2019年5月24日金曜日

【回転窓】働き方改革へ新・担い手3法

「担い手確保3法成立」。本紙がそのニュースを報じたのは今から5年前の2014年5月30日。建設業法、公共工事入札契約適正化法、公共工事品質確保促進法の改正が前日の衆院本会議で可決、成立し「担い手3法」が誕生した▼公共工事の品質を単体だけでなく、中長期的な視点に立って確保する。そのためには建設産業の将来を担う人材を確保しなければならない。喫緊の課題に法律から切り込んだ趣旨が受け入れられ、全会一致での成立となった▼担い手確保へ受注者が「適正な利潤」を確保できるようにすることを発注者の責務とした画期的な内容は、その後の発注行政の基本方針になった。低入札価格調査基準や公共工事設計労務単価の引き上げなどの施策は十分とはいえずとも、大きな効果をもたらしたといえよう▼担い手3法を進化させた「新・担い手3法」の国会審議が始まった。24日に衆院国土交通委員会で採決の見込みという。前回改正から社会的関心も高まった「働き方改革」。週休2日の実現を制度面から支える適正な工期設定に向けた施策などを盛った。法案の早期成立とその後の適切な運用を願う。

【羽田空港への新線乗り入れで動き】JR東、羽田空港アクセス線・東山手ルートなどの環境アセス手続き開始

JR東日本は、東京都心部と羽田空港(東京都大田区)を結ぶ新線「(仮称)羽田空港アクセス線」のうち、JR田町駅付近(港区)と東京貨物ターミナル(品川区)を結ぶ「東山手ルート」と、東京貨物ターミナルから羽田空港に至る「アクセス新線」の整備に向け、東京都の環境影響評価(環境アセス)条例に基づく手続きに着手した。

 15日付で環境アセス調査計画書を都に提出。30日~6月10日に東京都環境局総務部環境政策課などで縦覧できる。

 延長は東山手ルートが約7・4キロ、アクセス新線が約5・0キロ。東山手ルートは改良区間、アクセス新線は建設区間となる。羽田空港に新駅を設ける。構造はトンネル(シールド、開削)、高架、地平、擁壁(掘割)。アクセス新線には、山手ルートとは別に整備を検討している臨海部ルート、西山手ルートも乗り入れる計画となっている。

【役員会議室の重厚さ演出に一役】アイカ工業の化粧合板、福山雅治さん主演のTBSドラマセットに採用

 アイカ工業の化粧合板がTBSのドラマ「集団左遷」(毎週日曜午後9時~)の銀行内を再現したセットなどに採用された。さまざまな人間模様が繰り広げられる空間の演出に貢献している。

 銀行本店内の役員会議室のテーブルや俳優・福山雅治さんが演じる主人公が勤務する支店ロビーの壁面、カウンター側面などに同社の化粧合板「ラビアンポリ」と「マーレスボード」が使われている。

 ラビアンポリは化粧紙と合板などを貼り合わせ、ポリエステル樹脂を塗布。コストパフォーマンスに優れ、家具の垂直面や棚板、建具などに使われている。マーレスボードは、摩擦や汚染、テープ剥離などに耐性を持ちながらも低価格を実現。壁面や家具の垂直面に使われている。

 ドラマは大手銀行が舞台。廃止予定の支店に支店長として赴任した主人公が、巨大組織の理不尽に仲間とともに闘う姿を描いている。

【建設の方向性や建設費を検証】アスルクラロ沼津ホームスタジアム、沼津市があり方調査業務を発注

静岡県沼津市は「アスルクラロ沼津ホームスタジアムのあり方調査業務委託」の契約候補者を選定するためプロポーザル参加要領を公表した。

 参加申込書は6月3日まで、企画提案書は同17日まで受け付ける。同20日に選定結果を通知する予定。契約上限額は500万円(税込み)。

 市をホームタウンとするサッカーJ3リーグのアスルクラロ沼津は、J2への昇格を目指しているが、ホームスタジアム要件などの問題がありJ2ライセンス取得のめどが立っていない。2017年度に県東部地域の関係団体で発足したサッカースタジアム構想連絡会が新スタジアム構想の検討を進めているが、具体化にはさらなる検討が必要。

 このため、将来のスタジアム像や実現までのスキーム、経営を含めたスタジアムの在り方などを調査する。具体的には、地域社会や関係団体が参画したスタジアム建設に向けたスキームモデルを先進事例を踏まえて調査。また、J1施設基準に対応しながらも地域の身の丈にあったスタジアムの建設費を試算する。そのほか、スタジアム経営に関する事例を複数調査する。履行期間は20年3月31日。

