2020年5月29日金曜日

【回転窓】都市改造を支える力

 JR東日本が進める渋谷駅の改良工事で、29日深夜から6月1日早朝にかけて大規模な線路切り替え作業が行われる。駅大改造の目玉の一つ、埼京線ホームの移設だ▼埼京線の下り線路の高さを上げて移動するとともにホームも移設し、山手線ホームと並列化する。この作業で埼京線ホームはハチ公改札とも直結。安全で分かりやすく、より便利な駅になると期待されている▼作業時間は約54時間。作業の遅れなどが生じれば多大な影響が出てしまう。作業着手を前に、工事関係者は一つ一つの作業にかかる時間などを考慮しつつ、手順や実施スケジュールを組み立ててきたはず。安全管理やリスクなど検討は多岐にわたったであろう▼ある鉄道工事に従事する職長から「昼夜での作業で厳しさもあるからこそ、楽しく仕事ができる環境づくりを心掛けている」という話を聞いたことがある。さらりと言い切る姿に確たる誇りのようなものを感じた▼新型コロナウイルスの流行でさまざまな混乱や遅れが生じているが、困難がある中でも都市改造は遅延無く進んでいる。日本を支える底力にこれからもしっかり光を当てていきたい。

【より安全・安心な建設現場を作る】戸田建設、社員や家族対象に新型コロナの抗体検査実施

 戸田建設は、新型コロナウイルスに対する不安の解消などを目的に社員らへの抗体検査を開始した。独自ルートで抗体検査キット1000セットを調達。月内に30人弱が検査を受ける見通しだ。首都圏を中心に検査を希望する社員とその家族から始める。

 今後、全国のグループ会社社員と家族にも広げていく予定。「より安全・安心な建設現場を作る」(本社建築工務部)ことが狙い。協力会組織の利友会から申し出があれば、対象拡大も積極的に検討するという。

 医療法人社団躍心会(東京都板橋区、高田了也理事長)と連携して実施する。同社が調達した中国・ボソン製の抗体検査キットを同会指定の病院に提供して検査を受ける。料金は一般的な検査より割安になるという。

 5分程度で検査結果が判明する。被検者の既感染の有無が確認できる。ウイルス感染初期に体内で生成される抗体(IgM抗体)も検出可能という。IgM抗体の陽性反応が出た場合は発祥初期・早期の可能性が高いため、グローバルヘルスケアクリニック(東京都千代田区、水野泰孝院長)と連携し抗原検査を実施する。抗原検査で陽性を確認した場合は入院措置をとる。

 同社は「建設現場で働く社員や家族らが不安感を持っている。罹患(りかん)や免疫の有無をはっきりさせて不安を和らげたい。最先端の検査キットを使いながらコロナと共存する取り組みを進める」(本社建築工務部)としている。

【施工は前田建設、2021年1月の上棟めざす】天神ビッグバン、初弾プロジェクトの地上鉄骨工事始まる

 福岡市中心部のビル建て替え促進策「天神ビッグバン」の第1号プロジェクト「(仮称)天神ビジネスセンター」で、地上鉄骨工事が始まった。

 施工を手掛ける前田建設は、2019年1月の着工以来、週休2日を継続しながら工程通りに作業を進めている。12日の立柱式を経て始まった地上工事は、5月中に3階床部分まで完了予定。安全対策にも万全を期し21年1月の上棟を目指していく。

 天神プロジェクト作業所を取り仕切る同社の塚本修史統括所長は、周囲からも様子が見える地上工事が始まり「飛来落下災害や墜落災害の防止を確実に実施して進めなければ」と気を引き締める。外周ネットの先行施工や、前面道路となる明治通り側への仮設大屋根の設置などにより、歩行者や第三者に安心感を持ってもらえる環境を整えながら施工を進めていく。

 人通りも多い天神の街中での施工に「わくわく感も持ってもらいたい」と、透明板を組み合わせた仮囲いを使った建設業の魅力発信にも引き続き取り組む構え。同社職員だけでなく「職長や作業員の皆さんなども楽しく笑顔で工事を進められるように」と今後、親子見学会や各種イベントも積極的に実施しながら「みんなの思い出に残る工事にしたい」と話す。

 天神ビジネスセンターは、福岡地所(福岡市博多区、榎本一郎社長)が計画したS一部RC造地下2階地上19階塔屋2階建て延べ6万1116平方メートルの免震構造建物で、天神エリア最大級のオフィスフロアを実現する。基本設計を日本設計、実施設計を前田建設が手掛けた。竣工は21年9月の予定。

2020年5月28日木曜日

【鉄道の安全、守ってます】土木学会、『鉄道インフラメンテナンス図鑑』発刊

 土木学会(林康雄会長)は鉄道インフラの維持管理・更新にスポットを当てた日本初の書籍『鉄道インフラメンテナンス図鑑』を6月8日に発売する。

 鉄道インフラの中でも土木構造物と軌道がどのように守られているか、新しい事例とともに紹介。一般の人たちには見えにくいが、「鉄道施設のドクター」と言われる大切で地道な役割を、イラストや写真で分かりやすく伝える。

 価格(税込み)は一般1320円、会員1190円。12月末までに「図書購入注文書」で注文すると期間限定価格の1000円で購入できる。

 書籍の発刊は2019年度会長特別委員会「インフラメンテナンス(鉄道)特別委員会」の活動成果の一つ。メンテナンスを長年体系的に実施している「鉄道」を対象にした委員会。鉄道メンテナンスについて現状分析するとともに、今後の在り方を議論。6月8日に成果報告シンポジウムをオンラインで開催する。

【佐賀県武雄市が基本設計概要公表】新球場メインスタンド建設、20年度内に着工へ

 佐賀県武雄市は「新球場メインスタンド等建設工事基本設計」の概要を公表した。グラウンドは硬式野球公認野球場の規格を満たし両翼98メートル、センター122メートル。メインスタンドは423席で一部を屋根で覆い、規模はRC造2階建て延べ約650平方メートル。2020年度中の着工、22年度の供用を目指す。概算工事費は約15億円。設計担当は坂本設計事務所(佐賀県唐津市)。

 白岩運動公園内の白岩球場が老朽化し、ナイター設備がないなど施設面の課題が多いため、東川登町永野の残土処分場に市では初の本格的な球場として移転建て替えする。

 メインスタンドは1階に諸室、2階に観覧席を設ける。内野には盛り土スタンド、外野には芝生スタンドを配置。ナイター設備を備え、ブルペンは一部屋根付きとし、サブグラウンドやジョギング・ウオーキングコースを整備する。暑さ対策としてメインスタンド屋根と選手ベンチにミストシャワーを設置する。

 8月末に実施設計を終え、20年度9月補正予算案に工事費を計上し予算が可決されれば工事発注する予定。完成後は22年の天皇賜杯全日本軟式野球大会や23年の国民スポーツ大会の軟式野球競技の会場として利用する予定だ。

【TBMとNATM、1台2役】鹿島とコマツが開発の「ハイブリッド型掘削機」稼働

 トンネルボーリングマシン(TBM)とNATMの良いとこ取りで効率掘進-。鹿島とコマツは27日、共同開発した世界初となるハイブリッド型トンネル掘削機を新潟県糸魚川市のトンネル工事に導入し、順調に稼働していると発表した。

 通常はTBMモードで掘進し、不良地山に当たった場合はNATMモードに切り替える。1月にTBMモードで掘進を始め、全長約4キロのうち約1・3キロ地点まで到達した。これから不良地山が出てくる見通しで、両モードを駆使し2021年4月の掘進完了を目指す。 

