた体育施設をBTO(建設・移管・運営)方式のPFI事業で整備・運営。併せて民間収益施設の整備・運営事業を民間事業者の独立採算で実施する。
メインアリーナとサブアリーナの鳥瞰図
提案によると、現文化体育館敷地に建設するメインアリーナはRC一部S造3階建て延べ1万5514平方メートル、高校跡地のサブアリーナ(横浜武道館)はRC一部S造4階建て延べ1万4514平方メートルの規模。民間収益施設は、メインアリーナ敷地に建設する施設がS造7階建て延べ4158平方メートルの規模でホテル、飲食店、店舗、駐車場が入る。サブアリーナ敷地の施設はS造7階建て延べ2577平方メートルの病院となる。

 設計・建設・開館準備期間はサブアリーナが12月から20年10月下旬。メインアリーナが12月から24年3月までを予定している。
サブアリーナ㊤とメインアリーナの内観イメージ

【桜スタジアム構想など4件選定】スタジアム・アリーナ改革推進事業、1期公募の採択先決まる

桜スタジアムの完成イメージ
(ⓒ 2016桜スタジアム建設募金団体)
スポーツ庁は、多機能・複合型スポーツ施設整備で、地域の計画づくりを後押しする。本年度創設した「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の1期分として14日、浦建築研究所ら4者を採択したと発表した。事業計画策定に向けて設ける官民連携協議会の開催費、関連調査費に充てる補助金(500万円程度)を交付。必要に応じ専門家を派遣し、計画づくりを支援する。4者は事業報告書を作成し、同庁へ提出する。

 同事業で支援を受けるのは▽大阪市▽大津商工会議所▽筑波大学▽浦建築研究所-の4者。大阪市は「大阪市スタジアム・アリーナ官民連携検討会議」を設け、サッカーJリーグ・セレッソ大阪の本拠地「キンチョウスタジアム」(長居球技場、大阪市東住吉区)の改修プロジェクト(桜スタジアムプロジェクト)で、事業計画の策定を進める。

 大津商議所は「(仮称)びわ湖アリーナ整備促進官民連携協議会」、浦建築研究所は「(仮称)金沢アリーナ整備・運営計画官民連携協議会」の窓口で、プロバスケットボール・Bリーグ加盟チームのホームアリーナ整備を想定して計画を策定する。筑波大は「アリーナを核とした街づくり協議会・実務者協議会」を立ち上げ、新アリーナの整備計画を詰める。

 4者が設置する官民連携協議会はスポーツ団体や地方自治体、経済界、有識者らで構成。地域特性に応じた多機能・複合型のスタジアム・アリーナ整備の計画を作るとともに、地域住民や関係者に対してプロジェクトの説明会を開く。

 イベント開催時の動員数や日常的な施設運営、市場規模、整備費や維持管理コストなども具体的に検討し計画に落とし込む。同庁は必要に応じ、マーケティングや設計、施工などの専門家を派遣して協議会の運営を支援する。

 政府は成長戦略の一環として、多機能・複合型で高い収益性が期待できるスタジアム・アリーナの整備推進を掲げている。同庁は17年度、「スポーツ産業成長促進事業」に新規着手。同事業の一つ、スタジアム・アリーナ改革推進事業で委託先を決める公募手続きに入っていた。

 8日には2期分の公募手続きを開始。1期と同様にスタジアム・アリーナ整備の先進事例形成を支援する。採択件数は5件程度を予定。15日午後1時から東京・霞が関の文部科学省内で説明会を開く。10月6日に応募書類の提出を締め切り、審査の上、委託先を決定する。