施工をめぐる問題は後を絶たない。再発防止策の早期具体化が望まれる (写真と本文は関係ありません) |
6日に東京都内で開かれた不動産関連団体の賀詞交歓会に参加した各社のトップからは、品質を確保する上で施工者側との協力・連携を強化する必要性を指摘する意見が相次いだ。まずは施工者側の取り組みを見定めた上で、事業者として行うべき対応を明確化するとの発言もあった。
デベロッパー各社にとって、開発・供給する建物の品質は自社のブランド力の根幹をなしている。建物の安全性への信頼が揺らいでいることに対し、東京建物の佐久間一社長は「数あるマンションの中から選び、住まれている居住者への情報提供が最重要課題だ。安心・安全に住める建物だということをきちんと伝えることが、事業者としてまずやるべきことだ」と指摘。施工時の対応については「事業者側の技術者が現場に張り付いて管理することは難しい。施工者側の対応を注視しながらより緊密な協力・連携体制を構築し、品質確保に注力したい」との考えを示した。
野村不動産の宮嶋誠一社長は「事業者側が先んじて動くよりも、まずは国交省や建設会社などが進める取り組みを見た上で、新たな対策を講じる」と説明。現場管理では「もともと当社の社員が現場に行って施工状況のチェックはやっており、まずはそれを徹底していく」と強調した。
東急不動産の植村仁社長は「国交省などの動向を注視し、全体感の中でやるべきことを見定める」と話した。
杭工事のデータ流用問題を受け、日本建設業連合会(日建連)は昨年12月22日に「既製コンクリート杭施工管理指針案」を決定し、現場で不具合が発生した際の対応や各社のルールのあいまいな部分を共通化するとともに、施工プロセスを体系化し細部を補完した。
続いて、国交省の対策委員会は同25日、データ流用防止と適正施工の徹底を図る再発防止策を盛り込んだ中間報告を石井啓一国交相に提出。再発防止策について、同28日付で日建連や不動産協会など建設・不動産関連団体に会員企業に積極的に対応することを要請する国交相名の通知文を出した。
不動協の幹部は「施工者側だけでなく、不動産業界全体でも問題意識を共有し、再発防止に向けた対応に力を入れる」と話している。
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