続きはHP

2020年5月27日水曜日

【回転窓】感染予防対策と自然災害対応

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全国で解除された。ウイルスがいなくなったわけではなく、感染予防に注意を払いながら、少しずつ日常を取り戻していくしかない▼米ミシガン州で二つのダムが決壊し、約1万人の住民が避難したというニュースを時事通信が先週配信していた。インターネットで見た決壊時のダムはアースダムの余水吐き近くの土手が壊れ、濁流が下流に押し寄せていた▼同州のウィットマー知事は「500年に1度」の洪水とし、緊急事態宣言を発令。避難所に向かう人たちにソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)を指示するとともに、マスクの着用を呼び掛けた▼日本も決して対岸の火事ではない。これから出水期を迎え、台風も襲来するだろう。19日には福島県沖や岐阜県飛騨地方などで最大震度4の地震が観測された。災害列島の日本ではいつ自然災害が起きるか分からない▼感染予防対策と自然災害対応。この二つをどう両立していくのか。検討を開始した自治体もある。今までとは違う避難行動が求められるが、両対策とも基本は「自分の身は自分で守る」ということに間違いない。

【施工は大林組JV】川上ダム建設(三重県伊賀市)、堤体のコンクリ打設20万㎥に

 水資源機構が三重県伊賀市で建設している川上ダムの堤体コンクリート打設量が22日、20万㎥に到達した。堤体積約45万5000㎥の約44%。ダム本体の施工は大林組・佐藤工業・日本国土開発JVで、2023年3月の完成を目指している。

 淀川水系木津川支川前深瀬川に計画された川上ダム(伊賀市阿保、青山羽根)は洪水調節や新規利水、流水の正常な機能維持を目的とした総貯水容量約3100万m3の重力式コンクリートダム(堤高84m、堤頂長334m)。総事業費1180億円を見込む。

 18年9月に本体建設工事の起工式が行われ、基礎掘削完了後、19年7月から減勢工コンクリート打設、同9月に堤体コンクリート打設を開始。今年2月4日に総打設量が10万m3に到達していた。

【ウェブ面接導入も定着には慎重姿勢】道路舗装各社、新型コロナが採用活動に影響

新型コロナウイルスが道路舗装各社の新卒採用に影響を与えている。日刊建設工業新聞社の調査によると、大手道路舗装会社全7社が21年4月入社の採用活動でウェブ面接を導入し、4社が最終面接まで一貫して導入したことが分かった。

 一部の企業は「遠方の学生に素早くアプローチできる」などとウェブ面接のメリットを実感したことで来年度以降の定着化を予定する。一方「一度も来社していない学生に内定を出すと入社後のミスマッチが懸念される」と先行きを危惧する声もある。

 アンケートでは新型コロナが採用活動に与える影響などについて質問。NIPPO、前田道路、日本道路、鹿島道路、大成ロテック、東亜道路工業、世紀東急工業の7社が回答した。

 全7社が「新型コロナで採用活動に影響があった」と回答。影響の具体的な内容は「採用手法の変更」が7社、「採用スケジュールの変更」が6社だった。採用手法の変更では対面の面接に代わり、パソコンなどを使って遠隔で面接するウェブ面接を導入する動きがあった。

 ウェブ面接の運用方法を見ると、NIPPO、日本道路、東亜道路工業、前田道路の4社が「1次面接から最終面接まで導入した」と回答。1次面接のみに導入した鹿島道路など3社は部分的な適用となった。

 ウェブ面接の今後の運用については「遠方の学生の負担減などのメリットがある」などとして日本道路、鹿島道路の2社が定着化を検討すると回答した。ただ、日本道路は「学生が一度も来社せずにウェブ面接のみで内定を出した場合、入社後にミスマッチが懸念される」と本格導入には慎重な姿勢を見せる。

 このほかの回答では、東亜道路工業は「(ウェブ面接は)新型コロナ拡大防止措置であり、現時点では定着はさせない」、NIPPOは「ウェブ面接の利点を検証した上で今後の運用を検討する」との考えを示した。

 採用活動を進める上での課題を聞いたところ、「採用活動のピーク時期が不明確」(世紀東急工業)、「採用スケジュールを後ろ倒しに組み直す」(NIPPO)など、スケジュールが確定しないことへの不安がうかがえた。「学生と企業の接触機会が減っているため、内定期間の不安軽減が課題」(日本道路)、「学生とのコンタクトが困難で、学生の動向が予測できない」(鹿島道路)など、コミュニケーションが取れないことによる課題を指摘する回答もあった。

【海洋土木工事の魅力発信】埋浚協、学生・一般向けにパンフレット作成

 日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)は広報活動を一段と強化する。学生や一般向けのPRパンフレットを新たに作成した。海洋土木工事の魅力や仕事内容を紹介する。大学生らを対象に実施している「うみの現場見学会」などのイベントで配布する。採用ツールとして会員企業に役立ててもらう。

 パンフレットの表紙には「BIG OCEAN(壮大な海)」「BIG FUTURE(大いなる未来)」のメッセージを付けた。超巨大なクレーンを装備する起重機船や年間8500万人が利用する羽田空港などを挙げ海上土木の特徴を紹介。「一枚の写真に収まらない大きさ」「携わったものが社会の一部になることの達成感」といった会員企業の若手の声も載せている。

 本年度は就職希望者により興味を持ってもらうためのPR動画を制作する。広報誌『Marine Voice 21』の再構築やホームページの見直しなども予定している。

 来年12月6日に協会設立60周年を迎える。20日に東京都内で開いた定時総会で清水会長は広報活動の強化にも言及。「記念誌の編集や広報活動の活性化に取り組み、海洋土木工事の魅力を対外的にアピールするとともに、将来の担い手確保につながるよう取り組んでいく」と話した。

2020年5月26日火曜日

【回転窓】変わるのか、戻るのか

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出されてから7週間余り。感染拡大を防止するため、多くの行政機関や企業などが自宅勤務などの対応を取った▼新型コロナの流行は働き方にさまざまな影響を及ぼし、それまでは掛け声と実態が乖離(かいり)していたテレワークを取り入れたところも多かった▼社会経済システムなどに関連する調査研究などを手掛ける日本生産性本部(茂木友三郎会長)が新型コロナに関する勤労者の意識調査(対象1100人)を先週発表した。それによると、自らの雇用に不安を感じている人は47・7%。宿泊業や飲食サービス業はこの割合が75%以上に上った▼緊急事態宣言後に働き方が変わったかどうか。この問いに59・3%が「変わった」と回答した。ただ建設現場で働く人や運送業、清掃業などの勤務者は6割以上が「特に変化はない」と答えた▼新型コロナ禍の収束後に予想される世界規模での経済低迷。「ウイルスに感染するのではないか」という不安を抱えながら、困難に立ち向かうことになる。不安を少しでも軽くするにはどうすればいいのか-。ここからが工夫のしどころなのだろう。

【サッカー場や野球場などの多機能化視野】埼玉県、大宮スーパー・ボールパーク構想の検討業務発注

埼玉県は「公園等建設工事(大宮スーパー・ボールパーク構想検討業務委託)」の受託者を決める簡易公募型プロポーザルを21日に公告した。

 さいたま市大宮区にある大宮公園の再整備に向け、スポーツ施設を中心とする再編構想をまとめる。委託予定額は1351万5000円。参加申請を6月4日まで電子入札システムで受け付ける。技術提案書の提出期限は同11日。委託先の決定予定日は7月27日。履行期間は2021年3月末まで。

