2019年1月23日水曜日

【回転窓】覆水を盆に返す

「覆水盆に返らず」。一度したことは取り返しがつかないという意味の、中国の故事からきたことわざだ▼似たような慣用句は各国にあり、米国は「こぼれたミルクのことを嘆いても無駄」、ロシアでは「抜けた頭髪は二度と元の頭に戻ってはくれない」というようだ。一度問題が起こると元に戻すのが難しいものは多い▼自然環境もそう。安易な開発行為で自然を壊してしまうと、再生が難しいこともある。愛知県の加藤建設(加藤徹社長)はこうした指摘を少しでも解消したいと、2009年から全社員で「エコミーティング」活動を展開する▼工事前に社員が現場に出掛け、生息している生き物や植物などを調査。外来種と在来種の整理や絶滅危惧種の有無などを確認し、社員で対策を話し合い可能なことから実行する。専門知識が必要なため、約半数の社員がビオトープ管理士の資格を持つ▼同社はこの活動を同業他社にも広げたいと、活動内容を盛り込んだ冊子を作成した。開発行為を通じた生活の豊かさと自然環境保護の両立。建設業が抱える永遠の課題の解決に向け、多くの建設会社が取り組むことを期待している。

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