2018年8月10日金曜日

【回転窓】子どもの夢が未来をひらく

手塚治虫が1952年に少年誌で連載を始めた人気漫画『鉄腕アトム』。そこにはロケットやジェット機が登場し、高速道路や高層ビルが立ち並ぶ都市、立体映像機を使う暮らしが描かれている▼60年の時代を経て現代人には当たり前とも映る光景だが、戦後の荒廃した日本で漫画を通して未来を予見し、国民を鼓舞した手塚の思いには頭が下がる。手塚漫画の世界に触発され技術者を志した人もいただろう▼土木学会が4日、建設中の東京外かく環状道路(外環道)で現場見学会を開いた。招待されたのは学会が今春に行った「未来の土木コンテスト」で入賞した小学生。子どもたちが考えた未来には津波が襲っても水に浮かぶ建物や子どもが遊ぶことで発電する遊具、地球とエレベーターでつながる宇宙コロニーなど夢や希望にあふれていた▼土木学会の関係者が現場選びで大切にしたのは、子どもが夢を紡ぎ出すきっかけとなる場を探すことだそう▼外環道の現場に入った子どもたちがシールド機を使ってトンネルを掘り進める光景を見てどう感じたのだろうか。幼い時の楽しい思い出が、夢のある未来をひらくと信じたい。

【シリーズ・国のかたちを考える2018】エッセイスト・女優・一青妙さん

 ◇100年後、200年後の暮らし支える◇

 土木の世界を知ったのは、日本人土木技師・八田與一(1886~1942年)の生涯を描いたアニメ映画「パッテンライ!!南の島の水ものがたり」(石黒昇監督、2008年公開)に、與一の妻・外代樹役の声優として出演したのがきっかけだった。

 台湾・嘉南平野を豊かな穀倉地帯に変えた「烏山頭ダム」の建設を指揮した八田は、台湾で教科書に載るほどの有名人だが、日本での知名度はそこまで高くない。私もそれまでは知らなかった。09年に台湾での上映会に招かれ、初めて烏山頭ダムを見て、土木技術者の偉大さを感じた。

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【建設業WELCOME!!】振興基金、建設業職種別キャラ動画の配信開始

 建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)は、厚生労働省から受託して展開する「建設労働者緊急育成支援事業」のPR用に新たな動画を制作した。とび、鉄筋、型枠などの躯体系、軽天ボード貼り工や木工などの仕上げ系の各職種の特色を生かして考案したキャラクターに動きを付け、「建設業でみんなの街の未来を一緒につくろう!」と呼び掛けている。

 同事業は、未就業者に建設業で働くために基礎技能を身に付ける訓練と資格取得を提供し、就職支援をセットにした事業。初年度の15年度分から17年度までの累計就職者数は1904人に達した。

 18年度も地域の建設業界の協力を得て設置した全国25カ所の拠点で地域性も生かした事業を展開している。

 訓練生を募集するために振興基金は、ハローワーク、専用サイト「建設業WelCOME!」と同名の無料雑誌などを通じて情報提供している。

 職種別キャラクターは昨年4月、無料雑誌に初めて登場。イラストが目にとまり「無料雑誌を手に取ったのがきっかけで訓練に参加しました」(女性訓練生)という人もいる。動画は動画共有サイトYouTubeで配信。専用サイトからも見ることができる。

【つくったのは俺だ!】鴻池組ら、リクルート動画で協力企業の採用活動支援

 鴻池組と協力会社で構成する鴻友会は、鴻友会会員企業の採用活動をサポートするツールとして、2種類のリクルート用動画を制作した。

 「PRIDE of DOBOKU」と「PRIDE of KENCHIKU」は、高校生をメインターゲットに建設業の魅力ややりがい、社会貢献度の高さを伝える。現場の臨場感などを疾走感あふれる音楽と映像で表現。若年層の共感を誘い、感覚に訴え掛ける内容に仕上げた。
少子化や団塊世代の退職などで、人材確保は困難になっている。現場を支える技能労働者の新規入職と離職防止を図り、建設業を魅力的な産業へ変えたいとの思いから、鴻池組の企業色は出さないようにした。会員企業へ配布し各社の採用活動で利用してもらう。動画投稿サイトYouTubeでも公開した。

【数寄屋橋交差点に新名所】ソニー、東京・銀座に「ソニーパーク」オープン

 ソニーは9日、東京・銀座の数寄屋橋交差点に「銀座ソニーパーク」をオープンした。

 「変わり続ける公園」をコンセプトに20年秋までの期間限定となる。ブランディングはソニー、施工は大成建設が担当した。公園の閉鎖後は22年の竣工を目指し新たなソニービルを建設する計画だ。

 銀座ソニーパーク(中央区銀座5の3の1)は、敷地707平方メートルの地上部の「グラウンドレベル」と、地下4階までの「ローワーパーク」で構成する垂直立体公園。地下部は旧ソニービルの地下階を活用している。実験的な試みをする店舗を設けるほか、イベントも展開する。

 施設規模は地下5階地上1階建て延べ3805平方メートルの規模。1966年に完成したソニービルの地下躯体を残し、壁やタイルなどの名残を生かした。地下2階は東京メトロのコンコース、地下3階は西銀座駐車場に直結する。

 パークは、新しいソニービルを2段階で整備する「Ginza Sony Parkプロジェクト」の第1ステップ。第2ステップとして20年秋以降、ビル建設に着手する。新たなビルのコンセプトは公園。銀座ソニーパークを縦に伸ばす「アッパーパーク」として、有識者らとともに基本構想に入っている。建物の最高高さを56メートルとする銀座ルールに合わせて、高層ビルにするかは未定で検討する中で決める。