2019年5月23日木曜日

【回転窓】サイバーテロに備えを

世界でサイバーテロが頻発している。先日、ウイルス対策ソフトの提供会社が不正アクセスを受けたと報じられた。不安をかき立てられるニュースだった▼専門家によると、サイバーテロの目的には大きく三つがあるという。まずは経済的な理由。設備への攻撃などを武器に、身代金を要求したり巨額の損失を与えたりするケースだ。そのほかに政治的な理由や思想的な主張を伴う事案も多いそうだ▼注意すべきなのは安全管理といった人命にかかる設備への攻撃が増えている点。消火システムが乗っ取られた中で火災が起きる、猛暑の時期、建物内に閉じこめられて空調を止められる…。システム高度化とともに、リスクも高まっている▼建設現場も同様だ。建設現場の生産性向上策i-Constructionの進展により、重機の自動運転などが本格化しつつある。効率化や安全性向上への期待は大きい。だが何十台もの重機が暴走を始めたら、考えただけでもゾッとする▼第5世代移動通信規格(5G)の実用化が間近に控える。最先端技術をどう使いこなしていくか。防御の面からも取り組みを強化する必要がある。

【本紙後援、男女52ペアが熱戦】19年度春季建設業テニス大会、優勝は永井・川畑ペアと秋本・今ペア

男子ダブルス総合優勝の永井・川畑ペア(前田道路)
建設業硬式庭球連盟主催の2019年度「春季建設業硬式庭球大会」(後援・日刊建設工業新聞社、協賛・ブリヂストンスポーツセールスジャパン)が18日、東京都昭島市の昭和の森テニスセンターで開かれた。個人戦ダブルスで競った大会には男女合わせて52ペアが出場。男子総合は永井太陽・川畑洋輔ペア(前田道路)、女子は秋本早紀・今優馨ペア(鹿島)が優勝の栄冠に輝いた。
女子ダブルス優勝の秋本・今ペア(鹿島)
今大会では男子44ペア、女子8ペアが熱戦を繰り広げた。男子ダブルスは予選リーグを行い、その後に1~3位の順位別決勝トーナメントを実施。女子ダブルスは8ペアによるトーナメント方式と、敗者によるコンソレーション(コンソレ)戦も行われた。

 男子ダブルスで1位トーナメントを勝ち抜いた永井・川畑ペアは前回大会に続き2連覇を達成。決勝は前田道路ペア同士の対決で、同社としては個人戦7連覇を果たし、チーム力の高さを示した。女子ダブルス優勝は、秋本・今ペア(鹿島)が粘り強く接戦を制し、総合優勝に輝いた。建設業硬式庭球連盟では今後も大会を盛り上げていくため、加盟会社を募集している。

 各種目の入賞者は次の通り。

 【男子ダブルス】 

 ▽総合優勝(1位トーナメント)=永井太陽・川畑洋輔ペア(前田道路)

 ▽総合準優勝(同)=村井純平・山崎宏昭ペア(前田道路)

 ▽2位トーナメント優勝=佐藤未来・吉田悠人ペア(竹中工務店)

 ▽3位トーナメント優勝=鮎川龍也・尾山準ペア(京王建設)

 【女子ダブルス】

 ▽優勝=秋本早紀・今優馨ペア(鹿島)

 ▽準優勝=五味雅子・田中千恵子ペア(大林組)

 ▽コンソレ優勝=黒川詩歩子・菅坂苑佳ペア(清水建設)

【工事延期や勤務時間変更など試行】首都高速会社、東京五輪見据え今夏からTDM実施

首都高速道路会社は、2020年東京五輪中の交通需要の抑制に備え、今夏から全社的な交通需要マネジメント(TDM)の取り組みを始める。

 7月22~26日に長時間の規制を伴う工事を中止し、湾岸線で予定していた鋼繊維補強コンクリート(SFRC)を用いた床版補強工事も延期する。全社員の3割以上が勤務時間を変えたり、休暇を取得したりする期間を設ける。五輪中の工事、業務の在り方も検討する。

 TDMの実施は宮田年耕社長が21日の記者会見で明らかにした。来年の大会を見据え、取り組みは7月22日~8月2日と同19~30日を対象に実施。業務車両とレジャーに伴う利用者の車両が混在し、交通重要が高いと予測する7月26日は「重点取組日」として、職員に率先した対応を促す。

 TDMの対象日は全社員の3割、重点取組日は5割が▽勤務時間を変えたスライド勤務▽休暇取得▽テレワーク-のいずれかを行い、スライド勤務は全社員が実施する。会議の開催、社用車の利用を控え、イベントや研修は対象日の前後にずらす。人やモノの移動の抑制につながるよう、水筒と弁当の持参を推奨し、広報物の納入時期も調整する。宮田社長は「五輪に向け、交通を担う機関として、交通量を減らしたい」とTDMに意欲を見せた。

工事を巡っては、東京都が大会中の路上工事を回避し、会場周辺や大会関連の輸送ルートのある地域で計画する工事の時期の調整、一時休止、夜間工事への振り替えなどを実施する方針をまとめている。

 都内全域で工事車両を削減したい意向も示している。首都高速会社は五輪に備えた修繕工事や、清掃、標識の交換といった美化対応を急ピッチで実施中。大会中に予定する工事、業務でも一部は前倒しで着手するとともに、実施を五輪後にする検討も行っている。

 点検をはじめ日常的な業務の実施を大会中に避けた場合、グループ企業や協力会社の事業量に2カ月ほど影響が生じることになる。そこで「場所、時間を慎重に検討」(宮田社長)しつつ、大会中の事業・業務の計画を練っており、大会への影響が小さい区間の洗い出しなどを進める方針だ。

