2020年10月30日金曜日

【回転窓】読書の習慣

  経営者への取材で趣味の話になった時、多くの人が挙げるのは読書。経営のヒントや気分転換に欠かせないという声も多い▼日本財団が全国の17~19歳男女を対象に実施した意識調査によると、コロナ禍で読書量が増えた割合は25%にとどまる。情報や学びを得るツールは、テレビが最も多く、SNS(インターネット交流サイト)、動画投稿サイトが続く。手軽にアクセスできる方にどうしても引き寄せられてしまうのだろう▼日本人の読解力は低下傾向にあると言われる。インターネットで発信される文章は短時間で内容が理解できるよう、分かりやすさを重視する傾向が強い。そうした文章に慣れると読解力が下がり、さらに簡単な文章を求めるという悪循環に陥る▼「短文だけで考えを伝えることを癖にしない」「スマホ離れさせる」-。読解力向上への対策に挙げられた自由意見だ。これは大人にも当てはまる▼11月9日までの2週間は読書週間。電子書籍の普及で選択肢も広がっている。変化の早い時代だからこそ学びや気づき、想像力がより一層必要。その一助として、秋の夜長のひとときを読書に充ててみてはどうか。

【111団体に協力依頼文書】年末年始の休暇分散、国交省が建設業団体に協力依頼

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言を受け、国土交通省は年末年始の休暇分散などについて、建設業団体に協力要請した。会員に広く周知するとともに、提言内容の適切な履行に取り組んでもらうよう求めた。

 新型コロナの感染拡大を防止する一環として、政府は「年末年始は帰省などで感染拡大リスクがある」と判断。分科会の提言を踏まえ、国交省は26日付で不動産・建設経済局名で協力依頼の文書を建設業111団体に通知した。

【東日本大震災から10年】復興庁が専用サイト開設、映像での復興状況発信も

  復興庁は来年3月で東日本大震災の発生から10年を迎えることを受け、震災の記憶や教訓、復興の状況などを発信する専用ポータルサイトを立ち上げた。

 福島と宮城、岩手の3県をはじめ東北地方で行われるイベント情報を集約。東北の魅力を伝えるフォトコンテストやオンラインシンポジウムなどを実施する。動画投稿サイトのユーチューブに公式チャンネルも開設。映像による情報発信も行う。


 ポータルサイトの名称は「~あれから10年。東北の今と、未来~」。フォトコンテストの作品募集を11月上旬から始める。「数字で見る復興」「写真で見る復興」といったコンテンツも公開する予定だ。平沢勝栄復興相は16日の閣議後会見で「随時情報を更新していく予定なので、広く皆さんにご覧いただけると幸い」と話した。

【パックマンの世界を重機で再現】キャタピラー、YouTubeに動画アップ

  キャタピラーは、コンピューターゲームの「パックマン」をモチーフにした動画を公開した。重機を用いて49.5m×55mの大きさの迷路のようなゲーム空間を造成。最新重機を配置してオペレーターが遠隔操作し、ゲームの世界観を再現している。

 パックマンは、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が1980年に発表したゲーム。迷路に配置されたクッキーなどを敵であるゴーストをよけながら食べていく。シンプルな設定やキャラクターのかわいらしさなどが奏功し、日本のみならず世界中で大ヒットし、数多くの続編も生まれた。米国ではテレビアニメが放送され、高視聴率を記録したという。

 キャタピラーが公開したのは、顧客や業界内外の人に楽しんでもらおうと企画・制作している動画シリーズ「Catトライアル」の第9弾。次世代油圧ショベルや遠隔操作機能などを用いることで、ゲーム空間の構築時間を削減したという。動画は特設ホームページから閲覧できる。


