NTTファシリティーズ、オートデスク(東京都中央区、ルイス・グレスパン社長)、トプコンの3社は、山口県内で進めていた歴史的建造物の3次元(3D)モデル化を完了した。3社の技術を使って構造躯体だけでなく、建具などのデータも取り込んでBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)化。今後、施設の維持・管理に応用する。ここで得た知見を生かして、3Dモデルを使ったFM(ファシリティー・マネジメント)の事業化も検討していく。
プロジェクトでは、NTTファシリティーズがマネジメントを担当。オートデスクがBIM、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)ソフトウエア、トプコンが計測作業で使用する3Dレーザースキャナーなどを提供した。
建物内外をレーザースキャナーで照射。膨大な点群データをソフトウエアに取り込み、内装などの情報も含めて3Dモデル化した。改修工事や展示のシミュレーションを行うほか、CIMを使って周辺の下関市唐戸地区の3Dマップも作成した。
プロジェクトは、下関市にある有形文化財「旧逓信省下関電信局電話課庁舎」(現田中絹代ぶんか館)で実施。建物はRC一部れんが造3階建て延べ836平方メートルの規模で、1924年に竣工。大正時代特有の設計や装飾が数多く現存する貴重な建築財産という。
これと同規模の建物を3Dモデル化するには、スキャニングに4日、モデル化に2日程度を要する。3Dモデルは施設の運用や維持管理、観光資源、そのほかさまざまな用途に展開できるため、3社は事業化を検討する。
12日に東京都内で記者会見したNTTファシリティーズの阿久津好太公共事業部長は「現在、文化財に指定されている建造物は全国に約1万4100棟ある。今回のプロジェクトを機に3Dモデル化の事業化を考えていく」と話した。
作成した3Dデータは田中絹代ぶんか館で開催している特別展(3月29日まで)で14日から展示するほか、同館のホームページ(http://www.kinuyo-bunka.jp/)で見ることもできる。
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