 パークを運営するソニー企業の永野大輔社長は8日の報道向け内覧会で、「2020年に向けて東京で多くのビルが建て替える中、いったん『あえて建てない』という選択をした。『人のやらないことをやる』ソニーのDNAだ。ここ銀座は実験の場。新たなビルもソニーらしさを大切にしたい」と語った。

2018年8月9日木曜日

【回転窓】「人生ゲーム」50年

子どもから大人まで幅広い層が楽しめるボードゲームの代表格「人生ゲーム」が日本で発売されて9月で50周年を迎える。米国発のほぼ直訳版が市販され、高度経済成長期に「人生山あり谷あり…」のテレビCMでお茶の間の話題を集めた▼ルーレットを回してマス目を進み、就職、結婚、家の購入など人生のさまざまなイベントを経て億万長者を目指す。ゲーム用の紙幣をやりとりしたり、保険をかけたりと、ギャンブル性を含むところが老若男女を問わずに楽しく遊べる魅力の一つだろう▼1980年代以降は日本のオリジナル版が登場。世相やトレンドを反映した多くの「人生ゲーム」がおもちゃ屋の店頭に並んだ。今春発売の50周年記念版の盤面には60年代の「団地」から「東京ドーム」、建設中の「新国立競技場」まで時代を象徴する建物が出てくる▼タカラトミーは企業向けの非売品も製品化。来年5月に東名高速が全線開通50周年を迎える中日本高速道路会社グループは、東名と新東名を舞台とした記念版(A2四つ折りパンフレット)を作製した。猛暑を避けた屋内で家族や仲間たちとゲームに興じてみてはどうか。

【最も魅力的な土木偉人は?】土木学会、29日に北大でコンテスト


 ◇プレゼンター9人が魅力を語る◇

 最も魅力がある土木偉人は一体だれ?-。土木学会は29日、札幌市北区の北海道大学札幌キャンパスで「ベスト・イノベーター・オブ・土木偉人-みんなで決める!あなたが決める!ベストプレゼンテーター!」と題するコンテストを開く。

 29~31日に北大札幌キャンパスをメイン会場に開催する同学会全国大会の関連行事の一つ。9人の学生や若手技術者が好きな土木偉人の功績やエピソードなどを発表し、来場者の投票でベストプレゼンテーターを決める。

 楽しく遊びながら土木偉人を学ぼうというコンセプトで同学会が制作した「土木偉人かるた」で取り上げた偉人の中から9人を選び、その魅力を「革新性」「実行力」「現在への継承」を共通のテーマとして熱く語る。

 総合司会(座長)は、同学会の緒方英樹氏(土木広報センター土木リテラシー促進グループ長)が務める。プレゼンテーターは、▽早内玄(横浜国立大大学院)=発表偉人「濱口梧陵」▽水田裕貴(松江工業高等専門学校)=発表偉人「バルトン」▽渡辺万紀子(日大大学院)=発表偉人「田辺朔郎」▽藤原昇太(山口大)=発表偉人「井上勝」▽本田美樹(埼玉大大学院)=発表偉人「青山士」▽蓮池里菜(岐阜大大学院)=発表偉人「田中豊」▽是松慧美(立山カルデラ砂防博物館)=発表偉人「高田雪太郎」▽伊波友生(寒地土木研究所)=発表偉人「岡崎文吉」▽坂本進(北海道開発局)=発表偉人「廣井勇」-の各氏。

 会場は北大札幌キャンパス高等教育棟3階N302。開催時間は午後1時~3時。入場無料(申し込み不要)。一般も参加できる。

【塗装職人がプロの技披露】東京都「ものづくり匠の技の祭典」が開幕

 東京都が主催する「ものづくり匠の技の祭典2018」が8日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開幕した。会期は10日まで。

 開会式には小池百合子知事も出席。東京都塗装工業協同組合(東塗協、会津健理事長)の出展ブースでは、塗装職人がプロの技を披露する実演が行われた。

 塗装を実演したのは、昨年の第25回全国建築塗装技能競技大会(日本塗装工業協会主催)で優勝した佐藤興業(東京都千代田区、佐藤周平社長)の清水義行氏。30分間でローラー塗りやはけ塗りなどの作業を行った。

 清水氏の実演中、東塗協技術技能委員を務める佐藤東平佐藤興業取締役は「はけは細かい場所、ローラーは広い場所を塗るのに適している」などと話した。塗装で建物内の温度上昇を防ぐ遮熱塗料など最新技術も紹介した。

 佐藤氏は建物の塗装について「表面を美しくするだけでなく、表面を保護して建物を守る意味もある」と説明。家庭で塗装を楽しむには「養生をしっかり行い、塗装前に表面のほこりを落としてから取り組んでほしい」などとポイントを説明した。

 実演後、来場者から「家を塗ってもらう時、塗料で絵を描くこともできるのか」と質問されると、佐藤氏は「特殊塗装にも取り組んでいるのでご要望いただければ」と応じた。9日は同じ佐藤興業所属で大会準優勝の高橋淳一氏が実演する。

【解体費用は102億円に】新国立競技場整備、物価・労賃の変動踏まえ11月に変更契約

日本スポーツ振興センター(JSC)は、2020年東京五輪のメインスタジアムとして建設中の新国立競技場(東京都新宿区ほか)について、物価と労賃の変動を踏まえた事業費の増額変更を行う。現在精査中で、11月ごろ設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVと変更契約を結ぶ。

 17年度末時点で算定した整備コストの見通しは、工事費用(スタジアム周辺の整備含む)で1512億円、設計・監理などで40億円の計1552億円。整備計画段階に見込んだ上限1590億円(解体工事除く)より38億円の減額となる。

