三井物産の機械部から独立し、1925年に創業した三機工業。設立当初は空調設備が中心だったが、社会のニーズに応じて電気設備をはじめ、水処理やごみ処理といったプラント設備、情報通信設備まで業容を拡大。2025年に迎える創業100周年に向け、成長を加速させている。
「設備工事業はゼネコンに比べて認知度が低く、採用活動に苦戦を強いられるケースも少なくない」と話すのは最前線で採用活動に当たる石綿央総務人事本部人事部人材開発課長。「学生は設備業にあまりなじみがない。まずは業界を知ってもらうところから始めている」と強調する。
設備業を知ってもらう取り組みとして、同社は通常の1Dayインターンシップ(就業体験)に加え、大学からの要請を受け個別のインターンシップも積極的に受け入れている。今までインターンシップは、空調がメインだったが、機械部門も開始し、三機工業を知ってもらうきっかけづくりに力を入れている。さらに就職活動支援サイトが主催する合同企業説明会へ積極的に出展。大学に出向いて設備業の仕事内容を理解してもらうなど、採用活動の充実を図っている。
石綿氏は求める社員像について「まずはものづくりが好きという学生に来てもらいたい。現場では心身両面で重圧が掛かることも少なくないため、タフさも重要になる」と説明。その上で「現場は多種多様な業種の人が携わって進んでいくので、コミュニケーション能力も非常に大切だ。自ら周りの人に働き掛けられる積極性が不可欠で、面接でもその点を重視している」と話す。
貴重な戦力として獲得した人材に最大限活躍してもらうため、研修にも力を入れている。入社後すぐに、全員を対象とした2週間の集合研修を実施。その後、空調設備の技術系社員を対象とした研修を半年間ほど行う。
これまで技術研修は座学を中心に行ってきたが、今後は昨秋から稼働している「三機テクノセンター」(神奈川県大和市)を有効活用して実技研修も充実する考え。同センターは研修施設やR&Dセンター、ショールーム、宿泊施設などを備えており、新入社員の技術力底上げに役立てていく。
現場配属後もOJTで手厚いフォローを続ける。同時にサポート役として入社5~6年目の社員をメンターとして付け、新入社員を支える体制も整えている。「特徴的な取り組みは、新入社員と異なる部署の社員をメンターにすることだ。近くの社員には言いにくい悩みを相談できるようにしている」(石綿氏)という。
就職活動をする学生に向け石綿氏は「最初から枠を決めつけず、まずはさまざまな業界、業種を見てほしい。その中で、自分の思っていない所に適性があるかもしれない。視野を広く持ち、自分の可能性を探ってほしい」とアドバイスする。
《新卒採用概要》
【新卒採用者数】 男性71人(うち技術系62人)、女性9人(うち技術系3人)(18年度実績)
【3年以内離職率】9・6%(15年度新卒)
【平均勤続年数】 男性18・8年、女性13・2年(18年3月末時点)
【平均年齢】 42・8歳(18年3月末時点)
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