街頭の壁面などに無断で描かれた落書きはストリートアートとも評される。評価の境界線は分からないが、中には芸術性が高く、人々の心をつかんでいる「作品」があるのも間違いない▼ストリートアートの先駆者と呼ばれるキース・ヘリング(1958~90年)は80年代初頭、ニューヨークの地下鉄で使われていない広告板にグラフィティアートを描いた。コミカルで親しみやすく、誰もが楽しめる落書きは地下鉄利用者の間で評判となり、一躍その名を広めた▼「芸術はみんなのためのものだ」という名言を残したヘリングには社会問題への行動主義者の一面も。子どもの病院や孤児院のために作品を作り、ベルリンの壁に大型のミューラルアート(壁画)を描いている▼海外ではミューラルアートが街づくりで活躍しているそうだが、日本ではまだ発展途上の段階。そんな中、JR東日本が大宮駅から横浜駅まで沿線8カ所の空いている壁に絵を描くミューラルアートプロジェクトを開始した▼誰にとっても身近な公共施設の壁に作品が出現する。アートがもっと身近に感じられ、街に根付いたものになることを期待したい。
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