 スタジアム整備の1552億円には既存構造物解体の費用は含んでいない。解体工事費は82億円(計画時55億円)と試算。上水道関係の工法変更などで20億円が追加され、最終的に解体費用は102億円となる見込み。

 今後は歩行者デッキの形状見直しで3億円、陸上競技のトラック舗装の整備主体変更で3億円をそれぞれ減額する。9月ごろ施工者と変更契約を結ぶ。トラック舗装はJSCではなく、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が整備主体となる。こうした変更内容を踏まえ、11月には物価・労賃の変動に応じ契約を見直す。

【2022年度の完成めざす】BB秋田新スタジアム整備、構想策定へパシコンに調査業務委託

サッカーJ3・ブラウブリッツ秋田(BB秋田)の本拠地となる新スタジアムの建設計画を検討している「新スタジアム整備構想策定協議会」(会長・相場哲也秋田商工会議所専務理事)は、調査業務委託の公募型プロポーザルを実施し、委託先候補にパシフィックコンサルタンツを選定した。今月中旬までに契約を締結する。

 審査会(プレゼンテーション)には2者が参加した。19年3月31日を履行期限に、建設場所や施設規模・機能、運営主体・手法、建設・維持管理の概算事業費・財源などを検討するための調査・分析などを行う。今のところ、新スタジアムの整備費用は約80億円と試算。今後、事業主体などを検討し、22年度内の完成を目指す。

 同協議会は秋田県、秋田市、男鹿市、由利本荘市、にかほ市、秋田商工会議所で構成。BB秋田が昨年のJ3リーグで優勝しながらも、スタジアムが未整備のためJ2のクラブライセンスを取得できなかったことから、昇格に必要なJリーグ基準を満たす新スタジアム建設の構想策定に向けて今年5月に発足。これまで候補地の選定や規模、整備手法などの検討を進めていた。

 今回の調査業務では、対象地を秋田市八橋の「八橋運動公園敷地」、同市手形学園町の「秋田大学敷地」、同市川尻大川反の「秋田プライウッド敷地」の3カ所を候補に▽利用可能な面積、スタジアム・駐車場の配置案▽交通手段ごとの来場者予想、利便性、混雑予想▽周辺環境への配慮▽利用者数と頻度▽概算事業費▽民間資本などの活用可能性▽事業収支▽建設期間▽経済効果-などを調査・分析し、効果的な提案を行う。

 新スタジアムが完成するまでの暫定的な本拠地として使用する八橋陸上競技場は現在、秋田市が改修工事(施工=伊藤工業・佐々木組・ヌノタニ・三光テクノ・コスモス設計JV)を進めており、来シーズンの開幕に間に合うよう、19年1月31日の完成を予定している。

2018年8月8日水曜日

【回転窓】魅了するテクニック

バドミントンの〈ヘアピンショット〉は、その軌跡が髪の毛をとめるヘアピンの形に似ているのが名称の由来という。自ら持つ多彩なテクニックの中でも、正確無比なヘアピンショットを得意とする桃田賢斗選手が5日、世界選手権のシングルスで金メダルを獲得した▼ネット際で軽くふわりと上げたシャトルを相手コート側のネットギリギリに落とす。対戦者はまるでつり糸で操っているかのようなシャトル動きにほんろうされて返すことができない。観客を魅了する高度なテクニックだ▼桃田選手に違法賭博問題で無期限の競技会出場停止処分が下されたのは2年前。当時はスポーツ選手の不祥事が相次ぎ、小欄でもこの問題に触れて対策の必要性を書いている(2016年5月11日付)▼厳しい処分を受けた選手が見事復帰し、世界を制する強さが持てたのはなぜなのか。競技に対する意識を改め、周囲に支えられながら再び試合に挑める日を信じて鍛錬も怠らなかったからであろう▼桃田選手は「いろいろな方々のサポートのおかげで試合ができている。一人の優勝ではない…」と話した。この思いのこもったコメントがいい。

【131社中101社がゼロ】上場企業女性役員比率、建設業は最低の2%

上場企業の6割で女性役員がゼロ-。東京商工リサーチがまとめた上場企業2375社の役員総数は2万7526人(18年3月期決算時点、有価証券報告書ベース)で、うち女性役員は1049人にとどまることが分かった。

 前年より116人増加したものの、役員全体のわずか3・8%(前年3・3%)。業種別の女性役員比率では建設業が2・0%(1・6%)で最低だった。

 業種別の女性役員比率で最も高いのは、サービス業の6・0%(前年5・2%)。役員総数1991人(前年1988人)のうち、女性役員は121人(105人)だった。小売業5・9%(5・2%)、金融・保険業5・6%(5・1%)、電気・ガス業5・1%(5・0%)、不動産業4・5%(4・2%)と続く。

 建設業は役員総数1697人(前年1687人)のうち、女性役員35人(28人)。女性役員ゼロの企業を業種別にみると、建設業は131社中101社と8割近くを占め、全業種で最も高い結果となった。

 女性役員比率が最も高いのは、北海道で老人介護ホームを運営する光ハイツ・ヴェラス。同社の役員7人のうち半数を超える4人が女性だ。事業内容に加え、代表者が女性であり、女性の役員登用への抵抗が少ないとみている。

【楽しんでくれたかな?】日建連、都内でけんせつ小町活躍現場見学会開く

 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が「けんせつ小町活躍現場見学会」を東京都内で開いた。3日は飛島建設が東京都墨田区で施工中の「吾嬬ポンプ所施設再構築その4工事」の現場で開いた。小・中学生と保護者11人が参加。同社女性職員の説明を聞きながら現場を見学したほか、ニューマチックケーソン工による潜函ショベルの遠隔操作体験もした。