【南摩ダムの工事を見に来て!!】水機構、ダム管理事務所予定地に展望広場開設

  水資源機構は11月1日、栃木県鹿沼市で実施している思川開発事業に関連し、南摩ダムの管理事務所予定地に「ダムサイト展望広場」をオープンする。

 思川左岸を造成して作った約3300平方メートルの敷地に展望台や30台収容の駐車場、サイクルスタンドを整備した。工事中の現場が一望できる。同ダムは今後、本体工事が始まる。ダムの完成予想図や解説を掲載したダムカードも配布する。

 南摩ダムの建設予定地は上南摩町。利根川水系の思川をせき止めて約5100万立方メートルを貯水し洪水調節に役立てる。支流である黒川と大芦川との間に導水路と送水路も整備。ダムにためた水を供給して川の渇水を防止する。


 南摩ダムは完成すればコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)として国内最大の規模になる。堤高86・5メートル、堤体積約240万立方メートルなどを計画。現在は大成建設が敷地を造成中。鹿島が「思川開発導水路工事」、奥村組が「思川開発送水路工事」を施工している。

 「南摩ダム本体建設工事」は入札契約手続き中。11月2日に一般競争入札(WTO対象)を開札する予定だ。2025年3月の事業完了を目指している。水資源機構は「多くの人に展望広場へ来て頂き事業を知ってほしい」と話している。

 ダムカードは水資源機構思川開発建設所(口粟野839の2)などで配布する。問い合わせは同建設所総務課へ。

2020年10月28日水曜日

【回転窓】ピサの斜塔とジェットグラウト工法

 5・5度を3・99度に修正。何の角度かというと、イタリアにあるピサの斜塔の傾き。2001年に安定化工事を終え300年はこの傾きで持つという▼斜塔は1173年から約200年かけて建設された。建設中に地盤沈下で傾斜が始まり、傾いたまま完成。伊政府は長年、世界中の技術者に斜塔を安定化する技術協力を求めたが良案はなかった。補修方法が考案され工事着手したのは1990年。600トンの鉛の鋳塊で建物を一時的に平衡させ、鋼製ケーブルで基礎部分を固定した▼22日付本紙最終面にイタリアの学識者が著した書籍の翻訳本『軟弱地盤改良技術 ジェットグラウト工法』(技報堂出版)が掲載された。日本で50年前に開発された技術の解説書がなぜイタリアで書かれたのか▼実は70年代に行われた斜塔安定化国際コンペで同工法(CCP工法)が提案され、優秀案の一つに選ばれた。現地の建設会社が同工法に着目し、開発者と技術協定を結び、その後欧米で普及した▼訳者の1人、中西康晴氏は「国内に専門の研究者がいない」ためこの書籍を翻訳したという。日本の優れた技術なのに…。なんとも悔しい話だ。

【魔女の宅急便などの世界観イメージ】東京・江戸川区、角野栄子児童文学館の基本設計公表

 東京・江戸川区は、児童文学作家・角野栄子さんの作品の世界観を伝える「(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館」の基本設計概要を27日発表した。

 約23億円を投じてRC・S造3階建て延べ1613平方メートルの建物を整備する。「ものがたりの世界」をコンセプトに建築、造園、展示が一体で楽しめるデザインにした。

 建設地はなぎさ公園(南葛西7の3の1)内の敷地約630平方メートル。1階は角野さんの代表作『魔女の宅急便』の世界を再現した展示室、2階が企画展などを開くスペースになる。2階の一部に読書や休憩で利用可能なテラスを設ける。3階はカフェが入る。外装は白、内装は角野さんのイメージカラー・ピンクを基調とした。

 隈研吾建築都市設計事務所が建築、造園をクロス・ポイント、乃村工芸社が展示部分の基本・実施設計を担当している。2021年3月にも実施設計をまとめる。21年度に着工し23年7月末の完成を目指す。

 同日に江戸川区役所で開いた記者会見には斉藤猛区長が出席。建築家の隈研吾氏と角野さんはリモートで参加した。斉藤区長は「作品と自然を通して子どもたちの想像力を育てる場にしたい」と述べた。隈氏は「外装と内装、周囲の景観が引き立つように力を尽くした」、角野さんは「子どもたちにはこの施設から自分の世界を見つけてほしい」と語った。