 参加は県建設工事等競争入札参加資格者名簿で「建設コンサルタント」に登録されていることが条件。所定の実績も必要となる。担当部局は埼玉県都市整備部公園スタジアム課公園企画担当。

 大宮公園の所在地は高鼻町4(敷地面積67・8ヘクタール)。施設内には野球場やサッカー場などがある。競技施設を中心に再整備し、試合の有無にかかわらず市民が楽しめる公園を目指す。

 業務では、公園周辺の土地利用状況や施設立地状況などを調べる。課題を抽出し競技施設の活用策を具体化する。新設や改修、収容人数などを詰める。官民連携手法の導入なども検討する。

【最後の桁架設始まる】三陸道・気仙沼湾横断橋、接続へあと少し

 復興の懸け橋、接続へあともう少し-。東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市の気仙沼湾で23日夜、国土交通省東北地方整備局が工事を進める「三陸沿岸道路・気仙沼湾横断橋」の最後の橋桁を架設する工事が始まった。

 午後9時15分ころから台船で運んできた橋桁のつり上げ作業が始まり、1時間程度で仮接続を完了した。前後にある桁との連結を6月中に終え、舗装工事や付属工事を経て12月の完成を予定している。

 震災から来年3月11日で丸10年。気仙沼の新たなランドマークとしてだけでなく、市民生活や観光などに貢献することになる。

【メーカー各社、需要増を予想】新型コロナで抗菌・非接触機能商品の引き合い増加

 新型コロナウイルスの流行を背景に、塗料や住宅設備のメーカーらが販売している抗菌・非接触商品への引き合いが増えている。抗菌系商品の大半は新型コロナの発生前から販売している。新型コロナにどの程度の有効か検証しきれておらず導入効果に疑問は残る。ただウイルス対応は長期戦が避けられず、少しでも感染リスクを抑えたいという消費者ニーズは高まる一方だ。業界関係者も関連商品の需要はさらに高まると予想している。

関西ペイントの「接触感染対策シート」は手すりなどにはり付けて使用する
抗菌機能の商品で注目されているのは関西ペイントの「接触感染対策シート」。3月下旬から販売している。不織布にウイルスの増殖を抑える機能を持つ消石灰を塗布した。ドアノブや手すりなどに貼り付ける。同社の担当者は「4月の前半と後半で売り上げが倍くらい違う」と明かす。ただ「感染症に対する顧客のマインドの変化も考えられる」(担当者)として、大幅な増産には慎重な姿勢だ。

 同じく塗料メーカーでは、日本ペイントが光触媒でウイルスの繁殖を抑制する室内用抗ウイルス塗料「パーフェクトインテリアエアークリーン」を展開している。主に病院や学校、商業施設向けとして2017年に発売した。2月に入りゼネコンや設計事務所などから引き合いが増えたという。18日には東京大学と産学連携協定を締結。新型コロナウイルスの感染拡大防止と、収束後を見据えた技術の研究を進める。

 大建工業では、抗ウイルス機能「ビオタスク」を備えた建材への問い合わせが多くなっているという。ドアのにぎりバーや手すりなどに抗菌塗料をコーティングした。空気中や手などから付着したウイルスを24時間以内に9割抑制する。抗ウイルス商品は今後もコンスタントに発売する。

LIXILの自動水栓「オートマージュ」
非接触関連では、LIXILやTOTOの商品で動きがあった。LIXILには最近、新型コロナ対策のため「学校の水栓を自動水栓にするにはどうしたらいいか」などの声が多く寄せられているという。TOTOにも公共施設で使う非接触の水栓や大小便器のセンサーなどに対する問い合わせが増えている。

TOTOが展開する自動水栓「アクアオート」
フジテックが4月に発売したエレベーター「エクシオール」は、ボタンに手を触れず行き先階を指定できる「非接触呼び登録」機能をオプションで用意している。当初は病院や食品工場など、衛生管理を重視する施設からの問い合わせを想定していた。ここにきて「不特定多数の人がボタンに触れる商業施設などから引き合いも多い」(広報)状況だ。今後は既設エレベーターに対しても非接触機能の導入を検討する。

【凜】日本道路生産技術本部技術研究所・池田茜さん

◇舗装の魅力を学生にアピール◇

 大好きなサッカーのスタジアム建設に携わりたいと思って入学した大学の学科は建築ではなく土木。入学後、勘違いに気付いたが「結果的に自分は土木の方が合っていた」と笑みをこぼす。

 道路舗装会社のインターンシップ(就業体験)で「たった数センチしかない舗装にたくさんの技術が凝縮されている」ことに魅力を感じ、道路舗装会社への就職を志すようになった。

 入社後、建設現場や試験所での勤務を経て、3年前から技術研究所が職場になった。新技術の開発や工事の技術支援などが主な仕事。試験では期待していた結果が得られないこともあるが、「一人で悩まずに大学の先生や上司らと相談して結果を導いていく過程が楽しい」。何事も前向きに捉え、やりがいを感じながら仕事にまい進する。

 現在の目標は学会への論文の投稿を通じ、学生に道路舗装の仕事に興味を持ってもらうこと。舗装が専門の研究室は少なく、学生が参加する学会は道路舗装の魅力を伝えるチャンスだ。「技術力をしっかりアピールし、他社との差別化を図っていきたい」と話す。

 新型コロナウイルスの流行で今年の大型連休は実家に帰れなかった。地元には家族や友達だけでなく、現場勤務時代、お世話になった協力会社の人もいる。「状況が落ち着いたら地元に帰って、彼らとまた飲みにいきたい」。その日が来ることを楽しみにして今日も仕事に励む。

 (いけだ・あかね)

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】イチケン「90周年を機に装いも新たに」

 創立90周年に合わせて13年ぶりに作業服をリニューアルした。「着用者がよりイチケンの従業員らしくあること」をテーマに検討。明るい印象を与えるようにトップスのメインカラーはホワイトグレーを採用し、ボトムスを色違いにすることで、都会的でスタイリッシュなイメージに仕上げた。

 赤の差し色を取り入れた女性用作業服も用意。フルハーネス型の墜落制止用器具(安全帯)に対応したファン付き作業服もそろえた。

 近年の酷暑に考慮して、夏物の作業服には遮熱性や紫外線(UV)カット、吸湿速乾性などに優れた機能性素材を用いた。冬物は作業効率を考えて、軽量で伸縮性に富んだ素材を採用した。

 タブレットタイプのスマートフォンが収まるポケットや、現場手帳が入るパンツポケットを設けるなど収納機能も向上。落下防止のためポケットにジッパーも付けている。

 中村訓之管理本部人事部専任部長は「サンプルを現場の社員に着用してもらったところ、『伸縮がほしい』『ズボンのところにゴムがほしい』などの意見が出た」と振り返る。現場の声を取り入れた完成品は非常に好評という。月末までに社員へ配布し6月15日の創立記念日から切り替える予定だ。

【駆け出しのころ】東亜道路工業取締役専務執行役員・杉崎匡孝氏

 ◇変革期を生き抜くすべ考える◇

 子供のころは砂利道が多く、舗装で道がきれいになっていく光景に感動したのを覚えています。映画で建設の世界に憧れました。「黒部の太陽」で土木に、「超高層のあけぼの」で建築もいいなと思いましたが、閉所・高所恐怖症の自分がやっていけるのかと悩みました。

 大学の卒業研究テーマは透水性舗装。東亜道路工業の技術研究所で研究させてもらった縁もあって入社することになりました。研究職にも面白みは感じていましたが、それより現場に出て施工を担当したいという思いが強かったです。