2019年5月22日水曜日

【回転窓】ものづくりをどう伝える

「ものづくりの楽しさを知る前に辞めていく」。先日、あるゼネコンの現場所長が昨年入社したばかりの新人技術者が退職したことを、こう嘆いていた▼やりがいや達成感は自分にしか感じ取れないものだ。つらくても諦めず、最後まで頑張った人でなければ喜びは味わえない。業界で働く人は建設業の仕事はやりがいがあると異口同音に話す。ただ外部の人にはなかなか伝わらない▼建設技能者を育成する富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で昨年行われた実務施工体験研修に、千葉県内の小学校教員2人が初めて参加した。躯体実習や東京スカイツリーなどの建設状況をまとめた映像講習などを2泊3日で受講した▼1人の先生が研修後に感想を寄せた。「スカイツリーのような大きなものではなくても、ものづくりの素晴らしさを私たち教師もしっかり伝えなくてはいけない。子供たちにたくさんの可能性を感じさせなくてはいけない。未来を担う子供たちに、価値のあるものを伝えていくのは私たちなのだ」▼この講習は教員免許更新講習(10年に1回)に対応した講座だそう。ぜひ多くの先生方に受講してほしい。

【こちら人事部】佐藤渡辺「粘り強さあれば出身学科は不問」

 佐藤渡辺は95年の歴史を持つ老舗の道路舗装会社。道路建設のパイオニアとして一般道はもちろん、輸送の大動脈として機能する高速道路や空港などの大規模プロジェクトも数多く手掛けてきた。

 長年積み重ねてきた実績と信頼で、官公庁をはじめとする発注者から選ばれ続けるポジションを確立。東京ガスの協力会社でもあり、衛生設備工事やガス工事も手掛けている。

 同社が求める人物像は▽コミュニケーション力がある人▽協調性がある人▽主体的に行動できる人▽粘り強く取り組める人▽ものづくりに興味がある人▽責任感がある人▽やる気がある人-の7点。石原子之吉総務部長は「『誠実』という社是の通り、特に粘り強く責任感がある人に来てほしい」と力を込める。

 技術系職員は主に土木系学科の出身者から採用するケースが多いが、幅広い学科から採用している点が特長。農学系学科の出身者のほか、現在は文系学科出身で施工管理を担当する社員もいる。石原総務部長は「文系の施工管理はとても少ないが、やる気と粘り強さがあれば出身学科は問わない」と強調する。

 多くの学生に会社を知ってもらうため、合同就職説明会やインターンシップ(就業体験)を通じてPRに力を入れている。インターンシップは合材工場や技術研究所で実施しているが、「工事の現場を見てみたい」という学生の要望を受け、新人研修を行っている現場で有志のインターンシップ参加学生向けに見学会を実施する試みも始まっている。

 ここ数年の採用活動は少子高齢化の影響もあり、家族の意向を受けて遠方への転勤を敬遠する学生が多く見受けられるという。石原総務部長は「全国に拠点がある会社なので、転勤を避けることは難しい」とした上で、「入社後は面談などを通じて本人の意向を聞きながら配属を決める。本人の事情も踏まえある程度は考慮していきたい」と話す。

 会社のアピールポイントは「風通しの良さ」。入社後1年間の研修期間はもちろん2年目、3年目や、3年目以降の研修では同期同士の交流の場や、上司との面談の機会を多く設けた。「社員同士のコミュニケーションを大事にし、社員の考えを会社に反映しやすい環境づくりを心掛けている」(石原総務部長)という。こうした風土づくりは、入社後3年以内離職率が10・9%という数字にも表れている。

 企業の情報はインターネットから簡単に手に入れられるが、石原総務部長とともに社員の採用・育成に携わる堀口正義総務部人事課長は「生の雰囲気に触れること」の大切さを強調する。「就活中の学生には、ぜひ説明会などに積極的に参加して企業、職場の雰囲気を比較してほしい。当社は社長方針として『安全、安心の確保』『いきいきと働ける職場づくり』を掲げる。実際に説明会などに足を運んで雰囲気を見て、当社の方針を理解してほしい」と呼び掛ける。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性20人(うち技術系16人)、女性0人(18年度実績)

 【3年以内離職率】10・9%(16~18年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性21・8年、女性15・7年(19年2月時点)

 【平均年齢】   44・7歳(同)

【新エリア22年度開業、大型ホテルも建設】TDS拡張が着工、隣接地10万㎡を開発

ファンタジースプリングスの全景イメージ(ⓒ Disney)
東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)を運営するオリエンタルランドは21日、東京ディズニーシー(TDS)を拡張し2022年度の開業を目指す新エリアの起工式を開き、工事に着手した。隣接する駐車場など約10万平方メートルを開発。追加投資としては過去最高の2500億円を投じ、ディズニー映画の世界を表現する「ファンタジースプリングス」を整備する。475室の大型ホテルも設ける。