 見学会は東京都下水道局発注のポンプ所再構築工事の現場で行った。参加者は現場事務所で、入社4年目のけんせつ小町、齊藤香菜絵さん(飛島建設首都圏土木支店)から工事内容などの説明を受けた後、他のけんせつ小町らとともに現場を見て回った。

 仕事体験では、まず土木工事で欠かせないセメントを使ったコースターづくりに挑戦。素材や種類によって固まる早さが変わることなどの説明を受けた。次に現場を回った上で、遠隔から潜函ショベルの操作も担当者と一緒に行った。

 見学後、齊藤さんは「子どもを対象にした現場見学会を担当したのは初めてで緊張したが、皆さんが喜んでいるなというのは肌で感じた。こうした経験によって少しでも女性が建設業に入ってくれたらうれしい」と語った。参加した小学生は「男性、女性が関係なく、連携プレーで仕事をこなしていたのがすごかった」と笑顔で話した。

 ◇手をつないで現場めぐり◇

7日には東京・臨海副都心で「けんせつ小町活躍現場見学会」を開いた。奥村組が施工する土木現場を小学生の女子とその家族23人が訪れた。同社は、各部門や現場で働く10人超の女性社員が見学会に対応。参加した女の子とずっと手をつなぎ、現場を見て回る心温まる光景も見られた。

 見学会を開いたのは、首都高速道路会社が発注した「(修)臨海副都心出口基礎・擁壁その他工事」。10月末の完成を目指す現場で首都高の新たな出口を構築する工事を紹介。モルタルを材料にしたコップづくり、高所作業車の乗車体験なども企画した。

 現場で働く入社2年目の市田奏子さんが工事概要などを説明した。5月から見学会の準備をした市田さんは「なるべく内容をかみ砕き、小学生にも建設の楽しさが伝わるよう努めた」と話した。現場を指揮する島本昌弘所長も「うまく説明できていた」と評価した。

 同社は見学会で案内役として1家族に女性社員1人を付け、参加した子どもたちの疑問や質問に細かく対応するよう心掛けた。

【ゾウさんのおうち、作ってます】札幌建青会、円山動物園(札幌市)で親子見学会開く

 札幌建設業協会会員を中心とした建設企業の青年経営層で構成する札幌建青会(玉川裕一会長)は3日、札幌市中央区の円山動物園で夏休み親子現場見学会を開いた。

 9月の完成へ向け、急ピッチで工事が進むゾウ舎新築工事を見学し、参加した約50人の親子は現場のスケールの大きさに驚いた様子だった=写真。

 札幌建青会では、工事現場の見学会を通じて社会資本整備の役割や建設事業の存在を知ってもらい、児童の夏休みの自由研究に活用しながら建設業を身近に感じてもらおうと、2008年から毎年夏休み親子見学会を開催している。

 今回の見学先となった「円山動物園(仮称)ゾウ舎新築工事(主体工事)」は札幌市の発注で、設計は大建設計、施工は岩倉建設が担当。RC一部S造地下1階地上2階建て延べ3739平方メートルの規模で、9月20日の完成を予定している。

 見学会では玉川会長が「見学会を通じて、ものを作ることの意義と喜びを感じてほしい」などとあいさつした後、道内の建設産業に関わる女性を中心に活動する「建設どさん娘(こ)の会」のメンバーの飯田百合亜さん(岩田地崎建設)が、建設業の仕事を分かりやすく紹介した。

 引き続き、岩倉建設の長谷川喜一工事所長らの案内で工事中の舎内を見学。完成後には飼育員しか入れなくなるゾウのおりに触れ、参加した女子児童の一人は「近くで見たらおりが大きくて驚いた。ゾウが来てから、また見に来るのが楽しみ」と笑顔で話した。

【10日に延岡で土木体験イベント】デミー&マツ、今度はトンネルの魅力発信!!

日本の土木の大切さや魅力を広く伝えるために土木技術者2人で結成したボランティア団体「噂の土木応援チームデミーとマツ」は10日、宮崎県延岡市のホタルの里休暇村で道の日・道路ふれあい月間を記念して土木体験イベント「トンネルのお医者さんになろう!」を開く。8日まで参加者を募集する。

 噂の土木応援チームデミーとマツは長崎大学大学院工学研究科の出水享工学博士と共同技術コンサルタントの松永昭吾福岡支店長で結成。学校では学べない土木体験イベントを通して多くの子どもたちに土木の役割、土木の大切さや魅力を伝える活動を行っている。

 今回のテーマは「トンネルを守るお仕事」。トンネルがどのように守られているかを講義で学んだ後、実際のトンネルで仕事の体験を行う。トンネルメンテナンスの流れに沿って高所作業車で打音検査・コンクリートの硬さ調査、ひび割れなどを診断、左官体験による処置などを行う。実際に行われているメンテナンス作業を実体験できるのは日本でも初という。

 参加希望者はメール(dobokugo@gmail.com)で名前、年齢、住所、勤務先や学校名、当日の連絡先、会場までの交通手段を記載の上、申し込む。定員は40人で参加多数の場合は抽選。集合場所はホタルの里休暇村(宮崎県延岡市北川町川内名7330)。時間は午後1時30分~4時30分。問い合わせは出水享氏(電話070・6596・4691)へ。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/建設労働者、10人に4人が「出たり入ったり」

今夏の建設現場の人材移動がより活発になっている。雇用労働部が発表した「18年6月事業場労働力調査」によると、6月の建設業の労働移動率は38.4%を記録。1カ月間で10人中4人が建設業に就職したり離職したりした。

 昨年6月の32.0%よりも6.4ポイント上昇した。全産業平均9.5%の4倍ほど、移動率が最も低い金融・保険業の3.2%とは10倍の違いが生じている。

 6月の建設業入職者数は24万5000人(前年同月比16.1%増)で、離職者数は25万3000人(19.2%増)だった。雇用増ではなく、頻繁な人材移動で全体従事者数が減ったと解釈される。