 入社後、東北支社の秋田工事事務所に配属されます。生まれも育ちも東京だったため、言葉の面でカルチャーショックを受けました。笑い話ですが、朝礼で所長から「みずかけろ」と言われて何のことやら分からず悩んでいると、先輩がカセットデッキのボタンを押しました。どうやらラジオ体操で流す音楽(ミュージック)をかけることだったようです。

 最初は山奥の農道・林道整備に携わりました。先々に集落が点在し、道が整備されると集落の方々がごちそうを振る舞ってくれました。その後は秋田都心部の都市計画道路の現場を担当。測量のミスで迷惑を掛けたこともあり、きちんと確認することの大切さなどを学びました。

 宿舎での集団生活は自由な時間はなかったですが、多世代の人たちとの暮らしは新鮮で楽しかったです。地元の言葉も覚え、コミュニケーションの取り方などを学べたほか、お酒が入ると、普段聞けないような話もいろいろ聞けました。

 2年の秋田勤務を経て東京に転勤。羽田空港の誘導路改修工事に携わります。秋田でほとんどなかった夜間作業の毎日。規模も大きく、秋田とは違った意味でショックを受けました。空港だから作業時間に制限があり、緊張感の中で大変な日々が続きます。明け方に作業を終え、せきを切ったように飛行機が滑走路を離着陸する光景は目に焼き付いており、自分たちの仕事が社会に役立っていることを実感し、責任とやりがいを感じました。

 その後、多摩営業所に移ってニュータウン関連の都市計画道路のほか、学校の外構やテニスコートなどの整備に関わりました。公共と民間の仕事で求められるものは異なりますが、相手の気持ちになってどこに集中して造ればいいかを考えることが大切です。

 仕事をする上で、自分がやりたいこと・できること・やらなければいけないことを見定め、それぞれのバランスをうまく取ることは難しい。若い人たちには人の話をよく聞き、勉強して知識を蓄えながら、変革の時代を生き抜くすべを考えてほしいです。

多摩営業所に勤務していた入社14年目ころ。
社内のテニスサークルでの一枚
(関東支社長、すぎざき・まさたか)1981年日本大学理工学部交通工学科卒、東亜道路工業入社。東北支社長や関東支社長(現任)などを経て2020年4月から現職。東京都出身、63歳。

2020年5月22日金曜日

【暑さ指数の積極活用を】建設現場の熱中症対策、新型コロナの感染予防と両輪で

 気象庁が4月24日に発表した5~7月の3カ月予報によると、気温は全国的に「平年並みか高い」見通し。梅雨入りを控え例年であれば徐々に高温多湿になる日が多くなる時期。建設現場では熱中症災害を防ぐための万全な備えが必要になりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大防止策など、例年以上に現場で働く人への細やかな安全衛生対策が求められる。

 厚生労働省が3月にまとめた職場での熱中症死傷者数(2019年速報値)を見ると建設業は147人。記録的な猛暑となった18年から92人減ったものの死亡者数は前年と同じ10人と、依然として業種別で最も多い。

 要因はさまざまだが、死亡につながった熱中症の屋外作業現場では、環境省が推奨している、熱中症へのかかりやすさを数値化した暑さ指数「WBGT値」の測定が行われていなかったことが分かっている。屋内で熱中症にかかる事例も多くなっているという。

 環境省は4月からWBGT値の情報をホームページで発信。気象庁は翌日または当日の最高気温が35度以上になると予想した場合に「高温注意情報」を発信している。環境省と気象庁は、熱中症への警戒をより効果的に呼び掛ける「熱中症警戒アラート(仮称)」を検討しており、今夏に関東甲信9都県で先行稼働する。21年5月から全国展開する予定だ。

 厚労省は毎年実施している官民合同の「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を1日にスタート。9月末までの期間中、熱中症予防に向けさまざまな周知・啓発活動を展開する。7月を予防徹底に特に力を入れる重点月間と位置付ける。

全国で労災防止活動を推進する7月1~7日の「全国安全週間」に合わせて、建設関連各社は安全大会を開催している。今年は新型コロナの流行を受け人数を絞ったり、時間や空間を分けたりなど開催方法を工夫する向きもある。

 感染拡大防止の取り組みが最優先される中、安全大会の準備・開催が現場負担になることから中止を視野に検討している企業もある。建設現場では熱中症と新型コロナ感染症の両面で予防対策が急がれる。

 国土交通省は直轄土木工事の積算基準に熱中症対策として現場管理費補正を導入している。気候や施工期間に応じ工事現場の安全対策に必要な経費として現場管理費を補正。主な工種が屋外作業の工事が対象で、地域を問わず全国で適用する。工事期間中の真夏日の日数に応じて設計変更時に現場管理費を補正し精算する。「建設現場における熱中症対策事例集」の活用も呼び掛けていく。

【回転窓】ニューヒーロー誕生!?

大人になったら、正義のヒーローになりたい-。そんな夢を抱くのも無限の可能性を秘めた子どもたちの特権の一つ。中高年の方々にとって、1960~70年代に特撮テレビドラマシリーズとして放映されたウルトラマンや仮面ライダーは、誰もが熱中したヒーローだろう▼特撮シリーズでは「秘密戦隊ゴレンジャー」などスーパー戦隊シリーズも人気のヒーロー。複数人でチームを組み、異なる色のマスクとスーツを身にまとったヒーローたちが、平和を乱す悪の秘密組織と戦う。後継番組も基本コンセプトを踏襲し、ヒーローを輩出し続けている▼防衛省が航空自衛隊に18日発足させた「宇宙作戦隊」。平和を乱す怪人とは戦わないが日本の人工衛星への衝突などを防ぐため、宇宙ごみ(スペースデブリ)や不審な衛星の監視を行う▼米国や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと連携し、2023年度に宇宙監視システムの運用をスタート。26年度末までに宇宙空間の状況を把握する衛星の打ち上げを目指す▼宇宙産業の多国間競争に拍車が掛かり、人類の活動領域は宇宙へと広がる。ニューヒーローの誕生が待ち望まれる。

【就活・採用戦線に変化】ウェブ面接広がる、内定は対面経て

 新型コロナウイルスの影響で2021年入社に向けた就職戦線に変化が生じている。

 リクルートキャリアの研究機関「就職みらい研究所」(増本全所長)の調査によると、1日時点の大学生の就職内定率は45・7%(前年比5・7ポイント減)で、現行の採用スケジュールとなった17年卒以降で初めて、内定率が前年同月を下回った。背景にあるのは外出自粛が広がる中での選考の難しさだ。代替手段としてウェブ面接が広がっているものの、最終面接までオンラインで対応することに不安を感じるケースもあり、足踏み状態となっている。

 調査対象は同社が募集したモニター学生4199人。大学生1080人と大学院生413人から回答を得た。調査期間は1~7日。大学生の内定率は、2月1日時点から4月1日時点までは、前年を上回るペースで好調に推移。ところが新型コロナ感染拡大への懸念の広がりと呼応するように鈍化し、5月1日時点の内定率は、前年実績に届かなかった。大学院生も同様の傾向となっている。

 4月に実施した就職活動を学生に聞いたところ、「面接など対面での選考を受けた」は35・2%で、前年実績(70・1%)から半減した一方、「ウェブ上での面接を受けた」は前年実績(7・6%)を大きく上回る56・9%に達した。同社は「おしなべてさまざまな企業や業種・業界でウェブ面接が導入されているのではないか。ただ、オンライン面接のみで内定を出すことは難しいという企業もあり、内定を出し控えているのだろう」と指摘する。