 拡張は01年にTDSが開業してから最大規模の大型事業となる。新エリアのテーマは「魔法の泉が導くディズニーファンタジーの世界」。「アナと雪の女王」「塔の上のラプンツェル」「ピーター・パン」を題材にしたエリアで構成。四つのアトラクションや三つのレストラン、店舗を設ける。大型ホテルはディズニーリゾートで6棟目となり、最上級の部屋を設置する。
起工式で記念撮影する加賀見会長兼CEO(右から3番目)
(21日午前、千葉県浦安市、オリエンタルランド提供)
起工式には、加賀見俊夫会長兼最高経営責任者(CEO)ら関係者が参加した。加賀見会長兼CEOは「(祖父母から孫まで)3世代が一緒に楽しめる場所にしたい」と語った。

2019年5月21日火曜日

【回転窓】愚痴をこぼすその前に

2019年春の褒章と叙勲の受章者が決まり、政府から発表された。例年は5月初旬に親授式や伝達式が行われるが、今年は天皇陛下の退位と即位に伴い、日程が1カ月余り繰り下げられた▼さまざまな分野の第一線で活躍されてきた方、地域の安全や安心、社会奉仕などの活動に尽力された方などが受章された。長年の努力と功績に敬意を表したい▼褒章受章者の顔ぶれを見ると、建築家の隈研吾氏が紫綬褒章、小島組の小島徳明社長が藍綬褒章を受章。各界に目を向けると、歌手の石川さゆりさんや囲碁の趙治勲名誉名人らが受章者に名を連ねる▼若手の台頭が著しい囲碁界にあって、趙名誉名人は受章を契機に「もう一回頂上を目指す気持ちになれれば」と話したそうだ。史上1位の74タイトルを獲得するなど、半世紀にわたって輝かしい戦績を残してきた。頂点を極めた人がさらに上を目指そうとする。精神力を少しでも見習わなければと思う▼仕事が忙しくなると「なぜ自分だけが」と愚痴の一つもこぼしたくなる。ただ仕事が山積みになった理由はほぼ自分にある。ぶつくさと不満をこぼす前にまずは責任を果たさねば。

【都立公園拡張に民間資金・ノウハウ活用】明治公園・代々木公園拡張エリア整備、20年度にも民間事業者公募へ

明治公園「にぎわいと交流のゾーン」のイメージ
東京都は都立明治公園と都立代々木公園の拡張エリアについて、整備事業を担う民間事業者を2020年度にも公募する。都公園審議会が20日に提出した両公園の整備計画に関する答申を踏まえ、本年度は公募実施の前提となる事業スキームを固める。事業スキームの検討に向けた調査や民間事業者へのヒアリングなどを含む調査業務を近く発注する予定だ。

 明治公園は都営霞ケ丘アパート跡地を中心とした1・6ヘクタール(新宿区霞ケ丘町)を公園区域に追加。代々木公園は解体が予定されている岸記念体育会館や、都水道局が改修を検討しているポンプ所がある1・2ヘクタール(渋谷区神南1)を新たな公園区域とする。

 都公園審議会で20日に了承された答申によると、明治公園の追加区域のうち「豊かなみどりのゾーン」では、新国立競技場や神宮外苑など周辺施設の緑と連続した樹林や憩いの場を創出する。「にぎわいと交流のゾーン」では民間ならではの新しい発想を取り入れた施設を整備する。

 代々木公園の追加区域のうち、岸記念体育会館がある北側は「みどりと集いのゾーン」として先行的に整備する。民間活力を導入し、JR渋谷~原宿駅間のにぎわいを結びつけ、多様な人々が集い交流する施設を設ける。ポンプ所の改修時に合わせた整備を予定している南側の「雑木林とヒーリングガーデンのゾーン」は、小庭園を思わせる癒やしの空間とする。敷地の高低差に配慮したエントランスを整備し、渋谷駅からの利用動線を確保する。
代々木公園「みどりと集いのゾーン」のイメージ
民間事業者の公募目標時期を20年度とする方針は、今年1月に都の「2020年に向けた実行プラン」に盛り込まれた。都建設局は、事業スキームの検討に向けた調査業務を両公園で早期に発注する予定だ。民間事業者への個別ヒアリングを通じて事業性なども検証する。調査業務の過程で対象範囲など公募内容の詳細を詰め、公募要領に盛り込む。

 民間活力を導入した公園整備の例には、代々木公園に近接する渋谷区立宮下公園などがある。立体都市公園制度を活用し3階建ての商業施設の屋上部に公園を配置する計画。明治公園と代々木公園でも、公募要領の内容次第では同制度の活用など、民間事業者の創意工夫を生かすプロジェクトの実施が期待できそうだ。

【アリーナや住宅・商業施設など提案】アジア競技大会選手村後利用、対話型調査の結果公表

 愛知県と名古屋市でつくるアジア競技大会愛知・名古屋合同準備会は20日、昨年度に実施した選手村後利用の方策を探る民間事業者との対話結果を公表した。

 2026年に開かれる第20回アジア競技大会の選手村は名古屋市港区の名古屋競馬場跡地に整備される。大会後、民間活力を導入して地域の核施設などを整備する予定。対話結果は、本年度以降に実施する事業者公募に反映させる。対話したのは11事業者。

