「教育の機会均等」は、日本のような先進国なら疑う余地のない価値観だと思うが、昨今は必ずしもそうではないらしい▼先日の大学入試センター試験を皮切りに受験シーズン本番を迎え、驚かされるのが受験料の高さである。私立大だと3万5000円ほどが相場。センター試験ですら1万8000円も取る。多くの受験生が併願することを考えれば、家計の負担は相当なものだろう▼首尾良く合格すると、私立大なら100万円を優に超す初年度納付金が待つ。奨学金を借りた人には卒業後、利息を付けて取り立てるというから恐ろしい。これではとても「機会均等」は無理ではないか▼日本は国内総生産に占める教育機関への公的支出の割合が先進国の中でも最低とされる。公的支出の多寡には、教育の受益者を個人と見るか、あるいは将来の社会全体と考えるか、その違いが表れよう▼似たような例がある。建設業の若い担い手の確保に官民が一体となって取り組むのは、それが一企業を越えて将来の建設産業全体の利益になるからだろう。教育は個人への投資か社会への投資か。答えは自明と思われるが。
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