東京都内の建設現場で死亡災害の増加傾向が続いている。東京労働局によると2021年(1~12月)の建設業死亡者数が1月28日時点の速報値で24人(前年14人)。今年も既に3人(前年同期1人)が亡くなっている。
1日に都内で会見した同局の辻田博局長は死亡災害の半数を占める墜落・転落に関する設備面で法令違反が多いと指摘し、「対策が的確に実施されるよう重点的に取り組む」と今後の方針を示した。
同局は建設業の死亡者数の急増を受け、昨年6~7月に緊急対策を実施。この結果、6~7月の死亡者数はゼロだったが、8月以降に死亡災害の発生が続き、今年に入っても増加傾向に歯止めが掛かっていないのが実情だ。昨年の死亡事故の発生要因(昨年末時点、死亡者数23人)を見ると「墜落・転落」が13人と半数を占めた。前年(2人)と比べ約6倍に増加している。
昨年12月、都内544現場を対象に実施した集中指導の結果を1日に公表。法令違反は指導現場全体のうち、65・6%に当たる357現場で見つかった。前回調査(昨年6月、785現場)の違反率は56・6%(444現場)。法令違反の発生割合が上昇している。
違反事項別では、下請への指導未実施といった「元請事業者の安全衛生管理面」が311現場(法令違反357現場の87・1%)、足場の手すり未設置など「墜落・転落防止」が221現場(同61・9%)だった。現場管理者が労働災害の発生要因として実感する項目も調査。「作業の慣れ」が247現場(全現場の45・4%)、「危機意識の低下」が199現場(36・6%)と多かった。
こうした実態を踏まえて同局は元請事業者に対し、安全衛生活動など管理面での対策や、墜落・転落災害防止など設備面での対策が的確に実施されるよう指導を重点化。新規入場者教育の強化と徹底などを周知・指導するとともに、都内の労働基準監督署による現場指導の強化を図る。
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