 名古屋市内では希少性の高い20ヘクタールのまとまった土地と期待する声があった一方で、事業開始までの期間が長く事業イメージが予測しづらいなどの意見もあった。核施設としては、アリーナ、大学、病院、個別施設として複合商業施設、都市型物流施設、200~300戸程度の集合住宅、サービス付き高齢者住宅などの提案が寄せられた。

 同準備会では、事業者意見を参考に、統一コンセプトやスケジュールなどを整理し、公募条件の作成を進める。また、敷地内に雨水貯留施設や防災公園を設けることも検討する。

 対話事業者の提案施設は次の通り。

 ▽東邦学園=サッカー場▽矢作建設グループ=複合型スパリゾート▽イオンタウン=複合商業施設▽竹中工務店=住環境整備、先導施設▽大和ハウス工業=住宅、生活便利施設、教育・医療施設等▽三菱地所=住居、商業、産業、ビジネス施設(企業ミュージアム・ショールームなど)▽学研ココファン=サービス付き高齢者向け住宅を中心とした地域包括ケア拠点▽清水建設=住居、生活便利施設、展示場施設、物流倉庫▽長谷工コーポレーション=分譲・賃貸マンション▽ユニホーグループ=選手村施設を利用した生活便利施設、インキュベーション施設等▽日本アスコン=住居、生活便利施設、スポーツ・アウトドア施設、温浴施設等。

【記者手帳】絶海の孤島を支える建設業

伊豆諸島の最南端にある青ケ島。東京都に属する島民170人足らずの日本一人口の少ない村だ。この島の美しい夜空と青い海を見ることが、以前からの念願だった。昨年夏、願いがかなって絶海の孤島を訪れることができた◆島内唯一の海の玄関口である三宝港に船が近付くと、圧巻の絶壁が目の前に迫ってくる。火山噴火でできあがった生い立ちにふさわしく、島の周囲は全て海に浸食された断崖絶壁。砂浜など一切ない◆火山性地盤のため地面は崩れやすく、島のあちこちで崖が崩壊。港に面する断崖はこれでもかというほど治山工事が行われ、たくさんの重機で斜面が埋め尽くされていた。港自体も防波堤が無く荒波が直接岸壁を打つ厳しい環境。定期船も波の高い日は接岸できず就航率は半分程度という◆漁業や農業もままならないような厳しい自然環境で、建設業が住民の生活を支えている。島民に聞くと、生活物資を運んでくる港や険しい地形に造られた道路を維持する建設業への感謝の言葉が返ってきた。地域に不可欠な建設業。憧れていた島で暮らしを守る産業の大切さを知った。(全)

【臨場感あふれる作品、現場の姿に焦点】写真家・山崎エリナさん、インフラメンテの現場を写真集に

 社会基盤の維持管理に焦点を当てた写真家・山崎エリナさんの作品集『インフラメンテナンス~日本列島365日、道路はこうして守られている~』(グッドブックス)が発刊された。

 インフラを愚直に守る人の姿や、仕事の合間に見せる作業員の笑顔などを切り取った。安全・安心や暮らしを真摯(しんし)に支える姿勢が、作品を通じて伝わり、一般市民からも共感を呼んでいる。

 きっかけは、福島県で道路維持などを手掛ける寿建設(福島市)の森崎英五朗社長の提案だった。「メンテナンスをやる人がいなくなると国自体が危うくなる。そうした認識を多くの人に広げることが難しい」。森崎社長が危機感を募らせている時に、山崎さんの存在を知った。

 山崎さんは神戸市出身。国内外で写真展を開いている。熊本の風景などを撮影した写真集『「ただいま」「おかえり」』や、ショートストーリー写真集『アンブラッセ~恋人たちのパリ~』などを出版してきた。ポーランドの映画監督で巨匠として知られるアンジェイ・ワイダ氏が山崎さんの写真に感銘を受けた経緯から、同国の美術館にも作品が収蔵されている。

 「すごいカメラマンに撮ってもらったらどうなるんだろうという好奇心からお願いした」と森崎社長。山崎さんもぜひとも工事現場を見てみたいと快諾し、2017年秋に撮影が始まった。
写真集に収められた作品の一つ(ⓒ elina yamasaki)
最初に訪れたのは除草の現場だった。「夏は草がすごい生い茂っているのに、道路がきれいになっている。ここまでがインフラメンテナンスだったのだと気付かされた」と山崎さん。それは、故郷が被災した阪神・淡路大震災で感じたこととつながっていた。

 倒壊した高速道路や陥没した道路。それらがいつの間にか元通りになっていた。「直してくれる人がいるというのが、頭の隅にあった」(山崎さん)。東日本大震災で大きな被害を受けた福島県で、何か貢献したいという思いもあったという。

 ◇仕事への誇りがあふれている◇

 撮影当初は、作業の邪魔にならないように遠くから撮っていたが、のめり込むにつれて近付くようになり、1~2メートルの距離から撮影するようになったという。除草から始まり、トンネルや橋梁、舗装、除雪、高速道路などの数多くのメンテナンス現場を回った。現場の一員になったような気持ちで撮影しており、写真集には臨場感あふれる作品が多数収録されている。