 建設業の頻繁な人材移動の原因は、離職理由から一部推論できる。6月の建設業の「非自発的」な離職者数は23万5000人で92.8%を占める。雇用労働部関係者は「建設業での非自発的離職の大部分は工事の竣工、解雇に伴うもの」とした上で、「人材需要が変わる一部の季節的要因も影響を与える」と説明する。

(CNEWS、7月31日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ハノイ市が国内の成長エンジンに

 首都ハノイは市域拡大から10年間で着実な発展を遂げ、国内の重要な経済成長エンジンとなっている。

 同市計画投資局のヴー・ズイ・トゥアン副局長によると、域内総生産は平均年7.4%成長し、1人当たり総生産は2.3倍に増加。農家の1人当たり所得と市の歳入はともに2.9倍となった。ハノイ市はベトナム北部の域内総生産の51%、全国の16%を占めている。

 マスタープランに基づく開発は都市に新しい側面を生みだし、市北部を中心に新市街地も数多く誕生した。ハノイ市人民委員会は、中央政府による強力な監督、事業完了への責任感、市民の合意形成などをこの10年間の都市開発で得た教訓に挙げている。

セイ・ズン、8月3日)

2018年8月7日火曜日

【回転窓】価値観はさまざま

先日、東京都内で建築家・藤村龍至氏の講演を取材した。単純な形の模型に行政や住民らの意見や細かい設計条件を反映させ、提案を磨き上げていくのが藤村氏の基本姿勢と聞いた▼多くの考え方を柔軟に吸収して最適解を導くのは簡単でない。藤村氏は案を統合する過程も開示し、その土地に必要な建築を作り上げていく▼欧米諸国などに比べ、日本社会には多数派と同じ言行を暗に求める「同調圧力」が強く働いているといわれる。KY(空気が読めない)という言葉がはやったのは数年前。悪意がなく無意識だったとしても、その場の雰囲気を察した発言や行動をしないと何となく居心地が悪くなってしまうケースがある▼少数派の意見をどうやって尊重し取り入れていくのか。一朝一夕に解決できる問題ではないのだが、個人をより重視する時代の中で職場や学校、コミュニティーなど多くの場面で解決策を探る必要がある▼気配りを大切にしながら自分の意見を冷静に伝え、賛成、反対にかかわらず相手の意見を理性的に聞きより良い答えを導き出す。藤村氏が建築で実践しているやり方はさまざまな場面に応用できそうだ。

【鉄建建設技術センターに123人集合!】ゼネコン女性交流会、鉄道工事研修施設の見学会開く

 ゼネコンなどに勤務する女性社員の有志で運営する「ゼネコン女性交流会」は3日、千葉県成田市にある鉄建建設の建設技術総合センターで見学会を開いた。

 今回が15回目の会合。鉄建建設が幹事を務め、123人が参加。線路やホームなどを再現した鉄道の研修施設を使い、鉄道設備の仕組みや鉄道工事中のチェックポイントなどを学んだ。

 施設内には駅や踏切などを設置した全長150メートルの線路があり、参加者は「右よし、左よし、前よし」との指さし呼称をして線路内に入った。踏切ではセンターの講師が「下りた遮断機は前に押しても動かないが、車のフロントガラスなどの斜めの形状のものに沿って持ち上げることができる」と説明。実際に遮断機を斜めに持ち上げてみせると、参加者からは驚きの声が上がった。

 3月に完成した、主に女性社員が使用できる「研修施設棟Annex」の内部も見学した。施設には要望が多かったシャワールームやパウダールームも採用。洗面台コーナーを既存の研修施設よりも多く設置するなど、女性社員に配慮した設備をそろえている。

 見学会の事務局を務めた鉄建建設の野本由美子管理本部ダイバーシティ推進部長兼人事部担当部長給与・厚生グループリーダーは「男性が多くを占める建設業で、女性社員は同じ悩みや問題に直面している。交流会をきっかけに、会社の壁を越えた輪ができるといい」と交流会の取り組みに期待を込めた。

 同じく事務局で建築本部設計部構造設計グループ兼九州支店建築部の和田郁子さんは「当社の研修施設には、ホームドア付きのホームや踏切など鉄道工事の基本を学べる設備が整っている。鉄道工事の件数は多くないが、緊急停止ボタンの正しい使い方などを学んで、日常の役に立ててほしい」と話した。

【平均728万円、50位以内に6社】上場企業平均給与、建設業が2年連続トップ

東京商工リサーチがまとめた上場企業1893社の平均年間給与(18年3月期決算時点、有価証券報告書ベース)は620万8000円となり、前年同期に比べ6万7000円増加した。業種別では建設業の728万4000円(124社平均)が全業種で2年連続のトップとなった。活発な建設投資を背景に、好決算が続出した上場ゼネコンがけん引したと分析している。

 上場企業の平均年間給与は10年3月期以来、8期連続で上昇している。この間の増加額は54万6000円。平均年間給与1000万円以上は24社(構成比1・2%)で、前年より3社増加した。社数では500万円以上600万円未満が最も多く、555社(同29・3%)と3割近くを占めた。

 平均年間給与でトップの建設業は、前年比1・63%増。平均年齢は43・26歳だった。業種別では、不動産業が723万6000円、水産・農林・鉱業が706万4000円で続き、建設業を含む上位3業種が700万円台に乗せた。

 伸び率のトップは前年比2・7%増の不動産業。都市部を中心とした不動産市況が業績に寄与した結果とみている。50位以内のゼネコンは鹿島15位(前年37位)、大林組20位(34位)、大成建設28位(35位)、清水建設30位(28位)、奥村組36位(93位)、東急建設38位(48位)となっている。