【日本橋に最上級ラグジュアリーホテル】ウォルドーフ・アストリア東京日本橋、2026年開業へ

  三井不動産は27日、東京・日本橋でのホテル開発に当たり、米ヒルトンとブランディング・マネジメント契約を結んだと発表した。ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」が国内に初めて進出。「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」として2026年の開業を目指す。

 ホテルは三井不が参画する「日本橋一丁目中地区第1種市街地再開発事業」(中央区日本橋1、区域面積約3ヘクタール)で整備する再開発ビルに入る。「C街区」の地下5階地上52階建てのビルのうち、39~47階に入居。60平方メートル以上のキングルームなど、計197室を配置する。三つのレストラン、ラウンジ、屋内プール、スパ、フィットネスセンター、宴会場、チャペルを備える。三井不は再開発事業に伴う権利変換によって、ホテル部分を取得する。

 再開発事業は組合が事業主体となり推進する。11月10日から清水建設(代表)、大林組、錢高組の3者乙型JVの施工で解体工事が始まる。A~Cの3街区に分け、総延べ38万0300平方メートルの複合施設群を建設する。設計は日建設計が担当。21年度に本体着工し、25年度の竣工を目指す。

 三井不の川村豊執行役員ホテル・リゾート本部長は「新たな大規模ミクストユース開発での進出が決まり、日本橋エリアの街づくりの核の一つとなることに期待している」とコメントした。

2020年10月27日火曜日

【回転窓】白物家電の今昔

  高度経済成長期急激に普及した冷蔵庫や洗濯機、炊飯器などの白物家電。今でこそカラフルな製品が増えたが1960年代ころは色は白がほとんどで、この名で呼ばれるようになった▼家事の労力を減らす家電の普及は暮らしのありようを大きく変えた。日本製品は高品質で故障しにくいという評判が世界を席巻し、メーカー各社はさまざまな製品を世に送り出した▼ただ日本メーカーが隆盛を極めた状況も今は昔。価格で他国のメーカーに太刀打ちできず、得意の高機能や多機能は「ガラパゴス化」しているといっても過言ではない▼白物家電市場が活況に湧いているそうだ。日本電機工業会が発表した2020年上半期(4~9月)の白物家電の国内出荷額は1兆3696億円。消費増税の駆け込み需要があった前年同期は下回ったものの、上半期としては1996年度以降で3番目の高水準だった▼好調の理由を同工業会は新型コロナウイルスの流行による巣ごもり消費と1人10万円の特別定額給付金とみる。単価が高くても気に入った製品を求める。トレンドをどう経営戦略に落とし込むか-。企業力が問われているのだろう。

【モデルは久間田琳加さんと小芝風花さん】建災防、年末年始労働災害防止強調期間の啓発ポスター作成


  建設業労働災害防止協会(建災防、今井雅則会長)は、12月1日から来年1月15日までの「建設業年末年始労働災害防止強調期間」の周知に向けポスターを作製した。

 モデルの久間田琳加さんとドラマなどで活躍する女優の小芝風花さんを起用。「無事故の歳末 明るい正月」のメッセージを添え、安全衛生意識を高揚する。

 価格は200円(税込み)。東京からの注文は建災防本部の教材管理課(電話03・3453・3391)、東京以外は道府県支部で受け付ける。

【延べ6.5万㎡、整備費567億円】東京アクアティクスセンター(江東区)がオープン

  東京都は、東京五輪・パラリンピックで競泳などの会場となる「東京アクアティクスセンター」(江東区)の完成披露式典を24日に開いた。施設は2月末に完成。当初は3月に式典を予定していたが新型コロナウイルスの影響で延期していた。