 「道具を渡す瞬間も無駄がなく、ベストなタイミングで手から手に渡っていく。その素晴らしい連係プレーにも感動した。皆さんは下を向いて作業することが多いが、ふと顔を上げてコミュニケーションをとる時に笑顔が出る。人間性がにじみ出てくる瞬間で、私にとってはご褒美。そうした全ての瞬間を逃したくないと思って撮影した」(山崎さん)

 撮影には寿建設のほか、ネクスコ・メンテナンス東北(仙台市青葉区、山崎幹夫社長)と小野工業所(福島市、小野晃良社長)が協力した。撮影で感じたのは、真摯に仕事と向き合う姿の本質的な魅力だという。山崎さんは「何度も何度も繰り返しながら、道路の亀裂などをきれいにしていく。そうした作業の一つ一つが、私たちの道路を支えてくれている。仕事への誇りが、後ろ姿からもあふれている」との受け止めを話す。

 インフラメンテナンスを支える姿を多くの人に見てもらおうと、18年夏に福島市内で写真展を開いた。父親の仕事姿を見た子どもが「お父さん、この写真格好いい!」と飛び跳ねるように喜んでくれたという。一般女性が涙を流しながら「これからは(工事の)看板を見たら、『ありがとうございます』って思うようにします」と話し掛けてきたこともあったそうだ。

 ◇安全な暮らし支える姿に反響◇

 その場に居合わせた森崎社長は「現場の写真で泣かせるなど考えたこともなかった。山崎さんの写真には圧倒的な力がある」と感じたという。

 写真集の出版を手掛けたグッドブックス(東京都中央区)の良本光明代表取締役は「当初は商業出版として成り立つのか不安があったが、インフラメンテナンスの実情や社会的意義を知り、まとめようと思った。社会的な意味合いで取り組んだ」と語る。東京都中央区にある大型書店・八重洲ブックセンターでは、3月31日~4月6日の総合部門ランキングで首位を獲得した。
(左から)森崎社長、山崎さん、良本代表取締役
山崎さんは今秋、フランスのルーブル美術館で、日本の家族やふるさとなどをテーマに写真展を開く。来年以降に、フランスで日本の土木やインフラメンテナンスの写真展を実現しようと企画も練っている。山崎さんは「インフラに向き合う真剣さや仕事ぶりが格好いい。これからも撮っていきたい」と話す。

2019年5月20日月曜日

【回転窓】インフラツーリズムに続く一手は?

5月も半ばを過ぎ、東京は日中、天気が良ければ汗ばむような陽気になってきた。気象庁は先週、奄美地方と沖縄地方が「梅雨入りしたと見られる」と発表。列島各地は春から夏へ季節の変わり目を迎えつつある▼大型連休明けから梅雨入りまでは気候が良く、出掛けるには絶好の行楽シーズン。自治体や民間企業は自慢の観光地により多く人を呼び込むため、PRに余念がない。「インフラツーリズム」と命名し、国土交通省は数年前からダムや地下構造物を目玉にした観光に力を注ぐ▼国交省が運営するインフラツーリズムポータルサイトには、公共機関が予定する施設見学会や旅行会社などが主催するツアー情報が400件以上紹介されている▼今秋のラグビーワールドカップ、来年開催する五輪・パラリンピック。その後もワールドマスターズゲーム、国際博覧会と大規模イベントはめじろ押しだ▼2020年に4000万人の訪日客を目指している政府。インバウンド(訪日外国人旅行者)に各地を巡ってもらい、食事や買い物も楽しんでもらう。耳目を集め、あっと驚く観光のアイデアが建設業界からも出てきてほしい。

【けんせつ小町が舞台で活躍】舞台「響け、」、21日から池袋のシアターグリーンで

現場の職人の魅力発信など建設関係の広報ビジネスを手掛ける「建設マン.com」(代表・YUICHI)がプロデュースするけんせつ小町の舞台「響け、」が21日、東京・池袋のシアターグリーンで初日を迎える。

 全11公演。建設マン.comによる5回目の舞台作品となる。日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が特別協賛する。公演は26日まで。

 東京の片隅で長年愛されてきた劇場が老朽化のため大規模リニューアルされることになり、音響にこだわりながら工事を完成させていくストーリー。ICT(情報通信技術)など最新技術を得意とするけんせつ小町と昔かたぎの現場監督がぶつかりながらも互いに認め合い、プロジェクトを成功に導いていく。

 けんせつ小町役の女優・黒木千春さんはICTチームを率いる難しい役柄。「女性進出を先導するけんせつ小町へのエールにしたい」と意気込む。座長で現場監督役を務める石尾吉達さんは建設現場でアルバイトした経験を生かし、「ものづくりの最前線を担う人の熱い思いをリアルに表現したい」と話した。

 上演日時は21日が午後7時から、22~24日は午後2時と7時から、25~26日は午後1時と5時から。料金(税込み)は前売り5000円、当日5500円。今回は新たに学割2500円を用意した。