【19年春開業予定、施工は大林組JV】西武鉄道旧本社跡オフィスビル、「ダイヤゲート池袋」に

 西武ホールディングスは、事業会社の西武プロパティーズ(埼玉県所沢市、上野彰久社長)が東京・池袋の西武鉄道旧本社ビル跡地に建設しているオフィスビルの名称を「ダイヤゲート池袋」に決めた。

 建物は延べ約5万平方メートルの規模。設計・監理は日建設計が担当。大林組・西武建設JVの施工で19年3月の竣工、同春の開業を目指している。総事業費は約380億円。

 建設地は池袋駅東口の南側に位置する豊島区南池袋1の21の23ほか。西武鉄道旧本社ビルの敷地とその西側の西武池袋線線路上空、線路西側の所有地を合わせた5530平方メートルの敷地だ。

 建物の規模はS一部RC・SRC造地下2階地上20階建て延べ4万9661平方メートルの規模。3階以下は耐震構造、中間免震層を設け4階以上は免震構造とする。4階以上はオフィスが入り、14~18階を西武HDとプリンスホテル(東京都豊島区、赤坂茂好社長)、西武プロパティーズの本社として使用する。低層階はオフィスワーカー向けの店舗などが入る。

【延べ4万平米、施工は熊谷組】ドンキホーテHD、渋谷・道玄坂に大規模ビル建設

ドンキホーテホールディングス(HD)は、東京・渋谷の「ドン・キホーテ渋谷店」の跡地を中心とする敷地に、ホテルや店舗などが入る複合施設を新築する工事の施工者を熊谷組に決めた。

 同社は既存建物の解体工事の施工も担当している。建物規模は延べ約4・1万平方メートル。設計は東急設計コンサルタントが担当している。19年1月上旬の着工、22年4月下旬の竣工を目指す。

 計画名称は「(仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画」。計画地は渋谷店跡地と裏手の敷地を合わせた5737平方メートルの敷地(渋谷区道玄坂2の1の6ほか)。文化村通りや東急百貨店本店の至近で、渋谷駅にも近いためアクセス性に優れている。

 複合施設の建物は地下1階地上28階建て延べ4万0950平方メートルの規模、最高高さ120メートル。構造は地下がRC・SRC造、地上がS造。店舗や事務所、ホテル、駐車場・駐輪場を設ける。

 ドン・キホーテ渋谷店はドン・キホーテブランド初の都市型多層階店舗として1999年に開業した。文化村通り沿いへの移転のために閉店。新店舗は都心エリア最大級となる「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」として、17年5月に開業した。

【記者手帖】取材で郷里を訪れて

取材エリアが決まっている地方支社に勤務していた時よりも、東京の本社に配属されてからの方が全国各地に取材で赴く機会が増えた。おかげでプライベートも入れると47都道府県で足を踏み入れていないのは1道2県になった◆先日、自分が生まれ育った県に取材で初めて訪れた。2018年7月豪雨災害の被災地の取材で、地元の建設業協会の人たちと一緒に河川氾濫や土砂災害が起きた箇所を回った◆幸いにも実家のある町は大きな被害はなかったものの、車で1時間ほどの距離にある町が広範囲にわたり浸水し、死傷者も出た。家屋が全壊するなどして、避難所の体育館で不自由な生活を送る被災者を目の当たりにした◆発災直後の初動対応に当たった建設会社の人に名刺を渡すと、「ご苦労さま」とねぎらってくれたが、本来この言葉はこちらが先に伝えないといけなかったと反省。その人は自宅が被災したと後で聞き、自分のことを後回しにしても復旧を急ぐ姿勢に胸が熱くなった。郷里の早期復旧を祈ると同時に、長く寄り添った報道を続けようと決意した。(田)

2018年8月6日月曜日

【回転窓】自助と共助の力

記録的な集中豪雨によって西日本を中心に甚大な被害が発生してから約1カ月。この間、復旧・復興や生活再建に取り組む被災地は猛暑や台風に見舞われるなど、厳しい道のりをたどっている▼今回の豪雨によってさまざまな課題が浮き彫りになった。その一つが広い範囲で同時多発的に、甚大な災害が発生した時の対応だろう。山村や離島などアクセスしにくい地域では、救助や支援が後手に回ってしまうケースもある▼地球温暖化の影響もあってか激甚化した水害や土砂災害が列島各地で起きている。国土交通省がまとめた昨年1年間の土砂災害発生件数は1514件。2007年から10年間の平均で見ても1051件が発生している。高齢化が進む中、地域で自助と共助の力をどう高めるか、改めて考えることが求められている▼自然災害が起きた時、本当に避難できるのか、避難を支援するコミュニティーはできているのか。一人一人が自らに問い掛ける必要があり、あらかじめ被災のリスクや取るべき行動を知り、備えることも不可欠だろう▼災害発生にどう備えるのか-。守る施設と逃げる仕組みの用意が急がれる。

【モデルに西野七瀬さんら起用】建災防、全国労働衛生週間ポスター製作

西野七瀬さんを起用したポスター
建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、厚生労働省が主唱する「全国労働衛生週間」(10月1~7日、準備期間9月1~30日)の周知に向けたポスターを作製した。

 アイドルグループ・乃木坂46の中心メンバーの西野七瀬さんと、ドラマなどで活躍する高橋ひかるさんをモデルに起用。西野さんのポスターは、同週間のスローガンの「こころとからだの健康づくり みんなで進める働き方改革」を記載した。