 25日から競技団体による大会利用や練習利用を開始。これで都が五輪に向け整備した新規恒久施設がすべてオープンした。

 式典であいさつした小池百合子知事は「新型コロナウイルスに打ち勝ち、安全・安心に開催できるよう国や組織委員会と連携して万全の準備をしたい」と決意を語った。水温管理に地中熱を活用するなど施設の環境配慮策もアピールした。式典では競泳とパラリンピック水泳、飛込、アーティスティックスイミングのトップ選手らによる「泳ぎ初め」も行われた。

 施設規模は地下1階地上4階建て延べ約6万5500平方メートル。基本設計は山下設計が手掛け、丹下都市建築設計とオーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッドが協力した。実施設計・施工は大林組・東光電気工事・エルゴテック・東洋熱工業異業種JVが担当した。整備費は567億円。


 観客席は仮設を含め約1万5000席。大会後は上層部の仮設席を取り外し、約5000席にスケールダウンさせる改修工事を予定している。都関係者によると、大会運営の簡素化に伴う仮設オーバーレイの計画変更は無い見通し。

 仮設席も既に多くが取り付けられている。仮設オーバーレイ工事は大林組が担当。延期決定を受け現在は中断した状態で、残りは五輪開幕から逆算して仕上げる。

【計画地は那覇市の奥武山公園】J1規格スタジアム建設へエリア整備方針等検討調査業務発注

  沖縄県は26日に「J1規格スタジアムに係るエリア全体の整備方針等検討調査業務」の委託先を決める公募型プロポーザルを公告した。

 同業務では奥武山公園(那覇市奥武山)に建設を計画しているサッカースタジアムの財政支出の抑制などを図るため、一体的に整備する複合機能などに関する検討を行う。応募書類提出期限は11月10日。同16日にプレゼンテーション・ヒアリングを行い、委託予定業者を選定する。

 応募資格は県内に主たる営業所があり過去5年間に国や地方自治体などが発注した同種業務の受注実績がある単体またはこれを含むJVなど。

 業務内容は▽県民らの意見聴取とそのための周知活動▽民間事業者ヒアリング▽奥武山公園の魅力向上に向けた複合機能の在り方検討委員会の開催▽複合機能を含むエリア全体の整備方針案策定-など。

 意見聴取の項目は利用状況やサッカー観戦以外に求めるスタジアムの機能、公園に新たに求める施設・機能、公園の整備イメージなど。意見聴取方法は県民がインターネット、那覇市民が無作為抽出の郵送、公園利用者が園内で配布するアンケート。民間事業者サウンディングでは新型コロナウイルス感染拡大後の投資意向などを調査する。

 在り方検討委員会は有識者や行政委員で構成し3回程度の会合を予定。整備方針案には複合機能の内容や整備範囲、配置、整備に必要な条件、公募内容・選定基準案などを盛り込む。

 業務履行期限は2021年3月31日。提案上限額は960万円(税込み)。手続きはスポーツ振興課が担当。

2020年10月26日月曜日

【回転窓】100年前の新星たち

  日本近代建築の礎を築いた建築家・辰野金吾は1919年、当時大流行したスペイン風邪を患い亡くなった。翌年、東京帝国大学(現東京大学)建築科の卒業を控えた若き建築家たちが「分離派建築会」を結成している▼日本近代建築の在り方を根本から問い直し、「我々は起(た)つ。」で始まる宣言文を世界に向けて発信。過去の様式建築から離脱し時代に即した芸術としての新たな建築の姿を世の中に問う新星たちは、大正時代の建築界に鮮烈なインパクトを与えたそうだ▼結成メンバーは石本喜久治、堀口捨己、山田守ら同級生6人。その後、山口文象、蔵田周忠などが加わり1928年まで活動を続けた。実社会に根差した建築家となった彼らはモダニズム建築を探求し多くの作品を残した▼新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に直面し、新時代を模索する現在。建築の芸術性や可能性を問い続けた分離派建築会の姿勢は多くの示唆を与えてくれるだろう▼分離派建築会の結成100年を記念した展覧会が東京・東新橋のパナソニック汐留美術館で開かれている。今後の道筋を過去に学ぶのも悪くない。