 YUICHI代表は「普段は見られない仮囲いの中を表現した。建設業を志す人や一般の人に広く見に来てほしい」と話している。

【19年に都市計画決定へ】新宿駅周辺再整備(東京都新宿区)、都施行の区整事業で実施

再編完了後の新宿駅西口広場のイメージ(提供:東京都)
日本を代表するターミナル駅「新宿駅」の周辺地区(東京都新宿区)で利便性を高める大規模改造事業が動きだす。東京都は「新宿グランドターミナル」構想として、駅前広場再編整備と線路上空での東西連絡デッキ新設を柱とする計画を、都施行の土地区画整理事業として行うと17日に発表した。鉄道会社4社など多くの地権者が混在する中、都がプロジェクトを主導することで計画を円滑に進める狙いがある。

 小池百合子知事が同日の記者会見で発表した。小池知事は、今夏にも都市計画決定権者である東京・新宿区と土地区画整理事業の都市計画手続きに入り、年内の都市計画決定を目指すと表明。具体的な時期は未定だが、2020年以降できるだけ早い段階で事業計画を決定し、国から認可取得を目指すとした。

 土地区画整理事業の施行想定区域は新宿駅と、東西に1カ所ずつある駅前広場など周辺地区を含めた計約10ヘクタール。鉄道会社が検討している駅施設の改良や駅ビルの機能更新に合わせ、都が土地区画整理事業の一環として東西駅前広場の再編整備や線路上空での東西連絡デッキ新設を進める計画だ。

 都によると、東西駅前広場の再整備は現在不足している「利用者の滞留空間確保」が最優先課題。道路再配置などの関連工事を進める。施行面積は東口広場約1・4ヘクタール、西口広場約2・5ヘクタールを見込む。土地区画整理事業全体の工事の着手や完成目標時期、事業費などは今後詰める。現時点で全体事業期間は最低10年以上とみている。

【凜】ナカノフドー建設名古屋支社営業部長・奥野祐子さん

 ◇営業職でも女性活躍を◇

 生まれも育ちも名古屋。もともとは小学校の先生になりたくて大学で教職課程を取り、教員免許も取得した。教育実習は感動したが、父親から「こんな会社もあるよ」と勧められたのが営業譲渡前の不動建設だった。

 会社訪問をしてみると「とても活気があり雰囲気が良く感じられた」。外資系など大手企業の内定をもらっていたが、会社訪問での印象が決め手になり建設会社への就職を選んだ。

 配属は営業事務だったが30歳の時、一念発起して民間営業の仕事に挑戦。食品メーカーを中心に飛び込み営業を続けた。業種を「食品」に絞ったのは、生活に欠かせない“衣食住”の一つで、商品が身近で興味もあったから。

 図書館に通って関連する資料を調べ営業の参考にした。「泣いたりつらかったり…。いろいろなことがあったけれども、応援してくれたお客さま、背中を押してくれた上司や同僚のおかげでいまの自分がある」と話す。

 「飛び込み営業は大変。でも自分で開拓した顧客は思い入れも強くなる」。組織をマネジメントする立場になったが、安定した業績確保には「継続顧客と紹介」だけでなく「新規開拓」が不可欠と力を込める。女性が活躍できる場が広がりつつある建設業界。技術職は増えているが、営業職はまだ少数派。さらなる飛躍を願っている。

 (おくの・ゆうこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・227

娘と過ごす時間をなによりも大切にしている
 ◇働く母を見て育った自分だからこそ◇

 地方の建設関連団体に勤務する青島優子さん(仮称)は、小学3年生の娘を持つシングルマザーだ。団体が企画するセミナーやイベントの運営を任されている。出産するまでは時間を気にせず仕事に打ち込んでいたが、今は違う。娘との時間を大切にするため、仕事を効率的に進めることを最優先している。目の前にある壁は仕事の内容よりも時間制限。毎日が時間との戦いだ。

 高校を卒業後、地元の大学に進んだ。大学を受験するまでまったく興味がなかったという土木を専攻。河川の研究室に所属していた。指導教授が川を見にいろいろな場所へ連れて行ってくれたのがきっかけとなり、景観やデザインに興味を持つようになった。就職活動ではゼネコンやコンサルを志望したものの、当時は就職氷河期と言われる時代。思うように選考が進まず、内定をもらった広告会社に入社した。

 その会社では媒体のレイアウトを手掛ける日々。建設業と同じものづくりだと自分に言い聞かせて激務に励んだ。ただ、3年たったころ体調を崩した。やりたいこととできることは違う。頭の中では分かっていたが体が言うことを聞いてくれなくなった。そんな時、今の職場から声を掛けてもらった。実務とは離れているが、それでも建設分野に関われることがうれしく、二つ返事で入職を決めた。

 娘が保育園に通っているころは、職場の時短制度を利用していた。小学校に上がると制度を使えなくなるため、授業が終わった後は娘を学童保育に預けている。夕方に会議が入ることも少なくない。帰りが遅くなると、自分で迎えに行けない。そんな時は近くに住む母親に代わりをお願いしている。「母がいなければ成り立たないくらい、助けてもらっている」と感謝する。

 結婚して仕事を辞めようとは思わなかった。ただ出産は違った。価値観が激変し、娘が中心の生活になった。産休・育休を経て、職場に復帰する時は後ろ髪を引かれる思いだった。保育園に預けて職場に向かう時、娘に大泣きされたことが何度かあり、今でも忘れられないという。