 ウェブ面接を導入したあるゼネコン幹部は「初期段階は有効だと感じた」と話す。ただ、最終面接は対面で行いたいと考えており、新型コロナの影響が落ち着くのを待って動く方針という。最終面接待ちとなっている学生へのフォローにも気を配っている。

 ウェブ面接は、感染拡大防止につながるとともに、遠隔地から容易に参加できることがメリットだが、設備や通信環境という制約条件も生まれる。マイナビが4月24~30日に実施した就職活動の実態調査で、学生9478人に就職活動時の通信環境を聞いたところ、約3分の1は、通信容量の制限がある中で就職活動を行っていた。同社は「学生の通信環境に配慮する必要がある」と指摘している。

【受賞者には“素敵な賞状”進呈!!】デミー&マツ、土木広報大賞を創設

 デミーとマツが全国の土木広報活動を表彰-。土木の大切さや魅力を伝えるために土木技術者2人で結成した「噂の土木応援チームデミーとマツ」は、全国で精力的に行われている土木広報活動の中から独自の目線で取り組みを評価し、表彰する制度を創設したはポスター。

 応募期間は6月1日~7月31日。5月末までに行った活動であれば個人、団体を問わない。最優秀賞1件、優秀部門賞としてウェブ・SNS(インターネット交流サイト)部門など5部門で各1件程度選び、10月1日に発表する。表彰式は11月18日の土木の日にウェブで開催する予定だ。受賞者には“素敵な賞状”を贈る。

 応募者は、活動が分かるURLを記載してメールをデミーとマツ事務局(dobokugo@gmail.com)に送る。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムで活動が分かるURLとハッシュタグ「#デミマツ土木広報大賞2020」を記載して発信しても構わない。候補者はウェブでも調査する。

2020年5月20日水曜日

【日刊建設工業新聞社からのお知らせ】『改正公共工事品確法と運用指針 新・担い手3法で変わる建設産業』を発刊しました

2019年に成立した「新・担い手3法」(改正公共工事品質確保促進法、改正建設業法、改正公共工事入札契約適正化法)。その背景と経緯、法律や指針の内容、法改正を受けた建設業界の取り組みなどをQ&Aも交えて詳しく解説しています。

 新・担い手3法は、大規模災害の増加や働き方改革、生産性の向上など近年の建設業界を取り巻く環境変化への対応が大きな柱になっています。本書は法律の内容にとどまらず、法律を踏まえた具体的な施策やこれからの建設産業の方法性にも踏み込んで紹介。編著者の3国会議員と業界団体の代表らが新・担い手3法への期待などを話し合う座談会も収録しました。

 A5判302ページで定価は2000円(税別)。全国の大手書店で販売しています。インターネットでの注文はこちらから。問い合わせは当社(電話03・3433・7152)へ。

【回転窓】会計文化の大切さ

財務諸表の基礎となる「複式簿記」の起源には諸説あるが、おおむね12世紀ごろに考案されたと言われる。複式簿記の普及が中世イタリアの繁栄を支えた▼その代表が15世紀にフィレンツェで巨万の富を築いたコジモ・デ・メディチ。銀行家のコジモは各国に支店を設け、複式簿記と会計監査を徹底することで、銀行業を一大国際事業に発展させた▼得た利益はルネサンス期の芸術・文化振興に注ぐ。コジモ自身も古代ギリシャ哲学に傾注し、新プラトン主義を信仰した。ただ、高貴な思想と帳簿付けという仕事とのギャップに悩む。後を継いだ子供たちも文化的素養は備えていたが、帳簿には目もくれず、メディチ家は16世紀に衰退する▼ジェイコブ・ソール著『帳簿の世界史』(村井章子訳、文春文庫)から引いた。同書によると、公正な会計を実行し報告する責任と信用の伝統を築くことができた社会には複式簿記が根付き繁栄したという。会計文化が国や企業の命運を左右したということだろう▼コロナ禍で景気が停滞する中、各企業は難しいかじ取りを迫られている。決算数値がそのヒントの一つになることは間違いない。

【新型コロナ対策と熱中症予防に配慮】大林道路、現場職員らにマウスシールド配布

 大林道路は19日、新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)感染を防止するため、現場用マウスシールドを協力会社の職員らに配布すると発表した。

 新型コロナの感染防止を図りながら、熱中症のリスクを低減するのが目的。月内に4000個の配布を予定しており、その後も追加していく。

 マウスシールドは鼻と口を覆うサイズの厚手透明フィルム製。現場作業用ヘルメットの顎紐にスナップボタンで留めて使用する。通常のマスクのように鼻と口に密着しないため、息苦しさや汗による蒸れを感じない。

 新型コロナの感染拡大防止を目的に、工事現場では技術者や技能者がマスクを着用して作業に当たっている。今後、夏に向けて気温湿度が上昇するとマスクの着用は熱中症リスクを高める懸念がある。そこで飛沫感染を防止しながら通常のマスクよりも呼吸がしやすいマウスシールドを現場に導入することにした。

【新型コロナ対応で連携】日本ペイントHD、東大と産学協創協定を締結

 日本ペイントホールディングス(HD)と東京大学は、共同研究と人材交流を推進するための産学協創協定を18日に結んだ。

 塗料とコーティングに関する高度な研究を行い、新型コロナイルスの拡大防止につなげる。感染拡大の収束後に想定される課題解決も図る。東京大学大学院に社会連携講座「革新的コーティング技術の創生」の設置も決めた。

 講座の設置期間は10月1日~2025年9月30日の5年間。日本ペイントHDは研究資金として約10億円を拠出する。参加する学生や同社の社員数などは今後決める。研究内容は▽抗菌・抗ウイルス機能を持ち、感染拡大を防止するコーティング技術の研究▽スマート・リモート社会の基盤を支え、社会の効率性向上につながるコーティング技術の研究▽環境負荷軽減や社会コスト抑制に貢献するコーティング技術の研究-を予定している。

 「塗料とコーティング」を基本軸に、新型コロナウイルスの感染抑制と、収束後のICT(情報通信技術)などを活用した社会基盤を支える技術開発を目指す。同時に新たな塗装プロセスと設計を担う高度な人材の育成も推し進める。

【開業予定は2023年】JR東、千葉市美浜区で京葉線新駅建設着手へ

 JR東日本は、千葉市美浜区に計画する京葉線の幕張新都心拡大地区新駅の工事に着手する。

 新習志野、海浜幕張両駅から約1・7キロの浜田内に位置する。ホームは2面2線の10両編成対応、駅舎はS造平屋。作業ヤードの整備などの準備工事を月内に開始し、夏ごろに本格的な工事に入る。2023年の開業を予定している。駅名は検討中。

 千葉市、千葉県、イオンモールの同地区新駅設置協議会と18年4月に基本協定を締結し、新駅整備の内容を検討していた。

【土木の魅力を余すことなく激写】写真家・山崎エリナさん、6月に写真集2冊発刊

 写真家の山崎エリナさんが建設をテーマにした写真集2冊を6月に発刊する。地域の守り手である土木技術者の姿を追った『Civil Engineers 土木の肖像』と、トンネル工事の準備段階から完成までを撮影した『トンネル誕生』だ。

 山崎さんは国内外で活躍する写真家。昨秋にはフランスのルーブル美術館に作品が展示された。道路維持などを手掛ける寿建設(福島市、森崎英五朗社長)の呼び掛けをきっかけに、インフラメンテナンスの最前線を捉える撮影を始めた。昨年出版した写真集『インフラメンテナンス~日本列島365日、道路はこうして守られている~』は、インフラメンテナンス大賞で優秀賞を獲得している。今回は建設分野をテーマにした第2、第3弾の写真集となる。