【最優秀はイラストレーター・高畠輝氏】「いいいろ塗装の日」ポスターデザコン入賞作品決定

 日本塗装工業会(日塗装、北原正会長)は、11月16日の「いいいろ塗装の日」をテーマにしたポスターデザイン画コンテストの入賞作品を決めた。

 186の応募作品の中から、最優秀賞には兵庫県宝塚市の高畠輝氏(イラストレーター)の作品が選ばれた。優秀賞4作品も選出。同13日に神戸市内で表彰式が行われる。

 最優秀賞の作品では「カラフルかつほのぼのとした画風が新鮮」「猫がクジラや好物の魚を描いているという発想が面白く、大人から子どもまで親しみが持てそう」といった点を評価。今後、日塗装のクリアファイルなどのデザインに使用される。

 作者の高畠氏は「猫がウォールアートを描くシーンはすぐに浮かび、さまざまな色を塗っていく作業はとても楽しく、作品にもワクワク感がうまく出たのでは」とコメントしている。

 優秀賞の受賞者は△岡田京子(学生)△桜井寿美代(フリーランス)△スプーンあきこ(イラストレーター)△宮田一範(会社員)-の4氏。

【初弾は旧渋沢邸の移築】清水建設、新技術・研修拠点整備(東京都江東区)に着手

  清水建設は東京都江東区で計画している新技術・研修拠点「潮見イノベーションセンター」の建設に着手する。

 総事業費は約500億円を計画。5棟構成を予定しており、まずは青森県六戸町にあった渋沢栄一の邸宅「旧渋沢邸」の移築を11月2日に開始する。移築工事に先立ち、同センター建設地で23日に地鎮祭を開いた。

 潮見イノベーションセンターは本館、研究施設、研修施設、歴史資料展示施設、旧渋沢邸の5棟で構成する。総延べ約2万5000平方メートルの規模。このうち木造建築の旧渋沢邸は2階建て延べ1204平方メートルの規模。明治時代に同社相談役を務めた渋沢栄一の邸宅として同社二代目店主・清水喜助が建設を手掛けた。建設地は現在の江東区永大。1878年に完成した。六戸町に移築されていた建物を所有者から譲り受け、新施設敷地内に再移築して保存する。唯一現存する清水喜助の建築作品という。

 19年2月に既存建物の解体・収去工事を行い、同11月に解体を終えた。収去した2万点以上の部材は清水建設の東京木工場(東京都江東区)などで保管し、補修・修繕を行っている。再築工事では収去部材を使って復元する。23年の完成を目指す。

 残りの研究施設、研修施設などの建物は現在設計を進めており、23年の施設オープンに向けて来春着工する予定だ。竣工後はセンターをオープンイノベーションの拠点として活用し、革新的な生産技術の開発や事業の多様化、人材育成を進める考え。

 地鎮祭では井上和幸社長が鍬、今木繁行代表取締役副社長が鋤を入れて工事の安全を祈願した。

【対話調査でスキームやリスクなど把握】国立劇場等再整備事業(東京都千代田区)、プロジェクト実施へ対話調査

  日本芸術文化振興会は東京都千代田区にある国立劇場など(総延べ床面積3・5万平方メートル)の再整備事業に向け、サウンディング(対話)型市場調査を実施する。

 PFIの付帯事業として導入を検討している民間収益事業が成立するかなどを把握するため、事業計画の課題や対応可能性などで意見を聞く。合築を想定している民間収益施設の提案も求める。再整備事業の確実、円滑な実施につなげる。

 26日に「国立劇場再整備事業に係るサウンディング型市場調査」の公募手続きを開始する。意見や提案を求める項目は民間収益施設の市場性と建物計画、民間収益事業の事業スキームとリスクなど。参加要件は再整備の事業主体として参画に関心と意欲のある法人。千代田区内で延べ床面積5万平方メートル以上の複合施設開発に不動産開発事業者として関与した実績なども求める。

