小学校で担任の先生に「先輩や友達からたばこを勧められたらどうやって断りますか?」と質問されたクラスの一人が答えた。「体に悪いので吸わない」。小学6年生に道徳を教える授業でのやり取りである▼たばこを吸い始めた理由の上位にあるのが「勧められたから」。その誘いを子どもが断るのは、大人が想像している以上に大変であろう。対処方法を考える授業の意義は大きい▼小中学校で道徳が正式教科になるという。文部科学省は4日、そのための学習指導要領の改定案を公表した。道徳を特別な教科と規定し、学習内容にいじめ防止や情報モラル、科学技術と生命倫理などの事項を追加。体験型や話し合いといった主体的な学習へ転換することも盛り込まれた▼教育現場からは課題を指摘する声も出ているようだが、道徳の教科化はいじめ問題も背景にある。新指導要領が道徳教育の質の向上につながることを期待したい▼大人も日常生活でどう断るかで迷う場面にはいくらでも遭遇する。毅然と断るべき時があると、「吸わない」ときっぱり答えた小学生にあらためて教えられたようで気恥ずかしい。
0 comments :
コメントを投稿