 『Civil Engineers 土木の肖像』は、新潟の四季折々の自然の中で工事に励む人々の姿を収めている。1年間を費やして線路脇での作業や雪山で起きた土砂崩れの補修、大きな川べりの護岸工事などを撮影した。山崎さんは「強い風や厳しい寒さの中での日々の作業から、従事する皆さんの根っこからわき出る底力のようなものを感じた。表情にも注目してほしい」と話す。

 『トンネル誕生』では福島県川俣町でトンネル工事現場に密着。ンネルを掘り進める技術者の姿、ダイナミックな掘削機械やトンネルを覆う防水シートが輝く幻想的な世界などを切り取った。日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、野崎正和会長)の解説も収録している。

 「皆さんの熱気とともにトンネルの素晴らしさや美しさにも魅了された。多くの人の力で道が造られる姿を見て、自分にとっても励みになった。そうした希望を伝えられたら」と山崎さん。今後は関連する写真展の開催も計画する予定だ。2冊とも出版社はグッドブックス。価格は2200円。詳細は同社ホームページへ。

2020年5月19日火曜日

【回転窓】しましま模様にご注意を

オレンジがかった黄色と黒のしま模様。体長が4センチを超えるオオスズメバチは強い攻撃性を持つ。国内に生息するハチの中で最も強力な毒を持ち、刺されると人が死ぬこともある▼日本などアジアに広く分布するこのハチが現在、米国で話題になっているそうだ。時事通信によると、昨年12月に米西部ワシントン州で2匹の個体が発見された。隣接するカナダのブリティッシュコロンビア州でも昨秋見つかった▼貨物船のコンテナ貨物などに紛れて外来種が運び込まれるケースは数多い。日本では南米大陸原産で世界の侵略的外来種ワースト100選定種にも指定されているヒアリが数年前話題になった▼スズメバチは縄張り意識が強く、巣を守る防衛本能も強力という。好戦的な性格の個体もおり、相手を刺す目的で接近するケースもあるとか。冬眠を終えた女王蜂は春先から初夏にかけて繁殖期に入り、巣を作って個体を増やして勢力を拡大していく▼子供の頃におでこのど真ん中をスズメバチに刺されたことがあり、それ以来ハチが大の苦手になった。都会にも生息範囲を広げているのはご存じの通り。くれぐれもご注意を。

【20m×30mの無柱大空間実現】エバーフィールド木材加工場新築設計、最優秀提案者に小川次郎/アトリエ・シムサ+kaa

 エバーフィールド(熊本市南区)と熊本県は、後世に残る優れた建築物を通じて地域活性化を目指す県のくまもとアートポリスの参加プロジェクトとして実施する「エバーフィールド木材加工場新築設計」の公募型プロポーザルで5者を審査し、最優秀提案者に「小川次郎/アトリエ・シムサ+kaa」(東京都)を選定した。

 最優秀提案によると、木材が互いに寄りかかることで立体的に釣り合いを保つ「木造レシプロカル構造」により約20メートル×30メートルの無柱大空間を実現。屋根と壁を一体的に造り、小さな構造の単位が建物の箇所によって変化する「松かさ」のような建築とする。

 敷地の北東部に研修棟、北西部に木材加工場を配置し、2棟を渡り廊下でつなぐ。木材加工場は外周部に加工作業場を配置し中央に研修用軸組を設け、建物の南側に地域のイベントなどに活用できる大きなウッドデッキを設置する。上部には明かり採りのハイサイドライトを設ける。

 審査では「5件の提案の中で最もリスキーな要素は多いが圧倒的な独創性を持った提案だ」と評価された。

 業務内容は大工の研修などに活用できる木材加工場新築の基本・実施設計。規模は木造平屋600平方メートル程度。建設地は甲佐町府領下原892ほか。9月末までに基本・実施設計を終え、10月に工事請負契約を締結、21年3月の完成を予定している。

【切羽から差し込む一筋の光、みんなを明るい気持ちに】トンネル専門協、インスタにトンネル貫通写真投稿

 日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、野崎正和会長)は、写真共有SNS(インターネット交流サイト)・インスタグラムでトンネル貫通の様子を連続投稿する「希望のトンネル貫通シリーズ」を開始した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で社会に不安が広がる中、どんな苦しい状況でもいずれ光が差すことを体現しているトンネル貫通の写真で、少しでも明るい気持ちになってもらおうと企画した。

 トンネル専門協は、多くの人たちにトンネル工事のさまざまな場面を見てもらおうと、1月にインスタを開設した。関係者によると「新シリーズを始めてから、フォロワーが約3倍に増えた」という。貫通写真を通して人々の心に少しでも明るい光を届けられるよう、掲載継続を予定している。

2020年5月18日月曜日

【回転窓】房総車両で復興を後押し

フルハーネスタイプではないけれど、職人が一戸建て住宅の屋根に上がって安全帯のフックを掛け、地上からの部材を受け取り、仮設の足場を手際よく組んでいく。ブルーシートをかぶった近所の住宅でようやく屋根の修理が始まった▼屋根をふき替える専門職の手配が追いつかないながら、「梅雨前には終えてくれるそうです」と世帯主の男性がほっとしたような顔で話してくれた。記録的な暴風となった昨年9月の房総半島台風から8カ月以上。千葉県内は爪痕が痛々しい地域がいまだ少なくない▼JR東日本が内房線、外房線といった台風被害が大きかった房総エリアなどを対象に新型車両を投入する。主要回路に炭化ケイ素半導体素子を用いて消費電力を減らしたり、車いす対応の大型トイレなどバリアフリー対応を進めたりする最新鋭となる▼車両は房総をイメージしたデザイン。海と菜の花のような明るい青と黄色の帯に、波しぶきがモチーフの水玉模様が特徴という▼営業運転は来春から。安心して旅行ができる日が訪れ、新型車両が台風だけでなく感染症でも傷ついた観光業の復興の一助となるのを期待したい。

【藤枝MYFC本拠地、固定席1万以上に】藤枝総合運動公園サッカー場、大規模改修へ設計業務発注

都市再生機構中部支社は15日、「藤枝総合運動公園サッカー場改修基本・実施設計業務」を委託するため簡易公募型プロポーザル手続き(WTO対象)を開始した。

 協定型一括入札方式を採用する。参加申請を6月1日まで受け付ける。技術提案書の提出期間は同11~29日。7月16日に契約候補者を決める予定。

 参加できるのは、1級建築士事務所の単体企業または設計共同体。単体企業と設計共同体代表者は、2010年度以降、固定席5000席以上の屋根付き観覧席を備えたスポーツ競技場の実施設計完了実績が必要。

 静岡県藤枝市原の藤枝総合運動公園内にある同サッカー場は、サッカーJ3・藤枝MYFCのホームグラウンド。所有する同市は、クラブが目指すJ2ライセンス取得に必要な改修に向け、本年度当初予算に設計費など1億1300万円を計上した。

 計画によると、既存芝生席(バックスタンド)を撤去し、約5000席の屋根付き観覧スタンドを新設。併せて、Jリーグスタジアム基準を満たす大型映像装置1基を設置する。これにより、固定席は合計1万席以上になる。

 同業務では、建築、機械設備、電気設備、屋外整備(土木・造園)の基本・実施設計、積算、施工計画検討資料作成、許認可等に関する行政協議・申請等資料作成、設計意図伝達業務を担う。