 母もばりばり働いていた。そんな働く母を見て、出産後も仕事を続けたいと思った。「今は育休や時短など、働く女性の支援制度が充実している。でも母の時代はそういうのがなくて大変だったと思う」。仕事終わりに娘を迎えに行けないことがある分、朝は必ず送り出してから出勤するように決めている。

 職場には同世代の女性が数人いる。子どもの年齢も近く、互いに仕事を融通し合いながら、それぞれが育児と仕事を両立している。とても働きやすい職場だと気に入っている。

 働き方改革により、女性にとっても働きやすい環境整備が進んでいる。「母のような働く女性が頑張ってきたから、今の制度ができ、女性が働きやすくなっている。私も頑張って働いて、娘が働くころにはもっともっと働きやすくなっていてほしい」。母が自分にしてくれたことを娘に返していく。確実にバトンをつなげたいと考えている。

【サークル】ライト工業Raito.RC(ライト.ランニングクラブ)

 ◇楽しく走って絆深める◇

 社員間のコミュニケーションや団結力を深めるために、ランニング好きの社員が中心となって2016年に発足した。

 有志による同好会として活動し、関越統括支店管理部の圓山春華さんが代表を務め、技術営業部や施工技術部、管理部から20人が参加している。

 「自分のペースで楽しく走ろう」をモットーに、各自が日々練習を重ねている。励まし合いながら、新潟シティマラソンや新潟ハーフマラソンなど地域のマラソン大会にも挑戦している。

 毎年、2、3チームに分かれてリレーマラソンの大会に参加し、親交を深めている。今年も、9月に新潟県スポーツ公園(新潟市)で開かれるリレーマラソン大会「スポーツ公園エンジョイラン」にエントリーする予定だ。このほかにも地域のマラソン大会への参加を見据えている。

 休日、一緒に汗を流すことで、仕事しか接点がなかった人の意外な一面を知ることも多い。マラソン大会への参加という共通の思い出ができることで、社員間の絆も強まっている。楽しく走るという活動を、これからも続けていく。

【駆け出しのころ】鉄建建設取締役常務執行役員土木本部長・高橋昭宏氏

 ◇やり抜く意志が成長を促す◇

 学生時代、将来の仕事について明確な考えは正直持っていませんでしたが、自然に携わる土木の世界に関心を持っていました。縁あって試験を受けた鉄建建設の面接では「トンネルをやってみたい」と伝え、入社後はトンネル現場を中心に土木技術者として経験を積み重ねてきました。

 最初の赴任地は青森の青函トンネルでした。電車と車を乗り継いで竜飛崎にたどり着いた時に抱いた、最果ての地に来たような感覚は今でも覚えています。国家的プロジェクトの大現場で1年半ほど勤務した後、上越新幹線の中山トンネルの工事に移りました。この現場も大量の湧水や変状する地山などを克服する難工事でした。入社間もない頃、こうした大変な現場での経験が今の糧になっています。

 最初の3年ぐらいまでは厳しい現場で休みも十分に取れず、仕事を続けるかどうか迷いがありました。しかし、苦労しながら一つ一つ取り組んできた成果が連なり、仕事の達成感や面白さを感じられるようになりました。大現場で人脈が広がったことも将来につながりました。

 休みは確かに多くありませんでしたが、その分、充実感がありました。休日の前日、早めに仕事を切り上げ先輩たちに連れられて青森の町に車で移動し、しこたま飲んで泊まる。何をしたわけでもありませんが、その時の開放感がオンとオフの切り替えになっていたと思います。

 トンネル屋にとって貫通の達成感は他に代え難いものがあります。至福の時間であり、それまでの苦労がリセットされます。本坑の貫通式は発注者や地元の関係者も出席し、法被を着てみこしを担ぎ、たる酒を酌み交わしながら苦労をねぎらい、喜びを分かち合う。導坑が貫通した時も一升瓶を担いで乾き物などを用意し、現場関係者だけで貫通式を行います。

 これまで8本のトンネル現場を担当し、最後の北陸新幹線の松ノ  木トンネルで作業所長を務めました。社員や協力会社の人たちを従え、自分の意志で現場を動かすことはこれまでにない経験でした。やはり若い技術者には、所長を目指すという気概を持って働いてもらいたいと思います。

 若い世代にある程度の責任を持たせながら、失敗する前に助言を与えるのが理想的。自分で仮説を立て、先々を読みながら業務を進めることで現場を見る力を養っていく。目の前の仕事をやり抜く意志を持ち、まずは10年頑張ってほしいです。新入社員には、業務に向かう自らの姿勢と人とのコミュニケーションが、人を成長させるのだと伝えています。

 先輩たちも下に苦労な面ばかり見せたり、愚痴を言ったりしてはだめです。上を目指そうとやる気を引き出し、若い世代を導くこともわれわれの使命です。
入社3年目。上越新幹線中山トンネルの貫通式で
(左端が本人)
(たかはし・あきひろ)1979年埼玉大学理工学部建設基礎工学科卒、鉄建建設入社。執行役員土木本部副本部長、東北支店長、東京鉄道支店副支店長などを経て、2018年から現職。代表取締役執行役員副社長に6月27日付で就任予定。新潟県出身、63歳。