 文化庁の「国立劇場の再整備に関するプロジェクトチーム」が7月に策定した整備計画によると、低層部に劇場を配置してカフェなどの民間収益施設を合築するPFI事業で、PFIのスキームはサービス購入型のBTO(建設・譲渡・運営)方式を前提に検討する。劇場部分以外の未利用容積を活用して民間収益施設を整備し、定期借地権契約で土地代の収入を得る予定。年度内に実施方針概略を策定、21年度に実施方針の公表した上で事業者を選定・公表する。22年度に契約を締結。29年度の新施設完成と開業を目指している。

 所在地は隼町4の1(敷地面積3万1244平方メートル)。建ぺい率50%、容積率約500%が上限。振興会がまとめた基本計画によると、新施設は延べ床面積5万1400平方メートル程度の規模を想定している。

【凜】東京・文京区土木部道路課整備工事係・丸山依留さん

 ◇後輩に寄り添える先輩に◇

  大学時代は土木工学科で測量や水利学、製図などを学んだ。ゼネコンや建設コンサルタントにも憧れたが、さまざまな仕事ができると考え区役所を進路に選択した。

 初めて配属されたのは土木部の管理課。区道と住宅などの境目を画定する業務を担当した。ミスを重ねてしまう時期もあったが先輩が粘り強く、温かく指導してくれた。「いい環境で育ててもらった。今後どんなことがあっても頑張らないと」と心を決めるきっかけになった。

 住民の大切な土地を扱う業務。「1ミリが重要になってくる」ため、境界を分かりやすく説明し理解してもらう必要がある。回答が難しい質問が寄せられた時、「しゃくし定規な対応で怒りを買ってしまった」ことも。「相手の立場に立って考える」大切さが身にしみて分かった。

 道路課に配属されて3年目。道路工事の測量や設計、監督業務などを担当している。道路は一度完成すると長期間使い続ける重要なインフラ。「不具合などを残さないように慎重に」工事を進めることを心掛ける。「完成後に感謝してもらえた瞬間」に大きなやりがいを感じる。

 かつて自分が助けてもらったように、後輩に寄り添える先輩になることが目標。部署内にまだ女性の後輩はいないが、「思っているより女性にも働きやすい職場」ということを、多くの人に伝えたいと思っている。

  (まるやま・える)

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】土佐工業「女性向け作業着を自社で考案・市販化」

 建設業の女性を中心に広がっている、土佐工業(千葉県船橋市、柴田久恵社長)が販売するオリジナル作業着「けんせつ姫」。男性の着用を前提にデザインされていることの多い従来の作業着の常識を覆し、女性も着たくなるようなデザインを同社が考案した。2017年から市販している。

 サクラ柄の裏地がアクセント。袖を折ればシックな黒地の作業着に鮮やかなピンクのサクラが咲く仕掛けだ。パンツは作業中に下向きになったり、背伸びしたりしても下着が見えないように、股上は深めに裁縫している。

 お尻回りや太もも部分は少しゆとりを持たせて屈伸作業がしやすいよう工夫した。腰ベルトループは足場などに引っ掛からないよう、太いループにすることで安全性も高めた。

 ロンドン五輪が開催された12年当時、国内では20年五輪の東京開催案が浮上しており、「もし東京が開催地に決まったら、海外向けに日本の建設業をアピールできるのでは」(柴田社長)とのアイデアから、日本を象徴するサクラ柄のユニホームの考案に至った。ユニークなデザインは仕事先でも目にとまるらしく、「サクラ柄がすてきですね」などと声を掛けられることもあるそうだ。

【駆け出しのころ】長谷工コーポレーション常務執行役員・三森国吉氏

 ◇ものづくりの意志つなぐ◇

 船舶の設計技師だった祖父の影響もあり、子供のころから設計図に興味がありました。大学の先生の勧めもあり、長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)に入社。設計部門で働きたい思いはありましたが、当時は技術系の新人はみな現場勤務からのスタートでした。