 注文先は東京が建災防本部事業部教材管理課、東京以外は道府県支部。価格はともに200円(税込み)となっている。
高橋ひかるさんを起用したポスター

【中高生ターゲットに建設の魅力発信】仮想の街で「シミズさんを探せ!!」

さて問題。シミズさんはどこでしょう?
清水建設は3日から、コーポレートサイトに、同社の仕事内容を紹介する「シミズさんをさがせ!」を公開した。主に中高生をターゲットとし、ものづくりの面白さや建設の魅力を伝えている。

 「シミズさんをさがせ!」は、サイトのトップ画面に、仮想の街のイラストを掲載。その中で働く同社従業員のシミズさんを探しクリックすると、仕事内容の詳細が解説される仕組みだ。現場で働く作業所長や営業、設計、海洋未来都市構想など、同社が携わっている幅広い事業を分かりやすく紹介している。

【大規模・国際イベントの開催視野に】愛知県体育館移転、基本計画策定業務を発注

愛知県は、大相撲名古屋場所が開かれる愛知県体育館の移転に向け「新体育館基本計画等検討業務」の公募型プロポーザル手続きを開始した。参加申請を16日まで受け付ける。技術提案書等の提出期限は9月12日。書類審査を経て、10月上旬に委託先を決める。新体育館は、2026年アジア競技大会のバレーボール会場にも予定されている。

 参加できるのは、県建設部入札参加資格者名簿に「建築設計」または「都市計画および地方計画」で登録され、物品製造等の県入札参加資格者名簿に「役務の提供等」「調査委託」「市場調査」および「総合研究所」に登録されている者。建築設計総合点数200点以上の1級建築士事務所、過去10年間の同種業務実績などが条件。2者構成共同企業体での参加もできる。

 名古屋市中区二の丸にある現体育館は、RC造地下1階地上3階建ての第1競技場、同2階建ての第2競技場、プールなど総延べ1万7281平方メートル。1964年の完成で老朽化が激しいため、約800メートル北の北区名城公園1に移転する。県は当初、現体育館の大規模改修を予定していたが、二の丸地区の再生を計画している市の意向を受け、移転させることにした。移転候補地は名城公園北園内の野球場付近。

 同業務では、概算事業費やスケジュールを含めた基本計画の策定、PFI導入可能性調査を行う。県を代表するアリーナであることから、それにふさわしい風格やこれまでの歴史を重視した施設を目指す。

 具体的には、アリーナスポーツ協議会の定める「クラスS」相当の規模、機能を持たせる。フィギュアスケートなどの国際大会、大相撲名古屋場所、大規模イベント・コンベンションにも対応可能な施設とする。名古屋城に近いことから、景観面にも配慮する。契約上限額は6113万8000円(税込み)。履行期限は19年3月20日。

【凜】矢島鉄筋工業工事部・山本菜々子さん

 ◇建設業が身近な存在に◇

 青森県つがる市で生まれ育ち、この春、地元の高校を卒業した。建設業に興味を持ち、インターネットで探した矢島鉄筋工業(東京都墨田区、矢島孝夫社長)を見学したのが1年前。楽しそうな雰囲気と、感じのよい社員の人たちと触れ合えたことが、入社の決め手になった。

 4月の入社以来、取り組んでいるのが品質管理。上司と一緒に日々現場を回り、鉄筋の寸法や直径、本数、定着具合などをチェックする。現場で職人になることを希望していたので最初は戸惑いもあったが、「白黒はっきりさせたい性格なので、自分に向いている仕事かも」と笑う。

 品質管理は施工の不具合を未然に防ぐ大切な工程だ。仕事に慣れ、覚えることに懸命だが、暑い中で頑張る職人たちが熱中症にならないよう、「水分補給して下さいね」と声掛けするなど気配りも忘れない。

 新国立競技場(東京都新宿区など)といった誰もが知る有名な現場で働きたいという思いもある。高校生の頃、建設現場は遠い存在だったが、社会人になってから身近に感じられるようになった。一生懸命に働き、経験したことを盆休みに帰省した時、家族や友人に話すのを今から楽しみにしている。

 ゼネコンの女性技術者は増えたが、鉄筋業界ではまだまだ珍しい存在。「もっと女性が増えてほしい」との思いを胸に秘め、自らの仕事と向き合っている。

 (やまもと・ななこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・206

上司や同僚とはしばしば杯を交わし、思いをぶつけ励まし合った
 ◇上司や同僚に恵まれた会社で最後まで◇

 「全く知らない業界で、続けていけるか不安だった」。建材などを販売する東京都内の専門商社で30年以上働いている三田浩二さん(仮名)は、入社直後の心境をそう振り返る。一から知識を補うために努力を重ね、頭角を現していった。それでも三田さんは、「ここまで来られたのは素晴らしい上司や同僚に恵まれたおかげ」と控えめに話す。

 出身は北海道。大学入学を機に単身上京した。卒業を控え就職活動を始めたが、なかなか就職先が決まらなかった。数十社を渡り歩き、ようやく決まったのが今の会社。全く知識がない建材業界への就職に不安もあったが、「内定を出してくれた期待に応えたい」と考え、入社を決めた。

 入社して間もなく、ハウスメーカーなどを担当する営業部門に配属された。驚いたのは取り扱う商材の多さ。建材の規格や用途、価格は多岐にわたる。客先が求めるものを正確に把握できず、悔しい思いをした。商材の知識を付けるため、寝る間も惜しんで勉強した。何冊ものカタログを持って、必死に客先を回った。

 入社して数年が経過したころ、三田さんが販売した合板の中に不良品が見つかり、客先からクレームが入った。合板の販売はロット単位。不良品と同じロットの合板すべてに不備がないか確認する必要があった。合板メーカーに対応を任せることもできたが、「お客さまは自分から商品を購入してくれた。自分がやらなければ営業マンとしての存在意義がない」。そう考え、北海道から沖縄まで全国の現場を飛び回り、自ら対応に当たった。現場によっては、施主にも直接状況を説明した。上司や同僚の力も借りながら、無事に対応が済んだ時の安心感と達成感は、今でも忘れられない。

