街を歩いている時に記念碑を見つけると、急いでいてもつい足を止めてしまう。その土地の歴史やゆかりの人などが分かり、ほんの少し非日常感を味わえるのがいい▼先日も東京・八重洲(中央区)で、ある碑に出会えた。江戸時代にオランダから来航したヤン・ヨーステンの記念碑がそれ。JR東京駅から300メートルほど離れた八重洲通りの中央分離帯に1989年、日蘭修好380周年を記念して設置された▼1600年、ヨーステンはオランダの商船リーフデ号で豊後の国(現大分県)に漂着。その後、徳川幕府に厚遇され江戸に住んだ。この地が現在の八重洲に近く、〈ヤン・ヨーステン〉が〈ヤンヨウス〉→〈ヤエス〉と訛(なま)って地名になったという(大石学著『地名で読む江戸の町』PHP新書から)▼16日付の本紙4面で、東京駅八重洲口前の2地区で進められる大規模再開発の施設計画案が報じられた。総延べ床面積55万平方メートルものビル群が形成される。10月の都市計画決定を目指しているという▼東京の玄関口・八重洲。歴史ある街に新たな彩りを添え、未来の記念碑にもなる施設づくりを期待したい。
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