 1年目は埼玉県川口市のマンション現場に配属。先輩たちも恐れるほどの厳しい所長の下、目配りや気配り、精神面の強さなど、現場技術者としての心構えをたたき込まれました。

 仕事では「みんなに気持ち良く仕事がしてもらえるよう、前日にしっかりと準備することが役目だ」と言われ、段取りの大切さを諭されました。現場の工程表も後ろから逆算で立てるよう指導され、各工程のポイントに合わせて効率良く作業を組み立てることを学びました。

 仮設足場が外れ、完成した建物が姿を現した時は感動の一言。設計ではなく施工一筋でいこうと決意したのを覚えています。

 2年目に担当した東京都内の現場では、料理好きの所長が残業する社員に夜食をよく作ってくれました。いつの間にか所長や作業所員たちの昼食を先輩2人と交代で作ることになりました。おかずの調理に加え、毎日の米炊きと食器洗いも一番若い自分の担当。包丁の扱い方もよく分からず、母親に料理のレシピを教わりながら調理を続けました。

 正直、現場業務と関係ない雑務に嫌気がさし、会社を辞めようかとも思いましたが、周囲の支えもあり頑張ることができました。結果的に忍耐力が付き、1年目とは違う面で勉強になりました。

 顧客のアフタークレームを含め関連情報を頭に入れ、施工図に反映したり、手描きの重ね図で不整合な箇所を確認したりなど、より良いものを造るために試行錯誤の毎日。5年目ごろには職人からの質問に即答できるようになり、技術者として自信が付いてきました。

 25年の現場勤務で計3800戸の分譲マンションを建設しました。最後の現場になった地元東京・南千住の再開発案件は特別です。実家が開発区域に含まれ不思議な縁を感じながら施工に当たりました。完成後にそのマンションを購入し今も住んでいます。

 施工中の現場に中学生の息子を連れて行き、所長として働く姿を見せたこともありました。息子は技術者になりませんでしたが、縁あって当社に入り営業部門で頑張っています。

 若い人たちには、ものづくりに関わるすべての人たちと心のつながりを大切にしてもらいたい。どれだけ技術が発展しても建設業は、より良いものを造ろうとする人たちの気持ちで成り立っていると思います。

入社4年目ころ、現場事務所で。
技術者として自信が付き始めた時期だった
 (みもり・くによし)1983年千葉大学工学部建築学科卒、長谷工コーポレーション入社。建設部門第三施工統括部長、執行役員などを経て2020年4月から現職。東京都出身、60歳。

2020年10月23日金曜日

【回転窓】美術と豊かさ

  国内初の日本画専門美術館として1966年に開館した山種美術館(東京都渋谷区)。速水御舟が描いた重要文化財の「炎舞」など優れた作品を所蔵している▼企業の寄付金や公的補助金にほぼ頼ることなく運営してきた。だが、新型コロナウイルスの影響で臨時休館を余儀なくされるなど大幅な収入減が続いているという▼初の試みとして今月始めたのがクラウドファンディング。6日間で当初目標の500万円に達し、運営資金の一つの柱にしようと1000万円に再設定した。22日午前8時時点で、447人が合計650万円超を寄付している▼同館は山種証券(現SMBC日興証券)の創業者で「相場の神様」と評された山崎種二が創立した。「金もうけも結構だが、このへんで一つ世の中のためになるようなことをやっておいたらどうか」。親しかった日本画の大家、横山大観の言葉で設立を決意したという▼経済が悪化しゆとりがなくなると日々の生活の維持ばかりに目がいきがち。もちろん仕方の無いことだが、一度失われると取り戻すのが難しい豊かさもある。成熟社会と言われる日本の懐深さが問われていると思う。