 日々の努力が実を結び、仕事が軌道に乗り始めた。競合他社より高い値段を提示しても、「三田さんだから注文する」と言われた時には、「営業マンとしてこの上ない喜び」を感じた。そんな折、ある客先から呼び出され、「うちに来ないか」と誘いを受けた。「自分を高く評価してくれている」ことがうれしく、心が揺れた。だが、「自分が苦しい時に励ましてくれた上司や同僚の顔が浮かんだ」。客先には、丁重に断りの連絡を入れた。

 今は営業部門を離れ、管理部門で客先の与信判断などを担当している。長年在籍した営業部門からの異動に戸惑いはあったが、「普段から管理部門の同僚と連携を取り合っていたし、不安はなかった。営業活動で得た客先の情報なども生かせる」と、新たな業務にも前向きだ。

 2人の子どもが自立し、退職後のことを考えるようになった。一番の希望は、地元の北海道に戻ること。入社して以来、勤務地はすべて首都圏だった。「空気がおいしい広い故郷で、静かに老後を過ごしたい」。そんな願いも持ちつつ、「この会社で最後まで働き続けたい」との思いを胸に、今日も誠実に仕事に取り組む。

【サークル】建設業振興基金フィッシングクラブ


 ◇モットーは「楽しく!」、狙うは大物!!◇

 釣り好きの職員が集まり2014年に発足した。現在のメンバーは11人。先月は江の島(神奈川県藤沢市)から貸し切り船に乗り込み、イカ釣りを楽しんだ。

 当日はメンバーの家族も含めて13人が参加したが、期待した釣果はほとんどゼロ。途中で釣り方を変えると小ぶりのサバが次々と掛かり、20匹以上釣ったメンバーも。太公望たちを率いるクラブの代表で、経営基盤支援センター緊急育成支援推進室長代理の松縄修さんは「ぼうずを免れてほっとひと安心しました」と話す。

 船釣りには乗船料がかかる。「このお金を持って魚屋さんに行ったら、いったい何匹の魚が買えるのだろうか」。松縄さんの頭の中でそんな思いがよぎることもあるそう。けれども「楽しくやる」ことがクラブのモットー。乗船料が安く感じるほどの大漁を夢見ながら、これからも楽しく活動を続ける。

 釣り好きの和を広げようと、役職員にクラブの存在を周知する活動にも余念がない。この秋には「大物を狙うべくイベントを企画中」という。一人でも多くのメンバーと船釣りをして釣果を上げる。地道な勧誘活動で知名度アップを目指していく。

【駆け出しのころ】川田工業執行役員鋼構造事業部技術部長・街道浩氏

 ◇大切なのはやり始めること◇

 入社して最初に配属されたのは、本社ではなく、橋梁の設計を手掛けていた埼玉県越谷市にあった事務所でした。今の自分があるのはこの部署でたたき上げられたおかげだと思っています。

 私たちはちょうどパソコンが普及し始めた第一世代に当たり、大学院での道路構造物の疲労亀裂に関する研究にも活用していました。ところが入社当時の会社はまだ設計も手計算で行っていた時代で、表計算ソフトを使って先輩から怒られたこともありました。そんな中で私は「自分の手で」という指導に従いつつ、同時にパソコンでも構造計算などを行うようにしていました。

 やり過ぎだと思われるほどやっているうちにだんだんと認めていただけるようになりました。でも、設計の仕事というのは頭だけでなく、手を動かして覚えることが多いのも事実です。新人のころに教えられたことは貴重な経験となりました。

 高速道路の床版補修や斜張橋の設計を手掛けた後、入社3年目に東京港連絡橋(現レインボーブリッジ)の補鋼桁の設計に携わりました。会社には設計だけでなくそのまま現場も担当させてほしいとお願いしたのですが、次も新設橋の設計を担当することになりました。しかし、どうしても現場を担当したく、会社にまた志願したところこれが受け入れられ、自ら設計した物件の現場に初めて携わることができました。この時のうれしかった気持ちは忘れられません。

 これまでの社歴を振り返ると、ほぼ10年ごとに業務の内容が少しずつ変わってきました。最初の10年は設計、続く10年は設計に加えて合成床版などの製品開発、そして次の10年は既存構造物の調査・点検、診断といった維持管理にも関わりました。自分の性格にはこうやって中期的に仕事の内容が変わっていくのがうまく合ったからこそ、これまでやってこられたのだと思います。

 私が30歳のころから心掛けてきたのは、何か新しい仕事に取り組むときは事前にうろうろせず、すぐに取り掛かるということです。スイスの文筆家カール・ヒルティが残した名言の受け売りですが、やり始めることで初めて分かるものがあります。働き方改革で労働時間を短縮していく上でも、先進技術を駆使して業務の効率化を図るだけでなく、こうした先人の知恵に学ぶところも大きいと思っています。これからも会社の後輩たちに話していきたいことでもあります。

 先日、テレビで放送された日本映画を何げなく見ていて感動したことがありました。新人時代に設計に携わった斜張橋がエンディングシーンの舞台になっていたのです。久しぶりに私たちが造った橋と会え、当時のことがいろいろ思い出されました。

 (かいどう・ひろし)1987年武蔵工大(現東京都市大)大学院工学研究科修了、川田工業入社。技術本部技術部、橋梁事業部大阪技術部次長、鋼構造事業部技術部部長などを経て、18年現職。金沢市出身、57歳。
社内で開いた業務改善発表会の表彰式でスピーチした時