 協定型一括入札方式を採用し、当初業務と契約予定業務を合わせて基本協定を結んだ後、契約する。当初業務は設計意図伝達業務以外で、21年3月31日が履行期限。残る設計意図伝達業務は、工事完了予定の23年12月が履行期限になる。

【生まれ故郷に恩返しがしたい】坂口工業(千葉県市原市)の社員がマスク2500枚寄付

建築鉄骨などの製作や据え付けを手掛ける坂口工業(千葉県市原市、住田洋社長)の社員が、新型コロナウイルスの流行で品薄状態が続くマスクを出身地の千葉県袖ケ浦市に寄付した。

 マスクを寄付したのは同社の平野博美さん。「生まれ故郷に恩返しがしたい」とマスクの寄付を思い立ったという。寄付したマスクは2500枚。14日に袖ケ浦市役所を訪れ粕谷智浩市長に手渡した。

 坂口工業はTAKUMINOホールディングス(東京都千代田区、小野晃良社長)の事業会社。市原市に本社と工場を置き、鉄骨やプラント、耐震設備などの製作・据え付け事業などを展開している。主要取引先は新日本建設、大林組、鹿島、東洋建設、東亜建設工業など。

2020年5月15日金曜日

【回転窓】複合災害へ備えを

12日に台風1号が発生した。フィリピンへの上陸が予想されており、現地の日本大使館が飲料水や食料の備蓄などを呼び掛けている▼避難時に新型コロナウイルスの感染の予防に努めることも要請。災害時の避難場所では、密閉・密集・密接のいわゆる3密が起きやすい。トイレなどの共用部分の消毒なども不可欠だ▼防災減災などに関わる学会で構成する防災学術連携体が、感染症と自然災害の複合災害に備えるよう緊急メッセージを出している。ウイルス感染のリスクが高い状況で、避難方法を従来と変える必要があると指摘。避難所の数を増やすことや、可能な範囲での自宅避難などを提案した▼台風1号は沖縄県に接近する恐れがある。ここ数年続いている大型台風や豪雨などの懸念が高い状況に変わりない。コロナの脅威が続く中で大規模な自然災害が発生して被災地で感染が広がれば、多くの人命が危険にさらされる▼2014年に政府が策定した国土強靱化アクションプランで既にこうした事態は想定されていた。残念ながら万全の体制が構築されたとは言い難い。多面的な安全・安心への道のりを一歩ずつ進めたい。

【再開発起爆剤に中心市街地活性化】仙台市とNTTグループ2社、都心部活性化でと連携協定締結

 仙台市とNTTグループ2社が「都心部の活性化に関する連携協定」を結んだ。NTTグループは同市都心部の青葉区中央4にある仙台中央ビルの再開発を進めており、市が推進する「せんだい都心再構築プロジェクト」の第1号案件に指定されている。2023年9月に竣工を予定する再開発ビルをイノベーション創出拠点などとして最大限活用し、街づくりの活性化に役立てる。

 市が協定を結んだ2社はNTT東日本とNTTアーバンソリューションズ。仙台中央ビルの再開発はNTTアーバンソリューションズの子会社、NTT都市開発が事業主体となって進めている。

 市は費用助成や容積率緩和などの支援措置を通じて仙台中央ビルの再開発を支援する。再開発ビルの規模は19階建て延べ約4万平方メートル。起業家や研究者、学生が仕事や打ち合わせに利用できる共同スペースが設けられる。多様なイノベーションの創出や新たな起業などに役立ててもらう。

 再開発は23年に青葉区の東北大学青葉山新キャンパスで稼働予定の「次世代放射光施設」とも連動。同施設を使う企業のオフィスも入居する見通しだ。

【地域建設会社が地元貢献】古郡建設(埼玉県深谷市)、地元飲食店応援でお弁当購入

 古郡建設(埼玉県深谷市、古郡栄一社長)は、新型コロナウイルスの流行で苦境に立たされている地元飲食店の支援活動を展開している。

 深谷市、深谷商工会議所、ふかや市商工会が運営する地域企業応援サイト「♯がんばろう!深谷」に掲載されている地元飲食店の中から毎日異なる店舗を選び、社内や現場で食べる弁当を注文=写真。購入した弁当は社員らに無料配布している。

 弁当購入を通じた地域貢献は11日にスタート。月末までの実施を予定している。同社は1914(大正3)年の創業。創業以来の「三方良し」の精神で支援活動を行った。新型コロナ対応では、未就学児童がいる社員を対象にした週1日の「コロナ特別休暇」や在宅勤務も導入している。子育てしながら安心して働ける環境づくりを進めている。

【ロンドン・ナイチンゲール病院の仮設に貢献】日本工営の海外グループ会社、大規模展示場の病院転用で設計担当

 日本工営の海外グループ会社で英国に拠点を置く建築設計会社BDP(マンチェスター、ジョン・マクマナスCEO〈最高経営責任者〉)が、大規模展示場を仮設病院に転用するプロジェクトで設計業務を担当した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で病床数が不足する中、ロンドン市内にある展示施設の一部空間を利用し、9日間で500床を設置。4月3日に開設し同7日に患者の受け入れを始めた。

 仮設病院は、ロンドン東部に位置する大規模展示施設の「エクセル展示会センター」に設置した。同国の国民保健サービス(NHS)が「ナイチンゲール病院」の名称で患者を受け入れている。

 施設整備は、BDPが病院への用途変更を提案し実現した。現地の建設会社や展示施設の管理会社などと連携、短期間で500床を確保した。15日に患者の受け入れを一時中止するが、感染拡大の余波に備えて施設を維持する予定だ。

2020年5月14日木曜日

【回転窓】人も企業も健康維持を!

近ごろは「健康」に敏感になっている方も多かろう。健康診断の受診直後は気になっても、普段の行いを改善するのはなかなか難しい。きっかけはともかく食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直すのはいいことだ▼世界保健機関(WHO)憲章によると、健康は病気でないとか弱っていないということではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあることを指すよう。生きる上で関わるすべての事象が健康につながると説く▼人だけでなく、企業も健康は大きな経営課題となっている。数年前に経済産業省を中心に創設された「健康経営優良法人」認定制度。違法行為が常態化したブラック企業とは対照的に、従業員の健康増進に積極的な企業をホワイト企業と公認する▼従業員の活力が高まれば業績拡大や入社を希望する学生の増加などが期待できる。建設産業でも認定企業が増えつつある▼今週に入り上場企業の3月期決算発表が本格化している。経営の健全性など各社の業績や今後の見通し、財務状況が注目される。先行きの不透明感が強まる中、人も企業も健康維持が重要といえるだろう。

【新体制で次期中期計画遂行】大成建設、新社長に相川善郎専務執行役員

 大成建設は13日、相川善郎取締役兼専務執行役員が社長に昇格する人事を内定した。6月24日開催予定の株主総会後の取締役会を経て正式決定する。村田誉之社長は代表権のある副会長に就く。先行きの不透明感が強まる経済環境の中、新たな経営体制で2021年度から始まる3カ年の次期中期経営計画を策定・遂行、さらなる企業価値の向上を目指す。

 13日に公表した21年3月期の業績予想は、新型コロナウイルスの影響などを踏まえ、現行の中期計画(18~20年度)で掲げる最終年度の数値目標を下回る見通し。15年4月に就任した村田社長の後を引き継ぐ相川次期社長は、景気の悪化懸念が強まる厳しい環境下で新たな経営戦略を立案し、目標達成の陣頭指揮を執ることになる。