【街づくりのアイデア、募集します】神奈川県藤沢市、高校生ら対象にツイッター投稿呼び掛け

  神奈川県藤沢市は、高校生を対象に20年後の藤沢市をイメージした街づくりのアイデアを募る。25日からSNS(インターネット交流サイト)のツイッターで投稿を受け付ける。募集期間は11月25日まで。寄せられたアイデアは新たな市政運営の総合指針の策定などの参考にする。

 市内在住・在学の高校生か、生年月日が2002年4月2日~05年4月1日の人が応募できる。応募方法は、ふじキュン公式ツイッターをフォローし、「#ふじキュン課」を付けて投稿する。ふじキュンは市の公認マスコットキャラクター。

 ふじキュン課は高校生が自由な発想で意見を出し合う未来の藤沢大改造プロジェクト。県立湘南台高校(藤沢市円行)でソーシャルデザイン科目を履修する3年生らの発案で実現した。生徒らはプロジェクトの周知用ポスター製作などでも協力している。

 寄せられたアイデアは12月の市議会で報告する予定。市は「江の島沖と宇宙ステーションとの定期便を運行する」や「ふじキュンのテーマパークをつくる」といった自由で大胆な提案を期待している。

【事業費参考価格は257億円】広島市、サッカースタジアム等整備DB発注

  広島市は22日、設計・施工一括(DB)方式で行う「サッカースタジアム等整備工事」の委託先を選定する公募型プロポーザルを公告した。

 11月16~18日に参加表明を受け付け、12月1日に競争的対話を実施した後、2021年2月15、16日に技術提案、参考見積もり、VE提案を求める。同3月12日にヒアリングを行い、同3月17日にVE提案の採否を通知、同3月22~24日に改善された技術提案と参考見積もりを受け付ける。同3月30日にプレゼンテーションを実施、翌日に最優秀提案者を選定し通知する。事業費参考価格は257億0400万円。

 参加は2者以上のJVで、サッカースタジアムの施工を行う者は1者以上3者以下、ペデストリアンデッキの施工を行う者は1者以上2者以下、設計・工事監理を行う者の数は任意とする。設計企業は建築関係建設コンサルタント業務の「建築一般」と土木関係建設コンサルタント業務の「鋼構造及びコンクリート」「道路」に登録されている者で、延べ1万平方メートル以上の観覧席を有する球技場または陸上競技場の新築、増築、改築、大規模改修の実施設計、橋長が25メートル以上の鋼橋詳細設計の業務実績を有することなど。

 施工企業は単体または5者まで(サッカースタジアム施工企業は3者まで、ペデストリアンデッキ施工企業は2者まで)のJV。建築一式工事、鋼構造物工事、土木一式工事のすべてに認定されていること、サッカースタジアム施工企業は単体とJV代表者は総合評定値が建築一式工事で1200点以上、JVの代表者以外は900点以上あること、ペデストリアンデッキ施工企業は単体とJV代表者は鋼構造物工事の総合評定値が1200点以上、JVの代表者以外は900点以上あることなど。

 市は中央公園広場にサッカースタジアムを建設するとともに、効果的なにぎわい機能の導入などにより中央公園広場全体が一体的に機能するような広場エリアの再整備を行う計画。今回選定される事業者はサッカースタジアム新築、広場エリア整備、ペデストリアンデッキ新設を行う。サッカースタジアムは「世界に誇れるサッカースタジアム機能を核とし、多目的かつ多機能化した都心交流型スタジアム」をコンセプトに、県内外から広く集客し、効果が県内各地に及ぶことを目指す。

 計画地は中区基町15の中央公園広場約8万5600平方メートル(公園全体約42万7600平方メートル)。広場西側に観客席3万人規模のスタジアムを配置する。事業範囲はサッカースタジアム新築、広場エリア再整備、ペデストリアンデッキ新設に伴う基本設計・実施設計、工事監理、施工業務。事業期間は24年7月末まで。ただし、サッカースタジアム新築とペデストリアンデッキ新設の完成は同3月末とする。