 相川 善郎氏(あいかわ・よしろう)1980年東京大学工学部建築学科卒、大成建設入社。2013年執行役員九州支店長、16年常務執行役員営業総本部建築営業担当、17年同建築営業本部長〈第二〉、19年取締役兼常務執行役員建築総本部長(現任)兼建築本部長(同)、20年4月同兼専務執行役員。長崎県出身、62歳。

関連記事(2019年7月22日「駆け出しのころ」)はこちらから

【日本型での収益確保は困難】米ラスベガス・サンズ、日本でのIR参入断念

 カジノ大手の米ラスベガス・サンズ(LVS、ネバダ州)は、カジノを含むIR(統合型リゾート)事業での日本市場参入を見送る方針を明らかにした。日本型IRの枠組みでは収益確保が困難と判断した。今後はマカオやシンガポールなど日本以外の投資に注力するとしている。

 同社は2019年8月、東京と横浜を候補に日本進出を目指すと発表した。その後、日本でのカジノ運営手法などを模索していたが、現行法制度の枠組みなどで事業化は困難との判断に至ったとみられる。

 シェルドン・G・アデルソン会長兼最高経営責任者(CEO)は日本進出を断念したが、「シンガポールなどで成功したMICE(国際的なイベント)を中心としたIRモデルは、アジア諸国のビジネス・レジャー観光産業のベストプラクティスとして参考になると考える」と話している。

 山下ふ頭(中区)で誘致を進める横浜市のIR担当者は「見送りの発表は承知している」とした上で、「市はコンセプト提案募集(RFC)で事業者の意見を聞いている。これまでどおり8月の事業者選定実施方針公表に向け調整を進める」と影響はないとしている。

 山下ふ頭ではこれまで、LVS以外にメルコリゾーツ&エンターテインメント(香港)とマカオに拠点を持つギャラクシー・エンターテインメント、米ウィン・リゾーツ(ネバダ州)などが進出に名乗りを上げていた。LVSの撤退表明を受けて、他社の動向が注目される。

2020年5月13日水曜日

【回転窓】媒体の役割は

ここ数週間、テレビをほとんど見なくなった。新型コロナウイルス関連のニュースばかりで見たいという番組がないからだ▼子供の頃は朝から晩までテレビを見ているテレビっ子だった。年齢を重ねても野球やゴルフ、サッカー、相撲などスポーツ中継を楽しみにしていたが、今はそれもない。テレビの強みはリアルタイムで生中継すること。最大の武器を失ったことで視聴したい番組が減ってしまったのだろう▼コラムニストの天野祐吉氏が「テレビショッピングのような番組が横行してからテレビはゆがんだ」と何かの雑誌に書いていた。テレビ局は生活情報番組だと言うが、商品のメリットしか紹介しない番組が多くの視聴者を惹き付けるとは到底思えない▼消費者の立場に立って優れた商品を紹介するのはメディアが担う役割の一つだろう。ただ商品のメリット、デメリットも含めた総合的な視点がなければ、それは番組ではなく、単なるCM。商業主義だと言われても致し方ない▼翻って紙媒体はどうだろうか。活字離れが進み、苦難の時代が続く。読者が知りたい情報は何か。自らへの問い掛けが常に求められている。

【メーカーら生産・供給体制を強化】新型コロナ対応で陰圧テントなど需要増に

太陽工業の医療用陰圧テントの内部
新型コロナウイルスの感染防止対策として、メーカーや資機材レンタル会社が陰圧技術を活用した簡易テントなどの生産と販売を強化している。内部の気圧を低くすることでテント外へのウイルス飛散を防ぐ。医療機関向けだけでなく、学校や公共団体などもターゲットに、要望に応じ商品を提供している。

続きはHP

【"大阪モデル"の達成状況お知らせ】ダイキン工業、看板ライトアップで新型コロナの情報発信

 ダイキン工業は、大阪・梅田と新大阪駅前に設置している二つの屋外LED看板の色を、大阪府による新型コロナウイルスの警戒信号に合わせたライトアップに変更した。

 看板には同社のマスコットキャラクター「ぴちょんくん」が示されている。「大阪モデル」に基づき赤色(警戒レベル)、黄色(注意喚起レベル)、緑色(基準内)の3色にライトアップし達成状況を伝える。

 大阪府は、新型コロナの感染拡大に伴う自粛要請・解除の基準となる基本的な考え方「大阪モデル」を設定し、ホームページで公表している。ライトアップの色を達成状況に合わせることで、新型コロナの収束に向けた情報を広く知ってもらう。

【1期工事で情報棟を建設】NHK放送センター建替(東京都渋谷区)、予定通り9月着工へ

報道・情報スタジオが入る「情報棟」の完成イメージ
日本放送協会(NHK)は東京都渋谷区にある放送センターの建て替え工事を当初の計画通り9月に開始する予定だ。東京五輪・パラリンピック閉幕後に着工時期を設定した経緯があるものの、「(五輪と同様に1年延期すると)全体計画にかなりの影響が出る」(NHK広報局)と判断。工事スケジュールの変更を避けた。来夏の五輪期間中には「放送などに影響が出ないようにする」(同)とした。

 NHKはセンター内の見学施設「NHKスタジオパーク」の閉館を当初の9月末から前倒しすると11日に発表した。五輪延期に伴い、建て替え工事の準備作業にスケジュールの変更が生じたことを理由としたが、建て替え工事そのものは予定通りに進める。

 昨年11月に公表した建て替え工事の基本設計によると、9月に着工する1期工事では敷地南東部の既存施設を解体し、跡地に報道・情報スタジオが入る「情報棟」を建設する。情報棟の運用開始は25年を目指す。

 2期工事では映像・音声スタジオや事務室が入る「制作事務棟」と、公開スタジオなどを設ける「公開棟」を整備する。新設する3棟の総延べ床面積は約26万平方メートル。3棟の設計と1期工事の施工は竹中工務店・久米設計JVが担当する。2期工事の工期や施工者は決まっていない。

【工法のPRなどに活用】加藤建設、地盤改良専用機のミニチュア模型完成

 加藤建設(愛知県蟹江町、加藤徹社長)が開発し、全国各地の軟弱地盤改良工事で活躍するトレンチャー式地盤改良専用機「パワーブレンダーPBT-1100」のミニチュア模型が完成した。

 重機模型店のケンクラフト(東京都千代田区)が販売をスタート。加藤建設ではパワーブレンダー工法のPRなどに模型を活用していく。

 ミニチュア模型は加藤建設とケンクラフトが企画し、玩具メーカー・タカラトミーの子会社トミーテック(栃木県壬生町)が製作した。150分の1スケールと小型ながら、実機を精巧に再現。本体が旋回可能で、アームシリンダーも伸縮して角度を変えられるのが特徴だ。本体の後部や側面に手すりなどのパーツを取り付けて完成させる。

 今回のミニチュア模型づくりは、2014年に加藤建設が社員を対象に実施した技術アイデアコンテストがきっかけ。このコンテストで「パワーブレンダーのミニカーをつくりたい」と提案し、最優秀賞に輝いた自然環境課・広報課の石濱謙一氏は「実現できてうれしい。模型を通じて一般の方々や子どもたちが縁の下の力持ちとも言える地盤改良のことを知り、建設業に興味を持ってもらいたい」と話す。

 ミニチュア模型の販売価格は2200円(税込み)。加藤建設とパワーブレンダー工法協会の二つのバージョンがラインアップされている。詳細は同社ホームページへ。